JPH0593684A - 赤外線水分計における予測水分率測定方法および装置 - Google Patents

赤外線水分計における予測水分率測定方法および装置

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JPH0593684A
JPH0593684A JP12573991A JP12573991A JPH0593684A JP H0593684 A JPH0593684 A JP H0593684A JP 12573991 A JP12573991 A JP 12573991A JP 12573991 A JP12573991 A JP 12573991A JP H0593684 A JPH0593684 A JP H0593684A
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Toshimichi Watanabe
利通 渡辺
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KETSUTO KAGAKU KENKYUSHO KK
Kett Electric Laboratory
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KETSUTO KAGAKU KENKYUSHO KK
Kett Electric Laboratory
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 穀物等の試料の水分率の測定時間を少なくし
た赤外線水分計を提供する。 【構成】 試料Gを試料皿2上に導入し試料の初期重量
Woを測定した後、その試料の加熱乾燥を開始してか
ら、所定時間△t毎に試料の重量Wtを測定し数式1に
したがって水分率Mtを計算すると共に、その水分率と
1回前の水分率との差△Mtと所定時間△tとから水分
率の変化率(△Mt/△t)を計算し、数式5に当ては
めて最終水分率を予測し、その予測水分率MEと1回前
で求めた予測水分率との差が0.1以下になったとき、
乾燥曲線はほぼ収束状態に達したものとみなして、その
ときの予測水分率Mtを最終水分率と決定するようにし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は赤外線水分計における予
測水分率測定方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】赤外線水分計は、一般に試料を加熱乾燥
することによる試料の重量変化率から水分率を求めるも
ので、その水分率Mは、
【0003】
【数1】 で与えられる。ここで、Woは試料の加熱前の初期重
量、Wtは時間t秒が経過した時の試料の重量である。
【0004】試料を加熱乾燥した時の試料の重量変化に
基づき水分率を求める方法として、あらかじめ定めた一
定時間の間加熱乾燥したときの試料の重量変化から水分
率を求めるものと、水分変化率が所定値以下になるまで
加熱乾燥を行いそのときの重量が加熱乾燥前の重量から
どれだけ変化したかに基づき水分率を求めるものとがあ
る。
【0005】前者の場合は、乾燥時間が短か過ぎると水
分が残ってしまうため低めの水分率が計算されてしま
い、従って、普通よりも長めの時間を掛けて乾燥させる
必要がある。また、乾燥速度は試料のサンプル量によっ
て異なるため、任意の量をサンプルして測定する場合に
求められた水分率にバラツキをずる。
【0006】また、後者の場合は、重量変化率が所定値
以下になるまで加熱乾燥が続けられるから、試料のサン
プル量にバラツキがあってもほぼ一定の水分率を得るこ
とができるが、ほぼ乾燥が終了するまで加熱乾燥を持続
しなければならないので、測定時間が長く掛かるという
問題がある。例えば、水分率が13〜32%の籾の場合
は15分から20分くらい掛かる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、試料の水分率の測定時間を短縮するようにした赤外
線水分計における予測水分率測定方法および装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明よる赤外線水分計
における予測水分測定方法および装置は、赤外線水分計
に所要量の試料を導入し、その試料の加熱乾燥を開始し
た時から所定時間毎に、試料の重量を測定し、その測定
値から各測定点における水分率とその水分率の変化率を
計算し、計算された複数の水分率とその変化率から最終
状態における水分率を予測計算するようにし、所定時間
毎に予測された予測水分率とそれ以前に求められた予測
水分率との差が一定値以下になったときの予測水分率を
試料の水分率として決定するようにしている。
【0009】
【発明の原理】一般に試料の乾燥曲線は、
【0010】
【数2】 と表すことができる。ここで、
【0011】Moは乾燥開始前の初期の水分率であって
通常は零である。ME は水分が実質的に乾燥したときの
最終水分率である。Mtは乾燥開始前後t秒経過したと
きの水分率である。a,bは定数である。
【0012】数式2をグラフに表すと図2のようにな
る。この数式を変形すると、
【0013】
【数3】Mt=a(Mo−ME )exp(at+b)
【0014】これを時間で微分すると、
【0015】
【数4】
【0016】よって、
【0017】
【数5】
【0018】数式5において、Mtは試料の加熱乾燥を
開始した後所定時間△t毎に測定される重量Wtを数式
1に代入することにより計算される水分率であり、ま
た、dMt/dtは、1つ前の測定点で求められた水分
