JPH0594717A - 複合誘電体 - Google Patents

複合誘電体

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JPH0594717A
JPH0594717A JP2406287A JP40628790A JPH0594717A JP H0594717 A JPH0594717 A JP H0594717A JP 2406287 A JP2406287 A JP 2406287A JP 40628790 A JP40628790 A JP 40628790A JP H0594717 A JPH0594717 A JP H0594717A
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Seishiro Yamakawa
清志郎 山河
Michimasa Tsuzaki
通正 津崎
Akiyoshi Nozue
明義 野末
Kiyotaka Komori
清孝 古森
Tomoyuki Fujiki
智之 藤木
Kazumitsu Abe
一允 安倍
Masashi Aoki
昌史 青木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合誘電体において、高比誘電率の無機誘電
体粒子が誘電率増大作用を効果的に発揮するようにす
る。 【構成】 複合誘電体において、多孔質無機誘電体粒子
を樹脂中に分散させるようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複合誘電体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、誘電体、例えば電子回路素子のひ
とつであるコンデンサ用の誘電体としては樹脂が用いら
れている。中でも高周波域での誘電損失(tanδ)が少な
い樹脂、例えば、フッ素樹脂やポリフェニレンオキサイ
ド樹脂は昨今の高周波化の要求に適したものとして注目
されている。
【0003】これに対して、高周波域での誘電損失が少
ない樹脂は誘電率が余り高くないので、樹脂中に無機誘
電体粒子を分散させて誘電率を大きくした複合誘電体が
注目され、数多く出願されている(例えば特公昭49-251
59、特公昭54-18754など)。この複合誘電体は、大面積
化の容易性、後加工(切断、孔開、接着等)の良好性な
ど樹脂の利点が維持されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機誘
電体粒子含有のこの複合誘電体には、無機誘電体粒子の
添加量に見合うほどには誘電率が向上してくれないとい
う問題がある。無機誘電体粒子の添加量を増やすには限
度があるし、新たな無機誘電体粒子用化合物の開発も容
易でない。
【0005】前記特公昭49-25159、特公昭54-18754記載
の発明では、分散させる粒子の粒径効果を検討してい
る。しかし、発明者らの研究結果からは、充てん量を同
じにして高い誘電率を確保する上では、単に粒径を大き
くするだけでは効果が小さいことが見出されている。一
方、無機誘電体粒子の粒径が大きいと沈降分離が起こり
易いので、誘電率の向上と同時に、複合化する時の作り
易さも、無機誘電体粒子含有のこの複合誘電体におけ
る、解決する必要のある間題である。
【0006】この発明は、このような事情に鑑み、高比
誘電率の無機誘電体粒子が誘電率増大作用を効果的に発
揮する複合誘電体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる複合誘電体では、多孔質無機誘電
体粒子を樹脂中に分散させるようにしている。この多孔
質無機誘電体粒子は、表面に向けて開口する孔や割れ目
などからなる空隙が多数個ある粒子であって、この空隙
内に樹脂が入り込むことができるような状態となってい
る。その状態は、たとえば図1にみるようである。図1
において、球形状のものが多孔質無機誘電体粒子を表
し、黒地部分が樹脂を表す。多孔質無機誘電体粒子が樹
脂中に分散し、この樹脂の一部が粒子の空隙内に入り込
んでいる。
【0008】多孔質無機誘電体粒子としては、平均粒径
5〜100μm、平均比表面積0.3〜7.0 m2 /g
rのものが好ましい。粒径が100μmを超えると、複
合誘電体の表面に粒子による凹凸が現れて平滑性が悪く
なったり、耐湿性(耐水性)が劣るようになったり、誘
導損失特性が悪くなったりするほか、製造時等に粒子が
割れ易くて誘電特性がばらついたりするという傾向がみ
