JPH059750A - 複層めつき鋼板 - Google Patents

複層めつき鋼板

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JPH059750A
JPH059750A JP5201291A JP5201291A JPH059750A JP H059750 A JPH059750 A JP H059750A JP 5201291 A JP5201291 A JP 5201291A JP 5201291 A JP5201291 A JP 5201291A JP H059750 A JPH059750 A JP H059750A
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JP
Japan
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layer
plating
steel sheet
plated
plating layer
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JP5201291A
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English (en)
Inventor
Atsuhisa Yagawa
敦久 矢川
Tetsuaki Tsuda
哲明 津田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】自動車、家電製品、建材等の材料に好適な塗装
後の疵部耐食性および端面耐食性が良好で、しかも接着
耐久性に優れた複層めっき鋼板を提供する。 【構成】鋼板の少なくとも片面に、Znめっき層またはη
単相のZn主合金めっき層とNi含有量が7〜16重量%のZn
−Ni合金めっき層をそれぞれ1層以上有する複層めっき
鋼板とする。この複層めっき鋼板は〔Znめっき層または
η単相のZn主合金めっき層の総付着量〕/〔Ni含有量が
7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層の総付着量〕の比が
2〜50、最表層から3g/m2のめっき層中におけるNi含有
量が0.05〜0.45g/m2、鋼板とめっき層の界面での残留歪
が単一めっき状態の残留歪の50%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車、家電製品、
建材等の材料に好適な塗装後の疵部耐食性および端面耐
食性が良好で、しかも接着耐久性に優れた複層めっき鋼
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車をはじめ、家電製品、建材等の分
野では各種の表面処理鋼板が賞用されているが、近年、
その表面処理鋼板に対する防錆能力向上の要求が強く、
例えば自動車用表面処理鋼板としては、塩害地にて10年
耐孔あき腐食や5年耐外面錆を目標とする高耐食性能が
要求されている。
【0003】自動車用表面処理鋼板、特に過酷な腐食環
境下で使用される自動車車体に対しては、従来から、各
種防錆鋼板の適用が積極的に推進されており、現在、最
も一般的な防錆めっき鋼板として、Zn系またはZn−Fe
系、Zn−Ni系、Zn−Co系、Zn−Mn系、Zn−Cr系、Zn−Al
系等のZn系合金めっき皮膜を有するめっき鋼板があっ
て、一部のものは既に実用化されているが、このような
防錆めっき鋼板にしても益々過酷となる腐食環境での耐
食性において需要家の要望を十分に満たしているとは言
えない。
【0004】特開昭60−215789号公報および特公昭58−
15554 号公報には、2層めっき化により耐食性の向上を
図った複層めっき鋼板が提案されている。特開昭60−21
5789号公報に記載の複層めっき鋼板とは、付着量が10〜
300g/m2 のZnめっき層を下層に、NiおよびCoの一方また
は両者合計が15〜30重量%で、付着量が1〜20g/m2のZn
系合金めっき層を上層に配したものであるが、この複層
めっき鋼板の場合には需要家の要求する高耐食性能を発
揮するためには下層のZnめっき層の高付着量化が必要で
あり、加工性、加工後の耐食性、スポット溶接性等に問
題が生ずる。また、この複層めっき鋼板は上層のZn系合
金めっき層が高価なNiやCoを多く含むことから、コスト
的に不利である。
【0005】特公昭58−15554 号公報に記載の複層めっ
き鋼板とは、リン酸塩化成処理性や電着塗装性を向上さ
せる目的で上層にFe系フラッシュめっきを配し、塗膜密
着性の向上効果による間接的な高耐食性化を狙ったもの
