JP2842219B2 - 合金化処理亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

合金化処理亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、成形加工性ならびに
塗装後の剪断加工性ならびに耐低温チッピング性に優れ
た合金化処理亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】合金化処理亜鉛めっき鋼板(以下GA鋼
板という)は、耐食性、塗装性および溶接性に優れてお
り、自動車、家電製品、什器、建材等として広く一般に
使用されている。これらの用途には、その殆どが塗装し
て用いられるため、塗装用鋼板としての機能も併せて要
求される。GA鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板あるいは電
気亜鉛めっき鋼板等の亜鉛めっき鋼板をガルバニール処
理し、亜鉛層と鋼素地との間で相互拡散を行わせ、亜鉛
めっき皮膜全体をFe−Zn合金としたものである。
【0003】GA鋼板は、自動車、家電製品、什器、建
材等として用いる場合、プレス加工やロールフォーミン
グ等種々の加工を受ける。プレス加工やロールフォーミ
ングでは、GA鋼板に曲げ、曲げ戻し変形、摺動による
剪断変形、縮み変形等が加わる。合金化亜鉛めっき皮膜
は、FeとZnの金属間化合物で構成されており、加工
に対する変形能が小さく、加工性、成形性に劣るという
問題がある。さらに、GA鋼板は、苛酷な腐食環境下で
の使用を考慮すると、めっき付着量の増加が必要となる
が、これは加工性、成形性を不利な方向に導く。特に、
自動車車体用のGA鋼板においては、腐食環境が厳しい
ばかりでなく、成形加工も厳しいことが知られている。
【0004】近年、成形および組立て等の加工の前に素
材に塗装するプレコート鋼板は、そのまま加工、組立て
て使用され、ユーザでの化成処理、塗装、焼付工程を省
略できるため、公害問題がなく、塗料使用効率や焼付エ
ネルギー効率がよく、省資源、省エネルギー効果が高
く、家電製品、自動車用等として広く使用されている。
プレコート鋼板の素材としては、溶融亜鉛めっき鋼板、
電気亜鉛めっき鋼板、冷延鋼板、クロム塗装鋼板等の表
面処理鋼板の高機能化を目的として、ロール塗装やカー
テンフロー塗装あるいは静電塗装を用いて樹脂、塗料を
塗布し、耐食性、耐指紋性、潤滑性を高めている。この
ような情勢のもとでは、GA鋼板もプレコート鋼板の素
材として用いるのが一般化しつつある。
【0005】GA鋼板は、比較的硬い塗料(鉛筆硬度2
H以上)を塗布したのち、切断加工して切板にする場
合、切断端面近辺で合金化亜鉛めっき皮膜が幅1mm以
上に亘って剥離する現象(エナメルヘアー現象)が見ら
れることがある。この種の剥離現象は、硬度の大きい塗
膜を有するめっき皮膜に一般的に認められるものと推定
され、現象的には、変形能の小さいGA鋼板の合金化亜
鉛めっき皮膜に急激な鋼の歪速度が加えられると、さら
に変形能の小さい塗膜に拘束されて鋼板の変形に対して
追従できないために生じる現象であると考えられる。こ
のような剪断加工端面の合金化亜鉛めっき皮膜の剥離
は、当然のことながらGA鋼板をプレコート鋼板の素材
として用いる場合に大きな支障となる。
【0006】このような合金化亜鉛めっき皮膜の剥離現
象は、自動車車体用途においても認められており、例え
ば、自動車走行中の石跳ねによる合金化亜鉛めっき皮膜
剥離現象がある。この石跳ねによる合金化亜鉛めっき皮
膜剥離現象は、寒冷地域で顕在化している(低温チッピ
