JP5993105B1 - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴルフボールの表面を改良してパッティングの打ち出し精度を高める事が可能なゴルフボールの提供。【解決手段】略球体であるゴルフボール1は、球表面から球の中心側へ後退する複数のディンプル2を備えるものであって、周囲を複数のディンプル2に取り囲まれると共にディンプル2を備えない非ディンプル領域としてゴルフボール1の球面の一部をなす、パット用打点部3を複数備えるものであり、各パット用打点部3は、最小径を、5mm以上とする。ゴルフボール1表面の複数箇所にパット用打点部3が備えられ、各パット用打点部3同士は等間隔にゴルフボール表面へ均一に分布する。【選択図】図1

Description

本願発明は、ゴルフボールに関するものである。
ゴルフがプレーされ始めた当初、ゴルフボールの表面は球面のみにて構成されたものであった。
現代のゴルフにおいては、ゴルフボールの表面に複数の窪み即ちディンプルを設けて飛距離を伸ばす工夫がなされている(特許文献1)。
ボールのような非線形の物体については、空気抵抗の飛距離への影響が極めて大きい。ボールの表面に複数の窪み即ちディンプルがあると、空気の流れがボール表面から剥離する点をディンプルのない場合に比べボールの後方へずれ込ませることができ、ボール後方の空気密度の薄い領域がディンプルのないボールより少なくなる。その結果抗力が下がる効果がある。またディンプルには適度な揚力を付与する効果もある。
ディンプルの配置や寸法については、現在でも日々研究が重ねられている(特許文献1及び2)。
特許第3981809号公報 特許第4337957号公報
パッティンググリーンの上へボールが乗るまでのゴルフコース内(以下フェアウエイと呼ぶ。)でのプレーでは、上記の通りディンプルにてボールの飛距離を稼ぐメリットが生かされる。その一方パッティンググリーン(以下グリーンと呼ぶ。)の上でカップを狙う際に、ディンプルの角(縁)にパターが当たり、狙った方向と異なる方向へボールを打ち出してしまうことがある。
しかし、フェアウエイでの飛距離向上のためディンプルの改良に注意が注がれ、パターのフェース素材の選択や個人のパッティング技術の工夫などが提案されるものの、現状においてボール表面を改良してグリーンでのパッティングのコントロールを向上させるという発想は皆無である。
本発明はゴルフボールについて、上記カップへ寄せる際ディンプルの影響を抑制したコントロールし易いボールの提供を図るものである。
本発明では、表面が略球面であり、前記球面から当該球の中心側へ後退する複数のディンプルを備えたゴルフボールについて、次の構成を採るものを提供する。
即ち、前記表面の少なくとも1箇所に、パット用打点部を備え、前記パット用打点部は、周囲を前記複数のディンプルに取り囲まれた、ディンプルを備えない領域であり、前記パット用打点部は、最小径を4mmより大きなものとする領域である。
更に、本発明では、前記パット用打点部が、前記球面の一部をなすものであるゴルフボールを提供できた。
また、本発明では、前記各ディンプルが、前記球面へ設けられた窪みであり、前記表面の複数箇所に、前記パット用打点部を備え、複数の前記パット用打点部同士は、互いの間に1つ又は複数の前記ディンプルを挟んで配置されたゴルフボールを提供できた。
更に、本発明では、前記パット用打点部のうちの少なくとも一部である複数のパット用打点部は、前記表面の少なくとも1つの大円上に設けられたものであり、前記大円上のパット用打点部同士は、略等間隔を開けて配置されたゴルフボールを提供できた。
上記の大円とは、球面の中心を通る平面で切ったときにできる切り口の円(仮想円)をいう。
また更に、本発明では、前記表面の1つの大円を第1大円として、当該第1大円と直交する大円の1つを第2大円とし、前記パット用打点部のうちの2つは、前記第1大円と前記第2大円の交差点の夫々に配置され、前記交差点に配置されない前記パット用打点部のうちの一部である1つ又は複数のパット用打点部は、前記第1大円上に配置され、前記交差点に配置されない前記パット用打点部のうちの他の一部である1つ又は複数のパット用打点部は、第2大円上に配置されたものであるゴルフボールを提供できた。
更にまた、本発明では、表面が略球面であり、前記球面から前記球面の中心側へ後退する複数のディンプルを備えたゴルフボールにおいて、前記表面にパット用打点部を備え、前記パット用打点部は、前記球面の一部をなす前記ディンプルを備えない領域であり、前記パット用打点部は、前記表面上にて交差する少なくとも2つの大円の夫々に沿って形成された、少なくとも2筋の環状の領域であり、パット用打点部がなす環状の前記筋の夫々は、太さを4mmより大きなものとするゴルフボールを提供できた。
本発明では、グリーンにおいてパッティングでカップを狙うプレーヤーが、パット用打点部即ちディンプルの設けられていない領域を、打つことができる。このため、パターのフェースがディンプルの縁と接触して打ち出し方向の精度が損なわれるという、従来の問題を回避できる。
更に、本発明において、パット用打点部の大きさを制限すると共にパット用打点部同士について球状のゴルフボールの1つの大円上へ略等間隔を開けて配置すること、特に、球状のゴルフボールの1つの大円を第1大円として、当該第1大円と直交する大円を第2大円とし、各パット用打点部を第1大円上と第2大円上の夫々へ配置するものとし、一部のパット用打点部を第1大円と第2大円の2つの交差点の夫々に配置することで、パッティングの際の上記効果を得つつも、パット用打点部の偏りを抑えた分布を確保した。即ちパット用打点部の存在によってディンプルが偏ることを抑制し、フェアウエイでのプレーでの飛距離や飛び方向への影響を抑えることを可能とした。また、二次的な効果であるが、上記のパット用打点部の偏りを抑える工夫は、ディンプルの分布の対称性の確保を可能とするものであり、ゴルフボールの公認球として利用できる幅を広げた。
(A)は本発明に係るゴルフボールの略正面を示すパット用打点部の配置についての説明図、(B)は(A)のゴルフボールを斜視した状態の説明図、(C)は(A)のゴルフボール表面の略展開状態を示す説明図、(D)は(A)のゴルフボールの一部切欠要部略正面図。 図1(B)へ示すゴルフボールの一部を切欠拡大し斜視した説明図、(B)は図1(D)のゴルフボールの拡大略正面図。 (A)は上記パット用打点部付近のゴルフボール表面の一部切欠展開平面図、(B)は上記パット用打点部の他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図、(C)は上記パット用打点部の更に他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図、(D)は上記パット用打点部のまた更に他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図。 (A)は上記パット用打点部のまた他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図、(B)は上記パット用打点部の更に他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図。 (A)は上記パット用打点部の更に他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図、(B)は(A)のゴルフボール表面でのパット用打点部の配置を示す説明図、(C)は(B)の配置の他の実施の形態を示す説明図、(D)は上記パット用打点部のまた更に他の実施の形態を示すゴルフボール表面の一部切欠展開平面図。 (A)は上記パット用打点部のまた他の実施の形態を示す説明図、(B)は上記パット用打点部の更に他の実施の形態を示す説明図、(C)は上記パット用打点部のまた更に他の実施の形態を示す説明図、(D)は上記パット用打点部の更にまた他の実施の形態を示す説明図、(E)は上記パット用打点部のまた他の実施の形態を示す説明図。 (A)はパット用打点部表面の他の実施の形態を示す説明図、(B)はパット用打点部表面のまた他の実施の形態を示す説明図、(C)はパット用打点部表面の更に他の実施の形態を示す説明図、(D)はパット用打点部表面のまた更に他の実施の形態を示す説明図、(E)はパット用打点部表面の更にまた他の実施の形態を示す説明図、(F)はパット用打点部表面のまた他の実施の形態を示す説明図、(G)はパット用打点部表面の更に他の実施の形態を示す説明図、(H)はパット用打点部表面のまた更に他の実施の形態を示す説明図、(I)はパット用打点部表面の更にまた他の実施の形態を示す説明図、(J)はパット用打点部表面のまた他の実施の形態を示す説明図。 (A)は本発明に係るゴルフボールの試験装置の全体側面図、(B)は(A)へ示す装置のパッティングマットの平面図、(C)は実験装置のハンマーの正面図、(D)は(C)のハンマーの先端面(打撃面)を示す底面図、(E)は実験するゴルフボールの略斜視図。 (A)は図8(A)へ示す装置の要部拡大側面図、(B)は(A)の背面図、(C)は(A)の装置の作動状態を示す要部拡大側面図、(D)は(C)の背面図。 (A)は周知のゴルフボールの一部切欠略断面図、(B)は実験のため(A)のゴルフボールに加工を施した状態を示す一部切欠略断面図、(C)は実験のため(B)のゴルフボールへ更に加工を施した一部切欠略断面図、(D)は実験のため(A)のゴルフボールへ他の加工を施した一部切欠略断面図、(E)は実験のため(A)のゴルフボールへ更に他の加工を施した一部切欠略断面図、(F)は本発明に係る製品としてのゴルフボールの一部切欠略断面図。
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態について説明する。
図1、図2及び図3(A)へ本発明の一実施の形態を示す。
(ゴルフボール1の基本構成)
図1(A)へ示す通り、ゴルフボール1は、略球体であり、ゴルフボール1の直径r(最大径)は、42mm以上とする。この例では、ゴルフボール1の直径は、42.67mmである。但し、このような数値は、目的とするプレーに影響のない範囲で変更可能である。特に公式のプレーで公認球として使用する場合、ゴルフボールの直径rを上記42.67mmとするのが好ましい。
ゴルフボールは、上記パット用打点部3を備える以外、周知の構成のものを採用することができる。
例えば、このゴルフボールには、ワンピース、ツーピース、スリーピース、フォーピース或いはファイブピースその他の周知の構造や、周知の素材のものを採用して実施することができる。
このゴルフボール1は、表面に複数のディンプル2とパット用打点部3とを備える。
尚、図面の煩雑を避けるため、図1(A)(B)及び図2(A)においてディンプル2を全て省略し、図1(C)においては一部のディンプル2のみ描いている。
また図1(B)において、一点鎖線にて、隠れたパット用打点部3を透視した状態に描いている。図1(D)及び図2(B)において、輪郭線として現れるディンプル1のみを描き正面側のディンプルを省略する。
ゴルフボール1の各部の構成について順に説明する。
(ディンプル2)
図1(D)及び図2(B)へ示す通り、上記ディンプル2の夫々は、ゴルフボール1がなす球の表面即ちゴルフボール表面が呈する球面から当該球の中心側へ後退するものである。
ディンプル2は、ゴルフボール1表面に設けられた窪みである。また、この例では、窪みであるディンプル2の縁は、円形であり特に真円である。ディンプル2が呈する窪みの内部は、全体が凹曲面をなす所謂中華鍋型とする。
各ディンプル2の口径(直径)は、3mm以上5mm以下とするのが好ましい。また、各ディンプル2の深さは0.1mm以上2mm以下とするのが好ましい。この例では、各ディンプル2の口径は3.3mmである。また、ここでは複数のディンプルについて全て同じ形状・寸法のものを例示する。但しディンプル2の上記各寸法範囲は例示であり、パットの打ち出しの精度を損なわずフェアウエイでのプレーにも影響しないものであれば、上記数値範囲を外れたものを除外するものではない。
ディンプル2は、ゴルフボール1の表面に複数設けられており、一部のディンプル2が、上記パット用打部3を取り囲む。
(パット用打点部3)
図1(A)(B)及び(D)へ示す通り、上記パット用打点部3は、ゴルフボール1が呈する前記球面の一部をなすものである。ゴルフボール1の表面において、上記ディンプル2が設けられた領域をディンプル領域とすると、パット用打点部3は、ディンプルが設けられていない非ディンプル領域である。
また、パット用打点部3は、パット用打点部3の周囲を取り囲む複数のディンプル2にて象られた領域でもある。
ゴルフボール1表面には、この例では図1(A)〜(C)へ示す通り複数のパット用打点部3が分布する。
ゴルフボール1表面において、パット用打点部3以外の領域即ち上記ディンプル領域は、各パット用打点部3の領域全てを合わせたものより広いものとするのが好ましい。
特に、パット用打点部3は、最小径を4mmより大きな領域とするのが好ましい。即ち、パット用打点部3である領域について、後述する頂点pを通る各方向の幅を4mmより大きなものとする。
図2(A)(B)へ示す通り、パット用打点部3の上記頂点pに接する接面k(仮想面)へ垂直に投影されたパット用打点部3の輪郭線nの径、即ち当該投影された接面k上の輪郭線nの径をパット用打点部3の平面径r1と呼ぶ。
パット用打点部3の上記最小径とは、当該平面径r1のうち最も小さいものをいう。
尚、上記接面k上の輪郭線nを必要に応じて投影輪郭線nと呼ぶ。
一方、上記平面径r1と区別するため、パット用打点部3のゴルフボール1表面上の輪郭線mを麓として、当該麓間の、パット用打点部3の上記頂点pを通り球であるゴルフボール1表面に沿う各方向の長さr2を、パット用打点部3の曲面径r2と呼ぶ。パット用打点部の上記頂点pというのは、ゴルフボール表面が均一な厚みの変形しない層(仮想層)で形成されているものとして上記輪郭線mにて上記層を切り剥がしたと仮定した場合、切り剥がした当該層をその凸側を上にして水平な平面上に置いた際に最上となる位置即ち最も高い位置をいう。
図2(A)(B)において矢印s(仮想線)は、接面kに対する垂線、即ち頂点pにおける法線を示している。
ゴルフボールの直径r(図1(A))を上記42.67mmとする場合、パット用打点部3の領域の上記最小径は、上記平面径r1のうち最小のものとしても、上記曲面径r2のうち最小のものとしても大差はないが、本発明において、パット用打点部3の領域の上記最小径は上記平面径r1のうち最小のものとする。
また、パット用打点部3の輪郭形状は特定の形状に制限されるものではないが、パット用打点部3の平面への展開形状を、特に円形又は多角形とするのが好ましい。
図1(A)〜(C)へ示すものは、各パット用打点部3を真円とする例である。
上述の通り、パット用打点部3は、上記頂点pを通りゴルフボール1の表面に沿う各方向の輪郭線m間の上記接面kへ投影した幅即ち平面径r1を、4mmより大きなものとするのであり、パット用打点部3の上記輪郭線mが真円のこの例では、パット用打点部3の上記接面kへ投影した投影輪郭線n(円)の直径を4mmより大きなものとする(図3(A))。また、パット用打点部3の輪郭線mの上記曲面径r2について、ゴルフボール1の円周(全周)の1/2を超えないものとするのが好ましい。
パット用打点部3を上記の通り真円とする場合、上記平面径r1を7mm以上とするのがより好ましく、特に上記平面径r1を10mm以上とするのが好ましい。
図1(A)〜(C)へ示すパット用打点部3は、特に平面径r1を、10.67mmとする。
また、ここでは、複数のパット用打点部3について全て同じで形状・寸法のものを例示する。
図1(A)〜(C)及び図3(A)へ示すゴルフボール1は、表面の6箇所にパット用打点部3を備える。図1(A)(B)へ二点鎖線で示す通り、球体であるゴルフボール1表面の1つの大円を第1大円d1(仮想円)とし、第1大円d2と直交する大円の1つを第2大円d2(仮想円)として、パット用打点部3のうち2つは、ゴルフボール1表面における前記第1大円d1と第2大円d2の2つの交差点に配置され、他の4つのパット用打点部3は、夫々ゴルフボール1表面上前記両交差点から等距離にある第1大円d2と第2大円d2上の位置に配置される。特にこの例は、図1(B)へ示す通り、第1大円d2と第2大円d2の両大円と直交する第3大円d3(仮想円)を想定して、第3大円d3に対する第1大円d2及び第2大円d2の夫々の交差点へ、残りのパット用打点部3を配置したものである。
