JPH0579315A

JPH0579315A - デイーゼル機関用パテイキユレートトラツプ

Info

Publication number: JPH0579315A
Application number: JP3267158A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Ebato; 智江波戸; Kazuhiko Takesa; 和彦竹佐; Taro Uchiyama; 太郎内山
Original assignee: AG Technology Co Ltd
Current assignee: AG Technology Co Ltd
Priority date: 1991-09-18
Filing date: 1991-09-18
Publication date: 1993-03-30

Abstract

(57)【要約】【目的】ディーゼル機関用パティキュレートトラップの
フィルタ１０４を逆洗し、パティキュレート受け部４２
に移されたパティキュレートに着火して焼却処理するた
めの着火手段である電気ヒータ１２１が断線した際のト
ラブルを軽減し、そのメインテナンスを容易にする。【構成】電気ヒータ１２１を複数化して、片方の電気ヒ
ータ１２１ａまたは１２１ｂのみでも運転の継続を可能
とし、サービス拠点に移動してから電気ヒータ１２１ｂ
または１２１ａの交換を行えるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル機関の排気
ガス中に含まれる炭素を主成分とし、硫化物、酸化鉄、
未燃炭化水素の凝縮物等を含む微粒子（以下、総称して
パティキュレートと呼ぶ）を捕捉して除去するに適した
ディーゼル機関用パティキュレートトラップに関する。

【０００２】

【従来の技術】ディーゼル機関から排出される排気ガス
中には炭素を主成分とするパティキュレートが多く含ま
れ、ガソリン機関からの排気ガスに比べて窒素酸化物
（NO_X ）の排出レベルが高いという問題を抱えている。
NO_X については、ディーゼル機関の排気ガス中の残留酸
素濃度が高いため、ガソリン機関の排気ガス処理に用い
られている三元触媒が使用できず、ディーゼル機関独自
の処理技術が必要とされており、NO_X 処理触媒を開発す
る努力がなされているが、未だ実用的な目途を得るまで
には至っていない。

【０００３】一方、噴射時期の調整を始めとする比較的
実用性の高いNO_X 低減対策の場合には、NO_X が低減でき
る反面、パティキュレートの排出が増加する傾向にあ
り、何らかのパティキュレート除去対策とを組合せる総
合的な排気ガス処理対策が検討されている。

【０００４】そして、パティキュレート除去対策とし
て、すでに各種のディーゼル機関用パティキュレートト
ラップが開発、提案されており、例えば、特開昭57-359
18号には、図６に示すようなセラミックス製のハニカム
型フィルタ１が開示されている。

【０００５】このフィルタ１は、濾過壁２で区画された
互いに平行な多数のセル３を有するいわゆるハニカム型
フィルタであり、一方の端面Ａにおいては約半分のセル
３の端面の開口がシール材４によって市松模様状に交互
に塞がれ、他方の端面Ｂにおいては、前記一方の端面Ａ
において塞がれるセル3aは開口し、前記一方の端面Ａに
おいて開口しているセル3bが同じくシール材４によって
塞がれた構造をなしている。

【０００６】このフィルタ１の一方の端面Ｂからディー
ゼル機関の排気ガスを導入すると、排気ガスは含塵ガス
流路であるセル3a内に導入されて通気性のある濾過壁２
を通過し、その際に含塵ガス中に含まれているパティキ
ュレートがセル3aの濾過壁２に捕捉され、パティキュレ
ートが除去された清浄な排気ガスとなって清浄ガス流路
であるセル3bを通って他方の端面Ａより流出する。