ング現象)。その原因は、塗膜は低温にさらされると縮
もうとするため、合金化亜鉛めっき皮膜に圧縮応力が働
き、低温にさらされた塗膜の変形能が小さく、石跳ね等
の衝撃が加わると塗膜から合金化亜鉛めっき皮膜、さら
には合金化亜鉛めっき皮膜と鋼板の界面にまで亀裂が生
じ、合金化亜鉛めっき皮膜を剥離する剪断応力が働くた
めであると考えられている。このような合金化亜鉛めっ
き皮膜の剥離部は、耐食性の低下につながり、自動車車
体用途向けの大きな支障となっている。
【0007】加工性、成形性に優れたGA鋼板およびそ
の製造方法としては、鋼板に接するめっき皮膜中のδ1
−FeZn7相と鋼板のα−Fe相との間に形成させた
厚さ0.2μm以上のΓ−Fe3Zn10およびα−Fe
亜鉛固溶体からなる遷移構造組織相を有するGA鋼板
(特開昭58−130265号公報)、Fe:8〜12
%、Al:0.05〜0.25%、残部Znからなる組
成であって、かつ地鉄界面のΓ相が1.0μm以下、め
っき層表面にηζ相が存在しない目付量45〜90g/
2のめっき層を少なくとも片面に有するか、または目
付量45〜90g/m2の合金化溶融亜鉛めっき層の上
に、Fe:60%以上、残部Znからなる合金めっき層
を生成せしめた2層めっき層を有する耐パウダリング性
および耐フレーキング性に優れたGA鋼板(特開平1−
68456号公報)等多くの提案が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭58−13
0265号公報に開示のGA鋼板は、剪断応力に対する
めっき皮膜密着力の向上は認められるが、今後自動車車
体パネルの接合に接着剤が用いられることを考慮する
と、さらなるめっき皮膜密着力の向上が重要な課題とな
ると思われる。また、特開平1−68456号公報に開
示のGA鋼板は、めっき皮膜の加工性は良好となるが十
分なものではなく、また、剪断応力に対するめっき皮膜
の耐剥離性は、不良であるばかりでなく、Fe:60%
以上、残部Znからなる合金化亜鉛めっき皮膜の形成は
現状の実機設備で製造するためには、低温長時間化が必
要であり、生産性に劣るという欠点を有している。
【0009】なお、自動車車体用、特に外板用GA鋼板
としては、従来から表裏面のめっき付着量が異なるもの
が使用されている。この場合、GA鋼板のめっき付着量
は、外装おもて面を薄目付とし、裏面を厚目付としてお
り、おもて面は耐チッピング性が要求され、裏面はめっ
き層が厚いので加工時にめっき皮膜の剥離が生じ易い。
以上のとおりGA鋼板は、種々の加工、成形や実用製品
として組込まれた後の使用環境下での種々の衝撃、応力
を受けることとなり、何れの応力付加に対しても耐え得
るめっき皮膜やGA鋼板の出現が望まれている。
【0010】この発明の目的は、GA鋼板において課題
とされる加工性、成形性の向上、さらには塗装鋼板用母
材として適用した場合における剪断加工性や自動車車体
用パネルとして使用時の寒冷地における石跳ね等の衝撃
に対するめっき皮膜の密着力、耐破壊性に優れた合金化
処理亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々試験研究を重ねた。その結果、めっき
鋼板に加わる応力の種類によってめっき皮膜の破壊形態
が異なり、いずれの応力に対しても優れた耐めっき皮膜
破壊性を保つことは困難であることが判明した。さらに
研究を重ねた結果、溶融亜鉛めっき鋼板のガルバニール
処理において、おもて面の合金化亜鉛めっき層のFe含
有率が裏面の合金化亜鉛めっき層のFe含有率を上回る
と共に、おもて面ならびに裏面の合金化亜鉛めっき層の
Fe含有率を所定範囲に制御管理することによって、耐
