JPH0649412B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents

自動車用空気調和装置

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JPH0649412B2
JPH0649412B2 JP60270292A JP27029285A JPH0649412B2 JP H0649412 B2 JPH0649412 B2 JP H0649412B2 JP 60270292 A JP60270292 A JP 60270292A JP 27029285 A JP27029285 A JP 27029285A JP H0649412 B2 JPH0649412 B2 JP H0649412B2
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克雅 松井
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60HARRANGEMENTS OF HEATING, COOLING, VENTILATING OR OTHER AIR-TREATING DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR PASSENGER OR GOODS SPACES OF VEHICLES
    • B60H1/00Heating, cooling or ventilating [HVAC] devices
    • B60H1/00642Control systems or circuits; Control members or indication devices for heating, cooling or ventilating devices
    • B60H1/00735Control systems or circuits characterised by their input, i.e. by the detection, measurement or calculation of particular conditions, e.g. signal treatment, dynamic models

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は自動車用空気調和装置に関し、詳しくは自動車
用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて、車室
内温度を設定された目標温度とするフィードバック制御
を行なうに際し、目標温度が制御可能な温度範囲の境界
値付近に設定された場合にも有効な制御を行なう自動車
用空気調和装置に関する。
[従来の技術] 従来より乗員にとっての車室内の環境を快適なものとす
る為に、車室内温度,湿度,清浄度等を制御する空気調
和装置が用いられているが、この内、主に車室内温度を
コントロールするものが広く普及している。こうした自
動車用空気調和装置では、吹出空気の温度を低温から高
温まで幅広く制御する為に、送風通路の上流に冷却器
(エバポレータ等)を配設し、一旦、送風される空気を
冷却した上で、更に加熱器(ヒータコア等)によって加
熱し、吹出空気を設定された目標温度に調節しているの
である。こうした送風・冷却・加熱を行なう一連の装置
を、空調ユニットと呼ぶ。近年、広く用いられている自
動車用空気調和装置の空調ユニットとしては、加熱器に
供給する熱量を可変するリヒートタイプと加熱器を通過
する空気の割合を可変するエアミックスタイプとがあ
る。
いずれにせよ、これらの自動車用空気調和装置では車室
内の温度は吹出空気の持つ熱量、即ち吹出空気の流量と
温度とによって制御されている。吹出空気の流量はブロ
アモータ等の送風能力によって定まり、一方その温度は
冷却器(エバポレータ)の冷却能力、更に換言すればコ
ンプレッサ等を含めた冷却系の能力と加熱器による加熱
能力、即ちリヒートタイプにあっては温水の循環量、エ
アミックスタイプにあってはエアミックスダンパのダン
パ開度によって定まる。
空気調和を開始すると、空気調和装置は車室内温度を検
出して、設定された目標温度との偏差に基づき、吹出空
気の温度や流量などをフィードバック制御する。従っ
て、吹出空気の熱量の調節により、車室内温度は次第に
設定された目標温度に近づいてゆく。
こうした制御については特開昭55−47914号公報
や特開昭55−77659号公報等に開示されている。
[発明が解決しようとする問題点] 上述した従来装置は、車室内温度が目標温度に接近し維
持されるように、車室内温度と目標温度との偏差に基づ
くフィードバック制御を基本とし、更には外気温度や日
射量を考慮して予め設定した熱的平行条件を満足するよ
うに制御量を設定した予測制御を採用したものである。
又、送風量としては、上記の温度の偏差が大きい時には
送風量を大きくし、偏差が小さくなる程送風量を小さく
するような単純な制御が行なわれているにすぎなかっ
た。
従って、目標温度を変化させた時の過渡的応答性が必ず
しも充分になるとは限らず、設定された目標温度やその
時点での車室内温度、あるいは空調ユニットの能力等に
よっては過渡的応答性が不充分な場合があり、乗員に対
する快適な環境の維持が困難になる場合があるという問
題があった。
また、空調ユニットの能力は、送風量,冷却器の冷却能
力,加熱器による加熱能力等の組み合わせで決まるが、
これらをどう組み合わせることが車室内温度の最適な制
御となるかは判然としておらず、従来は、設計者の経験
等に基づいて、上述した送風量の制御の如く単純な組合
わせにより定められていたにすぎない。従って空調ユニ
ットの能力を十二分に引き出すことが必ずしもなされて
いなかった。
さらに、空調ユニットによる車室内温度の制御可能範囲
の境界値付近に目標温度が設定された場合、通常の場合
と同様に目標温度と車室内温度との過去からの偏差を考
慮した制御を継続すると、車室内温度の目標温度からの
オーバーシュート等が発生し、制御の追従性が低下する
という問題点もあった。
第1および第2の発明は、目標温度が制御可能温度範囲
の境界値付近に設定された場合でも、追従性を良好に保
ち、空調ユニットの制御を好適に行なう自動車用空気調
和装置の提供を目的とする。
発明の構成 [問題点を解決するための手段] 第1発明は上記問題を解決するために第1図に例示する
構成をとった。すなわち、第1発明は第1図に例示する
ように、 車室内への吹出空気の少なくとも温度を含む諸量を外部
からの制御量に従って調節する空調手段M1と、 上記車室内の目標温度を設定する温度設定手段M2と、 上記車室内の車室内温度を検出する温度検出手段M3
と、 自動車用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて
予め定められた最適フィードバックゲインを使用して、
上記車室内温度が上記目標温度となるように上記空調手
段M1をフィードバック制御する付加積分型最適レギュ
レータである制御手段M4と、 を具備した自動車用空気調和装置であって、 さらに、上記空調手段M1への制御量が所定範囲内にあ
るか否かを判定する制御量判定手段M5と、 上記車室内温度が目標温度近接条件に該当するか否かを
判定する温度判定手段M6と、 を有し、 しかも、上記制御手段M4が、 上記動的なモデルに基づいて予め設定されたパラメータ
を用いて、上記空調手段M1への制御量と上記車室内温
度とから、上記系の動的な内部状態を表わす状態変数を
推定する状態観測部M7と、 上記目標温度と上記車室内温度との偏差および上記最適
フィードバックゲインの上記偏差に関する要素から、上
記空調手段M1への制御量に関与する第1のフィードバ
ック量を算出すると共に該第1のフィードバック量を累
積する第1のフィードバック量算出部M8と、 上記状態変数と上記最適フィードバックゲインの上記状
態変数に関する要素とから算出した第2のフィードバッ
ク量および上記累積された第1のフィードバック量の和
を制御量として上記空調手段M1に出力するフィードバ
ック制御量算出部M9と、 上記制御量判定手段M5により制御量が所定範囲内にな
いと判定され、かつ、上記温度判定手段M6により車室
内温度が目標温度近接条件に該当すると判定された場合
に、上記所定範囲の境界値が上記制御量となるように上
記累積された第1のフィードバック量を変更する第1の
フィードバック量変更部M10と、 を備えたことを特徴とする自動車用空気調和装置を要旨
とするものである。
また第2発明は上記問題を解決するために第2図に例示
する構成をとった。すなわち、第2発明は第2図に例示
するように、 車室内への吹出空気の少なくとも温度を含む諸量を外部
からの制御量に従って調節する空調手段M11と、 上記車室内の目標温度を設定する温度設定手段M12
と、 上記車室内の車室内温度を検出する温度検出手段M13
と、 自動車用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて
予め定められた最適フィードバックゲインを使用して、
上記車室内温度が上記目標温度となるように上記空調手
段M11をフィードバック制御する付加積分型最適レギ
ュレータである制御手段M14と、 を具備した自動車用空気調和装置であって、 さらに、上記空調手段M11への制御量が所定範囲内に
あるか否かを判定する制御量判定手段M15と、 上記車室内温度が目標温度近接条件に該当するか否かを
判定する温度判定手段M16と、 を有し、 しかも、上記制御手段M14が、 上記動的なモデルに基づいて予め設定されたパラメータ
を用いて、上記空調手段M11への制御量と上記車室内
温度とから、上記系の動的な内部状態を表わす状態変数
を推定する状態観測部M17と、 上記目標温度と上記車室内温度との偏差および上記最適
フィードバックゲインの上記偏差に関する要素から、上
