JPH0586045A - 3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法 - Google Patents
3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法Info
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- JPH0586045A JPH0586045A JP3270510A JP27051091A JPH0586045A JP H0586045 A JPH0586045 A JP H0586045A JP 3270510 A JP3270510 A JP 3270510A JP 27051091 A JP27051091 A JP 27051091A JP H0586045 A JPH0586045 A JP H0586045A
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- lactone
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/55—Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups
Landscapes
- Furan Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】有用性が高いシス体を選択的にかつより高い収
率で製造することができる3,4−二置換−シス−γ−
ラクトンの製造方法を提供する。 【構成】1,4-シクロヘキサジエンモノエポキシド(II)
の2位にメチル基を導入してtrans-2-メチル-4- シクロ
ヘキセノール(III) を得、(III) の1位の水酸基にベン
ゾイル基を導入してtrans-2-メチル-4- シクロヘキセニ
ル−ベゾエート(IV)を得る。(IV) を酸化開裂して3-ベ
ンゾイルオキシ-4- メチルヘキサ二酸(V) を得、(V) か
らベンゾイル基を脱離させた後閉環させてcis-4-ヒドロ
キシ-3- メチルヘキサ二酸-1,4- ラクトン(VI) を得
る。(VI) のカルボキシル基を選択的に還元してcis-2-
ヒドロキシ-4- メチルヘキサン-4- オリド(VII) を得
る。次に(VII) の水酸基にトシル基を導入して(VII) と
した後、それををエチル化してシスウイスキーラクトン
(1) を得る。 〔式中、R1=C2H5、R2=CH3、R3=CO−
C6H5、R4=R4=SO3−C6H4−CH3−
(p)〕
率で製造することができる3,4−二置換−シス−γ−
ラクトンの製造方法を提供する。 【構成】1,4-シクロヘキサジエンモノエポキシド(II)
の2位にメチル基を導入してtrans-2-メチル-4- シクロ
ヘキセノール(III) を得、(III) の1位の水酸基にベン
ゾイル基を導入してtrans-2-メチル-4- シクロヘキセニ
ル−ベゾエート(IV)を得る。(IV) を酸化開裂して3-ベ
ンゾイルオキシ-4- メチルヘキサ二酸(V) を得、(V) か
らベンゾイル基を脱離させた後閉環させてcis-4-ヒドロ
キシ-3- メチルヘキサ二酸-1,4- ラクトン(VI) を得
る。(VI) のカルボキシル基を選択的に還元してcis-2-
ヒドロキシ-4- メチルヘキサン-4- オリド(VII) を得
る。次に(VII) の水酸基にトシル基を導入して(VII) と
した後、それををエチル化してシスウイスキーラクトン
(1) を得る。 〔式中、R1=C2H5、R2=CH3、R3=CO−
C6H5、R4=R4=SO3−C6H4−CH3−
(p)〕
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウイスキーラクトンに
代表される3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造
方法に関する。
代表される3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】ウイスキーやワインの香
気成分の一つに、ウイスキーラクトン(3−メチル−4
−オクタノリド)がある。天然のウイスキーラクトンに
は、3位のメチル基及び4位のブチル基の配位によりト
ランス体及びシス体の幾何学異性体が存在する。一般
に、化9に示すシスウイスキーラクトン(A)は、化9
に示すトランスウイスキーラクトン((3S,4R)-3-メチル
-4- オクタノリド) (D) と比較して、ウイスキーやワ
イン等中の含有量が少ない。しかしながら、匂いの性質
は、シスウイスキーラクトン(A)の方が優れている。
気成分の一つに、ウイスキーラクトン(3−メチル−4
−オクタノリド)がある。天然のウイスキーラクトンに
は、3位のメチル基及び4位のブチル基の配位によりト
ランス体及びシス体の幾何学異性体が存在する。一般
に、化9に示すシスウイスキーラクトン(A)は、化9
に示すトランスウイスキーラクトン((3S,4R)-3-メチル
-4- オクタノリド) (D) と比較して、ウイスキーやワ
イン等中の含有量が少ない。しかしながら、匂いの性質
は、シスウイスキーラクトン(A)の方が優れている。
【0003】
【化9】 しかしながら、従来、このようなトランス体(D)より
も優れた特性を有する天然型シスウイスキーラクトン
(A)を選択的に合成できる手段は知られていなかっ
た。このようなシス体の優位性は、ウイスキーラクトン
に限らず、3,4−二置換−γ−ラクトン系の香料にお
いて、シス体の方がトランス体よりも優れた芳香性を示
すことが知られている。
も優れた特性を有する天然型シスウイスキーラクトン
(A)を選択的に合成できる手段は知られていなかっ
た。このようなシス体の優位性は、ウイスキーラクトン
に限らず、3,4−二置換−γ−ラクトン系の香料にお
いて、シス体の方がトランス体よりも優れた芳香性を示
すことが知られている。
【0004】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、シス体を選択的かつ容易に合成することができ
る3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法を提
供するものである。
であり、シス体を選択的かつ容易に合成することができ
る3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法を提
供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、鋭意検討した結果、1,4−シクロ
