JPH0588167U - モータ駆動用空心コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 モータ駆動用空心コイルにおいて、その端子
のハンダ付けランドを広く確保させてハンダ付け作業の
容易化を図り、また取付けに際しての表裏(巻回方向)の
判別を容易にする。 【構成】 空心コイル1の平面形状を、取付け基板50の
中心(スピンドルシャフトの中心)を通過する線3の左右
で、一方の巻回部分1aにおける外側コーナ部の内径を他
方のそれよりも大きくする等の非対称な構成とし、隣接
した空心コイル1との間により広い面積のハンダ付けラ
ンド4を確保させる。また、その非対称性によって表裏
を誤った取付けミスを未然に防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はモータ駆動用空心コイルに係り、ハンダ付けランドのスペースをより 広く確保させると共にコイルの表裏判別を容易にするための改善に関する。

【０００２】

【従来の技術】

VTRのドラムシリンダやキャプスタン等の駆動用には、電気的ノイズの発生が なく、またブラシの摩耗による機械的寿命を考慮する必要がないブラシレスモー タが採用されており、そのステータコイルには巻線を合成樹脂で固めた空心コイ ルが用いられる。

【０００３】 前記のステータコイルのユニットは、図４に示すように、基板50の表面に所定 個数(図では６極分)の扇状の空心コイル51を周方向に等分の中心角(図では60°) で接着固定することにより構成され、そのユニットをロータマグネットに対向さ せてモータに組込む。また、ステータコイルユニットの組立て時にはコイル取付 け用治具を用いて空心コイル51の位置決めを行い、モータへの組込み状態で各空 心コイル51がロータマグネットと対向する周方向位置に各空心コイル51を相互に 密接させて基板50に接着させる。

【０００４】 また、空心コイル51は、通常のコイルと同様に接着剤を添加しながらコイル線 を巻枠に巻回させて製作されるが、当然にその巻枠は空心コイル51の平面形状に 対応した扇状の形状になっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、モータの小型化を図る上で空心コイル51と基板50の占有容積をでき るだけ小さくすることが必要となり、基板50に対する空心コイル51の実装密度が 高くなると、モータドライバと各空心コイル51との電気的接続を行うためのハン ダ付けランドの確保が困難になる。即ち、通常のステータユニットの製作工程で は、隣接した空心コイル51の外側コーナ部が対向する領域に構成される僅かなス ペースを利用してハンダ付けランド52を確保しているが、実装密度が高くなると 十分なスペースを確保できなくなる。

【０００６】 また、この種のモータの空心コイル51には極細線や極薄平角線が用いられるこ とが多く、その場合には巻回方向を目視することが困難になり、空心コイル51の 取付けに際して表裏の判別を誤り、取付けミスが生じてしまうことが少なくない 。

【０００７】 そこで、本考案は、コイルの平面形状を工夫することにより、前記のハンダ付 けランドを十分なスペースで確保させ、併せてコイルの巻回方向も明瞭に判別す ることができるモータ駆動用空心コイルを提供することを目的として創作された 。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、モータのロータマグネットに対向させてスピンドルシャフトの周囲 に等分の中心角で配設されるモータ駆動用空心コイルにおいて、そのコイルの外 周形状で占める面積が、配設時におけるスピンドルシャフトの中心を通過する線 の左右で一方側が他方側より小さくなるように巻回形成したことを特徴とするモ ータ駆動用空心コイルに係る。

【０００９】

【作用】

本考案の空心コイルはその平面形状が非対称であり、モータのスピンドルシャ フトの周囲に等分の中心角で配設すると、面積を小さく構成した側と隣接した空 心コイルとの間に対称な空心コイルを配設した場合より広いスペースが確保され る。従って、広いハンダ付けランドを確保でき、また平面形状の非対称性は目視 によって明らかに識別できるため、取付けの際に表裏を誤ることを防止できる。 そして、空心コイルが発生させる磁界の強さはモータの駆動トルクに直接影響 するが、その磁界の強さは巻数と通電電流によって一義的に決まるものであり、 また本考案では空心コイルの配設位置の変更を伴わないことから、駆動トルクの 大きさやその変動に殆ど影響を及ぼさない。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１から図３を用いて詳細に説明する。 第１の実施例は図１に示され、同図は空心コイルが取付けられたステータコイ ルユニットの平面図とそのユニットの断面図(平面図におけるA-A矢視断面)を示 す。また、断面図においては、二点鎖線でブラシレスモータの構成を補足的に示 し、前記ユニットのモータへの組込み状態を表現してある。 図１の平面図から明らかなように、本実施例に係る空心コイル1は扇状の平面 形状をなし、図４の場合と同様に、各空心コイル1は円盤状の基板50に等分の中 心角(60°)で周方向に配設されている。尚、基板50の中央に形成された孔50aは スピンドルシャフト2を貫通させるためのものである。

【００１１】 この空心コイル1の特徴は、基板50の中心(即ち、スピンドルシャフト2の中心) を通過する中心線3の左右で、一方の巻回部分1aの外側コーナ部の内径R1が他方 の巻回部分1bの外側コーナ部の内径R0より大きくなっている点にある。 従って、コイルの厚みが巻回方向についてほぼ均一であることから、巻回部分 1aにおける前記コーナ部の外周側の曲率半径は巻回部分1bのそれより大きくなり 、その平面形状の非対称性によって隣接した同一形状の空心コイルとの間に図４ の場合より大きな面積のハンダ付けランド4が確保される。 尚、図１のように６極分の空心コイル1を設ける場合には、前記の内径R1をR0 ＜R1≦5・R0の範囲で選択すればハンダ付けに支障がない十分なスペースを確保で きる。尤も、空心コイル1の配設数や基板50の大きさに適合させて内径R1を更に 大きくとってもよい。 また、このような非対称形状の空心コイル1の製作に際しては、巻枠をその空 心コイル1の内周側の形状に形成しておけば足りる。

