JPH0144555B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、金属チユーブにより構築する自動
２輪車のフレームに関する。

（従来の技術） 自動２輪車のフレームは、金属チユーブを部分
毎の所要の形状に成形し、これを接続して構成す
るものが主流である。また接続には主として溶接
手段を用いる。第９図に示したのは大型の自動２
輪車に用いられている代表的な構成である。ヘツ
ドパイプ１に前端を溶着させ、後方へ延びる左右
一対のタンクレール２、ヘツドパイプ１に前上端
を溶着されて下方へ垂れてから後方に導かれる左
右一対のダウンチユーブ３、タンクレール２後端
部とダウンチユーブ３の後端を連結するボデイチ
ユーブ４を主骨格とし、タンクレール２から後方
へ延びるシートレール５、シートレール５中央部
を支持するサポートチユーブ６、ダウンチユーブ
３上端部とヘツドパイプ１下部とを連結する補強
チユーブ７、ダウンチユーブ３とタンクレール１
間に介装されたブリツジチユーブ８さらには左右
のチユーブを連結するブリツジチユーブ９などに
よつて骨組みされる。

タンクレール２、ダウンチユーブ３、ボデイチ
ユーブ４に囲まれたスペース内にはエンジンが搭
載され、ヘツドパイプ１はステアリング軸によつ
て前輪を支持し、ダウンチユーブ３とボデイチユ
ーブ４の後下部にはスイングアームが軸支されて
後輪を支持する。したがつてヘツドパイプ１周り
とボデイチユーブ４下部に応力が集中しやすい。
特にヘツドパイプ１周りは各チユーブが集まり、
フレームとしての断面積が小さいので応力的に苛
酷である。またこのように幾本かのチユーブが輻
輳するので第１０図に符号１０で示すように溶接
個所が複雑で溶接作業がやりにくく、外観もよく
ない。さらに上記のように局部的応力があり、か
つその分布が一様でなく、補強板などを適切に添
設しにくいため作業性や外観にさらに悪い影響が
ある。

従来においてこのような点を改善した幾つかの
提案がある。ヘツドパイプおよびその周辺の要部
を鋳造または鍛造により一体成形し、構造の簡素
化、剛性の増張、加工性の向上などを図つたもの
である。

例えば特公昭49−17147号公報、実公昭49−
28665号公報および実開昭57−7776号公報には、
ヘツドパイプその他のチユーブの外表に内圧加工
法によつて突起を形成し、この突起により他のチ
ユーブとの溶着をしやすくしたものが示されてい
る。しかし前記第９図、第１０図に示したような
フレームの複雑なヘツド周りの構造には、突起の
形成がせむつかしくなつて、かえつて生産性が低
下し、コストが嵩むなどの理由によつて適用しに
くいものである。

また実公昭43−24746号公報には、ヘツドパイ
プおよびその周りの要部構造を鍛造によつて一体
的に形成し、これを中心に各種チユーブを接続し
たものが示されている。剛性の向上、構造の簡素
化などには有用であるが、第９図、第１０図に示
したような複雑な形状のヘツド周りを一体に形成
するには、部品として大型化し、鋳造、特に鍛造
がむつかしくなり、また後加工が大掛りになつて
生産性を低下させるおそれがある。

（発明が解決しようとする課題） この発明は、上記のような現状に鑑み、鋳造ま
たは鍛造しやすい構成部品を用いてヘツドパイプ
周りを構築し、かつ剛性を増強し、構造、外観を
向上させた自動２輪車のフレームを提供すること
を目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記の目的をもつてこの発明の自動２輪車のフ
レームは、先端をヘツドパイプに接続されて後方
へ延びる左右のタンクレール、上端をヘツドパイ
プに接続されて下方へ垂れてから後方へ延びる左
右のダウンチユーブ、ダウンチユーブとタンクレ
ール後端部を連結する左右のボデイチユーブとを
主骨格とし、適宜ブリツジチユーブを配して構成
し、上記各チユーブに囲まれたスペース内下部に
エンジンを搭載し、後上部から後方へシートレー
ルを接続し、後下端部にリヤスイングアームを軸
支するようにしたダブルクレイドル型の自動２輪
車のフレームにおいて、ヘツドパイプ上端部両側
にタンクレールの前端を溶着して接続すると共
に、左右一対の鋳造または鍛造品であつて、上半
部に前上方へＶ字状に分岐して内方へ湾曲する上
下のヘツドパイプ接続片が形成され、下半部に下
方へ延びるダウンチユーブ接続片が形成され、か
つ中央部後縁、中央部内面およびダウンチユーブ
接続片下端面にガイド突起が突設された構成部品
を、上記上下のヘツドパイプ接続片の先端でヘツ
ドパイプ上下部の両側に溶着し、かつ構成部品の
中央部後縁とタンクレール前部下縁とを結ぶブリ
ツジチユーブ、両構成部品の中央部裏面を結ぶブ
リツジチユーブおよびダウンチユーブ接続片下端
に連続するダウンチユーブを上記各ガイド突起を
介して溶着することによつて、ヘツドパイプ周り
を構築した構成になるものである。

（作用） このように、左右の鋳、鍛造製構成部品を介し
てヘツドパイプとダウンチユーブを接続したの
で、最も応力が集中する部位を構成部品が受け持
ち、その応力に耐える充分な剛性を有する。

構成部品は左右を対として備えられるので、平
板的な形状で小型化され、鋳造や鍛造がしやす
く、また穴あけなどの後加工のときの作業性がよ
い。

またダウンチユーブ先端部を大きく湾曲させな
いで済み、ガイド突起が一体に形成して配置され
ているので、組立てるときチユーブを所定位置に
保持することができ、溶接作業性がよく、精度を
確保しやすい。