またパット用打点部3の上記頂部pが、当該パット用打点部3の属する上記大円上に位置するように、各パット用打点部3を配置するのが好ましい。特に、上記各大円d1,d2,d3の交点に配置されるパット用打点部3は、その頂部pを当該交点と一致するように配置されるのが好ましい。但し各パット用打点部3の領域が上記大円に掛っておれば、当該大円から外れた位置に各パット用打点部3の頂部pが配置されるものであってもよい。
図1(C)はゴルフボール1表面について平面へ展開した状態を示す。図1(C)へ示す通り、各パット用打点部3は、正三角形の頂点をなしている。平面において正三角形の各頂点の角度は60度であるが、図1(A)(B)へ示す通り、パット用打点部3を球面へ配置した場合、上記三角形の各頂角は90度をなすものであり、1つの三角形が球面であるゴルフボール1表面の1/8の面を占める。図1(C)へ示す例では上記三角形の頂点(前述の頂点pを直接指すのではなく上記三角形の3つの頂点の夫々を指す。)の夫々を3つのパット用打点3がなし、一列に配列された複数のディンプルが当該三角形の辺をなす。但し、図面の煩雑を避けるため、図1(C)では当該ディンプルの列に囲まれたディンプル即ち上記三角形の内側のディンプルについては、(F面を囲む)上記三角形の一つを代表として当該内側のディンプル全てを示し、F面以外の他の面を画する三角形についてその内部のディンプル2を省略して描いている。図1(C)は、正8面体配列と呼ばれる、球面に正三角形を8つ組み合わせた配列であり、ディンプル2を配置しボールを左右対称に分ける対称軸を3本有する配置を示している。
尚、パット用打点部3は、No.1〜No.6の6箇所に設けられるが、位置関係を分かり易くするため、図1(C)において、No.1とNo.5とNo.6は夫々重複して描いている。また、各パット用打点部3を頂点(上記の通り頂点pを直接指すものではない。)とする三角形の夫々は、ゴルフボール1表面を図1(C)に示すA面〜H面の8つの領域に画するものである。但し、図1(C)中No.1とNo.2とNo.6のパット用打点部3に囲まれるA面と、No.1とNo.4とNo.6のパット用打点部3に囲まれるG面は省略する。
この実施の形態において、パット用打点部3は、窪み即ち凹部のない球面とする。即ち、パット用打点部3である非ディンプル領域はその全体を球面とする以外造形を施さないものとして実施する。この他、ディンプル以外の造形をパット用打点部3へ施すものとしても実施できる。具体的には、パット用打点部3は、窪み即ち凹部のない完全な球面とする他、深さ0.3mm以下で直径0.9mm以下の範囲の凹部を設けて実施することができる。即ち、パット用打点部3は、表面を梨地とするなど、深さ0.3mm以下で直径0.9mm以下の範囲の凹部を複数設けたものであってもよい。パット用打点部3は、その領域中に上記ディンプル2を備えないものであればよく、ディンプル2に該当しない凹部を設けられていても、最小径について4mmより大きな領域をパット用打点部3とすることができる。上記寸法範囲の凹部はディンプル2と異なり、パターと当該凹部の縁との接触でボールの打ち出し方向の精度を著しく害するものではないと考えられるからである。尚上記寸法範囲の凹部をパット用打点部3へ設ける場合、パット用打点部3の領域を越えてディンプル2に掛からないように配置する。
上記の他例えば、図7(A)〜(J)へ示す溝4を、パット用打点部3の領域内へ設けて実施することもできる。上記溝4は、ゴルフボール1表面において太さを1mm以下とする。但し、パッティングにおけるパット用打点部3の効果を阻害しないものであれば、溝4の太さは上記数値を外れるものであってもよい。
図7へ例示する各溝4について具体的に説明する。尚図7の各図は、球面のゴルフボール1表面を平面へ展開した状態のパット用打点部3の領域内を示している。
図7(A)へ示す通り、パット用打点部3である非ディンプル領域内に矩形の溝4を設けて実施することができる。上記溝4を、図7(D)へ示す矢印形や図7(E)へ示す楕円、図7(F)へ示すホームベース形、図7(G)へ示す星形とすることができ、更に上記溝4を図7(I)へ示す凹多角形の十二角形である十字形とすることもできる。また図示した以外に、溝4は、真円、楕円以外の長円、正方形、長方形、三角形、正五角形を呈するものとしても実施できる。また、パット用打点部3の領域内へ複数の上記溝4を設けるものとしても実施できる。図7(C)へ示す通り、一つの溝4が囲む領域内に他の溝4を設けるものとしても実施できる。図7(C)の例では各溝4について三角形を呈するものとしたが、各溝4を四角形以上の多角形や円や楕円その他の長円としても実施できる。また、図7(J)へ示す通り、外側の溝4とその内側の溝4の形状は異なるものであっても実施できる。図7(J)へ示す例では、外側の溝4が五角形を呈し内側の溝4が円を呈する。図7(J)へ示す例において外側の溝4を五角形以外の形状を呈するものとし内側の溝4を円以外の形状を呈するものとしても実施できる。また、溝4は、図7(C)や図7(J)へ示すようにパット用打点部3へ二重に設けるものの他、三重以上の多重に設けるものとしても実施できる。更に、複数の溝4同士は、図7(C)や図7(J)へ例示する包含関係を採らないものとしても実施できる。図7(B)は、二種以上の形状を呈する溝4が分布するものを例示している。即ち図7(B)に示す例では、パット用打点部3において、凹多角形としての4つの凹六角形が互いの向きを異にして配置されると共に二重円が1つ配置されている。当該4つの凹六角形は上記二重円を取り囲むように二重円の周囲に分布する。
図7(A)〜(G)や図7(I)(J)へ示す通り、各溝4は環状に閉じたものとしてもよいが、図7(H)へ示すように溝4は端40を備えた、環状以外の形状を呈するものとしても実施できる。図7(H)へ示す例では、孤を描いて伸びる4本の溝4が、当該孤のなす凸側を互いに向き合わせるよう配置されている。図7(H)の例において溝4は図示した4本に限定するものではなく、3本以下でも5本以上でも実施できる。また、溝4は孤以外の形状を呈するものであってもよい。
尚、図示は省略するが、パット用打点部3の縁に溝を設けて当該溝にてパット用打点部3の輪郭を規定するものとしても実施できる。
(グリーンでのゴルフボール1の取り扱い)
ゴルフボール1をグリーンに乗せた後、プレーヤーは、マークした場所に自らボールを置いてパッティングを行うことができる。このため、打ち出すパターのフェースに、上記パット用打点3が対面するようにボールをグリーンへ置けばよい。即ちプレーヤーは、上記法線(図2(A)(B)の矢印sと逆方向)をパターのフェースの移動方向としパット用打点部3の頂点pを打つことができる向きにボールを置いてパットを行えばよい。
より具体的には、パッティング時、図2(A)(B)へ示す接面kへパターのフェース(面)が一致するようにパターを振ってパット用打点部3の頂点pを当該フェースで打てばよい。
図2(B)へ示す接面kをパッティングの際のパターのフェースと見立てると、パット用打点部3の径即ち平面径r1を4mmより大きいもの特に5mm以上とすることで、当該パターフェースの弾力やゴルフボール1の弾力による変形を考慮しても、上記フェースにおいて、パット用打点部3周辺のディンプル2の縁との接触が回避できることが分かる。
この点についてより具体的に説明する。
図2(B)には、各ディンプル2の口径を3.3mmとしパット用打点部の平面径r1を10.67mmとする直径42.67mmのゴルフボールの上部を拡大して描いている。
パット用打点部3の平面径r1をディンプル2の口径と同じ3.3mmより小さいものとすると、上記接面kをパターフェースと見立てた場合、パターのフェースの弾力やゴルフボール1の弾力による変形を無視したとしても、上記図2(B)からディンプル1個分の径程度の、非ディンプル領域を確保することも難しく上記法線sに対する僅かなフェースの傾きでパット用打点部3周辺のディンプル2の縁との上記フェースとの接触を回避するのが困難となることが分かる。一方、パット用打点部3の曲面径r2(図2)について、球面であるゴルフボール1の円周の1/2を超えるとパターに対しパット用打点部3にボールの球面上反対側に隠れる部分が生じ、どのように打ってもパターのフェースと接触する可能性はなく悪戯にディンプル領域を侵食するだけとなる。
