JPH0570451A - γ‐ブチロラクトンの製造方法 - Google Patents

γ‐ブチロラクトンの製造方法

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JPH0570451A
JPH0570451A JP3329752A JP32975291A JPH0570451A JP H0570451 A JPH0570451 A JP H0570451A JP 3329752 A JP3329752 A JP 3329752A JP 32975291 A JP32975291 A JP 32975291A JP H0570451 A JPH0570451 A JP H0570451A
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butyrolactone
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butanediol
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達美 市来
Shigesato Mori
薫里 森
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貞勝 鈴木
Hiroshi Ueno
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】副生成物を抑制し、高収率でかつ選択率の高い
γ‐ブチロラクトンの製造方法を提供する。 【構成】銅、クロム、マンガンおよび/またはバリウ
ム、ならびにナトリウムおよび/またはカリウムを含む
触媒の存在下に、気相で、1,4−ブタンジオールを接
触脱水素することによる、γ‐ブチロラクトンの製造方
法。 【効果】副生成物が抑制され、高収率でかつ選択率高く
γ‐ブチロラクトンを製造でき、しかも触媒寿命を大幅
に向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、γ‐ブチロラクトンの
製造方法に関し、さらに詳しくは、1,4−ブタンジオ
ールを、触媒の存在下に気相で接触脱水素してγ‐ブチ
ロラクトンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】γ‐ブチロラクトンは溶剤として、また
N−メチルピロリドンなどのピロリドン類の製造の際の
中間原料として有用な化合物である。したがって、γ‐
ブチロラクトンの安価でかつ効率の良い製造方法の開発
が強く望まれている。
【0003】従来、γ‐ブチロラクトンの製造方法とし
ては、(1) 1,4−ブタンジオールを、パラジウム、白
金、銀などの触媒の存在下に酸化脱水素する方法、(2)
無水マレイン酸またはそのエステルを触媒の存在下に接
触水素化する方法、(3) 1,4−ブタンジオールを、C
u‐Cr系触媒の存在下に脱水素する方法等が知られて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1) の
方法は、触媒が低活性であるとともに、γ‐ブチロラク
トンの選択率が低いという問題点を有しており、また
(2) の方法は液相および気相反応とも触媒寿命が短いと
いう問題点を有している。(3) の方法は一般的に行われ
ている方法であるが、テトラヒドロフラン等の副生物が
生成するために、γ‐ブチロラクトンの収率、選択率が
必ずしも良好ではないという問題点を有している。Cu
‐Cr系触媒については、さらにMnやZnを添加した
り(特開昭61-246173 号公報)、MnおよびBaを添加
したりする(特願平2-28214 号)等の検討もなされてい
るが、いずれも満足のいくものとはいえない。(3)の方
法においてはさらに、触媒寿命も満足のいくものはない
という問題点もあった。特開昭61-246173 号公報では、
MnまたはZnの添加により寿命が改善されるという記
載があるが、実施例では高々1か月程度の寿命しか示さ
れておらず、工業的にみて必ずしも満足できるものでは
ない。また、活性低下に対して反応温度を上昇させて活
性維持を図る(TIR)方法があるが、従来の触媒系で
は、高温でのγ‐ブチロラクトンの選択率が高くないた
め、反応温度の上昇が必ずしも活性維持につながらない
という問題があった。
【0005】そこで本発明は、副生成物を抑制し、高収
率でかつ選択率の高いγ‐ブチロラクトンの製造方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、気相にお
ける1,4−ブタンジオールの接触脱水素によるγ‐ブ
チロラクトンの製造方法について鋭意検討を重ねた結
果、Cu−Cr系の触媒として、Cu−CrにさらにM
nおよび/またはBa、ならびにNaおよび/またはK
を含む触媒を使用して反応させると、副生成物が抑制さ
れ、高収率でかつ選択率が高くγ‐ブチロラクトンを製
