JPH0583436B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、自動二輪車の車体フレームに関
し、詳しくは前側にフロントフオークを、また後
側にリヤアームを支持する自動二輪車の車体フレ
ームに関するものである。

［従来の技術］ 周知のように、自動二輪車においては、車体フ
レームの前側にはヘツドパイプを介してフロント
フオークが、また後側にリヤアームピボツトを介
してリヤアームが車体に揺動可能に設けられるも
のがある。

ところで、この車体フレームにおいて、ヘツド
パイプに一対のメインフレームを溶接で接続し、
このヘツドパイプでステアリング軸を軸支し、フ
ロントフオークを旋回可能にしている。また、メ
インフレームの後端部に一対のリヤアームブラケ
ツトを連結すると共に、クロスメンバーで支持
し、このリヤアームブラケツトに設けられたピボ
ツト孔に、リヤアームピボツトを挿着してリヤア
ームを揺動可能に支持している。

［発明が解決しようとする課題］ このように、ヘツドパイプに一対のメインフレ
ームを溶接で連結しているが、このヘツドパイプ
とメインフレームとの接続部は前輪からの荷重が
集中する部分であるため、さらに補強ブラケツト
等を溶接で取付けて剛性を向上させているが、車
体フレームの組立が複雑で、コストが嵩む等の不
具合がある。

このため、車体フレームを鋳造で一体成形し
て、メインフレームの前端を広幅にして剛性をも
たせることが考えられるが、広幅にするとその分
重量が嵩み、またエンジン側への走行風の導入の
妨げとなる等の課題が生じる。また、車体フレー
ムを鋳造で一体成形する場合に肉厚部分がある
と、この肉厚部分が最後に固まり、引き巣が生じ
る。

この発明はかかる実情に鑑みなされたもので、
軽量で、ステアリング軸の支持強度を向上させ、
しかも車体内に走行風を導くことが可能で、しか
も鋳造で引き巣が軽減される自動二輪車の車体フ
レームを提供することを目的としている。

［課題を解決するための手段］ 前記課題を解決するため、この発明の自動二輪
車の車体フレームは、ヘツドパイプ部から後方は
向かつて延びる左右一対のフレーム部を有し、こ
のフレーム部の前端はヘツドパイプ部全長と略同
一の縦幅に形成され、この前端がステアリング軸
周囲を両側から囲みステアリング軸の前側まで延
びるヘツドパイプ部を構成するとともに、前記前
端近傍にフレーム部を貫通する開口部がヘツドパ
イプ部に沿つて形成され、このヘツドパイプ部の
周囲壁で前記開口部へ走行風を導くガイド部とな
し、さらに前記ヘツドパイプ部とフレーム部とを
鋳造で一体形成したことを特徴としている。

［作用］ この発明は、左右一対のフレーム部の前端がヘ
ツドパイプ全長と略同一の縦幅に形成されてお
り、しかも前端がステアリング軸周囲を両側から
囲みステアリング軸の前側まで延びて、ヘツドパ
イプ部と一体になつているため支持強度が向上す
る。また、フレーム部が鋳造で形成され、複雑な
形状のフレーム部を容易に形成することができ、
しかもフレーム部の前端の開口部で大面積部分が
ないので引け巣ができないし、フレーム部の前端
近傍に形成された開口部で、フレーム部が軽量に
なつている。また、ヘツドパイプ部の周囲壁のガ
イド部で、走行風がフレーム部の前端に形成した
開口部は導かれ、さらにこの開口部から走行風が
車体内に導入され、冷却性が向上する。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳細に説明する。

図において符号１は車体フレームで、この車体
フレーム１はダブルクレードル形が用いられ、ヘ
ツドパイプ部２、メインフレーム部３、サブフレ
ーム部４とが鋳造で一体形成されている。このよ
うに、車体フレーム１は、ヘツドパイプ部２から
後方へ向かつて延びるメインフレーム部３、サブ
フレーム部４とで構成される左右一対の分割フレ
ーム部１２を有し、この分割フレーム部１２の前
端１２ａはヘツドパイプ部全長Ｄ１と略同一の縦
幅Ｄ２に形成され、この前端１２ａがステアリン
グ軸周囲を両側から囲みステアリング軸の前側ま
で延びるヘツドパイプ部を構成している。ヘツド
パイプ部２にはステアリング軸７が回動可能に設
けられ、ステアリング軸７にはフロントフオーク
８が上及び下ブラケツト９，１０を介して旋回可
能に支持される。フロントフオーク８の下端部に
は前輪１１が設けられ、上端部には図示しないハ
ンドルが設けられる。

