JPH0574576B2 - - Google Patents

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JPH0574576B2
JPH0574576B2 JP59198899A JP19889984A JPH0574576B2 JP H0574576 B2 JPH0574576 B2 JP H0574576B2 JP 59198899 A JP59198899 A JP 59198899A JP 19889984 A JP19889984 A JP 19889984A JP H0574576 B2 JPH0574576 B2 JP H0574576B2
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sulfate
lpf
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Akihiro Ginnaga
Mitsuo Sako
Hisashi Kitagawa
Susumu Sakuma
Hiroshi Kiba
Tsukasa Nishihara
Sadahiro Hirashima
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Publication of JPH0574576B2 publication Critical patent/JPH0574576B2/ja
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/08Clostridium, e.g. Clostridium tetani
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/05Actinobacteria, e.g. Actinomyces, Streptomyces, Nocardia, Bifidobacterium, Gardnerella, Corynebacterium; Propionibacterium
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/02Bacterial antigens
    • A61K39/099Bordetella

Description

【発明の詳細な説明】
〔発明の技術分野〕 本発明は百日ぜきコンポーネントワクチンおよ
び百日ぜき・ジフテリア・破傷風混合ワクチンの
製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、
後述する特別な方法で百日ぜき菌培養物より高純
度に精製し、得られるF−HA(Filamentous
Hemagglutinin 線維状赤血球凝集素)またはそ
のトキソイドと、公知または後述する方法で百日
ぜき菌培養物より高純度に精製し得られるLPF
−HA(Leucooytosis−Promoting Faotor
Hemagglutinin、リンパ球増多因子赤血球凝集
素)のトキソイドとを混合することよりなる改良
された百日ぜきコーポネントワクチンの製造方法
およびこの改良された百日ぜきコーポネントワク
チンを用いた百日ぜき・ジフテリア・破傷風混合
ワクチンに関する。 百日ぜきは我が国では届出伝染病に指定されて
おり、乳児〜幼児に多発する公衆衛生上重要な感
染症である。とくに乳児では重症経過をたどるこ
とが多く、時には死亡例もみられる。この疾病は
古くからワクチンによる予防が効果的であること
が知られており、原因菌である百日ぜき菌I相菌
の全菌体の不活性ワクチンが広く用いられてい
た。しかし、このような菌体不活性ワクチンは副
作用が強くそのため一時期にはワクチンの接種が
中止されていた。その一方、百日ぜきによる乳幼
児の疾病は大きな問題となつており、副作用のな
いワクチンの製造が熱望されていた。 〔従来技術〕 先に、佐藤らは感染防御抗原に関する基礎的研
究をもとにして画期的なコンポーネントワクチン
である沈降百日ぜき精製ワクチンの製造に成功し
た(特公昭57−5203号を参照)。このワクチンは
F−HAおよびLPF−HAを主として含んだHA
画分を主な感染防御抗原とし、全身反応としての
発熱などの副作用をほとんど示すことなく優れた
予防効果を有するものであつてすでに実用化され
ている。 この実用化されているワクチンの製造には、百
日ぜきI相菌を適当な培地に接種し、35℃前後で
5日間精置培養し、培養液を遠心し、その上清に
硫酸アンモニウムを約50%飽和になるように加え
るかアルコール添加し、生じた沈殿を10000rpm、
30分間遠心して分離し、この沈殿を塩化ナトリウ
ム添加緩衝液にて抽出し、その抽出画分を常法に
よりシヨ糖密度勾配遠心にかけて百日ぜきHA画
分を回収し、ホルマリンで無毒化処理してワクチ
ンとしている。このワクチンはコンポーネントワ
クチンと称されているものの〔Sato Y.et.al,
The Lancet (1),122−126(1984)〕、この文献
中にみられるように、この百日ぜきワクチン成分
は主としてF−HAおよびLPF−HAを含むもの
であるが、そのF−HAとLPF−HAのワクチン
中に含有される量比をコントロールし難く各ワク
チンメーカーで異なり、さらにそれ以外の成分も
含有され、むしろアセルラーワクチン
(Acellular vaccine)と呼ぶにふさわしいものと
考えられる。 佐藤等の方法は、さらに、これにジフテリアト
キソイド、破傷風トキソイドを加え、さらに必要
にどりアルミニウムアジユバンド処理を行ない、
ゼラチン、グルコース等の安定剤を添加して沈降
精製百日ぜき、ジフテリア、破傷風混合ワクチン
としている。ところが、最近になつて、発赤、腫
脹、硬結等の局所反応についての臨床所見が少な
からず報告されており、このワクチンも必ずしも
万全なものでない(水原春郎、日本細菌学雑誌、
38(1)、1983、および川上勝朗、第15回日本小児感
染免疫学研究会抄録1983)。 さらにまた、百日ぜき菌I相菌の産生する物質
又は菌体由来の感染防御抗原としてのF−HAお
よびLPF−HAの役割が注目され、最近の研究で
はその役割が極めて重要であることが報告されて
いる〔Sato Y.et.al,Infect.Immun.,31,1223
〜1231(1981);Sato Y.et.al,Seminars in
Infectious Diseases IV,Bacterial Vaccine.,
380〜385(1982)〕。 従つて、局所反応等副作用のない百日ぜきワク
チン成分としてのF−HAおよびLPF−HAは高
純度であることが重要であり、しかも工業的生産
のためには簡単かつ大量に単離精製することが望
まれている。そのようにすれば、ワクチンとして
必要十分量の抗原を所望量調合することが可能と
なる。 従来知られているF−HAの採取精製法として
は、百日ぜき菌培養上清を硫安分画し、蔗糖密度
勾配遠心にかけ、さらにゲルろ過を2回くり返し
百日ぜき菌F−HAを得る方法がある〔Sato Y.
et.al;Infeot.Immun.9,801(1974)〕。しかしな
がらこの方法は、工程が多く複雑であり、しかも
F−HAの収率が低い等の欠点があり、工業的な
精製法としては採用し難い。 また同様に百日ぜき菌F−HAを精製した例と
して、イオン交換クロマトグラフイー、ゲルろ過
による方法〔Arai,H.et.al.;Infect.Immun.,
25,460(1979)〕があるが、この方法によれば、
F−HAの収率が低いうえに、百日ぜき菌内毒素
の除去が困難であり、実用には供し難い。 さらに別の例として、ハイドロキシアパタイト
吸着クロマトグラフイー、ハプトグロビアン・ア
フイニテイクロマトグラフイー、硫安分画、ゲル
ろ過を組合わせる方法〔Cowell,J.L.et.al;
Seminars in Infeetious Diseases IV,
Bacterial Vaccine.37,1(1982)〕およびハイド
ロキシアパタイト吸着クロマトグラフイー、特異
抗体・アフイニテイクロマトグラフイー、蔗糖密
度勾配超遠心分離を組合わせる方法〔渡辺ら;日
本細菌学雑誌,38,423(1983)〕があるが、これ
らの方法は工程が非常に長く複雑であるうえに、
F−HAの収率が低く、さらにハイドロキシアパ
タイトは高価であり、また上記において用いられ
ているアフイニテイクロマトグラフイゲルは市販
されておらず、これらの調製は非常に手間がかか
るうえに、原材料が非常に高価である。このよう
な種々の欠点のため、上記方法もF−HAの工業
的で安価な採取方法とはなり得ない。 一方、LPF−HAの採取精製法では、百日ぜき
菌培養物を硫安塩析し、ついで抽出、透析したも
のを出発材料とし、これをイオン交換クロマトグ
ラフイー、ゲルろ過〔Arai.H.et.al;Biochimioa
et Biophy sica Acta,444,765(1976)〕、ある
いはシヨ糖濃度勾配遠心〔Sato.Y.et.al;Infect.
