JPH0591841U - 化粧単板シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長尺状に接合した単板同志の継ぎ目を目立た
なくさせると共に意匠性を高めた化粧単板シートを提供
する。 【構成】 導管孔のない樹種の単板同志をフィンガージ
ョイント方式により継ぎ、不織布、和紙等の裏打ち材３
で裏打ちした長尺状の単板１の上に接着剤層８を介して
木目柄を有する樹脂層４を設け、該樹脂層４の表面に該
樹脂層の厚さよりも深く単板の裏面へは達していない導
管形状の凹部５を設け、該凹部５を着色剤６で着色して
なる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、家具、建具等の各種内装材の化粧用に用いる化粧単板シートに関し 、詳しくは表面に連続した導管模様を形成し、単板の継ぎ目を目立たなくすると 共に意匠性を高めた長尺状の化粧単板シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

家具、建具等、各種内装材の化粧を施す目的で、化粧単板シートなどの化粧シ ートがラッピング加工法により主に棒状の材料に巻かれ使用されている。

【０００３】 従来使用されている化粧単板シートは、天然銘木を薄くスライス（厚さ 0.2mm 〜 0.6mm）した単板同志をフィンガージョイント方式（スライスした単板を鋸歯 状に切断し継ぎ合わせる接合方式）により継ぎ、長尺状とし、これに補強材とし て不織布あるいは和紙等を裏打ちしたものである。この化粧単板シートを内装材 になる木質基材表面に貼着、塗装することにより天然銘木製品と同様の外観を再 現することができる。

【０００４】 しかしながら、上記化粧単板シートを貼着後、内装材として継ぎ目が目立たな いように仕上げるための塗装工程を何回も繰返す必要があり、また単板の樹種や 木理の違いにより価格が大きく異なるなど、問題が多く残されていた。

【０００５】 そこで、本出願人は先に、長尺の継ぎ目を有する突板単板へ着色透明木目柄層 及び着色透明ベタ層を連続して転写又は積層形成して化粧を施すことにより、継 ぎ目を目立ちにくくすると共に各種内装材への貼着後の塗装工程減少を可能にし た突板化粧シートの製造方法を提案した（特願平 3-43539号）。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来方法によれば、導管孔を有する単板を用いた場合には その導管孔を埋めずに木目柄層等を転写又は積層するので、加熱乾燥時のふくれ 、経時の陥没、再塗装時の塗料の発泡、汚れ等の性能上の問題が発生する。この 際に導管孔を埋めるにはさらに多くの工程を必要とし、コスト高につながる。ま た任意に単板同志を接合するため、継ぎ目の前後で導管模様が不連続になるので 継ぎ目が却って強調される格好になってしまうが、このような継ぎ目を十分目立 たなくさせるようにするためには上記従来方法を採用しても不十分な場合もある 。またさらに、上記従来方法では木目柄を変えることにより任意の樹種の外観が 得られるが、単板の導管模様が木目柄の樹種と合わないと不自然に見えるという 問題がある。

【０００７】 本考案はこのような従来の課題に鑑みなされたもので、単板の継ぎ目とは無関 係な表面に連続した導管模様を形成することにより、継ぎ目を目立たなくさせる と共に意匠性を高めた長尺状の化粧単板シートを提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、請求項１の考案は、導管孔のない樹種の単板同志 を継ぎ、さらに不織布、和紙等により裏打ちしてなる長尺状の基材の上に、接着 剤層を介して木目柄を有する樹脂層を設け、さらに該樹脂層の表面には該樹脂層 の厚さよりも深く前記基材の裏面へは達していない凹部を設け、該凹部を着色し てなることを特徴とする化粧単板シートである。

【０００９】 また、請求項２の考案は、上記化粧単板シートの表面にさらに透明樹脂塗料に よるトップコート層を形成したことを特徴とする化粧単板シートである。

【００１０】 以下、本考案を添付図面により更に詳述する。

【００１１】 図１は本考案の化粧単板シートの一構成例を示す断面図である。

【００１２】 図１より明らかなように、本考案の化粧単板シートは、裏面を裏打ち材３によ って裏打ちされた長尺状の単板１の上に接着剤層８を介して木目柄を有する樹脂 層４を有し、該樹脂層４の表面には凹部５が設けられ、さらに該凹部５は着色剤 ６で着色された構成になっている。

【００１３】 単板１としては導管孔のない樹種（一般的には杉、松、檜等の針葉樹）のもの が選ばれ、これを薄くスライス（厚さ 0.2mm〜 0.6mm）した単板同志をフィンガ ージョイント方式により接合して長尺状に形成する。図中の符号２は単板と単板 との継ぎ目を示している。

【００１４】 単板１を補強する裏打ち材３としては、不織布、和紙等が用いられる。

【００１５】 単板１の上に形成される樹脂層４は、具体的には着色透明インキによる木目等 の図柄層及び着色透明ベタ層等を積層形成してなる。単板１の上に樹脂層４を形 成する手段としては例えば転写による方法があり、これは、支持体としてプラス チックフィルム又は薄葉紙を用い透明性を有する剥離層と木目図柄層及び着色透 明ベタ層を印刷又はコーティングにより形成した転写紙を作製し、接着剤層８を 介して長尺の継ぎ目２を有する単板１に連続して転写し上記支持体を剥離して行 なう。

【００１６】 樹脂層４の表面の凹部５は上記木目柄と同調させた導管形状の凹部で、樹脂層 ４転写後、エンボス等により形成される。エンボス方法の代表的なものとしては ロールエンボスが挙げられる。これは、円筒状の金属の円筒面に導管形状の凸部 を設けたエンボス版を樹脂層４の上から単板１に押圧回転させながら、表面に導 管形状の凹部を形成する方法である。これによって、導管模様が単板１の継ぎ目 ２と無関係に表面に連続して形成される。なお、凹部５は樹脂層４の厚さよりも 深く基材１の裏面へは達しない程度の深さとする。