造でき、さらに触媒寿命を大幅に改善できることを見出
した。
【0007】すなわち本発明は、気相で1,4−ブタン
ジオールを接触脱水素してγ‐ブチロラクトンを製造す
る方法において、銅、クロム、マンガンおよび/または
バリウム、ならびにナトリウムおよび/またはカリウム
を含む触媒の存在下に反応を行うことを特徴とするγ‐
ブチロラクトンの製造方法を提供するものである。
【0008】本発明の方法で使用する触媒は、Cuおよ
びCrの他に、Mnおよび/またはBa、ならびにNa
および/またはKを含む。NaおよびK以外のアルカリ
金属(Li、Rb、Cs等)は使用に適さない。Cu/
Crの原子比は0.4〜1.8であるのが好ましく、さ
らに好ましくは0.8〜1.4である。Mnは、Cuお
よびCrの和100重量部に対して好ましくは1〜10
重量部、さらに好ましくは2〜7重量部含まれ、Baは
CuおよびCrの和100重量部に対して好ましくは2
〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部含まれ
る。MnおよびBaの両方が含まれるときには合計量と
して、CuおよびCrの和100重量部に対して好まし
くは3〜30重量部含まれる。また、NaおよびKはア
ルカリ金属として、CuおよびCrの和100重量部に
対して好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましく
は0.5〜7重量部含まれる。この他に少量のSiを、
CuおよびCrの和100重量部に対して10重量部ま
で含むことができる。
【0009】上記のような触媒は、例えば次のようにし
て製造することができる。まず、Cu源として、例えば
硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅等を、Cr源として重
クロム酸塩(例えばNa2 Cr2 7 )、クロム酸塩、
硝酸クロム等を、Mnおよび/またはBa源として塩化
バリウム、硝酸バリウム、塩化マンガン、硝酸マンガ
ン、酢酸マンガン等を、Naおよび/またはK源として
炭酸塩、ケイ酸塩(水ガラス)、水酸化物等を使用でき
る。Crを含む溶液をアンモニアで塩基性にして、これ
と、CuおよびMnおよび/またはBaを含む溶液とを
混合して沈殿を生成させる。
【0010】得られた沈殿を濾別、水洗、乾燥した後、
300〜400℃で熱分解する。得られた粉体を稀酸水
溶液で洗い、さらに水洗し、乾燥する。得られた触媒前
駆体に、Naおよび/またはKを含む化合物を添加し、
乾燥し、400〜500℃で焼成する。Naおよび/ま
たはKの添加の時期に制限はないが、アルカリ金属の水
溶性が高いことから、上記の沈殿生成後に、水洗、乾燥
をおこなってから、またその後焼成してから添加するの
が普通である。その後、必要であれば黒鉛等の成形助剤
を添加して成形機を用いて所定の形状に成形する。得ら
れた触媒中の各成分は酸化物の形として存在している。
【0011】触媒の還元は、例えば、3体積%程度の水
素を含む窒素ガスを触媒に対して、常温常圧換算でのガ
ス空間速度(G.H.S.V.、以下G.H.S.V.はすべて常温、常
圧換算値で示す)4000〜8000時間-1程度で数Kg
/cm2 Gの加圧下、昇温して、140〜160℃にて、
触媒床の発熱が観測されなくなるまで流通し、さらに水
素濃度と温度を徐々に上げ、100体積%として、触媒
床温度200℃にて数時間流通することにより行う。
【0012】1,4−ブタンジオールと水素との混合気
体と触媒との接触は、従来知られている方法のなかから
適宜選択できる。例えば、混合気体と触媒とを固定床方
式で接触させる方法、移動床方式で接触させる方法、流
動床方式で接触させる方法などを採用することができ
る。また場合によっては、混合気体と触媒を回分方式で
接触させることもできる。
【0013】本発明にかかる反応は、次式(化1):
【0014】
【化1】 で示される平衡反応である。上記の平衡は、高温、低圧
および低水素/1,4−ブタンジオール(体積比)の方
がγ‐ブチロラクトンの生成に有利である。反応温度が
高すぎると、コークの生成および銅金属粒子のシンタリ
ングなどの問題が生じ、触媒の寿命が短くなり、また、
副反応の進行によりγ‐ブチロラクトンの選択率が低下
する。しかし、本発明の方法は副反応を抑制することが
できるので、従来よりも高い温度においても反応を行う
ことができる。反応温度は好ましくは150〜300
℃、さらに好ましくは190〜270℃である。また、
反応圧力は低い方がγ‐ブチロラクトンの生成に有利で
あるが、平衡がγ‐ブチロラクトン側にある範囲では加
圧した方がγ‐ブチロラクトンの生成速度が早くなり、
したがって高収率でγ‐ブチロラクトンを得ることがで
きる。このため、本発明における反応は数Kg/cm2 G程
度の加圧下で行うことが好ましい。具体的には反応圧力
は好ましくは0〜8Kg/cm2 G、さらに好ましくは0.
