JPH0580365B2 - - Google Patents

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JPH0580365B2
JPH0580365B2 JP60064581A JP6458185A JPH0580365B2 JP H0580365 B2 JPH0580365 B2 JP H0580365B2 JP 60064581 A JP60064581 A JP 60064581A JP 6458185 A JP6458185 A JP 6458185A JP H0580365 B2 JPH0580365 B2 JP H0580365B2
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Katsumasa Matsui
Tooru Kakehi
Katsuhiro Ooba
Takamasa Kawai
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Denso Corp
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NipponDenso Co Ltd
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Priority to DE8585307532T priority patent/DE3576314D1/de
Priority to US06/789,013 priority patent/US4696167A/en
Priority to AU48895/85A priority patent/AU565008B2/en
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/00642Control systems or circuits; Control members or indication devices for heating, cooling or ventilating devices
    • B60H1/00735Control systems or circuits characterised by their input, i.e. by the detection, measurement or calculation of particular conditions, e.g. signal treatment, dynamic models

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は自動車用空気調和装置に関し、詳しく
は空気調和を行なう系の動的なモデルに基づい
て、車室内の温度を設定された目標温度とするよ
うな好適なフイードバツク制御を行う自動車用空
気調和装置に関する。
[従来の技術] 従来より乗員にとつての車室内の環境を快適な
ものとする為に、車室内の温度、湿度、清浄度等
を制御する空気調和装置が用いられているが、こ
の内、主に車室内の温度をコントロールするもの
が広く普及している。こうした自動車用空気調和
装置では、吹出空気の温度を低温から高温まで幅
広く制御する為に、送風通路の上流に冷却器(エ
バポレータ等)をおいて、一旦、送風される空気
を冷却した上で、更に加熱器(ヒータコア等)に
よつて加熱し、吹出空気に要求される温度を得て
いるのである。こうした送風・冷却・加熱を行な
う一連の装置を吹出空気制御手段とし、その全体
を空調ユニツトと呼ぶ。近年、広く用いられてい
る自動車用空気調和装置の空調ユニツトとして
は、加熱器に供給する熱量を可変するリヒートタ
イプと加熱器を通過する空気の割合を可変するエ
アミツクスタイプとがある。
いずれにせよ、これらの自動車用空気調和装置
では車室内の温度は吹出空気の持つ熱量、即ち吹
出空気の風量と温度とによつて制御されている。
吹出空気の風量はブロアモータ等の送風の能力に
よつて定まり、一方その温度は冷却器(エバポレ
ータ)の冷却能力、更に換言すればコンプレツサ
等を含めた冷却系の能力と加熱器による加熱能
力、即ちリヒートタイプにあつては温水の循環
量、エアミツクスタイプにあつてはエアミツクス
ダンパのダンパ開度とによつて定まる。
空気調和を開始すると、空気調和装置は車室内
の温度を検出して、設定された目標温度との偏差
に基づき、吹出空気の温度や風量などをフイード
バツク制御する。従つて、吹出空気の熱量によ
り、車室内の温度(以下、内気温度と呼ぶ)は次
第に設定された目標温度に近づいてゆく。
こうした制御については特開昭55−47914号公
報や特開昭55−776599号公報等に開示されてい
る。
[発明が解決しようとする問題点] 上述した従来装置は、内気温度が目標温度に接
近され維持されるように、内気温度と目標温度と
の偏差に基づくフイードバツク制御を基本とし、
更には外気温度や日射量を考慮して予め設定した
熱的平行条件を満足するように制御量設定した予
測制御を採用したものである。又、送風量として
は、上記の温度の偏差が大きい時には送風量を大
きくし、偏差が小さくなる程送風量を小さくする
ような単純な制御が行なわれているにすぎなかつ
た。
従つて、目標温度の設定値を変化させた時の過
渡応答性が必しも充分になるとは限らず、設定さ
れた目標温度やその時点での内気温度、あるいは
空調ユニツトの能力等によつては過渡的応答性が
不充分な場合があり、乗員に対する快適な環境の
位置が困難になる場合があるという問題があつ
た。
また、空調ユニツトの能力は、送風量、冷却器
の冷却能力、加熱器による加熱能力等の組合わせ
で決まるが、これらをどう組合わせることが内気
温度の最適な制御となるかは判然としておらず、
従来は、設計者の経験等に基づいて、上述した送
風量の制御の如く単純な組合わせにより定められ
ていたにすぎない。従つて空調ユニツトの能力を
十二分に引き出すことが必ずしもなされていなか
つた。
そこで本発明はこれらの問題点を解決すること
を目的としてなされ、空調ユニツトの能力を最大
限に引き出して車室内の温度(内気温度)を好適
に制御する自動車用空気調和装置を提供すること
を目的とする。