Immun.,6,897〜704,(1972)〕などによつて
精製する方法が採用されている。しかしながら、
このような方法では、電気泳動法による純度分析
で1本のバンドのLPF−HAを得ることは難し
く、またその収量も少ない。 高純度のLPF−HAを比較的大量に得る方法と
して、百日ぜき菌培養上清液をハイドロキシアパ
タイトのカラムに通してLPF−HAを吸着させ、
洗浄、溶出後、コンカナバリンA−セフアロース
(ConA−Sepha−rose.フアルマシア社製)によ
るアフイニテイクロマトグラフイーで精製する方
法が提案されている〔Yajima.M.et.al.;J.
Biochem.83,295〜303(1978)〕。しかしなが、こ
のコンカナバリンAをリガンドとするアフイニテ
イクロマトグラフイーは、LPF−HAのみと親和
性を有するのではなく、糖類や糖脂質さらに他の
糖蛋白質なども吸着するため、百日ぜき菌の他の
成分、たとえば、菌体膜成分なども吸着し、所望
のLPF−HAを高純度で単離することが難しい。
しかも、そのハイドロキシアパタイトのカラム操
作に長時間を要するため、LPF−HAの活性低下
の恐れがあるほかハイドロキシアパタイトが高価
であるために、LPF−HAを工業的にかつ安価に
採取するには問題があり、優れたアフイニテイク
ロマトグラフイーとはいえない。 最近、ヒトハプトグロビンがLPF−HAに特異
的に結合することが発見されて以来、上記の方法
におけるコンカナバリンAの代わりに、このヒト
ハプトグロビンをリガンドとして用いるアフイニ
テイクロマトグラフイーでLPF−HAを精製する
方法が試みられている〔Irons,et.al.L;
Biochimica et Biophisioa Acta,580,175〜
185(1979)〕、およびCowell.J.et.al;Seminars in
Infectious Diseases IV,Bacterial Vaccine,
371〜379(1982)〕。また、この方法の変法として、
百日ぜき菌菌体を機械的に破砕して菌体成分から
LPF−HAを抽出し、硫安分画したものを出発材
料として用い、これをハプトグロビンまたはセル
ロプラスミンなどのプラズマシアロプロテインあ
るいは唾液ムチンなどのシアロプロテイン類をリ
ガンドとするアフイニテイクロマトグラフイーに
てLPF−HAを採取する方法が提案されている
(英国公開特許第2015531号)。これらハプトグロ
ビン等をリガントするアフイニテイクロマトグラ
フイーによる方法は、現在のところ唯一の工業的
な許容できる純度のLPF−HAの精製法として期
待されている。 このように、現在まで、F−HAについては満
足できる高純度製品を工業的に採取精製する方法
はなく、またLPF−HAについては上記パプトグ
ロビンリガントアフイニテイクロマトグラフイー
による方法のみが唯一の許容できる方法である。 〔発明の目的〕 本発明は、以下で述べる高純度に精製したF−
HAとLPF−HAを用いて、局所反応等の副作用
のない改善された百日ぜきコンポーネントワクチ
ンおよび百日ぜき・ジフテリア・破傷風混合ワク
チンの工業的製造方法を提供することを目的とす
る。 〔発明の概要〕 本発明によれば、高純度F−HAは、百日ぜき
菌培養物をセルロース硫酸エステルのゲル、デキ
ストラン硫酸が化学的に結合されたポリサツカラ
イドゲル誘導体または架橋ポリサツカライド硫酸
エステルゲルに接触せしめてF−HAを吸着させ
た後、ゲルから溶出することによつて得られる。
これらの方法は、本発明者等がF−HAを工業的
に簡単かつ高収率できわめて高純度に精製取得す
る方法として開発したもので、F−HAの精製方
法としてすでに特許出願しているものである(特
開昭59−75314号、特願昭59−84778号、特願昭59
−91631号)。 すなわち、百日ぜき菌を通常の培地、たとえ
ば、コーエン・ウイラー培地や、ステナー・シヨ
ルテ培地にて、常法により静置培養、振盪培養ま
たは通気攪拌培養して得られる培養物である。こ
の培養物は、遠心分離により菌体を除去した培養
上清、あるいは菌体破壊物遠心上清、あるいはこ
れらの部分精製標品の形で本発明方法に供され
る。本発明方法によれば、塩析、抽出、超遠心分
離等の前段部分精製処理をあえて行なう必要はな
く、培養上清等をそのままセルロース硫酸エステ
ルゲル吸着クロマトグラフイーに付すことがで
き、工程がきわめて簡単である。 本発明で用いられるセルロース硫酸エステルと
は、セルロースを硫酸エステル化して得られるの
であるが、好ましくは結晶セルロースあるいは、
結晶領域および非結晶領域からなるセルロースを
硫酸エステル化したものが良い。この場合、得ら
れたセルロース硫酸エステルは原料の形状、好ま
しくは球状を保持し、水性媒質に不溶性であり、
物理的安定性にすぐれ、クロマトグラフイー用ゲ
ルとして好適である。これらの原料セルロース類
はすでに市販されており例えば、アピセル(旭化
成工業社製)、セルロフアインGC−15、同GH−
25、同GC−100、同GC−200(チツソ社製)など
がある。これらのゲルを例えばピリジンなどの有
機溶媒の存在下クロルスルホン酸、無水硫酸など
を作用させることにより所望のセルロース硫酸エ
ステルのゲルが得られる。 また、デキストラン硫酸−ポリサツカライドゲ
ルとは、デキストランの硫酸エステル化物をポリ
サツカライドゲル誘導体に化学的に結合させたも
のである。このゲルを調製するにあたつては、デ
キストラン硫酸は種々の製品がすでに市販されて
おり、一般的に生物関連用として用いらえている
ものを使用することができる。一方ポリサツカラ
イドゲル誘導体とは、アガロース、デキストラ
ン、セルロース等のポリサツカライドに、クロマ
トグラフイー担体として用い得るように、通常の
結晶精製処理、三次元架橋処理、形状成型処理等
を施したゲル誘導体であり、これらもすでに市販
されており、例えばアガロースゲルとしてセフア
ロース(Sepharose,フアルマシア社製)、デキ
ストランゲルとしてセフアデツクス(Sephadex,
フアルマシア社製)、セルロースゲルとしてアビ
セル(旭化成製)等がある。 デキストラン硫酸とポリサツカライドゲルとを
化学的に結合させるには種々の方法があるが、例
えば臭化シアンを用いるアンデルソンらの方法
(特開昭52−114018号)や、臭化シアンを用い、
スペーサーとしてリジンを介して結合させる方法
〔Bryan M.Turnerら;Biochimioa et
Biophysica Acta,659,7〜14(1981)〕等の通
常よく用いられる方法で行なえばよい。 なお、デキストラン硫酸−アガロースゲルにつ
いてはすでに市販されており、例えばデキストラ
ン硫酸−セフアロースCL4B(フアルマシア社製)
がある。 さらに、架橋ポリサツカライド硫酸エステルと
は、デキストラン、セルロース類、アガロースな
どのポリサツカライドを、例えばエピクロルヒド
リン、ジクロルヒドリン、ジプロムヒドリン、エ
チレングリコールビスエポキシプロピルエーテル
等の架橋剤で架橋して得られる架橋ポリサツカラ
イドを硫酸エステル化して得られるものである。
架橋ポリサツカライドはすでに市販されており、
例えば架橋デキストランとしてセフアデツクスG
−10、G−25、G−50、G−100(フアルマシア社
製)などがあり、架橋アガロースとしてセフアロ
ーズCL−2B、CL−4B、CL−6B(フアルマシア
社製)などがあり、架橋セルロースとしてセルロ