られる。粒径が5μmを下回ると、誘電率向上効果が十
分でなくなる傾向がみられる。
【0009】比表面積が7.0 m2 /grを超えると、
耐湿性(耐水性)が劣るようになり、誘電損失特性が悪
くなる傾向がみられる。比表面積が0.3 m2 /grを
下回ると、誘電率向上効果が十分でなくなる傾向がみら
れる。多孔質無機誘電体粒子は、一次粒子が集合してで
きる二次粒子であってもよい。この二次粒子では、一次
粒子間に空隙があって多孔質になっている。この場合、
多孔質粒子を構成する一次粒子は、焼結により互いに物
理的・化学的に結合していることが好ましい。
【0010】この多孔質無機誘電体粒子は、ペロブスカ
イト型結晶構造を有する高誘電率組成の化合物からなる
ことが好ましい。以下に、この発明の複合誘電体を、よ
り具体的に説明する。この発明において、複合化用マト
リックス樹脂としては、必要に応じて適宜に選択された
樹脂が用いられるが、高周波域の用途では、高周波損失
の少ない(低tan δ)樹脂が好ましく、例えば、PPO
(ポリフェニレンオキサイド)樹脂、フッ素樹脂(例え
ば、テフロン(デュポン社の商品名)のようなポリフッ
化エチレン系樹脂)、ポリカーボネート、ポリエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポ
リスチレンなどが挙げられる。これらの樹脂の比誘電率
εrは、普通、2.0〜3.2程度である。その他の用
途の場合は、高周波損失の点で多少劣るが、ポリエステ
ル、エポキシ、あるいは、誘電率の大きなPVDF(ポ
リフッ化ビニリデン)などの樹脂でもよい。
【0011】多孔質無機誘電体粒子としては、例えば、
BaTiO3 系、SrTiO3 系、PbTi1/2 Zr
1/2 3 系、Pb(Mg2/3 Nb1/3 )O3 系、Ba
(SnX MgY TaZ )O3 系、Ba(ZrX ZnY
Z )O3 系などのペロブスカイト型結晶構造(あるい
は複合ペロブスカイト型結晶構造)を有するもの、その
他、TiO2 、ZrO2 、SnO2 の単独およびその複
合酸化物などの無機化合物等が具体的に挙げられる。多
孔質無機誘電体粒子は、球状、あるいは、様々な形のブ
ロック片的形状であってよく、その形状については特に
限定しない。
【0012】この多孔質無機誘電体粒子は、例えば、
焼結密度が低く多孔質となるようにして得た無機誘電体
ブロックを粉砕したり、あるいは、無機粉末をバイン
ダー(例えば、PVA=ポリビニルアルコール水溶液)
中に分散し、乾燥雰囲気(例えば、130℃程度の温度
雰囲気)中にスプレーすることにより粒状物を得て、こ
れを1100℃程度の温度で焼成するようにしたりし
て、得ることができる。後者の場合、無機粉末として
は種々の粒径のものを選ぶことができるが、焼成は、ス
プレーにより得られた粒状物において、個々の粒状物内
の粉末同士は焼結により物理的・化学的な結合が起こ
り、特に出発原料が微粒子の場合は粒成長が起こるが、
粒状物同士は簡単に離れる程度に行う。焼結粒子は、表
面に開口した孔や割れ目などがあって内部に空隙が生じ
ており、多孔質となっている。
【0013】この焼結に際しては、必要に応じて焼結助
剤を用いても良い。焼結助剤としては、このような粉体
を焼結する際に通常使用される助剤であれば、何であっ
ても良いのであるが、強いて定義すれば、誘電体組成を
破壊せず、特性を損なわず、充分に補強効果を与えるも
のが好ましい。焼結助剤の使用量は、目的に応じて、ま
た、焼結助剤の種類に応じて適宜選択すれば良いが、通
常は、無機誘電体粒子に対して0.1〜5重量%が好ま
しい。焼結助剤の粒子径は、0.01〜100μmの範
囲であれば、いずれも使用できるが、均一に分散させる
ために、0.1〜50μm程度が好ましい。焼結助剤の
添加時期は、無機誘電体化合物の調製段階および焼成段
階の任意の時期でよい。例えば、無機粉末をバインダー
中に分散する際に同時に焼結助剤を分散させるようにす
るのである。
【0014】焼結助剤を用いた場合には、不使用の場合
に較べて、焼結が容易になるという効果のみでなく、多
孔質粒子の強度が向上するために複合誘電体の作製時に
おける多孔質誘電体粒子の崩れが防止できるという付随
的効果や、比較的低温で焼結できるようになるため、よ
り空隙率の大きな多孔質粒子の形成を可能とし、複合誘
電体の誘電率を向上させうる等の付随的効果が表れる場
合がある。
【0015】焼結助剤の具体例としては以下のものがあ
る。すなわち、BaO−SiO2 −B2 3 、CaO
−SiO2 −B2 3 、Li2 O−SiO2 −B