発明の構成 [問題点を解決するための手段] かかる目的を達成すべく、本発明は問題を解決
するための手段として次の構成をとつた。即ち、
第1図に示すように、 車室内M1への吹出空気のすくなくとも温度と
風量とを含む諸量を制御する吹出空気制御手段M
2と、 前記車室内M1の温度を検出する内気温度検出
手段M3と、 該検出された内気温度が設定された目標温度と
なるよう前記吹出空気制御手段M2をフイードバ
ツク制御する空調制御手段M4と、 を備えた自動車用空気調和装置において、 前記空調制御手段M4が、 当該自動車用空気調和装置の空気調和に関する
系の動的なモデルに基づいて予め設定されたパラ
メータを用いて、前記吹出空気の諸量と前記車室
内の温度とから、前記系の動的な内部状態を表す
適当な次数の状態変数量を推定する状態観測部M
5と、 前記設定された目標温度と前記検出された車室
内の温度との偏差を累積する累積部M6と、 前記系の動的なモデルに基づいて予め設定され
たフイードバツクゲインと前記推定された状態変
数量と前記累積値とから、前記吹出空気制御手段
M2によつて制御される諸量の各制御量を決定す
るフイードバツク量決定部M7と、 を備えた付加積分型最適レギユレータとして構成
されたことを特徴とする自動車用空気調和装置の
構造がそれである。
ここで吹出空気制御手段M1とは[従来の技
術]の項で述べた空調ユニツトにほぼ相当し、す
くなくとも吹出空気の温度と風量を制御する手段
から構成されている。例えば、吹出空気の諸量の
ひとつとして風量をとれば、その回転数や絞りの
開度等によつて送風量を制御するブロワモータや
シロツコフアン等であり、吹出空気の温度を考え
れば、冷却器、例えばエバポレータの冷却能力を
制御するアクチユエータやエアミツクスダンパの
開度あるいは加熱器(ヒータコア)に供給される
熱量を制御するアクチユエータ等がある。冷却器
の能力を制御するアクチユエータとしては、コン
プレツサの容量を変化させてその能力を可変する
ものや、冷媒の流量を制御するアクチユエータ等
がある。
空調制御手段M3は通常マイクロプロセツサを
用いROM、RAM等の周辺素子や入出力回路と
共に構成された論理演算回路として実現され、予
め記憶された処理手順に従つて、設定された目標
温度と内気温度検出手段M3によつて検出された
内気温度とから、吹出空気制御手段M2を、予め
空気調和を行なう系の動的なモデルに従つて定め
られた最適フイードバツクゲインから定まるフイ
ードバツク量により制御するよう構成されてい
る。即ち、空調制御手段M4は、目標温度に内気
温度を近づけるように、吹出空気制御手段M2に
よつて制御される吹出空気の諸量の最適なフイー
ドバツク量を定める付加積分型最適レギユレータ
として構成されている。
こうした付加積分最適レギユレータの構成の手
法は、例えば古田勝久著「線形システム制御理
論」(昭和51年)昭晃堂等に詳しいが、ここで実
際の構成の手法について一通の見通しを与えるこ
とにする。尚、以下の説明において〓,〓,〓,
〓,〓,〓,〓,〓,〓,〓,〓,〓,〓,〓は
ベクトル量(行列)を示し、〓Tの如き添字Tは行
列の転置を、〓−1の如き添字-1は逆行列を、更
に〓^の如き添字^はそれが推定値であること
を、〓〜の如き記号〜は制御対象の系から変換等
により生成された別の系、ここでは状態観測器
(以下、オブザーバと呼ぶ)で扱われている量で
あることを、y*の如き記号*は目標値であること
を、各々示している。
制御対象、ここでは内気温度に関する系の制御
において、この制御対象の動的な振舞は、離散系
において、 〓(k)=〓・〓(k−1)+〓・〓(k−1)
…(1) 〓(k−1)=〓・〓(k−1) …(2) として記述されることが現代制御理論より知られ
ている。ここで式(1)は状態方程式、式(2)は出力方
程式と呼ばれ、〓(k)はこの系の内部状態を表わす
状態変数量であり、〓(k)は吹出空気制御手段M2
によつて制御される吹出空気の諸量からなるベク
トル、〓(k)はこの系の出力を示す諸量からなるベ
クトルである。尚、本発明の扱う空気調和を行な
う系では、この出力ベクトル〓(k)は内気温度のみ
なので、以下、スカラ量y(k)として扱うことにす
る。又、式(1)、(2)は離散系で記述されており、添
字kは現時点での値であることを、k−1は1回
前のサンプリング時点での値であることを、各々
示している。
空気調和、ここでは内気温度の制御を行なう系
の内部状態を示す状態変数量〓(k)は、その制御系
における未来への影響を予測するために必要十分
な系の履歴に関する情報を示している。従つて、
吹出空気制御手段M2によつて空気調和の行なわ
れる車室内の温度(内気温度)が吹出し空気の諸
量によりどう振舞うかという系の動的なモデルが
明らかになり、式(1)、(2)のベクトル〓,〓,〓を
定めることができれば、状態変数〓(k)を用いて内
気温度を最適に制御できることになる。尚、サー
ボ系においては系を拡大する必要が生じるが、こ
れについては後述する。
ところが、空気調和のように複雑な対象につい
てはその動的なモデルを理論的に正確に求めるこ
とは困難であり、何らかの形で実験的に定めるこ
とが必要となる。これが所謂システム同定と呼ば
れるモデル構築の手法であつて、自動車用空気調
和装置が所定の状態で運転されている場合、その
状態の近傍では線形の近似が成立つとして、式
(1)、(2)の状態方程式に則つてモデルを構築するの
である。従つて、この例のようにその運転に関す
る動的なモデルが非線形のような場合にも、定常
的な複数の運転状態に分離することによつて線形
な近似を行なうことができ、個々の動的なモデル
を定めることができるのである。
ここで、制御対象が比較的容易に物理的なモデ
ルを構築できるものであれば周波数応答法やスペ
クトル解析法といつた手法によりシステム同定を
行なつて、動的な系のモデル(ここではベクトル
〓,〓,〓)を定めることができるが、ここで取
り上げた空気調和を行なう系のような多元形の制
御対象では、ある程度近似のよい物理モデルをつ
くることも困難であり、この場合には最小2乗法
や補助変数法あるいはオンライン同定法などによ
り動的なモデルの構築を行なう。
動的なモデルが定まれば、状態変数量〓(k)と内
気温度y(k)及びその目標温度y*(k)からフイード