フアインGCL−25、GCL−90(チツソ社製)など
がある。これらのゲルを例えばピリジンなどの有
機溶媒の存在下クロルスルホン酸、無水硫酸など
を作用させることにより所望の架橋ポリサツカラ
イド硫酸エステルゲルがえられる。 本発明において、これらのゲルを用いて、百日
ぜき菌培養物中のF−HAを精製採取するにあた
つては、次のような方法で行なわれる。 セルロース硫酸エステルゲル、デキストラン硫
酸−ポリサツカライドゲルおよび架橋ポリサツカ
ライド硫酸エステルゲルは、あらかじめ例えば
0.2M塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液等
の、中性付近のPH値(PH6〜9)であり、比電導
度5〜25mm/cm程度の適当な緩衝液を用いて平衡
化を行なつた後にF−HAの吸着操作に供する。 セルロース硫酸エステルゲル等へのF−HAの
吸着、ゲルの洗浄、F−HAの溶出等一連お精製
操作は、バツチ法およびカラム法等の工業的に通
常よく用いられる操作方法で行なう。バツチ法で
行なう場合は、百日ぜき菌培養物中にセルロース
硫酸エステルゲル等を投入し、PH6.0〜9.0程度の
範囲において0〜30℃程度にて10〜60分程度緩く
攪拌してF−HAを吸着させる。この際、百日ぜ
き菌培養物の比電導度が5.0〜25.0ms/cm程度と
なるように、培養上清そのままかあるいは適宜濃
縮または希釈して吸着操作に付す。 吸着終了んどち、培養物−ゲル混合液をろ過器
上に充填し、吸引ろ過してゲルとろ液を分離す
る。分離したゲルを、比電導度5〜25mn/cm程
度で、PHが5.0〜10.0程度である適当な緩衝液例
えば、0.2M塩化ナトリウム添加0.02Mマツキル
ベン(McIlvaine's)緩衝液、0.2M塩化ナトリウ
ム添加0.01Mリン酸緩衝液あるいは0.2M塩化ナ
トリウム添加0.01Mトリス塩酸緩衝液等を注ぎ吸
引して洗浄する。 この後、PHが5.0〜10.0程度で、比電導度が25
〜130ms/cm程度である(上記洗浄用緩衝液の比
電導度より大)適当な緩衝液、例えば1.5M塩化
ナトリウム添加マツキルベン緩衝液、1.5M塩化
ナトリウム添加リン酸緩衝液等を注ぎ、吸着して
いるF−HAを溶出する。 カラム法にてこの方法を実施する場合は原材料
液、洗浄用緩衝液、溶出用緩衝液の条件はバツチ
法の場合と同様でよく、これらの通液速度は、10
ml/cm2/Hr〜500ml/cm2/Hr程度に調整して行
なうとよい。 本発明のこの精製法によれば、百日ぜき菌培養
物中のF−HAの特異的吸着能にすぐれ、F−
HAの精製度は数十倍に達し、しかもF−HAの
回収率は75%以上、条件により90%以上100%近
くに達する。得られる精製F−HAの比活性は約
3.7〜11×104HAunit/mg蛋白質通常は4〜8×
104HAunit/mg蛋白質:鶏ヒナ固定血球凝集試
験,〔Sato,Y.et al,Infect,Immun.7.929−999
(1973)〕またELISA活性で示すと0.9〜1.5×105
F−HA−Ab−ELISAunit/mg蛋白質:F−
HA・ELISA測定法〔Sato Y.et al,Infect
Immun.,41,313−320(1983)〕ときわめて高
く、ポリアクリルアミドデイスク電気泳動(PH
4.5)分析において単一のバンドを形成し、百日
ぜき菌内毒素がほぼ完全に除去される。 上述のとおり、本発明で用いるこの方法によれ
ば、出発材料の百日ぜき菌培養物から所望のF−
HAを高収率、高純度に採取することができ、そ
の操作もきわめて簡単で、またその精製用クロマ
トグラフイー吸着体は、安価に調製でき、しかも
くり返し使用しても劣化が殆んど無く、きわめて
経済性にすぐれている。 したがつて、この方法は高純度F−HAの工業
的精製法としてきわめてすぐれた方法である。必
要ならば、この方法は従来の技術である蔗糖密度
勾配遠心分離法、あるいはイオン交換クロマトグ
ラフイー法等と組合わせることも可能である。 かくして得られた精製F−HAは上述する如く
極めて高純度であるため、そのままで最終のワク
チン原料として使用できる特長を有するが、必要
ならばホルマリンを用いた通常の方法によりトキ
ソイドとして使用してもよい。 本発明のワクチンのもう一方の原料である高純
度LPF−HAは、前述した英国特許等のハプトグ
ロビンをリガントしたアフイニテイクロマトグラ
フイーによる方法で精製採取した高純度品を使用
することができるが、本出願人はさらに別のより
高純度LPF−HAの精製方法を開発しており、そ
の方法を本発明において有利に使用できる。 その第1の方法は、特願昭58−206598号として
すでに特許出願しているもので、百日ぜき菌培養
物からLPF−HAを“変性セルロプラスミンをリ
ガントとするアフイニテイクロマトグラフイー”
を用いることにより精製することよりなる。 ここで用いられる変性セルロプラスミンとは、
ヒトまたは動物由来のセルロプラスミンを種々の
方法で変性させたものであり、例えばセルロプラ
スミンを60〜85℃にて1〜24時間程度加熱処理し
たもの、または、セルロプラスミンを硫化ナトリ
ウム、硫化アンテニウム等の硫化物、L−アスコ
ルビン酸、D−グルコース、D−ガラクトース、
D−マンノース、D−フラクトース、マルトー
ス、ラクトース等の還元糖、アセトアルデヒド、
ギ酸、シヨウ酸、メルカプトエタノール、ジエチ
ルジチオカルバメート等の還元剤、シアン化ナト
リウム、チオシアン酸ナトリウムまたはチオシア
ン酸カリウム等のシアン化合物、EDTA、ニト
ロトリ酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン
ヘキサ酢酸(TTHA)等のキレート剤等で処理
して、セルロプラスミンに含まれている銅イオン
(Cu++)を還元するかまたは銅イオンの1部また
は全部を遊離、除去することによつて得られるも
の等が含まれる。 上記の変性処理は単独でもまた2種以上の組み
合わせでもよく、また変性セルロプラスミンをマ
トリツクスに固定化した後に行つてもよい。この
ような変性処理は、通常、セルロプラスミンを
0.1〜0.5w/v%濃度に生理食塩液で調製したも
の1容に対し、以下の緩衝液10〜200容に透析す
るという極めて簡単な操作によつて達成できる。
すなわち、硫化ナトリウム、硫化アンモニウム、
シアン化ナトリウム等を使う場合では、これらを
0.01〜1.0M程度を含むPH6.0〜8.0の0.01〜0.1Mリ
ン酸緩衝液を使用し、0〜60℃で1〜10時間程度
透析するとよい。 L−アスコルビン酸、還元糖等を用いる場合
は、それらを0.01〜1.0M程度含を0.01〜0.1M酢
酸緩衝液(PH4.0〜6.0)に0〜15℃で24〜36時間
透析する。アセトアルデヒド、ギ酸、シユウ酸、
メルカプトエタノール、ジエチルジチオカルバメ
ート等を用いる場合は、それらを0.01〜0.1Mリ
ン酸緩衝液に0〜30℃で0.5〜3時間透析する。
チオシアン酸塩を使う場合は、それを0.1〜3.0M
含む0.01〜0.1Mリン酸緩衝液(PH6.0〜8.0)に0
〜30℃で0.5〜5.0時間透析する。EDTA、NTA、
TTHAを用いる場合は、それを0.01〜1.0M程度
含む0.01〜0.1Mのリン酸緩衝液(PH6.0〜8.0)に
0〜30℃で0.5〜5.0時間透析する。 原料のセルロプラスミンは市販のものがそのま
ま用いられる。また、人血漿をアルコール分画し
たコーンのフラクシヨンのほか、ヒトもしくは
