JPH0596533U - ボルト締め用カラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 所望の部品を可撓性シート材を介在させてパ
ネルにボルト締めする場合に、当該部品とパネルの固定
間隔を一定に保持するカラーの改良。 【構成】 シート材１１の一面側に当接する拡大フラン
ジ１と、該フランジの下面に垂設される筒状ガイド部２
と、該筒状ガイド部の下端部に設けられる筒状本体３と
を備え、該筒状本体はその下部外周面に係止爪５を形成
して、上記筒状ガイド部の高さ寸法より長寸に設定され
ているので、この筒状本体の係止爪とフランジの挾持作
用を利用すれば、該筒状本体をシート材の通孔１２の中
心位置にセタンリングして、カラー自体をシート材に簡
単に仮止めでき、且つ、ボルトの締付力で、筒状ガイド
部を筒状本体内でフランジの下面が筒状本体の上端面に
当接するまで下方に移動させれば、該筒状ガイド部を筒
状本体の内部に収納して、筒状本体と拡大フランジで決
定される間隔を保持して、部品１０をパネル１３に確実
に固定できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、所望の部品を可撓性シート材を介在させてパネルにボルト締めする 場合に、当該部品とパネルの固定間隔を一定に保持するカラーの改良に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、自動車のエアコンユニットやリアシートを取り付けるブラケット（部 品）を、車体のボデイパネルにボルト締めにて固定しようとする場合には、通常 、該ブラケットとパネル間に遮音用インシュレータやカーペット等の可撓性シー ト材が介設される。 しかし、このインシュレータやカーペット等のシート材は、ボルトの締付時に 、その可撓性により圧縮されて変形してしまうので、ブラケットとパネルの固定 間隔を一定に保持するための締付用カラーが必要となる。

【０００３】 そして、従来から一般に使用されているこの種カラーは、実開昭６３−１６０ ２３８号公報にも示す如く、単なる筒状体として成形されて、実際の使用に際し ては、可撓性シート材に予め穿設されている通孔内に嵌装され、その筒状カラー の内部にボルトの先端部を挿通することにより、ブラケットをパネルに固定する ことを可能とする一方、自身の高さ寸法により、該ブラケットとパネルの固定間 隔を一定に保持できる構成となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

然し乍ら、斯る従来のカラーは、全体が単なる筒状体を呈しているばかりか、 可撓性シート材の通孔の孔縁部がボルト締めにより圧縮されることを見込んで、 一般には、その高さ寸法がシート材の肉厚よりかなり短寸となるように設定され ているので、この短寸の筒状カラーをシート材の通孔内に嵌装すると、可撓性シ ート材の通孔から簡単に落下したり、或いは、該通孔内で不用意に移動して通孔 の中心に位置させることができなくなって、ボルト締め作業を著しく低下させる 大きな問題点を有していた。 この為、当該筒状カラーの一部に仮止め手段等を付設することも試みられては いるが、カラー自体の高さ寸法はシート材の肉厚よりも短寸となっていなければ ならない関係で、有効な仮止め手段等を付設することは中々困難であった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、斯る従来カラーの課題を有効に解決するために開発されたもので、 所望の部品を可撓性シート材を介在させてパネルにボルト締めする場合に、該部 品とパネルの固定間隔を一定に保持するため、上記可撓性シート材の通孔内に嵌 装されるボルト締め用カラーを前提として、可撓性シート材の一面側に当接する 拡大フランジと、該拡大フランジの下面に一体に垂設される筒状ガイド部と、該 筒状ガイド部の下端部外側に設けられて筒状ガイド部の高さ寸法よりも長寸な筒 状本体とを備え、ボルトの締付力により、上記筒状ガイド部を筒状本体内で拡大 フランジの下面が該筒状本体の上端面に当接するまで下方に移動させて、当該拡 大フランジと筒状本体の高さ寸法のみで、部品とパネルの固定間隔を決定する構 成となすと共に、上記筒状本体の下部外周面に、可撓性シート材の他面側からそ の通孔の適所に係止する係止爪を一体に形成する構成を採用した。

【０００６】

【作用】

依って、本考案に係るカラーを用いて、所望の部品を可撓性シート材を介在さ せてパネルにボルト締めする場合には、まず、筒状ガイド部の下端部に設けられ ている筒状本体をシート材の通孔内に嵌入すると、拡大フランジが該通孔の一面 側孔縁に当接する一方、該筒状本体の下部外周面に形成されている係止爪が、シ ート材の他面側から通孔の適所に係止して、シート材を内外側から挾持すること となるので、これにより、筒状本体を通孔の中心位置に自動的にセンタリングし て、カラー自体を可撓性シート材に対して簡単且つ確実に仮止めすることが可能 となる。

