JPH0578804A - 溶融めつき浴温度制御方法 - Google Patents

溶融めつき浴温度制御方法

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JPH0578804A
JPH0578804A JP3239850A JP23985091A JPH0578804A JP H0578804 A JPH0578804 A JP H0578804A JP 3239850 A JP3239850 A JP 3239850A JP 23985091 A JP23985091 A JP 23985091A JP H0578804 A JPH0578804 A JP H0578804A
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和孝 田村
Akiyoshi Honda
昭芳 本田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融めっきラインにおける亜鉛めっき浴誘導
加熱方式の制御において、めっき浴誘導加熱装置の運転
を一定出力に制御するために、めっき浴進入鋼板の持込
み熱量を制御することでめっき浴の温度を一定に制御す
る。 【構成】 2のプロコンに3からの亜鉛めっき浴温度と
6からの冷却帯出側鋼板温度と7からのスナウト炉温と
鋼板情報と鋼板ライン速度を入力する。4の亜鉛めっき
浴制御器には温度を設定する。プロコンは5の鋼板温度
指示制御器に最適制御温度を指示する。5の鋼板温度指
示制御器は8の冷却装置を制御する。4の亜鉛めっき浴
制御器は9の誘導加熱装置を制御する。 【効果】 めっき浴性欠陥である微小粒状疵等を大幅に
減少させ鋼板の品質向上に大きく寄与する効果があっ
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融めっきラインにお
ける亜鉛めっき浴誘導加熱装置の運転を一定出力に制御
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にめっき浴温度は、高品質な溶融亜
鉛めっき被膜を確保するために一定温度(460℃前
後)に保つことが好ましく、めっき浴誘導加熱装置の出
力または、めっき浴直前の冷却帯の出側鋼板温度を操作
する方法が考えられる。
【0003】通常では、熟練操作員がめっき浴進入鋼板
温度がめっき浴温度より数℃高めになるように、冷却帯
の出側鋼板温度を設定し誘導加熱装置の低出力運転を維
持している。ここで、低出力運転とは、本発明を適用し
た設備において、溶融亜鉛めっき浴容積180tonに
対して200kw/h以下の出力をいう。また、これに
対し高出力運転とは、同設備において400kw/h以
上をいう。
【0004】ところが、冷却帯出側鋼板温度が一定で
も、鋼板速度、板厚、板幅等が変化するとスナウト部に
おける冷却のため、めっき浴進入の鋼板温度が変化す
る。また、常温のインゴットの緩慢な周期による補給で
めっき浴が熱損失し、さらにめっき鋼板が持ち出す熱
量、めっき浴からの熱放散等により、めっき浴温度は徐
徐に下がる。
【0005】このとき、めっき浴温度が下がった場合、
めっき浴誘導加熱装置が作動し、誘導装置が高出力にな
ると、めっき浴を攪拌しめっき浴中ドロス(浮遊ドロス
や沈みドロス)が鋼板とめっき浴中ロールの間に流れこ
み、めっき被膜表面にめっき浴性欠陥(微小粒状疵)が
発生する問題があった。また、めっき浴攪拌は、めっき
浴の反応を促進し、浴中ドロスの発生を多くする問題も
あった。
【0006】鋼板がめっき浴に進入するスナウト内部
は、亜鉛ヒュームが妨害し、スナウト内の鋼板温度の実
測は困難であり、スナウト数メートル手前の数℃〜数1
0℃高い冷却帯出側鋼板温度を操作員が設定操作してい
た。このため、熟練操作員でも完璧な操作は困難であっ
た。
【0007】さらに、特開昭59−173257号公報
「溶融亜鉛めっき特別強力鋼線の製造法」、特開平2−
133559号公報「溶融金属めっき方法」のようにめ
っき浴温度やめっき浴組成調整の発明は提案されている
が、本発明のように、めっき浴誘導加熱装置の高出力運
転時のめっき浴性欠陥(微小粒状疵)等の欠陥を防止す
る制御方法は提案されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題を以下に示す。めっき浴誘導加熱装置の高出力