ヘツドパイプ部２、メインフレーム部３及びサ
ブフレーム部４の三者は、前記したように左右対
称に二分割した分割フレーム部１２で構成され、
この左右一対の分割フレーム１２は軽金属材料、
例えばアルミニウム（合金を含む）、またはマグ
ネシウム（合金を含む）等を鋳造して成形され
る。

この各分割フレーム１２は第４図に示すよう
に、ヘツドパイプ部２を二つ割りした半円筒体１
３と、このヘツドパイプ部２の半円筒体１３の上
部から外側へ屈曲して後方へ向つてリヤアームピ
ボツト３４の上方へ向かつて延びる左右一対のメ
インフレーム部３と、半円筒体１３の下部から同
様に外側へ屈曲して後方へ延びるサブフレーム部
４とから構成されている。このサブフレーム部４
はエンジン４０の両側を通り、メインフレーム部
３と同一平面となつているため、鋳造で一体に形
成することができる。

分割フレーム１２の半円筒体１３の上端部及び
下端部にはリング圧入段部１４が形成され、さら
に半円筒体１３の前側と後側にはボス部１５がス
テアリング軸方向と直交する方向に一体に設けら
れ、このボス部１５にボルト挿通孔１６が穿設さ
れている。分割フレーム１２は半円筒体１３同士
を直接当接して、上及び下リング１７，１８をそ
れぞれ半円筒体１３のリング圧入段部１４に圧入
し、締付ボルト１９をボルト挿通孔１６に挿通し
てナツト２０により締付固定される。

左右一対のメインフレーム部３の前端は分割フ
レーム１２の半円筒体１３が一体に形成され、こ
の半円筒体１３がステアリング軸７の周囲を両側
から囲みステアリング軸７の前側まで延びてお
り、ステアリング軸７の支持強度が向上する。ま
た、メインフレーム部３の前端はヘツドパイプ部
２の全長Ｄ１と略同一の縦幅Ｄ２に形成され、後
方へ徐々に幅狭となつており、メインフレーム３
の前端でステアリング軸７を支持するため、前輪
１１からの荷重に対する支持強度が向上する。

１メインフレーム部３の前端１２ａ近傍には開
口部４１が形成され、メインフレーム部３を軽量
にしており、開口部４１から走行風が車体内のエ
ンジン側に導入され、冷却性が向上する。また、
開口部４１にはブレーキケーブル、スピードメー
タケーブル及び電装系のワイヤーハーネス等各種
のハーネスが挿通される。

ヘツドパイプ部２、メインフレーム部３及びサ
ブフレーム部４は、鋳造で一体に形成すること
で、開口部４１を容易に形成することができ、し
かもこの開口部４１で大面積部がなくなつている
ため、鋳造成形の際に引け巣がなくなり、鋳造成
形が容易である。

また、ヘツドパイプ部２を構成する半円筒体１
３の周囲壁が、左右一対のメインフレーム部３の
前端に形成した開口部４１へ走行風を導くガイド
部２ａとなつており、走行風がガイド部２ａで導
かれて開口部４１から車体内に円滑に導入され
る。

分割フレーム１２の後側はミドルフレーム２１
によつて連結される。このミドルフレーム２１も
分割フレーム１２と同様に軽金属材料、例えばア
ルミニウム（合金を含む）、またはマグネシウム
（合金を含む）等を鋳造して成形される。そして、
このミドルフレーム２１は一対のリヤアームブラ
ケツト２２と、このリヤアームブラケツト２２を
連結する上及び下クロスメンバー２３，２４とか
ら構成されている。それぞれのリヤアームブラケ
ツト２２にはその上部にメインフレーム部３の結
合部３ａと連結される連結腕部２５が、下部には
サブフレーム部４の連結部４ａと連結される連結
腕部２６がそれぞれ一体に形成され、この連結腕
部２５，２６には位置決め突部２７，２８が形成
されている。この連結腕部２５，２６の位置決め
突部２７，２８をメインフレーム部３及びサブフ
レーム部４の結合部３ａ，４ａに形成された凹部
２９，３０に係合し、内側から締付ボルト３１を
挿通して外側からナツト３２を螺着して締付け固
定する。

一対のリヤアームブラケツト２２の中央部には
ピボツト軸孔３３が同軸上に穿設され、このピボ
ツト軸孔３３にリヤアームピボツト３４が挿着さ
れる。リヤアームピボツト３４にはリヤアーム３
５が揺動可能に設けられ、リヤアーム３５の後端
部には後輪３６が設けられている。

前記上クロスメンバー２３及び下クロスメンバ
ー２４にはマウントボス部３７，３８が、さらに
サブフレーム４にもマウントボス部３９がそれぞ
れ内方に向けて形成されており、このマウントボ
ス部３７，３８，３９にエンジン４０を図示しな
いマウントラバーを介して支持するようになつて
いる。また、ミドルフレーム２１の上部にはバツ
クステー６が固定され、このバツクステー６は上
方へ伸びシートレール５の中央部に連結される。

