JPH0580374A - 有機非線形光学材料 - Google Patents

有機非線形光学材料

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JPH0580374A
JPH0580374A JP24336391A JP24336391A JPH0580374A JP H0580374 A JPH0580374 A JP H0580374A JP 24336391 A JP24336391 A JP 24336391A JP 24336391 A JP24336391 A JP 24336391A JP H0580374 A JPH0580374 A JP H0580374A
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optical
nonlinear optical
optical material
organic
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Akira Mizoguchi
晃 溝口
Yasuji Ogaki
安二 大垣
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い非線形感受率と、高速応答性とを有し、
高速光スイッチや光双安定素子等の、光情報処理システ
ムにおけるキーデバイスとなる素子を形成できる有機非
線形光学材料を提供する。 【構成】 下記一般式(I) で表される化合物からなる。 【化1】 〔式中Zは電子吸引性基または電子供与性基を表し、R
1 ,R2 ,R3 ,R4 は、それぞれ、同一または異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは
正の整数を表す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、非線形光学効果を利用する各種
素子の製造に使用される、新規な有機非線形光学材料に
関し、より詳細には、上記非線形光学効果を利用した光
双安定素子等であって、特に、膜または層の配列体また
は集合体が構成要素である素子に好適に用いられる、非
線形光学材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】非線形光
学効果とは、下記式(i) に示すように、結晶内部にかか
る電場によって誘起される分極Pが、2次以上の項を有
することによって生じる非線形性に伴って発現する光学
的効果である。 P=X(1) E+X(2) E・E+X(3) E・E・E+……X(n) n …(i) 〔但し、X(n) はn次の非線形感受率、Eは電場ベクト
ルを表す〕そして、上記非線形光学材料が示す2次の非
線形光学現象としては、第2高調波発生、光整流、光混
合、パラメトリック増幅およびポッケルス効果があり、
3次の非線形光学現象としては、第3高調波発生、光双
安定性、カー効果等がある。
【0003】特に、3次の非線形光学現象としての光双
安定性を利用すれば、高速光スイッチや光双安定素子等
の、将来的な光情報処理システムにおけるキーデバイス
となり得る素子が得られるため、近年、非線形光学材料
の研究開発が盛んに行われている。このような光双安定
性を示す非線形光学材料としては、多重量子井戸構造を
有する半導体や、CuCl2 、CdS等の半導体の微粒子を分
散させたガラス、π電子共役系を有する有機化合物等が
知られている〔例えば、固体物理〈非線形光学特集
号〉,24,(11),1989等参照〕。
【0004】これらの材料の中で、多重量子井戸構造を
有する半導体と、半導体微粒子を分散させたガラスは光
の吸収を伴うため、応答速度が10-8〜10-11sec. と
遅く、一方、π電子共役系を有する従来の有機化合物
は、応答速度が10-12 〜10 -14sec. と速いものの、
3次の非線形感受率X(3) が10-9〜10-11esuと小さ
いため、何れのものも、実用的なオールオプティカルな
素子に用いることができない。
【0005】本発明は、以上の事情に鑑みてなされたも
のであって、高い非線形感受率と、高速応答性とを両立
し得る有機非線形光学材料を提供することを目的として
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】一般に、有機
非線形光学材料は、大部分が、弱いファンデルワールス
力によって結合した分子性結晶を形成するため、結晶レ
ベルでの3次の非線形感受率X(3 ) を大きくするには、
各分子レベルにおける分極(分子分極)μを表す、下記
式(ii)中の3次の分子超分極率γを大きくすれば良い。
【0007】 μ=αE+βE・E+γE・E・E+… …(ii) 〔但し、αは分極率、β,γ…は、それぞれ2次、3次
…の分子超分極率、Eは電場ベクトルを表す。〕3次の
分子超分極率γは、光電場が印加された状態で分子の電
