JPH0582250U - 育苗用筒 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に細長い筒状態から形成された育苗用筒に
おいても、育苗後の苗を何等損傷することなく取り出す
ことが可能な育苗用筒の構造を得る。 【構成】 断面形状が円形、楕円形または多角形であっ
て下端部に水抜き用の孔を形成した細長状の育苗用筒に
おいて、育苗用筒を長手方向に切断し組立によって筒状
体を形成する開閉可能な第１，第２部材から構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、果物や野菜の子苗を育成するための育苗用筒に関する。

【０００２】

【従来の技術】

苺等の果物、茄子等の野菜の子苗を育成するために、従来から種々の育苗用容 器が用いられている。その代表的なものとしては、図５に示すような植木鉢型の 容器Ａ、図６（ａ）に示すような円筒型の容器Ｂ、同図（ｂ）に示すような箱型 の容器Ｃがある。

【０００３】 使用に当たっては、これらの容器Ａ，Ｂ，Ｃに床土Ｄを入れ、図示しない親株 から、ランナーと呼ばれる蔓を床土Ｄに差し、これから子苗を育成する。

【０００４】 本考案者の知見によれば、果実や野菜の根は、育苗用筒の内周面に沿って下方 に延び、このため、育苗用筒の中央部の土は子苗の育成には殆ど役立っていない ことが判明している。したがって、上記した横断面積が大きく高さが小い従来の 育苗用筒は、定植のときに大きい穴を掘らねばならず作業性が悪い、成長し た子苗の根が容器の底壁に沿って曲がり、複雉に絡み合って団子状になり、定植 後活着するまでに長い日数を要する、容器の内容積が大きいので多量の床土が 必要である、１個当たりの容器の占める面積が大きいので、多数の子苗を育成 するのに広い面積の土地を必要とする、さらに、子苗を冷蔵保管、輪送する際 に大きなスペースを必要とし、保管、輪送の効率が低い、などの種々の問題を有 している。

【０００５】 この対策として、例えば特開昭６３−２２１１８号公報、実開昭６２−１４８ ０４６号公報には、上部面の直径の約３倍の高さを有する細長い筒状体によって 形成した育苗用筒が提案されている。

【０００６】 同公報に記載の育苗用筒によると、必要最小限の土量で苺等の果物、茄子等の 野菜の効率的な育苗が可能となり、上記した問題のうち．，．を解消す ることができる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記公報に開示されたように、細長い筒状体によって形成された育 苗用筒の場合、育苗後、育苗用筒から子苗を取り出して定植する際、根が奥深く 入り込み、しかも細長い形状であるため根の廻りを掘り起こすこともできないた め、生育後の苗を育苗用筒から引っ張って取り出さざるを得ず、子苗の茎あるい は地上物を損傷し易いという問題がある。

【０００８】 そこで、本考案が解決すべき課題は、特に細長い筒状態から形成された育苗用 筒においても、育苗後の苗を何等損傷することなく取り出すことが可能な育苗用 筒の構造を得ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記課題は、断面形状が円形、楕円形または多角形であって下端部に水抜き用 の孔を形成した細長状の育苗用筒において、前記育苗用筒を長手方向に切断し組 立によって筒状体を形成する開閉可能な第１，第２部材から構成した育苗用筒に よって解決することができる。

【００１０】 また、断面形状が円形、楕円形または多角形であって下端部に水抜き用の孔を 形成した細長状の外筒と、同外筒の中に着脱可能に嵌挿され、側壁に多数の伸根 用開口部を形成した内筒の二重筒構造からなる育苗用筒によっても解決すること ができる。

【００１１】

【作用】

請求項１に記載の考案においては、生育後の子苗を第１部材と第２部材を開く ことによって、地上物をなんら引っ張ることなく、育苗用筒の側面側から床土毎 取り出すことができる。

【００１２】 また、請求項２記載の考案においては、外筒に装入された内筒を吊り上げるこ とによって、子苗を床土毎取り出し、さらにそのまま定植することができる。

【００１３】

【実施例】

図１は本考案の第１実施例に係る開閉式の育苗用筒を示す斜視図であり、図２ は子苗育成中の状態を示す斜視図である。

【００１４】 本実施例の育苗用筒１は合成樹脂製からなる苺の育苗用のもので、内周の２箇 所にほぼ全長にわたる凸状４を設けた開閉可能な第１部材２、第２部材３から構 成されている。組立た状態において、育苗用筒１上部の直径が約４ｃｍ、長さが 約１８ｃｍの円筒状となり、長手方向には先細り状の二段のテーパーを形成し、 下端部には水抜き用の孔１ａが形成されている。

【００１５】 育苗用筒１を使用しないときは、図１に示すように、突合わせ縁２ａ，３ａが 開いた状態にある。

【００１６】 この育苗用筒１を子苗の育成用に使用するときは、図２に示すように、育苗用 筒１を閉じて保持枠８により保持し、育苗用筒１に床土を人れ、親株５からのラ ンナー６を育苗用筒１の床土に差して発根させる。保持枠８には補助枠８１を設 けて、育苗用筒１が開かないように中開部を保持している。