めっき皮膜破壊性が格段に向上することを究明し、この
発明に到達した。
【0012】すなわちこの発明は、表裏面の亜鉛めっき
付着量がいずれも10〜80g/m2で、かつおもて面
の亜鉛めっき付着量が裏面の亜鉛めっき付着量以下であ
るGA鋼板において、おもて面の合金化亜鉛めっき皮膜
中のFe含有率が10重量%以上20重量%以下、裏面
の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率が7重量%以上
12重量%以下で、かつ、合金化亜鉛めっき皮膜を形成
する金属間化合物のおもて面の合金化亜鉛めっき皮膜中
に存在するΓ相の平均厚みが、おもて面全めっき皮膜平
均厚みの5%以上50%以下で、かつ裏面合金化亜鉛め
っき皮膜中に存在するΓ 1 相の平均厚みが、裏面全めっ
き皮膜平均厚みの5%以下としたことを特徴とするGA
鋼板である。
【0013】さらに、表裏面の亜鉛めっき付着量がいず
れも10〜80g/m2で、かつおもて面の亜鉛めっき
付着量が裏面の亜鉛めっき付着量以下であるGA鋼板の
製造方法において、亜鉛めっき後のガルバニール炉内を
移動する鋼板の幅方向両端面に離間してエッジプレート
を全長に亘って設置し、ガルバニール炉の少なくとも一
部で、おもて面側に直火バーナーを当てて優先的におも
て面側の反応Fe量を上昇させると共に、裏面側に35
0℃以下の気体を当てて裏面側の反応Fe量を抑制する
ことを特徴とするGA鋼板の製造方法である。
【0014】
【作用】この発明においては、おもて面の合金化亜鉛め
っき皮膜中のFe含有率が10重量%以上20重量%以
下、裏面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率が7重
量%以上12重量%以下で、かつ、合金化亜鉛めっき皮
膜を形成する金属間化合物のおもて面の合金化亜鉛めっ
き皮膜中に存在するΓ相の平均厚みが、おもて面全めっ
き皮膜平均厚みの5%以上50%以下で、かつ裏面合金
化亜鉛めっき皮膜中に存在するΓ 1 相の平均厚みが、裏
面全めっき皮膜平均厚みの5%以下とすることによっ
て、GA鋼板の耐パウダリング性、耐低温チッピング性
を大幅に向上することができ、耐皮膜破壊性を格段に向
上することができる
【0015】さらにまた、この発明においては、亜鉛め
っき後のガルバニール炉内を移動する鋼板の幅方向両端
面に離間してエッジプレートを全長に亘って設置し、ガ
ルバニール炉の少なくとも一部で、おもて面側に直火バ
ーナーを当てて優先的におもて面側の反応Fe量を上昇
させると共に、裏面側に350℃以下の気体を当てて裏
面側の反応Fe量を抑制することによって、ガルバニー
ル炉内がエッジプレートにより鋼板のおもて面側と裏面
側に隔離され、おもて面側の直火バーナーの火炎と裏面
側の350℃以下の気体の混合を防止してGA鋼板のお
もて面と裏面の合金化反応をそれぞれ独自に制御でき
る。この結果、おもて面と裏面の合金化亜鉛めっき皮膜
中のFe含有率を所定範囲に調整することができ、おも
て面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率が10重量
%以上20重量%以下、裏面の合金化亜鉛めっき皮膜中
のFe含有率が7重量%以上12重量%以下で、かつ、
おもて面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率が、裏
面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率に、裏面の亜
鉛めっき付着量をおもて面の亜鉛めっき付着量で除した
