JPH07292452A - 耐皮膜破壊性に優れた合金化処理亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

耐皮膜破壊性に優れた合金化処理亜鉛めっき鋼板

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JPH07292452A
JPH07292452A JP8836894A JP8836894A JPH07292452A JP H07292452 A JPH07292452 A JP H07292452A JP 8836894 A JP8836894 A JP 8836894A JP 8836894 A JP8836894 A JP 8836894A JP H07292452 A JPH07292452 A JP H07292452A
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吉隆 足立
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Abstract

(57)【要約】 【構成】鋼板の少なくとも片面に、めっき付着量が20〜
90g/m2、めっき皮膜中の平均Al含有率が 0.1〜0.8 重量
%で、かつ、下記 (1)式および (2)式を満足するような
めっき皮膜を有する合金化処理亜鉛めっき鋼板。 0.01≦Γ相厚/全皮膜厚(片面当たり)≦0.4 ・・・(1) 0.001≦Γ1 相厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)≦0.5 ・・・(2) 【効果】良好な加工性(耐パウダリング性)を有すると
ともに、塗装鋼板用母材に適用した場合の剪断加工性
や、衝撃に対する皮膜密着性などにも優れており、自動
車車体用を始め、種々の塗装鋼板用の素材として好適で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合金化処理亜鉛めっき
鋼板、特に、種々の形状に成形加工することが可能で、
かつ塗装後の耐低温チッピング性にも優れた合金化処理
亜鉛めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき鋼板を熱処理してめっき
皮膜全体をFe−Zn合金としたいわゆる合金化処理亜鉛め
っき鋼板(以下、GA鋼板という)は、耐食性、塗装性
および溶接性が優れていることから、自動車、家庭電気
器具、建材等の分野で広く使用されている。
【0003】自動車車体用の素材として使用されるGA
鋼板は、プレス加工により、曲げ・曲げ戻し変形、摺動
変形、縮み変形等、種々の形状への成形加工が加えられ
る。
【0004】合金化処理を施すことにより得られるめっ
き皮膜はFeとZnの金属間化合物で構成されており、加工
に対する変形能が小さく、加工性、成形性に劣るという
問題がある。更に、GA鋼板が苛酷な腐食環境下で使用
されることを考慮すると、めっき付着量を増加させるこ
とが必要となるが、めっき付着量の増大はGA鋼板の加
工性、成形性を損なわせる方向に働く。
【0005】一方、寒冷地域でみられる自動車走行中の
石跳ねによるめっき皮膜の剥離現象がある。めっき皮膜
の上に塗布された塗膜は低温になると変形能が小さくな
るとともに、弾性力の増加によって縮もうとする力が大
きくなり、めっき皮膜に大きな圧縮応力が働く。そのた
め、塗装されためっき鋼板の表面に石跳ね等の衝撃が加
わると、塗膜からめっき皮膜、さらにはめっき皮膜と鋼
板の界面にまで亀裂が入り、めっき皮膜を剥離する剪断
応力が働いて皮膜の剥離が生じる(低温チッピング現
象)。また、この衝撃でめっき基板である鋼板にまで変
形が及ぶ場合、変形能の小さいめっき皮膜が、さらに変
形能の小さい塗膜に拘束されて鋼板の変形に追随でき
ず、皮膜は剥離する。いずれにせよ、めっき皮膜の剥離
は耐食性の低下につながるので、低温チッピング現象が
生じるということは寒冷地域でのGA鋼板の使用にとっ
て大きな支障となる。
【0006】加工性、成形性に優れたGA鋼板およびそ
の製造方法に関してはこれまでに多くの提案があり、例
えば、特開平1−68456 号公報では、地鉄界面のΓ(Fe3
Zn10)相の厚みが 0.1μm以下で、残部がδ1 相からな
るめっき層を有する耐パウダリング性および耐フレーキ
ング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が提案されて