記空調手段M11への制御量に関与する第1のフィード
バック量を算出すると共に該第1のフィードバック量を
累積する第1のフィードバック量算出部M18と、 上記状態変数と上記最適フィードバックゲインの上記状
態変数に関する要素とから算出した第2のフィードバッ
ク量および上記累積された第1のフィードバック量の和
を制御量として上記空調手段M11に出力するフィード
バック制御量算出部M19と、 上記制御量判定手段M15により制御量が所定範囲内に
ないと判定された時から、上記温度判定手段M16によ
り車室内温度が目標温度近接条件に該当すると判定され
る時まで、上記第1のフィードバック量の累積を中断す
る累積停止部M20と、 を備えたことを特徴とする自動車用空気調和装置を要旨
とするものである。
空調手段M1(M11)とは[従来の技術]の項で述べ
た空調ユニットにほぼ相当し、すくなくとも吹出空気の
温度を調節する手段から構成されている。例えば、吹出
空気の諸量のひとつとして流量をとれば、その回転数や
絞りの開度等によって送風量を制御するブロアモータや
シロッコファン等であり、吹出空気の温度を考えれば、
冷却器、例えばエバポレータの冷却能力を制御するアク
チュエータやエアミックスダンパの開度あるいは加熱器
(ヒータコア)に供給される熱量を制御するアクチュエ
ータ等がある。冷却器の能力を制御するアクチュエータ
としては、コンプレッサの容量を変化させてその能力を
可変するものや、冷媒の流量を制御するアクチュエータ
等がある。
温度設定手段M2(M12)とは、車室内の目標温度を
設定するものである。例えば、運転者により操作される
温度設定器のようなものであってもよい。また、例え
ば、車室外気温との偏差等に基づいて所定の目標温度を
設定するものであってもよい。
温度検出手段M3(M13)とは、車室内温度を検出す
るものである。例えば、サーミスタ温度センサ等を用い
てもよい。また例えば、さらに応答性の良好な熱電対等
から構成することもできる。
制御量判定手段M5(M15)とは、空調手段M1への
制御量が所定範囲内にあるか否かを判定するものであ
る。例えばブロアモータ、コンプレッサ、エアミックス
ダンパ等に印加される駆動電圧を、上記各機器の正常に
作動する所定電圧の上限値または下限値と比較して結果
を出力するよう構成することができる。
温度判定手段M6(M16)とは、車室内温度が目標温
度近接条件に該当するか否かを判定するものである。例
えば、車室内温度が目標温度から所定温度範囲内に接近
した時に目標温度近接条件に該当すると判定するもので
あってもよい。また例えば、車室内温度と目標温度とが
一致した時に目標温度近接条件に該当すると判定するよ
う構成してもよい。さらに例えば、車室内温度の目標温
度に接近する過程における変化率が所定上限値から所定
下限値の範囲内となった時に目標温度近接条件に該当す
ると判定するよう構成することもできる。
上記制御量判定手段M5(M15)と温度判定手段M6
(M16)とは、例えば各々独立したディスクリートな
論理回路として実現することができる。また、例えば周
知のCPUを始め、ROM,RAMおよびその他の周辺
回路素子を備え、予め定められた処理手順に従って上記
両手段を実現するものであってもよい。
制御手段M4(M14)とは、状態観測部M7(M1
7)と第1フィードバック量算出部M8(M18)とフ
ィードバック制御量算出部M9(M19)とを備え、車
室内温度を目標温度とするフィードバック制御を行なう
付加積分型最適レギュレータである。制御手段M4(M
14)は、通常マイクロプロセッサを用いROM,RA
M等の周辺素子や入出力回路と共に構成された論理演算
回路として実現され、予め記憶された処理手順に従っ
て、温度設定手段M2(M12)により設定された目標
温度と温度検出手段M3(M13)によって検出された
車室内温度とから、空調手段M1(M11)を、自動車
用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて予め定
められた最適フィードバックゲインから定まる制御量に
より制御するよう構成されている。
ところで、上記のような付加積分最適レギュレータの構
成の手法は、例えば古田勝久著「線形システム制御理
論」(昭和51年)昭晃堂等に詳しいが、ここで実際の
構成の手法について一通の見通しを与えることにする。
尚、以下の説明において はベクトル量(行列)を示し、 の如き添字は行列の転置を、 の如き添字-1は逆行列を、更に の如き添字 はそれが推定値であることを、 の如き記号 は制御対象の系から変換等により生成された別の系、こ
こでは状態観測器(以下、オブザーバと呼ぶ)で扱われ
ている量であることを、yの如き記号は目標値であ
ることを、各々示している。
制御対象、ここでは車室内温度に関する系の制御におい
て、この制御対象の動的な振舞は、離散系において、 として記述されることが現代制御理論より知られてい
る。ここで式(1)は状態方程式,式(2)は出力方程
式と呼ばれ、 はこの系の内部状態を表わす状態変数量であり、 は空調手段M1(M11)によって調節される吹出空気
の諸量の制御量からなるベクトル、 はこの系の出力を示す諸量からなるベクトルである。
尚、本第1および第2発明の扱う自動車用空気調和を行
なう系では、この出力ベクトル は車室内温度のみなので、以下、スカラ量y(k)とし
て扱うことにする。又、式(1),(2)は離散系で記
述されており、添字kは現時点での値であることを、k-
1は1回前のサンプリング時点での値であることを、各
々示している。
自動車用空気調和、ここでは車室内温度の制御を行なう
系の内部状態を示す状態変数量 は、その制御系における未来への影響を予測するために
必要十分な系の履歴に関する情報を示している。従っ
て、空調手段M1(M11)によって空気調和の行なわ
れる車室内の温度(車室内温度)が吹出空気の諸量によ
りどう振舞うかという系の動的なモデルが明らかにな
り、式(1),(2)のベクトル を定めることができれば、状態変数量 を用いて車室内温度を最適に制御できることになる。な
お、本発明の制御手段M4(M14)は、目標値が常に
一定である系を対象とした単なるレギュレータではな
く、目標値が常時変化するサーボ系を対象とするため、
系を拡大する必要があるが、これについては後述する。
ところが、自動車用空気調和のように複雑な対象につい
てはその動的なモデルを理論的に正確に求めることは困
難であり、何らかの形で実験的に定めることが必要とな
る。これが所謂システム同定と呼ばれるモデル構築の手
法であって、自動車用空気調和装置が所定の状態で運転
されている場合、その状態の近傍では線形の近似が成立
つとして、式(1),(2)の状態および出力の両方程
式に則ってモデルを構築するのである。従って、この例
のようにその運転に関する動的なモデルが非線形のよう
な場合にも、定常的な複数の運転状態に分離することに
よって線形な近似を行なうことができ、個々の動的なモ
デルを定めることができるのである。この場合、制御量
および車室内温度に関しては、線形近似を行なった場合
の定常点における各基準設定値からの摂動分を抽出し、
該摂動分を使用して諸量の算出を行ない、該算出値を上
記各基準設定値に加えて制御量とする処理が必要とな
る。
ここで、制御対象が比較的容易に物理的なモデルを構築
できるのものであれば周波数応答法やスペクトル解析法
といった手法によりシステム同定を行なって、動的な系
のモデル(ここではベクトル を定めることができるが、ここで取り上げた自動車用空
気調和を行なう系のような多次元系の制御対象では、あ
る程度近似のよい物理モデルをつくることも困難であ
り、この場合には最小2乗法や補助変数法あるいはオン
ライン同定法などにより動的なモデルの構築を行なう。
動的なモデルが定まれば、状態変数量 と車室内温度y(k)及びその目標温度y(k)から
フィードバック量が定まり吹出空気の諸量の制御量 が理論的に最適に定められる。
通常、自動車用空気調和装置においては、車室内温度の
制御に直接関与する諸量として、例えばブロアモータに
よる送風量が車室内温度に影響する量、即ち送風量の車
室内温度に寄与する量を温度換算したものとか、エアミ
ックスダンパ開度が車室内温度に影響する量などを用
い、これを状態変数量 として扱えばよいのであるが、これらの諸量の大部分は
直接観測することができない。そこで、こうした場合に
は、制御手段M4(M14)内に状態観測器(オブザー
バ)と呼ばれる部分(状態観測部M7(M17))を構
成し、車室内温度と吹出空気の諸量の制御量とを用い
て、この自動車用空気調和を行なう系の状態変数量 を推定することができる。これが所謂、現代制御理論に
おけるオブザーバであり、種々のオブザーバとその設計
法が知られている。これらは、例えば古田勝久他著「メ
カニカルシステム制御」(昭和59年)オーム社等に詳
解されており、適応する制御対象、ここでは自動車用空
気調和装置の態様に合わせて最小次元オブザーバや有限
整定オブザーバとして設計すればよい。
また、制御手段M4(M14)の制御対象となる系は、
目標温度が温度設定手段M2(M12)によりステップ
的に変化するサーボ系である。すなわち、目標温度は例
えば運転者の操作やオートエアコン等の要求により変化
する。一般にサーボ系の制御においては、制御対象の出
力が与えられた目標入力に定常偏差なく追従するように
制御する必要がある。このため、伝達関数において適当
な次数の積分を含む必要がある。本第1および第2発明
においてはステップ的に目標温度が変化する場合を想定
しているので、一次の積分を考慮すればよい。そこで、
制御手段M4(M14)は、目標温度と車室内温度との
偏差および予め定められた最適フィードバックゲインの
上記偏差に関する要素から、空調手段M1(M11)へ
の制御量に関与する第1の各フィードバック量を算出す
ると共に該第1のフィードバック量を累積する第1のフ
ィードバック量算出部M8(M18)を備え、対象とす
る制御系をサーボ系に拡大している。