動物の血液から分離精製して得ることができる。 上記変性セルロプラスミンを用いて百日ぜき菌
培養物をアフイニテイクロマトグラフイーに付す
には、下記のようにして行われる。 変性セルロプラスミンを臭化シアンで活性化し
たセフアロース、アガロース、セルロース、デキ
ストラン等のマトリツクスに固定化させるAxe'n
らの方法〔Axe'n;Nature.,214,1302〜1304
(1967)〕によりアフイニテイゲルを調製し、これ
をカラム法、バツチ法等のクロマトグラフイーに
したがい、百日ぜき菌培養物と接触させてその中
に含まれるLPF−HAを吸着させ、ついで適当な
緩衝液で洗浄して他の物質を除去したのち、溶出
液でLPF−HAを溶出単離する。 出発原料として用いる百日ぜき菌培養物は、前
記F−HAの精製に用いたものと同様のものが使
用でき、例えば百日ぜき菌相菌(および相
菌)を通常の培地、たとえばコーエン・ウイラー
培地やステナー・シヨルテ培地等の液状培地にて
常法により静置培養または振とうあるいは通気攪
拌培養して得られる培養液があり、好ましくは該
培養液から遠心または、ろ過によつて菌体を除去
したものである。さらに、前記F−HA精製の際
の吸着工程での素通り成分を出発原料として用い
てもよい。この第1のLPF−HAの精製方法によ
れば、塩析、抽出、透析、超遠心、濃縮、平衡化
等、公知方法にみられる種々の前段精製処理を必
要とせず、この培養液をそのまま、アフイニテイ
クロマトグラフイーに供することができる。この
ため工程がきわめて簡単である。 カラム法では、カラムにアフイニテイゲルを充
填し、出発材料の百日ぜき菌培養物を流速10ml/
cm2/hr〜500ml/cm2/hrで通液させて吸着させる。 バツチ法では、容器中に百日ぜき菌培養物を入
れ、これにアフイニテイゲルを直接添加し、30分
〜3時間程度、好ましくは1時間程度攪拌して吸
着させる。 アフイニテイゲルの用量はとくに制限されない
が、通常、アフイニテイゲル1mlに対し10000〜
20000μgの蛋白質のLPF−HAを吸着することが
できる。 該LPF−HA吸着アフイニテイゲルの洗浄に
は、PH4.0〜9.0の緩衝液、比電導度10ms/cm〜
150ms/cmの緩衝液等が用いられる。例えば、
0.1〜1.0M塩化ナトリウムを含む0.01〜0.1Mリン
酸緩衝液(PH6.0〜8.0)を用い、カラム法では、
カラム容積の数10倍〜100倍程度の液量を流して
行う。またバツチ法ではゲル容積の数倍〜数100
倍の液量で洗浄処理が行われる。この洗浄操作に
より、出発材料中に多量に含まれる百日ぜき菌内
毒素が効果的に分離除去され、この点において
も、本方法は従来公知の方法に比べてきわめてす
ぐれた特徴を有する。 上記洗浄処理後、リガンドに吸着したLPF−
HAを溶出するには、カオトロピツク塩類(例え
ば、I-,C10- 4,CF3COO-,SCN-,CC13COO-
等のカオトロプツクイオンを放出する塩類)、エ
チレングリコール、ジオキサン、尿素、塩酸グア
ニジン、EDTA等のアフイニテイクロマトグラ
フイーにおいて一般的に用いられる溶出液を用い
て常法にしたがつて行われる。 本方法のアフイニテイクロマトグラフイーによ
れば、出発材料のPHが4.0〜10.0の範囲では安定
して90%以上の収率に達する。 本方法によつて得られるLPF−HAの純度は、
ポリアクリルアミドデイスク電気泳動法(PH4.5)
による分析において90%以上、条件により95%以
上もの高純度に達する。また比活性値は0.9〜1.6
×105LPF−Hp−ELISAunit/mg蛋白質通常は
1.1〜1.2×105LPF−Hp−ELISAunit/mg蛋白
質:LPF−HA,ELISA測定法〔佐藤等,第28回
毒素シンポジウム予稿集、141−144(1981)〕とな
り、従来公知の方法では望み得ない高品質が達成
される。 このことは、得られたLPF−HAのリムラステス
トおよびウサギ発熱試験等の生物活性試験にも明
確にあらわれている。即ち、本方法の場合、内毒
素の除去はほゞ完全である。 また、本方法(第1方法)は、通常ヒト血漿成
分を使用する際に遭遇する肝炎ウイルスその他の
感染因子による問題も解決できる利点も有する。 例えば、本方法においては、加熱処理変性セル
ロプラスミンの場合当加熱処理によりLPF−HA
に対する特異的吸着能、吸着容量を大幅に向上さ
せるばかりでなく、肝炎ウイルスによる上記感染
等の対策も併せて実施できることは明らかであ
る。さらに、L−アスコルビン酸やシアン化ナト
リウム等により変性処理を行つた変性セルロプラ
スミンに、60℃、10〜15時間加熱処理を加えたも
のをリガンドとして用いた場合でも、加熱処理を
加えない場合と同様の精製能力がある。またあら
かじめ60℃、10時間の加熱処理を加えたセルロプ
ラスミンに上記L−アスコルビン酸変性処理ある
いはシアン化ナトリウム変性処理等を加えたもの
を用いた場合も、未加熱処理の場合と同様または
それ以上の好成績がえられる。したがつて本方法
は、肝炎ウイルス等の汚染の懸念がなく、また百
日ぜき菌内毒素の除去が充分である点でも、格段
にすぐれた方法である。 上述のとおり、この本出願人の第1のLPF−
HA精製方法により提供される変性セルロプラス
ミンをリガンドとするアフイニテイクロマトグラ
フイーによれば、出発材料の百日ぜき菌培養物か
ら所望LPF−HAを高収率、高純度に採取するこ
とができ、その操作もきわめて簡単で、またその
アフイニテイゲルは数10回ないし数100回繰り返
して使用でき、コスト的にもすぐれており、しか
も百日ぜき菌内毒素もほとんど分離除去できる利
点を有する。したがつて、本方法は高純度LPF
−HAの工業的製法としてきわめてすぐれた方法
である。 本方法で得られるLPF−HAは高純度で他の蛋
白質、脂質、糖類等を含まず、また内毒素もほと
んど完全に除去鵜されているため、最終の百日ぜ
きワクチンの調製に極めて有利に使用できる。 さらに、LPF−HAを高純度に精製する本出願
人の第2の方法は、前記F−HAの精製に用いた
セルロース硫酸エステルゲル、デキストラン硫酸
が化学的に結合したポリサツカライド誘導体また
は架橋ポリサツカライド硫酸エステルゲルを用い
る方法である(特願昭59−150945号(特開昭61−
30528号)、特願昭59−175710号(特開昭61−
53224号)および特願昭59−190244号(特開昭61
−68422号)。即ち、百日ぜき菌培養物をLPF−
HAを吸着する条件下にLPF−HAを吸着させた
後、吸着したLPF−HAをゲルから溶出させるこ
とからなる。 この第2方法で用いる出発原料として用いる百
日ぜき菌培養物は前記F−HA精製の際に用いる
出発原料あるいは第1のLPF−HAの精製の際に
用いる出発原料として挙げたのと同じ原料を使用
できる。また、吸着するのに用いるセルロース硫
酸エステル等のゲルは、前記F−HA精製に用い
るのと全く同一のものを使用してよい。 この第2の方法において、セルロース硫酸エス
テル等のゲルを用いて、百日ぜき菌が産生する
LPF−HAを精製採取するにあたつては、たとえ
ば、次のような方法で行なわれる。 原材料液であるLPF−HA含有液は、百日ぜき
菌培養物の遠心上清を、蒸留水または緩衝液で比
電導度が0.5〜5.0ms/cmとなるように希釈した
後、吸着操作に付すこともできるが、この上清中
にはセルロース硫酸エステル等のゲルに対して同
じく親和性を有するF−HAが含まれているた
め、あらかじめ、LPF−HAは吸着せずF−HA
