JP3080290B2

JP3080290B2 - ゴルフボール

Info

Publication number: JP3080290B2
Application number: JP05274690A
Authority: JP
Inventors: 圭治森山; 正洋戎野; 和重杉本
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 1993-11-02
Filing date: 1993-11-02
Publication date: 2000-08-21
Anticipated expiration: 2015-08-21
Also published as: EP0650745B1; DE69426854D1; JPH07124273A; DE69426854T2; KR100336047B1; EP0650745A1; KR950013535A; TW282407B; AU7755694A; CA2134577A1; US5467994A; AU680049B2

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、リキッドセンターの外
周に糸ゴム層およびカバーを備えたゴルフボールに関
し、特に、リキッドセンターの直径を大として飛距離を
増大したゴルフボールにおいて、ゴルフボールの総面積
に対するディンプルの総面積の割合を改良して弾道を適
性化するものである。

【０００２】

【従来の技術】ゴルフボールの表面には、通常、３００
個から５００個のディンプルを設け、飛距離の向上と弾
道の適性化を図って、ゴルフボールの空力特性を向上さ
せている。上記空力特性のうち、弾道に影響を与える
ディンプルの要素は種々挙げられるが、中でも、弾道を
大きく左右する要素は、ゴルフボールの総表面積に対す
るディンプルの総表面積の割合、即ち、ディンプルの表
面占有率であることは、従来より実証されている。

【０００３】上記したディンプルの表面占有率について
は、本出願人は従来より種々の実験に基づいて、下記に
列挙する提案を行っている。特開昭６３−３０９２８２号公報では、大小２種類の
ディンプルの組み合わせにより、ディンプルの表面占有
率を７８％以上としている。特開平３−８０８７６号公報では、ディンプル総数Ｘ
とディンプル表面占有率Ｙの組み合わせにおいて、Ｙ＝
０.０４６Ｘ^1/2−０.１７２

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
およびに記載のゴルフボールは、図１に示す如き、リ
キッドセンター１の外周を糸ゴム層２およびカバー３で
囲んだタイプのゴルフボールＧにおいて、リキッドセン
ター１の直径Ｌ１を約２８.３ｍｍ、ゴルフボールの外
径Ｌ２を４２.７５ｍｍに設定したものを対象としてい
る。近時、上記リキッドセンター・タイプのゴルフボー
ルにおいて、リキッドセンター１の直径Ｌ１を大径化す
ることにより、ゴルフボールの外径を大径化させて、飛
行初期にスピン化量を減少させると共に高い打出角とす
ることにより、飛距離を増大させることが主流になって
いる。即ち、ゴルフボールのリキッドセンターの直径の
大径化を図ると、ゴルフボールが従来より柔らかくなる
ため、変形量が大となり、スピン量が減少することは、
従来、実験より認められている。

【０００５】上記のようにリキッドセンター・タイプの
ゴルフボールにおいて、リキッドセンターの直径を大と
して飛距離を増大させた場合、前記およびに開示し
た従来のディンプルの表面積占有率のままでは、ディン
プルの表面占有率が小さくなり過ぎ、ディンプルの空力
特性による揚力が減少し、ボールが浮上しにくくなるた
め、打球は低弾道の棒球となり、キャリーが小さく、ト
ータルの飛距離が伸びない問題が発生している。特に、
リキッドセンター・糸巻きタイプのゴルフボールは、ツ
ーピースソリットゴルフボールに比べて、バックスピン
量を大きくして、コントロール性を高めている点に特徴
を有するが、上記ディンプルの表面占有率の減少により
空力特性における揚力の減少で上がりにくくなり、リキ
ッドセンター・糸巻きタイプのゴルフボールの利点が減
少し、コントロール性に悪影響が出る欠点がある。

