JPH0588220A - 有機非線形光学材料 - Google Patents

有機非線形光学材料

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JPH0588220A
JPH0588220A JP24763191A JP24763191A JPH0588220A JP H0588220 A JPH0588220 A JP H0588220A JP 24763191 A JP24763191 A JP 24763191A JP 24763191 A JP24763191 A JP 24763191A JP H0588220 A JPH0588220 A JP H0588220A
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JP
Japan
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nonlinear optical
group
optical material
molecular
molecules
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JP24763191A
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English (en)
Inventor
Akira Mizoguchi
晃 溝口
Yasuji Ogaki
安二 大垣
Mitsuru Kuhata
満 久畑
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 短波長領域における光透過性に優れ、しかも
大きな2次の非線形光学効果を示す有機非線形光学材料
を提供する。 【構成】 下記一般式(I) で表される化合物からなる。 【化1】 (式中、Xは電子吸引性基板を示し、YおよびZは同一
または異なって水素原子または電子供与性基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形光学効果を利用
する各種素子の製造に使用される、新規な有機非線形光
学材料に関し、より詳細には、上記非線形光学効果を利
用した第2高調波発生素子、光変調素子、光双安定素子
等であって、特に膜または層の配列体または集合体が構
成要素である素子に好適に用いられる非線形光学材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】非線形光
学効果とは、下記式(i) に示すように、結晶内部にかか
る電場によって誘起される分極Pが、2次以上の項を有
することによって生じる非線形性に伴って発現する光学
的効果である。P=X(1) E+X(2) E・E+X(3)
・E・E+……X(n) n …(i)〔但し、X(n)
n次の非線形感受率、Eは電場ベクトルを表す〕そし
て、上記非線形光学材料が示す2次の非線形光学現象と
しては、第2高調波発生、光整流、光混合、パラメトリ
ック増幅およびポッケルス効果があり、3次の非線形光
学現象としては、第3高調波発生、光双安定性、カー効
果等がある。
【0003】特に、光の電場の2乗に比例して起こる2
次の非線形光学効果は、それに基づく第2高調波発生素
子、和周波または差周波を利用した光波長変換素子、光
変調素子等の非線形光学素子として、オプトエレクトロ
ニクス分野の発展に寄与する素子への応用が可能である
ため、多くの注目を集めている。これらの素子を構成す
る材料としては、現在のところ、主としてKH2 PO4
等の無機材料が使用されている。しかし、これら無機材
料の非線形光学定数は小さく、それゆえ、素子の動作に
は極めて高い電圧、または、極めて強い光強度が必要で
あるという問題がある。
【0004】無機材料では、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3 )の非線形光学定数が最も大きいが、このニオブ酸リ
チウムは、強いレーザー光を照射すると部分的に屈折率
の変化を生じ、また、光によって損傷しやすいという欠
点を有しており、未だ実用化されるに至っていない。近
年、(a) 非線形分極率が大きく、(b) 光によって損傷し
にくく、(c) 電場に対する応答性および応答速度が高い
等、本質的に無機材料よりも非線形光学効果に優れた有
機の非線形光学材料が注目されている〔例えば“Nonlin
ear OpticalProperties of Organic and Polymeric Mat
erials ”ACS SYMPOSIUM SERIES 233,(American Chem
ical Society ,1983)、「有機非線形光学材料」加藤
政雄、中西八郎監修(CMC社、1985)等参照〕。
【0005】上記有機非線形光学材料としては、例え
ば、下記の各式で表される、3−アセチルアミノ−4−
ピロリジン−ニトロベンゼン(以下「PAN」とい
う)、2−メチル−4−ニトロアニリン(以下「MN
A」という)、p−ニトロ−(2−ヒドロキシメチル−
ピロリニル)フェニレン(以下「NPP」という)およ
び4−ジメチルアミノ−3−アセトアミノ−ニトロベン
ゼン(以下「DAN」という)等の化合物があげられ
る。
【0006】PAN:
【0007】
【化2】
【0008】MNA:
【0009】
【化3】
