JPH0610077Y2 - 外付け式折り戸の吊込み装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 家具やクローゼットなどの本体開口枠に適用される移動
自在な折り戸において、閉じ姿勢にしたとき本体開口枠
の前面外側を完全に覆う外付け式のものがある。本考案
はかかる外付け式折り戸の吊込み装置に関する。

〔従来の技術〕

一般的な折り戸では、これを構成する一対の扉の上下端
面にランナーを装着する。これに対して、外付け式折り
戸の場合は、閉じ状態において本体開口枠の前面外側を
扉で覆う必要上、扉の内壁面の上下にランナーを取付け
る。さらに、外開き時に扉が本体開口枠に対して接当干
渉するのを避けるために、ランナー本体と扉とをヒンジ
部材で連結する。

この種の折り戸に関する従来技術としては、例えば実開
昭６３−４６５７２号公報がある。これではランナー本
体とスライド蝶番状のヒンジ部材との２個のユニット部
品でランナーを構成し、ランナー本体をガイドレールに
移動自在に装着し、扉側に埋設固定したヒンジ部材をラ
ンナー本体にビス止めすることにより扉の吊込みを行っ
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のように、ヒンジ部材とランナー本体をそれぞれ扉
とガイドレールに別々に装着しておき、最後に両者をビ
ス止めして扉の吊込みを行う形式では、本体開口枠に対
する扉の前後の余裕隙間が適正値になるよう、個々のラ
ンナーについて隙間調整を行う必要があり、吊込み作業
が面倒であった。

また、ヒンジ部材を扉に埋設固定するので、例えば同一
サイズの扉を開口寸法の異なる家具に適用する場合に、
開口寸法に合わせてカップ埋設用の穴加工を個別に行わ
ねばならず、組付作業が面倒であった。

本考案はかかる従来の不具合を解消するにあり、ランナ
ー本体とヒンジ部材を一体化して、全体が単一のユニッ
ト部品として構成されたランナーとする。すなわち、こ
のランナーは折り戸側に固定される取付板と本体開口枠
側に支持されるランナー本体とをリンク式のヒンジ部材
で一体に連結したものとし、本体開口枠に対する前後の
余裕隙間の調整を不要としながら、かつ取付板の仮固定
後に折り戸の高さ調整が行えて、あるいは屈折する折り
戸が本体開口枠に対して垂直になるよう簡単に調整で
き、以て折り戸の吊込み作業が簡便化できるようにする
ことを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案では、本体開口枠１ａ側の上ガイドレール６に外
付け式の折り戸２を移動自在に吊下げ支持する上側ラン
ナー５ａが、上ガイドレール６に装着されるランナー本
体８と、折り戸２の遊端側の内面に取付けられる取付板
９と、両者８・９を連結するヒンジ部材１０とからなる
単一のユニット部品として構成されており、別に取付板
９の取付に先立って、該取付板９の取付位置に近い折り
戸２の内面に固定されるブラケット２５を有する。取付
板９に調整代を含む複数のビス孔２９が設けられてお
り、この取付板９とブラケット２５との間に調整ねじ２
８を備えている。かくして、折り戸２に前記ビス孔２９
およびこれに挿通される固定ねじ２２を介して取付板９
を仮止めした状態において、調整ねじ２８で取付板９の
上下位置を調整可能としたものである。

更に詳しくは、折り戸２はヒンジ４を介して二つ折り可
能に連結した一対の扉３・３を備え、各扉３の遊端が本
体開口枠１ａ側に固定した上下のガイドレール６・７に
ランナー５ａ・５ｂを介して支持されるものとする。

この各ランナー５ａ・５ｂが前述したようにランナー本
体８と、前記扉３の内面に取付けられる取付板９と、両
者８・９を連結するヒンジ部材１０とからなる単一のユ
ニット部品として構成されている。そして、上側ランナ
ー５ａのランナー本体８は上ガイドレール６に吊下げ支
持する。上側ランナー５ａの取付板９を扉３の内面に取
付けるに先立って、該取付板９の取付位置に近い扉３の
内面に先付け固定されるブラケット２５を有する。上側
ランナー５ａの取付板９に調整代を含む複数のビス孔２
９が設けられている。

かくして、上側ランナー５ａの取付板９と、ブラケット
２５との間に調整ねじ２８を備えており、扉３に前記ビ
ス孔２９およびこれに挿通される固定ねじ２２を介して
取付板９を仮止めした状態において、調整ねじ２８で取
付板９の上下位置を調整操作できるようにしたものであ
る。

〔作用〕

本体開口枠１ａへの折り戸２の取付に際しては、まず折
り戸２の扉３の内面に下側ランナー５ｂとブラケット２
５とを固定しておき、上側ランナー５ａのランナー本体
８を上ガイドレール６に吊下げ支持しておく。次に、下
側ランナー５ｂを下ガイドレール７に係入案内し、上側
ランナー５ａの取付板９を扉３の内面に仮止めする。こ
の仮止め状態でビス孔２９の調整代分だけ取付板９が上
下動できる。