値の2倍を加算したと同等かあるいはそれ以上のGA鋼
板を効率的に製造することができる。
【0016】この発明において、GA鋼板の表裏面のめ
っき付着量をいずれも10〜80g/m2としたのは、
10g/m2未満ではGA鋼板の本来の目的である耐防
食性能が劣るからであり、80g/m2を超えると耐亜
鉛めっき皮膜破壊性が低下するためである。しかし、腐
食環境がよりマイルドな場合は、めっき付着量を10g
/m2未満としても何ら問題はなく、耐亜鉛めっき皮膜
破壊性に着目すると80g/m2以下、望ましくは60
g/m2以下が適している。
【0017】この発明において、おもて面の合金化亜鉛
めっき皮膜中のFe含有率を10重量%以上20重量%
以下としたのは、10重量%未満では、塗装後の耐チッ
ピング性が劣り、20重量%を超えると、合金化亜鉛め
っき皮膜の犠牲防食能が低下するばかりでなく、Γ1
によってパウダリング性が低下するためで、好ましくは
Fe含有率11〜13重量%である。また、裏面の合金
化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率を7重量%以上12重
量%以下としたのは、Fe含有率が7重量%未満では、
溶接性が低下するばかりでなく、塗装後の耐食性が低下
し、Fe含有率が12重量%を超えると、Γ1相によっ
てパウダリング性が低下するためで、好ましくはFe含
有率8〜10重量%である。
【0018】この発明において、GA鋼板のおもて面の
合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率を、裏面の合金化
亜鉛めっき皮膜中のFe含有率に、裏面の亜鉛めっき付
着量をおもて面の亜鉛めっき付着量で除した値の2倍を
加算したと同等かあるいはそれ以上としたのは、おもて
面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率を裏面の合金
化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率より多くすることによ
って、成形加工性ならびに塗装後の低温チッピング性が
向上するからである。なお、上記条件を満足するGA鋼
板を得るには、おもて面のめっき付着量が裏面のめっき
付着量以下である必要があるが、厳密にはめっき付着量
は±3%の誤差範囲内であれば問題ない。
【0019】さらにこの発明におけるGA鋼板のより好
ましい態様として、おもて面のΓ相厚の平均厚みを、お
もて面全めっき皮膜平均厚みの5%以上50%以下とし
たのは、5%未満では塗装後の耐チッピング性が低下
し、50%を超えるとガルバニール処理に低温長時間が
必要で、生産性が低下するからである。また、裏面のΓ
1相厚の平均厚みを、裏面全めっき皮膜平均厚みの5%
以下としたのは、Γ1相が5%を超えるとクラックの発
生起点となり易く、合金化亜鉛めっき皮膜が脆くなるか
らである。なお、GA鋼板の金属間化合物の厚みは、G
A鋼板の断面を研磨したのち、ナイタール0.2%液で
エッチングし、走査電子顕微鏡(ScanningEl
ectronMicroscope以下SEMという)
観察により識別でき、任意に観察した数ヵ所での平均厚
みから計算することができる。
【0020】この発明におけるGA鋼板の亜鉛めっき法
は、特に限定されるものではなく、溶融めっき法、電気
めっき法、蒸着をはじめとするドライプロセス、溶射等
いずれの場合でも可能であり、めっきに伴って混入する
亜鉛以外の元素およびガルバニール処理時に鋼板から混
入するFe以外の元素が総計で5%まで含まれていても
何ら影響はない。なお、この発明のGA鋼板をプレート