特にパット用打点部3の曲面径r2について20mmを超えるものとすると、3mm前後の口径のディンプル2ではボールの球面に沿って5個分以上非ディンプル領域を設定することになり、ゴルフボール1表面の上記6箇所へパット用打点部3を配置し対称性を確保するものとすると、当該6箇所を占める非ディンプル領域の占有範囲は極めて大きくなってしまう。
上記点を鑑みて本発明は、ゴルフボール表面において、インパクト時パターの打点にディンプル2があることでディンプル2の縁にパターが接触しカップと異なる方向へ打ってしまうということを防ぐため上記径r1の非ディンプル領域としてゴルフボール1へパター用打点部3を設けた。またその一方で本発明は、ディンプル領域を必要以上に低減させたくないという要求を満たすものである。
(変更例)
パット用打点部3の輪郭形状における、図3(A)へ示す真円以外の前述の多角形の例として、パット用打点部3は、図3(B)へ示す矩形を平面へ展開した輪郭形状とするものでもよい。
更にパット用打点部3の平面へ展開した輪郭形状は、楕円その他の長円や三角形、五角形、六角形、七角形以上の多角形、矢印その他の多角形、更には曲線と直線とが複合した図形として実施することができる。また、図3(B)には、パット用打点部3として長方形の輪郭を持つものを例示したが、正方形の輪郭を持つものとしても実施できる。勿論パット用打点部3の上記輪郭を多角形とする場合において、正多角形に限定するものではなく、上記長方形に限らず正多角形以外の多角形も含む。
パット用打点部3の上記輪郭線mが真円でない場合、パット用打点部3の最小径を4mmより大きなものにするというのは、前述の通り頂点pを通る上記接面k上の各方向の投影輪郭線n間の幅を4mmより大きなものにするということであり、頂点pを通る上記接面k上の何れの方向についても投影輪郭線n間の幅を4mmより大きなものにするということである。
また、パット用打点部3の上記輪郭線mが真円でない場合において、前述の頂点pを通りゴルフボール1の表面に沿う各方向の輪郭線m間の長さを前記球面の円周の1/2を超えないものにするというのは、上記頂点pを通りボールの球面に沿う何れの方向についても輪郭線m間の長さを前記球面の円周の1/2を超えないものにするということであり、最大曲面径r2をゴルフボール1円周の1/2を超えないものにするということである。
図3(A)(B)へ示すように、パット用打点部3を取り囲むパット用打点部3直近のディンプル2の縁自身の平面へ展開した形状が、一つの円や四角形などの図形の一部と合致する場合、パット用打点部3の上記輪郭は、ディンプル2の縁が属する当該図形に象られたものとする。従って、当該図形が図3(A)へ示す真円の場合、前述の通り当該真円の平面径r1を4mmより大きなものとし、当該真円の曲面径r2についてゴルフボール1の円周の1/2を超えないものとするのである。当該図形が図4(B)へ示す矩形の場合、矢印で一部を例示する方向、即ち上記頂点pを通る接面k上の何れの方向についても接面kへ投影した幅即ち平面径r1を4mmより大きなものとし、上記頂点pを通りゴルフボール1の球面に沿う何れの方向についての長さ即ち曲面径r2も、ゴルフボール1の円周の1/2を超えないものとするということである。
更にパット用打点部を取り囲むディンプルの形状が他のディンプルの形状と同様の場合、例えば図4(A)(B)へ示すように、パット用打点部3を取り囲む各ディンプル2の口の形状が他のディンプル2と同様円形(真円)の場合、パット用打点部3を直接取り囲むディンプル2間において、最短距離となる最小幅部分tをパット用打点部3とディンプル領域との境界線即ちパット用打点部3の輪郭線mの一部(仮想線)とすると共に、個々のディンプル2について当該最小幅部分tに挟まれた縁のうちパット用打点部3と接する側の縁である円弧部分eをパット用打点部3の輪郭線mの一部とする。
また、図3(C)(D)へ示す通り、パット用打点部3を画する直近のディンプル2の形態について、図3(A)(B)へ示すものと図4(A)(B)へ示すものとを複合したものとすることができる。図3(C)(D)及び図4(A)(B)において、暗色で示す領域がパット用打点部3である。
図3(C)(D)へ示す例においても、図中の矢印にて一部を示す頂点pを通る接面k上の各方向における投影輪郭線n間の長さ即ち上記平面径r1を4mmより大きなものとする。また、図3(C)(D)へ示す例において、図中の矢印にて一部を示す頂点pを通る球面上の各方向における輪郭線m間の長さ即ち当該各方向の曲面径r2についてゴルフボール1の円周の1/2を超えないものとするのが好ましい。図3及び図4に示す各実施の形態において、上記頂点pを通る各方向の平面径r1を4mmより大きく20mmを超えないものとするのが好ましい。更には当該平面径r1を7mm以上曲面径r2を20mm以下、とりわけ当該平面径r1を10mm以上曲面径r2を20mm以下とするのが好ましい。
また、図5(A)(B)へ示す通り、パット用打点部3は、十字型に形成するものとしても実施できる。即ちパット用打点部3は、縦横2本の帯状の非ディンプル領域が交差する形状を採るものとしても実施できる。
図5(B)へ示す例では、十字を呈するパット用打点部3の中心線の少なくとも一方について当該パット用打点部3が属する上記大円と一致するように、各パット用打点部3を配置する。この他、図5(C)へ点線で示す上記中心線の何れも当該パット用打点部3が属する上記大円と一致しないように配置して実施することも可能である。
図5(C)の例では、上記中心線は、上記接面kへの投影において両大円d1,d2に対し45度の角度をなす。但し上記中心線は、当該45度に限定するものではなく、大円d1,d2に対し90度や当該45度以外の他の角度をなすものであっても実施できる。
図5(B)から図5(C)への配置の変更は、パット用打点部3を上記十字型に形成する場合に限らず、パット用打点部3が他の形状の輪郭を備える場合にも適用できる。例えば、パット用打点部3が前述の図3(B)へ示す矩形の輪郭を備える場合、当該矩形の長辺或いは短辺が上記大円の少なくとも一方と平行になるようにパット用打点部3を配置することもできるし、当該矩形の対角線の一つが上記大円と一致するようにパット用打点部3配置することもできる。
また、十字型のパット用打点部3については、2つの中心線(図5(C))が直交する形態を採るものとしたが、この他、両直線部分が90度以外の角度で交差するものとしても実施できる。
尚、図5(A)(B)へ示す例では、パット用打点部3が呈する十字の4つの端部jは、
丸みを帯びたもの即ち弧状のものとした。この他、上記十字の端部jを丸みのない直線としてもよい。即ちパット用打点部3の輪郭を凹多角形である十二角形としても実施できる。
各図において、uは、パット用打点部3が呈する十字の交差点を中心として四方へ放射状に伸びるパット用打点部3の凸状部分を示している。
図5(B)において、r21はパット用打点部3の曲面径r2のうち最小のもの即ち最小曲面径を示し、r22はパット用打点部3の曲面径r2のうち最大のもの即ち最大曲面径を示す。また図5(B)のw1は、上記弧状の端部jを除いた上記凸状部分uの幅を示している。即ち、図5(B)のw1は凸状部分uを当該パット用打点部3の頂点pにおける接面kへ投影した両側辺v間の幅を示している。以下必要に応じて前記幅w1を凸状部分uの太さw1と呼ぶ。この図5(B)へ示す例では、上記太さw1を4mmより大きなものとするのが好ましい。当然のことであるが、上記最小曲面径r21を接面kへ投影した最小平面径r11即ち最小径は当該太さw1よりも大きい。
直径42.67mmのゴルフボール1について、図5(B)の例では、パット用打点部3の最小平面径r11を4mmよりも大きく、パット用打点部3の最大曲面径r22をゴルフボール1の(大円の)円周の1/4より小さいものとするのが好ましい。