バツク量が定まり吹出空気の諸量〓(k)の制御量が
理論的に最適に定められる。
通常、自動車用空気調和装置においては、内気
温度の制御に直接関与する諸量として、例えばブ
ロアモータによる送風量が内気温度に影響する
量、即ち送風量の内気温度に寄与する量を温度換
算したものとか、エアミツクスダンパ開度が内気
温度に影響する量などを用い、これを状態変数量
〓(k)として扱えばよいのであるが、これらの諸量
の大部分は直接観測することができない。そこ
で、本発明では、空気調和制御手段M4内に状態
観測部M5を設け、この状態観測部M5にて、内
気温度と吹出空気の諸量とを用いて、この空気調
和を行なう系の状態変数量〓(k)を推定するように
している。なお、状態観測部M5は、所謂、現代
制御理論におけるオブザーバであり、種々のオブ
ザーバとその設計法が知られている。これらは、
例えば古田勝久他著「メカニカルシステム制御」
(昭和59年)オーム社等に詳解されているが、本
発明の状態観測部M5としては、自動車用空気調
和装置の態様に合わせて最小次元オブザーバや有
限整定オブザーバとして設計すればよい。
空気調和制御手段M4では、こうしたオブザー
バとしての状態観測部M5により、状態変数量〓
(k)を推定すると共に、累積部M6により、設定さ
れた目標温度と実際の内気温度との偏差を累積
し、フイードバツク量決定部M7により、これら
両者と、予め定められた最適フイードバツクゲイ
ンとから最適なフイードバツク量を定め吹出空気
制御手段M2を制御する。
ここで、累積部M6により得られる偏差の累積
値は、設定される目標温度が運転者の操作やオー
トエアコン等での要求により変化することから必
要となる量である。
すなわち、一般にサーボ系の制御においては目
標値と実際の制御値との定常偏差を消去するよう
な制御が必要となり、これは伝達関数において
1/Sl(l次の積分)を含む必要があるとされる。
また、既述したようなシステム同定により系の伝
達関数を定め、これから状態方程式をたてている
ような場合には、対ノイズ安定性の上からもこう
した積分量を含むことが望ましい。
そこで、本発明では、状態観測部M6にて推定
した状態変数量に、累積部M6で求めた偏差の累
積値を加えることにより、制御系を所謂サーボ系
に拡大し、これら両者と予め定められた最適フイ
ードバツクゲインとによりフイードバツク量を定
めるようにしているのである。なお、本発明にお
いて、累積部M6は、l=1、即ち一次型の積分
を考慮すればよい。
次に、最適フイードバツクゲインについて説明
する。上記の如く積分量を付加した最適レギユレ
ータでは、評価関数Jを最小とするような制御入
力(ここでは空気調和を行なう系の吹出空気の諸
量)の求め方が明らかにされており、最適フイー
ドバツクゲインもリカツチ方程式の解と状態方程
式(1)、出力方程式(2)の〓,〓,〓マトリツクス及
び評価関数に用いられる重みパラメータ行列とか
ら求められることがわかつている(前掲書他)。
ここで重みパラメータは当初任意に与えられるも
のであつて、評価関数Jが空気調和を行なう系の
吹出空気諸量の挙動を制約する重みを変更するも
のである。重みパラメータを任意を与えて大型コ
ンピユータによるシミユレーシヨンを行ない、得
られた吹出空気諸量の挙動から重みパラメータを
所定量変更してシミユレーシヨンを繰返し、最適
な値を決定しておくことができる。その結果最適
フイードバツクゲイン〓も定められる。
従つて、本発明の自動車用空気調和装置の空調
制御手段M4は、予めシステム同定等により決定
された空気調和を行なう系の動的モデルを用いて
付加積分型最適レギユレータとして構成され、そ
の内部におけるオブザーバのパラメータや最適フ
イードバツクゲイン〓などは、全て、予めシミユ
レーシヨンにより決定されているのである。
[作 用] 上記のように構成された本発明の自動車用空気
調和装置においては、空調制御手段M4が、車室
内温度検出手段M3にて検出された内気温度が設
定された目標温度となるように吹出空気制御手段
M2をフイードバツク制御する。また、空調制御
手段M4内では、状態観測部M5が、当該装置の
空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて予
め設定されたパラメータを用いて、制御入力とな
る吹出空気の諸量との車室内の温度とから、制御
系の内部状態を表す状態変数量を推定し、累積部
M6が、内気温度と目標温度との偏差を累積し、
フイードバツク量決定部M7が、その推定された
状態変数量と、偏差の累積値と、系の動的なモデ
ルに基づいて予め設定されたフイードバツクゲイ
ンとから、吹出空気制御手段M2が制御する諸量
の制御量を決定する。
従つて、内気温度は目標温度との偏差による単
純なフイードバツク制御や予測制御によつてコン
トロールされるのではなく、吹出空気の状態を最
適に制御することによつて、目標温度に制御され
ることになる。
つまり、状態観測部M5により求められる状態
変数量は、上述のように、当該装置の制御系にお
ける未来への影響を予測するために必要充分な系
の履歴に関する情報を含んでいるため、本発明に
よれば、フイードバツク量決定部M7において、
フイードバツク制御量によつて系がどのように振
舞うかを予測しつつ、フイードバツク制御量を決
定でき、このフイードバツク制御量により、吹出
空気の状態を最適に制御して、内気温度を、極め
て高い応答性で目標温度に制御することができる
ようになるのである。
[実施例] 次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。第2図は本発明実施例における自動車
用空気調和装置を表わす概略構成図、第3図は空
気調和を行なう系の制御モデルを示す制御系統
図、第4図はシステム同定の説明に用いるブロツ
ク線図、第5図は同じくそのシグナルフロー線
図、第6図はオブザーバの構成を示すブロツク線
図、第7図は電子制御回路において実行される制
御の一例を示すフローチヤート、であつて、以下
この順に説明する。
第2図において、1はブロワモータ3、エバポ
レータ5、ヒータコア7、エアミツクスダンパ9
等を中心にエアミツクスタイプとして構成された
空調ユニツト、10は内気温度TRを検出する内