いる。しかし、この鋼板の加工性は良好であるとはいう
もののまだ十分とはいえず、また、このような皮膜構成
のめっき層を有する鋼板を現在の合金化処理設備で製造
するためには低温で長時間加熱することが必要であっ
て、生産性に劣るという欠点もある。
【0007】また、剪断応力に対するめっき皮膜の密着
性に関しては、本出願人は、Γ相の厚みを 0.2μm以上
とすることにより良好な密着性を有する合金化処理亜鉛
めっき鋼板が得られることを示した(特開昭58−130265
号公報)。めっき皮膜の密着力を向上させることは、自
動車車体パネルの接合等に接着剤が用いられる趨勢にあ
ることからみて今後一層重要な課題になると考えられ
る。
【0008】一般に、Γ相はGA鋼板のめっき皮膜のパ
ウダリングを促進し、加工性を低下させる傾向がある。
これは、Γ(Fe3Zn10)相の成長に伴ってΓ1(Fe5Zn21)相
も厚くなり、耐パウダリング性を劣化させることによる
もので、従来から、溶融亜鉛めっき後の合金化処理にお
いてはΓ相の成長を抑制することに関心が向けられてき
た。しかし、上記(特開昭58−130265号公報)のよう
に、剪断応力に対するめっき皮膜の密着性を高めるには
Γ相を厚く成長させることが必要で、そのため、耐パウ
ダリング性と剪断応力に対する密着性のいずれにも優れ
たGA鋼板を得ることはできなかった。
【0009】曲げ・曲げ戻し変形、摺動変形、縮み変形
など種々の形状への成形加工や、自動車車体などの製品
に組み込まれた後の使用環境下における種々の衝撃(例
えば、寒冷地域における自動車走行中の石跳ね)あるい
は剪断加工など、種々の加工、衝撃に対しても耐え得る
めっき皮膜を有するGA鋼板の開発が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたもので、その課題は、良好な加工
性(耐パウダリング性)を有するとともに、塗装鋼板用
母材に適用した場合の剪断加工性や、自動車車体パネル
として用いた場合の寒冷地における石跳ね等の衝撃に対
する皮膜密着性にも優れためっき皮膜を有するGA鋼板
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために種々検討を行った結果、例えば、プ
レス加工による曲げ・曲げ戻し変形、摺動変形、縮み変
形等でパウダリングが生じる場合、Γ1 相の内部あるい
はΓ1 相とΓ相の界面近傍でクラックが発生しているこ
とを確認した。これはΓ1 相内に存在する転位や双晶欠
陥に応力集中が起こったためと考えられる。
【0012】一方、GA鋼板の接合に接着剤を用いた場
合に生じる接着剪断破壊や、塗装を施しためっき鋼板に
対する衝撃に起因して発生する低温チッピング(前記の
ように、衝撃によりめっき皮膜を剥離する剪断応力が働
く)、あるいは、GA鋼板に硬質塗膜が塗布された塗装
鋼板の剪断加工時に起こるシャーリング破壊(めっき皮
膜を含む剥離=エナメルヘアー)では、Γ相と母材鋼板
の界面で破壊が起こる。これは、剪断応力に対しては、
Γ相と母材鋼板の界面が最も弱いことを示すものであ
る。Γ相を成長させることによりΓ相と母材鋼板の界面
の凹凸が増加して、剪断接着強度が向上することが判明
しており、一般的にはめっき皮膜のFeの含有量を高くす
ればΓ相と母材鋼板の界面の密着性を高めることができ
る。しかしながら、Γ相が厚く成長すると、Γ1 相もそ
れに伴って厚くなり、耐パウダリング性が低下する。
【0013】従って、GA鋼板に外から加えられる力に
対してめっき皮膜内に生じる曲げ応力、剪断応力など、
どのような応力に対しても耐え得る皮膜を得るために
は、Γ相およびΓ1 相の厚みを規定し、加工性(耐パウ
ダリング性)と皮膜密着性のバランスのとれためっき皮
膜を合金化処理によって鋼板表面に形成させることが必
要である。
【0014】本発明は、このような方針のもとに検討を
重ねた結果なされたもので、その要旨は、下記のGA鋼
板(合金化処理亜鉛めっき鋼板)にある。
【0015】鋼板の少なくとも片面に、めっき付着量が
20〜90g/m2、めっき皮膜中の平均Al含有率が 0.1〜0.8
重量%で、かつ、全めっき皮膜厚に占めるΓ相の平均厚
み比が下記 (1)式を満足し、Γ相とΓ1 相を合わせた平
均厚みに対するΓ1 相の平均厚み比が下記 (2)式を満足
することを特徴とする耐皮膜破壊性に優れた合金化処理
亜鉛めっき鋼板。