特にパット用打点部3の最大曲面径r22を32.9mmより小さいものとし、上記太さw1について、最大曲面径r22を接面kへ投影した最大平面径r12の半分以下とするのが好ましい。但し、例えば大円d1,d2に対し図5(C)と同様の配置を採るものとすれば、最大曲面径r22は上記円周の1/4を超えるものであっても実施できる。パット用打点部3の形状を図5(B)(C)に示すものとする場合、パット用打点部3の上記端部jの一方と、当該パット用打点部3と隣り合う他のパット用打点部3の端部jとの間に、少なくとも1個以上のディンプル2が介在するものとするのが好ましい。但し図6(E)へ示す通り、上記端部j同士が繋がったもの、即ち、互いに直交する3つの大円d1,d2,d3夫々の全周に沿ってパット用打点部3が連続した1つの非ディンプル領域を形成するものとしても実施できる。図6(E)へ示すパット用打点部3は、上記大円d1,d2,d3へ沿った3筋の環状部分にて構成されているのである。但し、直交する2筋の環状部分にてパット用打点部3を構成するものとしても実施できる。
上記の環状部分の夫々は、完全な輪になっている必要はなく、ディンプル2が介在して途切れる箇所を備えたものであってもよい。例えば上記環状部分は、途切れた個所を1箇所備えるC字状のものであってもよいし、途切れた個所を2個所以上備えるものであってもよい。
前述の通り、パット用打点部3の輪郭とすることができる多角形には凸多角形のみならず凹多角形を含むものであり、また図5へ示す十字型以外の凹多角形も含む。
図5(B)(C)の例も含め、上述の通りパット用打点部3を十字型とすることにより、十字の最大曲面径を大きく確保しつつも、例えば正方形や長方形、正五角形、正六角形といった凸多角形に比べて、ゴルフボール1表面でのパット用打点部3によるディンプル領域の専有範囲の侵食を抑えることができる。
そして図5(B)(C)の例を含め上記十字の中心線(図5(C)の上記点線)の一方を水平とするようにグリーン上にゴルフボール1を置いてパッティングを行うことにより、非ディンプル領域であるパット用打点部3の最大径を生かしてディンプル2の影響を排除したパッティングを行うことができる。
詳しくは、パッティングの打ち出し方向に大きな影響を与えるのは、パッティングのインパクトの瞬間パターフェースの打点(スイートスポット)に対し左右真横に位置するディンプル2であり、インパクトの瞬間当該打点に対し上下など他の位置にあるディンプル2の前記打ち出し方向に対する影響は大きくない。パターフェースは横長で縦幅より横幅のほうが大きいからである。従って、グリーン上にて、十字形に形成したパット用打点部3の最大径部分を左右横方向に伸びるようゴルフボール1を置くことによって、左右横長のパターのヘッドに対し、打点とできる十分な幅を左右横方向へ確保することができる。従って、ボール表面における各パット用打点部3配置の対称性を考慮してパット用打点部2を十字形に形成したとしても、必要な非ディンプルを十分に確保することができる。このため十字形のパット用打点部2は、同じ最大曲面径を採る円や凸多角形の輪郭を持つパット用打点部3に比べてディンプル領域の占有面積を大きく落とさずに済ますことができるのである。
尚、第1及び第2の大円d1,d2の交点に配置されたパット用打点部3について、当該十字の交点を両大円d1,d2の交点と一致させるのが好ましいが、一致させないものを排除するものではない。
また、図5(A)へ示すようにパット用打点部3を画して正確な凹多角形の十字型とするようにパット用打点部3直近のディンプル2の輪郭を整える他、図5(D)へ示す通り直近のディンプル2も他のディンプル2と同じ形状とし、ディンプル2の配置で概ね十字を呈するものとしてもよい。図5(D)に示す場合も頂点pを通る各矢印方向の長さを曲面径r2とし、当該曲面径r2を接面kへ投影した各方向の平面径r1の夫々を4mmよりも大きな上記範囲にあるものとすればよい。
図6(A)へ十字形のパット用打点部3の変更例を示す。図6(A)に示すパット用打点部3では、ゴルフボール1表面の展開状態において凸状部分uの先端jを、当該凸状部分uの太さ方向へ直線的に伸びる辺とする。そして、前記先端jと一対の側辺vとがなす角j1の夫々は、丸みを帯びている。この他前記角j1を全く丸みのないものとして実施してもよい。図6(A)に示すパット用打点部3は、図1(A)へ示す円形の輪郭を備えた形態と上記の十字形の形態とを複合したものであり、十字の上記凸状部分u間の谷間即ちパット用打点部3の凹状部分xは頂点pを中心とする円弧をなしている。図6(A)へ示す例において、上記凹状部分xが呈する円弧のゴルフボール1の球面に沿った直径が最小曲面径r21となり、その接面kへ投影した円弧の径が最小平面径r11である。尚図6(A)のパット用打点部3が呈する十字の交差部分を挟んで互いに反対側へ位置する一対の凸状部分uにおいて、前記頂点pを挟んで互いに対向し対をなす上記角j1間の上記球面に沿った長さが、最大曲面径r22となる。図6(A)の例において特にパット用打点部3における凸状部分uの上記太さw1を4mmより大きなものとしパット用打点部3の上記最大曲面径r22を20mmを超えないものとするのが好ましい。
尚、図6(A)中r23は、上記十字の属する大円の伸びる方向に沿った曲面径r2を示しており、この例では上記最大曲面径r22一致しない。
パット用打点部3は、十字の交差部分へ上記図6(A)へ示す円形の輪郭を複合しないものとし、上記凹状部分xは、L字状のコーナーをなすものとしても実施できる。
また、前述の凸状部分uの太さw1は凸状部分uの基部から先端に至るまでほぼ一定とした。この他、図6(B)に示すように、上記凸状部分uは、その基部側から当該凸状部分の先端に向けて漸次太さw1を小さくする、先細りのものとしてもよい。凸状部分uを先細りとする場合、凸状部分uの側辺vは平面への展開状態において直線的に伸びるものとしてもよいし、図6(C)へ示す通り側辺vは曲線的に伸びるものとしてもよい。図6(B)においてw2は上記凸状部分uの端部jの幅を示し、図6(B)(C)において、w3は上記凸状部分の基部kにおける側辺v間の幅を示している。図6(B)(C)において、上記幅w2は1mm〜4.9mmとし、上記幅w3は4mmより大きく15mmを超えないものとし、上記最大曲面径r22は20mmを超えないものとするのが好ましい。
図6(B)(C)においても、図6(A)と同様十字の交差部分へ円形の輪郭を複合するものを示したが、当該円形の輪郭を複合しないものとしても実施できる。
図6(D)は、前述の図6(E)のパット用打点部3のなす環状の筋に前述途切れ部分を設けた例である。図6(D)の例では、途切れ部分は図6(E)の大円同士の交差部に設けられている。図6(D)において、w0は各パット用打点部3の呈する筋の太さを示している。この太さw0は4mmより大きく15mmを超えないものとするのが好ましい。また図6(D)における上記途切れ部分のゴルフボール1の曲面に沿った途切れ部分の幅も、上記太さw0とほぼ同じ大きさとするのが好ましい。但し、パットの精度向上とディンプル侵食の抑制とを両立できるものであれば、上記太さw0や上記途切れ部分の幅について、上記の範囲以外の大きさとして実施できる。尚上記太さw0は、図6(D)(E)へ示す例では一定としたが、上記数値の範囲内において上記筋の伸びる方向の各部において異なるものとしてもよく、その場合最も太さw0が小さい部分の当該太さw0を4mmより大きなものとする。
上記の各実施の形態において、各パット用打点部3は、全て同じ形状・寸法とした。この他、複数のパット用打点部3は、複数種の異なる形状や異なる寸法にて構成することができる。複数のバット用打点部3を、複数種の異なる形状や寸法のもので構成する場合、ゴルフボール1の球の中心について点対称となる位置にある一対のパット用打点部3を同じ形状・寸法のものにするのが好ましい。
パット用打点部3は、パッティングにおけるディンプル2の影響の抑制というグリーンでのプレーの問題排除と、ドライバーによる第一打の飛距離の確保といったフェアウエイでのプレーの問題排除の両立から、図1(B)へ示す6箇所へ設けるのが好ましい。即ち、直交する2つの大円において、各大円の夫々へ等間隔に4箇所パット用打点部を配置するのが好ましい。
