JPH11350198A - 複合亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法 - Google Patents

複合亜鉛系合金めっき金属板およびその製造方法

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JPH11350198A
JPH11350198A JP10165291A JP16529198A JPH11350198A JP H11350198 A JPH11350198 A JP H11350198A JP 10165291 A JP10165291 A JP 10165291A JP 16529198 A JP16529198 A JP 16529198A JP H11350198 A JPH11350198 A JP H11350198A
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plating
plating film
composite zinc
based alloy
adhesion
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JP10165291A
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Kazuya Ishii
一也 石井
Masaya Kimoto
雅也 木本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、成形加工性、および低温耐衝撃性が
優れた複合亜鉛系合金めっき皮膜を備え、しかも密着性
が飛躍的に改善された表面処理金属板、およびその製造
方法を提供する。 【解決手段】 Znと、Co、Fe、Ni、Cr、Mn
の内の1種または2種以上とからなるZn系合金と高分
子有機物とを含有する付着量が5〜100g/m2 であ
る複合亜鉛系合金めっき皮膜と母材金属板との界面に、
Zn、Co、Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種または
2種以上からなる付着量が0.1〜5g/m2 の下地め
っき層を備えた金属板。および、母材に下地めっきを施
した後複合亜鉛系合金めっきを施す製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電製
品、建材等の材料として好適な、めっき皮膜中に亜鉛系
合金とともに高分子有機物を電析させた複合亜鉛系合金
めっき皮膜を有する複合亜鉛系合金めっき金属板に関す
る。さらに詳しくは、めっき皮膜の密着性が著しく改善
された複合亜鉛系合金めっき金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品、建材等の多様な分野
で各種の表面処理金属板、特に表面処理鋼板が使用され
ている。その使用量の増大に伴い、これら表面処理鋼板
に対する防錆能力向上の要求が高まっている。
【0003】自動車用表面処理鋼板には、無塗装状態で
の耐食性(以下、単に「裸耐食性」とも記す)に優れ、
塗装後の塗膜の密着性が良好で、塗膜の疵付き部や切断
端面などでの耐食性(塗装後耐食性)、さらには、低温
環境下で石跳ねなどによる衝撃負荷が塗装面に作用して
もめっき皮膜が剥離しにくい性質である耐低温衝撃性も
求められる。これらの性能に加えて、加工時にめっき皮
膜が金型に焼き付かないことや、パウダリングなどのめ
っき皮膜の剥離が生じないことなどのめっき皮膜の加工
性も重要とされる。
【0004】最も一般的な防錆鋼板は亜鉛めっき鋼板で
あるが、その耐食性を改善するために、ZnとFe、N
i、Co、Mn、Cr、Al等の少なくとも1種の金属
からなる合金をめっきした亜鉛系合金めっき鋼板が提案
されている。さらに、2層以上のめっき層を有する複層
亜鉛系めっき鋼板も提案されている。
【0005】例えば、特開昭60−215789号公報
には、付着量が10〜300g/m2 の亜鉛めっき層を
下層に、NiおよびCoの内のいずれか一方または両方
を15〜30重量%含有し、付着量が1〜20g/m2
である亜鉛系合金めっき層を上層部に配した複層めっき