【０００７】また、特開昭56-124417 号には、図６に示
すようなセラミックス製のフィルタが開示されている。
このフィルタは全体として直方体の外形を有しており、
パティキュレートトラップとして使用する場合には、ガ
ス流路27の開口する２つの端面のうち一方の端面を直接
または間接的に閉塞しておき、他方の開口している端面
からディーゼル機関の排気ガスを導入する。あるいは、
ガス流路27の２つの開口する両端面から同時にディーゼ
ル機関の排気ガスを導入する。そして、排気ガスが濾過
壁22を通過してガス流路28へ流出する際に、濾過壁22が
パティキュレートをガス流路27の内面に捕捉する。パテ
ィキュレートが除去された清浄な排気ガスは、ガス流路
28を経て系外へ排出される。

【０００８】このようなフィルタを用いたパティキュレ
ートトラップにおいては、捕捉されたパティキュレート
がフィルタの濾過壁面に堆積して、運転時間の経過に従
ってフィルタの通気圧損が増大し、ディーゼル機関の出
力が低下することになる。目詰まりしたフィルタを再生
する方法として、実開昭62-35849号には、フィルタの排
気ガス入口上流側にバーナを設け、このバーナからの高
温燃焼ガスによってフィルタの濾過面上に堆積している
パティキュレートに着火、燃焼させて焼却するようにし
たパティキュレートトラップが開示されている。

【０００９】また、特開昭56-92318号には、排気ガス流
路を２系統に分割して、それぞれの流路にパティキュレ
ートトラップを配置し、パティキュレートトラップのフ
ィルタの再生を交互に行う方式が提案されている。この
場合、フィルタの再生は上記と同様にフィルタの濾過壁
面上で直接パティキュレートに着火、燃焼させて焼却す
る方法が採用されている。

【００１０】しかしながら、捕捉されたパティキュレー
トをフィルタ中で焼却する上記従来の方法では、パティ
キュレートの燃焼熱によってフィルタが溶損したり、フ
ィルタ内部の温度分布あるいは熱衝撃に起因する熱応力
によってフィルタに亀裂が発生するという問題点があっ
た。更に、ディーゼル機関の排気ガス中には、無視でき
ない量の不燃成分（例えば灰分の他、ディーゼル機関や
配管から出る鉄分等）が含有されており、これらの不燃
成分は、焼却によって除去できずにフィルタ上に蓄積さ
れ、長期間の運転によってフィルタの通気圧損が増大す
るという問題もあった。

【００１１】このような問題点を解決する為に、本出願
人は、図７および図８に示すようなディーゼル機関用パ
ティキュレートトラップを提案している。（特開平02-7
5711号参照）即ち、ディーゼル機関101 からの排気管10
2 の途中にパティキュレートトラップが取り付けられて
いる。そして、パティキュレートトラップのケーシング
103の中には、仕切り板110 で排気ガスの流れを２分割
され、それぞれパティキュレートを捕捉する為の図４に
示されたような直交流型のフィルタ104a、104bがシール
材32を介して固定され、収容されている。

【００１２】フィルタ104a、104bには、上方から下方に
貫通する複数の含塵ガス流路34と、一端が前記仕切り板
で閉じられ他端が側方に開口する複数の清浄ガス流路35
とが通気性の多孔質材質の濾過壁で区画されて形成され
ている。一方、ケーシング103 の清浄ガス流路が開口す
る側には、仕切り分割されたそれぞれのフィルタに対応
するように清浄ガスの排出管112a、112bがそれぞれ接続
され、各排出管112a、112bには、排気ガス流の上流側に
向けて開口する圧縮空気噴射用の逆洗ノズル108a、108b
が設けられている。

【００１３】ケーシング103 の下部にはパティキュレー
ト受け部42が配置され、更にここに移されたパティキュ
レートを焼却する為、パティキュレートの着火手段であ
る電気ヒータ121 が設けられている。ディーゼル機関か
らの排気ガスは、排気管102、導入管43を経てフィルタ1
04a、104bの含塵ガス流路34にその上部開口端から導入
される。排気ガスの大部分はフィルタの濾過壁を通過し
て清浄ガス流路35に入り、さらに、排出管112a、112bを
経て排出される。このとき、排気ガス中のパティキュレ
ートは、濾過壁を通過できず、含塵ガス流路34の濾過壁
面に付着堆積する。