【0010】NPP:
【0011】
【化4】
【0012】DAN:
【0013】
【化5】
【0014】非線形光学材料を、2次の非線形光学現象
の一つである第2高調波発生(SHG)を利用して、入
射光(基本波)の波長を1/2に変換する第2高調波発
生素子に使用する場合、発生した第2高調波を効率良く
取り出すためには、非線形光学材料として、上記第2高
調波に対する透明性が高いもの、すなわち第2高調波の
波長領域(一般的に短波長側の光波長領域)における光
吸収が小さいものを使用する必要がある。
【0015】しかし、前記PAN、MNA、NPP、D
AN等の有機非線形光学材料は、いずれも、短波長領域
における光吸収が大きいため、第2高調波を効率良く取
り出すことができないという問題がある。上記の問題に
は、各化合物の電子状態が関与しており、それゆえ上記
化合物のベンゼン環の炭素原子を窒素原子等で置き換え
て電子状態を変化させ、短波長側の光吸収を小さくする
試みがなされているが、満足の行く結果は得られていな
い。
【0016】また、上記有機非線形光学材料において、
2次の非線形光学効果を左右する2次の非線形感受率X
(2) を大きくするには、分子レベルにおける分極(分子
分極)μを表す、下記式(ii)中の2次の分子超分極率β
を大きくする必要がある。 μ=αE+βE・E+γE・E・E+… …(ii) 〔但し、αは分極率、β,γ…はそれぞれ2次、3次…
の分子超分極率、Eは電場ベクトルを表す〕上記2次の
分子超分極率βは、分子内の電荷移動の大きさに大きく
依存しており、分子内の電荷移動が大きくなれば、2次
の分子超分極率βも大きくなる。しかし、分子内の電荷
移動が大きくなると、非線形光学材料の光波長吸収領域
が長波長になり、前記短波長領域の光の透過率が悪化す
るという問題がある。
【0017】さらに、非線形光学材料が2次の非線形光
学効果を発現するためには、結晶中に配列された各分子
が、互いの分子の持つ永久双極子モーメントを打ち消さ
ないこと、つまり、結晶中における分子の配列が対称中
心を有さないことが必要である。しかし、分子構造から
分子配列を決定することは、現状では殆ど不可能であ
り、分子構造がよく似ていても分子配列が同じであると
は限らず、2次の分子超分極率βが大きい材料であって
も、その結晶中における分子の配列が対称中心を有する
ため、結晶状態では2次の非線形光学現象を生じないも
のが多いという問題もある。
【0018】すなわち、上記式(ii)中の各分子超分極率
が大きい程、微視的、つまり分子レベルの分極μは大き
くなるものの、結晶中における分子の配列が対称中心を
有する場合には、いくら分子レベルの分極μが大きくて
も、巨視的、つまり前記式(i) で表される結晶レベルの
分極Pは小さく、2次の非線形光学現象を生じない場合
がある。
【0019】以上のように、有機結晶材料の光学特性
は、分子の特性のみならず、結晶中における分子の配列
により大きな影響を受けるが、有機分子の結晶における
分子配列は、ある温度領域で個々の分子種により一義的
に決まる場合が多く、結晶中での分子配列の制御は非常
に困難である。したがって、分子自身の持つ光学特性が
分子配列によって影響を受け、有機結晶材料を構成する
分子本来の非線形光学効果を十分に発揮できないという
問題がある。
【0020】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであって、短波長領域における光透過性に優れ、かつ
大きな2次の非線形光学効果を示す有機非線形光学材料
を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するために、本発明者らは、既知の有機非線形光学材
料の分子構造を詳細に検討した結果、ヘテロ縮合多環化
合物が対称中心のない結晶構造をとり易いことを見出し
た。これらの化合物の中で、とくにジベンゾフラン化合
物は結晶性が良くかつ熱安定性が良好である。
【0022】さらに、第2高調波の波長領域における光
吸収の有無の問題に関しては、一種の分子軌道法である
PPP(Pariser-Parr-Pole)−MO法を用いて極大光
吸収波長(λmax )および2次の分子超分極率βの予測
を行い、その結果から非線形光学素子に好適な分子構造
を決定するという手法を用いることにより、分子の基本
骨格を決定した。そして、結晶中における分子の配列が
対称中心を有さないように、分子を配向させるべく、上
記極大光吸収波長(λmax )や2次の分子超分極率βに
殆ど影響を与えない種々の置換基を、上記基本骨格に導
入することによって、その結晶構造を制御し、最適な配
向をする置換基の組み合わせを決定するという手法を用
いることによって、下記一般式(I) で表される化合物が
高い2次の非線形光学効果を有し、特に第2高調波発生
素子用の有機非線形光学材料として好適に使用し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
【化6】
【0024】〔式中、Xは電子吸引性基板を示し、Yお
よびZは同一または異なって水素原子または電子供与性
基を示す。)すなわち、本発明の有機非線形光学材料
は、上記一般式(I) で表される化合物からなることを特
徴とする。一般式(I) で表される化合物の2次の分子超
分極率βは、前記PPP−MO法により得られた分子パ
ラメータを用いて、下記式(iii) により算出される〔J.