さらに、制御手段M4(M14)は、上記累積された第
1のフィードバック量および上述した状態変数と最適フ
ィードバックゲインの上記状態変数に関する要素とから
算出した第2のフィードバック量の和を制御量として空
調手段M1(M11)に出力するフィードバック制御量
算出部M9(M19)を有し、付加積分型最適レギュレ
ータとして制御量を決定する。
次に、最適フィードバックゲインについて説明する。上
記の如く積分量を付加した最適レギュレータでは、評価
関数Jを最小とするような制御入力(ここでは自動車用
空気調和を行なう系の吹出空気の諸量の制御量)の求め
方が明らかにされており、最適フィードバックゲインも
リカッチ方程式の解と状態方程式(1),出力方程式
(2)の マトリックス及び評価関数に用いられる重みパラメータ
行列とから求められることがわかっている(前掲書
他)。ここで重みパラメータは当初任意に与えられるも
のであって、評価関数Jが自動車用空気調和を行なう系
の吹出空気の諸量の挙動を制約する重みを変更するもの
である。重みパラメータを任意を与えて大型コンピュー
タによるシミュレーションを行ない、得られた吹出空気
の諸量の挙動から重みパラメータを所定量変更してシミ
ュレーションを繰り返し、最適な値を決定しておくこと
ができる。その結果最適フィードバックゲイン も定められる。
従って、制御手段M4(M14)は、予めシステム同定
等により決定された自動車用空気調和を行なう系の動的
モデルを用いて付加積分型最適レギュレータとして構成
され、その内部におけるオブザーバのパラメータや最適
フィードバックゲイン などは、全て、予めシミュレーションにより決定されて
いるのである。
尚、以上の説明において状態変数量 は自動車用空気調和を行なう系の内部状態を表わす量と
して説明したが、これは実際の物理量に対応した変数
量、例えばブロアモータの回転速度やエアミックスダン
パの開度等であってもよいし、既述したような車室内温
度に直接関与する量として換算された諸量よりなるベク
トル量として設計することもできる。
さらに、第1発明における制御手段M4は、第1のフィ
ードバック量変更部M10を備える。該第1のフィード
バック量変更部M10とは、制御量判定手段M5により
制御量が所定範囲にないと判定され、かつ、温度判定手
段M6により車室内温度が目標温度近接条件に該当する
と判定された場合には、上記所定範囲の境界値が制御量
となるように第1のフィードバック量を変更するもので
ある。例えば、第1のフィードバック量を第2のフィー
ドバック量と値が等しく符号が逆の量および上記境界値
に対応する量の和に変更するよう構成してもよい。
また、第2発明における制御手段M14は、累積停止部
M20を備える。該累積停止部M20とは、制御量判定
手段M15により制御量が所定範囲にないと判定された
時から、温度判定手段M16により車室内温度が目標温
度近接条件に該当すると判定される時まで、既述した第
1のフィードバック量算出部M18における第1のフィ
ードバック量の累積を中断するものである。例えば、前
回算出された第1のフィードバック量をそのまま次回の
第1のフィードバック量に設定するよう構成してもよ
い。
[作用] 第1および第2発明の自動車用空気調和装置は、第1図
または第2図に例示するように、温度検出手段M3(M
13)により検出された車室内温度が温度設定手段M2
(M12)により設定され目標温度となるように、状態
観測部M7(M17)は状態変数を推定し、第1のフィ
ードバック量算出部M8(M18)は上記両温度の偏差
と最適フィードバックゲインとから第1のフィードバッ
ク量を算出すると共に累積し、フィードバック制御量算
出部M9(M19)は該累積された第1のフィードバッ
ク量および上記状態変数と最適フィードバックゲインと
から定まる第2のフィードバック量の和を制御量として
出力し、制御手段M4(M14)は空調手段M1(M1
1)の制御を行なう。
上記制御に際して、第1発明の自動車用空気調和装置
は、第1図に例示するように、制御量が所定範囲にない
と制御量判定手段M5により判定され、かつ、車室内温
度が目標温度近接条件に該当すると温度判定手段M6に
より判定された場合には、所定範囲の境界値が制御量と
なるように上記累積された第1のフィードバック量を、
制御手段M4の第1のフィードバック量変更部M10が
変更するよう働く。
また、上述の制御に際して、第2発明の自動車用空気調
和装置は、第2図に例示するように、制御量が所定範囲
にないと制御量判定手段M15により判定された時か
ら、車室内温度が目標温度近接条件に該当すると温度判
定手段M16により判定されるまで、第1のフィードバ
ック量の累積を制御手段M4の累積停止部M20が中断
するよう働く。
従って第1発明および第2発明の自動車用空気調和装置
は、目標温度の制御が可能な範囲の境界値付近に設定さ
れた場合でも、車室内温度を最適に追従させるよう働
く。以上のように第1および第2発明の各構成要素が作
用することにより、両発明の技術的課題が解決される。
[実施例] 次に、第1発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。第3図は第1発明一実施例における自動車用空気
調和装置のシステム構成図、第4図は自動車用空気調和
を行なう系の制御モデルを示す制御系統図、第5図はシ
ステム同定の説明に用いるブロック線図、第6図は同じ
くそのシグナルフロー線図、第7図はオブザーバの構成
を示すブロック線図、第8図(A),(B)は第1発明
一実施例において電子制御回路により実行される車室内
温度制御処理を示すフローチャートであって以下この順
に説明する。
第3図において、空調ユニット1はブロアモータ3,エ
バポレータ5,ヒータコア7,エアミックスダンパ9等
を中心にエアミックスタイプとして構成されている。乗
員室10には車室内温度TRを検出する車室内温度セン
サ12,温度設定器14等が配設されている。空調ユニ
ット1は電子制御回路20により制御されている。
空調ユニット1では、ブロアモータ3によって内外気切
換ダンパ21を介して吸入された空気は、エバポレータ
5を通過することによって、一旦冷却された後、その一
部はヒータコア7を通って再び加熱され、ヒータコア7
を通過しないと空気と混合されて乗員室10内へ吹き出
される。ヒータコア7を通過する空気と通過しない空気
との比はエアミックスダンパ9の開度によって制御され
る。エバポレータ5は、コンプレッサ22と冷媒を循環
する管路等を備え、電子制御回路20によってコンプレ
ッサ22の能力を制御することにより、その冷却能力の
コントロールが行なわれる構成となっている。図示しな
い車載のエンジンを動力源とするコンプレッサ22の能
力の制御は、コンプレッサ22に内蔵され、コンプレッ
サ22の高圧室と低圧室とを連通する通路の開口面積を
制御するアクチュエータ(図示せず)による冷媒流量の
変更によって行なわれる。電子制御回路20はこのアク
チュエータの駆動電圧を制御して冷却能力を制御するの
であるが、以下、内蔵アクチュエータの駆動電圧を、単
にコンプレッサ22の駆動信号(駆動電圧)と呼ぶこと
にする。
ヒータコア7は図示しないエンジンの冷却水(温水)が
循環するように構成されており、エンジンの暖機が終了
した時点では一定の熱量がヒータコア7に供給されるこ
とになる。更に、エアミックスダンパ9はダンパアクチ
ュエータ24によってそのダンパ開度が制御される構成
となっている。
電子制御回路20は周知のCPU30,ROM32,R
AM34等を中心に、入力ポート36,出力ポート38
等をコモンバス40で相互に接続し、論理演算回路とし
て構成されている。入力ポート36は、車室内温度セン
サ12から車室内温度TRを、温度設定器14から目標
温度TRを、各量に対応した電気信号として入力す
る。出力ポート38は、ブロアモータ3を駆動する駆動
信号VB、コンプレッサ22の駆動信号VC、ダンパア
クチュエータ24の駆動信号VD、等を各々出力する。
電子制御回路20は、ROM32内に予め記憶されたプ
ログラムに従って温度設定器14や車室内温度センサ1
2等から入力された信号(TR,TR等)に基づき、
ブロモータ3,コンプレッサ22,ダンパアクチュエー
タ24等を駆動信号(VB,VC,VD等)によりフィ
ードバック制御するが、この時、フィードバック制御に
用いられる制御モデルについて、次に説明する。特にシ
ステム同定による状態方程式(1),出力方程式(2)
等におけるベクトル の求め方やこれに基くオブザーバの設計、フィードバッ
クゲイン の求め方、等について実際に即して説明する。尚、第4
図は制御系を示す図であって、ハード的な構成を示すも
のではない。第4図に示す制御系は、実際には第8図
(A),(B)のフローチャートに示した一連のプログ
ラムの実行により離散系として実現されている。
第4図に示すように、まず目標温度TRは目標温度設
定部P1によって設定される。本実施例では温度設定器
14が目標温度設定部P1に相当する。
積分器P2は、目標温度TRと車室内温度TRとの偏
差に、後述する最適フィードバックゲイン の該偏差に対応する各要素F14,F24,F34を掛けた値
を累積して、第1のフィードバック量である偏差累積値
ZTRB(k),ZTRC(k),ZTRD(k)を算
出するものである。
摂動分抽出部P3は、車室内温度TRについて、定常的
な空気調和が行なわれている状態での車室内温度TRa
からの摂動分を抽出する。これは、既述したように、非
線形なモデルに対して線形の近似を行なう為に、自動車
用空気調和装置による空気調和の状態を、複数の定常的
な空調状態の近傍で線形な近似の成立する範囲の連続と
みなしてこの系に関する動的なモデルを構築したことに
よっている。従って、車室内温度TRを、一旦、予め定
めた最も近い定常状態からの摂動分δTR(=TR−T
Ra)として扱うのである。上記積分器P2とオブザー
バP4とフィードバック量決定部P5とによって求めら