2 3 、Li2 O−Al2 3 −SiO2 、Na2 O−
Al2 3 −SiO2 、Li2 O−GeO2 、CdO−
PbO−SiO2 、Li2 O−SiO2、B2 3 −B
2 3 、PbO−SiO2 −BaO、Na2 O−Pb
O−SiO2PbO−GeO2 等のホウ酸系ガラス,鉛
系ガラス,ビスマス系ガラス,カドミウム系ガラス,リ
チウム系ガラスなど、CuO、Bi2 3 、B
2 3 、CdO、Li2 O、PbO、WO3 、Pb5
3 11、Li2 SiO3 等の酸化物、および、Li
F、CuF2 、ZnF2 、CaF2 等の弗化物である。
【0016】無機誘電体化合物粒子を焼結する際には、
一般に、添加物の作用によって粒子成長や焼結体の電気
特性を制御することが行われているが、この発明におい
ても、従来知られている種々の添加物を同様の目的で使
用することができる。多孔質無機誘電体粒子としては、
前述のように、平均粒径5〜100μm、平均比表面積
0.3〜7.0 m2 /grのものが好ましいのである
が、一次粒子を集合させて二次粒子にする場合には、一
次粒子としては、例えば、0.1〜5μm程度になる。
これは、粒子を球とした場合、d(一次粒子の粒径)、
ρ(一次粒子の真比重)、Sw(二次粒子の比表面積)
の間に、d=6/(ρ×Sw)の関係があるからであ
る。したがって、例えば、チタン酸バリウムの場合、一
次粒子の粒径は0.14〜3.3μm程度となる。
【0017】この発明にかかる複合誘電体を製造する場
合には、例えば、多孔質無機誘電体粒子を分散させた樹
脂ワニスの乾燥硬化物を粉砕し、金型を使って加熱加圧
成形するようにすることができる。この発明において、
複合誘電体におけるマトリックス用樹脂と多孔質無機誘
電体粒子の配合割合は、通常、樹脂:25〜95 vol%
(体積%)、多孔質無機誘電体粒子:5〜75 vol%程
度にする。
【0018】この発明の範囲は、上記例示の化合物や数
値範囲あるいは処理方法に限られるものではない。その
用途もコンデンサに限らない。
【0019】
【作用】この発明にかかる複合誘電体においては、無機
誘電体粒子が多孔質となっている。この多孔質粒子を分
散させた複合誘電体と、非多孔質粒子を分散させた複合
誘電体とで、粒子が複合誘電体中に占める重量割合が同
じである場合についてみると、両複合誘電体において
は、多孔質粒子も非多孔質粒子も真に占める体積割合は
同じであるが、前者(この発明の多孔質粒子を分散させ
た複合誘電体)では、多孔質無機誘電体粒子は空隙によ
り膨らんだ状態になって複合誘電体内に存在するため、
後者(非多孔質粒子を分散させた複合誘電体)に較べ
て、粒子の無機誘電体内に占める見掛け上の体積が大き
い。そして、この多孔質無機誘電体粒子の空隙部分も高
誘電率域として作用すると考えられるから、この発明の
複合誘電体では誘電率が効果的に向上するのである。
【0020】さらに、多孔質無機誘電体粒子は、同じ大
きさの非多孔質無機誘電体粒子に比べて樹脂中で沈み難
く沈降分離が起こり難くなるため、複合誘電体の製造を
容易とさせる。
【0021】
【実施例】続いて、この発明の具体的実施例について説
明する。 −実施例1− 平均粒径20μm、平均比表面積1.0 m2 /grの多
孔質BaTiO3 粉末30 vol%、PPO樹脂70 vol
%となるように両者を秤量し、容量で1.5倍のトリク
レン(東亜合成化学工業株式会社製トリクロロエチレ
ン)を添加して、かく拌することにより、PPO樹脂を
完全に溶解させワニスを得た。ついで、このワニスの乾
燥硬化物を得、その後、粉砕して16メッシュ以下に揃
えた。そして、この粉砕物を金型に入れ、温度250
℃、圧力33kg/cm2 、10分間の成形条件で加圧成形
して、厚み1mm、直径8mmの複合誘電体を得た。
【0022】−実施例2− 平均粒径15μm、平均比表面積1.5 m2 /grの多
孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実施
例1と同様にして、複合誘電体を得た。 −実施例3−平均粒径25μm、平均比表面積2.5 m
2 /grの多孔質Ba0.8 Sr0.2 TiO3 粉末を用い
た他は、実施例1と同様にして、複合誘電体を得た。
【0023】−実施例4− 平均粒径5μm、平均比表面積5.2 m2 /grの多孔
質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実施例