L.Oudar ,J ,Chem. ,Phys. ,67,446 (1977)参
照〕。
【0025】
【数1】
【0026】〔但し、eは電子の電荷、
【0027】
【外1】
【0028】はh/2π(hはプランクの定数)、mは
電子の質量、wは基底状態と励起状態のエネルギー差、
【0029】
【外2】
【0030】は入射光エネルギー、fは振動子強度、Δ
μgeは基底状態と励起状態の双極子モーメントの差を示
す〕なお、上記PPP−MO法と式(iii) とを用いて、
特定材料の2次の分子超分極率βを予測することの妥当
性については、それを証明する報告がなされている〔清
水洋その他、日本化学会秋期年会予稿集(1987)参
照〕。上記報告によれば、2次の分子超分極率βの実測
値が判明している、従来公知の各種非線形光学材料につ
いて、上記方法で2次の分子超分極率βを計算したとこ
ろ、計算値と実測値とが良好に一致することが確認され
ている。したがって、上記方法は、有機非線形光学材料
として新規な化合物の、2次の分子超分極率βを予測す
る方法としても、妥当な方法であるといえる。
【0031】前記一般式(I)で表される化合物のう
ち、本発明に好ましい化合物としては、一般式(I)に
おいてXが2位または3位に置換したカルボニル基また
は酸無水物基のついた化合物である。これらの化合物の
2次の分子超分極率βと極大吸収波長(λmax )とを式
(i)を用いて算出したところ、β = 6〜17×10
-30 esu (at 1064 nm)λmax = 260〜300 nm
となった。λmax の値は、PAN,DAN,MNA,N
PP等の従来の材料に比べて40〜90nmも短波長側
にシフトすることが予測され、短波長の光源を使用した
場合でも充分に第2高調波の波長領域における光透過性
に優れている。
【0032】前記一般式(I)で表される化合物におい
て、基Zで示される電子吸引性基としては、例えばフッ
素、塩素、臭素またはヨウ素であるハロゲン原子; シア
ノ基; ニトロ基; メタンスルホニル、エタンスルホニ
ル、プロパンスルホニル、ブタンスルホニル、トリフル
オロメタンスルホニル、2,2,2−トリフルオロエタ
ンスルホニル等のハロゲン原子を有していてもよいアル
カンスルホニル基; スルホ基; メトキシスルホニル、エ
トキシスルホニル、プロポキシスルホニル、イソプロポ
キシスルホニル、ブトキシスルホニル、tert- ブトキシ
スルホニル、ペンチルオキシスルホニル、ヘキシルオキ
シスルホニル、オクチルオキシスルホニルなどのアルコ
キシスルホニル、フェノキシスルホニル、p-シアノフェ
ノキシスルホニル等の置換基を有していてもよいフェノ
キシスルホニル等のエステル化されたスルホ基; カルボ
キシル基; 酸無水物基; メトキシカルボニル、エトキシ
カルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニ
ル、tert- ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル、ヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカル
ボニル、ノニルオキシカルボニル、デシルオキシカルボ
ニル、ウンデシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカ
ルボニル、トリデシルオキシカルボニル、テトラデシル
オキシカルボニル、ペンタデシルオキシカルボニル等の
アルコキシカルボニル基; フェノキシカルボニル、p-ニ
トロフェニルオキシカルボニル等の置換基を有していて
もよいアリールオキシカルボニル、ベンジルオキシカル
ボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル等のアラルキ
ルオキシカルボニル等のエステル化されたカルボキシル
基; アルデヒド( ホルミル) 、アセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノ
イル、ベンゾイル等のアシル基; カルバモイル、メチル
カルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモ
イル、プロピルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、
ラウリルカルバモイル、ベンジルカルバモイル、フェニ
ルカルバモイル等の置換基を有していてもよいカルバモ
イル基; スルファモイル、メチルスルファモイル、エチ
ルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ベンジル
スルファモイル等の置換基を有していてもよいスルファ
モイル基; ニトロソ基; スルフィノ基; チオカルボキシ
ル基等があげられる。
【0033】基X またはY で表される電子供与性基とし
ては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、tert- ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプ
チル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシ
ル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等のアル
キル基;ヒドロキシル基;メチロール、2−ヒドロキシ
エチル、3−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキ
ル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、イソブトキシ、tert- ブトキシ、ペンチ
ルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチル
オキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキ
シ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシル
オキシ、ペンタデシルオキシ等のアルコキシル基; メル
カプト基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブ
チルチオ、ヘキシルチオ等のアルキルチオ基; ベンジル
チオ、フェニルチオ等の置換基を有していてもよいアラ
ルキルチオまたはアリールチオ基; アミノ、メチルアミ
ノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミ
ノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、
メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミ
ノ、ジブチルアミノ等のアルキル基を有していてもよい
アミノ基; ベンジルアミノ、ベンズヒドリル、トリチル
アミノ等のアリールアミノ基; フッ素、塩素、臭素また
はヨウ素であるハロゲン原子; フッ素、塩素、臭素また
はヨウ素であるハロゲン原子が置換したフェニル基、上
記アルキル基、上記フェニル基を置換基として例示のヒ
ドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、
メルカプト基、アルキルチオ基、置換基を有していても
よいアラルキルチオ基またはアリールチオ基、アルキル
基を有していてもよいアミノ基、アラルキルアミノ基、
アリールアミノ基等があげられる。
【0034】前記一般式(I)で表される化合物のう
ち、Xがカルボニル基または酸無水物基、とくに2位ま
たは3位に置換したカルボニル基または酸無水物基であ
るものが望ましい。上記化合物からなる、本発明の有機
非線形光学材料は、高分子、クラスレイト化合物(包接
化合物)、固溶体、液晶等の宿主格子中に包有した状
態、支持体上に沈積した薄層の状態(ラングミュア−プ
ロジェットの単分子層)、単結晶、粉末、溶液等の、種
々の形態で使用することができる。
【0035】以上のように、本発明の有機非線形光学材
料は、高い2次の非線形光学効果を示すとともに、短波
長領域の光の透過性に優れているため、第2高調波発生
素子等の光波長変換素子用の非線形光学材料として特に
好適に使用できる他、非線形光学材料を使用するその他
の素子、例えば、位相変調素子、位相共役光学素子、振
幅変調素子、周波数変調素子、パルス変調素子、偏面波
変調素子等の光変調素子や、あるいは、光記憶素子、光
パルス波形制御素子、光リミッタ、微分増幅素子、光ト
ランジスタ、A/D変換素子、光論理素子、光マルチバ
イブレータ、光フリップフロップ回路等の光双安定素子
にも、好適に使用することができる。
【0036】本発明の有機非線形光学材料から、上記各
種の素子を形成する場合には、通常、当該有機非線形光
学材料そのものを素子として用いればよい。しかし、本
発明の有機非線形光学材料から、第2高調波発生素子等
の光波長変換素子や、位相変調素子等の光変調素子を形
成する場合には、当該有機非線形光学材料を光導波路に
使用した光導波路型の構成とすることが好ましい〔J.Zy