塗装鋼板とする場合は、おもて面に所定の塗装がなさ
れ、裏面はサービスコート(一般には簡易な薄膜塗装)
が施されることが望ましい。以下に実施例によってこの
発明を詳細に説明するが、この発明は、この実施例に何
ら拘束されるものではない。
【0021】
【実施例】実施例1 C:0.02%、Si:0.01%、Mn:0.31
%、P:0.01%、S:0.009%、sol.A
l:0.08%、残部Feおよび不可避的不純物からな
る鋼組成の板厚0.8mm、板幅120mmの冷延鋼板
を用い、電気めっき(EG)、溶融めっき(GI)また
は蒸着めっき(VD)により亜鉛めっきを施したのち、
炉内を移動する鋼板の幅方向両端面に離間してエッジプ
レートを全長に亘って設置した直火バーナー炉を用いて
ガルバニール処理を行い、本発明の実施例として試験N
o.1〜のGA鋼板を、比較例として試験No.10
〜14のGA鋼板を製造した。実施例のGA鋼板は、お
もて面のみから直火バーナーを当て、裏面側には常温の
窒素ガスを吹付け、所定の合金化めっき皮膜が得られる
ように処理時間を適宜変動させた。得られた各GA鋼板
の表裏面のめっき付着量(μm)を皮膜付着量として、
表裏面の合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率(wt
%)をめっき組成として、合金化亜鉛めっき皮膜中のZ
n、Fe以外の不純物成分元素とその重量割合を不純物
成分として、おもて面の合金化亜鉛めっき皮膜の平均厚
みに対するΓ相の平均厚みの比率(%)を表面Γ比とし
て、裏面の合金化亜鉛めっき皮膜の平均厚みに対するΓ
1相の平均厚みの比率(%)を裏面Γ1比として表1に示
す。なお、表面Γ比および裏面Γ1比は、油性研磨によ
り断面を鏡面化したのち、0.05%ナイタールで40
秒間エッチングし、ついでエタノール洗浄した断面サン
プルを、SEM観察して求めた値から演算した
【0022】
【表1】
【0023】得られた各GA鋼板は、図1(a)に示す
とおり、おもて面側をカップ状となるように、防錆油を
塗布した金型荒さ(Rmax)0.3μmの直径35m
mのダイと直径33mmのポンチを用い、直径60mm
のGA鋼板を押え圧200kgfで張り出し高さ20m
mで円筒絞り加工してカップ状試験片1となし、加工性
評価としてパウダリング試験を行った。なお、使用した
ダイとポンチは、いずれもR5mmを有するものであっ
た。パウダリング試験は、図1(b)に示すとおり、加
工後のカップ状試験片1のおもて裏両側周壁部全周にセ
ロファンテープ2を張付けて剥離し、図1(c)に示す
とおり、セロファンテープ2に付着た剥離めっき皮膜3
を、加工前からの試料重量減(=剥離量)と合金化めっ
き皮膜付着量との比で評価した。評価は、単位面積当た
りの剥離量/全付着量≦0.1の場合を◎、≦0.2の
場合を○、≦0.5の場合を△、≦0.7の場合を×、
>0.7の場合を××とした。その結果を表2に示す。
【0024】また、得られた各GA鋼板は、おもて面の
みにクロメートNRC300(日本ペイント(株)製)
をバーコータを用いてCr換算60〜80mg/m2
布したのち、最高到達板温度で140℃で焼付け、つい
でプライマーFLC−P600(日本ペイント(株)
製)をバーコータで7〜8μm塗布したのち、最高到達
板温度で215℃で焼付け、さらにトップコートFLC
−100HQ(日本ペイント(株)製)をバーコータで
16〜18μmとなるよう塗布したのち、最高到達板温
度で220℃で焼付けて塗装鋼板を作成した。作成した
各塗装鋼板は、シャーリング切断し、切断端面からの剥
離長を評価した。評価は、切断端面からの剥離長≦0.