鋼板が記載されている。
【0006】しかしながら、これらの亜鉛系合金めっき
鋼板や複層めっき鋼板であっても、現在求められている
高度の高耐食性能、めっき皮膜の加工性、あるいは経済
的で効率的な生産などの要求を総合して満たすことがで
きない。例えば、上述の複層めっき鋼板では、所望の耐
食性を得るには下層めっき厚を厚目付にする必要があ
り、成形加工性、スポット溶接性、耐低温衝撃性などの
問題が生じる。
【0007】特開平7−70796号公報において本発
明者らの内の一人は、めっき皮膜の表層部に炭素濃化層
を有する、Fe、CoおよびNiから選ばれた1種また
は2種以上の金属とZnとからなる複合亜鉛合金めっき
皮膜を備えた金属板を開示した。
【0008】特開平8−209382号公報には、グル
コースの重合体であるデキストリンおよび/またはデキ
ストラン(以下、単に「デキストリン等」と記す)を含
む亜鉛系めっき浴を用いて電気めっきすることにより、
めっき皮膜中にこれらの高分子有機物を共析させ、めっ
き皮膜のη相の配向性を変えることで耐食性、加工性等
を改善させた亜鉛系電気めっき鋼板の製造方法が開示さ
れている。これらの金属板は、各種の耐食性とともにス
ポット溶接性や耐低温衝撃性も良好であり、自動車車体
用などの要求性能が厳しい用途に適した表面処理鋼板と
して期待されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究結果
によれば、デキストリン等の高分子有機物を溶解した亜
鉛系合金めっき浴を用いて電気めっきした鋼板の密着性
が、厳しい加工を施される場合に、必ずしも十分ではな
い場合があることが判明した。本発明が解決しようとす
る課題は、上述の問題点を解決し、耐食性、成形加工
性、および低温耐衝撃性が優れた複合亜鉛系合金めっき
皮膜を備え、しかも密着性が飛躍的に改善された表面処
理金属板、およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、亜鉛系合
金めっき浴に高分子有機物を含有させためっき浴を用い
て電析させて得ためっき皮膜(以下、単に「複合亜鉛系
合金めっき皮膜」と記す)の母材界面での密着性を向上
させるための研究をおこなった結果、以下に述べるよう
な新たな知見を得た。
【0011】複合亜鉛系合金めっき皮膜の密着性が好ま
しくない場合の母材表面を子細に調査した結果、前処理
後の母材表面に深さが数十〜数百nmオーダーの極めて
微小な凹み部が多数認められ、複合亜鉛系合金めっき浴
を用いる場合のめっき皮膜の密着性劣化は、上記のよう
な凹み部へのめっきのつきまわり性がよくないことが原
因と推察された。
【0012】上述の母材表面の形態変化は、めっきの前
処理として施される脱脂や酸洗などに付随して発生する
ことが多い。例えば、前処理時に使用される酸液が劣化
し、母材アノード溶解を生じさせる酸液中不純物、例え
ば、Fe3+、Pb2+、Ni2+、Cu2+などの金属イオン
などが増加し、母材表面に局部的で極めて微小な溶解に
よる凹み部を生じるのであろうと推察された。
【0013】母材表面に同様の凹み部が認められても、
高分子有機物を含有しないめっき浴を用いた場合には、
得られるめっき皮膜の密着性は良好である。母材表面
に、下地めっき層として高分子有機物を含有しないめっ
き皮膜を設けることで、前処理条件などに影響されない
安定して良好な密着性を有する複合亜鉛系合金めっき皮
膜を有する鋼板が得られる。
【0014】下地めっき層のめっき付着量は、その上層
にめっきされる複合亜鉛系合金めっき皮膜(以下、単に
「上部めっき皮膜」とも記す)の密着性が確保できる範
囲で少なくするのがよい。一般に、めっき付着量が多く
なるほどめっき皮膜の密着性が損なわれるからである。
【0015】本発明は、これらの新たに得られた知見に
基づいて完成されたもので、その要旨は下記(1)に記
載の複合亜鉛系合金めっき金属板および(2)に記載の
その製造方法にある。
【0016】(1)Znと、Co、Fe、Ni、Cr、
Mnの内の1種または2種以上とからなるZn系合金
と、高分子有機物とを含有する付着量が5〜100g/
2 である複合亜鉛系合金めっき皮膜を備える複合亜鉛
系合金めっき金属板であって、該複合亜鉛系合金めっき