【０００６】本発明は、上記した問題に鑑みてなされた
もので、リキッドセンターの直径を従来の２８.３ｍｍ
より大として飛距離を増大させた場合におけるディンプ
ルの表面占有率の見直しを行い、鋭意、実験・検討した
結果に基づき、リキッドセンターの直径とディンプルの
表面占有率とを適正に組み合わせて、飛距離の増大と弾
道の適正化の両方を図ることが出来るゴルフボールを提
供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、リキッ
ドセンターの外周に糸ゴム層およびカバーを有するゴル
フボールにおいて、上記リキッドセンター直径を２９．
５ｍｍ〜３２．０ｍｍとし、ゴルフボールの表面に直径
２．８ｍｍ〜４．２ｍｍの範囲の直径の異なる複数種類
のディンプルを設け、各ディンプルの外縁によって囲ま
れた平面の面積の総和が、ゴルフボールの全仮想球面の
表面積に占める割合をＹとすると、Ｙ値を０．８０〜
０．８４の範囲に設定していることを特徴とするゴルフ
ボールを提供している。

【０００８】上記ゴルフボールのディンプル総容積は２
９０ｍｍ³〜３４０ｍｍ³の範囲としていることが好まし
い。ディンプル総数は３００個から５００個の範囲、好
ましくは３５０個から４５０個、最も好ましくは４００
個とすることが好ましく、また、ディンプルは直径の異
なる複数種類のディンプルを配置して、ディンプルの隙
間を小さくして密に配置している。よって、ディンプル
の直径は、上記したように、２.８ｍｍ〜４.２ｍｍの範
囲に設定し、例えば、直径４.１５ｍｍのディンプルを
２１６個、直径３.７５ｍｍを１２０個、直径３.２５ｍ
ｍを３２個、直径２.８５ｍｍを３２個とし、ディンプ
ル総数を４００個とすることが好ましい。また、上記リ
キッドセンターのリキッドペーストの比重を１．３以上
とすることが好ましい。

【０００９】

【作用】本発明のゴルフボールでは、リキッドセンター
の直径を従来２８.３ｍｍであったのを、２９.５ｍｍ〜
３２.０ｍｍと大径化を図っているため、ゴルフボール
を柔らかくして変形量を大としているため、飛行初期に
おいてレススピン化および高打出角により飛距離を増大
させることが出来る。また、リキッドセンターの大径化
により従来のディンプル表面占有率では弾道が低くなり
過ぎる傾向があったが、ディンプルの表面占有率を０.
８０〜０.８４と、従来より大きく設定しているため、
ディンプルによる空力特性が従来より向上し、空力特性
における揚力を増大させボールを浮上しやすくしている
ため、弾道を高くすることが出来る。よって、打球の低
弾道の所謂棒球とならず、キャリーを伸ばして、トータ
ルの飛距離を大と出来る。また、ディンプルの表面占有
率の上限を０.８４としているため、弾道が高くなりす
ぎて所謂ホップ球となることが防止でき、ランも伸ばし
てトータルの飛距離を大とすることが出来る。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図面を参照して詳細に説明す
る。本発明に係わるゴルフボールの構造は、前記図１と
同様であり、リキッドセンター１の外径Ｌ１を２９.５
ｍｍ〜３２.０ｍｍと設定し、従来の２８.３ｍｍより大
径化を図っている。該ゴルフボールＧの糸ゴム層２の肉
厚は従来より薄くし、カバー３の肉厚は従来と同一と
し、ゴルフボールＧの外径Ｌ２は従来と同一の４２.７
５ｍｍとし、かつ、ゴルフボールの重量は４５.４ｇと
して、従来と同一としている。

【００１１】上記リキッドセンター１はリキッドバック
１ａの内部に水、グリセリン、クレー、硫酸バリウム等
からなるペースト状の比重調整剤１ｂを注入している。
このリキッドペーストの比重は通常１.１以上、特に、
１.３以上が好ましい。リキッドセンターバック１ａは
天然ゴム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛な
どの充填剤、硫黄＋加硫促進剤からなり、肉厚を１.５
ｍｍ〜２.０ｍｍとしている。

【００１２】上記糸ゴム層２を構成する糸ゴムは、天然
ゴムあるいはイソプレンゴムあるいはそれらのブレンド
ゴム製で、厚みが０.４ｍｍ〜０.６ｍｍの弾性のある糸
ゴムが使用される。本発明においては、リキッドセンタ
ーの直径を大としているので、その分、巻き付ける糸ゴ
ムの使用量を少なくして、ゴルフボールの外径を従来と
同一としている。しかしながら、糸ゴムの使用量が少な
くなって必要な硬さが出にくくなるため、延伸率の大き
い糸ゴムを使用して硬く巻き付けて必要な硬さを出して
いる。そのため、糸ゴムとしては天然ゴムとイソプレン
ゴムとのブレンド系でイソプレンゴムの比率の高いもの
が好適に用いられる。尚、糸ゴム巻き付け後の直径は３
９.８ｍｍと従来と同一とし、カバー３は従来と同一の
肉厚としている。カバー３は樹脂製で、合成トランスポ
リイソプレン、ガッタパーチャ、バラタ、ハイスチレン
レンジ、１，２−ポリブタジエン、トランスポリブタジ
エン等が適宜に用いられる。