【００１２】 ところで、前記の空心コイル1と基板50からなるステータコイルユニットはロ ータマグネット5に対向させて組込まれるが、各空心コイル1を基板50に取付ける 際に表裏を誤ると、誤って取付けられた空心コイル1はモータのロータ側(ロータ マグネット5,ロータヨーク6,ドラムヘッド7)を逆方向に回転させる駆動力を発生 させ、当然に正常な動作を望めない。 このコイルの取付け段階において、本実施例に係る空心コイル1は前記のよう に非対称性を有しているために一目でその表裏が判別でき、基板50への取付けミ スを未然に防止させることができる。

【００１３】 第２の実施例は図２に示され、同図は図１と同様にステータコイルユニットの 平面図を示す。 この実施例に係る空心コイル11は扇状の平面形状を有しているが、基板50の中 心を通過する線3の左右で、一方の巻回部分11aのなす開角Ψ1が他方の巻回部分1 1bのなす開角Ψ0より小さくなっている点に特徴がある。 従って、空心コイル11を基板50に等分の中心角で配設すると、隣接する空心コ イルとの間に前記の開角の差(Ψ0−Ψ1)に相当する分の隙間が構成され、その隙 間の外周側に図４の場合より大きな面積のハンダ付けランド12が確保される。 尚、開角Ψ0とΨ1の関係については、1/2・Ψ0≦Ψ1＜Ψ0となるように開角Ψ1 を設定すれば、ハンダ付けに支障がない十分なスペースを確保できる。 また、この空心コイル11も非対称性を有しているため、取付けに際しての表裏 判別が容易である。

【００１４】 第３の実施例は図３に示され、同図は図２と同様にステータコイルユニットの 平面図を示す。 この実施例では、空心コイル21の一方の巻回部分21aのなす開角を２段階に変 更させてある。即ち、巻回部分21aにおける基板50の内側から外側へ連続した部 分を、第１区間22では他方の巻回部分21bの開角Ψ0より小さな開角Ψ2で構成し 、途中で更に小さな開角Ψ3に変更した第２区間23を構成してある。 その結果、開角Ψ3によって隣接した空心コイル21の外周面の開角は図２の場 合より大きくなり、更に大きな面積のハンダ付けランド24が確保される。 尚、開角Ψ0とΨ2,Ψ3の関係については、1/2・Ψ0≦Ψ2≦Ψ0及び1/2・Ψ2≦Ψ 3＜Ψ2となるように開角Ψ2,Ψ3を設定すれば、ハンダ付けに十分なスペースを 確保できる。 また、この空心コイル21は巻回部分21aにおける基板50の内側から外側へ連続 した部分が屈曲しているため、取付けに際しての表裏判別が極めて明瞭で且つ容 易になる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のモータ駆動用空心コイルは、以上の構成を有していることにより、次 のような効果を奏する。 空心コイルにおけるコーナ部分の曲率半径や開角を変更させることにより、そ のコイルの外周形状で占める面積が、モータへの配設時におけるスピンドルシャ フトの中心を通過する線の左右で一方側が他方側より小さくなるようにしている ため、より広いスペースのハンダ付けランドを確保させてハンダ付け作業の容易 化を実現する。 また、本考案の空心コイルは左右で非対称な平面形状を有するため、極細線や 極薄平角線が用いられてコイルの巻回方向が目視できないような場合においても 、その平面形状から表裏(巻回方向)を判別でき、空心コイルの取付けミスを未然 に防止するという利点も有している。 尚、本考案の空心コイルは、実施例に示したようなスピンドルシャフトに垂直 な面でロータマグネットとステータコイルが対向するモータだけでなく、周対向 型モータのステータコイルにも適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１に係るモータ駆動用空心コイルを基板
に取付けたステータコイルユニットの平面図及び断面図
(二点鎖線はブラシレスモータの構成を示す)である。

【図２】実施例２に係るモータ駆動用空心コイルを基板
に取付けたステータコイルユニットの平面図である。

【図３】実施例３に係るモータ駆動用空心コイルを基板
に取付けたステータコイルユニットの平面図である。

【図４】従来のモータ駆動用空心コイルを基板に取付け
たステータコイルユニットの平面図である。

【符号の説明】

1,11,21…空心コイル、1a,1b,11a,11b,21a,21b…巻回部
分、2…スピンドルシャフト、3…基板の中心(スピンド
ルシャフトの中心)を通過する線、4,12,24…ハンダ付け
ランド、50…基板、R1,R2…外側コーナ部の内径、Ψ0,
Ψ1,Ψ2,Ψ3…開角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータのロータマグネットに対向させて
   スピンドルシャフトの周囲に等分の中心角で配設される
   モータ駆動用空心コイルにおいて、そのコイルの外周形
   状で占める面積が、配設時におけるスピンドルシャフト
   の中心を通過する線の左右で一方側が他方側より小さく
   なるように巻回形成したことを特徴とするモータ駆動用
   空心コイル。