【０００７】 そこで、後は、パネル・可撓性シート材・部品の順に重ね合わせて、ボルトの 先端部を部品側の孔からカラーの内部を経てパネル側の孔に挿通して、該ボルト の先端部にナットを螺合して締め付けると、このボルトの締付力により、筒状ガ イド部が筒状本体の内周面に沿って下方に移動して、拡大フランジの下面を筒状 本体の上端面に当接させるので、これにより、カラー自体の高さ寸法が自動的に 縮められる。 従って、斯る筒状ガイド部の筒状本体内での移動により、筒状ガイド部自体の 寸法が完全に喪失されるので、最終的には、筒状本体と拡大フランジとで決定さ れる間隔を保持して、部品がパネルに確実に固定されることとなる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を図示する各実施例に基づいて詳述する。 第一実施例に係るカラーは、合成樹脂の一体成形品で、図１・図２に示す如く 、可撓性シート材の通孔の部品側孔縁に当接する拡大フランジ１と、該拡大フラ ンジ１の下面に一体に垂設される小径な筒状ガイド部２と、該筒状ガイド部２の 下端部外側に複数の切断可能な連結片４を介して一体に連設される大径な筒状本 体３とを備える。 そして、上記筒状本体３を筒状ガイド部２の高さ寸法よりも長寸となるように 設定して、ボルトの締付時に、該締付力を利用して、上記各連結片４を自動的に 切断すれば、この長寸な筒状本体３の内周面に沿って、筒状ガイド部２が拡大フ ランジ１の下面を筒状本体３の上端面に当接するまで下方に移動することを許容 することにより、当該筒状本体３と拡大フランジ１を加えた高さ寸法のみで、部 品とパネルの固定間隔を決定する構成となすと共に、筒状本体３の下部外周面に 、可撓性シート材の通孔のパネル側孔縁に弾性的に係止する複数の係止爪５を一 体に形成して、該各係止爪５と拡大フランジ１とで、可撓性シート材の通孔の孔 縁を内外側から挾持させることにより、筒状本体３を通孔の中心位置に自動的に センタリングして、カラー自体を可撓性シート材に簡単に仮止めできる構成とな している。

【０００９】 このことから、第一実施例は、拡大フランジ１の下面に直接筒状本体３を垂設 して、該筒状本体３の下部外周面に係止爪５を形成する構成となすと、当該筒状 本体３の高さが低い場合には、該係止爪５と拡大フランジ１との距離が非常に接 近して、係止爪５を含めたカラー自体の成形が困難となるばかりか、この係止爪 ５を可撓性シート材の通孔のパネル側孔縁に係止することが不可能となること等 に鑑み、一旦、筒状本体３を筒状ガイド部２を介して拡大フランジ１から離間す る状態に垂設することにより、使用前においては、その全体の高さ寸法Ｌ１が、 筒状ガイド部２の寸法Ｌ２を加えた分だけ、シート材の肉厚に応じて高くなるよ うに設定して、係止爪５を含めたカラー自体の成形を容易となすと同時に、該係 止爪５がシート材の通孔のパネル側孔縁に簡単に係止することを可能となす一方 、最終的に、ボルト締めされると、この筒状ガイド部２を拡大フランジ１の下面 が筒状本体３の上端面に当接するまで移動させて、全体を部品とパネルの固定間 隔を決定する高さ寸法Ｌ１−Ｌ２まで縮ませることを可能となした訳である。

【００１０】 依って、第一実施例のカラーを用いて、前記したブラケット１０をゴム表皮層 １１ａとフェルト層１１ｂから成るインシュレータ１１を介在させてパネル１３ にボルト締めする場合には、まず、図３に示す如く、筒状ガイド部２の下端部に 連設されている筒状本体３をインシュレータ１１の通孔１２内に嵌入すると、拡 大フランジ１が該通孔１２のブラケット１０側孔縁に当接すると同時に、筒状本 体３の各係止爪５が通孔１２のパネル１３側孔縁に弾性的に係止して、筒状本体 ３を通孔１２内の中心位置に自動的にセンタリングして、カラー自体をインシュ レータ１１に簡単且つ確実に仮止めすることが可能となる。 従って、本カラーの使用に際しては、例え、筒状本体３自体の高さ寸法がイン シュレータ１１の肉厚よりも短寸となっていても、従来の如く、カラーが通孔１ ２から簡単に落下したり、或いは、通孔１２内で不用意に移動する心配が全くな くなるので、その取り扱いが極めて至便となると共に、ボルト締め作業に際して も、ボルトの先端部を筒状本体３の内部に円滑に挿通することが可能となる。