【0016】 0.01≦Γ相厚/全皮膜厚(片面当たり)≦0.4 ・・・(1) 0.001≦Γ1 相厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)≦0.5 ・・・(2) ここで言う耐皮膜破壊性とは、例えば、めっき鋼板にプ
レス加工による曲げ・曲げ戻し変形、摺動変形、縮み変
形等の加工を加えた場合に生じる皮膜破壊(パウダリン
グ)や、接着剪断破壊、低温チッピング、シャーリング
破壊(エナメルヘアー)など、種々の形態の皮膜破壊に
対する耐性を意味する。
【0017】
【作用】以下に、本発明の構成要件およびその作用効果
について説明する。
【0018】本発明の基本思想は、Γ相を極力成長させ
て鋼板とΓ相の界面に凹凸を形成させ剪断接着強度の向
上を図るとともに、パウダリング等の原因となりやすい
Γ1相の成長を抑制することにある。
【0019】めっき付着量を片面当たり20〜90g/m2とす
るのは、20g/m2未満ではGA鋼板の本来の目的である防
食能が劣り、一方、90g/m2を超えると、めっき皮膜の構
成が本発明で定める条件を満たしても、耐皮膜破壊性が
十分確保されないからである。なお、GA鋼板の使用環
境の腐食性がそれほど強くなければ、めっき付着量が20
g/m2未満であっても何ら問題はない。また、耐皮膜破壊
性の観点からは、めっき付着量の上限を70g/m2とするの
が望ましい。
【0020】めっき皮膜中の平均Al含有率については、
高いほど望ましい皮膜構成となるが、 0.8重量%を超え
るとその効果が飽和し、また、GA鋼板製造時の合金化
時間が長くなってラインスピードが低下し、製造コスト
が上昇する他、鋼板表面へのドロスの付着等の問題が生
じる。一方、Al含有率が 0.1重量%未満では望ましい皮
膜構成を得ることができない。従って、めっき皮膜中の
平均Al含有率は 0.1〜0.8 重量%、望ましくは、0.15〜
0.5 重量%とする。
【0021】図1は、C:0.003%、Si:0.019%、Mn:0.
32%、P:0.04%、Ti:0.01%、S:0.004%、N:0.002
%、sol.Al:0.04%(「%」はいずれも「重量%」を意
味する)、残部Feからなる冷延鋼板(板厚 0.8mm、板幅
120mm)をめっき母材として、種々の条件で溶融亜鉛め
っきおよび合金化処理を行い、めっき付着量を50〜60g/
m2としたGA鋼板について、後述する実施例で用いた方
法によりパウダリング性、シャーリング性および低温チ
ッピング性を調査した結果を整理して図示したものであ
る。図中の○印、△印および×印は、それぞれ以下の状
態であることを表す。
【0022】パウダリング性については、 ○印:加工部単位面積当たりの剥離量/全付着量が 0.2以下 △印: 〃 0.2超え 0.5以下 ×印: 〃 0.5超え シャーリング性については ○印:切断端面の剥離長さが 0.2mm以下 △印: 〃 0.2mm超え 0.5mm以下 ×印: 〃 0.5mm超え 低温チッピング性については ○印:平均めっき剥離径が2mm以下 △印: 〃 2mm超え4mm以下 ×印: 〃 4mm超え 図1に示されるように、Γ相厚/全皮膜厚(片面当た
り)が0.01〜0.4 、Γ1相厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)が
0.001〜0.5 の範囲(図中の実線で囲んだ範囲)内にあ
れば、パウダリング性、シャーリング性および低温チッ
ピング性のいずれも良好で、耐皮膜破壊性に優れためっ
き皮膜が得られる。
【0023】Γ相の厚みがめっき皮膜全体の厚み(片面
当たり)の1%未満では、Γ相と母材鋼板の界面に凹凸
形成がされず、剪断接着強度は低く、そのため、図1に
も示されるように、シャーリング性および低温チッピン
グ性が不良となる。Γ相厚の上限は剪断接着強度の劣化
によって限定されることはないが、Γ相厚の増加に伴う
Γ1 相厚の増大によって限定され、Γ相厚が全めっき皮
膜厚の40%を超えると望ましいΓ1 相厚とはならない。
しかし、ある一定厚以上にΓ相が成長し、全めっき皮膜
厚に対するΓ相厚の割合が 0.5以上になった場合は、相
対的にΓ1 相厚が小さくなって全めっき皮膜厚に対する
Γ1 相厚の割合が 0.5以下となるので、Γ1 相厚/(Γ
1 相厚+Γ相厚)≦ 0.5となり、どのような加工ないし
は衝撃に対しても良好なめっき皮膜となる。しかし、皮
膜中のFe濃度が上昇し、GA鋼板の本来の目的である耐
食性に問題が生じることになる。従って、Γ相厚の全め
っき皮膜厚に対する比は、前記 (1)式で規定される範
囲、すなわち、0.01〜0.4 とする。