ss,J.Molecular Electronics ,25(1985)等参
照〕。
【0037】上記の場合には、光導波路内に光を閉じ込
めることができるので、光パワー密度が大きくなり、ま
た相互作用長を長くすることができるので、波長変換や
位相変調等の高効率化を図ることができ、さらに、モー
ド分散を利用した位相整合も可能である。光導波路を形
成するには、例えば、非線形媒質の原料を、等方性媒
質からなるキャピラリー中、等方性媒質からなる光導
波路基板上、等方性媒質からなる光導波路基板間等
で、加熱溶融させた後、ゆっくりと冷却させて結晶を析
出させる方法、基板上に真空蒸着法、高周波スパッタリ
ング法等によって結晶を析出させる方法等が採用され
る。
【0038】また、適当な有機溶媒に、上記原料を溶解
させた溶液から、上記キャピラリー中、基板上または基
板間に結晶を析出させることもできる。さらに、場合に
よっては、キャピラリーの内壁面や基板の表面等の、非
線形媒質と等方性媒質との接触界面となるべき部分を配
向処理剤で処理した後、前記のように、非線形媒質を析
出、結晶成長させてもよい。
【0039】配向処理剤としては、無機塩および有機塩
(例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムな
ど)、適当な高分子(例えば、ポリアミドなど)からな
る薄膜、金属錯体、金属薄膜(例えば、斜め蒸着した金
薄膜など)等が例示される。なお、本発明の有機非線形
光学材料を光導波路に使用した非線形光学素子は上記例
に限定されるものではなく、例えば光変調素子として
は、振幅変調することができる縦型動作の光導波路型光
変調素子でもよく、また結晶などの非線形媒質自体に直
接電圧を印加する形態とすることもできる。なお、光変
調素子においては、非線形媒質の対称性、結晶軸の方向
等により、位相変調を効率よく行なうための電界印加方
向が異なるので、それらに基づいて、電極の構成を適宜
変更するのがよい。
【0040】
【実施例】以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳
細に説明する。実施例1 2−ニトロジベンゾフラン8.0g(0.0375モ
ル)をニトロベンゼン40mlに溶解し、氷冷下攪拌し
た。これに、無水塩化アルミニウム7.58g(0.0
568モル)を乳バチですりつぶして粉末にしたものを
加えた。ついで、塩化ベンゾイル7.98g(0.05
68モル)をニトロベンゼン50mlに溶解した溶液を、
20℃以下の温度に保持しながら滴下した。滴下後、室
温に戻し、5時間攪拌した後、氷冷した蒸留水1000
mlに攪拌しながら加えた。ジクロロメタン300mlで3
回抽出し、炭酸ナトリウム水溶液(pH8)で1回、蒸
留水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、さら
に溶媒を留去し、白色固体を得た。
【0041】得られた反応生成物に、加温したエタノー
ルを加え、ろ別することにより、エタノール可溶分を分
離し、そのまま再結晶を行った。析出した結晶をさらに
昇華法にて精製した。かくして得られた白色結晶につい
て、核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析法、質量分
析法により化合物の同定を行った結果、下記式(II)で表
される2−ベンゾイル−8−ニトロジベンゾフラン(以
下、BNDFという)であることが確認された。融点:
206〜207℃、
【0042】
【化7】
【0043】実施例2 2−ニトロジベンゾフランに代えて3−メチルジベンゾ
フランを用いた他は、実施例1と同様にして白色結晶を
得た。核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析法、質量
分析法により化合物の同定を行った結果、下記式(III)
で表される2−ベンゾイル−7−メチルジベンゾフラン
(以下、BNDFという)であることが確認された。融
点:115〜116℃、
【0044】
【化8】
【0045】実施例3 2−ニトロジベンゾフランに代えて3−ヒドロキシジベ
ンゾフランを用いた他は、実施例1と同様にして白色結
晶を得た。核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析法、
質量分析法により化合物の同定を行った結果、下記式(I
V)で表される2−ベンゾイル−7−ヒドロキシジベンゾ
フラン(以下、BHDFという)であることが確認され
た。融点:175〜176℃、
【0046】
【化9】