れる空調ユニット1の制御量、即ち吹出空気の諸量を定
めるブロアモータ3の駆動電圧VB,コンプレッサ22
の駆動電圧VC,エアミックスダンパ9の開度を決定す
るダンパアクチュエータ24の駆動電圧VDも摂動分δ
VB,δVC,δVDとして扱われている。
オブザーバP4は、車室内温度の摂動分δTRと上記制
御量の摂動分δVB,δVC,δVDとから空調ユニッ
ト1の内部状態を表現する状態変数量 を推定して状態推定量 を求めるものである。
フィードバック量決定部P5は、上記状態推定量 に、後述する最適フィードバックゲイン の該状態推定量 に関する要素を掛けて算出した第2のフィードバック量
と、上記積分器P2により算出された第1のフィードバ
ック量である偏差累積値とを加算して、制御量の摂動分
δVB(k),δVC(k),δVD(k)を算出する
のである。
上記フィードバック量決定部P5で算出された制御量の
摂動分δVB(k),δVC(k),δVD(k)は、
上記摂動分抽出部P3により選択された空気調和装置の
定常的な運転状態に対応した制御量からの摂動分であ
る。このため、基準設定値加算部P6は、上記定常的な
運転状態に対応した基準設定値VBa,VCa,VDa
を上記摂動分δVB(k),δVC(k),δVD
(k)に加算し、空調ユニット1の制御量VB,VC,
VDを算出するのである。
飽和判定部P7は、制御量(本実施例では、ブロアモー
タ3の駆動電圧VB)が、最大値VBmaxと最小値VBm
inとで定められた所定範囲内にあるか否かを判定する。
この最大値VBmaxとは、それ以上の駆動電圧VBを印
加してもブロアモータ3の送風量が増大しない上限値で
あり、一方、最小値VBminとは、それ以下の駆動電圧
VBを印加してもブロアモータ3の送風量が減少しない
下限値であって、いずれも予め定められている値であ
る。
上記飽和判定部P7によりフィードバック量決定部P5
で算出された制御量VBが所定範囲内にないと判定さ
れ、かつ、目標温度TRと車室内温度TRとの偏差e
(k)が基準値Tx以下となった時には、積分器P2に
おいて算出される第1のフィードバック量としての偏差
累積値ZTRB(k)が、フィードバック量決定部P5
で算出される第2のフィードバック量と値が等しく符号
が逆の量および上記最大値VBmaxまたは最小値VBmin
に対応する最大摂動分δVBmaxまたは最小摂動分δV
Bminの和に変更される。このため、上記のような場合
には、フィードバック量決定部P5の出力する制御量
は、最大摂動分δVBmaxまたは最小摂動分δVBminと
なり、基準設定値加算部P6から空調ユニット1には、
最大値VBmaxまたは最小値VBminが出力されるのであ
る。
以上、簡単にこの制御系の構成について説明したが、空
調ユニット1の制御量として、ブロアモータ3の駆動電
圧VB,コンプレッサ22の駆動電圧VC,ダンパアク
チュエータ24の駆動電圧VDを実施例として取上げた
のは、これらの諸量がエアミッスクタイプの空調ユニッ
ト1を有する自動車用空気調和装置では、車室内温度T
Rの制御に関する基本的な量であることによっている。
従って本実施例では、空調ユニット1を3入力1出力の
多次元系として捕えた。自動車用空気調和装置がリヒー
トタイプであれば、ヒータコアに循環する温水の流量を
可変するウォータバルブの開度を制御量のひとつに置換
するなど、必要に応じて他の多次元系の制御モデルをた
てればよい。
以上、自動車用空気調和装置のハード的な構成とこの出
力の制御を行なうものとして3入力1出力の系を取り上
げた場合の制御系の構成について説明した。そこで、次
に実際のシステム同定による動的モデルの構築,オブザ
ーバP4の設計,最適フィードバックゲイン の与え方について説明する。
まず自動車用空気調和装置の動的なモデルを構築する。
第5図は3入力1出力の系として定常運転されている空
気調和装置の系を伝達関数G1(z)〜G3(z)によ
り書き表わした図である。尚、zは入出力信号のサンプ
ル値のz変換を示し、G1(z)〜G3(z)は適当な
次数をもつものとする。従って、全体の伝達関数行列 は、 で表わされる。ここで伝達関数行列 は、一定周期のサンプル値系のある基準動作点近辺で求
められ、線形近似されたものである。
本実施例の自動車用空気調和装置のように、その制御系
が3入力1出力の系であり、入出力の諸量に干渉が存在
するような場合には、物理的なモデルを定めることが極
めて困難となる。このような場合には、システム同定と
呼ばれる一種のシミュレーションにより伝達関数を求め
ることができる。
システム同定の手法は、例えば相良節夫他著、「システ
ム同定」(昭和56年)社団法人計測自動制御学会等に
詳解されているが、ここでは最小2乗法により同定す
る。
空調ユニット1を所定の状態で定常運転し、コンプレッ
サ22とダンパアクチュエータ24の駆動電圧の摂動分
δVC,δVDを共に0として、ブロアモータ3の駆動
電圧の摂動分δVBを適当な試験信号により制御する。
この時の入力としてのブロアモータ3の駆動電圧の摂動
分δVBと、出力としての車室内温度の摂動分δTRの
デタをN回に亘ってサンプリングする。これを入力のデ
ータ系列{u(i)}={δVBi},出力のデータ系
列{y(i)}={δTRi}(但し、i=1,2,
3,…N)と表わす。この時、系は1入力1出力とみな
すことができ、系の伝達関数G1(z)は、 G1(z)=B(z-1)/A(z-1)…(3) 即ち、 G1(z) =(b0+b1・z-1+…+bnz-n)/ (1+a1・z-1+a2・z-2+…+an・z-n)…
(4) で求められる。尚、ここで、z-1は単位推移演算子であ
って、z-1・x(k)=x(k−1) を意味している。
入出力のデータ系列{u(i)},{y(i)}から式
(4)のパラメータa1〜an,b0〜bnを定めれば
系の伝達関数G1(z)が求められる。最小2乗法によ
るシステム同定では、このパラメータa1〜an,b0
〜bnを、 が最小となるよう定められる。本実施例ではn=1とし
て、各パラメータを求めた。この場合、系のシグナルフ
ロー線図は第6図のようになり、状態変数量としてx1
(k)をとって、その状態・出力方程式は、 x1(k+1) =z・x1(k) =−a1・x1(k)+b1・u(k)…(6) y(k)=x1(k)…(7) と表わせられる。従って、1入力1出力の系とみなした
場合のシステムパラメータ を各々 とすれば、 となる。
同様の手法により、伝達関数G2(z),G3(z)及
び各々についてのシステムパラメータ が求められる。そこでこれらのシステムパラメータから
元の3入力1出力の多次元系のシステムパラメータ、即
ち状態方程式(1),出力方程式(2)のベクトル を定めることができる。
こうして本実施例の動的なモデルがシステム同定により
求められたが、この、動的なモデルは、空調ユニット1
が所定の状態で運転されている時、この状態の近傍では
線形の近似が成り立つという形で定められる。従って、
定常的な複数の空気調和の状態に関して、上記の手法で
伝達関数G1(z)ないしG3(z)が各々求められ、
各々の状態方程式(1),出力方程式(2)、即ちベク
トル が求められ、その入出力の関係は摂動分δの間に成立す
ることになる。
次にオブザーバP4の設計方法について説明する。オブ
ザーバの設計にはゴピナスの設計法などがあって、古田
勝久・佐野昭共著「基礎システム理論」(昭和53年)
コロナ社等々に詳しいが、本実施例では最小次限オブザ
ーバとして設計する。
オブザーバP4は空気調和の行なわれた車室内温度の摂
動分(δTR)と制御量の摂動分(δVB,δVC,δ
VD)とから空調ユニット1の内部の状態変数量 を推定するものであるが、オブザーバP4によって求め
られた状態推定量 を、この系の制御において、実際の状態変数量 として扱うことができるという根拠は次の点にある。
今、オブザーバP4の出力 を状態方程式(1),出力方程式(2)に基いて次式
(9)のように構成したとする。
式(9)において は任意に与えられる行列である。式(1),(2),
(9)より変形すると、 を得る。従って なる行列の固有値が単位円内にある様に行列 を選択すればk→∞で となり、制御対象の内部の状態変数量 を入力制御ベクトル (即ちブロアモータ3等の駆動電圧[VB(k) VC
(k) VD(k)])と出力ベクトル (即ちここではスカラ量y(k)としての車室内温度T
R(k))との過去からの系列 を用いて正しく推定することができる。
第7図は最小次元オブザーバの構成を示すブロック線図
である。オブザーバをこのように構成し、オブザーバ内
部の状態変数量を と措定すれば、 として状態推定量 が求められることが諒解されよう。ベクトル は、特定の条件のもとでは任意に選択でき、 に収束させる速さを変更できる。ここでは、ベクトル を統合するベクトルをあらためてベクトル として、式(11)を、 としておく。
既に述べたように、こうした最小次元オブザーバの具体
的な設計法はゴピナスの設計法などが知られており、本
実施例ではこれを用いて、空調ユニット1のある定常的
な運転状態について、 を得た。
ここでは、オブザーバによって求められる状態推定量 即ち空調ユニット1の内部状態を表わす変数として、δ
TB(k),δTC(k),δTD(k)を考えてい
る。変数δTB(k)は、ブロアモータ3の吹出空気の
流量を制御する駆動電圧VBによって影響を受ける車室
内温度の摂動分を、変数δTC(k)は、同様にコンプ
レッサ22の駆動電圧VCによって影響をうける車室内
温度の摂動分を、変数δTD(k)は、同じくダンパア
クチュエータ24によって影響をうける車室内温度の摂
動分を、各々意味している。即ち、状態推定量 は、 として表わされる。
次に最適フィードバックゲイン の求め方について説明するが、最適フィードバックゲイ
を求める手法は、例えば「線形システム制御理論」(前
掲書)等に詳しいので、ここでは詳解は略して結果のみ
を示しておく。