を吸着する条件にて、セルロース硫酸エステル等
のゲルによるクロマトグラフイーを行ない(比電
導度5.0〜25.0ms/cm、PH5〜9の緩衝液で平衡
化されたセルロース硫酸エステル等のゲル充填カ
ラムに比電導度5.0〜25.0ms/cm、PH5〜9に調
整した原材料液を通液する)、その素通り画分で
あることろのF−HAを含まずLPF−HAを大量
に含んだ画分を吸着操作に付してもよい。 セルロース硫酸エステル等のゲルへのLPF−
HAの吸着、ゲルの洗浄、LPF−HAの溶出等一
連の精製操作は、バツチ法およびカラム法等の工
業的に通常よく用いられる操作方法で行なうこと
ができる。カラム法の場合、セルロース硫酸エス
テル等のゲルをカラムに充填し、あらかじめ例え
ば0.02Mマツキルベン(Mcllvaine's)緩衝液
(PH5.2)等の比電導度0.5〜5.0ms/cmでPHが5.0〜
9.0程度である適当な緩衝液を通液して平衡化を
行つた後に、LPF−HAの吸着操作に移る。 吸着に際しては、LPF−HAの含有液をPHが5.0
〜9.0、比電導度が0.5〜5.0になるように適宜調整
して、セルロース硫酸エステル等のゲル充填カラ
ムに通液し、LPF−HAを吸着させる。この後、
前述の平衡化に用いたのと同様の緩衝液を通液
し、ゲルを洗浄し、夾雑物質を洗い出す。 LPF−HAの溶出に際しては、PHが5.0〜9.0、
比電導度が5.0以上である適当な緩衝液を通液し
溶出を行なうが、好ましくは段階溶出または塩濃
度勾配溶出を行なう。すなわち、原材料液として
百日ぜき菌培養液の遠心上清の希釈したものをそ
のまま用いる場合は、前述の吸着条件下におい
て、LPF−HAと同時にF−HAも吸着されてく
るので、LPF−HAが溶出され、かつF−HAが
溶出されない条件下で溶出する必要がある。この
条件としてはPH5〜9において比電導度5〜
100ms/cm、好ましくは50〜60ms/cmである適
当な緩衝液(例えば0.7M塩化ナトリウム添加
0.02Mマツキルベン緩衝液)を最初に通液し、
LPF−HAを含む画分を回収する。この後に上述
の溶出用緩衝液より比電導度の大なる(100〜
300ms/cm)緩衝液を通液し、F−HAその他の
不純成分を溶出させ、セルロース硫酸エステル等
のゲルを平衡化再使用に供する。 最も好ましくは、塩濃度勾配溶出を実施する。
原材料液として、あらかじめF−HAを分離した
LPF−HA含有液を用いる場合においても、比電
導度が0.5→300ms/cmとなるような塩濃度勾配
緩衝液(例えば塩化ナトリウム0→4.0M塩濃度
勾配・0.02Mマツキルベン緩衝液(PH5.2)を用
いて溶出を行ない、LPF−HA含有画分を分取す
れば、きわめて高純度のLPF−HAを得ることが
できる。 本精製法によれば、LPF−HAの精製度は数十
倍に達し、しかもLPF−HAの回収率は80%以上
100%近くに達する。得られる精製LPF−HAの
比活性は0.9〜1.2×105LPF−Hp−ELISAunit/
mg蛋白質ときわめて高く、ポリアクリルアミドデ
イスク電気泳動(PH4.5)分析において単一のバ
ンドを形成し、百日ぜき菌内毒素がほぼ完全に除
去される。 上述のとおり本発明の方法によれば、出発材料
の百日ぜき菌培養物から所望のLPF−HAを高収
率、高純度に採取することができ、その操作もき
わめて簡単で、またその精製用クロマトグラフイ
ー吸着体は、安価に調製でき、しかもくり返し使
用しても劣化が殆んど無く、きわめて経済性にす
ぐれている。 したがつて、この第2の方法も高純度LPF−
HAの工業的精製法としてきわめてすぐれた方法
であり、必要ならば従来の技術である蔗糖密度勾
配超遠心分離法、あるいはイオン交換クロマトグ
ラフイー法等と組合わせることも可能である。 本発明の方法で得られるLPF−HAは高純度で
他の蛋白質、脂質、糖類等を含まず、また内毒素
もほぼ完全に除去されているため、最終の百日ぜ
きワクチンの調製の原料として極めて有利に使用
できる。 これらの高純度精製LPF−HAは最終ワクチン
の製造に当つては、通常の例えばアミノ酸の不存
在下あるいは種々のアミノ酸存在下でのホルマリ
ン処理によるトキソイドとして使用する。 本発明の百日ぜきコーポネントワクチンは、上
述の如くして得られた高純度F−HAまたはその
トキソイドと高純度LPF−HAのトキソイドとを
単に、人体に対し必要最小量の抗原量をもたらす
ような両成分の含量比をもつように任意の割合で
適当に混合することにより製造することができ
る。LPF−HAのトキソイド化はF−HAとの混
合前または混合後のいずれであつてもよい。例え
ば、LPF−HAまたはそのF−HAとの混合物に
ホルマリン0.1〜1.0%を添加し22°〜40℃に7〜35
日間静置後さらに0.2%にホルマリンを添加し室
温に1〜3日間静置し、あるいは時々振盪して毒
性を低下させる。毒性の低下を確認後適当な蛋白
濃度に調製(通常最終蛋白窒素濃度10〜20μg/
ml)する。しかる後、必要ならばアジユバンドと
して通常のアルミニウムアジユバンド、例えば水
酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムを添
加し、さらにゼラチン、グリコーズ、チメロサー
ル等を適当量添加してPH5.4〜7.4として最終の百
日ぜきコンポーネントワクチンとする。勿論、
LPF−HAのみをトキソイド化した場合には、前
記の高純度F−HAまたは別個にトキソイド化し
たF−HAを混合する。 さらに、混合ワクチンを製造する場合には、通
常のジフテリアトキソイド(最終濃度30Lf/ml)
および破傷風トキソイド(最終濃度5Lf/ml)を
混合して作製する。 また、かくして調製したワクチンは、凍結乾燥
標品とすることもできる。 〔発明の実施例〕 以下、本発明を調製例、実施例により具体的に
説明する。 調製例 1 0℃以下の温度にてピリジン600mlにクロルス
ルホン酸117gを滴下し、混合する。滴下終了後、
混液を加熱し、65〜70℃に昇温する。この中にセ
ルロフアインGC−15(チツソ社製)80gを加え、
攪拌下65〜70℃にて3時間反応させる。反応終了
後、冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液を加え
て中和する。ゲルを過分離し、0.01Mリン酸緩
衝食塩液で充分に洗浄してセルロース硫酸エステ
ルゲルを得る。 このようにして調製したセルロフアインGC−
15の硫酸エステル化物をカラム(400mmφ×130
mm)に充填し、これに0.2M塩化ナトリウム添加
0.01Mリン酸緩衝液(PH7.6、比電導度約
17.5ms/cm)を通液して平衡化する。このカラ
ムに百日ぜき相菌東浜株フアーメンター培養上
清300(比電導度約17.5ms/cm、PH7.6)を通液
する。通液後、上記緩衝液にて洗浄し、夾雑物質
を洗い出す。ついで、1.5M塩化ナトリウム添加
リン酸緩衝液(PH7.6)で溶出し、F−HAを含む
画分30を得る。 培養上清液および、素通り画分、精製F−HA
画分の分析結果を第1表に記す。 F−HAの回収率は95%で、精製度(精製F−
HA画分の比活性/培養上清の比活性)は23倍に
達した。精製F−HA画分のLPF−HA活性は、
5.0LPF−Hp−ELISAunit/ml以下であつた。
【表】 調製例 2 0℃以下の温度にてピリジン600mlにクロルス
ルホン酸117gを滴下し、混合する。滴下終了後、