【0047】実施例4 2−ニトロジベンゾフランに代えてジベンゾフランを、
塩化ベンゾイルに代えて4−メトキシベンゾイルクロリ
ドを用いた他は、実施例1と同様にして白色結晶を得
た。核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析法、質量分
析法により化合物の同定を行った結果、下記式(V) で表
される2−(4′−メトキシベンゾイル)ジベンゾフラ
ン(以下、MBDFという)であることが確認された。
融点:144〜146℃、
【0048】
【化10】
【0049】実施例5 2−ニトロジベンゾフランに代えてジベンゾフランを、
塩化ベンゾイルに代えて4−クロロベンゾイルクロリド
を用いた他は、実施例1と同様にして白色結晶を得た。
核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析法、質量分析法
により化合物の同定を行った結果、下記式(VI)で表され
る2−(4′−クロロベンゾイル)ジベンゾフラン(以
下、CBDFという)であることが確認された。融点:
156〜157℃、
【0050】
【化11】
【0051】実施例6 2−ニトロジベンゾフランに代えてジベンゾフランを、
塩化ベンゾイルに代えて4−ニトロベンゾイルクロリド
を用いた他は、実施例1と同様にして白色結晶を得た。
この白色結晶2gを、蒸留したエタノール500mlに完
全に溶解させ、フラスコ内を窒素ガスで置換させた。こ
こに触媒としてパラジウムカーボン0.5gを加えた
後、フラスコ内を水素ガスで置換し、一昼夜室温で攪拌
した。パラジウムカーボンをろ別後、エタノールを留去
させ風乾した。得られた固体をジクロロメタンを展開溶
媒として用いたシリカゲルカラムにて分離した。エタノ
ールより再結晶した後、昇華精製を行った。得られた白
色結晶について、核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分
析法、質量分析法により化合物の同定を行った結果、下
記式(VII) で表される2−(4′−アミノベンゾイル)
ジベンゾフラン(以下、ABDFという)であることが
確認された。融点:198〜199℃、
【0052】
【化12】
【0053】実施例7 2−ニトロジベンゾフランに代えて3−ヒドロキシジベ
ンゾフランを、塩化ベンゾイルに代えて塩化アセチルを
用いた他は、実施例1と同様にして白色の混合物を得
た。この白色の混合物を、ジクロロメタンを展開溶媒と
して用いたシリカゲルカラムにて分離した。エタノール
より再結晶した後、昇華精製を行った。得られた白色結
晶について、核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析
法、質量分析法により化合物の同定を行った結果、下記
式(VIII)で表される2−アセチル−3−ヒドロキシジベ
ンゾフラン(以下、AHDFという)であることが確認
された。融点:153〜154℃、
【0054】
【化13】
【0055】実施例8 2−ニトロジベンゾフランに代えて2,8−ジエチルジ
ベンゾフランを、塩化ベンゾイルに代えてイソプロピオ
ニルクロリドを用いた他は、実施例1と同様にして白色
結晶を得た。核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光分析
法、質量分析法により化合物の同定を行った結果、下記
式(IX)で表される2,8−ジエチル−3−イソプロピオ
ニルジベンゾフラン(以下、DEPDFという)である
ことが確認された。融点:80〜81℃、
【0056】
【化14】
【0057】実施例9 N,N−ジメチルホルムアミド5.8mlをフラスコに入
れ、ここにオキシ塩化リン1.9mlを氷冷下、ピペット
にて加えた。さらにジベンゾフラン3.0g(0.01
78モル)をN,N−ジメチルホルムアミド5.0mlに
溶解したものを10℃以下の温度に保ちながら除々に加
え、そのまま30分間攪拌した。反応温度を40℃程度
に上げ、さらに1時間攪拌した後、氷を加え急冷した。
その後、水酸化ナトリウム水溶液を加え弱アルカリ性に
した後、再び反応温度を100℃に上げ数分間攪拌し
た。その後、そのまま冷却することにより、析出した固
体をろ別した。生成物を蒸留水にて充分洗浄後、風乾し
た。エタノールで再結晶した後、昇華精製を行い、白色
結晶を得た。この白色結晶について、核磁気共鳴(NM
R)法、赤外分光分析法、質量分析法により化合物の同
定を行った結果、下記式(X) で表される3−ジベンゾフ
ランカルボックスアルデヒド(以下、DFAという)で
あることが確認された。融点:126〜127℃、