時にめっき浴攪拌することを避けるためには、めっき浴
誘導加熱装置を一定出力で運転させると良い。ところ
が、めっき浴誘導加熱装置の低出力運転は、外乱のない
状態でめっき浴温度460℃の維持は可能であるが、操
業中は、常温のインゴットの緩慢な周期による補給でめ
っき浴が熱損失し、さらにめっき鋼板が持ち出す熱量、
めっき浴からの熱放散等により、めっき浴温度が低下
し、誘導加熱装置の高出力運転が発生する。
【0009】このことにより、めっき浴の反応を促進
し、浴中ドロスの発生を多くし、めっき被膜表面にめっ
き浴性欠陥(微小粒状疵)が発生する問題を生じる。こ
のため、誘導加熱装置の高出力運転を極力避けなればな
らない。低出力運転と高出力運転の間は、ドロスの発生
が条件により変化するため、ドロスが発生しないように
するには低出力運転を維持することが必要である。
【0010】このように上記問題を避けるためには、め
っき浴等からの熱放出分を鋼板からの持込み熱量で補償
してやれば良い。このために、めっき浴に進入する鋼板
の諸条件(板厚、板幅、鋼板速度、鋼種等)が変化して
も、鋼板からの持込み熱量でめっき浴の熱放出分を補償
するようにめっき浴誘導加熱装置の出力を計算し、常に
低出力で維持できるようにすることである。この方法と
して、本発明は、めっき浴進入鋼板温度をめっき浴の熱
収支から計算し冷却帯鋼板温度を制御するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】課題を解決するための手
段として本発明は、溶融めっきラインにおける亜鉛めっ
き浴誘導加熱方式の制御において、めっき浴誘導加熱装
置の運転を一定出力に制御するために、鋼板がめっき浴
に進入する直前の冷却帯の出側鋼板温度をめっき浴の熱
収支から計算し、めっき浴進入鋼板の持込み熱量を制御
することでめっき浴の温度を一定に制御するめっき浴温
度制御方法とするものである。
【0012】
【作用】本発明の作用を次に説明する。めっき浴誘導加
熱装置は、低出力で目標めっき浴温度(例えば460
℃)を越えないように制御しておく。この状態で鋼板か
らのめっき浴への受渡し熱量が変化するとき(板厚、板
幅、鋼板速度、鋼種等が変化するとき)に、鋼板の持込
み熱量を計算し、めっき浴の熱損失分を補償しめっき浴
温度が一定でかつ管理値におさまるように冷却帯出側鋼
板温度を設定制御する。
【0013】
【実施例】本発明の福山製鉄所No.2CGLでの実施
例を以下に説明する。めっき浴温度制御において、めっ
き浴温度、スナウト炉温、冷却帯出側鋼板温度実績値、
鋼板情報(板厚、板幅、鋼板速度、鋼種等)をプロセス
コンピュータ(以後プロコンという)に入力し、プロコ
ンから冷却帯出側鋼板温度目標値を設定する制御ループ
を図1に示す。
【0014】1は亜鉛めっき浴、2はプロコン、3は亜
鉛めっき浴温度センサ、4は亜鉛めっき浴制御器、5は
鋼板温度指示制御器、6は冷却帯出側鋼板温度センサ、
7はスナウト炉温センサ、8は冷却装置、9は誘導加熱
装置、10は鋼板を示す。
【0015】2のプロコンに3からの亜鉛めっき浴温度
と6からの冷却帯出側鋼板温度と7からのスナウト炉温
と鋼板情報(板厚、板幅、鋼板速度、鋼種等)と鋼板ラ
イン速度を入力する。4の亜鉛めっき浴制御器には例え
ば460℃の温度を設定する。プロコンは上記入力情報
をもとに鋼板温度を演算し5の鋼板温度指示制御器に最
適制御温度を指示する。5の鋼板温度指示制御器は、6
の冷却帯出側鋼板温度とプロコンの最適制御温度をもと
に8の冷却装置を制御する。4の亜鉛めっき浴制御器
は、3の亜鉛めっき浴温度を入力し亜鉛めっき浴温度が
設定温度になるように9の誘導加熱装置を制御する。
【0016】次に本発明のめっき浴誘導加熱装置を低出
力でめっき浴温度を一定(目標温度460℃)にするた
めの最適な鋼板侵入温度を計算している計算式を示す。
この式で求めた冷却帯出側鋼板温度を鋼板温度指示制御
器に設定指示するとめっき浴温度を一定に維持できる。
【0017】
【数1】
【0018】(1)式は下記の熱収支式より導いてい
る。このめっき浴の熱収支の概念図を図2に示す。 Qin:投入熱量 QOUT :持ち出し熱量 QinとQout は次の内容を意味している。 Qin=(めっき浴誘導加熱装置低出力時の加熱熱量)+
(鋼板が持ち込む熱量)+(亜鉛インゴットが持ち込む
熱量) (イ) Qout =(鋼板が持ち出す熱量)+(めっき皮膜が持ち