皮膜と母材金属板との界面に、Zn、Co、Fe、N
i、Cr、Mnの内の少なくとも1種または2種以上か
らなる付着量が0.1〜5g/m2 の下地めっき層を備
えたことを特徴とする複合亜鉛系合金めっき金属板。
【0017】(2)母材の少なくとも片面に、Zn、C
o、Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種または2種以上
の金属イオンを含有する電気めっき浴を用いて付着量が
0.1〜5g/m2 の電気めっきを施した後、Znイオ
ンおよびCo、Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種また
は2種以上の金属イオンと、高分子有機物とを含有する
電気めっき浴を用いて付着量が5〜100g/m2 の電
気めっきを施すことを特徴とする上記(1)に記載の複
合亜鉛系合金めっき金属板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳述する。なお、以下の化学組成を表す%表示は重量
%を表す。
【0019】めっき母材としては、公知の絞り用鋼板や
高張力鋼板等の冷延鋼板を用いるのが好ましいが、これ
に限定する必要はなく、自動車車体の軽量化のために使
用されることがあるアルミニウム板など、使用目的、使
用部位に応じて任意の金属板を母材として使用できる。
【0020】下地めっき層は、前処理段階で母材表面に
生じる微小な凹み部を埋め、母材表面を滑らかに覆う。
これにより上部めっき皮膜の密着性を向上させることが
できる。
【0021】下地めっき層は、Zn、Co、Fe、N
i、Cr、Mnの内の1種、または2種以上、残部は不
可避的不純物からなる。これらの金属は母材金属板にめ
っきした際の密着性にすぐれ、さらにその上部に設けら
れるめっき皮膜との密着性にも優れる性質を有する。下
地めっきの金属としては、中でも、亜鉛が、取り扱い性
が良好で安価であるので好ましいめっき種である。
【0022】下地めっき層の付着量は0.1g/m2
上とする。付着量がこれに満たない場合には、母材表面
に生じる微小な凹み部を覆い尽くすことができないので
上部めっき皮膜の密着性改善効果が不十分である。好ま
しくは、0.3g/m2 以上である。
【0023】下地めっき層の付着量は、上部めっき皮膜
の密着性を確保できる範囲内で少ないほどよい。めっき
金属板としての耐食性は、複合亜鉛系合金めっき皮膜に
より確保されるので、下地めっき層の付着量は、耐食性
の観点からは薄くても構わない。他方、鋼板を加工した
際のめっき皮膜の耐剥離性や溶接性はめっき皮膜の総付
着量によって影響され、総付着量が増すほどこれらの性
質が損なわれる。また、下地めっき層の厚さが厚くなる
と製造コストが高くなり経済性を損なう。これらの理由
から本発明での下地めっき層の付着量は5g/m2 以下
とする。好ましくは2g/m2 以下、より好ましくは1
g/m2 以下である。
【0024】上部めっき皮膜は、亜鉛系合金と高分子有
機物を含有する複合亜鉛合金めっき皮膜である。Zn以
外の金属元素(以下、単に「合金元素」とも記す)とし
ては、無塗装での耐食性(耐穴明き性)を良好に保つた
めに、Co、Fe、Ni、Cr、Mnの内のいずれか、
または2種以上を合計で、上部めっき皮膜の重量に対し
て0.01〜10%含有させるのがよい。合金元素の含
有量が0.01%に満たない場合には裸耐食性改善効果
が弱く、合金元素の含有量が10%を超えると耐食性改
善効果が飽和するので10%を超えて含有させるのは経
済性を損なうからである。経済性と性能の両面から、よ
り好ましくは0.4 〜2%の範囲とするのがよい。合金元
素としては、少量で耐食性改善効果が発揮されるのでC
oを用いるのがより好ましい。
【0025】上部めっき皮膜に含有される高分子有機物
は、アミロペクチンやデキストリン等が金属元素と共に
めっき皮膜中に共析されたものである。亜鉛系合金めっ
き皮膜中にこのような高分子有機物を共析させること
で、亜鉛めっき皮膜に固有の優れた塗装後端面耐食性を
保持しながら、亜鉛めっき皮膜に比べて裸耐食性を著し
く向上させ、さらに塗装性や耐低温衝撃性も改善するこ
とができる。
【0026】めっき皮膜中に共析される高分子有機物の