気温度センサ12、温度設定器14等を備えた乗
員室、20は空調ユニツト1を制御する電子制御
回路、を各々示している。
空調ユニツト1では、ブロアモータ3によつて
内外気切換ダンパ21を介して吸入された空気
は、エバポレータ5を通過することによつて、一
旦冷却された後、その一部はヒータコア7を通つ
て再び加熱され、ヒータコア7を通過しない空気
と混合されて乗員室10内へ吹き出される。ヒー
タコア7を通過する空気と通過しない空気との比
はエアミツクスダンパ9の開度によつて制御され
る。エバポレータ5は、コンプレツサ22を冷媒
を循環する管路を備え、電子制御回路20によつ
てコンプレツサ22の能力を制御することによ
り、その冷却能力のコントロールが行なわれる構
成となつている。図示しない車載のエンジンを動
力源とするコンプレツサ22の能力の制御は、コ
ンプレツサ22に内蔵され、コンプレツサ22の
高圧室と低圧室とを通過する通路の開口面積を制
御するアクチユエータ(図示せず)によつて行な
われる。電子制御回路20はこのアクチユエータ
の駆動電圧を制御して冷却能力を制御するのであ
るが、以下、内蔵アクチユエータの駆動電圧を、
単にコンプレツサ22の駆動信号(駆動電圧)と
呼ぶことにする。
ヒータコア7は図示しないエンジンの冷却水
(温水)が循環するように構成されており、エン
ジンの暖機が終了した時点では一定の熱量がヒー
タコア7に供給されることになる。更に、エアミ
ツクスダンパ9はダンパアクチユエータ24によ
つてそのダンパ開度が制御される構成となつてい
る。
電子制御回路20は周知のCPU30、ROM3
2、RAM34を中心に、入力ポート36、出力
ポート38等をコモンバス40で相互に接続し、
論理演算回路として構成されている。入力ポート
36は、内気温度センサ12から内気温度TR
を、温度設定器14から目標温度TR*を、各量
に対応した電気信号として入力する。出力ポート
38は、ブロアモータ3を駆動する駆動信号
VB、コンプレツサ22の駆動信号VC、ダンパ
アクチユエータ24の駆動信号VD、等を各々出
力する。
電子制御回路20は、ROM32に予め記憶さ
れたプログラムに従つて温度設定器14や内気温
度センサ12等から入力された信号(TR*,TR
等)に基づき、ブロアモータ3、コンプレツサ2
2、ダンパアクチユエータ24等を駆動信号
(VB,VC,VD等)によりフイードバツク制御
するが、この時、フイードバツク制御に用いられ
る制御モデルについて、次に説明する。特にシス
テム同定による状態方程式(1)、出力方程式(2)等に
おけるベクトル〓,〓,〓の求め方やこれに基く
オブザーバの設計、フイードバツクゲイン〓の求
め方、等について実際に即して説明する。尚、第
3図は制御系を示す図であつて、ハード的な構成
を示すものではない。第3図に示す制御系は、実
際には第7図のフローチヤートに示した一連のプ
ログラムの実行により実現されており、離散系と
して実現されている。
第3図に示すように、まず目標温度TR*は目
標温度設定部P1によつて設定される。本実施例
では温度設定器14が目標温度設定部P1に相当
する。積分器P2は目標温度TR*と実際の内気
温度TRとの偏差を累積して、累積値ZTR(k)を求
めるものである。
P3は、内気温度TRについて、定常的な空気
調和が行なわれている状態での内気温度TRaか
らの摂動分を抽出する摂動分抽出部を示してい
る。これは、既述したように、非線形なモデルに
対して線形の近似を行なう為に、空気調和装置に
よる空気調和の状態を、複数の定常的な空調状態
の近傍で線形な近似の成立する範囲の連続とみな
してこの系に関する動的なモデルを構築したこと
によつている。従つて、内気温度TRを一旦、予
め定めた最も近い定常状態からの摂動分δTR(=
TR−TRa)として扱うのである。前記の積分器
P2とオブザーバP4とフイードバツク量決定部
MP5とによつて求められる空調ユニツト1の運
転条件、即ち吹出空気の諸量を定めるブロアモー
タ3の駆動電圧VB、コンプレツサ22の駆動電
圧VC、エアミツクスダンパ9の開度を決定する
ダンパアクチユエータ24の駆動電圧VDも摂動
分δVB,δVC,δVDとして扱われている。
オブザーバP4は、内気温度の摂動分δTRと
上記運転条件の摂動分δVB,δVC,δVDとから
空気調和装置の内部状態を表現する状態変数量〓
(k)を推定して状態推定量〓(k)を求めるものであ
り、この状態変数量〓(k)と上述の累積値ZTR(k)
とに、フイードバツク量決定部P5において、最
適フイードバツクゲイン〓を積算し、制御量
(δVB,δVC,δVD)を求めるのである。この制
御量の組(δVB,δVC,δVD)は摂動分抽出部
P3によつて選ばれた定常的な運転状態に対応し
た運転条件からの摂動分なので、これに基準設定
値加算部P6によりこの定常的な運転条件に対応
した基準設定値VBa,VCa,VDaを加えて、空
気調和装置に対する運転条件の諸量、VB,VC,
VDを定めるのである。
以上、簡単にこの制御系の構成について説明し
たが、空気調和装置の運転条件として、ブロアモ
ータの駆動電圧VB、コンプレツサの駆動電圧
VC、ダンパアクチユエータの駆動電圧VDを実
施例として取上げたのは、これらの諸量がエアミ
ツクスタイプの空調ユニツト1を有する自動車用
空気調和装置では、内気温度TRの制御に関する
基本的な量であることによつている。従つて本実
施例では、空気調和装置を3入力1出力の多元系
として捕えた。自動車用空気調和装置がリヒート
タイプであれば、ヒータコアに循環する温水の流
量を可変するウオータバルブの制御を入力のひと
つに代置するなど、必要に応じて他の多元系の制
御モデルをたてればよい。
以上、自動車用空気調和装置のハード的な構成
とこの出力の制御を行なうものとして3入力1出
力の系を取り上げた場合の制御系の構成について
説明した。そこで、次に実際のシステム同定によ
る動的モデルの構築、オブザーバP4の設計、最
適フイードバツクゲイン〓の与え方について説明
する。
まず自動車用空気調和装置の動的なモデルを構
築する。第4図は3入力1出力の系として定常運
転されている空気調和装置の系を伝達関数G1(z)
〜G3(z)により書き表わした図である。尚、zは
入出力信号のサンプル値のz変換を示し、G1(z)