【００１３】上記ゴルフボールＧの表面には、図２の正
面図、図３の底面図に示すように、多数の直径が相違す
るディンプル５を設けている。上記ディンプル５の表面
積を、図４に示すように、外縁５ａに囲まれた平面の面
積５Ｓとすると、ゴルフボールＧの表面に設けた全ディ
ンプル５の表面積の総和が、ゴルフボールＧの仮想球面
の総面積に占める割合（Ｙ）を、Ｙ＝０.８０〜０.８４
に設定している。

【００１４】詳細には、ディンプル５の表面積とは、デ
ィンプルが球形である場合、その一部がディンプルを形
成する球と、ゴルフボールＧの球面との交差により限定
される円の面積であり、図４中、ディンプル５の対向す
る外縁の点ＡとＢとを結ぶ直径の円の面積を指す。一
方、ゴルフボールＧの仮想球面の総面積とは、ゴルフボ
ールをディンプルが全く形成されていない球と限定した
時の球の表面積であり、図４中で点線で示すディンプル
５が設けられている部分の仮想球表面部Ｇ−１とディン
プル５が設けられていない陸地部Ｇ−２とからなる。

【００１５】上記のように規定したディンプル５の表面
積の総和がゴルフボールＧの仮想球面の総面積に占める
割合を示す上記Ｙ値（Ｙ＝０.８０〜０.８４）は、ディ
ンプル５がゴルフボールＧの球面をどれだけ覆っている
かを示す指数であり、このＹ値を１００倍したものが、
ディンプルの表面占有率となる。即ち、本発明のリキッ
ドタイプのゴルフボールＧでは、リキッドセンターの直
径を従来より大とする一方、ディンプルの表面占有率を
従来の７８％より大きな８０％以上とし、かつ、８４％
以下に設定している。

【００１６】上記Ｙ値の範囲０.８０〜０.８４は、後述
する実験結果に基づいて設定したもので、該範囲に設定
すると、弾道が低くなり過ぎないと共に高くなり過ぎ
ず、適正な弾道を得ることができ、キャリーとランのバ
ランスを良好となり、トータルの飛距離を大とすること
ができた。実験によれば、Ｙ値が０.８４より大きくす
ると、打球の球筋は高弾道の所謂ホップ球となり、ラン
が小さくなってトータルの飛距離が伸びなかった。一
方、Ｙ値を０.８０より小さくすると、打球は低弾道の
所謂棒球となり、キャリーが小さくなってトータルの飛
距離がのびなかった。

【００１７】ゴルフボールＧの表面に設けるディンプル
５の各形状、寸法、配置位置は、およびディンプル総
数、さらには、ディンプルの総容積は、ゴルフボールの
仮想表面積に占めるディンプルの総面積の割合が上記Ｙ
値の範囲にあれば、限定されない。

【００１８】しかしながら、上記ディンプルの総容積、
即ち、図４において、ディンプル５の表面５Ｓとゴルフ
ボールＧに凹設されたディンプル壁面５ｂで囲まれた図
中斜線で示す部分Ｖである各ディンプル５の容積の総和
が２９０ｍｍ³〜３４０ｍｍ³の範囲となるように設定す
ることが好ましい。上記ディンプル５の総容積を範囲の
設定も実験により求めたもので、総容積が２９０ｍｍ³
より小さい場合、ゴルフボールが吹き上がってホップ球
となり、また、３４０ｍｍ³より大きい場合には、低い
弾道になり、いずれも、トータルの飛距離が伸びなかっ
た。