但し、各大円上の5箇所以上にパット用打点部3を設けて全体として7箇所以上のバット用打点部3を備えるものとしても実施できる。また、フェアウエイでのプレーへの影響を考慮する必要がない場合、パット用打点部3を、ゴルフボール1表面の1箇所のみ設けるものとしてもよい。この他、パット用打点部3は、ゴルフボール1表面の、2箇所、3箇所、4箇所或いは5箇所へ設けることができる。パット用打点部3をゴルフボール表面1の2箇所へ設ける場合、ゴルフボール1のなす球の中心を挟んで両パット用打点部3同士が反対側へ位置する即ち当該中心について点対称となる位置に配置するものとするのが好ましい。また、パット用打点部3をゴルフボール1表面の、3箇所、4箇所或いは5箇所へ設ける場合、ゴルフボール1表面の1つ大円(仮想線)上に外に等間隔を開けて各パット用打点部3を配置するのが好ましい。但し、ディンプルの影響を排してパットのコントロール向上を図ることができるものであれば、上記配置箇所や配置数以外の配置箇所や配置数にて実施してもよい。
この他パット用打点部3は、ゴルフボール1表面の7〜18箇所へ設けることができる。パット用打点部3の配置は、フェアウエイでのドライバーなどのクラブによる飛距離や打ち出し方向に対する影響を抑えるため、上記の通り互いに略均等な間隔を開けて配置されるものとしても実施できるが、当該影響を考慮する必要がない場合、不均等に更には不規則に配置するものとしても実施できる。
上述してきた各実施の形態において、パット用打点部3は、全体が略球であるゴルフボールの球面の一部をなすものとした。パット用打点部3は、パッティングの際パターとディンプルとの接触を回避することができるものであれば、ゴルフボールのなす球面に完全に一致するものに限定するものではなく、パット用打点部3を他の球面や凸曲面としても実施できる。
この他、パット用打点部3は、ディンプルのない平らな面としても実施できる。パット用打点部3を平らな面とする場合、パット用打点部3をディンプル領域と画するパット用打点部3の輪郭即ち、パット用打点部3は丸みを帯びたものとするのが好ましい。
ディンプル2の形状についても、図示したもの即ち口が真円の輪郭を備えたものに限定するものではなく楕円その他の長円や他の曲線的形状或いは多角形、直線と曲線の複合された輪郭を備えたものとして実施することができる。ディンプル2の輪郭を多角形とする場合、六角形や五角形以下の多角形或いは七角形以上の多角形として実施することができる。
更に上述してきた複数のディンプルは、全て同じ形状・寸法のものとした。この他、複数のディンプルは、異なる形状や寸法のもので構成されたものとしても実施できる。
例えは口径の異なる複数種のディンプルをゴルフボール表面に備えるものとしてもよいし、深さの異なる複数種のディンプルをゴルフボール表面に備えるものとしてもよい。
また、ディンプル2が呈する窪みの形状についても、上記の全体が凹曲面をなす中華鍋型とする他、底が平らなフライパン型としてもよい。例えばディンプル2を凹型のディンプルの中にもう一段のくぼみがある二重ディンプル形状は、ディンプルの直径を大きくしなくてもディンプル容積を大きくとれるため、飛行の後半にボールの速度が落ちてからもまっすぐに落ちず、飛距離を伸ばすことができる。ディンプル2をダブルラジアスと呼ばれる、断面形状を異なる曲率を有する2種の曲面(ダブルラジアス)で構成されたものとすることにより、ボールの弾道を上げ飛距離を増大することができる。但し、ディンプル2をシングルラジアスとして実施してもよい。また、ディンプル2をディスクリートディンプルと呼ばれる、断面形状を直線と曲面で構成されたものとすることにより、通常のディンプルに比べて抗力が減少し浮力が増すので、スピン量が維持され飛行中の弾道がさらに安定化し、飛距離を得ることができる。
また複数のディンプル2のゴルフボール1表面での配置や分布についても図1(C)や図3、図4、図5(A)(D)へ示すものに限定するものではなく、他の配列や分布を採用して実施することができる。例えば、球面に正五角形を12面組み合わせた配列でありディンプル配列上から見てボールを左右対称に分ける対称軸が10本ある12面体配列や、球面に正三角形を20面組み合わせた20面体配列や、正20面体設計を進化させて球面に60面体配分によるディンプル配列をなす60面体配列や、一つの円の回りに6つの円を並べボール全体にディンプル2を敷きつめた六方細密配列を採用して実施することができる。但し、上記配列は例示であり、パット用打点部3の形成を阻害するものでない限り、ディンプル2について例示した以外の配列を採用するのを制限するものではない。
また、パット時のディンプルの影響を回避することができれば、図1(A)〜(C)に示すパット用打点部3の配置箇所や配置数に限定するものではなく、例えば上記12面体配列の五角形の頂点や、上記20面体配列や60面体配列の三角形の頂点の夫々にパット用打点部3を配置して実施することができる。
図3、図4及び図5(A)(D)へ示す各実施の形態において、隣り合うディンプル2間には間隔が設けられているが、このような間隔を設けずに実施することも可能である。
(実験)
パット用打点部3の効果確認のため、図8及び図9へ示す実験装置を用意し実験を行った。
上記実験装置として、図8(A)(B)へ示す、床に敷いたパター練習用の市販のパターマットcと、発明者が製作したパッティング装置fとを用いた。
パターマットcはグリーンに見立てたものであり、パッティング装置fが打ったゴルフボール1をパターマットc上にて転がし、所定距離a転がった後のゴルフボール1のパターマットc右端c3からの距離bを計測した。
上記所定距離aは、パッティング装置fにてゴルフボール1を打つ側のパターマットcの端を始端c1として、カップ側即ち転がり先となるパターマットの端を終端c2とし、始端c1側から終端c2に至るまでの途中にゴルフボール1を止める当たりc4をパターマットc上に設けて規定したものである。パッティング装置fに打たれたゴルフボール1が当該当たりc4まで転がる距離を上記所定距離aとして2000mmに設定した。
図8(B)のc5は、パッティング装置fにてパットを行う際のゴルフボール1の置く位置即ちゴルフボール1の中心位置を合わせるためのマークを示している。
図8(A)へ示す通り、パッティング装置fは、市販のキャスタf2へ市販のハンマーf3を固定し、当該キャスタf2をキッチンラックf1に取り付けることにより作製したものである。パッティング装置fは、図8(B)では省略しているが、図8(A)へ示す通りパターマットcの始端c1側に設置される。
キッチンラックf1は、キッチンストレージなどの金属製の棚である。キッチンラックf1自身は、脚部にキッチンワゴンのようなキャスタを備えないものである。
キャスタf2は、車輪f21と、当該車輪f21が回動自在に軸止された軸受け部f22とを有する。車輪f21の外周の一か所へ治具f5を用いて上記ハンマーf3を固定した。
治具f5は、図9(A)〜(D)へ示す通り、端部へ雄螺子を備えるU字状のシャフトf51と、当該シャフトf51の両端へ通される座板f52と、当該シャフトf51の雄螺子に螺合する雌螺子を有するナットf53とを備えたものである。当該シャフトf51を車輪f21のホイル部分へ通し、車輪f21のタイヤ部分と共に上記シャフトf51のU字の内側にハンマーf3の柄f32とスペーサf4とを配置し、車輪f21外周と上記座板f52とにてハンマーf3の柄f32とスペーサf4とを挟み上記ナットf53を締め付けることにより、ハンマーf3を車輪f21へ固定した。スペーサf4には、付箋(紙片)を束ねたものを使用した。
車輪f21及びハンマーf3を床と接触しないように即ち床より上方へ位置するように、キャスタf2の上記の軸受け部f22を、キッチンラックf1の最下段の棚部分に取り付けた。
図9(A)(B)へ示す通り、キッチンラックf1の上記棚部分には、上記治具f5の端部又は上記ナットf53を引っ掛けて、ハンマーf3の頭部f31を持ち上げた状態に保持するフックf6が設けられている。
フックf6は、J字型のシャフトであり、図9(B)へ矢印で示すように、キッチンラックf1に対して、回動自在に取り付けられている。図9(C)(D)へ示す通り、フックf6を回転させることにより、引っ掛けていた治具f5の端部又はナットf53を解放する。当該解放によりハンマーf3は自重にて車輪f21を回転させ、頭部f31をパターマットc上のゴルフボールcへ振り下ろすことができる。フックf6は、ハンマーf3の頭部f31を一定の高さに保持するものであり、ハンマーf31の解放は、フックf1を指先で上記の通り回転させることにより行うことができる。このため、誰が実験を行っても、ゴルフボール1以外のパッティングの条件を一定とすることができる。
