JPH0594119U - 電子レンジ加熱用紙箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内容物を収納したまま電子レンジで加熱し、
多量の水蒸気が発生しても、蓋片が内側へ湾曲して内容
物に触れるような自体の生じない紙箱を提供すること。 【構成】 蓋片の両側縁から補強蓋片を延設し、蓋片裏
側へ折曲して蓋片裏面に接着させた。 【効果】 補強蓋片と、その折曲縁と、接着剤層の三者
の補強作用により、多量の水蒸気が発生しても、相当時
間は蓋片の内側湾曲が生ぜず、また補強蓋片はブランク
打抜き時のロスト部分を利用して成形でき紙料の無駄を
防止できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、加熱時に多量の水分を蒸発させる食品類を収納しておき、電子レン ジを用いて加熱する際に使用される紙箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】

加熱時に多量の水分を蒸発させるピザ，各種副食類，菓子等を収納しておき、 食するに当り電子レンジを用いて加熱する簡易構造の紙箱としては、図３に示さ れるごとき折畳み成形された紙箱が多く使用されている。

【０００３】 この種の紙箱は廉価，軽量であることにより、前記食品の販売時に容器として 使用され、食品の購入者が、そのまま電子レンジで加熱する使用態様が一般的で ある。

【０００４】 図３に示される種類の紙箱Ａにおいては、衛生面から、蓋片Ｂの裏面Ｃが、食 品表面に接触しないように配慮する必要があるが、電子レンジによる加熱で多量 の水分が食品から蒸発されると、蓋片Ｂがこの水分を吸収して膨軟となり、しか も蓋片Ｂの後縁Ｄが箱主体Ｅの後側縁Ｆと一連に連続し、しかも前縁Ｇの差込片 Ｈが、箱主体Ｅの前側壁Ｉの内側へ挿し込まれることにより、蓋片Ｂの前後両縁 Ｄ，Ｇが拘束されているため、蓋片Ｂは、鎖線Ｊで示されるごとく、箱主体Ｅへ 向って湾曲し、裏面Ｃが食品表面に触れてしまう恐れが多い。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、電子レンジによる加熱により、食品等の内容物から多量の水分の蒸 発が生じても、蓋片が箱主体内へ向って湾曲することがなく、しかも紙料の無駄 を防止でき、コスト増も僅かに留め、折畳み成形できる構造の簡単な紙箱を提供 することを課題としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するため本考案は、上部が開口部とされている紙製の箱主体の １側壁から、開口部を掩蔽する蓋片が延設されており、該蓋片の前後縁間の左右 の両側縁から、補強蓋片が延設され、かつ蓋片裏側へ折曲されて蓋片裏面に接着 されているという構成を採っている。

【０００７】

【作用】

本考案によると、蓋片の左右の両側縁から延設されている補強蓋片が蓋片裏側 へ折曲され、蓋片裏面に接着されているので、折曲縁の有する強度と接着による 二重構造の強度と、仮に水分が含浸されたとしても、補強蓋片と接着層とが、蓋 体主体部に浸透するのを、相当時間阻止する作用とがあいまって、電子レンジに よる数分程度の加熱では蓋片が箱主体内へ向って湾曲する変形を良好に防止する 。

【０００８】 また、蓋片の左右両側に延設される補強蓋片は、従来、箱ブランクの打ち抜き 成形時のロスト部分であった蓋片相当部両側部分を利用できるので、余分の紙料 を使用することがなく、紙料の無駄を防止できるし、成形工程としては、補強蓋 片の接着工程の増加を伴い、かつ接着剤の使用量の僅かな増加も伴うが、コスト 的には僅かな増加に抑えうる。

【０００９】

【実施例】

図１は、図２に示すブランク１から折畳み成形された紙箱２を示す斜視図であ って、上部が開口部３とされた紙製の箱主体４は、１側壁５たる後側壁から、開 口部３を掩蔽する広さの蓋片６が一体に延設されている。

【００１０】 蓋片６の前縁７と後縁８との間の左右の両側縁９，１０からは、補強蓋片１１ ，１２が一体に延設され、蓋片裏側へ折曲され、蓋片裏面１３に接着されている 。

【００１１】 図２は、図１に示す紙箱２を折畳み成形する１枚のブランク１を示しており、 紙箱２の底部１４の前後縁１５，１６に前側壁１７と、前記１側壁５たる後側壁 とが内折曲線１８，１９で一連に連接されている。