【0058】
【化15】
【0059】実施例10 実施例9で得た3−ジベンゾフランカルボックスアルデ
ヒド(DFA)4g(0.0670モル)に塩化チオニ
ル25mlを加え、室温で攪拌した。真空ポンプにて過剰
の塩化チオニルを除去した後、炭酸水素ナトリウム水溶
液100mlとピリジン50mlとを加え、室温下で2時間
攪拌した。ピリジンを留去後、酢酸エチルにて抽出し、
蒸留水で充分に洗浄した。さらに無水硫酸ナトリウムに
て脱水し、溶媒を留去して、白色固体を得た。このもの
をエタノールで再結晶した後、昇華精製した。得られた
白色結晶について、核磁気共鳴(NMR)法、赤外分光
分析法、質量分析法により化合物の同定を行った結果、
下記式(XI)で表される3−ジベンゾフランカルボキシリ
ックアンハイドライド(以下、DFAAという)である
ことが確認された。融点:255〜256℃、
【0060】
【化16】
【0061】評価試験1 上記実施例1〜10で得た化合物について、S.K.Kurtz
,T.T.Perry ,J.Apply.Phys. ,39,3798(1968)所
載の方法に準じた下記の測定方法により、発生する第2
高調波の強度を測定した。すなわち、上記各化合物の結
晶の粉末をそれぞれガラスセルに詰め、このガラスセル
にNd:YAGレーザ(波長1.064μm)を照射し
て、セルから出る光に含まれる、波長532nmの第2高
調波のSHG強度を、光電子倍増管を用いて測定した。
結果を表1に示す。なお、SHG強度は、標準物質であ
る尿素を用いた場合の第2高調波の強度を1として、そ
の相対値で示した。
【0062】
【表1】
【0063】表1より、実施例1〜10で得られた化合
物は、いずれも大きな非線形光学効果を示すことがわか
る。評価試験2 上記実施例1〜10で得た化合物と、従来物質であるN
PP、MNA、PAN、DANとを、それぞれエタノー
ルに溶解して、濃度4×10-4モル/lのエタノール溶
液を作製し、250〜500nmの波長領域の分光透過曲
線を測定した。その結果を図1に示す。
【0064】図1より、本発明に係る化合物であるBN
DF、BMDF、BHDF、MBDF、CBDF、AB
DF、AHDF、DEPDF、DFA、DFAAは、い
ずれも従来物質であるNPP、MNA、PAN、DAN
に比べて光吸収波長領域が短波長であり、360nm以
上の光を吸収しないことが判った。
【0065】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の有機非
線形光学材料は、短波長領域における光透過性に優れ、
且つ、大きな2次の非線形光学効果を示すものであるた
め、特に、2次の非線形光学材料として各種の非線形光
学素子に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化合物であるBNDF、BMD
F、BHDF、MBDF、CBDF、ABDF、AHD
F、DEPDF、DFA、DFAAおよび従来物質であ
るNPP、MNA、PAN、DANの分光透過曲線を示
すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) で表される化合物からなる
    ことを特徴とする有機非線形光学材料。 【化1】 (式中、Xは電子吸引性基を示し、YおよびZは同一ま
    たは異なって水素原子または電子供与性基を示す。)
  2. 【請求項2】上記一般式(I) 中のXがカルボニル基また
    は酸無水物基である請求項1記載の有機非線形光学材
    料。
JP24763191A 1991-09-26 1991-09-26 有機非線形光学材料 Pending JPH0588220A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022244429A1 (ja) * 2021-05-18 2022-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 非線形光吸収材料、記録媒体、情報の記録方法及び情報の読出方法

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WO2022244429A1 (ja) * 2021-05-18 2022-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 非線形光吸収材料、記録媒体、情報の記録方法及び情報の読出方法

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