尚、上記ハンマーf3の頭部f31(金属部分)の重さは450gであり、柄f32などの頭部f31の取付部品の重さは203gであり、取付部品を含むハンマーf3全体の重さは653gである。
また、キャスタf2の上記車輪f21の外径は、125mmであり、ハンマーf3を固定した車輪f21の中心軸からハンマーf3の頭部f31の重心までの距離hを93mmとした(図9(A))。
ハンマーf3は柄f32をほぼ鉛直に立てた振り上げ(図9(A))状態から柄f32をほぼ水平になるよう約90度振り降ろすことにて(図9(C))ゴルフボールの打撃を行う。
上記実験は、図示したパッティング装置fを用いることにて、バッティングに際して比較対象とするゴルフボール以外の条件を極力一定とする工夫がなされたものである。即ち、実験は、上記ハンマーf3をパターに見立て、ハンマーf21の重さによるモーメントを利用して車輪f21を回転させてハンマーf3を振り下しゴルフボール1を打つものである。パッティング装置fにより、1つのゴルフボール1のパッティングを複数回行い、パターマットc右端c3からの距離bのばらつきを調べた。当該パッティング回数は20回とした。
上記パッティングに際して、ハンマーf3の打撃面f33へ図8(D)へ示す通り、感圧紙であるインパクトマーカf34を張り付けておき、20回パッティングを行った後のインパクトマーカf34の変色範囲の寸法を調べた。具体的には、円形定規でインパクトさマーカの変色部分の最大径を図った。即ち、円形定規の円のうちインパクトマーカf34の変色部分がはみ出ない最小のものを確認した。
上記の図8及び図9へ示す実験装置を用いて、次の実験1〜6の実験を行った。
実験1及び2は、比較例として図10(A)へ示す周知の一般的な2種のゴルフボール1にてパッティングを20回行い夫々上記距離bを調べた。
実験1及び実験2に用いたゴルフボール1の夫々は、何れも改造されていない。即ち実験1及び2の対象としたゴルフボール1については、図10(A)へ示す通り、ゴルフボール1のコア10全体について、ディンプル2を備えるカバー11が覆ったものである。
実験1のゴルフボール1として、具体的にはキャロウェイゴルフ株式会社(東京都港区白金台5−12−7 MG白金台ビル)のCHROME SOFTボール(商品名)を用いた。
実験2のゴルブール1として、キャスコ株式会社(香川県さぬき市志度5412)のKIRA KLENOT(キラ クレノ/登録商標)を用いた。KIRA KLENOTは、前述の中華鍋タイプのディンプル2を備える。
実験3として、次の実験3の1と実験3の2を行った。
実験3の1には、図10(B)へ示す通り、上記カバー11の一部をディンプル1個分の4mm径除去したゴルフボール1についてパッティングを20回行い夫々上記距離bを調べた。図10(B)へ示すゴルフボール1において、カバー11の上記一部を切除した部分は、ほぼ平らである。
実験3の2では、図10(C)へ示す通り、図10(B)に示すゴルフボール1のカバー11の切除部分の縁を、回転工具(ミニルータ)でヤスリ掛けしてほぼ平らにし、6mm径の疑似パット用打点部31を形成した。当該疑似パット用打点部32を上記ハンマーf3で打つパッティングを20回行い夫々上記距離bを調べた。
上記の実験3で改造用のゴルフボール1として、アクシネット ジャパン インク(東京都港区北青山2丁目11番3号 A−PLACE青山)のタイトリスト(登録商標)V1(REFINISHED)を用いた。
実験4は、図10(A)へ示す従来のゴルフボール1のうちKIRA KLENOTについて、図10(D)へ示すように、口径5mmのディンプルの1つを水性アクリル樹脂系の目地シール5にて平らに埋めて硬化即ち24時間経過させ、疑似パット用打点部32とした。上記目地シール5としてセメダイン株式会社(東京都品川区大崎1−11−2 ゲートシティ大崎イーストタワー)の目地シール(品番HJ−137)を用いた。
実験4において改造するゴルフボール1として、実験2で用いたKIRA KLENOTを使用した。
実験5では、市販のゴルフボール1としてキャロウェイゴルフ株式会社(東京都港区白金台5−12−7 MG白金台ビル)のHX-TOUR(商品名)からディンプルが設けられた表面のカバー11(図10(E)の破線)を剥いで、ディンプルの無い全体を球面とするボールについて上記装置にてパッティングを行った。
実験10の改造に用いたゴルフボール1は、上記のCHROME SOFTボールである。
図10(E)のゴルフボールについては、カバー11が完全に剥がされてパターマットc上を転がり難くなっているため、上記所定距離aを1700mmに設定した。
尚上記何れの実験においても、パッティング装置fにてゴルフボール1を打つ強さは、所定距離aに届くものに設定しているが、この強さは、当たりc4がない場合であっても、所定距離aを大きく超えるものではない。従って当たりc4を配置した場合において、当たりc4に当たっても大きく跳ね返るものではなく、当たりc4に当たったゴルフボール1は当たりc4の傍に留まる。
実験6では、ゴルフボールを全て上記KIRA KLENOTに統一して、次の実験6の1及び実験6の2を行った。
実験6の1では、ゴルフボールを上記KIRA KLENOTとすること以外の条件を全て上記実験1と同様とした。また、実験6の2では、実験3の2と同様の手法で、即ちゴルフボール1のカバー11を5mm径切除し当該切除部分の縁を、回転工具(ミニルータ)でヤスリ掛けしてほぼ平らにし、7mm径の疑似パット用打点部31を形成した。当該疑似パット用打点部32を上記ハンマーf3で打つパッティングを20回行い夫々上記距離bを調べた。実験6の2についてもゴルフボールを上記KIRA KLENOTとし疑似パット用打点部32の径以外の条件は上記実験3の2と同様である。
表1に実験1、表2に実験2、表3に実験3、表4に実験4、表5に実験5、表6に実験6の結果を示す。
表1に示す通り、実験1の3回目と5回目にパターマットcの右端c3からのゴルフボール1の距離bが最大の110mmを記録し、19回目に当該距離bが最小の87mmを記録した。実験1のパッティングにおいて上記距離bの最大値110mmと最小値87mmの差は、23mmであった。
また、表2へ示す通り、実験2の4回目の上記距離bが最大の178mmを記録し、13回目と18回目の上記距離bが最小の43mmを記録した。実験2のパッティングにおいて上記距離bの最大値178mmと最小値43mmの差は、135mmであった。
表3へ示す通り、実験3の1の2回目と16回目に上記距離bが最大の110mmを記録し、11回目に上記距離bが最小の70mmを記録した。実験3の1のパッティングにおいて上記距離bの最大値110mmと最小値70mmの差は、40mmであった。
そして表3へ示す通り、実験3の2の20回目に上記距離bが最大の109mmを記録し、3回目と8回目に上記距離bが最小の106mmを記録した。実験3の2のパッティングにおいて上記距離bの最大値109mmと最小値106mmの差は、僅か3mmであった。
表4へ示す通り、実験4の12回目と15回目に上記距離bが最大の112mmを記録し、1回目に上記距離bが最小の105mmを記録した。実験4のパッティングにおいて上記距離bの最大値112mmと最小値105mmの差は、僅か7mmであった。
表5へ示す通り、実験5の4回目と6回目と9回目に上記距離bが最大の89mmを記録し、13〜15回目と17回目に上記距離bが最小の83mmを記録した。実験5のパッティングにおいて上記距離bの最大値89mmと最小値83mmの差は、僅か6mmであった。
尚実験5については前述の通り所定距離aを1700mmに設定しており、他の実験と条件が異なるので参考例として記載したが、所定距離aの比率2000mm/1700mmを上記距離bの最大値と最小値の差6mmに掛けても7mm程度の差にしかならないことが分かる。
表6へ示す通り、実験6の1の4回目に上記距離bが最大の178mmを記録し、13回目と18回目に上記距離bが最小の43mmを記録した。実験6の1のパッティングにおいて上記距離bの最大値178mmと最小値43mmの差は、135mmであった。