率Mt’と今回の測定点で求められた水分率Mtとの差
(Mt−Mt’)を所定時間△tで割算することによっ
て計算することができから、残る未知数はMEと(1/
a)である。従って、数式5は一次関数(y=ax+
b)の形で表すことができる。従って、所定時間毎に行
われる測定において、連続する測定点2点において求め
られた水分率Mtとそれら各時点で計算された変化率
(Mt−Mt’)/△tとを上記数式5に代入して2元
連立1次方程式を得ることができる。この連立方程式を
解けば、最終水分率ME が計算される。本発明ではこれ
を予測水分率と称することにする。
【0019】しかしながら、加熱乾燥開始直後は熱エネ
ルギが試料自体やその周辺部材の温度上昇のために費や
される割合が高いため、数式2で示される乾燥曲線、す
なわち数式5の一次関数で示される直線から外れたとこ
ろに位置されることになるので、かかる点で最終水分率
を予測計算しても正しい最終水分率とはならない。それ
故、過熱乾燥開始後に所要時間が経過して図2の乾燥曲
線に実質的に乗ったと判断される測定時点を確認してか
ら、その時点以降で計算された予測水分率を最終水分率
として採用することが必要である。
【0020】本発明では、各測定時点で計算された予測
水分率とそれ以前に計算された予測水分率、好ましくは
1回前の測定時点で計算された予測水分率との差を求
め、その差が予め定められた値よりも小さくなったと
き、数式2で表される乾燥曲線に乗ったことが確認され
たものと判断し、その時の予測水分率を最終水分率とみ
なすものである。
【0021】ところで、隣接する2点の測定点の予測水
分率を比較したのみでは、たまたまそれらの差が極めて
小さくなることもあり、かかる場合は予測水分率に大き
な誤差を生ずることになる。そこで、3時点以上の連続
する測定点N個に基づいて得られたN個の1次関数から
なる連立方程式を解いたとき、そのN個の1次関数をす
べて満足するのに最も近い予測水分率MEを直線回帰し
て求め、これと2分のN回前に直線回帰して求めた予測
水分率との差が所定値よりも小さくなったとき、その予
測水分率を最終水分率として決定することが好ましい。
【0022】例えば、N=3のとき、測定点t1
2 、t3 の時の水分率をMt1 、Mt 2 、Mt3
し、その時の変化率をdMt1 /dt、dMt2/d
t、dMt3 /dtとすれば、
【0023】
【数6】
【0024】これをそれぞれ2式づつの連立方程式を解
き、それらすべての1次関数を満足するのに最も近い予
測水分率を直線回帰により求める。すなわち、数式6に
示された3つの1次関数において求められたMEの値
を、予測した1次関数の直線からのそれぞれの誤差の二
乗平均をとり、これが最小になるように設けられた1次
関数に基づきMEを求める。
【0025】
【実施例】図3は本発明の全体構成を示すブロック図で
ある。
【0026】同図において、電子天秤1は試料皿2に作
用する試料Gの荷重を重量検出部1’で検出する。その
検出信号はA−D変換器3を介して演算制御部4に取り
込まれる。
【0027】試料皿2は風防5によってその回りを囲ま
れており、その上方には試料を加熱乾燥するための赤外
線ランプ6が配設されている。ランプ6の回りはランプ
カバー7で囲まれており、このランプカバー7と風防5
で加熱室を形成している。ランプ6に近接してサーミス
タ等の温度検出センサ8が配置され、その出力は増幅器
9とA−D変換器10を介して演算制御部4に取り込ま
れる。ランプ6は、演算制御部4において温度検出セン
サ8からの温度信号に基づき発生された制御信号で制御
される熱源制御部11によって制御される。
【0028】演算制御部4は、マイクロコンピュータで
構成され、測定プログラムや各種演算の実行および周辺
装置の制御を行うCPU41、測定プログラム等が書き
込まれたROM42、重量検出値や各種演算結果等を記
憶するエリアを備えたRAM43、書き込み消去可能な
不揮発性のE2 ROM44、A−D変換器3、10およ
びタイマ12等の外部機器から信号を受け入れるための
入力ポート45を備えており、これらは相互にバスライ
ンで接続されている。演算制御部4は、また、水分率、
温度、時間等の表示を行う表示器13と、CPU41に
指示を与えるためのキーボード14が接続されている。
【0029】次に、図3に示す本発明の実施例における
動作を図1に基づき説明する。
【0030】ステップ50において、キーボード14か
らスタートの指令が入力されると、ステップ51で演算
制御部4は重量検出部1’で検出された加熱乾燥開始前
の試料の初期重量値Woを取り込み、RAM43に記憶
する。その後、ステップ52で演算制御部4はランプ6
を動作させて加熱乾燥を開始させると共に、タイマ12
を始動する。
【0031】次いで、ステップ53で、所定時間△tの
整数倍の時間が経過したかどうかを判断する。ここで
は、常に△T秒毎に試料の重量を測定する機能を実現す
るためのものである。ここでYESと判断されたとき
は、ステップ54で、その時の試料の重量Wtを測定
し、ステップ55でその時の水分率Mtを数式1に従っ
て計算し、RAM43に記憶する。そして、ステップ5
6で、1回前の測定時に求めた水分率との差から増分△
Mtを計算し、これを△tで割ることにより水分率の変
化率(△Mt/△t)を計算しRAM43に記憶する。
【0032】ステップ57では、タイマ12がスタート
してから△T×3秒以上経過したかどうかを判断する。
この実施例では、3つの測定点での測定結果を利用して
予測水分率を計算する例を示すものであるため、少なく
とも最初の3点の測定が終了したことを確認するための