【００１９】また、上記したように、ディンプル５の形
状は限定されず、よって、ディンプル５は円形に限定さ
れないが、上記ディンプルの総面積がゴルフボールＧの
総面積に示す割合Ｙ値を最適化するためには、図２およ
び図３に示すように、直径の相違する複数種類の円形の
ディンプル５を設けることが好ましい。即ち、Ｙ値を大
きくしたい場合、一種類のディンプルだけはディンプル
の隙間（陸地部Ｇ−２）が大きくなり、Ｙ値をある程度
までしか大きくすることが出来ない。これに対して、直
径の異なるディンプルを組み合わせると、大きいディン
プルの間に小さいディンプルを配置することで、Ｙ値を
所要の大きさにすることが出来る。

【００２０】よって、図２および図３に示す本発明のゴ
ルフボールＧの実施例では、直径の異なる４種類のディ
ンプル５を設け、ディンプル総数は４００個としてい
る。即ち、ディンプル５として、ディンプル直径（図４
において点ＡとＢを結ぶ長さ）が最大の４.１０ｍｍ〜
４.１８ｍｍの第１ディンプル５−Iと、ディンプル直径
が３.７０ｍｍ〜３.７５ｍｍの第２ディンプル５−II
と、ディンプル直径が３.２０ｍｍ〜３.２８ｍｍの第３
ディンプル５−IIIと、ディンプル直径が最小の２.８０
ｍｍ〜２.８８ｍｍの第４ディンプル５−IVを設けてい
る。上記４種類のディンプルの個数は、第１ディンプル
５−Iを２１６個、第２ディンプル５−IIを１２０個、
第３ディンプル５−IIIを３２個、第４ディンプル５−I
Vを３２個としている。

【００２１】

【実験例】下記の表１に示すように、６種類の本発明の
実施例のゴルフボールと、４種類の比較例のゴルフボー
ルを設けて、比較実験を行った。第一実施例から第六実
施例のゴルフボールは、リキッドセンターの直径を２
９.５ｍｍ〜３２.０ｍｍとし、ディンプルの総面積がゴ
ルフボールの仮想球面の総面積に占める割合Ｙを０.８
０〜０.８４に設定したものである。尚、これら６種類
の実施例のゴルフボールのディンプルパターンは図２お
よび図３に示すディンプルパターンと同一にしている。
第一比較例から第四比較例のゴルフボールは上記Ｙ値あ
るいはリキッドセンターの直径を本発明の設定範囲外と
したものである。上記実施例および比較例のゴルフボー
ルは、いずれもリキッドセンターの外周を糸ゴムで巻
き、その外周をカバーを囲んだ図１に示す構造であり、
ゴルフボールの外径を４２.７５±０.０５ｍｍ、コンプ
レッションを８６±３としている。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１に示すように、第一比較例と第二比較
例のゴルフボールは、リキッドセンターの直径は本発明
の設定範囲内に設定しているが、Ｙ値を本発明の範囲外
に設定した比較例である。即ち、第一比較例の４種類の
ディンプルはそれらの直径を全実施例の４種類のディン
プル直径より小さくし、よって、Ｙ値を０.７８０と本
発明の設定範囲より小さくしている。これに対して、第
二比較例の４種類のディンプルは、それらの直径を全実
施例の４種類のディンプル直径より大きくして、よっ
て、Ｙ値を０.８５６と本範囲の設定範囲より大きくし
ている。第三比較例と第四比較例のゴルフボールは、Ｙ
値を本発明の設定範囲内に設定しているが、リキッドセ
ンターの直径を本発明の設定範囲外に設定した比較例で
ある。即ち、第三比較例はリキッドセンターの直径を２
８.５ｍｍと本発明の設定範囲より小さくしたもので、
従来のリキッドセンターの直径を有するものである。第
四比較例はリキッドセンターの直径を３３.０と本発明
の設定範囲より大きくしたものである。

【００２４】実験は、表１に示す全ゴルフボールをツル
テンパー社製のスイングロボットを用いて、ドライバー
（ウッド＃１）にて、ヘッドスピード４５ｍ／ｓの条件
で行った。実験時の風の状態は向い風で、０.９〜２.３
ｍ／ｓであった。第一実施例から第四比較例のゴルフボ
ールを夫々２０個ずつテストを行い、各ボールとも、キ
ャリー、ラン、トータルの距離を測定し、かつ、弾道高
さを測定した。上記キャリーとはボールの発射点からボ
ールが最初に落下した地点までの距離であり、ランとは
上記落下地点からボール静止地点までの距離であり、キ
ャリーの距離とランの距離の合計距離がトータルであ
り、最終的な飛距離となる。弾道高さとは発射地点から
見た弾道最高地点の仰角のことであり、これが大きいほ
ど高弾道のボールといえる。上記実験の測定結果を、下
記の表２に示す。