従つて、エンジン４０の支持は、ミドルフレー
ム２１の上クロスメンバー２３及び下クロスメン
バー２４のマウントボス部３７，３８に取付けら
れる。そして、このミドルフレーム２１の一対の
リヤアームブラケツト２２に形成されたそれぞれ
の連結腕部２５，２６に、左右一対の分割フレー
ム１２のメインフレーム部３及びサブフレーム部
４の結合部３ａ，４ａを係合して締付ボルト３１
とナツト３２とで締付け固定する。

一方、分割フレーム１２の前側は半円筒体１３
同士を当接し、半円筒体１３の上下に形成された
リング圧入段部１４にリング１７，１８を圧入す
ると共に、締付ボルト１９とナツト２０とで半円
筒体１３の前側及び後側を締付固定する。さら
に、サブフレーム部４のマウントボス部３９にエ
ンジン４０の下部が支持され、これにより車体フ
レーム１にエンジン４０が搭載される。

そして、リヤアームブラケツト２２のピボツト
軸孔３３にリヤアームピボツト３４を挿着して、
このリヤアームピボツト３４にリヤアーム３５を
揺動可能に軸支する。このとき、前記一対のリヤ
アームブラケツト２２の連結腕部２５，２６とメ
インフレーム部３及びサブフレーム部４の結合部
３ａ，４ａとの連結において、例え組付誤差が生
じることがあつても、ピボツト軸孔３３が形成さ
れているリヤアームブラケツト２２は上クロスメ
ンバー２３及び下クロスメンバー２４で一体に連
結されているから、左右のリヤアームブラケツト
２２同士がよじれることがない。

ピボツト軸孔３３の同軸度は分割フレーム１２
との組付けによつて損なわれることがないため、
ピボツト軸３４の組付精度が向上し、ピボツト軸
孔３３まわりの残留応力を軽減できる。そして、
エンジン４０を整備する場合には、左右の分割フ
レーム１２の締付ボルト１９，３１とナツト２
０，３２を外すだけで分割フレーム１２を離脱で
き、大型或いは多気筒、さらに複雑な型の内燃機
関の整備が容易になる。

［発明の効果］ 前記のように、この発明は、ヘツドパイプ部か
ら後方向かつて延びる左右一対のフレーム部を有
し、このフレーム部の前端はヘツドパイプ部全長
と略同一の縦幅に形成され、この前端がステアリ
ング軸周囲を両側から囲みステアリング軸の前側
まで延びるヘツドパイプ部を構成し、さらにヘツ
ドパイプ部とフレーム部とを鋳造で一体形成した
から、フレーム部の前端がステアリング軸周囲を
両側から囲みステアリング軸の前側まで延びて、
ヘツドパイプ部と一体になつているため支持強度
が向上する。

また、ヘツドパイプ部とフレーム部とを鋳造で
一体形成したから、複雑な形状のフレーム部を容
易に形成することができ、しかも前端近傍にフレ
ーム部を貫通する開口部がヘツドパイプ部に沿つ
て形成され、これによりフレーム部の前端の開口
部により大面積部分となつていないので引け巣が
できないし、しかもフレーム部分の前端近傍に形
成された開口部でフレーム部が軽量になつてい
る。

また、ヘツドパイプ部の周囲壁のガイド部で、
走行風がフレーム部の前端に形成した開口部へ導
かれ、さらにこの開口部から走行風が車体内に導
入され、冷却性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を適用した自動二輪車の側面
図、第２図は第１図の−断面図、第３図は第
１図の−断面図、第４図は車体フレームの分
解斜視図である。 図中符号、２はヘツドパイプ部、３はメインフ
レーム部、４はサブフレーム部、１２は分割フレ
ーム、１３は半円筒体、２ａはガイド部、２１は
ミドルフレーム、３３はピボツト軸孔、３４はリ
ヤアームピボツト、３５はリヤアーム、４１は開
口部である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ヘツドパイプ部から後方へ向かつて延びる左
   右一対のフレーム部を有し、このフレーム部の前
   端はヘツドパイプ部全長と略同一の縦幅に形成さ
   れ、この前端がステアリング軸周囲を両側から囲
   みステアリング軸の前側まで延びるヘツドパイプ
   部を構成するとともに、前記前端近傍にフレーム
   部を貫通する開口部がヘツドパイプ部に沿つて形
   成され、このヘツドパイプ部の周囲壁で前記開口
   部へ走行風を導くガイド部となし、さらに前記ヘ
   ツドパイプ部とフレーム部とを鋳造で一体形成し
   たことを特徴とする自動二輪車の車体フレーム。