【００１１】 そこで、後は、パネル１３・インシュレータ１１・ブラケット１０の順に重ね 合わせて、ボルト１４の先端部をブラケット１０側の孔１０ａから拡大フランジ １の開口１ａ・筒状ガイド部２の内部・筒状本体３の内部を経てパネル１３側の 孔１３ａに挿通して、該ボルト１４の先端部にナット１５を螺合して締め付ける と、このボルト１４の締付力により、筒状ガイド部２の下端部に筒状本体３を連 設している各連結片４が自動的に切断されて、筒状ガイド部２が筒状本体３の内 周面に案内されながら下方に移動して、拡大フランジ１の下面を筒状本体３の上 端面に当接する。 すると、これにより、筒状ガイド部２自体の寸法Ｌ２が完全に喪失されて、カ ラー自体は固定間隔を保持する寸法Ｌ１−Ｌ２に縮まるので、最終的には、図４ に示す如く、拡大フランジ１と筒状本体３とで決定される間隔を保持して、ブラ ケット１０がパネル１３に確実にボルト締めにて固定されることとなる。 しかも、斯る状態にあっては、筒状ガイド部２は筒状本体３の内部に確実に収 容されることとなので、筒状本体３の間隔保持機能を害する心配も全くないばか りか、筒状本体３の下端面がパネル１３面に常時当接している関係で、インシュ レータ１１のフェルト層１１ｂがカラーとパネル１３間に不用意に侵入して、保 持間隔に誤差を生じさせる心配も全くなくなる。

【００１２】 尚、この第一実施例は、複数の連結片４を介して筒状本体３を筒状ガイド部２ に切離し可能に連設したものであるが、両者２・３をその全周に形成された切断 可能な連結薄膜等を介して一体に連設することこも実施に応じ任意である。 又、第一実施例は、１個の筒状ガイド部２の下端部に筒状本体３を連設したも のであるが、インシュレータ１１のフェルト層１１ｂの厚みが大きいような場合 には、具体的には図示しないが、切断可能な連結片４又は上記連結薄膜等を介し て、筒状ガイド部２を複数段に亘って連続して設けて、最下位の筒状ガイド部２ に筒状本体３を連設するように構成することも実施に応じ任意である。この場合 にあっても、各段の筒状ガイド部２の寸法は、いずれも、筒状本体３の寸法より も短寸となるように設定されることは勿論である。

【００１３】 次に、第二実施例に係るカラーを説明すると、上記第一実施例がカラー全体を 合成樹脂で一体に成形したのに対して、この第二実施例は、図５に示す如く、拡 大フランジ１の下面に垂設される筒状ガイド部２と筒状本体３とを初めから別体 に成形して、筒状ガイド部２の下端部周縁に、テーパーガイド面７とガイド突起 ８から画成される環状凹溝部６を形成し、筒状本体３の内周面上縁に該凹溝部６ に嵌合する環状又は間欠的な凸部９を一体に形成して、該筒状本体３の凸部９を 筒状ガイド部２の環状凹溝部６に嵌合すれば、図６に示す如く、実質的には、上 記第一実施例と同様に、筒状本体３を筒状ガイド部２の下端部外側に移動可能に 設けるように構成したものである。

【００１４】 依って、この第二実施例のカラーにあっても、具体的には図示しないが、筒状 ガイド部２の下端部に間接的に設けられている筒状本体３をインシュレータ１１ の通孔１２内に嵌入すると、上記第一実施例と同様に、拡大フランジ１が通孔１ ２のブラケット１０側孔縁に当接し、筒状本体３の各係止爪５が通孔１２のパネ ル１３側孔縁に係止するので、カラー自体が通孔１２内でセンタリングされた状 態をもってインシュレータ１１に簡単に仮止めされることとなる。 そこで、後は、パネル１３・インシュレータ１１・ブラケット１０の順に重ね 合わせて、ボルト１４の先端部をブラケット１０側の孔１０ａからカラーの内部 を経てパネル１３側の孔１３ａに挿通して、該ボルト１４の先端部にナット１５ を螺合して締め付けると、この締付力により、筒状ガイド部２側の凹溝部６から 筒状本体３の凸部９が自動的に外れて、筒状ガイド部２の下方への移動が許容さ れるので、これにより、拡大フランジ１の下面が筒状本体３の上端面に当接して 、カラーをブラケット１０とパネル１３の固定間隔を決定する高さ寸法にまで縮 ませることが可能となるので、やはり、最終的には、拡大フランジ１と筒状本体 ３で決定される間隔Ｌ１−Ｌ２を保持して、ブラケット１０がパネル１３に確実 に固定されることとなる。 尚、この第二実施例にあっては、筒状ガイド部２と筒状本体３とが別体に成形 される関係で、両者２・３を同一材料で成形する必要がなくなるので、例えば、 拡大フランジ１を含めた筒状ガイド部２側を金属材料で成形することが可能とな るばかりか、筒状ガイド部２と筒状本体３の凹凸嵌合手段も、上記実施例のもの に限定されずに、その他公知の凹凸嵌合手段を用いることも十分に可能である。