5〜4Kg/cm2 Gである。また、水素/1,4−ブタン
ジオール比は低い方がγ‐ブチロラクトンの生成には有
利であるが、系に水素が存在しないと触媒寿命が短くな
ることおよび系を気相に保つために希釈剤が必要である
ことにより、本発明における反応は適度の水素/1,4
−ブタンジオール比で行うのが好ましい。具体的には水
素/1,4−ブタンジオール比(モル比)は少なくとも
系を気相に保てる値、すなわち0.5〜10とすること
が好ましく、さらに好ましくは2〜6とする。また、
1,4−ブタンジオールの重量空間速度(W.H.S.V.) は
0.2〜16時間-1であるのが好ましく、さらに好まし
くは0.4〜6.0時間-1である。
【0015】
【作用】上記(化1)で示される平衡反応においては、
反応温度が高すぎると、次式(化2):
【0016】
【化2】 で示される副反応が進行しやすくなり、γ‐ブチロラク
トンの選択率が低下してしまう。この副反応は脱水反応
であり、Cu−Cr系触媒上に存在する酸点がこの反応
を触媒しているものと考えられている。この酸点の存在
はさらに、重質物の生成やコーキングの原因となり、触
媒の劣化を進行させる。一方、本発明においては、上記
したように、触媒中に塩基性のアルカリ金属であるNa
やKが含まれているので、上記(化1)の脱水素反応の
活性を保持したまま、副反応である(化2)の脱水反応
のみを抑制することができる。このため、反応を高温で
行っても、γ‐ブチロラクトンの選択率が低下すること
がなく、1,4−ブタンジオールの平衡転化率を上げる
ことができ、γ‐ブチロラクトンを高収率で得ることが
できると推測される。しかも、重質物の生成やコーキン
グを抑制するため、触媒寿命の改善に大きな効果を示
す。しかし、NaとK以外のアルカリ金属を含んだCu
−Cr系触媒を用いても、本発明の効果は発揮されな
い。これは、Liでは塩基性が弱いのでCu−Cr系触
媒の酸性質を制御する効果がほとんどなく、またRb、
Cs等では塩基性が強すぎるため、副生物(THF)の
生成反応は抑制されるものの、目的とする脱水素反応の
活性を著しく低下させてしまうためと考えられる。Na
とKの添加の効果は、後述する参考例に示したピリジン
の昇温脱離法(TPD)の結果からも明らかである。
【0017】本発明の方法は、上記のように反応温度を
上昇させてもγ‐ブチロラクトンの選択率を損なうこと
無く活性を維持することが可能である。この特徴は、T
IR操作に適している。また、使用される触媒は長い触
媒寿命を有するが、TIR操作により寿命を飛躍的に伸
ばすことができる。
【0018】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。比較例1 Na2 Cr2 7 ・2H2 O 178.7gを蒸留水9
00mlに溶解し、この溶液に28%アンモニア水22
5mlを加えた。これを溶液aとする。
【0019】Cu(NO3 2 ・3H2 O 260.4
gおよびMn(NO3 2 ・6H2 O17.5gを蒸留
水900mlに溶解させ、80℃に加熱した。この溶液
を溶液bとする。
【0020】溶液aに、撹拌しながら溶液bを加え、生
じた沈殿物を濾別し、水洗、乾燥した後粉砕し、これを
350℃で熱分解した。得られた粉体を10%酢酸水溶
液で洗浄し、水洗し、乾燥し、触媒前駆体を得た。この
触媒前駆体を450℃で3時間焼成したものに、さらに
黒鉛を0.5重量%添加して、これをペレットに成形し
た。得られた触媒(酸化形)の組成を蛍光X線分析にて
調べたところ、Cu34.3重量%、Cr 29.3重
量%、Mn 4.1重量%であった。
【0021】この触媒(酸化形)2.5gをSUS31
6製固定床反応器(径15mm、長さ600mm)に充填
し、窒素気流中で5Kg/cm2 Gに加圧、120℃まで昇
温した。その後、窒素中に水素を3体積%加え、触媒の
還元を開始した。この時の全ガス流量はG.H.S.V.720
0時間-1であった。還元による発熱が見られないことを
確認しながら、温度を徐々に上げ、150℃とした。さ
らに発熱が見られないことを確認しながら水素濃度を増
加させ、30体積%とし、さらに温度、水素濃度のいず
れかを徐々に上げて、最終的に200℃水素濃度100
体積%とした。ここで発熱がないことを確認して還元終
了とした。この触媒を次の反応に供した。
【0022】まず、反応器を230℃に加熱し、1,4
−ブタンジオールおよび水素を、1,4−ブタンジオー
ル1モルに対して水素4モルの割合で、4Kg/cm2 Gの
加圧下、1,4−ブタンジオールの重量空間速度(W.H.