上側ランナー５ａの取付板９を仮止めした後、該取付板
９の上下位置を調整ねじ２８で調整することにより、上
側ランナー５ａと扉３と本体開口枠１ａの三者の関係寸
法の全てを正しく設定することができる。

〔実施例〕

第５図は外付け式折り戸を備えた収納キャビネットを示
しており、キャビネット本体１の開口枠１ａの前面は、
左右方向に移動自在な２組の折り戸２・２によって開閉
可能に覆われている。

折り戸２は、左右一対の扉３・３をヒンジ４で屈折自在
に連結してあり、各扉３における遊端側内面の上下２箇
所が本体開口枠１ａにランナー５ａ・５ｂを介してそれ
ぞれ取付けられている。

第３図において、上側ランナー５ａはキャビネット本体
１の開口枠１ａさらに詳しくは天板１ｂの前縁下面に取
付けた上ガイドレール６に吊下げ支持され、下側ランナ
ー５ｂはキャビネット本体１の底板１Ｃの前縁下面に取
付けた下ガイドレール７に下方から係入案内されて、そ
れぞれが各ガイドレール６・７に沿って左右に走行可能
である。

上側ランナー５ａは、上ガイドレール６に吊下げ支持さ
れるランナー本体８と、扉３の内壁表面にねじ止め装着
される取付板９と、両者８・９を連結する四連リンク式
のヒンジ部材１０とで単一のユニット部品として構成す
る。

ランナー本体８は、コ字形のリンクブラケット１１の上
面に軸受ブラケット１２を介して前後一対ずつプラスチ
ック製のローラ１３が装備されている。

第２図において、ヒンジ部材１０は４個の長短２対のリ
ンク１５・１６・１７・１８からなり、一方の長短一対
のリンク１５・１６をリンクブラケット１１に、他方の
長短一対のリンク１７・１８を取付板９にそれぞれ枢着
し、各リンク１５・１６・１７・１８をＷ字状に組み、
それぞれの交差部を枢着して構成する。このヒンジ部材
１０によれば、扉３を連続的に変位する浮動支点回りに
移動させて、とくに開き動作初期に、扉３をほぼ平行姿
勢で前方へ移動させながら開き傾動させることができ
る。前記長リンク１５の下面にピン１９を突設し、この
ピン１９とリンクブラケット１１との間に、ヒンジ部材
１０の閉じ姿勢を維持するばね２０が張設されている。

下側ランナー５ｂは下ガイドレール７に係合案内される
ランナー本体８と、扉３の内側表面にねじ止め装着され
る取付板９と、両者８・９を連結する四連リンク式のヒ
ンジ部材１０とからなる。ランナー本体８のローラ１３
が縦軸回転式である点、取付板９がやや小型である点、
ばね２０が装着されていない点を除くと、その仕様は上
側ランナー５ａのそれと実質的に同一であるため、その
説明を省略する。

以上のように各ランナー５ａ・５ｂを単一のユニット部
品として構成すると、取付板９を扉３の内壁表面に固定
ねじ２２で止め付けることにより、扉３と本体開口枠１
ａの前後の余裕隙間を適正な状態にして扉３の吊込みを
行うことができる。

問題は扉吊込み時の上下調整である。これを容易にする
ために、上側ランナー５ａに関し、その取付板９の下端
にねじ孔２３が通設された突壁２４を形成する。この突
壁２４の下方にブラケット２５を配置して扉３の内壁表
面にビス２６で直に固定し、ブラケット２５の横向きに
突出する上端の受壁２７と前記突壁２４の間に調整ねじ
２８を配する。この調整ねじ２８は受壁２７に下方から
挿通され、そのねじ部が前記ねじ孔２３に螺合する。ま
た、取付板９の四隅に、前記固定ねじ２２用のビス孔２
９を調整代を有する縦長孔として形成してあり、仮止め
状態において取付板９が調整代分だけ上下に移動調整で
きる。

扉３の吊込み手順を説明すると、吊込みに先行して下側
ランナー５ｂとブラケット２５を扉３の所定位置に直付
けして予め固定しておく。また、上側ランナー５ａは上
ガイドレール６に嵌め込んでおく。

次いで下側ランナー５ｂを下ガイドレール７に下方から
案内して嵌め込み、扉３を垂直姿勢にして上側ランナー
５ａの取付板９を扉３の内壁表面に当て付け、固定ねじ
２２で仮固定する。

この後に調整ねじ２８を受壁２７を介してねじ孔２３に
ねじ込み、扉３が開口枠１ａに対して適切な高さ位置に
なるよう調整する。折り戸２の重量は２個の上側ランナ
ー５ａで吊持しているので、高さ調整は２個の上側ラン
ナー５ａについて個々に行う。この調整によって、折り
戸２を垂直姿勢にし、各扉３の上端縁を横一直線状に揃
える。調整後に固定ねじ２２を完全に締め込んで取付板
９を扉３に固定すると、吊込みが完了する。