混合液を加熱し、65〜70℃に昇温する。この中に
結晶セルロースであるクロマトグラフイー用アビ
セル(旭化成工業社製)80gを加え、攪拌下65〜
70℃にて4時間保持する。反応終了後、冷却し、
10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和する。
ゲルを過分離し、0.01Mリン酸緩衝食塩液で充
分に洗浄してセルロース硫酸エステルゲルを得
る。 このようにして調製したアビセルの硫酸エステ
ル化物をカラム(400mmφ×130mm)に充填し、こ
れに0.14M塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝
液(PH7.6)を通液して平衡化する。このカラム
に、百日ぜき相菌東浜株静置培養上清300を、
比電導度焼成処理15ms/cmに希釈し、PH7.6に合
わせた液を通液する。通液終了後、上記緩衝液で
洗浄し、ついで、1.5M塩化ナトリウム添加リン
酸緩衝液(PH7.6)で溶出して精製F−HA含有画
分30を得る。 培養上清液および、素通り画分、精製F−HA
画分の分析結果を第2表に記す。 F−HAの回収率は75%で、精製度は14倍に達
した。
【表】 注:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)は第
1表に同じ。
調製例 3 0〜5℃の温度にてピリジン500mlにクロルス
ルホン酸82gを滴下し、混合する。滴下終了後、
混液を加熱し、65〜70℃に昇温する。この中にセ
ルロフアインGH−25(チツソ社製)80gを加え、
攪拌下65〜70℃にて4時間反応させる。反応終了
後、冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液を徐々
に加えて中和する。ゲルを過分離し、0.01Mリ
ン酸緩衝食塩液(PH7.2)で充分に洗浄してセル
ロース硫酸エステルゲルを得る。 このようにして調製したセルロース硫酸エステ
ルゲルをカラム(400mmφ×130mm)に充填し、こ
れに0.2M塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝
液(PH7.6)を通液し平衡化する。このカラムに
調製例1で用いたものと同一ロツトの百日ぜき
相菌東浜株フアーメンター培養上清300(比電
導度約17.5ms/cm、PH7.6)を通液する。通液終
了後、上記緩衝液にて洗浄し、夾雑物質を洗い出
す。ついで1.5M塩化ナトリウム添加リン酸緩衝
液(PH7.6)で溶出し、F−HAを含む画分30を
得る。 培養上清液および、素通り画分、精製F−HA
画分の分析結果を第3表に記す。 F−HAの回収率は93.8%で、精製度は25焙に
達した。 本精製品を用いて生物学的製剤基準「百日ぜき
ワクチン」(薬発第287号,1981を参照)に準じ、
マウス体重減少試験、マウス白血球増加試験、易
熱性毒素否定試験およびマウスヒスタミン増感試
験を実施したが、いずれも、生理食塩水を接種し
た対照群と同等であり、この基準における副作用
は認められなかつた。
【表】
【表】 注:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)は第
1表に同じ。
調精例 4 デキストラン硫酸ナトリウム塩5gを200mlの
0.5M炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、この溶液
に、0.5M炭酸ナトリウム水溶液で平衡化させた
セフアロースCL−4B(フアルマシア・フアイン
ケミカルズ社製)20mlを入れゆるやかに攪拌す
る。攪拌下に、100mlの蒸留水に10gの臭化シア
ンを溶解した液を加える。反応液に5M水酸化ナ
トリウム水溶液を添加しつつPHを11に15分間保持
する。その後、PHを下降するに任せ、室温にて攪
拌下17時間保持する。 反応終了後、グラスフイルター上でろ過し、ゲ
ルを0.15M塩化ナトリウム添加リン酸緩衝液(PH
7.2)で充分に洗浄して、デキストラン硫酸−ア
ガロースゲル20mlを得る。 上記のようにして調製したデキストラン硫酸ア
ガロースゲルをカラム(16mmφ×100mm)に充填
し、これに0.2M塩化ナトリウム添加0.01Mリン
酸緩衝液(PH7.6、比電導度約17.5ms/cm)を通
液して平衡化する。このカラムに百日ぜき相菌
東浜株フアーメンター培養上清800ml(比電導度
約17.5ms/cm、PH7.6)を通液する。通液後、上
記緩衝液を通液してゲルを洗浄し、さらに0.20M
塩化ナトリウム添加リン酸緩衝液(PH7.6、比電
導度約17.5ms/cm)を通液し、夾雑物質を洗い
出す。 ついで、1.5M塩化ナトリウム添加リン酸緩衝
液(PH7.8、比電導度約120ms/cm)を溶出し、
F−HAを含む画分29mlを得た。 培養上清液および、素通り画分、精製F−HA
画分の分析結果を第4表に記す。 F−HAの回収率は90%で、精製度(精製F−
HA画分の比活性/培養上清の比活性)は17倍に
達した。
【表】 注:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)は第
1表に同じ。
調製例 5 0℃以下の温度にてピリジン200mlにクロルス
ルホン酸11mlを滴下し、混合する。滴下終了後、
混液を加熱し、65〜70℃に昇温する。この中にエ
ピクロルヒドリン架橋デキストランであるセフア
デツクスG−50(フアルマシア社製)7.5gを加
え、攪拌下65〜70℃にて4時間保持する。反応終
了後、冷却し、水酸化ナトリウム水溶液を加えて
中和する。ゲルを過分離し、0.01Mリン酸緩衝
食塩液で充分に洗浄して架橋デキストラン硫酸エ
ステルを得る。 このようにして調製したセフアデツクスG−50
の硫酸エステル化物をカラム(16mmφ×100mm)
に充填し、これに0.2M塩化ナトリウム添加
0.01Mリン酸緩衝液(PH7.6、比電導度約
17.5ms/cm)を通液して平衡化する。このカラ
ムに百日ぜき相菌東浜株静置培養上清800mlを
希釈して、比電導度約17.5ms/cm、PH7.6に合わ
せた液を通液する。通液後、上記緩衝液にて洗浄
し、夾雑物質を洗い出す。ついで、1.5M塩化ナ
トリウム添加リン酸緩衝液(PH7.6)で溶出し、
F−HAを含む画分30mlを得る。 培養上清液および、素通り画分、精製F−HA
画分の分析結果を第5表に記す。 F−HAの回収率は93.8%で、精製度(精製F
−HA画分の比活性/培養上清の比活性)は約20
倍に達した。
【表】 注:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)は第
1表に同じ。
調製例 6 調製例1においてF−HAをセルロース硫酸エ
ステルゲルに吸着させた時の素通り画分
(64HAunit/ml,1700 LPF−Hp−ELISAunit/
ml,0.46mg蛋白質/ml,PH7.6)5000mlを出発原
料として用いた。 “L.I.Irons et.al,Biochim.Biophys.Acta,
580,175−185,1979”記載の方法に従い、上記
原料をPH6.0の0.01Mリン酸緩衝液で平衡化した
ハイドロキシルアパタイトカラムを通してLPF
−HAを吸着させた。0.5M塩化ナトリウムを含む
0.1Mリン酸緩衝液PH7.0で溶出して蛋白画分(部
分精製LPF−HA)を得た。この蛋白画分をハプ
トグロビン−セフアロースを支持体とするアフイ