子波動関数から、電気双極子モーメントの期待値を計算
することで予測可能であることが知られており[J.F.Wa
rd and B.J.Orr,Mol.Phys.,20(1971)513 ]、また、
分子の電子波動関数は、分子軌道計算から求めることが
できる。
【0008】特に、半経験的な分子軌道法の一種である
PPP(Pariser-Parr-Pole )−MO法を用いて計算し
た3次の分子超分極率γは、実測値と良く一致すること
が報告されており〔大垣安二、溝口晃、服部康弘、西村
明、レーザー学会第172回研究会報告、P23,1991〕、
3次の分子超分極率γの計算に有効な方法であると言え
る。
【0009】そこで、本発明者らは、上記PPP−MO
法による3次の分子超分極率γの計算を並行して行いな
がら、π電子共役系を有する有機化合物の分子構造の検
討を行い、その結果、下記一般式(I) で表される化合物
が、高い非線形感受率と、高速応答性とを両立し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【化2】
【0011】〔式中Zは電子吸引性基または電子供与性
基を表し、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、それぞれ、同一
または異なって、水素原子、ハロゲン原子または有機基
を表す。nは正の整数を表す。〕すなわち、本発明の有
機非線形光学材料は、上記一般式(I) で表される化合物
からなることを特徴とする。
【0012】上記一般式(I) で表される化合物に類似し
た構造を有する、下記一般式(II)〜(IV)で表される有機
化合物が高い非線形感受率と高速応答性とを示すこと
は、既に公知である(例えば、Alan Buckley et.al.,US
Patent No.4,707,305、特開昭61−296332号公
報等参照)。
【0013】
【化3】
【0014】〔上記各式中Rは、水素またはアルキル基
を表す。〕しかしながら、これらの化合物は、何れも、
非中心対称形の分子構造を有しており、2次の非線形光
学効果を有するものであるため、前述した3次の非線形
光学効果を利用した、高速光スイッチや光双安定素子等
に使用した場合には、この2次の非線形光学効果の混在
によって、スイッチング性能や光双安定性が悪影響を受
けることが予想される。
【0015】これに対し、前記一般式(I) で表される化
合物からなる、本発明の有機非線形光学材料は、中心対
称形の分子構造を有するため、2次の非線形光学効果を
有さず、したがって、2次の非線形光学効果の混在によ
る上記の問題が生じるおそれのない、スイッチング性能
や光双安定性の優れたものである。前記一般式(I) で表
される化合物においてZで表される基のうち、電子吸引
性基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、セレン原
子、テルル原子等のカルコゲン原子の他、シアノ基;ニ
トロ基;メタンスルホニル、エタンスルホニル、プロパ
ンスルホニル、ブタンスルホニル、トリフルオロメタン
スルホニル、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニ
ル等のハロゲン原子を有していてもよいアルカンスルホ
ニル基;スルホ基;メトキシスルホニル、エトキシスル
ホニル、プロポキシスルホニル、イソプロポキシスルホ
ニル、ブトキシスルホニル、tert- ブトキシスルホニ
ル、ペンチルオキシスルホニル、ヘキシルオキシスルホ
ニル、オクチルオキシスルホニルなどのアルコキシスル
ホニル、フェノキシスルホニル、p−シアノフェノキシ
スルホニルなどの置換基を有していてもよいフェノキシ
スルホニル等のエステル化されたスルホ基;カルボキシ
ル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロ
ポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキ
シカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキ
シカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオ
キシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ノニルオ
キシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ウンデシル
オキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、トリデ
シルオキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニ
ル、ペンタデシルオキシカルボニルなどのアルコキシカ