【００１４】こうした集塵操作を適宜な時間継続した
後、短時間の逆洗を２つのフィルタ104a,104b に対して
交互に行う。逆洗操作では、先ず開閉弁109aもしくは10
9bを閉じ、０〜１秒の後に電磁弁107aもしくは107bを開
いて圧縮空気容器105 に貯めてある圧縮空気を配管106
を経て逆洗ノズル108aもしくは108bから圧縮空気を、例
えば0.1 〜１秒間噴射する。

【００１５】噴射された圧縮空気は、パルス流となって
フィルタの清浄ガス流路35から濾過壁を通過して含塵ガ
ス流路34へと、パティキュレート捕集操作時とは逆の方
向へ流れる。逆洗操作では、この逆方向のパルス流によ
って、フィルタ104aもしくは104bの含塵ガス流路34の濾
過壁面に付着、堆積していたパティキュレートはフィル
タの濾壁面から剥離する。このときパティキュレートの
一部は含塵ガス流路内に浮遊するが、大部分のパティキ
ュレートはケーシング103 の底部に設けられたパティキ
ュレート受け部42へ落下する。

【００１６】かくして、集塵操作においてフィルタ104
a、104bの含塵ガス流路34内に捕捉されたパティキュレ
ートは、逆洗操作によってパティキュレート受け部42へ
移り、電気ヒータ121 によって着火、焼却される。そし
て、この逆洗操作をフィルタ104aとフィルタ104bについ
て交互に行うことにより、ディーゼル機関の排気ガス中
のパティキュレートを長期間連続して捕捉、処理できる
ようになっている。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このデ
ィーゼル機関用パティキュレートトラップでは、長期間
ディーゼル機関から排出されるパティキュレートを処理
していくと、運転条件によっては一度に多量のパティキ
ュレートを焼却することもあり、その場合このパティキ
ュレートの燃焼熱によって電気ヒータが異常加熱されて
断線したり、あるいは運転時間の経過によって電気ヒー
タの寿命が尽きて断線し、パティキュレートの焼却が行
われなくなることもあった。

【００１８】電気ヒータの断線が起こると、焼却されず
にパティキュレート受け部に残留するパティキュレート
の量が異常に増加し、逆洗によるフィルタの再生、すな
わちパティキュレートの払い落しができなくなり、遂に
はフィルタが完全に目詰まりして、ディーゼル機関の運
転が継続できなくなるという問題があった。

【００１９】本発明はこれらの問題点を解決し、パティ
キュレート受け部においてパティキュレートの着火と焼
却を安定、かつ継続的に行えるディーゼル機関用パティ
キュレートトラップを提供しようとするものである。

【００２０】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を達
成すべくなされたものであり、本発明のディーゼル機関
用パティキュレートトラップは、ディーゼル機関の排気
通路に、濾過壁で区画された含塵ガス流路と清浄ガス流
路とを有するフィルタと、前記含塵ガス流路に含塵ガス
を導入する導入管と、前記清浄ガス流路から流出する清
浄ガスを排出する排出管と、前記清浄ガス流路から前記
濾壁を通って前記含塵ガス流路へと逆方向に流れるガス
流を間欠的に発生させる逆洗手段と、逆洗によってフィ
ルタの濾過壁から払い落とされたパティキュレートを受
けるように配置されたパティキュレート受け部とが配置
され、かつ前記パティキュレート受け部に２個以上の電
気ヒータが設けられていることを特徴とする。

【００２１】本発明のディーゼル機関用パティキュレー
トトラップの好ましい態様では、前記２個以上の電気ヒ
ータへ交互あるいは順次に断続的に電気を供給してい
る。本発明のディーゼル機関用パティキュレートトラッ
プの他の好ましい態様では、前記フィルタが、通気性の
多孔質材料から成る濾過壁によって区画された２組の互
いに交差するガス流路を有する直交流型のフィルタであ
る。