ニテイクロマトグラフイーに吸着させ、0.5M塩
化ナトリウムと3Mチオシアン酸カリウムを含む
0.05Mリン酸緩衝液、PH7.6で溶離して第6表に
示す分析結果を有する精製LPF−HAを53%の回
収率で得た。
【表】
【表】 調製例 7 特願昭58−206598号明細書の調製例1に従つて
精製した結晶ヒトセルロプラスミンを用いて、次
の各種変性セルロプラスミンを調製する。 (1) シアン化ナトリウム変性セルロプラスミン 結晶セルロプラスミンの一w/v%水溶液50ml
をリン酸緩衝液(PH7.4,イオン強度0.2)に
0.05Mシアン化ナトリウムを含ませた緩衝液5.0
に4℃で12時間透析して、オキシダーゼ活性を
90%喪失したシアン化ナトリウム変性セルロプラ
スミンを得る。 (2) シアン化ナトリウム変性セルロプラスミンの
加熱処理 (1)と同様の方法でシアン化ナトリウム変性セル
ロプラスミンの1w/v%水溶液50mlを調製した
後、この液を0.1Mリン酸緩衝液(PH7.4)5.0に
透析する。透析終了後、変性セルロプラスミン含
有液を60℃に加熱・昇温し、10時間同温度に保持
して加熱処理を行う。 (3) L−アスコルビン酸変性セルロプラスミン 結晶セルロプラスミンの1w/v%水溶液50ml
を酢酸緩衝液(PH5.2,イオン強度1.2)にL−ア
ルコルビン酸5mg/mlを加えた緩衝液5.0に4
℃で36時間透析して、オキシダーゼ活性が65.5%
となつたL−アスコルビン酸変性セルロプラスミ
ンを得る。 (4) 加熱処理変性セルロプラスミン 結晶セルロプラスミンを5w/v%含む0.1Mリ
ン酸緩衝液(PH7.5)100mlを、水溶液中で60℃、
15時間加熱処理する。 (5) 加熱処理セルロプラスミンのL−アスコルビ
ン酸変性 人血漿をアルコール分画して得られるコーンの
フラクシヨン−1を温浴上で60℃、10時間加熱
を加える。Morell等の方法(Science,127,588
(1963)に従つて処理し、加熱処理済みの結晶セ
ルロプラスミンを得る。 この加熱処理済み結晶セルロプラスミンを用
い、上記(3)と同様の処理を加えて、加熱処理セル
ロプラスミンのL−アスコルビン酸変性物を得
る。 アフイニテイゲルの調製 前記、各種変性セルロプラスミンをリガンドと
し、以下のようにしてCNBr−活性化セフアロー
ス4B(フアルマシア社製)にカツプリングさせて
アフイニテイゲルを調製する。 CNBr−活性化セフアロース4B1.5gを1.0mM
塩酸3.0に15分間浸漬して膨潤させたのち、ガ
ラスフイルター(G3)上で1.0mM塩酸を吸引除
去して膨潤セフアロースゲル(5.25ml)を得る。 別に、リガンド(蛋白質量150mg)を0.5M塩化
ナトリウムを含む0.1M炭酸ナトリウム緩衝液
(PH8.3)75mlに溶解させ、これに上記膨潤セフア
ロースゲル52.5mlを加え、室温で隠やかに攪拌し
ながら2時間カツプリングさせる。カツプリング
終了後、上記と同じ炭酸ナトリウム緩衝液150ml
で4回洗浄したのち、1.0Mエタノールアミン水
溶液(PH8.0)150mlを加え、再び穏やかに攪拌し
ながら2時間反応させる。反応終了後、同様に炭
酸ナトリウム緩衝液150mlにて4回洗浄してエタ
ノールアミンを除去する。得られたゲルを、
1.0M塩化ナトリウムを含む0.1M酢酸緩衝液(PH
8.0)、150mlにて3回洗浄し、さらに1.0M塩化ナ
トリウムを含む0.1Mホウ酸緩衝液(PH8.0)、150
mlにて3回洗浄する。この酢酸緩衝液およびホウ
酸緩衝液による洗浄を交互に3回繰り返して、各
種のセルロプラスミン−セフアロースアフイニテ
イゲルを調製する。 カラム法によるLPF−HAの精製 上記で得られたアフイニテイゲル20mlを充填し
たカラム(28mmφ×32mm)に、調製例6で用いた
のと同じ出発材料5.0を室温にて150ml/hrの流
速で流す。つぎに、1.0M塩化ナトリウムを含む
リン酸緩衝液(PH7.0)、1500mlを同流速で通液し
てカラムを洗浄する。 上記洗浄処理後、カラムに1.0M塩化ナトリウ
ムを含む0.1Mリン酸緩衝液(PH7.5)に3.0Mチオ
シアン酸ナトリウムを加えた溶出液100mlを35.0
ml/cm2/hrの流速で流してLPF−HAを溶出す
る。 これらの変性セルロプラスミンをリガンドとす
るアフイニテイゲルを用いて得られた各LPF−
HA画分の分析結果および各実験結果を第7表に
示す。 これら各変性セルロプラスミンをリガンドとす
る場合には、LPF−HAの純度も高く、比活性値
も高い。
【表】 注:(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)は第6表と
同じである。
調製例 8 前記調製例1と同様にして調製したセルロフア
インGC−15の硫酸エステルゲルをカラム(40mm
φ×200mm)に充填し、これに蒸留水1.0を通液
する。このカラムに百日ぜき相菌東浜株静置培
養液の遠心上清5000mlを蒸留水で10倍希釈した液
(比電導度約1.5ms/cm)、を通液する。約50000
mlの0.02Mマツキルベン緩衝液(PH5.2)をカラ
ムに通液し、ゲルを洗浄した後、0.02M塩化ナト
リウム添加マツキルベン緩衝液(比電導度約
2.0ms/cm、PH5.2)2000mlを用い、塩化ナトリウ
ム0→4.0Mの塩濃度勾配にて溶出を行ない約20
mlずつ分画して分取した後、LPF−HAを含有す
る画分約130mlをプールする。 原材料液および精製LPF−HA画分の分析結果
および実験成績を第8表に示す。
【表】 調製例 9 前記調製例4と同様にして調製したデキストラ
ン硫酸−アガロ−スゲルをカラム(40mmφ×200
mm)に充填し、これに蒸留水1000mlを通液する。
このカラムに調製例8と同じ培養遠心上清5000ml
を蒸留水で7倍希釈した液(比電導度約2.0ms/
cm)、を通液する。 約20000mlの0.02Mマツキルベン緩衝液(PH
5.2)をカラムに通液し、ゲルを洗浄した後
0.02M塩化ナトリウム添加マツキルベン緩衝液
(比電導度約2.0ms/cm、PH5.2)2000mlを用い、
塩化ナトリウム0−4.0Mの塩濃度勾配にて溶出
を行ない、約20mlずつ分画して分取した後、
LPF−HAを含有する画分約200mlをプールする。 原材料液および精製LPF−HA画分の分析結果
および実験成績を第9表に示す。
【表】 調製例 10 0℃以下の温度にてピリジン200mlにクロルス
ルホン酸11mlを滴下し、混合する。滴下終了後、
混液を加熱し、65〜70℃に昇温する。このピリジ
ン−クロルスルホン酸混液に、架橋アガロースゲ
ルであるセフアロースCL−6B(フアルマシア社
製)のピリジン包含体30mlを加え、65〜70℃にて
4時間反応させる。反応終了後、冷却し、水酸化
ナトリウム水溶液を加えて中和する。ゲルを過
分離し、0.01Mリン酸緩衝食塩液で充分洗浄して
架橋アガロース硫酸エステルゲル23mlを得る。 上記と同様にして調製した架橋セルロース硫酸
エステルゲルをカラム(40mlφ×200mm)に充填
し、これに蒸留水1000mlを通液する。このカラム
に調製例8と同じ培養遠心上清5000mlを蒸留水で
9倍希釈した液(比電導度約2.0ms/cm)、を通
液する。約20000mlの0.02Mマツキルベン緩衝液
(PH5.2)をカラムに通液し、ゲルを洗浄した後、
0.02M塩化ナトリウム添加マツキルベン緩衝液
(比電導度約2.0ms/cm、PH5.2)2000mlを用い、