ものである。ここで、NOと判断されればスタート53
に戻り、以上と同様な手順が繰り返される。ここでYE
Sと判断されたときは、ステップ58で、最後の3つの
測定点について計算されている水分率Mtとその変化率
(△Mt/△t)に基づき直線回帰計算で予測水分率M
E を計算する。
【0033】ステップ59では、タイマ12がスタート
してから△T×4秒以上経過したかどうかを判断する。
これは、タイマ12のスタート後最初の4測定点が経過
しなければ、ステップ58による2回目の予測水分率の
計算が行われないから、次のステップ60による予測水
分率の差を求める計算ができないからである。ステップ
59でNOと判断されればステップ53に戻り、次の測
定点での測定が前記と同様に行われる。ここでYESと
判断されれば、ステップ60で今回求められた予測水分
率と1回前の測定点で計算された予測水分率との差△M
E が計算され、ステップ61でその差の値△ME が所定
値0.1 よりも小さいかどうかが判断される。この値
0.1は実測の乾燥曲線が予め予測した乾燥曲線にほぼ
乗ったと判断できる値として経験的に求められたもので
ある。ここでNOと判断されればステップ53に戻り再
び所定時間毎の測定が行われ、ステップ54、55、5
6、58、60そして61と繰り返される。ステップ6
1でYESと判断されれば、ステップ62で過熱乾燥動
作は解除され、ステップ63においてステップ58で最
後に計算された予測水分率が最終水分率として表示器1
3に表示され、測定をすべて終了する。
【0034】他の実施例として10秒毎に測定点を設定
し、5つの連続する測定点における水分率を乾燥曲線式
に当てはめて直線回帰により予測水分率MEを計算し1
回前の計算値と比較し、その差が0.1以下になった時
を収束条件として予測水分率を求めることもできる。
【0035】図4と図5は、この方法を用いて、13%
から32%の水分をもつ151点の籾を測定したときの
結果を示すヒストグラムであって、図4は151点の試
料を測定した結果の予測水分率の誤差の分布を示すもの
で、標準誤差はO.27であった。誤差がマイナス側に
寄っているのは乾燥曲線式からのずれと思われるので、
同式に補正項を設ければ誤差を減らすことができる。ま
た、図5は測定時間の分布を示すヒストグラムである。
これによれば、測定時間は3分から13分に分布してお
り平均8分で水分率が求められている。
【0036】
【発明の効果】従来の方法による籾の水分測定には15
分から20分の時間を必要としたのに対し、本発明によ
る方法では、加熱乾燥の進行中に乾燥曲線を予測し、予
測がほぼ定常状態に達したところで、最終水分率を決定
してしまうため、最終の乾燥状態に至る以前に測定を終
了することができる。従って、従来の半分以下の時間で
水分測定が可能となり、測定効率を大幅に向上できる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における予測水分率測定の実
行手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の原理を説明するための乾燥曲線を示す
線図である。
【図3】本発明の全体構成の一実施例を示すブロック図
である。
【図4】本発明に係る装置を用いて151点の試料を測
定したときの予測水分率の測定値の誤差の分布を示すヒ
ストグラムである。
【図5】図4と同様に、本発明に係る装置を用いて15
1点の試料を測定したときの測定時間の分布を示すヒス
トグラムである。
【符号の説明】
1 電子天秤 2 試料皿 4 演算制御部 6 赤外線ランプ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線水分計に所要量の試料を導入する
    ステップと、 該導入試料の初期重量を測定すると共に、該試料の加熱
    乾燥を開始し、かつタイマを始動させる始動ステップ
    と、 所定の時間間隔で試料の重量を測定すると共に、その測
    定値と前記始動ステップで測定された初期重量とに基づ
    いて水分率を計算する測定計算ステップと、 各測定計算ステップ毎に求められた水分率の変化率を計
    算する変化率計算ステップと、 前記測定計算ステップで求められた複数個の水分率と前
    記変化率計算ステップで計算された複数個の変化率とに
    基づき、前記試料の水分率を計算し予測するステップ
    と、 該予測ステップで求められた予測水分率とそれ以前に求
    められた予測水分率との差が所定値以下になったとき、
    最終の予測水分率を前記試料の水分率と決定するステッ
    プと、 を備えた赤外線水分計における予測水分測定方法。
  2. 【請求項2】 導入された試料を受ける試料皿と、 該試料の重量を測定する測定手段と、 該試料を加熱乾燥する赤外線加熱手段と、 該赤外線加熱手段で乾燥を開始した後、所定時間毎に前
    記測定手段に前記試料の重量を測定させ水分率を計算す
    る手段と、 前記水分率計算手段で計算された水分率に基づき該水分
    率の変化率を計算する手段と、 前記水分率計算手段で計算された複数個の水分率と、前
    記変化率計算手段で計算された複数個の変化率に基づき
    前記試料の水分率を予測する手段と、 該予測手段で予測された予測水分率とそれ以前に求めら
    れた予測水分率との差が所定値以下となったとき、その
    水分率を該試料の水分率として決定する手段と、を備え
    た赤外線水分計における予測水分測定装置。
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