JPH0584328A - ゴルフボール - Google Patents
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Abstract
大円通路の存在によるディンプル効果の減少を補償し
て、ライン打ちとフェース打ちの弾道差を解消し、空力
的対称性の良いゴルフボールを提供することを目的とす
る。 【構成】表面にディンプル及び該ディンプルと全く交差
しない大円通路を有するゴルフボールにおいて、大円通
路から球の中心角で略15°未満の球表面領域をL領域
とし、L領域以外の球表面領域をF領域とした時、L領
域にあるディンプルの60%以上を非円形ディンプルと
し、F領域にあるディンプルの60%以上を円形ディン
プルとする。
Description
に、表面形状の異なるディンプルを配置することによ
り、ゴルフボールの空力的対称性の改良を図るものであ
る。
540個のディンプルが設けられている。ディンプルの
役割はゴルフボールの飛行中において、ゴルフボール回
りの空気の流れを乱すことにより、境界層の乱流遷移を
促進し、乱流剥離を起こすことで、剥離点を後方に下げ
て圧力抵抗を小さくする点と、剥離点の上下差の助長に
より揚力を向上する点の2点にある。よって、ゴルフボ
ール回りの空気の流れをより乱すことの出来るディンプ
ルほど空力的に優れたディンプルであると言える。
成形されるため、金型接合面であるパーティングライン
にはディンプルを配置することが出来ない。従って、パ
ーティングラインに対応するゴルフボールの表面にはデ
ィンプルと全く交差しない大円通路が1本形成されてい
る。
プルの表面形状には円形、楕円形、多角形等があり、こ
れらのディンプルを配置する際に、同一表面形状のディ
ンプルのみ、あるいは表面形状の異なるディンプルを組
み合わせて配置する手法など種々の手法が提案されてい
る。
観点から、上記ディンプルの全く交差しない大円通路を
基準として、該大円通路付近の領域と、該領域以外の領
域とを区別することが出来るが、上記の種々の形状のデ
ィンプルを組み合わせて配置する場合、上記した領域に
応じてディンプルの配置を変えているものはなく、いず
れもゴルフボールの表面全体に偏りなく配置されてい
る。
全く交差しない大円通路が存在すると共に、大円通路付
近の領域およびそれ以外の領域に区別なくディンプルを
偏りなく配置した場合、大円通路の存在により、ゴルフ
ボールの飛行時において、大円通路付近の領域とそれ以
外の領域との間でディンプル効果に差異が生じ、空力的
対称性の点で下記の問題が生じる。
合、バックスピンを伴って飛行するが、バックスピンの
回転軸がゴルフボールのどの位置にあっても同様に飛行
すること、即ち、弾道高さ、滞空時間、飛距離に差がな
いことが望ましい。しかしながら、回転軸が上記大円通
路と一致した場合と一致しない場合とではディンプル効
果に差が生じる。
が大円通路と一致するように打撃した場合(以下、 ライ
ン打ちと称する)、 大円通路にディンプルが存在しない
ために、ゴルフボール回りの空気の流れを乱すというデ
ィンプル効果が薄れる。よって、バックスピンの周速が
最も速い部分が大円通路と一致しないように打撃した場
合(以下、フェース打ちと称する)と比べて、弾道が低く
なり、滞空時間が短くなる。
違に基づく回転軸の違いにより飛行性能に差が生じる
と、そのゴルフボールは空力的対称性が悪く、プレーヤ
ーの技量を正確に反映出来ないものとなる。
て、大円通路の存在しないゴルフボールの製造方法が研
究され、例えば、特開昭64−8983号公報、特開昭
62−47379号公報等において種々提案されてい
る。しかしながら、実用化の段階等における種々の問題
より、大円通路の存在しないゴルフボールは製品として
製造されておらず、現在、市販されているゴルフボール
は少なくとも1本の大円通路を有している。
ので、少なくとも1本以上の大円通路を有するゴルフボ
ールにおいて、上記ライン打ちとフェース打ちとにおけ
る弾道差を解消し、空力的対称性の良いゴルフボールを
提供することを目的とするものである。
達成するため、円形ディンプルと、該円形ディンプルよ
り空気の流れを乱す効果が大きい非円形ディンプルと、