ヘキサジエンのモノエポキシドを出発物質としたシス体
の選択性に優れた3,4−二置換−シス−γ−ラクトン
の製造方法を見出だした。すなわち、本発明は、化10
に示す3,4−二置換−シス−γ−ラクトン(I)の製
造方法であって、
に、本発明者らは、鋭意検討した結果、1,4−シクロ
ヘキサジエンのモノエポキシドを出発物質としたシス体
の選択性に優れた3,4−二置換−シス−γ−ラクトン
の製造方法を見出だした。すなわち、本発明は、化10
に示す3,4−二置換−シス−γ−ラクトン(I)の製
造方法であって、
【0006】
【化10】 (式中R1 及びR2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、ア
ルケニル基またはアルキニル基を示す。) (a)化11に示す1,4−シクロヘキサジエンモノエ
ポキシド(II)の2位に置換基R2 を導入することにより
化12に示す化合物(III) を得る工程と、
ルケニル基またはアルキニル基を示す。) (a)化11に示す1,4−シクロヘキサジエンモノエ
ポキシド(II)の2位に置換基R2 を導入することにより
化12に示す化合物(III) を得る工程と、
【0007】
【化11】
【0008】
【化12】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (b)工程(a)で得られた化合物(III) の1位の水酸
基に一般的な水酸基の保護基R3 を導入することにより
化13に示す化合物(IV)を得る工程と、
基またはアルキニル基を示す。) (b)工程(a)で得られた化合物(III) の1位の水酸
基に一般的な水酸基の保護基R3 を導入することにより
化13に示す化合物(IV)を得る工程と、
【0009】
【化13】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (c)工程(b)で得られた化合物(IV)のオレフィン
部分を酸化的に開裂して化14に示す化合物(V)を得
る工程と、
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (c)工程(b)で得られた化合物(IV)のオレフィン
部分を酸化的に開裂して化14に示す化合物(V)を得
る工程と、
【0010】
【化14】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (d)工程(c)で得られた化合物(V)を脱保護反応
に供した後、ラクトンを形成させて化15に示す化合物
(VI)を得る工程と、
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (d)工程(c)で得られた化合物(V)を脱保護反応
に供した後、ラクトンを形成させて化15に示す化合物
(VI)を得る工程と、
【0011】
【化15】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (e)工程(d)で得られた化合物(VI)のカルボキシ
ル基を選択的に還元して化16に示す化合物(VII) を得
る工程と、
基またはアルキニル基を示す。) (e)工程(d)で得られた化合物(VI)のカルボキシ
ル基を選択的に還元して化16に示す化合物(VII) を得
る工程と、
【0012】
【化16】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (f)工程(e)で得られた化合物(VII) の水酸基に脱
離基R4を導入して、化17に示す化合物(VIII) を得
る工程と、
基またはアルキニル基を示す。) (f)工程(e)で得られた化合物(VII) の水酸基に脱
離基R4を導入して、化17に示す化合物(VIII) を得
る工程と、
【0013】
【化17】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R4 は、一般的な脱離基
を表す。) (g)工程(f)で得られた化合物(VIII)の脱離基R
4 を置換基R1 で置換することにより3,4−二置換−
シス−γ−ラクトン(I)を得る工程とを具備したこと
を特徴とする3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製
造方法を提供する。 ここで、置換基R1 及びR2は、
炭素数が1〜5の範囲内のアルキル基、アルケニル基ま
たはアルキニル基であることが好ましく、直鎖であって
も分鎖であっても良い。
基またはアルキニル基を示し、R4 は、一般的な脱離基
を表す。) (g)工程(f)で得られた化合物(VIII)の脱離基R
4 を置換基R1 で置換することにより3,4−二置換−
シス−γ−ラクトン(I)を得る工程とを具備したこと
を特徴とする3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製
造方法を提供する。 ここで、置換基R1 及びR2は、
炭素数が1〜5の範囲内のアルキル基、アルケニル基ま
たはアルキニル基であることが好ましく、直鎖であって
も分鎖であっても良い。
【0014】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】まず、本発明において出発物質として用い
られる1,4−シクロヘキサジエンモノエポキシド(II)
は、1,4−シクロヘキサジエンを、例えば、適当な溶
媒中、過酸化物の存在下でエポキシ化することにより製
造することができる。ここで用い得る過酸化物として
は、例えば、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、フタル酸
のモノ過酸化物、過酸化水素またはtert−ブチルヒ
ドロパーオキシドであるがこれに限定されるものではな
い。また、ここで用い得る適当な溶媒としては、例え
ば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エ
チルのような有機溶媒であるが特に限定されるものでは
ない。
られる1,4−シクロヘキサジエンモノエポキシド(II)
は、1,4−シクロヘキサジエンを、例えば、適当な溶
媒中、過酸化物の存在下でエポキシ化することにより製
造することができる。ここで用い得る過酸化物として
は、例えば、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、フタル酸
のモノ過酸化物、過酸化水素またはtert−ブチルヒ
ドロパーオキシドであるがこれに限定されるものではな
い。また、ここで用い得る適当な溶媒としては、例え
ば、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、酢酸エ