1と同様にして、複合誘電体を得た。 −実施例5− 平均粒径60μm、平均比表面積1.8 m2 /grの多
孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実施
例1と同様にして、複合誘電体を得た。
【0024】−実施例6− 平均粒径100μm、平均比表面積2.1 m2 /grの
多孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実
施例1と同様にして、複合誘電体を得た。 −実施例7− 平均粒径20μm、平均比表面積0.5 m2 /grの多
孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実施
例1と同様にして、複合誘電体を得た。
【0025】−実施例8− 平均粒径23μm、平均比表面積6.8 m2 /grの多
孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実施
例1と同様にして、複合誘電体を得た。 −比較例1− 平均粒径1.0μm、平均比表面積1.8 m2 /grの
非多孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、
実施例1と同様にして、複合誘電体を得た。
【0026】−比較例2− 平均粒径20μm、平均比表面積0.2 m2 /grの非
多孔質BaTi0.7 Zr0.3 3 粉末を用いた他は、実
施例1と同様にして、複合誘電体を得た。なお、各実施
例の多孔質無機誘電体粒子は、平均粒径0.1μmの無
機粉末の仮焼物を出発原料として用いて前述の方法で得
た二次粒子である。ここでは、平均粒径0.1μmの原
料仮焼物は1μmの一次粒子に成長している。
【0027】実施例および比較例の各複合誘電体の表裏
面にアクリル系Agペーストを塗布硬化させて電極を形
成し、インピーダンスアナライザを用いて誘電特性を測
定した。結果を、表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から分かるように、実施例1〜8の複
合誘電体は、いずれも、十分な比誘電率を有するととも
に損失(tan δ)も十分に実用できる範囲内にある。実
施例と比較例1、2の間の比誘電率の値を比べれば、こ
の発明の複合誘電体では、誘電率が飛躍的に増加してい
ることがよく分かる。次に、焼結助剤を添加して焼結す
ることにより得られる多孔質無機誘電体粒子を使用する
例について記述する。
【0030】−実施例9− 平均粒径0.1μmのBaTi0.7 Zr0.3 3粉体5
00gとホウケイ酸系ガラス(岩城硝子社製)2.5g
と5wt%ポリビニルアルコール溶液50ミリリットル
をイオン交換水1リットル中でよく湿式混合した後、噴
霧造粒した。次に、これを1050℃で2時間熱処理し
て、複数の一次粒子からなる粒状物(二次粒子)を得
た。この粒状物の粒子径、比表面積および粒強度を測定
した結果を表2に示す。なお、粒強度測定には島津製作
所製PCT強度試験機を用いた。
【0031】次に、この多孔質BaTi0.7 Zr0.3
3 粒状物30 vol%、PPO樹脂70 vol%となるよう
に両者を秤量し、容量で1.5倍のトリクレンを添加し
て、かく拌することにより、PPO樹脂を完全に溶解さ
せワニスを得た。ついで、このワニスの乾燥硬化物を
得、その後、粉砕して16メッシュ以下に揃えた。そし
て、この粉砕物を金型に入れ、温度250℃、圧力33
kg/cm2 、10分間の成形条件で加圧成形して、厚み1
mm、直径8mmの複合誘電体を得た。
【0032】この複合誘電体の表裏面にアクリル系Ag
ペーストを塗布硬化させて電極を形成し、インピーダン
スアナライザーを用いて誘電特性を測定した結果を表3
に示す。 −実施例10− 平均粒径0.1μmのBa0.7 Sr0.3 TiO3 粉末を
用いた他は、実施例9と同様にして、複合誘電体を得
て、誘電特性を調べた。粒状物の物性を表2に示し、複
合誘電体の誘電特性を表3に示す。
【0033】−実施例11− ホウケイ酸系ガラスの量を5.0gにした他は、実施例
9ど同様にして、複合誘電体を得て、誘電特性を調べ
た。粒状物の物性を表2に示し、複合誘電体の誘電特性
を表3に示す。 −実施例12− ホウケイ酸系ガラスをホウ酸ビスマス系ガラスに代え、
また、熱処理温度を950℃とした他は、実施例9と同
様にして、複合誘電体を得て、誘電特性を調べた。粒状
物の物性を表2に示し、複合誘電体の誘電特性を表3に
示す。
【0034】−実施例13、14、15− 実施例9において、スラリー濃度、噴霧条件および熱処