含有量は、上部めっき皮膜の耐食性や加工を確保するた
めに、上部めっき皮膜の重量に対して0.01〜10%
含有させるのがよい。含有量が0.01%に満たない場
合には、裸耐食性の改善効果が不十分である。含有量が
10%を超えると、めっき作業が困難で製造しにくいう
えに耐食性も損なわれるので好ましくない。耐食性と経
済性の面から、その含有量の好ましい範囲は0.1〜1
0%、より好ましい範囲は0.3〜5%である。
【0027】上部めっき皮膜の付着量は、片面当たり5
〜100g/m2 とする。付着量が5g/m2 に満たな
い場合には、裸耐食性が不十分である。100g/m2
を超えると、裸耐食性が飽和するうえ、めっき皮膜の加
工性やスポット溶接性にも問題が生じるほか、経済性に
も欠ける。このため、めっきの付着量は5〜100g/
2 の範囲とする。これらの皮膜特性と需要家での使い
勝手、経済性などからめっきの付着量は5〜60g/m
2 の範囲が好ましい。
【0028】めっき皮膜中の高分子有機物の含有量は、
5%硫酸でめっき皮膜を溶解し、溶液中の高分子有機物
をグルコースに分解した後フェノール硫酸法によりグル
コース量を定量して測定される。分子量は、不活性の架
橋ポリマー・ゲルを充填したカラムで分析する液クロマ
トグラフィーの1種であるゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー法で測定した平均分子量を指標に用いる。
【0029】本発明の複合亜鉛系合金めっき金属板は以
下の方法で製造するのがよい。めっき母材はめっきに先
立って脱脂、酸洗、ブラッシング等の公知の方法で前処
理をおこない、母材の金属表面を活性化しておくのがよ
い。
【0030】下地めっき層のめっき方法は特に限定する
ものではないが、上部めっき皮膜のめっき方法と同様の
電気めっき方法でおこなうのが好適である。この方法で
あればめっき付着量の制御も容易であるのでよい。特
に、公知の連続式電気めっき設備を用いてめっきする場
合であれば、最初の電気めっき槽を下地めっき層として
使用できるので好適である。めっき条件は特に限定する
必要はなく、めっき付着量を所定の範囲に管理する以外
は通常行われている条件であればよい。
【0031】上部めっき皮膜をめっきする際の電気亜鉛
めっき浴は酸性浴(例えば、硫酸塩浴、塩化物浴等)と
アルカリ性浴(例えば、シアン化物浴等)の何れでも可
能であるが、酸性浴、特に硫酸塩浴を用いるのが好まし
い。
【0032】めっき浴には、亜鉛イオンに加えて、C
o、Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種または2種以上
の金属イオンを、めっき皮膜中に0.01〜10%(2
種以上である場合は合計で)含有させるのに必要な量含
有させる。めっき浴に含有させるZnまたはこれらの合
金元素は、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、モリブデン酸塩、
次亜リン酸塩、あるいは、有機金属塩等の形態で、目標
の組成となるように添加すればよい。
【0033】めっき浴に含有させる高分子有機物として
は、でんぷんの構成要素であるアミロペクチンや、でん
ぷんを加水分解して得られる種々の重合度の分解生成物
が混合した多糖類であるデキストリン等が溶解性に優れ
るので好ましい。
【0034】高分子有機物の分子量は特に限定するもの
ではないが、めっき皮膜の裸耐食性を確保するために平
均分子量で103 以上とするのがよい。高分子有機物
は、その分子量が増すにつれてめっき浴への溶解性が損
なわれるので平均分子量で108 以下のものが好まし
い。さらに好ましくは107 以下である。これらの高分
子有機物はそのままめっき浴に投入してもよいが、めっ
き浴への溶解時間を短縮するために高分子有機物をスラ
リー状にして添加するのがなおよい。
【0035】本発明の複合亜鉛系合金めっき金属板は、
自動車用以外に家電製品や建材などにも有用である。本
発明の複合亜鉛系合金めっき金属板は、めっきのままで
上記のような各種の用途に使用できるが、用途や使用環
境によっては、複合亜鉛合金めっき皮膜の上に、さら
に、通常施されることがある、例えば、クロメート処
理、有機薄膜皮膜(例えば、膜厚2μ以下のエポキシ樹