〜G3(z)は適当な次数をもつものとする。従つて、
全体の伝達関数行列〓(z)は、 〓(z)=[G1(z) G2(z) G3(z)] で表わされる。
本実施例の空気調和装置のように、その制御系
が3入力1出力の系であり、入出力の諸量に干渉
が存在するような場合には、物理的なモデルを定
めることが極めて困難となる。このような場合に
は、システム同定と呼ばれる一種のシミユレーシ
ヨンにより伝達関数を求めることができる。
システム同定の手法は、例えば相良節夫他著、
「システム同定」(昭和56年)社団法人計測自動制
御学会等に詳解されているが、ここでは最小2乗
法により同定する。
空気調和装置を所定の状態で定常運転し、コン
プレツサ22とダンパアクチユエータ24の駆動
電圧の変化分δVC,δVDを共に0として、ブロ
アモータ3の駆動電圧の変化分δVBを適当な試
験信号により制御する。この時の入力δVBと、
出力としての内気温度の変化分δTRのデータを
N回に亘つてサンプリングする。これを入力のデ
ータ系列{u(i)}=(δVBi}、出力のデータ系列
{y(i)}={δTRi}(但し、i=1,2,3,…N)
と表わす。この時、系は1入力1出力とみなすこ
とができ、系の伝達関数G1(z)は、 G1(z)=B(z-1)/A(z-1) …(3) 即ち、 G1(z) =(b0+b1・z-1+…+bnz-n)/(1 +a1・z-1+a2・z-2+…+an・z-n) …(4) で求められる。尚、ここで、z-1は単位推移演算
子であつて、z-1・x(k)=x(k−1)を意味して
いる。
入出力のデータ系列{u(i)},{y(i)}から式(4)
のパラメータa1〜an,b0〜bnを定めれば系の伝
達関数G1(z)が求められる。最小2乗法によるシ
ステム同定では、このパラメータa1〜an,b0〜
bnを、 J0Nk=n [{y(k)+a1・y(k−1)+…+an ・y(k−n)}−{b0・u(k)+b1・u
(k−1)+…+bn・u(k−n)}]2…(5) が最小となるよう定める。本実施例ではn=1と
して、各パラメータを求めた。この場合、系のシ
グナルフロー線図は第5図のようになり、状態変
数量として×1(k)をとつて、その状態・出力方程
式は、 x1(k−1) =Z・x1(k) =−a1・x1(k)+b1・u1(k) …(6) y(k)=x1(k) …(7) と表わせられる。従つて、1入力1出力の系とみ
なした場合のシステムパラメータ〓,〓,〓を
各々〓1′,〓1′,〓1′とすれば、 〓1′=−a1 〓1=b1 〓a′=1 …(8) となる。
同様の手法により、伝達関数G2(z)、G3(z)及び
各々についてのシステムパラメータ〓2′,〓3′,
〓2′,〓3′,〓2′,〓3′が求められる。そこでこ
れらのシステムパラメータから元の3入力1出力
の多元系のシステムパラメータ、即ち状態方式
(1)、出力方程式(2)のベクトル〓,〓,〓を定める
ことができる。
こうして本実施例の動的なモデルがシステム同
定により求められたが、この動的なモデルは、空
気調和装置が所定の状態で運転されている時、こ
の状態の近傍では線形の近似が成立つという形で
定められる。従つて、定常的な複数の空気調和の
状態に関して、上記の手法で伝達関数G1(z)ない
しG3(z)が各々求められ、各々の状態方程式(1)、
出力方程式(2)、即ちベクトル〓,〓,〓が求めら
れ、その入出力の関係は摂動分δの間に成立する
ことになる。
次にオブザーバP4の設計方法について説明す
る。オブザーバの設計にはゴピナスの設計法など
があつて、古田勝久・佐野昭共著「基礎システム
理論」(昭和53年)コロナ社等々に詳しいが、本
実施例では最小次限オブザーバとして設計する。
オブザーバP4は空気調和の行なわれた内気温
度の摂動分(δTR)と運転条件の諸量の摂動分
(δVB,δVC,δVD)とから空気調和装置の内部
の状態変数量〓(k)を推定するものであるが、オブ
ザーバP4によつて求められた状態推定量〓(k)
を、この系の制御において、実際の状態変数量〓
(k)として扱うことができるという根拠は次の点に
ある。今、オブザーバP4の出力〓(k)を状態方程
式(1)、出力方程式(2)に基いて次式(9)のように構成
したとする。
〓(k)=(〓−〓・〓)・〓(k−1) +〓・〓(k−1)+〓・〓(k−1)
…(9) 式(9)において〓は任意に与えられる行列であ
る。式(1),(2),(9)より変形すると、 [〓(k)−〓(k)] =(〓−〓・〓)[〓(k−1)−〓(k−1)]
…(10) を得る。従つて(〓−〓・〓)なる行列の固有値
が単位円内にある様に行列〓を選択すればk→∞
で〓(k)→〓(k)となり、制御対象の内部の状態変数
量〓(k)を入力制御ベクトル〓(k)(即ちブロアモー
タ3等の駆動電圧[VB(k) VC(k) VD(k)])と
出力ベクトル〓(k)(即ちここではスカラ量y(k)と
しての内気温度TR(k))との過去からの系列〓
(*),〓(*)を用いて正しく推定することがで
きる。
第6図は最小次元オブザーバの構成を示すブロ
ツク線図である。オブザーバをこのように構成
し、オブザーバ内部の状態変数量をW(k)と措定す
れば、 〓(k)=〓・〓(k−1)+〓・y(k−1) +〓・〓(k−1) …(11) 〓(k−1)=〓〜・〓(k−1)+〓〜・y
(k−1) …(12) として状態推定量〓(k−1)が求められること
が諒解されよう。ベクトルJは、特定の条件のも
とでは任意に選択でき、〓(k)→X(k)に収束させる
速さを変更できる。ここでは、ベクトル〓、〓を
統合するベクトルをあらためてベクトル〓とし
て、式(11)を、 〓(k)=〓・〓(k−1) +〓[y(k−1) 〓(k−1)]T …(13) としておく。
既に述べたように、こうした最小次元オブザー
バの具体的な設計法はゴピナスの設計法などが知
られており、本実施例ではこれを用いて、空気調
和装置のある定常的な運転状態について、 〓=P11 P12 P21 P22 …(14) 〓=M11 M12 M13 M14 M21 M22 M23 M24 (15) 〓=1 0 0 1 …(16) 〓 =D1 D2 …(17) を得た。
ここでは、オブザーバによつて求められる状態
推定量〓^(k)、即ち空気調和装置の内部状態を表