形状の相違するディンプルを組み合わせて配置し、大円
通路付近の領域(以下、 L領域と称する)と該L領域以外
の領域(以下、F領域と称する)とでは円形ディンプルと
非円形ディンプルの組み合わせの比率を変え、L領域で
は非円形ディンプルの比率を高める一方、F領域では円
形ディンプルの比率を高め、よって、L領域とF領域と
ではディンプル効果に差異が生じないようにするもので
ある。
及び該ディンプルと全く交差しない大円通路を有するゴ
ルフボールであって、該大円通路から球の中心角で略1
5°未満の球表面領域をL領域とし、L領域以外の球表
面領域をF領域とした時、L領域にあるディンプルの6
0%以上が非円形ディンプルであり、F領域にあるディ
ンプルの60%以上が円形ディンプルであることを特徴
とするゴルフボールを提供するものである。尚、上記非
円形ディンプルとしては表面形状が正多角形のディンプ
ルが好ましい。
ンプルの60%以上を非円形ディンプルとし、F領域に
あるディンプルの60%以上を円形ディンプルとし、デ
ィンプルの形状に基づくディンプル効果の点においてL
領域をF領域より増大させていることにより、L領域の
大円通路によるディンプル効果の減少を補償して、F領
域と同等とすることが出来る。
領域より大きくすることによりディンプル効果が向上す
る理由は、前記したように、非円形ディンプルの方が円
形ディンプルよりも空気の流れを乱す効果が大きいため
である。即ち、円形ディンプルd−1の場合は図1に示
すように空気の流れが滑らかであるのに対して、非円形
ディンプル、例えば、図2に示す多角形ディンプルd−
2、図3に示す楕円形ディンプルd−3、図4に示す小
判形状を変形した形状のディンプルd−4の場合は、空
気がディンプルの端にぶつかる際に、流れが滑らかにな
らず、より空気の流れを乱すからである。
ン打ちした場合、バックスピンの周速の最も速い部分に
近いディンプルは60%以上が非円形ディンプルである
ため、ディンプル効果が向上する。よって、フェース打
ちした場合に近い弾道高さ、滞空時間および飛距離を得
ることが出来、打撃位置の相違にかかわらず、飛行性能
の均等化を図ることが出来る。
境界を球の中心角で略15°としているが、この境界は
大円通路の数により決定される。即ち、大円通路が1〜
2本のゴルフボールにおいては、境界は各大円通路から
球の中心角で20°の線が好ましく、また、大円通路が
3本以上存在するゴルフボールにおいては各大円通路か
ら球の中心角で10°の線が好ましく、本発明において
はこれらを含めて略15°としている。言い換えるなら
ば、大円通路の数が増えると該大円通路付近の領域であ
るL領域がゴルフボールの球表面で占める面積が増加す
るため、1つのL領域を小さくする方が好ましく、L領
域とF領域の境界を決める各大円通路からの球の中心角
度は、大円通路の数が増加するのに応じて20°〜10
°の間で減少され、その間で適宜に設定される。
ンプルとは、その中心がL領域にあるディンプルであ
り、F領域にあるディンプルとはその中心がF領域にあ
るディンプルである。尚、ディンプルの中心とは、図4
に示す如き非円形ディンプルでは、表面形状図形の重心
をもってその中心としている。
示す実施例により詳細に説明する。図5、図6および図
7は第1実施例に係わるゴルフボールである。該ゴルフ
ボールG1は正八面体配列のゴルフボールであり、ディ
ンプルと全く交差しない3本の大円通路1、2、3を有
している。
を有しているため、大円通路付近のL領域(L)と該L領
域以外のF領域(F)の境界Xは、図8に示すように、各
大円通路から球の中心角θで10°の線に設定してい
る。即ち、図7において、黒く塗りつぶしているディン
プルD1はL領域にあるディンプルであり、黒く塗りつ
ぶしていないディンプルD2はF領域にあるディンプル
である。
表1に示すように168個、F領域にあるディンプルD
2は168個であり、ディンプル総数は336個であ
る。上記L領域にあるディンプルD1のうち、71%に
あたる120個が正方形ディンプルD1−1または正八
角形ディンプルD1−2からなる非円形ディンプルであ
り、残りの29%にあたる48個が円形ディンプルD1
−3である。また、上記F領域にあるディンプルD2の