脂系被覆)などを施しても構わない。また、このめっき
皮膜は、用途および必要な防錆性に応じて母材の片面の
みに施してもよいし、両面に施してもよい。
【0036】
【実施例】(本発明例)下記の組成のめっき浴を用い
て、JIS−G−3141に規定される厚さ0.8mm
の冷延鋼板(SPCC)の表面を脱脂し、50℃の8%
硫酸溶液中で電流密度8アンペア/dm2 で電気分解し
つつ2秒間酸洗した後、下地めっきとしてZnめっき、
Zn−Niめっき、またはZn−Coめっきを施した。
用いためっき浴組成は下記に示す。めっき条件はいずれ
も、めっき浴温度:50±2℃、電流密度:60A/d
2 、めっき液の流速:1m/秒であった。得られた下
地めっき層の化学組成は、Znおよび不可避的不純物、
下地めっき層の重量に対してNi:13%、残りZnお
よび不可避的不純物、またはCo:1.0%、残りZn
および不可避的不純物であった。
【0037】下地めっき用Znめっき浴組成; ZnSO4 ・7H2 O:430g/リットル、 Na2 SO4 :75g/リットル、 pH :1.8。
【0038】下地めっき用Zn−Niめっき浴組成; ZnSO4 ・7H2 O:100g/リットル、 NiSO4 ・6H2 O:270g/リットル、 Na2 SO4 :75g/リットル、 pH :1.8。
【0039】下地めっき用Zn−Coめっき浴組成; ZnSO4 ・7H2 O:430g/リットル、 CoSO4 ・7H2 O:73.8g/リットル、 Na2 SO4 :75g/リットル、 pH :1.8。
【0040】これらの下地めっき層の上に、上部めっき
皮膜として、平均分子量が104 であるデキストリンを
溶解した下記のZn−Coめっき浴を用いて、付着量が
30g/m2 の複合亜鉛系合金めっきを施した。めっき
条件は、めっき浴温度:50±2℃、電流密度:60A
/dm2 、めっき液の流速:1m/秒であった。得られ
た上部めっき皮膜の化学組成は、上部めっき皮膜の重量
に対してCo:1.0%、高分子有機物:2.0%、
残、Znおよび不可避的不純物であった。
【0041】上部めっき用Zn−Co−デキストリンめ
っき浴組成; ZnSO4 ・7H2 O:430g/リットル、 CoSO4 ・7H2 O:73.8g/リットル、 Na2 SO4 :75g/リットル、 デキストリン :7g/リットル、 pH :1.8。
【0042】(比較例)実施例1で使用したのと同一の
冷延鋼板に同様の前処理を施し、下地めっきを施さない
で、実施例1に記載したのと同様のめっき浴を用いて、
付着量が30g/m2 であるZnめっき、Zn−Coめ
っき、またはデキストリンを共析させたZn−Coめっ
き(表1ではZn−Co−Dと表示した)を直接めっき
して3種類のサンプルを作製した。
【0043】また、下地めっき層として、付着量以外は
実施例1に記載したのと同様の条件でZnめっき施し、
上部めっき皮膜を、付着量以外は実施例1に記載したの
と同様の条件でデキストリンを共析させたZn−Coめ
っき皮膜を施した。
【0044】このようにして得られたサンプルについ
て、以下に記す方法で、めっき皮膜の密着性、無塗装の
試験片の耐穴明き性(裸耐食性)、塗装後の試験片の疵
付き部と端面の耐食性を評価した。
【0045】めっき皮膜の密着性:めっき鋼板から直径
90mmの円板を採取し、外径50mm、深さ28mm
の円筒に深絞り成形し、その側壁面に浮いためっき皮膜
を粘着テープで剥離させ、剥離片の付着しているテープ
面積率を目視観察し、剥離片の面積率が10%未満を合
格とし、下記の区分で評価した。
【0046】 ◎:全く剥離なし、 ○:10%未満で剥離、 △:10%以上、50%未満、 ×:50%以上。
【0047】裸耐食性:下記の腐食サイクル試験を30
サイクル実施後、腐食生成物を除去して最大腐食深さを
測定し、0.4mm未満を合格として下記の段階に区分
して評価した。
【0048】腐食サイクル:[塩水噴霧(5%−NaC
l、35℃、7時間)→乾燥(50℃、2時間)→湿潤
(RH85%、50℃、15時間)] ◎:0.2mm未満、 ○:0.2mm以上、0.4mm未満、 △:0.4mm以上、0.6mm以下、 ×:0.6mm超。
【0049】塗装後疵付き部の耐食性:70mm×15