わす変数として、δTB(k),δTC(k),δTD(k)考え
ている。δTB(k)は、ブロアモータ3の吹出風量
を制御する駆動電圧VBによつて影響を受ける車
室内実温度の摂動分を、δTC(k)は、同様にコンプ
レツサ22の駆動電圧VCによつて影響をうける
車室内実温度の摂動分を、δTD(k)は、同じくダ
ンパアクチユエータ24によつて影響をうける車
室内実温度の摂動分を、各々意味している。即
ち、状態推定量〓(k)は、 〓(k)= [δTB(k) δTC(k) δTD(k))]T …(18) として表わされる。
次に最適フイードバツクゲイン〓の求め方につ
いて説明するが、最適フイードバツクゲイン〓を
求める手法は、例えば「線形システム制御理論」
(前掲書)等に詳しいので、ここでは詳解は略し
て結果のみを示しておく。
空調ユニツト1の制御入力〓(k)=[VB(k) VC
(k) VD(k)]Tとその出力y(k)=TR(k)とについて、
ある定常点のまわりで、 δ〓(k)=〓(k)−〓(k−1) δy(k)=y(k)−y(k−1) とし、次の評価関数Jを最小にする最適制御入
力、即ち運転条件〓*(k)を求めることが空気調和
装置の制御系に関する付加積分型最適レギユレー
タとしての制御問題を解くことになる。
J= 〓 〓k=0 [δyT(k)・〓・δ〓(k)+δ〓T(k)・〓・δ〓(k)]
…(19) 尚、ここで〓,〓は重みパラメータ行列を、k
は制御開始時点を0とするサンプル回数を、各々
示しており、式(19)右辺は〓,〓を対角列とする所
謂2次形式表現である。
この時、最適なフイードバツクゲイン〓は F=−(〓+〓T・〓・〓)-1・〓T・〓・〓 …(20) として求められる。尚、式(20)における,〓は
各々、 〓=1 0−〓・〓 〓 …(21) 〓=−〓・〓 〓 …(22) であり、〓はリカツチ方式 〓=〓T・〓・〓−〓T・〓・〓・(〓T・〓・〓+〓
)−1・〓T・〓・〓+〓 0 0 0 (23) の解である。尚、ここで式(19)の評価関数Jの意味
は空気調和装置に対する制御入力としての運転条
件の諸量〓(k)=[V〓(k) V〓(k) VD(k)]Tの動き
を制約しつつ、制御出力y(k)、ここでは内気温度
TR(k)の目標値TR(k)*からの偏差を最小にしよう
と意図したものである。運転条件の諸量〓(k)に対
する制約の重み付けは、重みパラメータ行列〓,
〓の値によつて変更することができる。従つて、
すでに求めておいた空気調和装置の動的なモデ
ル、即ち行列〓,〓,〓(ここでは〓,〓,〓)
を用い、任意の重みパラメータ行列〓,〓を選択
して式(23)を解いて〓を求め、式(20)により最適フ
イードバツクゲイン〓を求めれば、状態変数量〓
(k)は状態推定量〓(k)として式(12),(13)より求められ
るので、 〓(k)=F・[〓(k) ZT〓(k)]T …(24) により空気調和装置にとつての制御入力〓(k)を求
めることができる。重みパラメータ行列〓,〓を
変えて最適な制御特性が得られるまで以上のシミ
ユレーシヨンを繰返すことによつて、最適フイー
ドバツクゲイン〓が、 〓=F11 F12 F13 F14 F21 F22 F23 F24 F31 F32 F33 F34 …(25) のように求められた。
以上、最小2乗法によるシステム同定により空
気調和装置の制御系の動的モデルの構築、最小次
元のオブザーバの設計、最適フイードバツクゲイ
ン〓の算出について説明したが、これら、オブザ
ーバ内の各パラメータ〓,〓,〓,〓や最適フイ
ードバツクゲイン〓等は予め求めておき、電子制
御回路20の内部ではその結果のみを用いて実際
の制御を行なうのである。
そこで、次に、第7図のフローチヤートに拠つ
て電子制御回路20が実際に行なう制御について
説明する。尚、以下の説明では現実の処理におい
て扱われている量を添字(k)付で、前回に扱われた
量を添字(k−1)付で表わすことにする。
CPU30は空気調和装置が起動された後、
CPU30の内部レジスタのクリアや制御初期値
の設定などの初期化の処理をステツプ100にて
行なつた後、予めROM32内に格納された手順
に従い、後述するステツプ110ないしステツプ
230の処理を繰返し実行する。この車室内温度
制御ルーチンでは予めROM32内に格納された
上述の〓,〓,〓,〓,〓の値が用いられる。
まず、ステツプ110では、内気温度センサ1
2の出力信号を入力ポート36を介して入力し、
車室内に温度、即ち内気温度TR(k)の読み込みを
行なう。ステツプ120では、同様に温度設定器
14の出力信号を入力して、目標温度TR*(k)を
読み込む処理を行なう。 読くステツプ130で
は、ステツプ110で読み込んだ内気温度TR(k)
とステツプ120で読み込んだ目標温度TR*(k)
との偏差をe(k)=TR*(k)−TR(k)として求め、次
のステツプ140では、この偏差e(k)の過去から
の累積値ZTR(k)を求める処理が行なわれる。即
ち、第7図の処理の繰返し時間をTとして、 ZTR(k)=ZTR(k−1)+T.e(k) …(26) により累積値ZTR(k)を求めるのである。以上の
ステツプ130,140が第3図の積分器〓2に
相当する。
続くステツプ150では、ステツプ110で読
み込んだ内気温度TR(k)から、空気調和装置の動
的なモデルを構築した際、線形近似が成立つ範囲
として取上げた定常的な空気調和装置の運転状態
のうちで最も近い状態(以下、これを定常点
TRa,VBa,VCa,VDaと呼ぶ)を求める処理
を行なう。ステツプ160では、ステツプ110
で読み込んで内気温度TR(k)について、ステツプ
150で定めた定常点からの摂部分δTR(k)を求
める処理を行なう。尚、この摂部分に関しては、
δTR(k−1)を初めとして、前回本制御ルーチ
ンが実行された際の値が保存させているものとす
る。このステツプ150,160の処理が第3図
の摂動分抽出部P3に相当する。
続くステツプ170では、現在の空気調和装置
の運転状態に対応したオブザーバ内のパラメータ
〓,〓,〓,〓や最適フイードバツクゲイン〓等
を選択する処理を行なう。
続くステツプ180、ステツプ190は状態推
定量〓^(k)を算出する処理であつて、式(12),(13)に
より[δTR(k) δTR(k) δTD(k)]Tが求められる。