うち、29%にあたる48が正方形ディンプルD2−1
または正八角形ディンプルD2−2からなる非円形ディ
ンプルであり、残りの71%にあたる120個が円形デ
ィンプルD2−3である。
ルG1では、大円通路1、2、3に近接したL領域に空
気の流れを乱す効果の大きい非円形ディンプルを多く配
置する一方、F領域には空気の流れを乱す効果の小さい
円形ディンプルを多く配置している。
ルフボールの第2実施例を示すものである。該ゴルフボ
ールG2は古くからゴルフボールに用いられている二十
面体配列のゴルフボールであり、ディンプルと全く交差
しない大円通路1はパーティングラインに対応する1本
のみである。従って、L領域とF領域の境界Xは該大円
通路1から球の中心角で20°の線である。即ち、図1
1において、黒く塗りつぶしたディンプルD1'がL領
域のディンプルであり、黒く塗りつぶしていないディン
プルD2'がF領域のディンプルである。
表1に示すように、L領域に120個のディンプルを有
すると共に、F領域に212個のディンプルを有し、デ
ィンプル総数は332個である。L領域にあるディンプ
ルD1'は全てが正六角形の非円形ディンプルである。
一方、F領域にあるディンプルD2'のうち38%にあ
たる80個が正六角形の非円形ディンプルD2'−1で
あり、残りの62%にあたる132個が円形ディンプル
D2'−3である。
G2も第1実施例のゴルフボールG1と同様に、L領域
には空気の流れを乱す効果の大きい非円形ディンプルが
多く配置され、F領域には空気の流れを乱す効果の小さ
い円形ディンプルが多く配置されている。
ボールにおいては、いずれも非円形ディンプルとして、
正多角形、即ち、正方形、正八角形、正六角形のディン
プルを用いているが、これは、正多角形のディンプルの
方がその他の非円形ディンプルに比べて対称性が良く、
どの方向からの空気の流れに対してもほぼ同様に作用す
るからである。
状を正多角形と称する場合、その形状はゴルフボールの
表面が球面で、ディンプルの一辺は曲線であるから、厳
密には正多角形ではない。しかしながら、本発明におい
ては、上記のような形状も近似的に正多角形であると見
なして、正多角形ディンプルと称している。
力対称性についての作用効果を見るために、上記第1実
施例及び第2実施例にそれぞれ対応する第1比較例およ
び第2比較例のゴルフボールを作成した。
ルフボールG3であり、第1実施例と同様な正八面体配
列のゴルフボールで、ディンプルと全く交差しない3本
の大円通路1、2、3を有している。L領域とF領域の
境界も第1実施例と同様に各大円通路から球の中心角で
10°の線である。図14において黒く塗りつぶしたデ
ィンプルD1はL領域にあるディンプルであり、黒く塗
りつぶしていないディンプルD2はF領域のディンプル
である。
フボールG3では、第1実施例のゴルフボールと同様に
L領域に168個、F領域に168個のディンプルを有
しており、ディンプルの総数は336個である。L領域
にあるディンプル168個のうち43%にあたる72個
が正方形ディンプルD1−1の非円形ディンプルであ
り、残りの57%にあたる96個が円形ディンプルD1
−3である。一方、F領域にあるディンプル168個の
うち、29%にあたる48個が正方形ディンプルD2−
1あるいは正八角形ディンプルD2−2の非円形ディン
プルであり、残りの71%のディンプルが円形ディンプ
ルD2−3である。このように、第1比較例のゴルフボ
ールG3では、L領域にもF領域にも空気の流れを乱す
効果の小さい円形ディンプルを多く配置している。
のゴルフボールG4は、第2実施例と同様な二十面体配
列のゴルフボールであり、ディンプルと全く交差しない
大円通路1を1本のみ有している。L領域とF領域の境
界も第2実施例と同様に、該大円通路から球の中心角で
20°の線である。図17において黒く塗りつぶしたデ
ィンプルD1’はL領域のディンプルであり、黒く塗り
つぶしていないディンプルD2’はF領域のディンプル
である。
フボールG4では、第2実施例のゴルフボールと同様に
L領域に120個、F領域に212個のディンプルを有
しており、ディンプルの総数は332個である。L領域
にあるディンプル120個の全てが正六角形の非円形デ