ルボニル基:フェノキシルカルボニル、p−ニトロフェ
ニルオキシカルボニルなどの置換基を有していてもよい
アリールオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニ
ル、ベンズヒドリルオキシカルボニルなどのアラルキル
オキシカルボニル等のエステル化されたカルボキシル
基;アルデヒド(ホルミル)、アセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノ
イル、ベンゾイル等のアシル基;カルバモイル、メチル
カルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモ
イル、プロピルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、
ラウリルカルバモイル、ベンジルカルバモイル、フェニ
ルカルバモイル等の置換基を有していてもよいカルバモ
イル基;スルファモイル、メチルスルファモイル、エチ
ルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ベンジル
スルファモイルなどの置換基を有していてもよいスルフ
ァモイル基;ニトロソ基;スルフィノ基;チオカルボキ
シル基などがあげられる。
【0016】また、前記一般式(I) で表される化合物に
おいてZで表される基のうち、電子供与性基としては、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、te
rt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシ
ル、テトラデシル、ペンタデシル等のアルキル基;ヒド
ロキシル基;メチロール、2−ヒドロキシエチル、3−
ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキル基;メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、
ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノ
ニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシ
ルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペ
ンタデシルオキシ、ペンタデシルオキシ等のアルコキシ
ル基;メルカプト基;メチルチオ、エチルチオ、プロピ
ルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ等のアルキルチオ
基;ベンジルチオ、フェニルチオ等の置換基を有してい
てもよいアラルキルチオ基またはアリールチオ基;アミ
ノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イ
ソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジ
メチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、
ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ等のアルキル基を有
していてもよいアミノ基;ベンジルアミノ、ベンズヒド
リル、トリチルアミノ等のアラルキルアミノ基またはア
リールアミノ基;フッ素、塩素、ヨウ素等のハロゲン原
子;上記ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アル
コキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、置換基を
有していてもよいアラルキルチオ基またはアリールチオ
基、アルキル基を有していてもよいアミノ基、アラルキ
ルアミノ基、アリールアミノ基等に、ハロゲン原子が置
換したフェニル基、アルキル基、フェニル基等が置換し
た基などがあげられる。
【0017】さらに、前記一般式(I) で表される化合物
において、R1 ,R2 ,R3 ,R4 で表される基のう
ち、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素が例示され、有機基としては、前記電子吸引性基およ
び電子供与性基の中の有機基のうち、酸素原子、硫黄原
子等のカルコゲン原子を除いたものがあげられる。上記
例示の中でも、一般式(I) 中のZが酸素原子、R1 ,R
2,R3 ,R4 が何れも水素原子、nが3以上の整数で
ある化合物は、3次の分子超分極率γが大きいため、非
線形感受率および高速応答性に優れており、最も好まし
いものとしてあげられる。
【0018】本発明の有機非線形光学材料は、高分子、
クラスレイト化合物(包接化合物)、固溶体、液晶等の