であるが、このような複層めっき鋼板では裸耐食性の改
善にはつながらず、塗装後の耐食性の向上も僅かであ
り、耐食性は基本的には下層であるZn系めっき層の特性
および付着量に依存するところが大きい。
【0006】このようなことから、加工性やスポット溶
接性等の低下が起こらない薄目付けでありながら、過酷
な腐食環境に耐えうる高耐食性を具備しためっき鋼板の
出現が望まれている。そして、近年、そのめっき鋼板に
は優れた接着性も求められている。これはスポット溶接
法では溶接部のめっき皮膜が破壊され、その部分の耐食
性が低下したり、溶接痕が発生して溶接部の外観が損な
われたりする問題があるが、接着接合法の場合には、こ
のような問題がない上に、溶接不可能または困難である
材料でも接合することが可能であり、且つ、溶接困難な
部位へも適用することができるからである。この接着接
合法においては、接着初期における接着部界面(接着剤
とめっき層との界面)の密着強度(以下、初期接着性と
いう)が高いこと、腐食環境下における接着部界面の密
着強度(以下、接着耐久性)の低下が小さいことが重要
であって、めっき鋼板にはこれらの特性が求められる。
【0007】しかしながら、既存のZn系およびZn系合金
めっき鋼板は、一般的に冷延鋼板に比べ初期接着性に劣
り、また接着耐久性においても腐食の進行に伴ってその
接着強度の絶対値は低下するため、実際の使用に際して
の接着耐久性は十分にあるとは言い難い。めっき鋼板の
初期接着性が冷延鋼板より劣る原因は、めっき皮膜中に
脆性体、例えば合金化溶融Znめっき皮膜中のΓ相、合金
電気Zn−Niめっき皮膜中のΓ相、合金電気Zn−Feめっき
皮膜中のδ1 相およびΓ相が存在すると、剪断引張時に
その部位で剥離が起こるために、見掛け上の接着強度が
低くなることや鋼板とめっき皮膜の界面での密着力が低
下することによると考えられる。従って、このようなめ
っき鋼板については、溶融めっき等では極力前記脆性体
の生成を少なくすること、例えば熱処理条件を制御する
ことにより引張強度を増加することや前処理による被め
っき鋼板表面の活性化を十分に行うことにより、初期接
着性を改善することができる。しかし、このような手段
を用いても腐食の進行に伴って発生する接着強度劣化の
問題を解消すること、即ち、接着耐久性を向上させるこ
とはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、加工
性やスポット溶接性の低下が起こらない比較的薄目付け
でありながら、益々過酷となる腐食環境に十分耐えうる
高耐食性を有し、しかもスポット溶接にかわる接着接合
によって使用された場合には優れた接着性を発揮する複
層めっき鋼板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐食性に
ついては、犠牲防食能を長時間保持するため、Zn成分の
溶出速度を抑えること、接着性については、めっき皮膜
形状やめっき皮膜と接着剤との相性等が初期接着性に影
響を及ぼすと考えられるので、めっき皮膜形状の改善や
接着剤と相性のよいめっき皮膜とすること、また、腐食
環境下での接着強度の低下は腐食によるもので、特に面
方向への腐食の進行が接着耐久性に悪影響を及ぼすと考
えられることから、面方向への腐食の進行を抑制するこ
とを考え、めっき皮膜構成を下記のようなZnまたはη単
相のZn主合金めっき皮膜とZn−Ni合金皮膜との複合めっ
き皮膜にしたところ、上記課題が達成されることを見出
した。その詳細な理由は不明であるが、特に、接着耐久
性の向上は、Znまたはη単相のZn主合金めっき層によ
り、主に母材鋼板に対する犠牲防食能を付与し、Zn−Ni
合金めっき層により主に腐食生成物の安定化や緻密化が
図られ、その結果、腐食速度が遅くなり、面方向への腐
食部の広がりが抑制されるためと思われる。
【0010】ここに本発明の要旨は「鋼板の少なくとも
片面に、Znめっき層またはη単相のZn主合金めっき層と
Ni含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層をそれぞ
れ1層以上有する複層めっき鋼板であって、〔 Zn めっ
き層またはη単相のZn主合金めっき層の総付着量〕/
〔Ni含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層の総付
着量〕の比が2〜50、最表層から3g/m2のめっき層中に
おけるNi含有量が0.05〜0.45g/m2、鋼板とめっき層の界
面の残留歪が単一めっき状態の残留歪の50%以下である
ことを特徴とする複層めっき鋼板」にある。
【0011】