S.V.)3.0時間-1の条件下で流通し、脱水素反応を行
った。生成物をガスクロマトグラフィーにより分析し、
以下のような結果を得た(各重量%)。
【0023】 1,4−ブタンジオール転化率 99.25% γ‐ブチロラクトン選択率 97.14% テトラヒドロフラン選択率 1.90%実施例1 比較例1において焼成前の触媒前駆体10gに、少量の
水に溶解したNa2 CO3 0.6gを添加したものを
乾燥した後、450℃で3時間焼成した。これにさらに
黒鉛を0.5重量%添加して、ペレットに成形した。得
られた触媒(酸化形)の組成を蛍光X線分析にて調べた
ところ、Cu 33.5重量%、Cr28.6重量%、
Mn 4.0重量%、Na 2.2重量%であった。
【0024】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして、1,4−ブタン
ジオールの脱水素反応に使用した。ただし、反応温度2
30℃および270℃で行った。それぞれの生成物のガ
スクロマトグラフィー分析の結果を以下に示す(各重量
%)。
【0025】 230℃ 270℃ 1,4−ブタンジオール転化率 91.39% 99.49% γ‐ブチロラクトン選択率 98.98% 97.93% テトラヒドロフラン選択率 0.14% 0.17%比較例2 比較例1における溶液bの代わりに、Cu(NO3 2
・3H2 O 260.4g、Mn(NO3 2 ・6H2
O 17.5gおよびBa(NO3 2 15.8gを
蒸留水900mlに溶解させた溶液を用いたほかは比較
例1と同様にして触媒(酸化形)を調製し、成形した。
その組成を表1に示す。
【0026】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして、1,4−ブタン
ジオールの脱水素反応に使用した。ただし、1,4−ブ
タンジオールのW.H.S.V.は3時間-1および9時間-1で行
った。それぞれの結果を表1に示す。実施例2 450℃で焼成する前の触媒前駆体10gに対して、少
量の水に溶解したNa2 CO3 0.6gを添加した以
外は比較例2と同様にして触媒(酸化形)を調製し、成
形した。その組成を表1に示す。
【0027】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして、1,4−ブタン
ジオールの脱水素反応に使用した。ただし、反応温度は
230℃および270℃で行った。それぞれの結果を表
1に示す。実施例3 Na2 CO3 の代わりにケイ酸ナトリウム(水ガラス1
号)2.6gを添加した以外は実施例2と同様にして触
媒(酸化形)を調製した。その組成を表1に示す。
【0028】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして1,4−ブタンジ
オールの脱水素反応に使用した。ただし、反応温度は2
30℃および270℃で行った。それぞれの結果を表1
に示す。実施例4 Na2 CO3 の代わりにケイ酸カリウム(水ガラス4
号)4.0gを添加した以外は実施例2と同様にして触
媒(酸化形)を調製した。その組成を表1に示す。 こ
の触媒(酸化形)を比較例1と同様にして還元した後、
比較例1と同様にして1,4−ブタンジオールの脱水素
反応に使用した。ただし、1,4−ブタンジオールのW.