【００２２】本発明のディーゼル機関用パティキュレー
トトラップの他の好ましい態様では、前記フィルタが濾
過壁で区画され、かつ互いに平行な方向に延在する多数
のセルを有するハニカム構造を備え、ガス流路となるセ
ルの内の所定のセルについては一方の端部を閉じ、残余
のセルについては他方の端部を閉じているハニカム型の
フィルタである。

【００２３】本発明のディーゼル機関用パティキュレー
トトラップでは、１つのパティキュレート受け部に２個
以上の電気ヒータが着火手段として配置されているの
で、広い面積に亘ってパティキュレートへの着火が行わ
れるとともに、もしも１個の電気ヒータが断線しても、
直ちにはパティキュレートの焼却処理が停止せず、電気
ヒータを交換するまでの間、運転を継続することができ
る。また、複数の電気ヒータに交互あるいは断続的に通
電することにより、パティキュレートへの着火、焼却を
確実に行い、かつ全体の電気消費量を電気ヒータ１個の
場合と同等量に節約することができる。

【００２４】図４に示されている、板状体の対向する端
面から端面へと貫通する相互に平行な複数の孔が形成さ
れているフィルタ素子を互いに間隔をおいて積層して構
成される直交流型のフィルタでは、含塵ガスのフィルタ
への入り口とパティキュレートの落下口を別々に設ける
ことができ、パティキュレートの移動方向を重力と排気
ガスの流れに逆らわないように設定できることから逆洗
を行うディーゼル機関用パティキュレートトラップに好
適なフィルタであるといえる。

【００２５】一方、ハニカム型のフィルタは、逆洗時に
おける逆洗ガスの流れ方向をパティキュレートの捕集操
作時とはまったく逆方向にする必要がある点でパティキ
ュレートのパティキュレート受け部への移動がやや不利
であるが、隔壁がほとんどすべて濾過壁として利用でき
るため容積当りの有効濾過面積が大きくできる点で優れ
ている。

【００２６】本発明のパティキュレートトラップのフィ
ルタ部としては、これまでにディーゼル機関用のパティ
キュレートトラップとして知られている方法および構造
を適宜用いて構成することができ、その目的が達成でき
る範囲で設計変更が可能である。また、本発明のパティ
キュレートトラップにおいては、２個以上の電気ヒータ
からなる着火手段は、１つのパティキュレートトラップ
受け部について設けられるものであり、２個以上の電気
ヒータで構成される着火手段でも、その一部の電気ヒー
タの断線によってパティキュレートトラップが機能しな
くなるものは２個以上の電気ヒータとはいわない。

【００２７】そして、これら電気ヒータのパティキュレ
ート受け部への配置は、パティキュレート受け部に集積
されたパティキュレートをできるだけ効率よく燃焼焼却
できるように行われる。なお、これら電気ヒータは通常
は交互あるいは順次断続的に通電加熱されるが、一部の
電気ヒータが断線あるいは故障したとき、これを検知し
てアラームを出し、電気ヒータの交換を促すように構成
するのが好ましい。

【００２８】

【実施例】以下本発明を実施例によってより詳しく説明
する。図１は、本発明によるディーゼル機関用パティキ
ュレートトラップの一実施例を示したものであり、図２
はその側面図である。同図において、ディーゼル機関10
1 には排気ガスを排出する排気管102 が接続されてお
り、この排気管102 にパティキュレートトラップの導入
管が接続されている。このパティキュレートトラップの
ケーシング103 中には、パティキュレートを捕捉するた
めのフィルタ104 がシール材32を介して収容されてお
り、かつこのケーシング103 の内部は、仕切板110 によ
ってフィルタ104 が104aと104bの２系統に分割されてい
る。