（実施例） 以下この発明の実施例を示す図に就いて説明す
る。

第１図はフレームの側面図である。主骨格は、
ヘツドパイプ１に前端を接続されて後方へ延びる
左右のタンクレール２、上端をヘツドパイプ１に
接続されて下方へ垂れてから後方へ導かれる左右
のダウンチユーブ３、このタンクレール２とダウ
ンチユーブ３の後端部を接続する左右のボデイチ
ユーブによつて構築される。

先ず、タンクレール２はその先端をヘツドパイ
プ１上端部の両側に溶着される。

次に、ヘツドパイプ１の両側には下方へ延びる
左右一対の鋳、鍛造製の構成部品が溶着して備
えられる。

構成部品は、上半部に前上方へＶ字形に分岐
して内方へ湾曲する上、下のヘツドパイプ接続片
１９，２０が形成され、下半部は下方へ延びるダ
ウンチユーブ接続片１８が形成され、中央部後
縁、中央部内面および上記ダウンチユーブ接続片
１８下端にそれぞれガイド突起２２が突設された
形状を有する。なお２３は中央部外面および下の
ヘツドパイプ接続片２０外面に突設した燃料タン
クなどの取着ボスである。

また構成部品は、第３図、第４図、第５図に
示すように、側縁部を残して薄肉に凹陥する断面
形状を持つ。

このように形成した構成部品は、上下のヘツ
ドパイプ接続片１９，２０の先端をヘツドパイプ
１上下部の両側に溶着して接続される。

次いで、ダウンチユーブ接続片１８下端にダウ
ンチユーブ３上端が連結され、構成部品中央部
後縁とタンクレール２前部下縁との間にブリツジ
チユーブ８が連結され、両構成部品中央部内面
にブリツジチユーブ２１が接続される。上記の接
続は、ガイド突起２２をチユーブ端の内孔に挿し
込んで溶着するものである。

こうしてヘツドパイプ周りが構築される。な
お、ボデイチユーフ部分は、このボデイチユーブ
およびダウンチユーブ後端部に相応する機能、強
度を持つように設定された左右一対の鋳造、また
は鍛造の構成部品を介在させ、タンクレール２
後端、ダウンチユーブ３後端、シートレール５前
端、シートピラー６前端を溶接して接続される。
この接続部にはガイド突起２２を一体に備えてい
る。またスイングアーム支持用の軸孔２４、ボス
２５、後輪懸架装置を装備するベルクランク支持
用の軸孔２６、ボス２７、エンジン懸架用、ブレ
ーキレバー支持用、スタンド、リヤフエンダ支持
用などのブラケツト２８が一体に形成して備えら
れる。

〔発明の効果〕

以上の通りこの発明に係る自動２輪車のフレー
ムは、左右一対の鋳造もしくは鍛造製の構成部品
を介してヘツドパイプ周りを構築したもので、構
成部品の鋳・鍛造および後加工がしやすく、生産
性が勝れてコスト低減が得られた上で、ヘツドパ
イプ周りに集中する応力に充分耐える剛性が付与
され、かつ外観、精度の向上、軽量化などの効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例になるフレームの側
面図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視断面図、第３図
は第１図Ｂ−Ｂ矢視断面図、第４図は第１図Ｃ−
Ｃ矢視断面図、第５図は第１図Ｄ−Ｄ矢視断面
図、第６図は第１図Ｅ−Ｅ矢視断面図、第７図は
第１図Ｆ−Ｆ矢視断面図、第８図は第１図Ｇ−Ｇ
矢視断面図、第９図はフレームの基本構成を示す
斜視図、第１０図は従来のヘツドパイプ周りの構
成を示す側面図である。 １……ヘツドパイプ、２……タンクレール、３
……ダウンチユーブ、８，２１……ブリツジチユ
ーブ、１８……ダウンチユーブ接続片、１９，２
０……ヘツドパイプ接続片、２２……ガイド突
起、……構成部品。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 先端をヘツドパイプに接続されて後方へ延び
   る左右のタンクレール、上端をヘツドパイプに接
   続されて下方へ垂れてから後方へ延びる左右のダ
   ウンチユーブ、ダウンチユーブとタンクレール後
   端部を連結する左右のボデイチユーブとを主骨格
   とし、適宜ブリツジチユーブを配して構成し、上
   記各チユーブに囲まれたスペース内下部にエンジ
   ンを搭載し、後上部から後方へシートレールを接
   続し、後下端部にリヤスイングアームを軸支する
   ようにしたダブルクレイドル型の自動２輪車のフ
   レームにおいて、ヘツドパイプ上端部両側にタン
   クレールの前端を溶着して接続すると共に、左右
   一対の鋳造または鍛造品であつて、上半部に前上
   方へＶ字状に分岐して内方へ湾曲する上下のヘツ
   ドパイプ接続片が形成され、下半部に下方へ延び
   るダウンチユーブ接続片が形成され、かつ中央部
   後縁、中央部内面およびダウンチユーブ接続片下
   端面にガイド突起が突設された構成部品を、上記
   上下のヘツドパイプ接続片の先端でヘツドパイプ
   上下部の両側に溶着し、かつ構成部品の中央部後
   縁とタンクレール前部下縁とを結ぶブリツジチユ
   ーブ、両構成部品の中央部裏面を結ぶブリツジチ
   ユーブおよびダウンチユーブ接続片下端に連続す
   るダウンチユーブを上記各ガイド突起を介して溶
   着することによつて、ヘツドパイプ周りを構築し
   たことを特徴とする自動２輪車のフレーム。