宿主格子中に包有した状態、支持体上に沈積した薄層の
状態(ラングミュア−プロジェットの単分子層)、単結
晶、粉末、溶液等の、種々の形態で使用することができ
る。以上詳述したように、本発明の有機非線形光学材料
は、高い3次の非線形光学効果を示すため、例えば、位
相変調素子、位相共役光学素子、振幅変調素子、周波数
変調素子、パルス変調素子、偏面波変調素子等の光変調
素子や、光記憶素子、光パルス波形制御素子、光リミッ
タ、微分増幅素子、光トランジスタ、A/D変換素子、
光論理素子、光マルチバイブレータ、光フリップフロッ
プ回路等の光双安定素子、あるいは、第3高調波発生素
子等に、好適に使用することができる。
【0019】本発明の有機非線形光学材料から、上記各
種の素子を製造する場合には、通常、当該有機非線形光
学材料そのものを素子として用いればよい。また、導波
路型の素子を形成すれば、当該導波路内に光を閉じ込め
ることが可能なため光パワー密度が大きくなり、しか
も、相互作用長を長くすることができるので、上記素子
の作動パワーを低くすることができる。
【0020】光導波路を形成するには、例えば本発明の
有機非線形光学材料を、等方性媒質からなる光導波路基
板上もしくは基板間で薄膜化する必要がある。有機非線
形光学材料の薄膜は、結晶またはアモルファス状の何れ
かに形成されるが、当該有機非線形光学材料の有する非
線形性を最大限に発揮させるには、結晶の方が好まし
い。
【0021】有機非線形光学材料の結晶を、光導波路基
板上もしくは基板間で成長させて薄膜化する方法として
は、有機非線形光学材料を加熱溶融した後、ゆっくりと
冷却して結晶を析出させる方法、有機非線形光学材料を
適当な有機溶媒に溶解した溶液から、結晶を析出させる
方法、基板上に、真空蒸着法、高周波スパッタリング法
等によって結晶を析出させる方法等が採用される。
【0022】さらに、場合によっては、基板の表面を配
向処理剤で処理した後、上記のように有機非線形光学材
料を結晶成長させてもよい。配向処理剤としては、無機
塩および有機塩(例えば臭化ヘキサデシルトリメチルア
ンモニウムなど)、適当な高分子(例えばポリアミドな
ど)からなる薄膜、金属錯体、金属薄膜(例えば斜め蒸
着した金薄膜など)等が例示される。
【0023】また、上記配向処理に代えて、表面にグレ
ーティングを形成した基板を用いることもできる。グレ
ーティングは、フォトリソグラフィーにより形成したマ
スクを用いて、気相もしくは液相エッチングにより形成
する方法の他、ラビング法やラングミュア−ブロジェッ
ト法によって、基板上に薄膜層を形成する方法等により
形成することができる。
【0024】
【実施例】以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳
細に説明する。π電子共役系化合物の検討 下記の繰り返し単位を有する本発明化合物、並びに代表
的なπ電子共役系化合物について、励起波長1.907
μmの条件における3次の分子超分極率γと、炭素原子
数との関係を、前記PPP−MO法により計算した。
【0025】
【化4】
【0026】結果を図1に示す。なお、図中の各線は、
それぞれ、下記の化合物における計算結果に相当してい
る。 −△−△−:上記一般式(i) の繰り返し単位を有する本
発明化合物 −●−●−:上記一般式(ii)の繰り返し単位を有するポ
リアセチレン系化合物 −○−○−:上記一般式(iii) の繰り返し単位を有する
ポリアセン系化合物 −▲−▲−:上記一般式(iv)の繰り返し単位を有するポ
リパラフェニレン系化合物 図1の結果より、本発明化合物は、炭素数に関係なく、
ポリアセン系化合物やポリパラフェニレン系化合物に比
べて、常に高い3次の分子超分極率γを示し、このこと
から、従来公知の上記両化合物より、高い非線形感受率
と、高速応答性とを有するものであることが予測され
た。
【0027】また、高い非線形感受率を有することが知
られているポリアセチレン系化合物と比較すると、本発
明化合物は、炭素数20以上で、ポリアセチレン系化合
物を上回る3次の分子超分極率γを示し、このことか
ら、本発明化合物の中でも、前記一般式(I) 中のnが3
以上の化合物が、より好適であることが判った。実施例1 4−フェニルフェノール10g(0.06モル)をニト
ロベンゼン50mlに溶解し、攪拌しつつ、無水塩化アル
ミニウム粉末9.4g(0.07モル)を加えた後、液
温を80℃に加温して4時間攪拌した。そして、4時間
経過後、加温を停止して放冷し、さらに、500mlの蒸
留水中に加えて希釈して、反応を停止させた。
【0028】つぎに、反応生成物をジクロロメタンによ
り抽出し、抽出液を蒸留水で洗浄した後、無水硫酸ナト
リウムで脱水し、さらに、無水硫酸ナトリウムをろ別し
た後、溶媒を留去して固体状の反応生成物を得た。得ら
れた反応生成物を、ジクロロメタンを展開溶媒として、
シリカゲルカラムによって分離して、白色の固体を得
た。
