JPH0566915U - 励磁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着材による固着作業を廃止して生産性を向
上するとともに、品質上の問題が発生しない励磁装置を
安価に提供する。 【構成】 コア９を、焼結鍛造加工された断面Ｌ字状の
内極部材７と、機械構造用炭素鋼鋼管製の円筒状外極部
材８とで構成した。そして、内極部材７の突出部１０・
１１と外極部材８の切欠部１２とを噛み合わせるととも
に、外極部材８の開口端部を内極部材７の段差部７ｃ内
にかしめ加工した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、電磁クラッチや電磁ブレーキの励磁装置に係り、特にクラッパ（ 平板）形の励磁装置の改良に関する。

【従来の技術】

従来の励磁装置としては、例えば実開昭５５−１４７５４０号公報に提案され たものが代表的である。

【０００２】 同公報に説明されている励磁装置は、電磁軟鋼などの素材を塑性加工して断面 略コ字形を呈するカップ状としたコアに電磁コイルを内設した構造の従来の励磁 装置では、電磁コイルと結線されたリード線をコアに穿設した貫通孔から引き出 しながら電磁コイルをコアの環状溝内に組み込む作業に手間がかかり、またコア にリード線引き出し口となる貫通孔を機械加工しなければならないという問題点 があるので、コアを２部材で構成し、かつこれら２部材を、磁性材として用いる 純鉄粉を原料粉末として使用する、焼結鍛造成形による焼結体で構成している。

【０００３】 つまり、コアを内極部材と外極部材とし、内極部材を断面Ｌ字状を呈する環状 部材からなる形状とするとともに、外極部材を円筒部材からなる形状としている 。また、外極部材の開口端部に切欠きを予め成形しておき、内極部材の円筒部に 多条巻回された電磁コイルを嵌合した後、内極部材の円板部外周面に外極部材の 開口端部を嵌合して固着している。そして、電磁コイルと結線されたリード線が 、外極部材の切欠きに位置合わせされ、外部に引き出された構造となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような２部材の焼結体からなるコアを備えた励磁装置では、内極部材の円 板部外周面に外極部材の開口端部を圧入嵌合するとともに、併わせて接着材によ る固着を行なっていた。 したがって、この接着作業に手間がかかり生産性が悪くコストの低廉化が図れ ないとともに、内極部材と外極部材とが強固に一体化できないなどの品質上の問 題が発生してしまうことがあった。

【０００５】 この考案では、接着材による固着作業を廃止して生産性を向上するとともに、 品質上の問題が発生しない励磁装置を安価に提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このような目的を達成するために、この考案では、断面略Ｌ字状を呈する形状 からなり円筒部と円板部からなる第１の磁極部材と、この第１の磁極部材の円板 部に開口端部が噛み合って圧入嵌合された円筒形状の第２の磁極部材と、これら 第１・第２の磁極部材により形成された環状溝に内設された電磁コイルと、第２ の磁極部材の開口端部に一体形成され第１の磁極部材の円板部側面に突出した突 出片とを備えたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

励磁装置は、第１の磁極部材の円板部と第２の磁極部材の開口端部とがこれら 部分に形成された突出部と切欠き部の噛み合いにより、円周方向の相対的変位が 阻止されており、また、第２の磁極部材の開口端部に一体形成され第１の磁極部 材の円板部側面に突出した突出片により、軸線方向の相対的変位が阻止されてい る。

【０００８】

【実施例】

図１乃至図５はこの考案の励磁装置を示し、図１はこの考案の励磁装置を使用 した電磁ブレーキの正面図、図２は図１のII−II線断面図、図３は図２のIII−I II線断面図、図４は電磁ブレーキの背面図、図５は要部拡大断面図である。 これら図面に示された励磁装置を備えた電磁ブレーキ１は、回転軸上に装着さ れたアーマチュア組立体２と、このアーマチュア組立体２と同心上に配置され固 定枠体に装着された励磁装置３とから構成されている。

【０００９】 アーマチュア組立体２は、回転軸にねじ止めされるアーマチュアハブ４に、板 ばね５によりアーマチュア６を弾性支持した構造であり、アーマチュアハブ４は アルミのダイカストにより成形され、後述する電磁コイル１４の磁束が回転軸側 に漏洩しない構造となっている。