空調ユニット1の制御入力 とその出力y(k)=TR(k)とについて、ある定常
点のまわりで、 とし、次の評価関数Jを最小にする最適制御入力即ち制
御量 を求めることが空調ユニット1の制御系に関する付加積
分型最適レギュレータとしての制御問題を解くことにな
る。
尚、ここで は重みパラメータ行列を、kは制御開始時点を0とする
サンプル回数を、各々示しており、式(19)右辺は を対角行列とする所謂2次形式表現である。
この時、最適なフィードバックゲイン として求められる。尚、式(20)における は各々、 であり、 は、離散型リカッチ方程式 の解である。尚、ここで式(19)の評価関数Jの意味
は空調ユニット1に対する制御入力としての制御量 の動きを制約しつつ、制御出力y(k)、ここでは車室
内温度TR(k)の目標値TR(k)からの偏差を最
小にしようと意図したものである。制御量 に対する制約の重み付けは、重みパラメータ行列 の値によって変更することができる。従って、すでに求
めておいた空調ユニット1の動的なモデル、即ち行列 を用い、任意の重みパラメータ行列 を選択して式(23)を解いて を求め、式(20)により最適フィードバックゲイン を求めれば、状態変数量 は状態推定量 として式(12),(13)より求められる。
既述したように、目標温度TRと車室内温度TRとの
偏差に、上記最適フィードバックゲイン の該偏差に関する各要素F14,F24,F34を掛けた値を
累積して、第1のフィードバック量である偏差累積値Z
TRB(k),ZTRC(k),ZTRD(k)を算出
する。次に、上記状態推定量 に、上記最適フィードバックゲイン の該状態推定量 に関する要素Fij(i=1〜3,j=1〜3)を掛け
て第2のフィードバック量を算出し、該算出値に上記第
1のフィードバック量を各々加算すると、空調ユニット
1の制御量 の摂動分、すなわちδVB(k),δVC(k),δV
D(k)が求まる。
重みパラメータ行列 を変えて最適な制御特性が得られるまで以上のシミュレ
ーションを繰返すことによって、最適フィードバックゲ
イン が、 のように求められた。
以上、最小2乗法によるシステム同定により空調ユニッ
ト1の制御系の動的モデルの構築、最小次元のオブザー
バの設計、最適フィードバックゲイン の算出について説明したが、これら、オブザーバ内の各
パラメータ や最適フィードバックゲイン 等は予め求めておき、電子制御回路20の内部ではその
結果のみを用いて実際の制御を行なうのである。
そこで、次に、第8図(A),(B)のフローチャート
に拠って電子制御回路20が実際に行なう車室内温度制
御処理について説明する。尚、以下の説明では今回の処
理において扱われている量を添字(k)付で、前回に扱
われた量を添字(k-1)付で表わすことにする。
CPU30は空気調和装置が起動された後、CPU30
の内部レジスタのクリアや制御初期値の設定および最大
値フラグBmax,最小値フラグBminのリセットなどの初
期化の処理をステップ100にて行なった後、予めRO
M32内に格納された手順に従い、後述するステップ1
02ないしステップ162の処理を繰り返し実行する。
この車室内温度制御処理では予めROM32内に格納さ
れた上述の の値が用いられる。
まず、ステップ102では、車室内温度センサ12の出
力信号を入力ポート36を介して入力し、車室内温度T
R(k)の読み込みを行なう。ステップ104では、同
様に温度設定器14の出力信号を入力して、目標温度T
(k)を読み込む処理を行なう。本ステップ104
の処理が、第4図に示す目標温度設定部P1として機能
する。
続くステップ106では、ステップ102で読み込んだ
車室内温度TR(k)とステップ104で読み込んだ目
標温度TR(k)との偏差をe(k)=TR(k)
−TR(k)として求める処理が行なわれる。
続くステップ108では、ステップ102で読み込んだ
車室内温度TR(k)から、空調ユニット1の動的なモ
デルを構築した際、線形近似が成立つ範囲として取り上
げた定常的な空調ユニット1の運転状態のうちで最も近
い状態(以下、これを定常点TRa,VBa,VCa,
VDaと呼ぶ)を求める処理を行なう。ステップ110
では、ステップ102で読み込んだ車室内温度TR
(k)について、ステップ108で定めた定常点からの
摂動分δTR(k)を求める処理を行なう。尚、この摂
動分に関しては、δTR(k-1)を初めとして、前回本制
御処理が実行された際の値が保存されているものとす
る。このステップ108,110の処理が第4図の摂動
分抽出部P3として機能する。
続くステップ112では、現在の空調ユニット1の運転
状態に対応したオブザーバ内のパラメータ や最適フィードバックゲイン 等を選択する処理を行なう。
次にステップ120に進み、前回上記ステップ106で
算出された偏差e(k-1)にサンプリング時間(第8図
(A),(B)の繰り返し時間)Tを掛け、さらに上記
ステップ112で選択した最適フィードバックゲイン の該偏差に関する要素を掛けた値を累積し、偏差累積値
ZTRB(k),ZTRC(k),ZTRD(k)を以
下に示すように算出する処理が行なわれる。ここで、初
期時におけるZTRB(k-1),ZTRC(k-1),ZTRD
(k-1)の値は、ステップ100で全て0に設定されてい
る。また、偏差としてe(k-1)を使用しているのは、本
処理における演算時間遅れを考慮したためである。上記
ステップ106と本ステップ120の処理が第4図の積
分器P2として機能する。
ZTRB(k) =ZTRB(k-1)+F14・T・e(k-1) ZTRC(k) =ZTRC(k-1)+F24・T・e(k-1) ZTRD(k) =ZTRD(k-1)+F34・T・e(k-1) 続くステップ122,ステップ124は状態推定量 を算出する処理であって、式(12),(13)により
[δTB(k) δTC(k) δTD(k)]が求
められる。即ち、オブザーバ内の変数 を用いて、ステップ122では、W1(k),W2
(k)を、 W1(k) =P11・W1(k-1)+P12・W2(k-1) +M11・δVB(k-1)+M12・δVC(k-1) +M13・δVD(k-1)+M14・δTR(k-1) W2(k) =P21・W1(k-1)+P22・W2(k-1) +M21・δVB(k-1)+M22・δVC(k-1) +M23・δVD(k-1)+M24・δTR(k-1) として求め、続くステップ124ではステップ122の
結果を用いて、状態推定量を δTB(k)=C11・W1(k)+C12・W2(k)+
D1・δTR(k) δTC(k)=C21・W1(k)+C22・W2(k)+
D2・δTR(k) δTD(k)=δTR(k)−δTB(k)−δTC
(k) として求める処理が行なわれる。ここでステップ122
で用いられたδVB(k-1),δVC(k-1),δVD(k-
1),δTR(k-1)等は、上述したように、前回、本制御
処理が実行された時の値である。また、状態推定量 のひとつであるδTD(k)、即ちエアミックスダンパ
9の開度を制御するダンパアクチュエータ24の駆動電
圧の摂動分δVD(k)によって車室内温度の摂動分δ
TR(k)に影響を与える温度の摂動分δTD(k)
を、δTD(k)−δTB(k)−δTC(k)として
求めているのは、車室内温度の摂動分δTR(k)が測
定されている(ステップ110)ことから、処理速度の
向上を考慮して計算の容易化を図ったものである。この
ステップ122と本ステップ124との処理が、第4図
のオブザーバP4として機能する。
次にステップ126では、最大値フラグBmaxが値1に
セットされ、かつ、上記ステップ106で算出した偏差
e(k)の絶対値が基準値Tx[℃](本実施例では、
0.5[℃])以下であるか否かが判定される。最大値
フラグBmaxは、上記ステップ100で値0にリセット
されているので、ステップ126の条件を満足しないた
め、処理はステップ130に進む。ステップ130で
は、最小値フラグBminが値1にセットされ、かつ、上
記ステップ106で算出した偏差e(k)の絶対値が基
準値Tx[℃]以下であるか否かが判定される。最小値
フラグBbinは、上記ステップ100で値0にリセット
されているので、ステップ130の条件を満足しないた
め、処理はステップ140に進む。ステップ140で
は、上記ステップ122、ステップ124で算出された
状態推定量 に、上記ステップ112で選択した最適フィードバック
ゲイン の該状態推定量 に関する要素を掛け、さらに、上記ステップ120で算
出された偏差累積値を加算して、ブロアモータ3の駆動
電圧の摂動分δVB(k)、コンプレッサ22の駆動電
圧の摂動分δVC(k)、ダンパアクチュエータ24の
駆動電圧の摂動分δVD(k)を算出する処理が行なわ
れる。すなわち、以下のような演算が実行される。
δVB(k) =F11・δTB(k)+F12・δTC(k) +F13・δTD(k)+ZTRB(k) δVC(k) =F21・δTB(k)+F22・δTC(k) +F23・δTD(k)+ZTRC(k) δVD(k) =F31・δTB(k)+F32・δTC(k) +F33・δTD(k)+ZTRD(k) 本ステップ140の処理が第4図に示すフィードバック
量決定部P5として機能する。
続くステップ142では、ステップ140で求めた各駆
動電圧の摂動分δVB(k),δVC(k),δVD
(k)に定常点での値VBa,VCa,VDaを加え
て、実際の駆動電圧VB(k),VC(k),VD
(k)を求める処理が行なわれる。本ステップ142の
処理が第4図の基準設定値加算部P6として機能する。
次にステップ144に進み、上記ステップ142で算出
されたブロアモータ3の駆動電圧VB(k)が最大値V
Bmaxを上回るか否かが判定される。駆動電圧VB
(k)が最大値VBmaxを上回る場合には、ステップ1
46に進む。ステップ146では、最大値フラグBmax
を値1にセットすると共に、最小値フラグBminを値0
にリセットする処理が行なわれた後、ステップ160に
進む。