【００２５】

【表２】

【００２６】表２に示す実験結果より、下記に列挙する
点が実証された。第一実施例から第五実施例と、リキッドセンター直径
は同一であるが、ディンプルの表面占有率を本発明の設
定範囲より小さくした第一比較例とを比較すると、実施
例では比較例より、弾道高さが高くなって棒球となら
ず、キャリーが大で、トータル飛距離の伸びている。即
ち、ディンプルの表面占有率を本発明の設定範囲以上
（Ｙ値＝０.８０以上）とすれば、低弾道で棒球になる
ことが防止でき、トータル飛距離が大となることが実証
された。第一実施例から第五実施例と、リキッドセンター直径
は同一であるが、ディンプルの表面占有率を本範囲の設
定範囲より大きくした第二比較例を比較すると、実施例
は比較例より、弾道高さは低くなってホップ球となら
ず、ランが大となり、トータル飛距離が大となってい
る。即ち、ディンプルの表面占有率を本発明の設定範囲
以下（Ｙ値＝０.８４以下）とすれば、ホップ球となら
ず、トータル飛距離が大となることが実証された。

【００２７】第二、第三、第四実施例と、ディンプル
の表面占有率は同一であるが、リキッドセンターの直径
を本範囲の設定範囲より小さくした第三比較例を比較す
ると、実施例は比較例より、キャリーおよびランが共に
大となりトータル飛距離が大となっている。即ち、ディ
ンプルの表面占有率が同一であっても、リキッドセンタ
ーの直径を大とすると飛距離が大となることが実証され
た。第二、第三、第四実施例と、ディンプルの表面占有率
は同一であるが、リキッドセンターの直径を本範囲の設
定範囲より大きくした第四比較例を比較すると、実施例
は比較例より、弾道高さが高くキャリーが大となり、ラ
ンは比較例の方が大となっているが、トータル飛距離は
本発明の方が大でボールは良く飛んでいる。即ち、リキ
ッドセンターの直径を本発明の範囲より大きくし過ぎる
と、弾道高さが低く棒球となり、キャリーが小でトータ
ル飛距離が小となることが実証された。

【００２８】第一実施例から第六実施例について検討
すると、第三実施例のゴルフボールがトータル飛距離２
４５.２ヤードと最もよく飛んでいる。第三実施例のゴ
ルフボールはリキッドセンターの直径が３０ｍｍ、Ｙ値
が０.８２２、ディンプルの総容積が３２０ｍｍ³であ
る。第三実施例とリキッドセンター直径およびディンプ
ル総容積を同一とし、Ｙ値を０.８０１とした第一実施
例と第三実施例を比較すると、Ｙ値を小さくした第一実
施例は弾道高さが１４.７８と若干低くなっているが、
トータル飛距離は２４４.１ヤードと比較的良く飛んで
いる。Ｙ値を第一実施例より小さい０.７８０とした第
一比較例ではトータル飛距離が２３７.１ヤードであ
り、第一実施例は第一比較例よりはるかにキャリーが大
となっていることより、Ｙ値は０.８０以上とすること
が適当であることが実証された。

【００２９】第三実施例とリキッドセンター直径およ
びディンプル総容積を同一とし、Ｙ値を０.８３４とし
て第三実施例より大とした第五実施例は、弾道高さが第
三実施例より若干高くなっているが、トータル飛距離は
２４３.５ヤードで比較的良く飛んでいる。Ｙ値を第五
実施例より大きい０.８５６とした第二比較例ではトー
タル飛距離が２３７.９ヤードであり、第五実施例は第
二比較例よりキャリーおよびランともに大となり、トー
タル飛距離が大きくなっているため、Ｙ値を０.８４以
下にすることが適当であることが実証された。