【００１５】 又、上記第一・第二実施例は、係止爪５の確実な係止状態を保障したり、或い は、インシュレータ１１のフェルト層１１ｂのパネル１３側への侵入を防止する こと等を考慮して、筒状本体３側に形成される係止爪５を、該フェルト層１１ｂ 側の孔縁、即ち、パネル１３側の孔縁に係止する構成となしたものであるが、本 考案はこれに限定されるものではなく、例えば、このフェルト層１１ｂを接着剤 等で固めて、初めから侵入する心配がないような場合には、インシュレータ１１ のゴム表皮層１１ａの裏面又はフェルト層１１ｂの孔壁途中に対して、当該係止 爪５を係止するように構成しても、筒状本体３を通孔１２内の中心位置に自動的 にセンタリングして、カラー自体をインシュレータ１１に簡単且つ確実に仮止め することが可能となるので、介在される可撓性シート材等に応じて、その使用態 様を適宜選択することが好ましい。 更に、上記の各実施例は、ゴム表皮層１１ａとフェルト層１１ｂから成るイン シュレータ１１を対象としたものであるが、その他カーペット等の可撓性シート 材を対象としても、同様な作用効果が得られることは言うまでもない。

【００１６】

【考案の効果】

以上の如く、本考案は、例え、拡大フランジと一緒に部品とパネルの固定間隔 を決定する筒状本体の高さ寸法が、可撓性シート材の肉厚よりも短く設定されて いても、当該筒状本体を拡大フランジに垂設された筒状ガイド部に設けることを 特徴とするものであるから、使用前の高さを可撓性シート材の肉厚に相応する寸 法となすことが可能となるので、後は、この筒状本体に形成されている係止爪を 利用すれば、筒状本体を可撓性シート材の通孔内に自動的にセンタリングして、 カラー自体を可撓性シート材に簡単に仮止めできることとなった。 従って、従来カラーと比較すると、その取り扱いが極めて至便となると共に、 ボルト締めの作業性を大巾にアップすることも可能となる。

【００１７】 その上、筒状ガイド部の下端部にこの筒状本体が設けられていても、ボルト締 めに際しては、拡大フランジの下面を筒状本体の上端面に当接する状態を得て、 該筒状ガイド部が筒状本体の内部に完全に収納されてしまうので、筒状本体の間 隔保持機能を害する心配が全くなくなって、部品は常に一定の間隔を保持してパ ネルに確実に固定されることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施例に係るカラーを示す斜視図である。

【図２】同カラーの底面図である。

【図３】カラーをインシュレータにセンタリングして仮
止めした状態を示す断面図である。

【図４】ブラケットをインシュレータを介在させてパネ
ルにボルト締めした状態を示す断面図である。

【図５】第二実施例に係るカラーを一部断面して示す分
解正面図である。

【図６】同カラーの嵌合状態を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 拡大フランジ ２ 筒状ガイド部 ３ 筒状本体 ５ 係止爪 10 ブラケット（部品） 11 インシュレータ（可撓性シート材） 12 同通孔 13 パネル 14 ボルト 15 ナット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所望の部品を可撓性シート材を介在させ
   てパネルにボルト締めする場合に、該部品とパネルの固
   定間隔を一定に保持するため、上記可撓性シート材の通
   孔内に嵌装されるボルト締め用カラーにおいて、可撓性
   シート材の一面側に当接する拡大フランジと、該拡大フ
   ランジの下面に一体に垂設される筒状ガイド部と、該筒
   状ガイド部の下端部外側に設けられて筒状ガイド部の高
   さ寸法よりも長寸な筒状本体とを備え、ボルトの締付力
   により、上記筒状ガイド部を筒状本体内で拡大フランジ
   の下面が該筒状本体の上端面に当接するまで下方に移動
   させて、当該拡大フランジと筒状本体の高さ寸法のみ
   で、部品とパネルの固定間隔を決定する構成となすと共
   に、上記筒状本体の下部外周面に、可撓性シート材の他
   面側からその通孔の適所に係止する係止爪を一体に形成
   したことを特徴とするボルト締め用カラー。