即ち、オブザーバ内の変数〓(k)=[W1(k) W2(k)]
Tを用いて、ステツプ180では、W1(k),W2(k)
を、 W1(k)=P11・W1(k−1)+P12・W2(k−1) +M11・δVB(k−1)+M12・δVC(k−1)+M1
3・δVD(k−1)+M14・δTR(k−1) W2(k)=P21・W1(k−1)+P22・W22(k−1) +M21・δVB(k−1)+M22・δVC(k−1)+M2
3・δVD(k−1)+M24・δTR(k−1) として求め、続くステツプ190ではステツプ1
80の結果を用いて、状態推定量を δTR(k) =W1(k)+D1・δTR(k) δTC(k) =W2(k)+D2・δTR(k) δTD(k) =δTR(k)−δTB(k)−δTC(k) として求める処理が行なわれる。ここでステツプ
180で用いられたδVB(k−1),δVC(k−
1),δVD(k−1),δTR(k−1)等は、上述
したように、前回、本制御ルーチンが実行された
時の値である。また、状態推定量〓(k)のひとつで
あるδTD(k)、即ちエアミツクスダンパ9の開度
を制御するダンパアクチユエータ24駆動電圧の
摂部分δVD(k)によつて内気温度の摂部分δTR(k)
に影響を与える温度の摂動分δTD(k)を、δTR(k)
−δTB(k)−δTC(k)として求めているのは、内気
温度の摂部分TR(k)が測定されている(ステツプ
160)ことから、処理速度の向上を考慮して計
算の容易化を図つたものである。
続くステツプ200では、ステツプ180、ス
テツプ190の処理によつて求めた状態推位量〓
(k)=[δTB(k) δTC(k) δTD(k)]Tと、ステツプ1
40で求めておいた累積値ZTR(k)とから、最適
フイードバツクゲイン〓を用いて、ブロアモータ
3の駆動電圧の摂動分δVC(k)、コンプレツサ22
の駆動電圧の摂動分δVC(k)、ダンパアクチユエー
タ24の駆動電圧の摂動分δVD(k)を求める処理
が行なわれる。第7図ステツプ200に示した数
式をベクトル表現とすれば、 [δVB(k) δTC(k) δVD(k)]T =F・[δTB(k) δTC(k)δTD(k) ZTR(k)]T である。これが、第3図のフイードバツク量決定
部P5に相当する処理である。
続くステツプ210では、ステツプ200で求
めた各駆動電圧の摂動分δVB(k),δVC(k),δVD
(k)に定常点での値VBa,VCa,VDaを加えて、
実際の駆動電圧VB(k),VC(k),VD(k)を求める処
理が行なわれる。これが第3図の基準値加算部P
6に相当する処理である。
続くステツプ220ではステツプ210で求め
た各駆動電圧VB(k),VC(k),VD(k)を、出力ポー
ト38を介して、ブロアモータ3、コンプレツサ
22、ダンパアクチユエータ24の各々に出力す
る制御を行なう。ステツプ230ではサンプリン
グ・演算・制御の回数を示している添字Kの値を
1だけインクリメント(更新)し、ステツプ11
0へ戻つて、上述のステツプ110ないし230
の処理を再び繰返す。
以上のように構成された本制御ルーチンに依つ
て行なつた制御例について、第8図に従来の単純
なフイードバツク制御例と比較して示した。制御
例として、空気調和を行なつて内気温度が15℃に
て熱平衡にある状態から、車室内温度の目標温度
が20℃、即ち+5℃だけ変更されて、設定された
場合を取上げた。この目標温度の変更を第8図で
は一点鎖線Pで示したが、これに対する内気温度
の変化を内気温度センサ12の出力信号に基いて
プロツトしたのが実線G、破線Fである。実線G
は本実施例による内気温度の制御例を、破線Fは
従来の制御による制御例を、各々示している。第
8図から明白なように、本実施例によれば、従来
の制御より速い応答性(立ち上がり)を実現した
上で、オーバーシユート、アンダーシユートもほ
とんどなく、内気温度を目標温度にすることがで
きている。空気調和を行なつている系が安定する
時間で比較すれば、本実施例では、立ち上がりが
速いにもかかわらず1桁以上の改善を実現してい
ることがわかる。
これは、本実施例の制御では、熱平衡を予測し
た単純なフイードバツク制御に替えて、電子制御
回路20による制御装置を付加積分型最適レギユ
レータとして構成し、即ち制御対象である空気調
和を行なう系のモデルをシステム同定によつて実
験的に解析して、制御対象の状態、即ち未来への
影響を予測するために必要十分な系の過去のの履
歴に関する情報を推定し、これを用いて制御を行
なうよう構成したことによつている。
また、本実施例の自動車用空気調和装置におい
ては、車室内への吹出空気の温度及び風量を制御
する吹出空気制御手段としてのブロワモータ3、
コンプレツサ22、及びエアミツクスダンパ9の
駆動量、すなわち、ブロワモータ3、コンプレツ
サ22、及びダンパアクチユエータ24の駆動電
圧VB,VC,VDを制御入力とし、これらの摂動
分δVB,δVC,δVDと、制御出力となる車室内
温度TRの摂動分δTRとから、オブザーバを用い
て制御系の状態変数量を推定して、上記各駆動電
圧VB,VC,VDを決定するため、これら各駆動
電圧(つまり制御入力)を最適に制御できる。つ
まり、例えば、車室内温度を同じ温度に制御する
際にも、エアミツクスダンパの開度とエバポレー
タでの冷却効果との兼ね合いを考慮して制御する
ことができる。
従つて、制御を実行するに当たつて無駄なエネ
ルギを消費することがなく、空気調和装置の動力
源である内燃機関の負担、延いては内燃機関の燃
料消費量を、最少にすることができる。
また更に、本実施例の自動車用空気調和装置は
内気温度を制御する電子制御回路20におけるフ
イードバツクゲインの設計が極めて論理的になさ
れ、これを最適に定めている。従つて、従来の制
御装置のように設計者の経験等に基づいて設計
し、必要に応じて実際に調整を行ない、適切と思
われるフイードバツクゲインを設定してゆくとい
つた手間を必要とせる、設計・開発工数やコスト
を低減することができる。
以上本発明の一実施例について説明したが、本
発明はこの実施例に何等限定されるものではな
く、リヒートタイプの空気調和装置に適用した
り、状態変数〓(k)として他の変数を用いるなど、