0mmの大きさの試験片を切り出し、表面を脱脂し、燐
酸亜鉛系の化成処理を施した後、市販のカチオン電着塗
料を塗装して175℃で25分間焼付けた。その後、自
動車用アルキッド系塗料の中塗り(厚さ40μm)、焼
付け、メラミン・ポリエステル系塗料の上塗り(厚さ4
0μm)、焼付けを施した。この試験片の評価面(塗装
面)に鋼板素地に達する切り目(クロスカット)をナイ
フで設けた後、上述の腐食サイクル試験を30サイクル
おこない、試験終了後のクロスカット部の膨れ幅を測定
し、1mm未満を合格として下記の基準で評価した。
【0050】 ◎:0.5mm未満、 ○:0.5mm以上、1mm未満、 △:1mm以上、2mm未満、 ×:2mm以上、3mm未満、 ××:3mm以上。
【0051】塗装後端面耐食性:70mm×150mm
の大きさの試験片の端面かえりが板厚の10%となるよ
うに金型のクリアランスを調整してプレス打抜きをおこ
ない、打抜いた試験片を、上記塗装後疵付き部の耐食性
評価と同様の処理を施して同様の塗装をおこない試験片
を作製した。この試験片を上述の腐食サイクル試験に供
し、60サイクル実施後、端面の赤錆発生面積率が5%
以下の場合を合格として下記の区分で評価した。
【0052】 ◎:赤錆発生なし、 ○:5%以下で発生、 △:5%超え、10%以下、 ×:10%超え、30%以下。 それぞれの試験片のめっき皮膜の構成と性能評価結果を
表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】表1の性能評価結果からわかるように、本
発明が規定する条件を満たす試験番号1〜5の鋼板は、
めっき皮膜の密着性に優れるうえ耐食性も良好であっ
た。これに対し、めっき母材表面に直接Znめっきまた
はZn−Coめっきを施した試験番号6および7は、め
っき皮膜の密着性は良好であったが裸耐食性がよくなか
った。下地めっきを施さないで母材表面に直接デキスト
リンを共析させたZn−Coめっき皮膜を設けた試験番
号8は、めっき皮膜の密着性がよくなかった。下地めっ
き層の付着量が本発明が規定する下限値に満たなかった
試験番号9、11、および12も密着性がよくなかっ
た。また、上部めっき皮膜の付着量が本発明が規定する
範囲に満たなかった試験番号9および10の耐食性はよ
くなかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の複合亜鉛系合金めっき鋼板は自
動車車体用の材料に必要とされる各種の耐食性に優れる
うえ、成形加工時のめっき皮膜の密着性が良好であるの
で、耐食性が要求される加工部品用の素材として好適で
ある。また、本発明の複合亜鉛系合金めっき鋼板は、母
材表面に薄い下地めっき層を設けるものであるので公知
の製造設備を用いて容易に製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Znと、Co、Fe、Ni、Cr、Mn
    の内の1種または2種以上とからなるZn系合金と高分
    子有機物とを含有する付着量が5〜100g/m2 であ
    る複合亜鉛系合金めっき皮膜を備える複合亜鉛系合金め
    っき金属板であって、該複合亜鉛系合金めっき皮膜と母
    材金属板との界面に、Zn、Co、Fe、Ni、Cr、
    Mnの内の1種または2種以上からなる付着量が0.1
    〜5g/m2 の下地めっき層を備えたことを特徴とする
    複合亜鉛系合金めっき金属板。
  2. 【請求項2】 母材の少なくとも片面に、Zn、Co、
    Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種または2種以上の金
    属イオンを含有する電気めっき浴を用いて付着量が0.
    1〜5g/m2 の電気めっきを施した後、Znイオンお
    よびCo、Fe、Ni、Cr、Mnの内の1種または2
    種以上の金属イオンと、高分子有機物とを含有する電気
    めっき浴を用いて付着量が5〜100g/m2 の電気め
    っきを施すことを特徴とする請求項1に記載の複合亜鉛
    系合金めっき金属板の製造方法。
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