ィンプルである。一方、F領域にあるディンプル212
個も全て正六角形の非円形ディンプルである。このよう
に、第2比較例のゴルフボールG4はL領域にもF領域
にも空気の流れを乱す効果の大きい非円形ディンプルが
多く配置されている。
例、第2比較例のゴルフボールは、いずれもバラタカバ
ー及びリキッドセンターを有する糸巻きボールであり、
その構造および配合を同一としている。また、外径は4
2.70±0.03mmに統一し、コンプレッションは95
±2に統一している。
1比較例、第2比較例のゴルフボールの実験例を記載す
る。上記のゴルフボールを「ツルテンパー社」製のスイ
ングロボットを用いて、ドライバー(W1)にて、ヘッド
スピード48.8m/sの条件で対称性テストを行った。ス
ピンは3500±300rpm、ボール打出角は9±0.5
°となるようにマシン条件を調整した。テスト時は向か
い風0.9〜2.7m/sであった。 上記第1実施例、第2
実施例、第1比較例、第2比較例とも各々40個のボー
ルを用意し、23±1℃に保温した。
例、第1比較例、第2比較例のボールを、それぞれ20
個はライン打ち、20個はフェース打ちした。各ボール
ともキャリー、弾道高さ(ボール発射地点から見た弾道
最高点の仰角)及び滞空時間を測定した。その平均値を
下記の表2に示す。
実施例のゴルフボールはそれぞれライン打ち、フェース
打ちのキャリー、弾道高さ、滞空時間がほぼ同等であ
り、打ち方の違いによる弾道差が少ない。
ス打ちに比べてライン打ちの弾道高さが低く、滞空時間
が短く、キャリーが小さい。これは第1比較例のゴルフ
ボールが第1実施例のゴルフボールに比べて、L領域の
非円形ディンプルの率が小さく、ライン打ちした時のデ
ィンプル効果が小さいからである。
ちに比べてライン打ちの弾道高さが低く、滞空時間が短
く、キャリーが小さい。これは第2比較例のゴルフボー
ルが第2実施例のゴルフボールに比べて、F領域の非円
形ディンプルの率が大きく、フェース打ちした時のディ
ンプル効果が大きすぎ、ふき上がる弾道となるためであ
る。一般的には非円形ディンプルのように空気の流れを
乱す効果の大きいディンプルほど空力的に優れたディン
プルと言えるが、第2比較例のように、その配置が適切
でない場合には、ボール全体としては対称性が悪く、飛
距離が小さくなる。
2実施例のゴルフボールは、第1比較例、第2比較例の
ゴルフボールと比べて空力的対称性が良く、バックスピ
ンの回転軸の違いによる弾道差の少ないゴルフボールで
あることが確認出来た。
ィンプルと交差しない大円通路を有するゴルフボールに
おいて、大円通路付近の領域のL領域と、該L領域以外
のF領域とで、ディンプル効果に差のある非円形ディン
プルと円形ディンプルの比率を異ならせ、L領域のディ
ンプル効果をF領域のディンプル効果より増大させてい
るため、L領域における大円通路の存在によるディンプ
ル効果の減少を補償することが出来る。
果を向上させて、フェース打ちした時のディンプル効果
と略同等と出来、従来のゴルフボールでは成し得なかっ
た空力的に完全に対称なゴルフボールを実現することが
出来る。このように、本発明に係わるゴルフボールで
は、打撃時にバックスピンの回転軸の違いによる弾道差
を少なくでき、プレーヤーの技量を正確に反映すること
が出来る利点を有するものである。
ある。
である。
である。
図である。
る。
である。
面図である。
る。
面図である。
る。
面図である。
ンプル D1−3、D2−3 円形ディンプル
Claims (2)
- 【請求項1】 表面にディンプル及び該ディンプルと全
く交差しない大円通路を有するゴルフボールであって、
該大円通路から球の中心角で略15°未満の球表面領域
をL領域とし、L領域以外の球表面領域をF領域とした
時、L領域にあるディンプルの60%以上が非円形ディ
ンプルであり、F領域にあるディンプルの60%以上が
円形ディンプルであることを特徴とするゴルフボール。 - 【請求項2】 上記非円形ディンプルの表面形状が正多
角形であることを特徴とする請求項1記載のゴルフボー
ル。
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