【００２９】即ち、左側フィルタ104aに導かれた排気ガ
スは、左側の排出管112aより排出され、一方、右側フィ
ルタ104bに導かれた排気ガスは右側排出管112bより排出
される。フィルタ104a、104b のそれぞれの下流の排出管
112a、112b には、圧縮空気容器105 から配管106 および
電磁弁107a、107b を経て接続されている逆洗ノズル108
a、108b が配置されている。ケーシング103 の底部にあ
るパティキュレート受け部42には、２本のシーズ型電気
ヒータ121a、121b が取付られている。

【００３０】また、排気ガス中の残留酸素濃度が低い場
合にもパティキュレートの燃焼が確実に行われるよう
に、このヒータ加熱部には圧縮空気容器105 と配管106
により接続された燃焼用空気供給ノズル122 が配置され
ている。なお、ディーゼル機関の運転状況、ディーゼル
機関の型式等により、排気ガス中の残留酸素濃度が比較
的高い場合には、この燃焼空気供給ノズル122 からの空
気の供給は必ずしも必要ではない。

【００３１】逆洗ノズル108a、108b が設けられている下
流の排出管112a、112b には、それぞれ開閉弁109a、109b
が配置されている。開閉弁109a、109b としては、例えば
ディーゼル機関駆動のトラックで使用されているエキゾ
ーストブレーキ用バタフライ弁が好適に使用できる。な
お、圧縮空気容器105 は、配管106 を経て図示されてい
ないコンプレッサに接続されている。

【００３２】本発明においてフィルタ104a、104b として
は、通気性の多孔質セラミックスからなるものが耐腐食
性、耐熱性、耐久性の点で特に好ましく、例えば図５、
図６および図４に示したようなセラミックス製のフィル
タ（たとえばコーディエライト製のもの）が使用でき
る。図４には、フィルタ素子51を複数枚積層、接合して
なるフィルタが示されている。フィルタ素子51のリブ58
は、隣接するフィルタ素子51と耐熱性の接着剤による接
合、パッキンなどを挟み込んでの締め付け、あるいはフ
ィルタ素子を積層した状態で焼成と同時に一体化させる
などの手段によって気密的に接合されている。

【００３３】その結果、フィルタ素子51相互の間にリブ
58によって区画されたガス流路62が孔34の開口面とは異
なる端面に開口するように形成される。なお、このリブ
58を設ける代わりに、接着剤自身の厚み、あるいは、同
質材からなる帯状のスペーサを挟んで隣接するフィルタ
素子51間の間隔を確保することももちろん可能である。

【００３４】また図３には、本発明によるディーゼル機
関用パティキュレートトラップに好ましく使用できるシ
ーズ型の電気ヒータの例を斜視図で示してある。図１の
例では、外径8mm 、表面電力密度3W／cm² 、電源24VDC
のＵ字形をしたシーズ型電気ヒータ121a、121b が使用さ
れている。電気ヒータ121a、121b は、パティキュレート
の着火を確実にし、かつ電気ヒータの耐久性を確保する
ために、表面温度が550 〜700 ℃の範囲にあるように設
定される。

【００３５】電気ヒータ121 のシーズ材126 としては、
パティキュレート中に含まれる硫酸酸性成分に対して耐
食性を有する金属材料、例えばステンレス310S、インコ
ネル600 を用いるとよい。ヒータコイル125 としては、
ニクロム線、カンタル線が用いられ、例えばマグネシア
粉末などの絶縁材127 によりヒータコイルとシーズ材と
の間は絶縁されている。

【００３６】従来のディーゼル機関用パティキュレート
トラップの場合には、図７および図８に示されているよ
うに、パティキュレート受け部42には着火手段である１
個の電気ヒータが配置されている。そして長期間ディー
ゼル機関を運転して、パティキュレートの焼却を続ける
と、運転条件によっては多量のパティキュレートが排出
され、そのパティキュレートがフィルタの逆洗によって
パティキュレート受け部42に多量に払い落とされた場
合、このパティキュレートの燃焼熱によって電気ヒータ
が異常加熱されて断線してしまうことが起こる。