【００１２】 また底部１４の左右の側縁２０，２１には、左右の側壁２２，２３が内折曲線 ２４，２５で連接されている。

【００１３】 前記側壁２２，２３の外縁には蓋受片２６，２７が延設され、また左右の側縁 には、前記後側壁と前側壁１７とに貼着する貼着片２８，２９，３０，３１が延 設されている。

【００１４】 前記１側壁５たる後側壁の上縁３２からは、前記蓋片６が延設され、蓋片６の 左右の側縁９，１０からは、前記補強蓋片１１，１２が延設され、また蓋片６の 前縁７からは、箱主体４の前側壁１７の内側へ挿し込まれる挿込片３３が内折曲 線３５で連接されている。

【００１５】 蓋片６における前記補強蓋片１１，１２は、内折曲線３６，３７で、蓋片６の 裏面１３側へ図１に示すよう折曲され、該裏面１３に接着されるが、図２に示す ブランク１の状態における内折曲線３６，３７から外端縁３８，３９に至る寸法 Ｌは、図示例の場合、底部１４の左右の側壁２２，２３から延設されている蓋受 片２６，２７の外端縁４０，４１から側壁２２，２３の内折曲線２４，２５に至 る寸法Ｈの範囲内とされている。

【００１６】 従って、前記補強蓋片１１，１２はブランク１の打抜き成形時に、ロスト部分 となる２点鎖線４２，４３で囲まれた部位に成形されるので、本来無駄であった 紙料の活用が図れる。

【００１７】 図２において符号４４，４５は貼着片２９，３１の切割り線であり、符号４６ ，４７は、箱主体４に貼着され、組上げられた後に、格納のため箱主体を扁平に 折畳む際の前側壁１７に設けられた外折曲線であり、符号４８は図１に示される 爪掛部４９の切起し線、符号５０，５１は、側壁２２，２３に開設された蒸気抜 き穴である。

【００１８】 本考案に係る蓋片６は、その表面に左右の両側縁９，１０から内折曲線３６， ３７において折曲された補強蓋片１１，１２が接着されているので、内折曲線３ ６，３７部分の折曲縁の有する強度と補強蓋片１１，１２の強度と、接着層によ る強度との三者の補強作用により、蓋片６自体の剛性が向上していることと、電 子レンジによる内容物の加熱によって、多量の水蒸気が発生したとしても補強蓋 片１１，１２と、その接着層とが、補強蓋片１１，１２が接着されている蓋片６ 部分に水分が浸透するのを相当時間阻止し、前記補強作用とあいまって、加熱時 に蓋片が箱主体４の内方へ向って湾曲するのを良好に防止する。

【００１９】 前記蓋片６の湾曲防止作用は、図２に示す寸法Ｌ程度の長さがあれば十分に発 現されるが、湾曲防止作用をより向上させるためには図１に示す蓋片６の中心線 Ｘの近傍まで補強蓋片１１，１２の外端縁３８，３９を延長すればよい。

【００２０】

【考案の効果】

本考案によると、蓋片の左右の両側縁から延設された補強蓋片が蓋片裏側へ折 曲され、蓋片裏面に接着されているので折曲縁の補強作用と、補強蓋片とその接 着層の補強作用とが相乗し、内容物を収納した状態の箱をそのまま電子レンジで 加熱し、多量の水蒸気が発生したとしても蓋片が箱主体内へ向って湾曲すること を良好に防止でき、蓋片と内容物との接触を防止できる効果がある。

【００２１】 また補強蓋片は、そのブランク打抜き成形時に、箱本体の左右の側壁と蓋受片 との成形によって生ずる紙料のロストとなるべき部位から成形しうるので紙料の 無駄が防止できる効果を奏する。

【００２２】 このため、材料的には補強蓋片の接着剤が増加し、工程的には補強蓋片の折曲 と接着との工程が増加するのみであり、コストアップを最小限とし、廉価に供給 できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の一例の開蓋状態の斜視図である。

【図２】図１に示すもののブランクの展開平面図であ
る。

【図３】従来品の一例の開蓋状態の斜視図である。

【符号の説明】

２ 紙箱 ３ 開口部 ４ 箱主体 ５ １側壁 ６ 蓋片 ７ 前縁 ８ 後縁 ９，１０ 側縁 １１，１２ 補強蓋片 １３ 蓋片裏面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部が開口部とされている紙製の箱主体
   の１側壁から、開口部を掩蔽する蓋片が延設されてお
   り、該蓋片の前後縁間の左右の両側縁から、補強蓋片が
   延設され、かつ蓋片裏側へ折曲されて蓋片裏面に接着さ
   れている電子レンジ加熱用紙箱。