一方、上記ステップ144で駆動電圧VB(k)が最大
値VBmax以下である場合には、ステップ148に進
む。ステップ148では、駆動電圧VB(k)が最小値
VBmin未満であるかが判定される。駆動電圧VB
(k)が最小値VBmin未満である場合には、ステップ
150に進む。ステップ150では、最大値フラグBma
xを値0にリセットすると共に最小値フラグBminを値1
にセットする処理が行なわれた後、ステップ160に進
む。
一方、上記ステップ148で駆動電圧VB(k)が最小
値VBmin以上である場合には、ステップ152に進
む。ステップ152では、最大値フラグBmaxおよび最
小値フラグBminを値0にリセットする処理が行なわれ
た後、ステップ160に進む。上記ステップ144,1
46,148,150,152の各処理が、第4図に示
す飽和判定部P7として機能する。
続くステップ160ではステップ142で求めた各駆動
電圧VB(k),VC(k),VD(k)を、出力ポー
ト38を介して、ブロアモータ3,コンプレッサ22,
ダンパアクチュエータ24の各々に出力する処理が行な
われる。続くステップ162ではサンプリング・演算・
制御の回数を示している添字kの値を1だけインクリメ
ント(更新)し、ステップ102へ戻る。
再び、ステップ102よりステップ126に至る。ここ
では、既述したステップ146で最大値フラグBmaxが
値1にセットされている場合について説明する。さら
に、上記ステップ106で算出された偏差e(k)の絶
対値が基準値Tx[℃]以下となった場合に、すなわ
ち、目標温度TR(k)が空調ユニット1の制御可能
温度上限値付近に設定された後、ブロアモータ3による
送風量が増加されて多くの熱量が乗員室10内に供給さ
れた結果、目標温度TR(k)と車室内温度TR
(k)との差が基準値Tx[℃]以下となった場合に
は、ステップ126からステップ128に進む。ステッ
プ128では、ブロアモータ駆動電圧の偏差累積値を以
下のように変更する処理が行なわれる。
ZTRB(k) =δVBmax−{F11・δTB(k)+F12・δTC
(k)+F13・δTD(k)} 但し、値δVBmaxはブロアモータ駆動電圧の最大値V
Bmaxに対応する最大摂動分である。その後、既述した
ステップ140に進む。ステップ140での処理によ
り、ブロアモータ駆動電圧の摂動分δVB(k)は、最
大摂動分δVBmaxとなる。さらに、ステップ142に
進み、ブロアモータ駆動電圧VB(k)は最大値VBma
xに設定されるのである。以下、既述したステップ16
0で、上記最大値VBmaxが出力された後、ステップ1
62を経て、再びステップ102に戻る。
次に、既述したステップ150で最小値フラグBminが
値1にセットされている場合について説明する。この場
合は、ステップ102ないしステップ126の各処理を
経て、ステップ130に至る。ここで、上記ステップ1
06で算出された偏差e(k)の絶対値が基準値Tx
[℃]以下となった場合に、すなわち、目標温度TR
(k)が空調ユニット1の制御可能温度下限値付近に設
定された後、ブロアモータ3による送風量が減少されて
乗員室10内への熱量の供給が低減した結果、目標温度
TR(k)と車室内温度TR(k)との差が基準値T
x[℃]以下となった場合には、ステップ130からス
テップ132に進む。ステップ132では、ブロアモー
タ駆動電圧の偏差累積値を以下のように変更する処理が
行なわれる。
ZTRB(k) =δVBmin−{F11・δTB(k)+F12・δTC
(k)+F13・δTD(k)} 但し、値δVBminはブロアモータ駆動電圧の最小値V
Bminに対応する最小摂動分である。その後、既述した
ステップ140に進む。ステップ140での処理によ
り、ブロアモータ駆動電圧の摂動分δVB(k)は、最
小摂動分δVBminとなる。さらに、ステップ142に
進み、ブロアモータ駆動電圧VB(k)は最小値VBmi
nに設定されるのである。以下、既述したステップ16
0で、上記最小値VBminが出力された後、ステップ1
62を経て、再びステップ102に戻る。以後、本車室
内温度制御処理は、ステップ102ないしステップ16
2まで繰り返して実行される。
次に、上述した車室内温度制御処理による制御の様子を
第9図(A)に、一方、ブロアモータ駆動電圧VB
(k)が最大値VBmaxを上回った場合も通常の制御を
継続した場合の制御の様子を第9図(B)に各々示す。
第9図(B)に一点鎖線で示すように、目標温度TR
(k)が時刻t1において、空調ユニット1の制御可能
温度上限値付近に設定される。これにより、二点鎖線で
示す偏差e(k)が大きな値となり、制御量の一つであ
るブロアモータ駆動電圧VB(k)は、破線で示すよう
に増大し、時刻t2において最大値VBmaxに至る。し
かし、偏差e(k)はまだ正の値を有しているため、こ
のまま通常の制御を継続すると、ブロアモータ駆動電圧
VB(k)は、計算により実際には出力不可能である、
大きな値まで増加してしまう。このため、実線で示す車
室内温度TR(k)が目標温度TR(k)と一致する
時刻t3において、ブロアモータ駆動電圧VB(k)の
計算値は、最大値VBmaxを上回る大きな値となってい
る。このため、偏差e(k)の符号が反転し、ブロアモ
ータ駆動電圧VB(k)の計算値が減少し始め、時刻t
4において最大値VBmaxに降下するまで、車室内温度
TR(k)は目標温度TR(k)を上回り、大きなオ
ーバーシュートが発生する。このオーバーシュートによ
り発生した偏差e(k)により、さらに、ブロアモータ
駆動電圧VB(k)の計算値の降下が続き、車室内温度
TR(k)の上昇が止まり、今度は車室内温度TR
(k)が降下し始めて目標温度TR(k)に近付く。
やがて、時刻t5において車室内温度TR(k)は目標
温度TR(k)と一致する。以上のように、偏差e
(k)が一旦零となる時刻t3において大きなオーバー
シュートが発生し、最終的に車室内温度TR(k)が目
標温度TR(k)に収束するには時刻t5までの時間
が必要となるので、制御の応答性、追従性が低下してい
た。
一方、既述した車室内温度制御処理によれば、第9図
(A)に示すように、時刻t11において目標温度TR
(k)が変更されると、偏差e(k)が増大し、ブロ
アモータ駆動電圧VB(k)の計算値は時刻t12にお
いて最大値VBmaxを越える。この時、最大値フラグBm
axが値1にセットされる(ステップ144,146)。
やがて、車室内温度TR(k)が目標温度TR(k)
に接近するため偏差e(k)が減少し、時刻t13にお
いて、基準値Tx[℃]以下となる。このため、ブロア
モータ駆動電圧の摂動分δVB(k)が最大摂動分δV
Bmaxに設定され、ブロアモータ駆動電圧VB(k)は
最大値VBmaxに設定される(ステップ126,12
8,140,142)。その後、車室内温度TR(k)
は徐々に上昇し、時刻t14において目標温度TR
(k)に一致する。ここで、制御量は最大値VBmax
に設定されているため、わずかなオーバーシュートが発
生しただけで制御量は最大値から離脱でき、すみやかに
目標温度TR(k)に収束する。以後は、再び状態推
定量 と最適フィードバックゲイン および偏差累積値ZTRB(k)に基づいてブロアモー
タ駆動電圧VB(k)が算出されるのである。
なお第1発明一実施例において、空調ユニット1が空調
手段M1に該当し、温度設定器14と電子制御回路20
および該電子制御回路20により実行される処理(ステ
ップ104)が温度設定手段M2として、車室内温度セ
ンサ12と電子制御回路20および該電子制御回路20
により実行される処理(ステップ102)が温度検出手
段M3として、電子制御回路20が制御手段M4として
各々機能する。また、電子制御回路20および該電子制
御回路20により実行される処理のうち、(ステップ1
26,130,144,146,148,150,15
2)が制御量判定手段M5として、(ステップ126,
130)が温度判定手段M6として、(ステップ12
2,124)が状態観測部M7として、(ステップ10
6,120)が第1のフィードバック量算出部M8とし
て、(ステップ140,142)がフィードバック制御
量算出部M9として、(ステップ128,132)が第
1のフィードバック量変更部M10として各々機能す
る。
以上説明したように、本実施例によれば、従来の古典制
御理論に基づくフィードバック制御に比べて、応答性・
追従性を向上させた制御が可能となる。
また、目標温度TR(k)が、空調ユニット1の温度
制御可能範囲の上限値または下限値近傍の値に設定され
た場合でも、車室内温度TR(k)をオーバーシュート
やアンダーシュートなく該目標温度TR(k)に収束
させることができる。
さらに、ブロアモータ3,コンプレッサ22,ダンパア
クチュエータ24を最適に制御するので、無駄なエネル
ギを消費することがなく、省燃費でしかもコンプレッサ
22をオン−オフ制御しないことから内燃機関の出力ト
ルクの変動も低減することができる。
これは、本実施例の制御では、熱平衡を予測した単純な
フィードバック制御に替えて、電子制御回路20による
制御装置を付加積分型最適レギュレータとして構成した
ことによる。即ち制御対象である自動車用空気調和を行
なう系のモデルをシステム同定によって実験的に解析し
て、制御対象の状態、即ち未来への影響を予測するため
に必要な十分な系の過去の履歴に関する情報を推定し目
標温度TR(k)が空調ユニット1の温度制御可能範
囲の上限値または下限値付近に設定された場合であっ
て、制御量の一つであるブロアモータ駆動電圧VB
(k)が最大値VBmaxまたは最小値VBminを越えた場
合には該最大値VBmaxまたは最小値VBminを、一方、
目標温度TR(k)が上記以外の値に設定される通常
時には上述の推定した量に基づく制御量を、各々用いて
制御を行なうよう構成したためである。
また、本実施例では、偏差累積値ZTRB(k),ZT
RC(k),ZTRD(k)を算出するに際し、偏差と