【００３７】また、長期間の運転によって電気ヒータが
寿命に達して、同じく電気ヒータの断線という事態が起
こることもあった。この電気ヒータの断線が起こると、
その後パティキュレートの焼却が継続して行われなくな
ってしまい、結果としてパティキュレートトラップが機
能を停止することになる。

【００３８】一方、本発明のディーゼル機関用パティキ
ュレートトラップの如く、２個以上の電気ヒータがパテ
ィキュレート受け部42に着火手段として配置されていれ
ば、もしも１個の電気ヒータが断線した場合、パティキ
ュレート受部に一部のパティキュレートが残存すること
はあっても、パティキュレートの焼却は継続されるの
で、電気ヒータ交換までの期間、このディーゼル機関の
運転を継続することができる。このことは、たとえばデ
ィーゼル機関駆動トラックの場合、運転中に電気ヒータ
の断線が起きても、直ちにディーゼル機関を停止する必
要がなく、サービス拠点までそのまま運転していけるこ
とになる。

【００３９】次に、図１および図２に例示した本発明の
ディーゼル機関用パティキュレートトラップにより、実
際にパティキュレートを捕捉、除去する方法についてさ
らに説明する。通常のディーゼル機関の運転状態では、
開閉弁109a、109b は両方共全開としてあり、パティキュ
レートを含んだ排気ガスは、ディーゼル機関101 から排
気管102 を通り、導入管43を経てケーシング103 内のフ
ィルタ104aとフィルタ104bに流入する。そして、フィル
タ104aとフィルタ104bにより排気ガス中のパティキュレ
ートが捕捉され、清浄ガスとなって排出管112a、112b を
経て系外へ放出される。

【００４０】捕捉されたパティキュレートは、フィルタ
104a、104b の濾過壁に堆積し、フィルタ104a、104b の通
気圧損が時間と共に増加してくる。そこで、フィルタの
逆洗再生をフィルタ104aとフィルタ104bのそれぞれにつ
いて時間をずらして交互に行う。逆洗操作は、先ず開閉
弁109aを全閉として、ディーゼル機関101 からの排気ガ
スをフィルタ104b、開閉弁109bおよび排気管102bにのみ
流す。そして、t₁秒後に電磁弁107aをt₂秒間開放して、
逆洗ノズル108aより圧縮空気を t₂ 秒間噴出せしめ、フ
ィルタ104aの逆洗再生を行う。

【００４１】圧縮空気の噴出が終了した後、t₃秒後に再
び開閉弁109aが開放され、ディーゼル機関101 からの排
気ガスは、フィルタ104b、104a、開閉弁109b、109a、お
よび排出管112b,112a の両方を再び流れる。そして、フ
ィルタ104aの逆洗操作終了のt₄ 秒後には、今度はフィ
ルタ104bの逆洗再生を上記と同様に行う。これらの一連
の操作によって、フィルタ104a、104b の逆洗再生がなさ
れる。

【００４２】これらの一連の逆洗操作は、t₅秒毎に行わ
れ、以降このような逆洗再生サイクルを、ディーゼル機
関の運転期間中継続的に行う。t₁〜t₅の時間について
は、フィルタ104a、104b の通気圧損が長期に亘って一定
のレベル以下に維持されるように、個々のケースによっ
て適宜調整され、一連の逆洗操作は、好ましくは通気圧
損を検知するセンサなどの信号に基づいてコンピュータ
制御などにより自動的に行われる。