チルのような有機溶媒であるが特に限定されるものでは
ない。
【0016】工程(a)の1,4−シクロヘキサジエン
モノエポキシド(II)の2位へ導入される置換基R2 は、
例えば、メチル基、ペンチル基のようなアルキル基、例
えば、ビニル基のようなアルケニル基、または、例え
ば、エチニル基のようなアルキニル基である。これらの
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素数
は、1〜5の範囲内であることが好ましく、直鎖であっ
ても、分鎖であっても良い。
モノエポキシド(II)の2位へ導入される置換基R2 は、
例えば、メチル基、ペンチル基のようなアルキル基、例
えば、ビニル基のようなアルケニル基、または、例え
ば、エチニル基のようなアルキニル基である。これらの
アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素数
は、1〜5の範囲内であることが好ましく、直鎖であっ
ても、分鎖であっても良い。
【0017】置換基R2 の導入は、例えば、適当な溶媒
中、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅のような銅試薬の存在下
で、アルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルケ
ニルリチウム、アルケニルマグネシウム、アルキニルリ
チウム、アルキニルマグネシウム等のような置換基R2
に対応した有機金属化合物と反応させることにより行う
ことができる。ここで適当な溶媒としては、例えば、エ
ーテル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒であるが特に
限定されるものではない。
中、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅のような銅試薬の存在下
で、アルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルケ
ニルリチウム、アルケニルマグネシウム、アルキニルリ
チウム、アルキニルマグネシウム等のような置換基R2
に対応した有機金属化合物と反応させることにより行う
ことができる。ここで適当な溶媒としては、例えば、エ
ーテル、テトラヒドロフラン等の有機溶媒であるが特に
限定されるものではない。
【0018】工程(b)において化合物(III) の1位の
水酸基へ導入される保護基R3 は、一般的に水酸基の保
護基として用いることができるものであれば特に限定さ
れず、例えば、アセチル基、ベンゾイル基のようなアシ
ル系の保護基や、トリオガノシリル基のようなシリル系
の保護基を用いることができる。
水酸基へ導入される保護基R3 は、一般的に水酸基の保
護基として用いることができるものであれば特に限定さ
れず、例えば、アセチル基、ベンゾイル基のようなアシ
ル系の保護基や、トリオガノシリル基のようなシリル系
の保護基を用いることができる。
【0019】保護基R3 として、アシル系の保護基を導
入する場合には、例えば、ピリジン、トリエチルアミン
等の塩基性化合物の存在下で、例えば、酸無水物、アシ
ルクロリド等とを反応させることにより行うことができ
る。
入する場合には、例えば、ピリジン、トリエチルアミン
等の塩基性化合物の存在下で、例えば、酸無水物、アシ
ルクロリド等とを反応させることにより行うことができ
る。
【0020】また、シリル系の保護基を導入する場合に
は、例えば、適当な溶媒中、イミダゾールやピリジン系
化合物の存在下で、例えば、トリオルガノシリルクロリ
ド又はトリオルガノシリルトリフラートと反応させるこ
とにより行うことができる。ここで、適当な溶媒として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、塩化メチレンのよ
うな有機溶媒であるが、特に限定されるものではない。
は、例えば、適当な溶媒中、イミダゾールやピリジン系
化合物の存在下で、例えば、トリオルガノシリルクロリ
ド又はトリオルガノシリルトリフラートと反応させるこ
とにより行うことができる。ここで、適当な溶媒として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、塩化メチレンのよ
うな有機溶媒であるが、特に限定されるものではない。
【0021】工程(c)における化合物(IV)のオレフ
ィン部分の酸化開裂反応は、例えば、ルテニウムオキシ
ドによる酸化反応や、オゾンによる酸化反応によって行
うことができる。
ィン部分の酸化開裂反応は、例えば、ルテニウムオキシ
ドによる酸化反応や、オゾンによる酸化反応によって行
うことができる。
【0022】ルテニウムオキシドによる酸化反応は、例
えば、適当な溶媒中で、共酸化剤である過ヨウ素酸ナト
リウム、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、
臭素酸ナトリウム等と共に、四酸化ルテニウム、二酸化
ルテニウムまたは三塩化ルテニウムを触媒として用いて
行われる。ここで適当な溶媒とは、例えば、四塩化炭
素、アセトニトリルおよび水であるが、特に限定される
ものではない。一方、オゾンによる酸化反応は、化合物
(IV)を、適当な溶媒中、例えばジクロロメタン等の溶
媒中で反応させ、例えばクロム酸等を用いた酸化的処理
を行うことにより達成される。
えば、適当な溶媒中で、共酸化剤である過ヨウ素酸ナト
リウム、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、
臭素酸ナトリウム等と共に、四酸化ルテニウム、二酸化
ルテニウムまたは三塩化ルテニウムを触媒として用いて
行われる。ここで適当な溶媒とは、例えば、四塩化炭
素、アセトニトリルおよび水であるが、特に限定される
ものではない。一方、オゾンによる酸化反応は、化合物
(IV)を、適当な溶媒中、例えばジクロロメタン等の溶
媒中で反応させ、例えばクロム酸等を用いた酸化的処理
を行うことにより達成される。
【0023】工程(d)における化合物(V)の脱保護
反応は、適当な溶媒中、塩基性条件下で加水分解するこ
とにより行うことができる。塩基性条件とは、pHが8
以上、好ましくは10以上の条件をいう。この脱保護反
応に用いることができる塩基性化合物としては、例え
ば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウ
ム等の金属水酸化物や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム
等の炭酸塩、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムブ
トキシド等の金属アルコキシドを用いることができる。
また、ここで用いられる適当な溶媒は、水、メタノール
やエタノールようなアルコール類、テトラヒドロフラン
およびそれらの混合溶液を用いることができるが、特に
限定されるものではない。
反応は、適当な溶媒中、塩基性条件下で加水分解するこ
とにより行うことができる。塩基性条件とは、pHが8
以上、好ましくは10以上の条件をいう。この脱保護反
応に用いることができる塩基性化合物としては、例え
ば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウ
ム等の金属水酸化物や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム
等の炭酸塩、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムブ
トキシド等の金属アルコキシドを用いることができる。
また、ここで用いられる適当な溶媒は、水、メタノール
やエタノールようなアルコール類、テトラヒドロフラン
およびそれらの混合溶液を用いることができるが、特に
限定されるものではない。
【0024】次いで行われるラクトン環の形成反応は、
例えば、上述の脱保護反応を終えた反応液を酸性にして
分子内エステル化反応により閉環させて行うことができ
る。反応液は、好ましくは、pH3以下に調整し、さら
に好ましくは、pH1以下に調整する。ここで反応液を
酸性にするために用られる酸性物質としては、例えば、
塩酸、硫酸のような鉱酸類、パラトルエンスルホン酸、
トリフルオロ酢酸のような有機酸等を挙げることができ
る。
例えば、上述の脱保護反応を終えた反応液を酸性にして
分子内エステル化反応により閉環させて行うことができ
る。反応液は、好ましくは、pH3以下に調整し、さら
に好ましくは、pH1以下に調整する。ここで反応液を
酸性にするために用られる酸性物質としては、例えば、
塩酸、硫酸のような鉱酸類、パラトルエンスルホン酸、
トリフルオロ酢酸のような有機酸等を挙げることができ
る。
【0025】工程(e)における化合物(VI)のカルボ
キシル基の選択的な還元反応は、例えば、適当な溶媒
中、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウムのようなラクト
ン環に影響を与えずカルボキシル基を選択的に還元する
還元剤を用いて行うことができる。ここで用い得る適当
な溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテルのような有機溶媒であるが、特に限定される
ものではない。
キシル基の選択的な還元反応は、例えば、適当な溶媒
中、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウムのようなラクト
ン環に影響を与えずカルボキシル基を選択的に還元する
還元剤を用いて行うことができる。ここで用い得る適当
な溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテルのような有機溶媒であるが、特に限定される
ものではない。
【0026】工程(f)において化合物(VII) の水酸基
に導入される脱離基R4 は、後述する工程(g)におい
て置換基R1 を導入する際に脱離されるものであれば特
に限定されるものではないが、好ましくはパラトルエン
スフォニル基、メタンスルフォニル基およびトリフルオ
ロメタンスルフォニル基を用いることができる。
に導入される脱離基R4 は、後述する工程(g)におい
て置換基R1 を導入する際に脱離されるものであれば特
に限定されるものではないが、好ましくはパラトルエン
スフォニル基、メタンスルフォニル基およびトリフルオ
ロメタンスルフォニル基を用いることができる。
【0027】ここで、脱離基R4 の導入は、例えば、パ
ラトルエンスフォニル基を導入する場合、塩化パラトル
エンスルホニルを用いたエステル化反応によって、パラ
トルエンスフォニル基を水酸基の酸素原子に結合させる
ことにより行うことができる。
ラトルエンスフォニル基を導入する場合、塩化パラトル
エンスルホニルを用いたエステル化反応によって、パラ
トルエンスフォニル基を水酸基の酸素原子に結合させる
ことにより行うことができる。
【0028】工程(g)における脱離基R4 を置換基R
1 で置換する反応は、上述の工程(a)における置換基
R2 の導入と同様の条件でアルキル化、アルケニル化ま
たはアルキニル化することにより達成できる。
1 で置換する反応は、上述の工程(a)における置換基
R2 の導入と同様の条件でアルキル化、アルケニル化ま
たはアルキニル化することにより達成できる。
【0029】工程(g)で2位へ導入される置換基R1
は、例えば、メチル基、ペンチル基のようなアルキル
基、例えば、ビニル基のようなアルケニル基、または、
例えば、エチニル基のようなアルキニル基である。これ
らのアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素
数は、1〜5の範囲内であることが好ましく、直鎖であ
っても、分鎖であっても良い。
は、例えば、メチル基、ペンチル基のようなアルキル
基、例えば、ビニル基のようなアルケニル基、または、
例えば、エチニル基のようなアルキニル基である。これ
らのアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素
数は、1〜5の範囲内であることが好ましく、直鎖であ
っても、分鎖であっても良い。
【0030】上述の工程(b)から工程(d)におい
て、置換基R2 および隣接する0R3 基の配置は反転す
ることなく維持される。このため、工程(d)において
ラクトン環を形成した後、化合物(VI)の3位の置換基
R2 および4位のカルボキシメチル基はシス配座にな
る。このシス配座は、工程(f)以降においても維持さ
れる。この結果、3,4−二置換−シス−γ−ラクトン
を選択的に製造できる。
て、置換基R2 および隣接する0R3 基の配置は反転す
ることなく維持される。このため、工程(d)において
ラクトン環を形成した後、化合物(VI)の3位の置換基
R2 および4位のカルボキシメチル基はシス配座にな
る。このシス配座は、工程(f)以降においても維持さ
れる。この結果、3,4−二置換−シス−γ−ラクトン
を選択的に製造できる。
【0031】
【実施例】以下の実施例により、この発明をさらに詳細
に説明する。
に説明する。
【0032】 実施例1 cis−ウイスキーラクトンの製造方法 1,4−シクロヘキサジエンモノエポキシドの調製 Agric.Biol.Chem.,43,1919-1922(1979)に記載の方法に