【００１７】 こうして形成した凹部５を着色剤６で着色する方法としては、塗料化された着 色剤６を上から単に塗布するだけで凹部５に着色剤６が多く溜り凹部５が強く着 色される。さらに凹部５以外の部分に着いた着色剤６を拭き取るなどの手段で除 去するワイピング法を採用してもよい。

【００１８】 以上のような構成に係る本考案の化粧単板シートは、裏打ち材３によって裏打 ちした長尺の継ぎ目２を有する単板１に木目柄を有する樹脂層４を連続的に転写 し、その表面に導管形状の凹部５をロールエンボス等により形成し、該凹部５を ワイピング法等により着色することによって得られる。この着色された凹部５は 表面に単板１の継ぎ目２とは無関係に連続した導管模様を形成するので、単板１ の継ぎ目２はほとんど目立たなくなる。

【００１９】 図２は図１の化粧単板シートを上方向から見た平面図であり、便宜上木目柄は 省略して着色凹部５のみが描いてある。また、上述の如く、単板の継ぎ目２は実 際にはほとんど目立たないものであるが、図２では便宜上継ぎ目２の位置が一応 わかるように実線で示してある。

【００２０】 また、図３に示したように、上記構成の化粧単板シートの表面に更に、意匠性 、艶の向上を主たる目的として、透明樹脂塗料によるトップコート層７を形成す ることも出来る。

【００２１】

【作用】

本考案に係る化粧単板シートにあっては、表面に単板の継ぎ目とは無関係に連 続した導管模様が形成されており、単板の継ぎ目はほとんど目立たなくなる。

【００２２】 また、使用する単板の樹種とは無関係に木目柄及びこれと同調させた導管形状 を任意に選択できるので、より意匠性の高い化粧単板シートが得られる。

【００２３】 また、導管孔のない樹種の単板を使用できるので、この上に樹脂層を転写して も前述したような加熱時のふくれや経時の陥没等といった性能上の問題は発生し ない。

【００２４】

【実施例】

以下、実施例を示して本考案を更に具体的に説明する。厚さ25μｍのポリエス テルフィルム上にアクリル樹脂を主体とする着色透明インキによりグラビア印刷 方式にて板目のオーク柄と着色透明ベタ層を設けた転写紙を作製し、単板の表面 に酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤を塗布乾燥後、単板への転写を行ない、上 記ポリエステルフィルムを剥離した。使用した単板は 0.3mm厚の松のスライス単 板であり、約２ｍ間隔でフィンガージョイント方式により接合されており、不織 布が裏打ちされた 100ｍ長の突板単板を使用した。なお、転写は、転写温度 150 ℃〜 200℃、線圧５〜６kg／cmの熱圧着にて行なった。

【００２５】 転写後、ロールエンボス法により、表面の樹脂層上にオーク柄の導管形状の凹 部を形成し、この上にアクリル樹脂を主体とする濃茶色の塗料をロールコーター により塗布後、乾燥前にゴムロールにて凹部以外の箇所に着いた塗料を除去した 。

【００２６】 次いで、アクリルポリオール樹脂とポリイソシアネートを主体とする透明塗料 を乾燥後約10μｍ厚になるように全面塗布し、乾燥後、50℃の雰囲気下で４日間 エージングを行ない、化粧単板シートを得た。

【００２７】 得られた化粧単板シートは、オーク材にワイピング塗装した外観となり、単板 の継ぎ目は、凹部の着色の導管柄が継ぎ目と無関係に連続しているため、目立た なくなった。

【００２８】

【考案の効果】

以上詳細に説明したように、本考案によれば、表面に単板の継ぎ目とは無関係 な連続した導管模様を形成することにより、長尺状に接合された単板の継ぎ目の 目立たない化粧単板シートを提供することが出来る。したがって、内装材になる 木質基材表面に貼着した際、継ぎ目が出ないので良好な外観が得られ、施工能率 も高くなる。

【００２９】 また、所望の木目柄及びこれと同調させた導管形状が使用する単板の樹種とは 無関係に選択できるので、より意匠性の高い化粧単板シートが得られる。

【００３０】 また、本考案の化粧単板シートは、歩留りが高く、安価で品質の安定した製造 が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の化粧単板シートの一構成例を示す断面
図である。

【図２】図１の化粧単板シートを上方向から見た平面図
である。

【図３】本考案の化粧単板シートの別の構成例を示す断
面図である。

【符号の説明】

１ 単板 ２ 継ぎ目 ３ 裏打ち材 ４ 樹脂層 ５ 凹部 ６ 着色剤 ７ トップコート層 ８ 接着剤層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ３２Ｂ 21/10 33/00 7141−4Ｆ (72)考案者 竹脇 智之 東京都台東区台東一丁目５番１号 凸版印 刷株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 導管孔のない樹種の単板同志を継ぎ、さ
   らに不織布、和紙等により裏打ちしてなる長尺状の基材
   の上に、接着剤層を介して木目柄を有する樹脂層を設
   け、さらに該樹脂層の表面には該樹脂層の厚さよりも深
   く前記基材の裏面へは達していない凹部を設け、該凹部
   を着色してなることを特徴とする化粧単板シート。
2. 【請求項２】 請求項１の化粧単板シートの表面にさら
   に透明樹脂塗料によるトップコート層を形成したことを
   特徴とする化粧単板シート。