【００４３】通常、t₁は0.05〜３秒、好ましくは0.05〜
0.5 秒、 t₂ は0.02〜２秒、好ましくは0.02〜0.1 秒、
またt₃は0.05〜３秒、好ましくは0.05〜0.5 秒程度、t₅
は2〜30分、好ましくは4 〜20分とされ、t₄はt₅より短
くすれば良い。また、燃焼用空気供給ノズル122 から
は、圧縮空気容器105 に貯めてある加圧空気の一部を、
毎分５〜50リットル、好ましくは10〜30リットルでパテ
ィキュレート焼却部に連続的あるいは断続的に供給す
る。着火手段である電気ヒータ121a、121b には、ヒータ
表面温度が550 〜700 ℃となるように100 〜400 Ｗの電
力を交互あるいは断続的（２〜５分毎）に供給する。

【００４４】かくして、本発明のディーゼル機関用パテ
ィキュレートトラップでは、パティキュレート受け部４
２におけるパティキュレートの焼却を長期間安定して行
うことが可能となるとともに、電気ヒータの断線時の処
置が容易になった。

【００４５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のディーゼ
ル機関用パティキュレートトラップでは、パティキュレ
ート受け部に着火手段として２本以上の電気ヒータを配
置しているので、もしも１本の電気ヒータに異常が起こ
り断線しても、残りの電気ヒータによってパティキュレ
ートの焼却が継続され、故障した電気ヒータを交換する
までの間、ディーゼル機関の運転を継続することができ
る。

【００４６】この結果、例えばディーゼル機関駆動のト
ラックを運転中に、電気ヒータの断線が起こっても、す
ぐにディーゼル機関を停止する必要がなく、最寄りのサ
ービス拠点までそのまま運転して移動することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるディーゼル機関用パティキュレー
トトラップの一実施例の構成を説明するための断面図

【図２】図１の右側面図

【図３】本発明によるディーゼル機関用パティキュレー
トトラップの一部品であるシーズ型電気ヒータの一例を
示す斜視図

【図４】本発明によるディーゼル機関用パティキュレー
トトラップに好適な直交流型フィルタの斜視図

【図５】本発明のディーゼル機関用パティキュレートト
ラップで用い得るフィルタの一例であるハニカム型フィ
ルタを示す斜視図

【図６】本発明のディーゼル機関用パティキュレートト
ラップに用い得るフィルタの一例である直交流型フィル
タの斜視図

【図７】従来技術によるディーゼル機関用パティキュレ
ートトラップの概要を説明する断面図

【図８】図７の右側面図

【符号の説明】

1,20,104,104a,104b フィルタ 2,22 濾過壁 3,3a,3b セル 4,32 シール材 27,28,62 ガス流路 34 含塵ガス流路 35 清浄ガス流路 42 パティキュレート受け部 43 導入管 51 フィルタ素子 58 リブ 101 ディーゼル機関 102 排気管 103 ケーシング 105 圧縮空気容器 106 配管 107a,107b 電磁弁 108a,108b 逆洗ノズル 109a,109b 排気開閉弁 110 仕切板 112a,112b 排出管 121,121a,121b 電気ヒータ 122 燃焼用空気供給ノズル 125 ヒータコイル 126 シーズ材 127 絶縁材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ディーゼル機関の排気通路に、濾過壁で区
画された含塵ガス流路と清浄ガス流路とを有するフィル
タと、前記含塵ガス流路に含塵ガスを導入する導入管
と、前記清浄ガス流路から流出する清浄ガスを排出する
排出管と、前記清浄ガス流路を通って前記含塵ガス流路
へと逆方向に流れるガス流を間欠的に発生させる逆洗手
段と、逆洗によってフィルタの濾過壁から払い落とされ
たパティキュレートを受けるように配置されたパティキ
ュレート受け部とが設けられており、かつ前記パティキ
ュレート受け部に２個以上の電気ヒータからなるパティ
キュレート着火手段を設けたディーゼル機関用パティキ
ュレートトラップ。
【請求項２】前記２個以上の電気ヒータへ交互または断
続的に電気を供給するように構成した請求項１に記載の
ディーゼル機関用パティキュレートトラップ。