塩化ナトリウム0→4.0Mの塩濃度勾配にて溶出
を行ない、約20mlずつ分画して分取した後、
LPF−HAを含有する画分約200mlをプールする。 原材料液および精製LPF−HA画分の分析結果
および実験成績を第10表に示す。
【表】 実施例 1〜7 便宜上、調製例1,2,3,4および5で得た
高純度F−HAをそれぞれ、試料a,b,c,
d,eとし、実施例6,7,8,9および10で得
た高純度LPF−HAを、それぞれ試料V,W,
X,Y,Zとする。 これらの試料を用いて、以下の如くして百日ぜ
きコンポーネントワクチンを調製した。なお、上
記試料は精製の最終工程で0.45μのメンブランフ
イルターで無菌過済である。 先ず、試料V,W,X,YおよびZを、それぞ
れに対して最終濃度0.02v/v%ゼラチンおよび
最終濃度0.05v/v%Tween80を添加したのち、
さらに最終濃度0.6v/v%のホルマリンを加え、
40℃で10日間加温処理して減毒化し、各LPF−
HAトキソイドとした。ホルマリンは4℃以下で
リン酸緩衝液(PH6.7)い対して2日間透析して
除去した。 次に、試料a,c,eをきわめて微量残存する
LPF活性を低減させる目的で、最終濃度0.02v/
v%ホルマリンを加え40度、1晩加温処理して減
毒化しF−HAトキソイドとしが。ホルマリンは
上記と同様にして除去した。試料b,dは、その
まま(トキソイド化せず)に以下のワクチン調製
に供した。 これらのF−HA試料b,dおよびトキソイド
化F−HA試料a,c,eと、トキソイド化LPF
−HA試料V,W,X,Y,Zとを、第11表に示
すように、種々の組合せ、配合にて混合し、さら
にAl(oH)3をアルミニウム最終濃度約0.2mg/ml、
チメロサールが0.01v/v%となるように添加し、
最終PHを6.7〜6.8として7種(実施例1〜7)沈
降精製百日ぜきコンポーネントワクチンを調製し
た。
【表】 次に実施例1〜7までのすべてのワクチンを国
家検定基準(生物学的製剤基準、薬発第287号、
1981)に準じて、一般性状試験、マウス毒性試
験、マウス力価試験を行つた結果、第12表の如き
結果が得られ、試験項目すべてに適合しており、
良好な結果であることが明らかである。
【表】 実施例 8 実施例1〜7で調製したFHAトキソイドaと
LPFトキソイドWのそれぞれの最終濃度が50μg
蛋白質/ml、ジフテリアトキソイドおよび破傷風
トキソイドの最終濃度が、それぞれ33Lf/ml、
5Lf/ml、さらにAl(oH)3、ゼラチンおよびチメ
ロサールが、それぞれ、0.2mgAl/ml(アルミニ
ウム含量として)、0.02(w/v)%、および0.01
%となるように各成分を混合し、最終PHを6.7と
して、沈降精製百日ぜき・ジフテリア・破傷風混
合ワクチンを得た。 これを前記国家検定基準に準じて自家検定を行
つた結果、第13表の如き結果が得られ、試験項目
すべてに適合していた。 また、上記で調製したワクチンを凍結乾燥した
ものも上記と同等の結果を有していた。
【表】
〔発明の効果〕
以上詳述して来た如く、本発明方法は、ワクチ
ン原料たるF−HAおよびLPF−HAとして簡単
かつ高収率の方法で得られた極めて高純度のもの
を使用するため、局所反応等の副作用のない改善
された百日ぜきコンポーネントワクチンおよび百
日ぜき・ジフテリア・破傷風混合ワクチンを安価
に工業的に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるワクチンと従来のワク
チン投与後のマウス足蹠試験(惹起注射後のマウ
ス足蹠の膨隆度経時変化)の比較結果を示すグラ
フである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維状赤血球凝集素(以下、F−HA)含有
    液をセルロース硫酸エステルのゲル、デキストラ
    ン硫酸が化学的に結合されたポリサツカライドゲ
    ル誘導体または架橋ポリサツカライド硫酸エステ
    ルゲルに接触せしめてF−HAを吸着させた後、
    吸着したF−HAをゲルから溶出して得られた精
    製F−HAまたはそのトキソイドと、高純度精製
    リンパ球増多因子赤血球凝集素(以下、LPF−
    HA)のトキソイドとを混合することを特徴とす
    る百日ぜきコンポーネントワクチンの製造方法。 2 セルロース硫酸エステルゲル、デキストラン
    硫酸が化学的に結合されたポリサツカライドゲル
    誘導体または架橋ポリサツカライド硫酸エステル
    ゲルをPH6.9〜9.0、比電導度5.0〜25.0ms/cmの緩
    衝液であらかじめ処理して平衡化したのちF−
    HAの吸着処理を行なう特許請求の範囲第1項記
    載の方法。 3 上記吸着処理を、PH6.0〜8.0、温度0〜30
    ℃、比電導度5.0〜25.0ms/cmの条件下で行なう
    特許請求の範囲第1または第2項記載の方法。 4 F−HAのゲルからの溶出をPH5.0〜10.0、比
    電導度25.0〜130ms/cmの緩衝液を用いて行なう
    特許請求の範囲第1〜3項いずれか記載の方法。 5 上記溶出処理に先だつて、F−HA吸着ゲル
    を、PH5.0〜10.0、比電導度5.0〜25.0ms/cmの緩
    衝液で洗浄する特許請求の範囲第4項記載の方
    法。 6 セルロース硫酸エステルが結晶セルロースま
    たは結晶領域および非結晶領域からなるセルロー
    スの硫酸エステルである特許請求の範囲第1項記
    載の方法。 7 上記デキストラン硫酸が化学的に結合された
    ポリサツカライドゲル誘導体が、デキストラン硫
    酸−アガロースゲル、デキストラン硫酸−デキス
    トランゲルおよびデキストラン硫酸−セルロース
    ゲルから選ばれる特許請求の範囲第1項記載の方
    法。 8 架橋ポリサツカライド硫酸エステルが架橋デ
    キストラン硫酸エステルおよび架橋アガロース硫
    酸エステルおよび架橋セルロース硫酸エステルか
    ら選ばれる1種である特許請求の範囲第1項記載
    の方法。 9 架橋デキストラン硫酸エステルがエピクロル
    ヒドリン架橋デキストラン硫酸エステルである特
    許請求の範囲第8項記載の方法。 10 架橋アガロース硫酸エステルがエピクロル
    ヒドリン架橋アガロース硫酸エステルである特許
    請求の範囲第8項記載の方法。 11 架橋セルロース硫酸エステルがエピクロル
    ヒドリン架橋セルロース硫酸エステルである特許
    請求の範囲第8項記載の方法。 12 F−HA含有液をセルロース硫酸エステル
    のゲル、デキストラン硫酸が化学的に結合された
    ポリサツカライドゲル誘導体または架橋ポリサツ
    カライド硫酸エステルゲルに接触せしめてF−
    HAを吸着させた後、吸着したF−HAをゲルか
    ら溶出して得られた精製F−HAまたはそのトキ
    ソイドと、高純度精製LPF−HAのトキソイドと
    を混合することにより得られた混合物に、さらに
    ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと
    を添加することからなる百日ぜき・ジフテリア・
    破傷風混合ワクチンの製造方法。
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