従って、1、4−シクロヘキサジエンをm−クロロ過安
息香酸と反応させることにより、1,4−シクロヘキサ
ジエンモノエポキシドを得た。生成物の物理データは文
献値と一致した。
従って、1、4−シクロヘキサジエンをm−クロロ過安
息香酸と反応させることにより、1,4−シクロヘキサ
ジエンモノエポキシドを得た。生成物の物理データは文
献値と一致した。
【0033】工程(a) trans-2−メチル−4−シ
クロヘキセノールの調製 ヨウ化第一銅47.6g(250mmol)を無水エー
テル120ml中に添加した懸濁液に、−78℃のアル
ゴン雰囲気下において、メチルリチウムのエーテル溶液
(濃度1.4mol/1)357ml(499mmo
l)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、−20℃まで
ゆっくりと昇温してから、溶液が白色になるまでそのま
まの温度で撹拌した(この溶液を反応溶液Aと記す)。
続いて、先に調製した1,4−シクロヘキサジエンモノ
エポキシド16.0g(167mmol)を、無水エー
テル40mlに溶解した。この溶液を反応溶液Aの中
に、−20℃でゆっくりと滴下した。その後、そのまま
の温度で30分間撹拌し、さらに室温で一晩反応させた
(この溶液を反応溶液Bと記す)。
クロヘキセノールの調製 ヨウ化第一銅47.6g(250mmol)を無水エー
テル120ml中に添加した懸濁液に、−78℃のアル
ゴン雰囲気下において、メチルリチウムのエーテル溶液
(濃度1.4mol/1)357ml(499mmo
l)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、−20℃まで
ゆっくりと昇温してから、溶液が白色になるまでそのま
まの温度で撹拌した(この溶液を反応溶液Aと記す)。
続いて、先に調製した1,4−シクロヘキサジエンモノ
エポキシド16.0g(167mmol)を、無水エー
テル40mlに溶解した。この溶液を反応溶液Aの中
に、−20℃でゆっくりと滴下した。その後、そのまま
の温度で30分間撹拌し、さらに室温で一晩反応させた
(この溶液を反応溶液Bと記す)。
【0034】反応終了後、反応溶液Bを、飽和塩化アン
モニウム水溶液中にあけ、室温で1時間撹拌した。この
後、セライトを用いて不溶物を瀘過し、瀘液をエーテル
で3回抽出した。この有機層を、飽和塩化ナトリウム水
溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、常
圧で溶媒を留去した。得られた残留物を、220mmH
gの減圧下で減圧蒸留することにより、trans-2−メチ
ル−4−シクロヘキセノール15.2g(135mmo
l)を得た(収率81%)。得られた生成物の物理的デ
ータは次のとおりであった。
モニウム水溶液中にあけ、室温で1時間撹拌した。この
後、セライトを用いて不溶物を瀘過し、瀘液をエーテル
で3回抽出した。この有機層を、飽和塩化ナトリウム水
溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、常
圧で溶媒を留去した。得られた残留物を、220mmH
gの減圧下で減圧蒸留することにより、trans-2−メチ
ル−4−シクロヘキセノール15.2g(135mmo
l)を得た(収率81%)。得られた生成物の物理的デ
ータは次のとおりであった。
【0035】沸点:132〜133℃(220mmH
g) 1 H-NMR(CDCl3 ):δ 5.64-5.52(2H,m,H-3,H-4),3.53(1
H,dt,J=11.8,5.3Hz,H-1), 2.45-2.34(1H,m,H-2),2.29-
2.18(1H,m,H-5),2.07-1.95(1H,m, H-2),1.84-1.65(3H,
m,H-5,H-6,OH),1.03(3H,d,J=6.3Hz, Me) 。
g) 1 H-NMR(CDCl3 ):δ 5.64-5.52(2H,m,H-3,H-4),3.53(1
H,dt,J=11.8,5.3Hz,H-1), 2.45-2.34(1H,m,H-2),2.29-
2.18(1H,m,H-5),2.07-1.95(1H,m, H-2),1.84-1.65(3H,
m,H-5,H-6,OH),1.03(3H,d,J=6.3Hz, Me) 。
【0036】工程(b) trans−2−メチル−4−シ
クロヘキセニル−ベンゾエートの調製 工程(a)で得られたtrans-2−メチル−4−シクロヘ
キセノール8.54g(76.2mmol)をピリジン
85mlに溶解して調製した溶液に、0℃の無水条件下
において、塩化ベンゾイル13.3ml(114mmo
l)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で一晩反応
させた。
クロヘキセニル−ベンゾエートの調製 工程(a)で得られたtrans-2−メチル−4−シクロヘ
キセノール8.54g(76.2mmol)をピリジン
85mlに溶解して調製した溶液に、0℃の無水条件下
において、塩化ベンゾイル13.3ml(114mmo
l)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で一晩反応
させた。
【0037】反応終了後、反応溶液に少量のメタノール
を加え、その後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残
留物をエーテルに溶解し、1N塩酸および飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で順次洗浄した。次いで、有機層を、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去
した。得られた残留物を、4mmHgの減圧下で蒸留す
ることにより、 trans−2−メチル−4−シクロヘキセ
ニル−ベンゾエート13.5g(62.4mmol)を
得た(収率82%)。得られた生成物の物理的データは
次のとおりであった。
を加え、その後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残
留物をエーテルに溶解し、1N塩酸および飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で順次洗浄した。次いで、有機層を、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去
した。得られた残留物を、4mmHgの減圧下で蒸留す
ることにより、 trans−2−メチル−4−シクロヘキセ