【作用】以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0012】本発明の複層めっき鋼板は、上記のとおり
鋼板の少なくとも片面に、Znめっき層またはη単相のZn
主合金めっき層とNi含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金
めっき層を有するものである。Znめっき層またはη単相
のZn主合金めっき層は、本発明の複層めっき鋼板を構成
する主皮膜であり、これらのめっき層の存在により母材
鋼板を腐食から保護する。主皮膜をZnめっき層またはη
単相のZn主合金めっき層とするのは、これらのη単相
(Znめっき層も実質的にη単相である)のめっき層は、
電気化学的防食効果が大きく、しかも脆性体が存在せず
比較的延性のある柔らかい皮膜であり、耐食性および初
期の接着強度を向上させるのに効果があるからである。
Zn主合金の合金元素としては、Al、Fe、Ni、Co、Cr、S
n、Mn、Mg、Si、Cu、Ti、Mo、Cd、Pb、Ta、Tl、In、N
b、Sb、W、V、P、B、S等が挙げられる。これらの
は元素は1種または2種以上含有されていてもよく、そ
の含有量についてはZn合金相がη単相を維持できる範囲
内であれば特に規定する必要はない。
【0013】Zn−Ni合金めっき層は、Zn−Ni合金自身が
Znと同じく犠牲防食作用を有している上に、主にZnの腐
食生成物の安定化や緻密化に効果を発揮し、腐食速度を
遅くして面方向への腐食部の拡大を抑制する。このZn−
Ni合金めっき層中におけるNi含有量を7〜16重量%とし
たのは、Ni含有量の少ない方がZn−Ni合金めっき自身の
犠牲防食能は向上するが、7重量%未満では腐食生成物
の安定化や緻密化の効果が小さくて、Znめっき層または
η単相のZn主合金めっき層を含めた皮膜全体としての耐
食性能は向上しないからであり、16重量%を超えると犠
牲防食能が小さく、しかも電気化学的にも貴な電位を示
すようになって、Znめっき層またはη単相のZn主合金め
っき層の腐食や溶出を促進するからである。さらに、Ni
含有量が16重量%を超えると、非常に脆いめっき皮膜と
なり接着強度が低下する。このZn−Ni合金めっき層は、
不純物を含め、他の合金元素を含んでいてもよい。不純
物を含め、他の合金成分を1種以上含んでいてもNi含有
量が7〜16重量%の範囲内であれば何ら問題はない。
【0014】本発明では、これらのZnめっき層またはη
単相のZn主合金めっき層とZn−Ni合金めっき層は鋼板の
片面または両面にあってもよく、また、これらのめっき
層はそれぞれが1層ずつで存在する必要はなく、Znめっ
き層またはη単相のZn主合金めっき層が1層でZn−Ni合
金めっき層が2層以上、Zn−Ni合金めっき層が1層でZn
めっき層またはη単相のZn主合金めっき層が2層以上、
Znめっき層またはη単相のZn主合金めっき層とZn−Ni合
金めっき層がそれぞれ2層以上存在していてもよい。更
に、これらのZnめっき層またはη単相のZn主合金めっき
層とNi含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層との
配置関係は、これらのめっき層の総付着量比、最表層の
Ni含有量、鋼板とめっき層の界面での残留歪が下記の条
件を満足しておれば、どちらが上層であっても下層であ
ってもかまわない。図1は、めっき組成の異なる2種の
η単相のZn主合金めっき、(例えばAがZn−Al、BがZn
−Fe)と同じくめっき組成の異なる2種のZn−Ni合金め
っき(例えばCがNi含有量10%、DがNi含有量13%)を
それぞれ1層以上施した本発明の複層めっき鋼板の皮膜
構成の数例を示した図である。このようにZnめっき層ま
たはη単相のZn主合金めっき層とZn−Ni合金めっき層
は、どのような配置関係にあってもよく、それぞれのめ
っき層が1層または複数層あってもよい。
【0015】上記本発明の複層めっき鋼板は、〔Znめっ
き層またはη単相のZn主合金めっき層の総付着量〕/
〔Ni含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層の総付
着量〕の比が2〜50、最表層から3g/m2のめっき層中に
おけるNi含有量が0.05〜0.45g/m2、鋼板とめっき層の界
面での残留歪が単一めっき状態の残留歪の50%以下、と
なるように調整されている。
【0016】このように総付着量の比、最表層部のNi含
有量および鋼板とめっき層の界面での残留歪を調整する
のは、こうすることにより耐食性および接着性が改善さ
れることが確認されたからである。その詳細は不明であ
るが、上記の比を2〜50にすると面方向への腐食が抑制