して前回サンプリングされて算出された偏差e(k-1)を
使用している。このため、離散時間系における電子制御
回路20の演算時間遅れに対する補償が可能となってい
る。
さらに、本実施例の自動車用空気調和装置は車室内温度
を制御する電子制御回路20におけるフィードバックゲ
インの設計が極めて論理的になされ、これを最適に定め
ている。従って、従来の制御装置のように設計者の経験
等に基づいて設計し、必要に応じて実際に調整を行な
い、適切と思われるフィードバックゲインを設定しなく
て済むので、設計・開発工数やコストを低減することが
できる。
なお、本実施例では、ブロアモータ駆動電圧VB(k)
のみを最大値VBmaxまたは最小値VBminに設定するよ
う構成したが、例えば、コンプレッサ駆動電圧VC
(k)およびダンパアクチュエータ駆動電圧VD(k)
についても同様の処理を行なうよう構成すると、制御精
度がより一層向上するという利点を生じる。
また、本実施例では車室内温度TR(k)と目標温度T
(k)との偏差e(k)の絶対値が基準値Tx以下
となる時に第1のフィードバック量を変更するよう構成
したが、例えば、上記偏差e(k)の符号が反転した時
に第1のフィードバック量を変更するよう構成しても同
様の効果を奏する。
次に、第2発明一実施例について説明する。第2発明一
実施例と第1発明一実施例との相違点は、第1発明では
制御量が最大値または最小値を越えた後であって偏差の
絶対値が基準温度Tx以下となった場合に制御量を最大
値または最小値に設定するよう構成されていたのに対し
て、第2発明一実施例では制御量が最大値または最小値
を越えると、その後偏差の絶対値が基準温度Tx以下と
なるまで偏差の累積を行なわないように構成した点であ
る。そこで、第2発明一実施例のシステム構成等におい
て、既述した第1発明一実施例と同様の部分について
は、同一符号を使用し説明を省略する。
第2発明一実施例においては、第4図に示す制御系の飽
和判定部P7により、フィードバック量決定部P5で算
出された制御量VBが所定範囲内にないと判定された時
から、その後、目標温度TR(k)と車室内温度TR
(k)との偏差e(k)が基準値Tx以下となる時ま
で、積分器P2は偏差e(k)の累積を中断して第1の
フィードバック量としての偏差累積値ZTRB(k)を
累積中断以前の値に保持する。このため、上述のような
場合には、フィードバック量決定部P5の出力する制御
量には、制御量VBが飽和(所定範囲の境界値)に達し
た後の偏差の累積値が加わらないので、制御量VBは飽
和点(所定範囲の境界値)付近にとどまっている。その
ため、目標温度TR(k)と車室内温度TR(k)と
の偏差e(k)が基準値Tx以下となった時、制御量と
して望ましい値が出力されるのである。
次に、第2発明一実施例において電子制御回路20によ
り実行される車室内温度制御処理を、第10図(A),
(B)のフローチャートに基づいて説明する。ここで、
第1発明一実施例の車室内温度制御処理と同様の処理を
行なうステップは下2桁を同一符号にて表記する。
本車室内温度制御処理が起動されると、初期化が行なわ
れた後、車室内温度TR(k)および目標温度TR
(k)を読み込んで偏差e(k)を算出し、定常点に
おける値TRa,VBa,VCa,VDaおよび車室内
温度の摂動分δTR(k)を求め、さらに各パラメータ を選択する処理が行なわれる(ステップ200,20
2,204,206,208,210,212)。
次に、ステップ214に進み、前回算出されたブロアモ
ータ駆動電圧VB(k-1)が最大値VBmaxを上回り、か
つ、上記ステップ206で算出した偏差e(k)の絶対
値が基準値Txを上回るか否かの判定が行なわれる。ブ
ロアモータ駆動電圧VB(k-1)が最大値VBmaxを上回
り、かつ、偏差e(k)の絶対値が基準値Txを上回っ
ていると判定された場合には、ステップ216に進む。
ステップ216では、ブロアモータ駆動電圧の偏差累積
値ZTRB(k)を前回算出した値ZTRB(k-1)と等
しく設定する処理が行なわれる。すなわち、偏差の累積
が中断されるのである。その後、ステップ220bに進
む。
一方、ブロアモータ駆動電圧VB(k-1)が最大値VBmax
以下であるか、または、偏差e(k)の絶対値が基準値
Tx以下であると判定された場合には、ステップ218
に進む。ステップ218では、前回算出されたブロアモ
ータ駆動電圧VB(k-1)が最小値VBminを下回り、か
つ、上記ステップ206で算出した偏差e(k)の絶対
値が基準値Txを上回るか否かの判定が行なわれる。ブ
ロアモータ駆動電圧VB(k-1)が最小値VBminを下回
り、かつ偏差e(k)の絶対値が基準値Txを上回って
いると判定された場合には、既述したステップ216に
進み、ブロアモータ駆動電圧の偏差累積値ZTRB
(k)の偏差累積を中断する処理を行なった後、ステッ
プ220bに進む。
一方、ブロアモータ駆動電圧VB(k-1)が最小値VBmin
以上であるか、または、偏差e(k)の絶対値が基準値
Tx以下であると判定された場合には、ステップ220
aに進む。
ステップ220aでは、ブロアモータ駆動電圧の偏差累
積値ZTRB(k)を次のように偏差の累積を行ない、
算出する処理が行なわれる。
ZTRB(k) =ZTRB(k-1)+F14・T・e(k-1) 続くステップ220bでは、コンプレッサ駆動電圧とダ
ンパアクチュエータ駆動電圧の各偏差累積値ZTRC
(k),ZTRD(k)を次のように偏差の累積を行な
い算出する処理が行なわれる。
ZTRC(k) =ZTRC(k-1)+F24・T・e(k-1) ZTRD(k) =ZTRD(k-1)+F34・T・e(k-1) 続いて、状態推定量 を算出する(ステップ222,224)。該状態推定量 と最適フィードバックゲイン の状態推定量 に関する要素および上記ステップ220bとステップ2
20aまたはステップ216で算出された偏差累積値Z
TRB(k),ZTRC(k),ZTRD(k)から各
駆動電圧の摂動分δVB(k),δVC(k),δVD
(k)を算出する(ステップ240)。さらに、各駆動
電圧の摂動分δVB(k),δVC(k),δVD
(k)に定常点での値VBa,VCa,VDaを加え
て、実際の駆動電圧VB(k),VC(k),VD
(k)を算出する(ステップ242)。次に、各駆動電
圧VB(k),VC(k),VD(k)を出力ポート3
8を介して空調ユニット1に出力し、本処理の実行回数
を示す添字kの値に1だけ加算して再び上記ステップ2
02に戻る(ステップ260,262)。以後、本車室
内温度制御処理は、ステップ202ないしステップ26
2まで繰り返して実行される。
なお、第2発明一実施例において、空調ユニット1が空
調手段M11に該当し、温度設定器14と電子制御回路
20および該電子制御回路20により実行される処理
(ステップ204)が温度設定手段M12として、車室
内温度センサ12と電子制御回路20および該電子制御
回路20により実行される処理(ステップ202)が温
度検出手段M13として、電子制御回路20が制御手段
M14として各々機能する。また、電子制御回路20お
よび該電子制御回路20により実行される処理のうち、
(ステップ214,218)が制御量判定手段M15お
よび温度判定手段M16として、(ステップ222,2
24)が状態観測部M17として、(ステップ206,
220a,220b)が第1のフィードバック量算出部
M18として、(ステップ240,242)がフィード
バック制御量算出部M19として、(ステップ216)
が累積停止部M24として各々機能する。
以上説明したように本実施例は、制御対象である自動車
用空気調和を行なう系のモデルをシステム同定によって
実験的に解析し、状態推定量 すなわち未来への影響を予測するために必要十分な系の
過去の履歴に関する情報を推定し、目標温度TR
(k)が空調ユニット1の温度制御可能範囲の上限値
または下限値付近に設定された場合であって、制御量の
一つであるブロアモータ駆動電圧VB(k-1)が最大値V
Bmaxまたは最小値VBminを越えた時から偏差e(k)
の絶対値が基準値Tx以下になる時までは偏差の累積を
中断して算出した推定値に基づく制御量を、一方、目標
温度TR(k)が上記境界値以外に設定される通常時
には上述の推定した量に基づく制御量を、各々使用して
制御を行なうよう構成されている。
このため、既述した第1発明一実施例の各効果に加え
て、以下のような効果を奏する。すなわち、偏差の累積
を中断して状態推定量 を算出するため、偏差累積値ZTRB(k)を算出する
処理がなくなるので、計算時間が短縮され、制御処理を
速やかに行なうことができる。
なお、本実施例ではブロアモータ駆動電圧VB(k)を
算出するための偏差累積値ZTRB(k)についてのみ
偏差の累積を中断するよう構成したが、例えば、コンプ
レッサ駆動電圧VC(k)およびダンバアクチュエータ
駆動電圧VD(k)についても同様に偏差の累積を中断
するよう構成すると、制御精度をさらに向上させること
ができる。
また、本実施例では車室内温度TR(k)と目標温度T
(k)との偏差e(k)の絶対値が基準値Tx以下
となる時まで、偏差の累積を中断するよう構成したが、
例えば、上記偏差e(k)の符号が反転するまで偏差の
累積を中断するよう構成しても同様の効果を奏する。
以上第1発明および第2発明の各実施例について説明し
たが、両発明はこのような実施例に何等限定されるもの
ではなく、リヒートタイプの空気調和装置に適用した
り、状態変数 として他の変数を使用する等、両発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論
である。
発明の効果 以上詳記したように、第1発明および第2発明の自動車
用空気調和装置は、温度検出手段の検出した車室内温度
を温度設定手段の設定した目標温度に制御手段が制御す
るに際し、第1のフィードバック量算出部で累積された
第1のフィードバック量および状態観測部により推定さ