ニル−ベンゾエート13.5g(62.4mmol)を
得た(収率82%)。得られた生成物の物理的データは
次のとおりであった。
【0038】沸点:128−133℃(4mmHg) 1 H-NMR(CDCl3 ):δ 8.06(2H,d,J=7.OHz,aromatic H),
7.56(1H,t,J=7.4Hz,aromatic H),7.44(2H,t,J=7.5Hz,ar
omatic H),5.71-5.56(2H,m,H-3,H-4),5.00(1H,ddd,J=1
1.4,7.9,5.5Hz,H-1),2.62-2.51(1H,m,H-2),2.39-2.28(1
H,m,H-5),2.24-2.02(2H,m,H-2,H-6), 1.96-1.83(1H,m,
H-5),1.03(3H,d,6.6Hz,Me) 。
7.56(1H,t,J=7.4Hz,aromatic H),7.44(2H,t,J=7.5Hz,ar
omatic H),5.71-5.56(2H,m,H-3,H-4),5.00(1H,ddd,J=1
1.4,7.9,5.5Hz,H-1),2.62-2.51(1H,m,H-2),2.39-2.28(1
H,m,H-5),2.24-2.02(2H,m,H-2,H-6), 1.96-1.83(1H,m,
H-5),1.03(3H,d,6.6Hz,Me) 。
【0039】工程(c) 3−ベンゾイルオキシ−4
−メチルヘキサ二酸の調製 工程(b)で調製した trans−2−メチル−4−シクロ
ヘキセニル−ベンゾエート12.5g(57.8mmo
l)を、アセトニトリル173mlに溶解して調製した
溶液に、四塩化炭素173ml、水260mlおよび過
ヨウ素酸ナトリウム74.2g(347mmol)を加
えた後、水浴上で酸化ルテニウム0.250g(1.9
1mmol)を加え、そのまま3時間、激しく撹拌し
た。
−メチルヘキサ二酸の調製 工程(b)で調製した trans−2−メチル−4−シクロ
ヘキセニル−ベンゾエート12.5g(57.8mmo
l)を、アセトニトリル173mlに溶解して調製した
溶液に、四塩化炭素173ml、水260mlおよび過
ヨウ素酸ナトリウム74.2g(347mmol)を加
えた後、水浴上で酸化ルテニウム0.250g(1.9
1mmol)を加え、そのまま3時間、激しく撹拌し
た。
【0040】反応終了後、反応溶液から不溶物を瀘別
し、クロロホルムで4回抽出した。有機層を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去して約50
mlまで濃縮した。この溶液をフロリジルカラムクロマ
トグラフ(溶出液;酢酸エチル:ギ酸=1000:1)
で精製した。さらに得られた固体を、ヘキサンークロロ
ホルムの混合溶媒より再結晶して、3−ベンゾイルオキ
シ−4−メチルヘキサ二酸13.4g(47.8mmo
l)を得た(収率83%)。生成物の物理的データは次
のとおりであった。
し、クロロホルムで4回抽出した。有機層を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去して約50
mlまで濃縮した。この溶液をフロリジルカラムクロマ
トグラフ(溶出液;酢酸エチル:ギ酸=1000:1)
で精製した。さらに得られた固体を、ヘキサンークロロ
ホルムの混合溶媒より再結晶して、3−ベンゾイルオキ
シ−4−メチルヘキサ二酸13.4g(47.8mmo
l)を得た(収率83%)。生成物の物理的データは次
のとおりであった。
【0041】 1H-NMR(DMSO-d6 ):δ 12.28(2H,br,COO
H),7.96(2H,d,J=7.1Hz,aromatic H).7.66(1H,t,J=7.4H
z,aromatic H),7.53(2H,t,J=7.6Hz,aromatic H),5.45-
5.38(1H,m,H-3),2.75-2.58(2H,m,H-2),2.43-2.28(2H,m,
H-4,H-5),2.12(1H,dd,J=14.5,7.2Hz,H-5),1.00(3H,d,6.
7Hz,Me)。
H),7.96(2H,d,J=7.1Hz,aromatic H).7.66(1H,t,J=7.4H
z,aromatic H),7.53(2H,t,J=7.6Hz,aromatic H),5.45-
5.38(1H,m,H-3),2.75-2.58(2H,m,H-2),2.43-2.28(2H,m,
H-4,H-5),2.12(1H,dd,J=14.5,7.2Hz,H-5),1.00(3H,d,6.
7Hz,Me)。
【0042】工程(d) cis−4−ヒドロキシ−3−
メチルヘキサ二酸−1、4−ラクトンの調製 1N水酸化ナトリウム水溶液280mlに、工程(c)
で調製した3−ベンゾイルオキシ−4−メチルヘキサ二
酸13.6g(48.6mmol)を加え、室温で3時
間撹拌した。
メチルヘキサ二酸−1、4−ラクトンの調製 1N水酸化ナトリウム水溶液280mlに、工程(c)
で調製した3−ベンゾイルオキシ−4−メチルヘキサ二
酸13.6g(48.6mmol)を加え、室温で3時
間撹拌した。
【0043】反応終了後、水素イオン型陽イオン交換樹
脂を加えて反応溶液を中和した。室温で15分間撹拌し
た後、反応溶液が中性であることを確認し、水素イオン
型陽イオン交換樹脂および不溶物を瀘別した。次いで、
反応溶液をエーテルで洗浄した後、濃塩酸を加えて酸性
として1時間静置した。この後、減圧下溶媒を留去し、
トルエンとの共沸脱水および減圧乾燥を行って、 cis−
4−ヒドロキシ−3−メチルヘキサ二酸−1、4−ラク
トン7.82gを得た。この生成物は未精製のまま次の
工程に用いた。生成物の物理的は次のとおりであった。
脂を加えて反応溶液を中和した。室温で15分間撹拌し
た後、反応溶液が中性であることを確認し、水素イオン
型陽イオン交換樹脂および不溶物を瀘別した。次いで、
反応溶液をエーテルで洗浄した後、濃塩酸を加えて酸性
として1時間静置した。この後、減圧下溶媒を留去し、
トルエンとの共沸脱水および減圧乾燥を行って、 cis−
4−ヒドロキシ−3−メチルヘキサ二酸−1、4−ラク
トン7.82gを得た。この生成物は未精製のまま次の
工程に用いた。生成物の物理的は次のとおりであった。
【0044】 1H-NMR (D2 O): δ 5.04-4.96(1H,m,H-
4),2.88-2.64(4H,m,H-2,H-3,H-5),2.36-2.25(1H,m,H-
2),0.97(3H,d,J=6.9Hz,Me)。
4),2.88-2.64(4H,m,H-2,H-3,H-5),2.36-2.25(1H,m,H-
2),0.97(3H,d,J=6.9Hz,Me)。
【0045】工程(e) cis−6−ヒドロキシ−3−