【0029】つぎに、この固体2gを1,4−ジオキサ
ン200mlに溶解して溶液を作製し、この溶液を、氷冷
下、酢酸鉛4gと酢酸80mlとの懸濁溶液中に、攪拌し
つつ滴下した後、室温で1時間攪拌した。1時間経過
後、反応液を冷蔵庫中で冷却して固体を析出させ、析出
した固体をろ別して、この固体を蒸留水およびヘキサン
で順に洗浄した後、風乾した。そして、上記固体を、ジ
クロロメタンを展開溶媒として、シリカゲルカラムによ
って分離して、茶色の固体を得た。
【0030】得られた固体について、赤外分光分析法
(IR)、質量分析法により化合物の同定を行ったとこ
ろ、下記式(V) で表される、1,1’:4’,1'':
4'',1''' −テトラフェニル−4,4''''−キノン
(以下「TPQ」という)であることが確認された。
【0031】
【化5】
【0032】実施例2 4,4’−ビフェノール2.0g(0.0107モル)
を1,4−ジオキサン160mlに溶解して溶液を作製
し、この溶液を、氷冷下、酢酸鉛7.1g(0.016
モル)と酢酸140mlとの懸濁溶液中に、攪拌しつつ滴
下した後、室温で1時間攪拌した。
【0033】1時間経過後、反応液を冷蔵庫中で冷却し
て固体を析出させ、析出した固体をろ別して、この固体
を蒸留水およびヘキサンで順に洗浄した後、風乾した。
そして、上記固体を、ジクロロメタンを展開溶媒とし
て、シリカゲルカラムによって分離して、茶色の固体を
得た。得られた固体について、実施例1と同様にして化
合物の同定を行ったところ、下記式(VI)で表される、
1,1’−ビフェニル−4,4''−キノン(以下「BP
Q」という)であることが確認された。
【0034】
【化6】
【0035】実施例3 下記式(VII) で表されるp−ベンゾキノン(以下「PB
Q」という)の市販品を常法によって精製して、黄色の
粉末を得た。
【0036】
【化7】
【0037】評価試験1 上記実施例1〜3の化合物を、それぞれ1,4−ジオキ
サンに溶解して溶液を作製し、可視光領域における吸収
極大波長を測定した。この実測値と、各化合物の吸収極
大波長の理論値とを表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】上記表1の結果より、何れの化合物も、ほ
ぼ理論値に近い吸収極大波長を示し、このことから、ほ
ぼ各式に示す通りの構造を有することが確認された。評価試験2 上記実施例1〜3の化合物について、S.K.Kurtz ,T.T.
Perry ,J.Apply.Phys. ,39,3798(1968)所載の方法
に準じた下記の測定方法により、発生する第3高調波の
強度を測定したところ、何れの化合物からも強い第3高
調波が観測された。
【0040】・測定方法 上記各化合物の結晶の粉末をそれぞれガラスセルに詰
め、このガラスセルに、Nd:YAGレーザと色素レー
ザとの差周波発生により得た、波長1.907μmの光
を照射して、セルから出る光に含まれる、波長636nm
の第3高調波の強度を、光電子倍増管を用いて測定し
た。
【0041】また、上記各化合物について、励起波長
1.907μmの条件における3次の分子超分極率γ
を、前記PPP−MO法により計算したところ、表2に
示すように、何れの化合物も大きい3次の分子超分極率
γを示すが、前記一般式(I) 中のnが大きくなる程、3
次の分子超分極率γも大きくなり、特に、nが3を超え
る実施例1のTPQが最も大きい3次の分子超分極率γ
を示すことが判った。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の有機非
線形光学材料は、高い非線形感受率と、高速応答性とを
有するものであるため、特に、3次の非線形光学材料と
して、高速光スイッチや光双安定素子等の、将来的な光
情報処理システムにおけるキーデバイスに好適に使用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明化合物および代表的なπ電子共役系化合
物における、3次の分子超分極率γと、炭素原子数との
関係を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) で表される化合物からなる
    ことを特徴とする有機非線形光学材料。 【化1】 〔式中Zは電子吸引性基または電子供与性基を表し、R
    1 ,R2 ,R3 ,R4 は、それぞれ、同一または異なっ
    て、水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは
    正の整数を表す。〕
  2. 【請求項2】上記一般式(I) 中のZが酸素原子、R1
    2 ,R3 ,R4 が何れも水素原子、nが3以上の整数
    である請求項1記載の有機非線形光学材料。
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