されるために、最表層から3g/m2のめっき層中における
Ni含有量を0.05〜0.45g/m2にするとりん酸塩化成処理性
が向上するために、また鋼板とめっき層の界面での残留
歪を単一めっき状態の残留歪の50%以下にすると腐食に
伴い残留歪によるめっき皮膜の破壊が起こり難くなるた
めに、耐食性および接着性が向上するものと考えられ
る。しかし、この条件を外れると所望の性能を確保する
のが困難となる。即ち、〔Znめっき層またはη単相のZn
主合金めっき層の総付着量〕/〔Ni含有量が7〜16重量
%のZn−Ni合金めっき層の総付着量〕の比が2より小さ
くなると、腐食により生成するNi濃化層により、犠牲防
食被膜の電気化学的な腐食促進効果が大きくなり、Znめ
っき層またはη単相のZn主合金めっき層の選択的腐食が
面方向に広がり、接着強度、特に接着耐久性が低下し、
その比が50より大きくなると、Zn−Ni合金による腐食生
成物の安定化および緻密化が不十分となり、やはり面方
向に腐食が進みやすくなるのである。最表層から3g/m2
のめっき層中におけるNi含有量が0.05g/m2より少ない
と、良好なりん酸塩結晶が生成せず、0.45g/m2を超える
と、りん酸塩化成処理性が低下する。また、鋼板とめっ
き層の界面の残留歪が単一めっき状態の残留歪の50%よ
り小さいと、腐食の進行に伴い残留歪によるめっき皮膜
の破壊が起こりやすくなる。
【0017】なお、鋼板とめっき層の界面の残留歪が単
一めっき状態の残留歪の50%以下とは、複層めっき鋼板
を構成するそれぞれのめっき層、例えば1層目がZnめっ
き層、2層目がNi含有量が10%のZn−Ni合金めっき層で
ある場合には、Znめっき層おとびZn−Ni合金めっき層を
それぞれ単一に鋼板表面に形成したときのそれぞれの単
一めっき鋼板における残留歪の中で一番大きい残留歪に
対しての1/2以下を意味する。即ち、図2(a)は単
一めっき鋼板、(b)は本発明の複層めっき鋼板とにお
ける鋼板とめっき界面の残留歪みの概念図を示したもの
であり、σSは鋼板側に付与された歪み、σP(A)は
単一めっき鋼板におけるめっき皮膜側に付与された歪
み、σP(B)は複層めっき鋼板におけるめっき皮膜側
に付与された歪みを表したものであり、本発明ではσP
(B)≦(1/2)σP(A)とするのである。
【0018】以上説明した本発明の複層めっき鋼板は、
下記の方法で製造することができる。
【0019】Znめっき層またはη単相のZn主合金めっき
層とNi含有量が7〜16重量%のZn−Ni合金めっき層は、
公知のめっき法、例えば、電気めっき法、溶融めっき
法、気相めっき法により鋼板表面に形成することができ
る。これらのめっき層を鋼板の片面又は両面に形成する
か、どうようなめっき皮膜構成、即ち、Znめっき層また
はZn主合金めっき層とZn−Ni合金めっき層をそれぞれ幾
層づつ形成するかはめっき鋼板の使用環境等により適宣
決めればよい。また、それぞれのめっき層の付着量を幾
らにするかについても使用環境等を考慮して前記総付着
量の比を満足する範囲内で適宣決めればよいが、過度に
薄いと十分な性能が得られず、必要以上に厚いと加工性
やスポット溶接性の低下を招いたり、コストが上昇した
りするので、総付着量は10〜 100g/m2程度とするのが望
ましい。
【0020】鋼板とめっき層の界面での残留歪は、層状
めっきとすることにより減少する。
【0021】これは異種の物質の皮膜が層状をなすこと
により、その界面で応力緩和が起こるためである。特
に、下層に延性のある柔らかい皮膜が存在する場合は、
応力緩和作用が大きい。しかし、それだけでは十分でな
いので、少なくとも最下層めっきの初期通電において、
次の〜の方法を採用すれば、鋼板とめっき層の界面
の残留歪みを単一めっき状態の残留歪みの50%以下とす
ることができる。
【0022】めっき目標電流値に到達するまでに7C
/dm2 以上の傾斜通電領域を有する方法 (図3(a)お
よび(b)参照)。
【0023】傾斜通電は図3(a)のようにステップ
状、図3(b)のように曲線状 (変曲点があってもよ
い) に上昇してもよく、或いは直線的に上昇してもよ
い。
【0024】20〜30C/dm2 の範囲中に1〜10秒の通
電休止時間を設ける方法(図4(a)および(b)参
照)。
【0025】通電休止時間は、図4(a)のように1回
でも、図4(b)のように2回でも、或いは3回以上設
けてもよい。通電休止時間を複数回とする場合は、その
合計の時間を1〜10秒の範囲内とする。
【0026】 200C/dm2 以下の範囲で通電時間に対
する通電休止時間が1/20〜1/50の比率のパルスとす
る方法 (図5参照) 上記〜の方法は、それぞれ単独で実施してもよく、