理温度を変えることにより、物性の異なる3種類の粒状
物を得た。これらの粒状物を用いて実施例9と同様の方
法によって複合誘電体を作製し、誘電特性を調べた。粒
状物の物性を表2に示し、複合誘電体の誘電特性を表3
に示す。
【0035】−実施例16− 実施例9において、市販のホウケイ酸系ガラスをCuO
1.7gに代え、また、熱処理温度を1000℃にした
他は、実施例9と同様にして、複合誘電体を得て、誘電
特性を調べた。粒状物の物性を表2に示し、複合誘電体
の誘電特性を表3に示す。
【0036】−実施例17− 実施例9において、市販のホウケイ酸系ガラスをLiF
2.5gに代え、また、熱処理温度を800℃にした他
は、実施例9と同様にして、複合誘電体を得を得て、誘
電特性を調べた。粒状物の物性を表2に示し、複合誘電
体の誘電特性を表3に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】表2、3から分かるように、実施例9〜17
の粒状物は、いずれも、粒強度が高く、また、tan δも
十分に実用できる範囲内にある。これらの実施例9〜17
を、前述の実施例2と比較することにより、この発明に
用いた粒状物は、複合誘電体の比誘電率とtan δをほと
んど変化させることなく、粒強度を飛躍的に増大させて
いることが分かる。
【0040】
【発明の効果】以上に述べたことから分かるように、こ
の発明にかかる請求項1〜6の複合誘電体は、無機誘電
体粒子が多孔質であるため、同粒子による誘電率向上効
果が有効に発揮される。請求項2の複合誘電体では、多
孔質無機誘電体粒子の平均粒径が5〜100μm、平均
比表面積0.3〜7.0m2/grのものであるため、誘
電率向上効果がより顕著に発揮される。
【0041】請求項3の複合誘電体では、多孔質無機誘
電体粒子が一次粒子が集合してなる二次粒子であって、
この多孔質粒子の作製が容易であるため、結果として複
合誘電体が製造し易いものとなっている。請求項4の複
合誘電体では、多孔質無機誘電体粒子における一次粒子
が焼結により互いに結合しているため、誘電率向上効果
がより顕著に発揮されるようになる。
【0042】請求項5の複合誘電体では、多孔質無機誘
電体粒子の強度が向上しているため、複合化工程で粒子
破壊が発生せず、安定した性能が期待でき、粒子の製造
が容易となる。請求項6の複合誘電体では、多孔質無機
誘電体粒子がペロブスカイト型結晶構造を有する化合物
からなるため、誘電率向上効果がより顕著に発揮され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる複合誘電体において樹脂中に
分散した多孔質無機誘電体粒子の粒子構造を示す倍率2
500倍の走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野末 明義 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 古森 清孝 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 藤木 智之 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 安倍 一允 大阪府堺市戎島町5丁1番地堺化学工業株 式会社内 (72)発明者 青木 昌史 大阪府堺市戎島町5丁1番地堺化学工業株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂中に多孔質無機誘電体粒子が分散さ
    れてなる複合誘電体。
  2. 【請求項2】 多孔質無機誘電体粒子が、平均粒径5〜
    100μm、平均比表面積0.3〜7.0 m2 /grの
    ものである請求項1記載の複合誘電体。
  3. 【請求項3】 多孔質無機誘電体粒子が、一次粒子が集
    合してなる二次粒子である請求項1または2記載の複合
    誘電体。
  4. 【請求項4】 二次粒子は一次粒子が焼結により互いに
    結合してなるものである請求項3記載の複合誘電体。
  5. 【請求項5】 焼結が焼結助剤を添加してなされている
    請求項4記載の複合誘電体。
  6. 【請求項6】 多孔質無機誘電体粒子が、ペロブスカイ
    ト型結晶構造を有する化合物からなる請求項1から5ま
    でのいずれかに記載の複合誘電体。
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