メチルヘキサン−4−オリドの調製 工程(d)で調製した cis−4−ヒドロキシ−3−メチ
ルヘキサ二酸−1、4−ラクトン7.82gを、未精製
のまま、無水テトラヒドロフラン100mlに溶解し
た。この溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、ボランーテ
トラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液(濃度
1.0mol/1)49.5ml(49.5mmol)
をゆっくり滴下した。これを室温までゆっくり昇温した
後、そのまま室温で一晩撹拌した。
メチルヘキサン−4−オリドの調製 工程(d)で調製した cis−4−ヒドロキシ−3−メチ
ルヘキサ二酸−1、4−ラクトン7.82gを、未精製
のまま、無水テトラヒドロフラン100mlに溶解し
た。この溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、ボランーテ
トラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液(濃度
1.0mol/1)49.5ml(49.5mmol)
をゆっくり滴下した。これを室温までゆっくり昇温した
後、そのまま室温で一晩撹拌した。
【0046】反応終了後、反応溶液に、0℃において飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え、クロロホ
ルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物
を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(溶出液;エーテ
ル)で精製することにより、 cis−6−ヒドロキシ−3
−メチルヘキサン−4−オリド2.96g(20.5m
mol)を得た(収率42%)。生成物の物理的データ
は次のとおりであった。
和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり加え、クロロホ
ルムで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで
乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残留物
を、シリカゲルカラムクロマトグラフ(溶出液;エーテ
ル)で精製することにより、 cis−6−ヒドロキシ−3
−メチルヘキサン−4−オリド2.96g(20.5m
mol)を得た(収率42%)。生成物の物理的データ
は次のとおりであった。
【0047】 1H-NMR(CDCl3 ):δ 4.70(1H,ddd,J=9.8,
5.7,4.0Hz,H-4),3.90-3.76(2H,m,H-5),2.79-2.58(2H,m,
H-2,H-5),2.41(1H,br,OH),2.22(1H,dd,J=16.6,3.7Hz,H-
2),1.93-1.76(2H,m,H-3,H-5),1.04(3H,d,J=6.9Hz,Me)
。
5.7,4.0Hz,H-4),3.90-3.76(2H,m,H-5),2.79-2.58(2H,m,
H-2,H-5),2.41(1H,br,OH),2.22(1H,dd,J=16.6,3.7Hz,H-
2),1.93-1.76(2H,m,H-3,H-5),1.04(3H,d,J=6.9Hz,Me)
。
【0048】工程(f) cis−3−メチル−6−トシ
ルオキシヘキサン−4−オリドの調製 工程(d)で調製した cis−4−ヒドロキシ−3−メチ
ルヘキサ二酸−1、4−ラクトン0.70g(4.9m
mol)を、ピリジン5mlに溶解して調製した溶液
に、無水条件下0℃において、塩化パラトルエンスルホ
ニル1.4g(7.3mmol)を加え、4℃において
4時間反応させた。
ルオキシヘキサン−4−オリドの調製 工程(d)で調製した cis−4−ヒドロキシ−3−メチ
ルヘキサ二酸−1、4−ラクトン0.70g(4.9m
mol)を、ピリジン5mlに溶解して調製した溶液
に、無水条件下0℃において、塩化パラトルエンスルホ
ニル1.4g(7.3mmol)を加え、4℃において
4時間反応させた。
【0049】反応終了後、反応溶液を飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液中にあけ、エーテルで3回抽出した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を
留去した。得られた残留物をエーテルに溶解し、1%硫
酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄し
た。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した
後、減圧下溶媒を留去して、 cis−3−メチル−6−ト
シルオキシヘキサン−4−オリド1.2g(4.1mm
ol)を得た(収率85%)。生成物の物理的データは
次のとおりであった。
リウム水溶液中にあけ、エーテルで3回抽出した。有機
層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を
留去した。得られた残留物をエーテルに溶解し、1%硫
酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗浄し
た。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した
後、減圧下溶媒を留去して、 cis−3−メチル−6−ト
シルオキシヘキサン−4−オリド1.2g(4.1mm
ol)を得た(収率85%)。生成物の物理的データは
次のとおりであった。
【0050】 1H-NMR(CDCl3 ):δ 7.79(2H,d,J=8.3Hz,
aromatic H),7.36(2H,d,J=8.2Hz,aromatic H),4.55(1H,
ddd,J=9.8,5.9,3.8Hz,H-4),4.26-4.08(2H,m,H-5),2.75-
2.53(2H,m,H-2,H-5),2.46(3H,s,Me),2.18(1H,dd,J=16.
6,3.5Hz,H-2),2.05-1.84(2H,m,H-3,H-5),0.99(3H,d,J=
7.0Hz,Me) 。
aromatic H),7.36(2H,d,J=8.2Hz,aromatic H),4.55(1H,
ddd,J=9.8,5.9,3.8Hz,H-4),4.26-4.08(2H,m,H-5),2.75-
2.53(2H,m,H-2,H-5),2.46(3H,s,Me),2.18(1H,dd,J=16.