2mmの場合を○、≦0.5mmの場合を△、>0.5
mmの場合を×とした。その結果を表2に示す。
【0025】さらに、得られた各GA鋼板は、未加工平
板を脱脂剤FC4336(日本パーカライジング(株)
製)を用いて脱脂し、PZT(日本パーカライジング
(株)製)で表面調整を行ったのち、PB−L3080
(日本パーカライジング(株)製)を用いて化成処理を
行い、ついで塗料U−80(日本パーカライジング
(株)製)を用いて厚さ20±1μmエポキシ系カチオ
ン電着塗装を行った後、175℃で25分間焼付けを行
った。その後に表面のみにメラミンアルキッド系ルーガ
ベークの中塗り、上塗り塗料(関西ペイント(株)製)
を用い、中塗りとして35±2μmとなるようにスプレ
ー塗装を行ったのち、140℃で30分間焼付けし、つ
いで上塗りとして35±2μmとなるようにスプレー塗
装を行ったのち、140℃で30分間焼付けして自動車
用塗装を行った。得られた各自動車用塗装鋼板は、低温
チッピング性を評価した。低温チッピング性の評価は、
−20℃に冷却した塗装鋼板の中上塗り塗装面に直径3
〜4mmの石灰岩を2kg/cm2の圧空で衝突させ、
衝突部にセロファンテープを張付けて剥離させた後のめ
っき剥離径を5回測定し、その平均値で評価した。評価
は、平均剥離径≦1mmの場合を◎、≦2mmの場合を
○、≦4mmの場合を△、>4mmの場合を×とした。
その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表1、2に示すとおり、実施例の試験N
o.1〜9のGA鋼板のパウダリング試験の評価は、何
れも◎と良好な性能を示し、シャーリング試験、低温チ
ッピング性の評価は、何れも○と良好な性能を示してい
る。これに対しめっき組成が本発明の範囲外である比較
例の試験No.10、11、14のGA鋼板は、パウダ
リング試験、シャーリング試験、低温チッピング性の評
価は、何れも△ないし××と極めて悪くなっている。ま
た、皮膜付着量、めっき組成共に本発明範囲外の試験N
o.12の比較例のGA鋼板は、パウダリング試験、シ
ャーリング試験、低温チッピング性は、何れも×ないし
××と極めて悪い評価となっている。さらに、皮膜付着
量が表裏共に80g/m2を超え、その他の構成が本発
明範囲内の試験No.13の比較例のGA鋼板は、効果
が小さくなっており、本発明の効果が明白である。
【0028】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明のGA鋼板
は、自動車用、塗装鋼板用をはじめとする考え得るいか
なる応力に対しても、優れた耐めっき皮膜剥離性を有し
ており、工業的に有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】GA鋼板の加工性評価としてのパウダリング試
験の説明図で、(a)図は円筒絞り加工後のカップ状試
験片の斜視図、(b)図はセロファンテープを張付けた
カップ状試験片の斜視図、(c)図はセロファンテープ
を剥離後のカップ状試験片の斜視図である。
【符号の説明】
1 カップ状試験片 2 セロファンテープ 3 剥離めっき皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−378(JP,A) 特開 平3−243756(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏面の亜鉛めっき付着量がいずれも1
    0〜80g/m2で、かつおもて面の亜鉛めっき付着量
    が裏面の亜鉛めっき付着量以下である合金化処理亜鉛め
    っき鋼板であって、おもて面の合金化亜鉛めっき皮膜中
    のFe含有率が10重量%以上20重量%以下、裏面の
    合金化亜鉛めっき皮膜中のFe含有率が7重量%以上1
    2重量%以下で、かつ、合金化亜鉛めっき皮膜を形成す
    る金属間化合物のおもて面の合金化亜鉛めっき皮膜中に
    存在するΓ相の平均厚みが、おもて面全めっき皮膜平均
    厚みの5%以上50%以下で、かつ裏面合金化亜鉛めっ
    き皮膜中に存在するΓ 1 相の平均厚みが、裏面全めっき
    皮膜平均厚みの5%以下であることを特徴とする合金化
    処理亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 表裏面の亜鉛めっき付着量がいずれも1
    0〜80g/m2で、かつおもて面の亜鉛めっき付着量
    が裏面の亜鉛めっき付着量以下である合金化処理亜鉛め
    っき鋼板の製造方法において、亜鉛めっき後のガルバニ
    ール炉内を移動する鋼板の幅方向両端面に離間してエッ
    ジプレートを全長に亘って設置し、ガルバニール炉の少
    なくとも一部で、おもて面側に直火バーナーを当てて優
    先的におもて面側の反応Fe量を上昇させると共に、裏
    面側に350℃以下の気体を当てて裏面側の反応Fe量
    を抑制することを特徴とする合金化処理亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
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