【0024】なお、耐食性がそれほど必要とされない腐
食環境での使用に供する場合は、Γ相厚/全皮膜厚(片
面当たり)が 0.7以上のめっき皮膜を有するGA鋼板で
も適用可能となる。
【0025】Γ1 相厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)は、 0.5
を超えると耐パウダリング性が劣化し、一方、 0.001未
満の場合は、現状の設備では十分なΓ相の成長が望め
ず、剪断接着強度の低下を招く。
【0026】本発明のGA鋼板は、例えば、母材鋼板に
溶融亜鉛めっきを施した後の合金化時の加熱条件とし
て、最高到達材温を 550℃以上とし、その温度に達する
までの平均昇温速度を25℃/sec以上とすることにより製
造可能である。なお、加熱後の冷却速度は15℃/sec以上
とするのが望ましい。さらに望ましくは、20℃/sec以上
とする。これは、Γ1 相が成長する温度域(≦ 550℃)
を極力回避するためである。
【0027】溶融亜鉛めっきに伴いめっき皮膜中に混入
するZn、Al以外の元素、および合金化処理時に母材鋼板
からめっき皮膜中に混入するFe以外の元素のめっき皮膜
中の含有量は、総計で5重量%までであれば、皮膜の特
性に何ら影響はない。なお、このような元素としては、
Ni、Co、Sn、Mn、Pb、Sb、Sr、V、Cr、Ti、Si、Li、L
a、Ce等がある。また、Feをめっき浴に含ませてめっき
しても問題はない。
【0028】
【実施例】C:0.002%、Si:0.01%、Mn:0.18%、P:
0.01%、Ti:0.04%、S:0.005%、N:0.002%、sol.A
l:0.06%(「%」はいずれも「重量%」を意味する)
で、残部がFeからなる、板厚 0.8mm、板幅 120mmの冷延
鋼板(フルハード材)をめっき母材鋼板として用い、通
常の前処理を行った後に溶融亜鉛めっきを施し、続いて
合金化処理を行ってGA鋼板を作製した。前処理から合
金化処理に到る間のヒートパターンを図2に示す。
【0029】溶融亜鉛めっきは、母材鋼板をアルカリ浸
漬脱脂した後、乾燥し、鋼板を外気にさらすことなく連
続的にめっきを施すことにより行った。溶融亜鉛めっき
浴は、Al濃度が0〜0.5 重量%、浴温が 460℃で、めっ
き浴浸漬時間は1秒とした。
【0030】Al以外の添加元素は、単一金属あるいはZn
やAlとの合金として適宜、浴に添加した。
【0031】合金化処理は赤外炉を用いて行い、昇温速
度は10〜35℃/sec、最高到達材温は480〜580 ℃の範囲
で変更し、また合金化処理時間も適宜変更した。なお、
最高到達材温を 550℃以上、昇温速度を25℃/sec以上と
した場合にのみ本発明のGA鋼板が得られた。
【0032】めっき付着量およびめっき皮膜の組成を表
1および表2に示す。めっき付着量は評価対象面の付着
量を示す。めっき皮膜の組成の欄の添加元素は、めっき
皮膜中に含まれるZn、FeおよびAl以外の元素を示し、括
弧内の値は皮膜中での重量%を示す。また、Γ比は、全
めっき皮膜厚に対するΓ相の平均厚みの比率(%)を、
Γ1 比は、Γ相とΓ1 相を合わせた平均厚みに対するΓ
1 相の平均厚みの比率(%)を意味する。なお、これら
金属間化合物の厚みは、GA鋼板の断面を油性研磨によ
り鏡面化した後ナイタール(0.05%)で40秒間エッチン
グし、エタノール洗浄後、SEM観察により識別し、任
意に観察した数カ所での平均厚みから求めた。 上記の
GA鋼板についてパウダリング試験を行い、加工性を評
価した。
【0033】試験方法は、図3に示すように、GA鋼板
から切り出した円形の試験片(円板)を、評価面がカッ
プの凸部となるように円筒絞り加工し、加工後のカップ
状試験片の外側壁部にセロファンテープを貼り付けた後
剥離し、加工前の試験片の重量とテープ剥離後の試験片
の重量との差からめっき皮膜の剥離量を求め、めっき付
着量に対する剥離量の比により評価した。加工条件およ
び評価基準は以下のとおりである(◎印および○印を良
好とした)。
【0034】〔加工条件〕 塗油 :防錆油 ブランク径:60mmφ ポンチ径 :33mmφ ダイ径 :35mmφ 金型粗さ :Rmax = 0.3μm 押さえ圧 :200kgf 張出し高さ:20mm 〔評価基準〕めっき皮膜の剥離量/全付着量(いずれも
加工部単位面積当たり)が 0.1以下 ・・・◎ 0.1を超え 0.2以下 ・・・○ 0.2を超え 0.5以下 ・・・△ 0.5を超え 0.7以下 ・・・× 0.7超え ・・・×× また、上記のGA鋼板に下記の塗装を施して塗装鋼板と