2つ以上の方法を組み合わせて実施してもよい。また、
これらの方法は最下層のめっきに限らず、2層目以降の
めっきに適用してもかまわない。
【0027】
【実施例】C: 0.002%、Si:0.01%、Mn:0.25%、
P: 0.011%、S: 0.012%、Sol.Al: 0.025%、Ti:
0.024%を含有する極低C−IF鋼(Interstitial Free
鋼) の鋼板 (板厚8mm)から、100 ×250 mmの大きさの試
料を複数枚切り出し、これらを溶剤洗浄してめっき母材
に供した。
【0028】次いで、これらのめっき母材の表面に1層
目は下記I)に示す条件で、2層目以降は下記II) に示す
条件でめっきを施し、表1に示す皮膜構成および皮膜組
成の複層めっき鋼板と単層めっき鋼板を作成した。な
お、表1の皮膜構成欄において、各元素の前に付した数
字はその元素の含有量(重量%)を意味し、めっき手法
欄の英文字は、Eは電気めっき法、Hは溶融めっき法、
Dは気相めっき法を意味する。
【0029】I)1層目のめっき条件 1)電気めっき法 上記めっき母材を焼鈍してから、Na2CO3+NaOH水溶液中
にて電解脱脂し、酸洗した後、下記の浴組成、電解条件
にて亜鉛めっきを行う。亜鉛系合金めっきは、同様のめ
っき浴に合金元素を、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、モリブ
デン酸塩、次亜りん酸塩、有機金属塩あるいは予め金属
を酸で溶解した状態で、狙いの組成となるように添加し
ためっき浴にて行う。
【0030】ZnSO4 ・7H2O: 200〜350g/l Na2SO4+(NH4)2SO4 :50〜100g/l pH: 1〜4 浴温:40〜65℃ 電流密度:40〜150A/dm2 液流速: 0.5〜3m/sec 2)溶融めっき法 溶融めっきシュミレーターを用いて、めっき母材を25%
H2+N2雰囲気中にて840℃の温度で30秒還元焼鈍した
後、Alを0.005 重量%超え 5.8重量%未満含有し、さら
に第3元素を適宣含有する亜鉛めっき浴で溶融めっきを
行う。
【0031】3)気相めっき法 10-2torrの真空度に保った真空室にZnを装入し、抵抗加
熱法により 510℃に加熱した後、焼鈍済のめっき母材に
真空蒸着を行う。亜鉛系合金めっきは、イオンプレーテ
ィング法により行う。10-5torrの真空度に保った真空室
に亜鉛と合金元素を別々に装入した坩堝を配し、電子ビ
ームガン (10〜30kw) を用い、所定の皮膜組成となるよ
うにそれぞれの坩堝に電子ビームガンを照射する配分を
調整して行う。
【0032】II) 2層目以降のめっき条件 4)電気めっき法 直下のめっき層を電気めっき法により形成したものは、
乾燥工程を入れずに水洗のみで電気めっきを行う。直下
のめっき層を溶融めっき法または気相めっき法により形
成したものは、その表面を活性化させるため、40〜120g
/lのNaOHを含む温度が60〜80℃の水溶液中に浸漬し、水
洗いしてアルカリを除去してから電気めっきを行う。電
気めっきにおける浴組成、電解条件は前記1)と同じで
ある。
【0033】5)気相めっき法 乾燥させてから真空室内でめっき皮膜の表面をスパッタ
或いはブラシ研磨し、表面を活性化させた後、真空蒸着
を行う。真空蒸着条件は前記3)と同じである。
【0034】このようにして得られた複層めっき鋼板お
よび単層めっき鋼板における塗装後の疵部耐食性、塗装
後の端面耐食性、皮膜層の初期接着性および接着耐久性
を以下に示す方法で評価した。
【0035】〔塗装後の疵部耐食性評価〕それぞれめっ
き後の鋼板から、70mm×150mm の試験片を切り出し、こ
の未加工の平板を脱脂剤 FC4336(日本パーカライジング
社製) で脱脂し、PZT(日本パーカライジング社製) で表
面調整した後、PB−L3080(日本パーカライジング社製)
を用いて化成処理を行い、次いで、厚さ20±1μm のエ
ポキシ系カチオン電着塗装(塗料U−80:日本パーカラ
イジング社製) を施した後、 175℃で25分間焼き付けて
試料を作成した。この試料の評価面側にカッタナイフで
鋼板素地に達するクロスカットを入れ、図6に示す湿潤
−冷凍−塩水噴霧−高温乾燥−冷凍を1サイクルとする
複合腐食試験を行った。腐食サイクル試験に際しては端
面をポリエステルテープでシールした。
【0036】評価は複合腐食試験60サイクル後のサンプ
ル数4枚の最大腐食深さの平均値を求め、下記の5段階
で行った。
【0037】◎:最大腐食深さの平均値が0.1mm 未満
○:同じく0.1mm 以上0.2mm 未満 △:同じく0.2mm 以上0.5mm 未満 ×:同じく0.