【００１７】 発根した根は、育苗用筒１の内面に沿って下方に伸びる。このとき、凸条４に よって、根が曲がるのが抑制され、ほぼ真っ直ぐ下に伸びる。下方に伸びて育苗 用筒１の下端の開口部から外部に出た根は、外気に触れることにより枯れ、つぎ つぎに新たな根が伸びる。このようにして、根の絡み合いが少ない子苗が育成さ れる。

【００１８】 本実施例の育苗用筒１は子苗育成後、第１部材２及び第２部材３を開くことに よって、子苗を床土毎育苗用筒１の側面側から取り出すことができるため、従来 のように子苗の地上物を引っ張って引き抜く必要がなく、子苗に悪影響を与える ことなく定植作業を行うことができる。

【００１９】 図３（ａ）は本考案の第２実施例に係る育苗用筒を示す正面図、（ｂ）は図３ （ａ）に示す育苗用筒の内筒のみの正面図、図４は子苗育成中の状態を示す斜視 図である。

【００２０】 本実施例の育苗用筒１０は外筒１１及び外筒１１内に着脱自在に装入される内 筒１２とからなる二重筒構造である。

【００２１】 外筒１１は合成樹脂製で、上部の直径が約４ｃｍ、長さが約18ｃｍの円筒状で 、長手方向には先細り状の二段のテーパーを形成し、さらに下端部には水抜き用 の孔（図示せず）が形成されている。

【００２２】 外筒１１の上端に形成したフランジ１３は、育苗時に育苗用筒１１を、図４に 示す保持枠２０に保持するためのものである。なお、外筒１１の下端は、本実施 例では全部を開口しているが、床土の脱落を防ぐために、一部を閉塞する十字形 等の規制部を形成することもできる。

【００２３】 内筒１２は、外筒１１内に嵌挿するもので、外面寸法を外筒１１の内面寸法よ りやや小さいものとしている。この内筒１２には、内面の長手方向に凸条（図示 せず）を形成すると共に、凸状に対応する外面には凹条１４を形成している。

【００２４】 １５は内筒１２の側壁に形成した伸根用の多数の孔で、この孔１５は、外筒１ １から取り外した子苗つき内筒１２をそのまま定植したときに、この孔１５から 脇根を土中に伸びさせることができる。なお、子苗を冷蔵保管する際に、外筒１ １から取り出して冷蔵保管することにより、孔１５から内筒１２内に冷気が侵入 して子苗の冷却効果を高めることができる。

【００２５】 この育苗用筒１０による子苗の育成は、図４に示すように、床土を入れた育苗 用筒１０を保持枠２０により保持し、親株５からのランナー６を育苗用筒１０の 床土に差して発根させる。

【００２６】 本実施例の育苗用筒１０は子苗育成後、内筒１２を外筒１１から取り外し、子 苗を内筒１２から取り出すことなくそのまま定植できる。このため、子苗に悪影 響を与えることなく定植作業が著しく容易になり、また、定植作業の機械化が容 易になる。

【００２７】

【考案の効果】

本考案の育苗用筒によれば、生育後の子苗を第１部材と第２部材を開くことに よって、また、外筒に装入された内筒を吊り上げることによって、子苗の地上物 をなんら引っ張ることなく、育苗用筒の側面側から床土毎取り出すことができ、 子苗に悪影響を与えることなく定植作業を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係る育苗用筒を示す斜視
図である。

【図２】子苗育成中の状態を示す斜視図である。

【図３】本考案の第２実施例に係る育苗用筒を示す正面
図であり、同図（ａ）は外筒に内筒を挿入した状態を示
し、同図（ｂ）は内筒を示す。

【図４】子苗育成中の状態を示す斜視図である。

【図５】従来の育苗用容器の例を示す斜視図である。

【図６】従来の育苗用容器の例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１，１０ 育苗用筒 １ａ 水抜き孔 ２ 第１部材 ３ 第２部材 ２ａ，３ａ 突合わせ縁 ４ 凸状 １１ 外筒 １２ 内筒 １３ フランジ １４ 凹条 １５ 伸根用孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面形状が円形、楕円形または多角形で
   あって下端部に水抜き用の孔を形成した細長状の育苗用
   筒において、前記育苗用筒を長手方向に切断し組立によ
   って筒状体を形成する開閉可能な第１，第２部材から構
   成した育苗用筒。
2. 【請求項２】 断面形状が円形、楕円形または多角形で
   あって下端部に水抜き用の孔を形成した細長状の外筒
   と、同外筒の中に着脱可能に嵌挿され、側壁に多数の伸
   根用開口部を形成した内筒の二重筒構造からなる育苗用
   筒。