H.S.V.は3時間-1および9時間-1で行った。それぞれの
結果を表1に示す。比較例3 比較例1における溶液bの代わりに、Cu(NO3 2
・3H2 O 260.4gおよびBa(NO3 2
1.5gを蒸留水900mlに溶解させた溶液を用いた
ほかは比較例1と同様にして触媒(酸化形)を調製し、
成形した。その組成を表1に示す。
【0029】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして1,4−ブタンジ
オールの脱水素反応に使用した。ただし、1,4−ブタ
ンジオールのW.H.S.V.は3時間-1および9時間-1で行っ
た。それぞれの結果を表1に示す。実施例5 450℃で焼成する前の触媒前駆体10gに対して、少
量の水に溶解したNa2 CO3 0.6gを添加した以
外は比較例3と同様にして触媒(酸化形)を調製し、成
形した。その組成を表1に示す。
【0030】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、比較例1と同様にして、1,4−ブタン
ジオールの脱水素反応に使用した。ただし、反応温度は
230℃および270℃で行った。それぞれの結果を表
1に示す。
【0031】
【表1】 実施例6 実施例3と同様にして次の組成を有する触媒を調製し
た:Cu 28.4重量%、Cr 25.0重量%、Mn 2.3
重量%、Ba 1.6 重量%、Na 1.7 重量%。
【0032】この触媒(酸化形)を比較例1と同様にし
て還元した後、触媒寿命を確認するため、次の反応条件
で1,4−ブタンジオールの脱水素反応を行った。
【0033】反応温度:232℃、圧力:2kg/cm
2 G、W.H.S.V.:5時間-1、H2 /1,4−ブタンジオ
ール(モル比):6/1 反応結果を表2に示す。
【0034】
【表2】 比較例4 Naを含まないこと以外は実施例6と同じ組成の触媒を
調製し、実施例6と同様の条件で1,4−ブタンジオー
ルの脱水素反応を行った。反応結果を表3に示す。
【0035】
【表3】 実施例7 実施例1で使用したのと同じ触媒を用いて、次の条件で
1,4−ブタンジオールの脱水素反応を行った。
【0036】反応温度:240℃、圧力:4kg/cm
2 G、W.H.S.V.:3時間-1、H2 /1,4−ブタンジオ
ール(モル比):2/1 反応結果を表4に示す。比較例5 比較例1で使用したのと同じ触媒を用いて、実施例7と
同様の条件で1,4−ブタンジオールの脱水素反応を行
った。反応結果を表4に示す。
【0037】
【表4】 参考例 Cu−Cr系触媒へのアルカリ金属添加により、テトラ
ヒドロフラン等の副生物の生成が抑制されたのは、アル
カリ金属により触媒の酸強度および酸量が減少したため
と考えられる。この点を明らかにするために、ピリジン
の昇温脱離法(TPD)を行い、触媒の酸性質を測定し
た。測定法を以下に示す。ここで使用した触媒は、比較
例1で製造したCu−Cr−Mn触媒(a)、実施例1
で製造したCu−Cr−Mn−Na触媒(b)、比較例
2で製造したCu−Cr−Mn−Ba触媒(a´)、実
施例3で製造したCu−Cr−Mn−Ba−Na触媒
(b´)である。 測定方法 触媒(30〜100メッシュ)0.3gを石英管につめ
て測定を行った。まず、前処理として、水素気流下、2
0℃/分で100℃まで昇温し、その後5℃/分で25
0℃まで昇温して2時間保持し、還元を行った。ピリジ
ン吸着は、窒素気流下、200℃で行い、その後窒素を
流したまま200℃で数時間保持した。昇温脱離は10
℃/分で200℃から950℃まで昇温し、脱離してく
るピリジンをガスクロマトグラフィーのFIDで検出し
た。
【0038】結果を図1〜2に示す。Cu−Cr−Mn
触媒(a)またはCu−Cr−Mn−Ba触媒(a´)
に対して、アルカリ金属を添加した(b)および(b
´)は、いずれの触媒も全体の酸量が減少した。特に5
00〜600℃の高温側のピークが、アルカリ金属の添
加によりほとんど消失しており、酸強度も弱められてい
ることがわかった。
【0039】このように、アルカリ金属を添加したCu
−Cr系触媒では、触媒の酸性質が変化していることが
TPD測定により確認できた。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、副生成物を抑制し、高
収率でかつ選択率の高いγ‐ブチロラクトンの製造方法
を提供することができる。さらにここで使用される触媒
は、長期に亘り安定的に高活性、高選択性を示し、工業
的に十分満足できる触媒寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ピリジンの昇温脱離法(TPD)によ
る、触媒のTPDプロファイルを示す。
【図2】図2は、ピリジンの昇温脱離法(TPD)によ
る、触媒のTPDプロファイルを示す。
【符号の説明】
aは比較例1で製造したCu−Cr−Mn触媒、bは実
施例1で製造したCu−Cr−Mn−Na触媒、a´は
比較例2で製造したCu−Cr−Mn−Ba触媒、b´
は実施例3で製造したCu−Cr−Mn−Ba−Na触
媒をそれぞれ使用した場合を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上野 廣 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相で1,4−ブタンジオールを接触脱
    水素してγ‐ブチロラクトンを製造する方法において、
    銅、クロム、マンガンおよび/またはバリウム、ならび
    にナトリウムおよび/またはカリウムを含む触媒の存在
    下に反応を行うことを特徴とするγ‐ブチロラクトンの
    製造方法。
JP03329752A 1991-07-17 1991-11-20 γ‐ブチロラクトンの製造方法 Expired - Fee Related JP3124347B2 (ja)

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