5mm 以上0.7mm 未満 ××:同じく0.7mm 以上 〔塗装後の端面耐食性評価〕それぞれのめっき鋼板を金
型により70mm×150mm のサイズの試験片にプレス打ち抜
きした。プレス打ち抜きでは試験片端面のカエリが板厚
の10%となるように金型のクリアランスを調整した。打
ち抜いた試験片に上記と同様の工程および条件でカチオ
ン電着塗装と焼き付けを行った後、自動車用メラミンア
ルキド系塗料の中塗り、焼き付け、メラミンアルキド系
塗料の上塗り、焼き付けを行って試料を作成した。中塗
りおよび上塗りの塗装膜厚は、乾燥膜厚でそれぞれ35±
3μmとした。こうして作成した試験片を図6に示す湿
潤−冷凍−塩水噴霧−高温乾燥−冷凍を1サイクルとす
る複合腐食試験に供した。
【0038】評価は複合腐食試験 120サイクル後のサン
プル数2枚の端面からの最大赤錆幅の平均値と塗膜最大
ブリスター幅の平均値をそれぞれ求め、下記の5段階で
行った。 (最大赤錆幅) ◎:最大赤錆幅の平均値が0.5mm 未満 ○:同じく0.
5mm 以上1mm未満 △:同じく1mm以上2mm未満 ×:同じく2
mm以上4mm未満 ××:同じく4mm以上 (最大ブリスター幅) ◎:最大ブリスター幅の平均値が1mm未満 ○:は同
じく1mm以上2mm未満 △:同じく2mm以上4mm未満 ×:同じく
4mm以上6mm未満 ××:同じく6mm以上 〔接着性評価〕作製しためっき鋼板から、幅25mm、長さ
100mm の供試材を2枚採取し、図7に示すように供試材
1および2を接着剤3を介してめっき面を重ね合わせ、
これを175℃の温度に30分加熱した後、乾燥して接着
し、単純重ね合わせ継ぎ手4(JIS−K6850 に準ずる) を
作製した。接着剤には、1液型エポキシ系アラルダイト
XB3062 (日本チバガイキー製) を用い、厚みが 100μm
となるように接着した。接着部は幅25mmである。
【0039】次いで、重ね合わせ継ぎ手を、リン酸塩化
成処理し、カチオン電着塗装してから剪断引張試験によ
り初期接着性を調査した。また、同様の重ね合わせ継ぎ
手を作成し、リン酸塩化成処理とカチオン電着塗装を行
った後、図6に示す湿潤−冷凍−塩水噴霧−高温乾燥−
冷凍を1サイクルとする複合腐食試験にかけ、10サイク
ル毎に重ね合わせ継ぎ手を取り出し、剪断引張試験によ
り接着耐久性を評価した。
【0040】引張疲労試験は、図8に示すように、恒温
室5内で重ね合わせ継ぎ手4の一端を固定用治具6で、
他端を引張用治具7で保持し、一定周期で矢印方向に引
張を繰り返す方法で行った。なお、前記リン酸塩化成処
理とカチオン電着塗装の目的は、非めっき面 (非接着
面) からの腐食による接着耐久性への悪影響を除くため
であって、これらの条件はカチオン電着塗装の膜厚を10
μm とした点を除いては、前記の塗装後の疵部耐食性評
価試験で採用した条件と同じである。剪断引張試験は重
ね合わせ継ぎ手を25℃の温度に保ち、引張り速度50mm/m
inで行った。
【0041】接着性の評価は、剥離面中の接着剤が凝集
破壊した部分の面積率を求め、下記の5段階で行った。
この値が大きいほど接着性に優れる。
【0042】◎ :剥離面中の接着剤が凝集破壊した部
分の面積率が 100% ○ :同じく 100%未満90%以上 △:同じく90%未
満70%以上 × :同じく70%未満50%以上 ××:同じく50%
未満 これらの評価結果を、表2(1)および(2)に付着量
比率、残留歪比率および表層3g/m2中のNi含有量ととも
に示す。
【0043】付着量比率および残留歪比率は、それぞれ
下記の式から算出したものである。
【0044】 付着量比率(%)=〔Znめっき層又はη単相のZn主合金
めっき層の総付着量〕/〔Ni含有量が7〜16重量%のZn
−Ni合金めっき層の総付着量〕 残留歪比率(%)=〔複層めっき状態の鋼板とめっき層