出す熱量)+(大気への放散熱量) (ロ)
【0019】ところで、QinとQout とは次に示す前提
が成立するものと仮定している。 前提1:進入鋼板は、めっき浴通過中にめっき浴温度と
等しくなる。 前提2:めっき浴レベルは一定である。すなわち、亜鉛
皮膜による持ち出し亜鉛量と補給亜鉛インゴット量は等
しく制御されている。
【0020】以上の前提より、(イ)式と(ロ)式の各
項は下式で表現できる。
【0021】
【数2】
【0022】めっき浴温度が一定であるためには、投入
熱量と持ち出し熱量が等しければ良い。すなわち、 Qin=Qout (ホ) (ホ)式に(ハ)式と(ニ)式を代入するとめっき浴温
度を一定にするための進入鋼板温度式(1)式が導かれ
る。
【0023】さらに、(1)式で求めた進入鋼板温度と
なる冷却帯出側鋼板温度を下記(2)式の鋼板温度に関
する微分方程式(例えば、ルンゲークッタ方式とニュー
トン・ラプソン式)を使用して求める。
【0024】
【数3】
【0025】この(2)式で求めた鋼板温度を下位の5
の鋼板温度指示制御器に設定すると、めっき浴温度は一
定に維持できる。なお、鋼板温度の設定指示制御温度
は、460℃から470℃程度である。
【0026】冷却帯鋼板温度計算は、基本的にはめっき
浴通過中の鋼板情報から(1)式を使用して計算する。
また、(2)式を使用し特異点制御(板厚、板幅、鋼種
または目標付着量が異なる鋼板接続部のフィードフォワ
ード制御)も行う。これは、後続鋼板の情報を使用して
計算し、特異点がめっき浴通過前に早めに冷却帯出側鋼
板温度を設定して、鋼板接続部のめっき浴温度はずれを
防止するするものである。
【0027】また、制御値の設定タイミングは、速度変
更時と特異点がめっき浴通過前の2種類がある。鋼板速
度が変更された時の設定操作とその時の制御効果を図3
に、特異点通過時の設定操作とその時の制御効果を図4
に示す。図3は、板厚が一定でライン速度を遅くした場
合に、冷却帯出側板温を上昇させたときのめっき浴誘導
加熱装置の出力とめっき浴温の変化の様子を示してい
る。この場合、めっき浴誘導加熱装置の出力は一定で
も、めっき浴温は一定である。図4は、ライン速度が一
定で板厚が薄く変化した場合に、冷却帯出側板温を上昇
させたときのめっき浴誘導加熱装置の出力とめっき浴温
の変化の様子を示している。この場合も、めっき浴誘導
加熱装置の出力は一定でも、めっき浴温は一定である。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によると、めっき浴
進入鋼板の持込み熱量によって、めっき浴の放出熱分を
補償するように冷却帯出側鋼板温度を制御するように構
成したので、めっき浴誘導加熱装置は常に低出力で運転
できる。このことにより、溶融亜鉛めっき浴の温度は一
定に制御され過大なめっき浴攪拌の発生を防止し、めっ
き浴性欠陥である微小粒状疵等を大幅に減少させ鋼板の
品質向上に大きく寄与する効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロコンから冷却帯出側鋼板温度目標値を設定
する制御ループ図である。
【図2】めっき浴熱収支の概念図である。
【図3】鋼板速度が変更された時の設定操作とその時の
制御効果を示す図である。
【図4】特異点通過時の設定操作とその時の制御効果を
示す図である。
【符号の説明】
1 亜鉛めっき浴 2 プロコン 3 亜鉛めっき浴温度センサ 4 亜鉛めっき浴制御器 5 鋼板温度指示制御器 6 冷却帯出側鋼板温度センサ 7 スナウト炉温センサ 8 冷却装置 9 誘導加熱装置 10 鋼板 11 亜鉛めっき鋼板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融めっきラインにおける亜鉛めっき浴
    誘導加熱方式の制御において、めっき浴誘導加熱装置の
    運転を一定出力に制御するために、鋼板がめっき浴に進
    入する直前の冷却帯の出側鋼板温度をめっき浴の熱収支
    から計算し、めっき浴進入鋼板の持込み熱量を制御する
    ことでめっき浴の温度を一定に制御することを特徴とし
    ためっき浴温度制御方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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