し、これをシャーリング切断し、切断端面からの剥離長
を測定して耐シャーリング破壊性を評価した。
【0035】塗装は、めっきを施した表面のみに、バー
コーターで、クロメート(日本ペイント(株)製NRC
300 :Cr換算で60〜80mg/m2)、プライマー(日本ペイン
ト(株)製FLC−P600 :厚さ7〜8μm)およびト
ップコート(日本ペイント(株)製FLC−100 HQ:
厚さ16〜18μm) の順に塗料を塗布し、それぞれ最高到
達板温度で 140℃、 215℃および 220℃で焼付けするこ
とにより行った。
【0036】耐シャーリング破壊性の評価基準は以下の
とおりである(○印を良好とした)。
【0037】〔評価基準〕切断端面からの剥離長さが 0.2mm以下 ・・・○ 0.2mmを超え 0.5mm以下 ・・・△ 0.5mm超え ・・・× さらに、上記のGA鋼板に自動車用塗装を施した後、低
温チッピング試験を行い、耐低温チッピング性を評価し
た。
【0038】塗装は、GA鋼板の未加工平板を、脱脂剤
FC4336(日本パーカライジング(株)製) で脱脂し、
PZT(日本パーカライジング(株)製) を用いて化成
処理を行い、次いで、厚さ20±1μmのエポキシ系カチ
オン電着塗装(塗料U−80:日本パーカライジング
(株)製) を行った後、 175℃で25分間焼付けを行っ
た。
【0039】その後、スプレー塗装により表面のみにメ
ラミンアルキッド系ルーガベーク中塗り、上塗り塗料
(関西ペイント(株)製) を用いて中塗り、上塗り塗装
を行った。塗装厚は中塗り、上塗り、いずれも35±2μ
mとした。また、塗装後の焼付けは、中塗り、上塗り、
いずれも 140℃で30分間行った。
【0040】低温チッピング試験は、−20℃に冷却した
塗装板(中塗り、上塗り後の塗装板)の塗装面に直径3
〜4mmの石灰岩5個を2kg/cm2の圧空で衝突させ、衝突
部をテープ剥離した後のめっき皮膜の平均剥離径(測定
を5回行い、各回における最大剥離径の平均)を求め、
下記の評価基準に基づいて耐低温チッピング性を評価し
た(◎印を良好とした)。
【0041】〔評価基準〕平均剥離径が 1mm以下 ・・・◎ 1mmを超え2mm以下 ・・・○ 2mmを超え4mm以下 ・・・△ 4mm超え ・・・× 試験結果を表1および表2に併せて示す。この結果から
明らかなように、本発明で定める条件のうち少なくとも
一つが満たされない場合は、耐パウダリング性、耐シャ
ーリング破壊性および耐低温チッピング性のいずれか、
または全部が不良であった。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明のGA鋼板は、良好な加工性(耐
パウダリング性)を有するとともに、塗装鋼板用母材に
適用した場合の剪断加工性や、衝撃に対する皮膜密着性
などにも優れており、自動車車体用を始め、種々の塗装
鋼板用の素材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Γ相厚/全皮膜厚(片面当たり)およびΓ1
厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)が耐皮膜破壊性に及ぼす影響
を示す図で、(a) はパウダリング性、(b) はシャーリン
グ性、(c) は低温チッピング性についての調査結果であ
る。
【図2】実施例で用いた鋼板の焼鈍から合金化処理に到
る間のヒートパターンを示す図である。
【図3】パウダリング性の評価方法を模式的に示す図で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも片面に、めっき付着量が
    20〜90g/m2、めっき皮膜中の平均Al含有率が 0.1〜0.8
    重量%で、かつ、全めっき皮膜厚に占めるΓ相の平均厚
    み比が下記 (1)式を満足し、Γ相とΓ1 相を合わせた平
    均厚みに対するΓ1 相の平均厚み比が下記 (2)式を満足
    することを特徴とする耐皮膜破壊性に優れた合金化処理
    亜鉛めっき鋼板。 0.01≦Γ相厚/全皮膜厚(片面当たり)≦0.4 ・・・(1) 0.001≦Γ1 相厚/(Γ1 相厚+Γ相厚)≦0.5 ・・・(2)
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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