本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の
態様で実施しえることは勿論である。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の自動車用空気調
和装置においては、制御入力である吹出空気の温
度と風量とを含む諸量の制御量(制御パラメー
タ)と、制御出力である内気温度とにより、当該
空気調和装置の制御系の動的な内部状態の状態変
数量を推定し、この推定された状態変数量と、内
気温度と目標温度との偏差の累積値と、予め設定
されたフイードバツクゲインとに基づき、制御パ
ラメータを演算する。
すなわち、従来のPID制御によるフイードバツ
ク制御では、実際の出力値である内気温度と目標
温度との差だけで制御パラメータを決定している
が、本発明では、更に、制御系の動的な内部状態
の過去の影響度を考慮した制御系の未来の影響を
予測する情報を含んだ状態変数量を用いて、制御
パラメータを演算している。このため、本発明に
よれば、内気温度を制御する動的なモデルが制御
入力である制御パラメータにしたがつてどう振舞
うかという制御系の動的なモデルを明かにしつ
つ、制御パラメータを決定することができ、制御
系の動的なモデルの動特性に基づいた制御が可能
となる。従つて、本発明によれば、従来のものと
比べて著しく応答性が良く、また、安定性のよい
制御をすることができるという優れた効果を持
つ。
特に、自動車用空気調和装置においては、日射
量や車速、走行場所の変化により熱負荷が急激に
変化して、これらの外乱要素の影響を受け易い環
境にあるため、内気温度を目標温度に制御する
際、PID制御により制御パラメータを決定する従
来装置では、応答遅れを起こしたり、外乱の変化
によりハンチングを起こしたりするが、本発明の
自動車用空気調和装置によれば、上記のように、
制御系の未来の影響を予測する情報を含んだ状態
変化量を用いて制御パラメータを決定するため、
日射量や車速、走行場所の変化により熱負荷が急
激に変化したときにも応答遅れやハンチングのな
い応答性及び安定性に優れた制御ができる。
また更に、従来のPID制御による自動車用空気
調和装置では、1入力1出力の制御しかできない
ため、本発明のように多数の制御入力が存在する
場合には、各制御入力間の相互緩衝を取り除き、
各制御入力と制御出力との間に完全に1対1の対
応をつけ、複数の1入力1出力の制御の集合とし
て制御するしかない。従つて、制御入力相互間の
干渉を考慮せずに各々独立して制御することしか
できない。
しかしながら、本発明の構成では、制御入力で
ある制御パラメータを複数個とすることができ、
この複数個の制御パラメータ全てに基づいて状態
変数量を推定することができるので、各制御入力
の相互関係を考慮した制御を行なうことができ
る。従つて、すべての制御入力の干渉を考慮した
制御が可能であるという優れた効果を有する。
また、このように制御入力の干渉を考慮した制
御が可能であるため、自動車用空気調和装置の動
力源に対する負担を最小にすることができ、内燃
機関を動力源とする場合には空気調和装置を作動
させた時の燃費を向上させるといつた効果が得ら
れる。また、空気調和装置の設計・開発工数を低
減することができるという副次的な効果も得られ
ている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成図、第2図は本発
明一実施例としての自動車用空気調和装置の概略
構成図、第3図は実施例における空気調和を行な
う系の制御系統図、第4図は実施例の系のモデル
を同定するのに用いたブロツク線図、第5図は伝
達関数を求める為のシグナルフロー線図、第6図
は最小次元オブザーバの構成を示すブロツク線
図、第7図は実施例における付加積分型最適レギ
ユレータとしての制御を示すフローチヤート、第
8図は実施例の制御特性と従来の制御の一例とを
比較するグラフ、である。 1…空調ユニツト、3…ブロアモータ、5…エ
バポレータ、7…ヒータコア、10…乗員室、1
2…内気温度センサ、14…温度設定器、20…
電子制御回路、22…コンプレツサ、24…ダン
パアクチユエータ、30…CPU、32…ROM。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 車室内への吹出空気のすくなくとも温度と風
    量とを含む諸量を制御する吹出空気制御手段と、 前記車室内の温度を検出する内気温度検出手段
    と、 該検出された内気温度が設定された目標温度と
    なるよう前記吹出空気制御手段をフイードバツク
    制御する空調制御手段と、 を備えた自動車用空気調和装置において、 前記空調制御手段が、 当該自動車用空気調和装置の空気調和に関する
    系の動的なモデルに基づいて予め設定されたパラ
    メータを用いて、前記吹出空気の諸量と前記車室
    内の温度とから、前記系の動的な内部状態を表す
    適当な次数の状態変数量を推定する状態観測部
    と、 前記設定された目標温度と前記検出された車室
    内の温度との偏差を累積する累積部と、 前記系の動的なモデルに基づいて予め設定され
    たフイードバツクゲインと前記推定された状態変
    数量と前記累積値とから、前記吹出空気制御手段
    によつて制御される諸量の各制御量を決定するフ
    イードバツク量決定部と、 を備えた付加積分型最適レギユレータとして構成
    されたことを特徴とする自動車用空気調和装置。 2 吹出空気制御手段によつて制御される吹出空
    気の諸量が、すくなくとも、吹出空気の送風を行
    なうブロアモータの送風量と、該ブロアモータに
    よつて、送風される空気を一旦冷却する冷却能力
    と、該送風される空気を再度加熱して吹出空気の
    温度を所定の温度とするアクチユエータの制御量
    と、を含んでなる特許請求の範囲第1項記載の自
    動車用空気調和装置。
JP60064581A 1984-02-10 1985-03-27 自動車用空気調和装置 Granted JPS61220908A (ja)

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