れた状態変数と最適フィードバックゲインとから定まる
第2のフィードバック量の和を制御量としてフィードバ
ック量算出部が空調手段に出力よう構成されている。
ここで、第1発明の自動車用空気調和装置は、上記制御
量が所定範囲に含まれないと制御量判定手段が判定し、
かつ、車室内温度が目標温度近接条件に該当すると温度
判定手段が判定した場合は、第1のフィードバック量変
更部が上記所定範囲の境界値を制御量とするように累積
された第1のフィードバック量を変更するよう構成され
ている。
また、第2発明の自動車用空気調和装置は、上記制御量
が所定範囲に含まれないと制御量判定手段が判定した時
から、車室内温度が目標温度近接条件に該当すると温度
判定手段が判定する時まで、累積停止部が第1のフィー
ドバック量の累積を中断するよう構成されている。
このため、第1発明および第2発明の自動車用空気調和
装置は、空調手段による制御可能範囲の境界値付近に目
標温度が設定された場合でも、過制御によるオーバーシ
ュートやアンダシュートを生じることなく、応答性・追
従性を高水準に保った制御を行なうことができるという
優れた効果を奏する。
また、車室内温度の過制御を生じることがないため、自
動車用空気調和装置の駆動源に対する負担が最小となる
ので、例えば駆動源としての内燃機関の燃費性能を向上
させることができる。
さらに、自動車用空気調和に関する系の動的なモデルに
基づいて予め定められた最適フィードバックゲインを使
用しているので、空気調和装置の設計・開発工数を低減
することができるという利点も生じる。
また、第2発明の自動車用空気調和装置は、第1のフィ
ードバック量の累積を中断しているので、制御量算出の
ための処理時間が短くなるという利点も生じる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1発明の内容を概念的に例示した基本的構成
図、第2図は第2発明の内容を概念的に例示した基本的
構成図、第3図は第1発明一実施例としての自動車用空
気調和装置のシステム構成図、第4図は同じくその空気
調和を行なう系の制御系統図、第5図は同じくその系の
モデルを同定するのに用いたブロック線図、第6図は伝
達関数を求める為のシグナルフロー線図、第7図は最小
次元オブザーバの構成を示すブロック線図、第8図
(A),(B)は第1発明一実施例において実行される
付加積分型最適レギュレータとしての制御を示すフロー
チャート、第9図(A),(B)は同じくその制御特性
を示すタイミングチャート、第10図(A),(B)は
第2発明一実施例において実行される付加積分型最適レ
ギュレータとしての制御を示すフローチャートである。 M1(M11)…空調手段 M2(M12)…温度設定手段 M3(M13)…温度検出手段 M4(M14)…制御手段 M5(M15)…制御量判定手段 M6(M16)…温度判定手段 M7(M17)…状態観測部 M8(M18)…第1のフィードバック量算出部 M9(M19)…フィードバック制御量算出部 M10…第1のフィードバック量算出部 M20…累積停止部 1…空調ユニット、3…ブロアモータ 5…エバポレータ 9…エアミッスクダンパ 10…乗員室、12…車室内温度センサ 14…温度設定器、20…電子制御回路、 22…コンプレッサ 24…ダンパアクチュエータ 30…CPU、32…ROM

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内への吹出空気の少なくとも温度を含
    む諸量を外部からの制御量に従って調節する空調手段
    と、 上記車室内の目標温度を設定する温度設定手段と、 上記車室内の車室内温度を検出する温度検出手段と、 自動車用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて
    予め定められた最適フィードバックゲインを使用して、
    上記車室内温度が上記目標温度となるように上記空調手
    段をフィードバック制御する付加積分型最適レギュレー
    タである制御手段と、 を具備した自動車用空気調和装置であって、 さらに、上記空調手段への制御量が所定範囲内にあるか
    否かを判定する制御量判定手段と、 上記車室内温度が目標温度近接条件に該当するか否かを
    判定する温度判定手段と、 を有し、 しかも、上記制御手段が、 上記動的なモデルに基づいて予め設定されたパラメータ
    を用いて、上記空調手段への制御量と上記車室内温度と
    から、上記系の動的な内部状態を表わす状態変数を推定
    する状態観測部と、 上記目標温度と上記車室内温度との偏差および上記最適
    フィードバックゲインの上記偏差に関する要素とから、
    上記空調手段への制御量に関与する第1のフィードバッ
    ク量を算出すると共に該第1のフィードバック量を累積
    する第1のフィードバック量算出部と、 上記状態変数と上記最適フィードバックゲインの上記状
    態変数に関する要素とから算出した第2のフィードバッ
    ク量および上記累積された第1のフィードバック量の和
    を制御量として上記空調手段に出力するフィードバック
    制御量算出部と、 上記制御量判定手段により制御量が所定範囲内にないと
    判定され、かつ、上記温度判定手段により車室内温度が
    目標温度近接条件に該当すると判定された場合に、上記
    所定範囲の境界値が上記制御量となるように上記累積さ
    れた第1のフィードバック量を変更する第1のフィード
    バック量変更部と、 を備えたことを特徴とする自動車用空気調和装置。
  2. 【請求項2】上記温度判定手段が、上記車室内温度の上
    記目標温度から所定温度範囲以内への接近時に目標温度
    近接条件に該当すると判定する特許請求の範囲第1項に
    記載の自動車用空気調和装置。
  3. 【請求項3】上記温度判定手段が、上記車室内温度と上
    記目標温度とが一致した時に目標温度近接条件に該当す
    ると判定する特許請求の範囲第1項に記載の自動車用空
    気調和装置。
  4. 【請求項4】上記温度判定手段が、上記車室内温度の上
    記目標温度に接近する過程における変化率が所定上限値
    から所定下限値の範囲内となった時に目標温度近接条件
    に該当すると判定する特許請求の範囲第1項に記載の自
    動車用空気調和装置。
  5. 【請求項5】上記空調手段の調節する諸量が、吹出空気
    を送風するブロアモータの送風量と、該吹出空気を一旦
    冷却する冷媒の流量と、該吹出空気の再度加熱される流
    量とからなる特許請求の範囲第1項に記載の自動車用空
    気調和装置。
  6. 【請求項6】車室内への吹出空気の少なくとも温度を含
    む諸量を外部からの制御量に従って調節する空調手段
    と、 上記車室内の目標温度を設定する温度設定手段と、 上記車室内の車室内温度を検出する温度検出手段と、 自動車用空気調和に関する系の動的なモデルに基づいて
    予め定められた最適フィードバックゲインを使用して、
    上記車室内温度が上記目標温度となるように上記空調手
    段をフィードバック制御する付加積分型最適レギュレー
    タである制御手段と、 を具備した自動車用空気調和装置であって、 さらに、上記空調手段への制御量が所定範囲内にあるか
    否かを判定する制御量判定手段と、 上記車室内温度が目標温度近接条件に該当するか否かを
    判定する温度判定手段と、 を有し、 しかも、上記制御手段が、 上記動的なモデルに基づいて予め設定されたパラメータ
    を用いて、上記空調手段への制御量と上記車室内温度と
    から、上記系の動的な内部状態を表わす状態変数を推定
    する状態観測部と、 上記目標温度と上記車室内温度との偏差および上記最適
    フィードバックゲインの上記偏差に関する要素とから、
    上記空調手段への制御量に関与する第1のフィードバッ
    ク量を算出すると共に該第1のフィードバック量を累積
    する第1のフィードバック量算出部と、 上記状態変数と上記最適フィードバックゲインの上記状
    態変数に関する要素とから算出した第2のフィードバッ
    ク量および上記累積された第1のフィードバック量の和
    を制御量として上記空調手段に出力するフィードバック
    制御量算出部と、 上記制御量判定手段により制御量が所定範囲内にないと
    判定された時から、上記温度判定手段により車室内温度
    が目標温度近接条件に該当すると判定される時まで、上
    記第1のフィードバック量の累積を中断する累積停止部
    と、 を備えたことを特徴とする自動車用空気調和装置。
  7. 【請求項7】上記温度判定手段が、上記車室内温度の上
    記目標温度から所定温度範囲以内への接近時に目標温度
    近接条件に該当すると判定する特許請求の範囲第6項に
    記載の自動車用空気調和装置。
  8. 【請求項8】上記温度判定手段が、上記車室内温度と上
    記目標温度とが一致した時に目標温度近接条件に該当す
    ると判定する特許請求の範囲第6項に記載の自動車用空
    気調和装置。
  9. 【請求項9】上記温度判定手段が、上記車室内温度の上
    記目標温度に接近する過程における変化率が所定上限値
    から所定下限値の範囲内となった時に目標温度近接条件
    に該当すると判定する特許請求の範囲第6項に記載の自
    動車用空気調和装置。
  10. 【請求項10】上記空調手段の調節する諸量が、吹出空
    気を送風するブロアモータの送風量と、該吹出空気を一
    旦冷却する冷媒の流量と、該吹出空気の再度加熱される
    流量とからなる特許請求の範囲第6項に記載の自動車用
    空気調和装置。
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