6,3.5Hz,H-2),2.05-1.84(2H,m,H-3,H-5),0.99(3H,d,J=
7.0Hz,Me) 。
【0051】 工程(g) cis −ウイスキーラクトンの調製 ヨウ化第一銅575mg(3.02mmol)を、無水
エーテル10ml中に添加した懸濁液に、−78℃のア
ルゴン雰囲気下において、エチルリチウムのエーテル溶
液(濃度0.60mol/l)10ml(6.0mmo
l)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、−30℃まで
1時間かけてゆっくり昇温してから、再び−78℃まで
冷却した(以下反応溶液Cと記す)。次に、工程(f)
で調製した cis−3−メチル−6−トシルオキシヘキサ
ン−4−オリド300mg(1.01mmol)を、無
水エーテル5mlおよび無水トルエン1mlに溶解し
た。この溶液に、−20℃のアルゴン雰囲気下で、反応
溶液C7mlを、ゆっくりと滴下した後、そのままの温
度で1時間撹拌した(この溶液を反応溶液Dと記す)。
エーテル10ml中に添加した懸濁液に、−78℃のア
ルゴン雰囲気下において、エチルリチウムのエーテル溶
液(濃度0.60mol/l)10ml(6.0mmo
l)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、−30℃まで
1時間かけてゆっくり昇温してから、再び−78℃まで
冷却した(以下反応溶液Cと記す)。次に、工程(f)
で調製した cis−3−メチル−6−トシルオキシヘキサ
ン−4−オリド300mg(1.01mmol)を、無
水エーテル5mlおよび無水トルエン1mlに溶解し
た。この溶液に、−20℃のアルゴン雰囲気下で、反応
溶液C7mlを、ゆっくりと滴下した後、そのままの温
度で1時間撹拌した(この溶液を反応溶液Dと記す)。
【0052】反応終了後、反応溶液Dを、飽和塩化アン
モニウム水溶液中にあけ、不溶物を瀘別した。瀘液を、
エーテルで3回抽出し、抽出液を、水および飽和食塩水
で順次洗浄した。次いで、抽出液を、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残
渣を、メタノール5mlに溶解し、これに10%水酸化
ナトリウム水溶液5mlを加え、室温にて一晩撹拌し
た。この後、メタノールを減圧留去し、得られた残渣
を、ジエチルエーテルで2度抽出した。水層を希塩酸に
て酸性とした後に、さらにジエチルエーテルで5度抽出
した。合わせた抽出液を、無水硫酸マグネシウムにて乾
燥した後濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、シ
リカゲルカラムクロマトグラフ(溶出液;n−ヘキサ
ン:エーテル=10:1〜2:1)で精製した後、減圧
蒸留してcis −ウイスキーラクトン107mg(0.6
9mmol)を得た(収率68%)。得られた生成物の
物理的データは次のとおりであった。
モニウム水溶液中にあけ、不溶物を瀘別した。瀘液を、
エーテルで3回抽出し、抽出液を、水および飽和食塩水
で順次洗浄した。次いで、抽出液を、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残
渣を、メタノール5mlに溶解し、これに10%水酸化
ナトリウム水溶液5mlを加え、室温にて一晩撹拌し
た。この後、メタノールを減圧留去し、得られた残渣
を、ジエチルエーテルで2度抽出した。水層を希塩酸に
て酸性とした後に、さらにジエチルエーテルで5度抽出
した。合わせた抽出液を、無水硫酸マグネシウムにて乾
燥した後濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物を、シ
リカゲルカラムクロマトグラフ(溶出液;n−ヘキサ
ン:エーテル=10:1〜2:1)で精製した後、減圧
蒸留してcis −ウイスキーラクトン107mg(0.6
9mmol)を得た(収率68%)。得られた生成物の
物理的データは次のとおりであった。
【0053】沸点:120〜130℃[21mmHg
(bath temp.)] 1 H-NMR(CDCl3 ):δ 0.92(3H,t,J=7.OHz),1.02(3H,d,J
=6.9Hz),1.20-1.75(6H,m), 2.20(1H,dd,J=3.8 and 16.8
Hz),2.51-2.64(1H,m),2.70(1H,dd,J=7.8 and 16.8Hz),
4.40-4.48(1H.m)。
(bath temp.)] 1 H-NMR(CDCl3 ):δ 0.92(3H,t,J=7.OHz),1.02(3H,d,J
=6.9Hz),1.20-1.75(6H,m), 2.20(1H,dd,J=3.8 and 16.8
Hz),2.51-2.64(1H,m),2.70(1H,dd,J=7.8 and 16.8Hz),
4.40-4.48(1H.m)。
【0054】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の3,4−二
置換−シス−γ−ラクトンの製造方法によれば、有用性
が高いシス体を、選択的にかつより高い収率で製造する
ことができる等効果を奏するものである。
置換−シス−γ−ラクトンの製造方法によれば、有用性
が高いシス体を、選択的にかつより高い収率で製造する
ことができる等効果を奏するものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 化1に示す一般式(I)で表される3,
4−二置換−シス−γ−ラクトン(I)の製造方法であ
って、 【化1】 (式中R1 及びR2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、ア
ルケニル基またはアルキニル基を示す。) (a)化2に示す1,4−シクロヘキサジエンモノエポ
キシド(II)の2位に置換基R2 を導入することにより化
3に示す化合物(III)を得る工程と、 【化2】 【化3】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (b)工程(a)で得られた化合物(III) の1位の水酸
基に一般的な水酸基の保護基R3 を導入することにより
化4に示す化合物(IV)を得る工程と、 【化4】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (c)工程(b)で得られた化合物(IV)のオレフィン
部分を酸化的に開裂して化5に示す化合物(V)を得る
工程と、 【化5】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R3 は、一般的な水酸基
の保護基を表す。) (d)工程(c)で得られた化合物(V)を脱保護反応
に供した後、ラクトンを形成させて化6に示す化合物
(VI)を得る工程と、 【化6】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (e)工程(d)で得られた化合物(VI)のカルボキシ
ル基を選択的に還元して化7に示す化合物(VII) を得る
工程と、 【化7】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示す。) (f)工程(e)で得られた化合物(VII) の水酸基に脱
離基R4を導入して、化8に示す化合物(VIII) を得る
工程と、 【化8】 (式中R2 は、直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケニル
基またはアルキニル基を示し、R4 は、一般的な脱離基
を表す。) (g)工程(f)で得られた化合物(VIII)の脱離基R
4 を置換基R1 で置換することにより3,4−二置換−
シス−γ−ラクトン(I)を得る工程とを具備したこと
を特徴とする3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製
造方法。 - 【請求項2】 置換基R1 及びR2 が、炭素数が1〜
5の範囲内であって直鎖又は分鎖のアルキル基、アルケ
ニル基またはアルキニル基であることを特徴とする請求
項1記載の3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3270510A JPH0586045A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | 3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3270510A JPH0586045A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | 3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0586045A true JPH0586045A (ja) | 1993-04-06 |
Family
ID=17487249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3270510A Pending JPH0586045A (ja) | 1991-09-24 | 1991-09-24 | 3,4−二置換−シス−γ−ラクトンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0586045A (ja) |
-
1991
- 1991-09-24 JP JP3270510A patent/JPH0586045A/ja active Pending
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