〔変形例〕

上記の実施例では、固定ねじ２２として木ねじあるいは
タッピングねじの使用を想定したが、予め扉３の内壁面
のビス孔２９と対応する所定位置に、筒状の雌ねじ体を
打ち込み装着しておけば、通常のボルトを固定ねじ２２
として使用することもできる。また、各固定ねじ２２と
ビス止め用のねじ孔を有する一枚の取付プレートを扉に
予めビス止めしておき、これにブラケット２５および取
付板９を取付けるようにしてもよい。

ブラケット２５は必ずしも上側ランナー５ａの取付板９
の直下にある必要はない。

調整ねじ２８は、取付板９に回転のみ自在に予め支持し
ておき、ブラケット２５側のねじ孔と螺合するよう変更
してもよいこと言うまでもない。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案では、上側ライナー５ａの取
付板９を折り戸２の内面に固定ねじ２２で仮止めしたの
ち、ブラケット２５と該取付板９との間に設けた調整ね
じ２８を操作すると、上側ライナー５ａの全体を折り戸
２に対して仮止め状態で相対的に上下調整できる。従っ
て、折り戸２と上側ライナー５ａの上下の位置調整が簡
単に行える。この調整さえ行えば、折り戸２と上側ライ
ナー５ａと本体開口枠１ａの三者関係寸法を正しく設定
できるので、本体開口枠１ａに対する折り戸２の吊込み
作業を簡便に行えることになり、組付作業性を飛躍的に
向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は折り戸を屈折した状態での要部の正面図、 第２図は上側ランナーの斜視図、 第３図は折り戸を閉じた状態での縦断側面図、 第４図は第３図におけるＡ−Ａ線断面図、 第５図はキャビネットの概略平面図である。 １……キャビネット本体、 １ａ……本体開口枠、 ２……折り戸、 ３……扉、 ４……ヒンジ、 ５ａ……上側ランナー、 ５ｂ……下側ランナー、 ６……上ガイドレール、 ７……下ガイドレール、 ８……ランナー本体、 ９……取付板、 １０……ヒンジ部材、 ２２……固定ねじ、 ２５……ブラケット、 ２８……調整ねじ、 ２９……ねじ孔。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体開口枠１ａ側の上ガイドレール６に外
   付け式の折り戸２を移動自在に吊下げ支持する上側ラン
   ナー５ａが、上ガイドレール６に装着されるランナー本
   体８と、折り戸２の遊端側の内面に取付けられる取付板
   ９と、両者８・９を連結するヒンジ部材１０とからなる
   単一のユニット部品として構成されていること、 折り戸２に前記取付板９を取付けるに先立って、該取付
   板９の取付位置に近い折り戸２の内面に固定されるブラ
   ケット２５を有すること、 取付板９に調整代を含む複数のビス孔２９が設けられて
   いること、 取付板９とブラケット２５との間に調整ねじ２８を備え
   ていること、 折り戸２に前記ビス孔２９およびこれに挿通される固定
   ねじ２２を介して取付板９を仮止めした状態において、
   調整ねじ２８で取付板９の上下位置を調整可能としたこ
   と、を特徴とする外付け式折り戸の吊込み装置。
2. 【請求項２】本体開口枠１ａにこれの開口前面を開閉す
   るよう装着される外付け式の折り戸２を有すること、 折り戸２はヒンジ４を介して二つ折り可能に連結した一
   対の扉３・３を備えていること、 各扉３の遊端が本体開口枠１ａ側に固定した上下のガイ
   ドレール６・７にランナー５ａ・５ｂを介して支持され
   ていること、 各ランナー５ａ・５ｂは各ガイドレール６・７に移動自
   在に装着されるランナー本体８と、前記扉３の内面に取
   付けられる取付板９と、両者８・９を連結するヒンジ部
   材１０とからなる単一のユニット部品として構成されて
   いること、 上側ランナー５ａのランナー本体８は上ガイドレール６
   に吊下げ支持されていること、 上側ランナー５ａの取付板９を扉３に取付けるに先立っ
   て、該取付板９の取付位置に近い扉３の内面に固定され
   るブラケット２５を有すること、 上側ランナー５ａの取付板９に調整代を含む複数のビス
   孔２９が設けられていること、 上側ランナー５ａの取付板９と、ブラケット２５との間
   に調整ねじ２８を備えていること、 扉３に前記ビス孔２９およびこれに挿通される固定ねじ
   ２２を介して取付板９を仮止めした状態において、調整
   ねじ２８で取付板９の上下位置を調整可能としたこと、
   を特徴とする外付け式折り戸の吊込み装置。