【００３０】第三実施例とＹ値および総容積が同一
で、リキッドセンターの直径を３２ｍｍと大きくした第
六実施例は、弾道高さ及びキャリーが第三実施例を含む
他の実施例よりも小さいが、ランが大となりトータル飛
距離は２４３.３ヤードで良く飛んでいると言える。こ
のことより、他の条件を同一にすると、リキッドセンタ
ーの直径を大きくするほど、弾道高さが低くなりキャリ
ーが小となるが、リキッドセンターの直径を３３.０ｍ
ｍと大きくした第四比較例よりもキャリーがはるかに大
となっているため、リキッドセンターの直径は３２ｍｍ
以下とすることが適当であることが実証された。

【００３１】第三実施例とリキッドセンターの直径と
Ｙ値が同一であるが、ディンプルの総容積を２９０ｍｍ
³と、第三実施例の３２０ｍｍ³より小さくした第二実施
例は、弾道高さが高くなり、ランが小であるが、キャリ
ーが比較的大であるため、トータル飛距離は２３９.９
ヤードと良く飛んでいると言える。このことより、他の
条件を同一にすると、ディンプルの総容積を小とするほ
ど弾道高さが高くホップ球となってランが小となるとい
える。しかしながら、第三実施例とＹ値およびディンプ
ル容積が同一で、リキッドセンターの直径を変えた第三
比較例および第四比較例よりトータル飛距離が大である
ことより、ディンプル総容積の飛距離に与える影響は小
さいと言える。よって、他の条件を本発明の設定範囲内
にすると、ディンプルの総容積を２９０ｍｍ³以上とす
ることが好ましいことが実証された。

【００３２】同様に、第三実施例とリキッドセンター
の直径およびＹ値が同一であるが、ディンプルの総容積
を３４０ｍｍ³として、第三実施例の３２０ｍｍ³より大
とした第四実施例は、第三実施例より弾道高さが若干低
くなり、キャリーが小であるがランが大で、トータル飛
距離は２４４.７ヤードで良く飛んでいる。このことよ
り、ディンプルの総容積を大きくすると弾道が低くなり
棒球となりやすいが、他の条件を本発明の範囲内に設定
すると、ディンプルの総容積を３４０ｍｍ³以下にする
ことが好ましいことが実証された。

【００３３】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、リキッドセンター、糸ゴム層およびカバーを
有するゴルフボールにおいて、リキッドセンターの直径
を大として、バックスピン量を減少して、キャリーを伸
ばし飛距離の増大を図ったゴルフボールにおいて、その
ディンプルの表面占有率を、リキッドセンターの直径と
対応させて組み合わせた設定範囲としていることによ
り、弾道高さが高くなり過ぎて打球がホップ球となるこ
とが防止でき、かつ、弾道高低くなり過ぎて打球が棒球
となることが防止出来る。このように、弾道高さの適正
化を図っていることにより、キャリーとランのバランス
が良くなり、トータルの飛距離を増大することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】リキッドセンター・糸巻きタイプのゴルフボ
ールの概略断面図である。

【図２】本発明のゴルフボールの実施例の正面図であ
る。

【図３】図２の底面図である。

【図４】ディンプルの拡大図である。

【符号の説明】

１リキッドセンター２糸ゴム層３カバー５ディンプルＧゴルフボール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者杉本和重兵庫県明石市魚住町清水41−１ (56)参考文献特開昭61−187875（ＪＰ，Ａ) 特開平５−146529（ＪＰ，Ａ) 特開昭59−49780（ＪＰ，Ａ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】リキッドセンターの外周に糸ゴム層およ
びカバーを有するゴルフボールであって、上記リキッドセンター直径を２９．５ｍｍ〜３２．０ｍ
ｍとし、ゴルフボールの表面に直径２．８ｍｍ〜４．２ｍｍの範
囲の直径の異なる複数種類のディンプルを設け、各ディ
ンプルの外縁によって囲まれた平面の面積の総和が、ゴ
ルフボールの全仮想球面の表面積に占める割合をＹとす
ると、Ｙ値を０．８０〜０．８４の範囲に設定している
ことを特徴とするゴルフボール。
【請求項２】上記リキッドセンターのリキッドペース
トの比重を１．３以上としている請求項１に記載のゴル
フボール。
【請求項３】上記ゴルフボールのディンプル総容積を
２９０ｍｍ³〜３４０ｍｍ³の範囲としている請求項１ま
たは請求項２に記載のゴルフボール。