の界面での残留歪〕/〔単一めっき状態の鋼板とめっき
層の界面での残留歪〕 複層めっき状態および単一めっき状態における残留歪み
は、図2に示すように複層めっきならば複層めっきを、
単一めっきならば単一めっきを金属箔上にめっきし、め
っき後に認められる箔の変形(ソリ)量から全残留応力
を求め、有限要素法により求めた。また、最表層のNi含
有量は組成既知の標準サンプル(複数の組成)を真空中
で割り、断面オーガ(Auger)のピークより検査線を作成
し、その後、実施例と同じめっきサンプルを同じく断面
オーガにより測定し、検査線とのピーク強度比により組
成を求めた。
【0045】
【表1(1)】
【0046】
【表1(2)】
【0047】
【表2(1)】
【0048】
【表2(2)】
【0049】第2表から、本発明例の複層めっき鋼板は
いずれも耐食性、接着性に優れていることがわかる。
【0050】
【発明の効果】実施例に示す如く、本発明の複層めっき
鋼板は、比較的薄目付けでありながら高耐食性を有して
おり、益々過酷となる腐食環境化でも十分に通用する。
そして、この複層めっき鋼板は接着性にも優れているの
で、スポット溶接にかえて接着接合にて使用された場合
でも、接着初期の密着強度が高く、腐食による接着界面
の密着強度低下も小さい。無論、比較的薄目付けである
からスポット溶接性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はめっき組成の異なる2種のη単相のZn主
合金めっきと同じくめっき組成の異なる2種のZn−Ni合
金めっきをそれぞれ1層以上施した本発明の複層めっき
鋼板の皮膜構成例を示した図である。
【図2】図2は鋼板とめっき層との界面の残留歪みを示
す概念図である。
【図3】図3は本発明方法を実施する際の初期通電様式
の1例を示す図である。
【図4】図4は本発明方法を実施する際の初期通電様式
の他のの例を示す図である。
【図5】図5は本発明方法を実施する際の初期通電様式
の同じく他の例を示す図である。
【図6】図6は耐食性および接着性の評価試験で採用し
た複合腐食試験の工程と条件を示した説明図である。
【図7】図7は接着性の評価で用いた単純重ね合わせ継
ぎ手の形状を示す斜視図である。
【図8】図8は複合腐食試験における引張疲労試験の状
況を示す説明図である。
【符号の説明】
1および2は供試材、3は接着剤、4は単純重ね合わせ
継ぎ手、5は恒温室、6は固定治具、7は引張用治具で
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】鋼板の少なくとも片面に、Znめっき層また
    はη単相のZn主合金めっき層とNi含有量が7〜16重量%
    のZn−Ni合金めっき層をそれぞれ1層以上有する複層め
    っき鋼板であって、〔Znめっき層またはη単相のZn主合
    金めっき層の総付着量〕/〔Ni含有量が7〜16重量%の
    Zn−Ni合金めっき層の総付着量〕の比が2〜50、最表層
    から3g/m2のめっき層中におけるNi含有量が0.05〜0.45
    g/m2、鋼板とめっき層の界面での残留歪が単一めっき状
    態の残留歪の50%以下であることを特徴とする複層めっ
    き鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006336088A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Nippon Steel Corp 表面処理鋼材
JP5971431B2 (ja) * 2014-04-08 2016-08-17 新日鐵住金株式会社 めっき鋼板

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