また表6へ示す通り、実験6の2の8回目と9回目に上記距離bが最大の122mmを記録し、2回目に上記距離bが最小の106mmを記録した。実験6の2のパッティングにおいて上記距離bの最大値122mmと最小値106mmの差は、16mmと僅少であった。
実験3の2及び実験4において、パッティング後のインパクトマーカf34の変色範囲の最大径は4mmを超えないものであった。図8(E)へ示す通り、ゴルフボール1への着色や印刷によるマーキングとして十字の指標6を描いておき、平面視した際にマークcと当該十字の中心とが一致するようにゴルフボール1をパターマットc上に置くことにより、上記4mmを越えない変色範囲を得られた。記載は省略するが、発明者は、上記指標6を描かずにゴルフボール1の位置合わせを行った場合も、インパクトマーカf34の変色範囲は7mmを超えないことを確認している。
また、実験5で用いたゴルフボール1にインパクトマーカを貼りつけて変色範囲を見ると最大径が4mmを超えるものではなかった。実験5で用いたゴルフボール1は図10(E)へ示す通りカバー11が完全に除去され、ゴルフボール1の直径を42.67mmよりも若干小さいものとしている。このため、曲面に貼られた上記インパクトマーカの変色範囲の径は曲面径r2と見ることができるが、この大きさでは平面径r1と同一視することができる。
本発明に係る実施品としてのゴルフボール1は、図10(F)へ示す通り、ゴルフボール1のカバー11にディンプル2と共に、球面をなすパット用打点部を形成するものである。図10(D)(E)は、製品化されていない出願段階における上記実験のための代用品即ち疑似実施品として形成したものである。図10(D)(E)にて上記良好な結果を得、図10(F)の実施品についても、図10(D)(E)と同様かそれ以上の良好な結果を期することができる。
尚図10の各図において、図面に付すべきハッチングは煩雑を避けるため省略した。
上記実験結果から、パット用打点部3の最小径を5mm以上、特に6mm以上、更には7mm以上とするのが好ましいことが把握できる。上記実験結果は、上記指標の付加により、変色範囲を4mm以内に留めることができたものである。一方、指標がない場合でも、インパクトマーカの最大変色範囲は7mmである。従って、指標に頼らないものとすると、パット用打点部3の上記最小径は7mmとするのが好ましい。また、実験装置にて安定したパットを再現できるものであるが、ゴルフ経験の浅い者などを考慮すると、フェアウエイでの飛距離に影響しない範囲において、パット用打点部4は大きければ大きいほどパット精度を確実に向上することができる。このような観点から前述の通りパット用打点部4は、平面径r1を8mm特に10mm以上とし、6個程度のパット用打点部3をゴルフボール1の表面へ略均一に分布させるものとして各パット用打点部3曲面径r2を20mm以下とするのが好ましい。
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(概括)
本発明において、略球体であるゴルフボール1は、当該球表面から当該球の中心側へ後退する複数のディンプル2を備えるものであって、周囲を前記複数のディンプル2に取り囲まれると共に前記ディンプル2を備えない非ディンプル領域としてゴルフボール1の球面の一部をなす、パット用打点部3を複数備えるものであり、各パット用打点部3について、平面径r1を4mmよりも大きなものとし、曲面径r2をゴルフボール1の円周の1/2を超えないものとするのが好ましい。
各パット用打点部3同士は等間隔を開けてゴルフボール表面へ均一に分布する。
最も好ましくは、このゴルフボール1は、表面の6箇所にパット用打点部3を備えるものとし、図1(B)へ示す配置を採る。即ち、球体であるゴルフボール1表面の1つの大円を第1大円d1(仮想円)とし、第1大円d2と直交する大円の1つを第2大円d2(仮想円)として、パット用打点部3のうち2つは、ゴルフボール1表面における前記第1大円d1と第2大円d2の2つの交差点に配置し、他の4つのパット用打点部3は、夫々ゴルフボール1表面上前記両交差点から等距離にある第1大円d2と第2大円d2上の位置(両交差点間の中間点)へ配置するという位置関係を採る。
また、上記以外に、パット用打点部3は、前記表面上にて直交する少なくとも2つの大円の夫々に沿って形成された、少なくとも2筋の環状の領域とし、パット用打点部がなす環状の前記筋の夫々は、前記球面上において当該筋の環状に伸びる方向と直交する方向の幅即ち当該筋の太さを4mmよりも大きなものとするのが好ましい。
本発明は、上記構成にて、フェアウエイにおけるプレーでのディンプル2の効果を必要以上に阻害せずに、グリーンでの上記パッティングの打ち出し精度を高めることを可能としたのである。
従って、本発明は、ショートパットを外したくない場合に、ボールのコントロールが行い易いゴルフボールを提供できたのである。即ち、ゴルフボール1の表面に特定の配置でディンプルの無い箇所をパット用打点部3として設けることにより、ショートパットを外したくないプレーヤーが競技や趣味のゴルフにおいて、パターを含むゴルフクラブのフェースとゴルフボールが接触したときに、ゴルフボールの表面に設けたディンプル即ちゴルフボールの球状の表面に設けられたフライパン型や中華鍋型の凹凸の影響を、ゴルフボールのグリーンへの置き方によって抑制することができる。
尚、グリーン上でカップにアプローチするパッティングは、通常パターを用いるが、他のクラブを用いて行うパッティングについても、上記パット用打点部3を利用すればよい。
上述の通り本発明は、パッティングにおけるゴルフボール1表面のディンプル2の影響を、グリーンでのゴルフボール1の置き方で極力少なくすることができる表面の形態をゴルフボール1へ付与したものである。
特に、本発明は、USGA(米国ゴルフ協会)、R&A(英国ゴルフ協会)及びJGA(日本ゴルフ協会)などが定めるゴルフボールの公認球を用いて公式競技やゴルフ場で使用するゴルフボールについてゴルフボールの表面の形状及び構造について新たに創作し提案するものである。
本発明に係るゴルフボールについては、上記各ゴルフ協会の規定に沿った公認球として実施する他、非公認の競技や練習に使用するゴルフボールとして実施するのを排除するものではない。
尚、公式の試合に使用することができる公認球については、1981 年にUSGA(米国ゴルフ協会)及びR&A(英国ゴルフ協会)がボールに対する特殊な飛行特性を禁じる対称性規則を設定し、ボールの対称性を求めている。即ちゴルフボール製造時の金型の繋ぎ目であるシームを水平と垂直にした2方向からスイングロボットで打ち比べた各々のグループの平均値の差について、キャリー4.0ヤードで尚且つフライトタイム0.4秒以内と定められている。本発明に係るゴルフボール1を公認球とする場合、上記平均値の差について,キャリー4.0 ヤード且つ,フライトタイム0.4 秒以内とするよう、ディンプル2及びパット用打点部3をゴルフボール1表面へ配置すればよい。
1 ゴルフボール
2 ディンプル
3 パット用打点部
4 溝
11 (ゴルフボールの)カバー
d1 第1大円(仮想円)
d2 第2大円(仮想円)
e (ディンプルの)円弧部分
k 接面(仮想面)
m (パット用打点部3の)輪郭線
n (輪郭線mの)投影輪郭線
p (パット用打点部3の)頂点
r (ゴルフボール1の)直径
r1 (パット用打点部3の)平面径
r2 (パット用打点部3の)曲面径
r21 (パット用打点部3の)最小曲面径
r22 (パット用打点部3の)最大曲面径
t (ディンプル1間の)最小幅部分

Claims (1)

  1. 表面が略球面であり、前記球面から前記球面の中心側へ後退する複数のディンプルを備えたゴルフボールにおいて、
    前記表面にパット用打点部を備え、
    前記パット用打点部は、前記球面の一部をなす前記ディンプルを備えない領域であり、
    前記パット用打点部は、前記表面上にて直交する3つの大円の夫々に沿って形成された、3筋の環状の領域であり、
    パット用打点部がなす環状の前記筋の夫々は、太さを4mmより大きなものとするゴルフボール。
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