【００１０】 励磁装置３は、断面略Ｌ字状を呈する形状からなり円筒部７ａと円板部７ｂを 有する第１の磁極部材としての内極部材７と、この内極部材７の円板部７ｂに開 口端部が圧入嵌合された第２の磁極部材としての円筒状外極部材８とからなるコ ア９を有する構造である。 この実施例において、コア９は、焼結鍛造加工品である内極部材７と、機械構 造用炭素鋼鋼管製の外極部材８とからなり、内極部材７の円板部７ｂには、一対 の取付けフランジ１０と突出片１１からなる突出部が形成され、外極部材８の開 口端部には、これら突出部と噛み合う切欠き部１２が形成されている。

【００１１】 コア９の環状溝内には、コイルボビン１３に多条巻回された電磁コイル１４と 、これらコイルボビン１３と電磁コイル１４の外周面に嵌合された円筒形状の樹 脂材製カバー１５が組込まれている。 カバー１５は、一方端に環状の内フランジ部１５ａが形成され、他方端には、 コア９の取付けフランジ１０と切欠き部１２との間に挾み込まれた外フランジ部 １５ｂ、コイルボビン１３のケース１３ａとコア９の切欠き部１２との間に挾み 込まれた外フランジ部１５ｃが形成されている。 なお、符号１６はリード線、符号１７はケース１３ａのカバーである。

【００１２】 以上の構成からなる励磁装置３は、電磁コイル１４が多条巻回されるとともに 、この電磁コイル１４とリード線１６をケース１３ａ内で結線したコイル組立体 にカバー１５を嵌合する。そして、コイル組立体をコア９の内極部材７に嵌合し てから、内極部材７の円板部７ｂに外極部材８の切欠き部１２が形成された開口 端部を噛み合わせて圧入嵌合する。また、外極部材８の端部をかしめ加工するこ とにより、図５のように、突出片８ａを円板部７ｂに形成された段差部７ｃ内に 突出することで組立が終わる。

【００１３】 また、電磁ブレーキ１は、電磁コイル１４に通電しアーマチュア６を励磁装置 ３に磁気吸着することにより、回転軸が制動される。 なお、以上の説明において、この実施例では内極部材７を断面略Ｌ字状を呈す る形状としたが、例えば、コイルボビン１３のケース１３ａがコア９の径方向外 側に突出しない励磁装置であれば、外極部材を断面略Ｌ字状を呈する形状とし内 極部材を円筒形状としたコアとしてもよい。

【００１４】 また、内極部材と外極部材の噛み合いは、一方の突出部と他方の切欠き部の噛 み合いであり、突出部や切欠き部の形状は適宜設計変更ができる。

【００１５】

【考案の効果】

以上のようにこの考案では、励磁装置を、断面略Ｌ字状を呈する形状からなり 円筒部と円板部からなる第１の磁極部材と、この第１の磁極部材の円板部に開口 端部が噛み合って圧入嵌合された円筒状の第２の磁極部材と、これら第１・第２ の磁極部材により形成された環状溝に内設された電磁コイルと、第２の磁極部材 の開口端部に一体形成され第１の磁極部材の円板部側面に突出した突出片とを備 えた構造としたので、従来のような接着工程が省け生産性が向上され、励磁装置 を安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の励磁装置を使用した電磁ブレーキの
正面図である。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】図２のIII−III線断面図である。

【図４】電磁ブレーキの背面図である。

【図５】要部拡大断面図である。

【符号の説明】

３ 励磁装置 ７ 内極部材 ８ 外極部材 ８ａ 突出片 １４ 電磁コイル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面略Ｌ字状を呈する形状からなり円筒
   部と円板部からなる第１の磁極部材と、この第１の磁極
   部材の円板部に開口端部が噛み合って圧入嵌合された円
   筒形状の第２の磁極部材と、これら第１・第２の磁極部
   材により形成された環状溝に内設された電磁コイルと、
   第２の磁極部材の開口端部に一体形成され第１の磁極部
   材の円板部側面に突出した突出片とを備えたことを特徴
   とする励磁装置。