JPH0564213B2 - - Google Patents
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- JPH0564213B2 JPH0564213B2 JP21477285A JP21477285A JPH0564213B2 JP H0564213 B2 JPH0564213 B2 JP H0564213B2 JP 21477285 A JP21477285 A JP 21477285A JP 21477285 A JP21477285 A JP 21477285A JP H0564213 B2 JPH0564213 B2 JP H0564213B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
- C21D8/0205—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips of ferrous alloys
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は加工性のすぐれたフエライト系ステン
レス鋼板の製造法に関するものである。尚、本発
明においては、特に断わりのない限りフエライト
系ステンレス鋼とは0.1重量%以下のC、10〜20
重量%のCrを含有する鋼をいうものとする。 (従来の技術) 従来、フエライト系ステンレス鋼板の製造法
は、素材を熱間圧延して熱延鋼帯として、次にバ
ツチ焼鈍炉で800〜850℃まで昇温、保持及び冷却
等数日間にわたる熱延板焼鈍処理をして、1回の
冷間圧延又は中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間
圧延を行つた後、最終焼鈍を施して製品とされて
いる。 以上の様な従来の製造法においては、冷間圧延
前に行う焼鈍処理に長時間を要するために生産性
が悪く、従つて製造コストが高くなるという欠点
があつた。上記の欠点を除くために、従来例えば
特公昭49−17932号公報では、熱延後直ちに急冷
して600℃以下で捲取り、熱延板焼鈍することな
く冷間圧延し最終焼鈍して、リジング特性の良い
フエライト系ステンレス鋼を製造できることを示
している。しかしながら、このように熱延捲取温
度を600℃以下とすると、リジング特性は向上す
るが、深絞り特性は悪くかつ降伏応力も高くなる
等の問題を生ずる。また特公昭58−32217号公報
では熱延捲取温度を850〜950℃の高温にすること
により、降伏応力や全伸び及び深絞り性が従来の
バツチ焼鈍工程材と同程度となることを示してい
るが、このような高温捲取を行うと上記の低温捲
取の特許文献に開示されている如く、リジング特
性が劣化するという欠点を有している。 また本発明者らは熱延板焼鈍工程を省略し得る
製造技術を開発するに当り、粗圧延と仕上圧延間
で保熱することに着目し、すでに特開昭59−
25933号公報で開示されている発明を出願してい
る。該発明は、主に粗圧延終了後保熱してγ→α
変態を促進せしめ、深絞り特性を向上することを
目指したものであり、そのためフエライト系ステ
ンレス鋼にAを添加しγ→α変態を早く生じせ
しめるものである。しかしそのような保熱ではリ
ジング特性向上効果はなく、従つてリジング対策
のためには他の方法例えば「α+γ」2相域で大
圧下粗熱延を行う等を併用する必要があつた。し
かし、この2相域での大圧下圧延は熱延疵の生成
をもたらし、成品板の表面特性を損なう等の問題
を生じた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、フエライト系ステンレス鋼板を特に
熱延板焼鈍工程を省略して製造する場合に、圧延
条件を考慮せずに、深絞り性や機械的性質と共に
リジング特性を同時に改善することが困難であつ
た点を解決しようとするものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明は上記の問題点を解決するために、フエ
ライト系ステンレス鋼の熱間圧延条件を特に限定
したもので、その骨子はγ相が10%以上析出する
フエライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延する
に際し、粗圧延終了後、得られた粗圧延片を1050
〜1150℃の温度範囲に30秒間以上の保熱をした後
に、仕上圧延を行ない、得られた仕上圧延鋼板を
800℃以上の温度で巻取ること、及びAを0.08
〜0.30重量%含有しかつγ相が10%以上析出する
フエライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延する
に際し、粗圧延終了後該粗圧延片を1050〜1150℃
の温度範囲に30秒間以上保熱した後に仕上圧延を
行ない、得られた仕上圧延鋼板を700℃以上の温
度で捲取ることにある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明者らは上記公知例で開示されている材質
特性上の矛盾を解消するために研究調査を続け、
仕上圧延前にα→γ変態させるとリジング特性が
向上するのは、従来考えられていたように熱延終
了後に生成したマルテンサイト相(M相)及び低
温変態相等による冷延集合組織のランダム化に依
るものばかりでなく、仕上熱延前の保熱の際に生
成したγ相が仕上熱延中に引き起こす治金現象に
よるリジング特性向上効果もかなり大きいことを
見い出し、更に上記の仕上熱延実施後高温捲取し
てγ→α変態を生じさせてから、冷間圧延に供し
ても上記のリジング特性向上効果は喪失しない上
に、深絞り特性も向上することを見い出し、本発
明を完成したものである。 即ち、本発明に依る材質特性向上効果は現在の
ところ以下の様に考えられる。 (1) 粗熱延終了後、得られた粗熱延片をγ相が最
も析出する温度(以下TN)近傍で保熱するこ
とにより、仕上熱延前にγ相を十分析出させそ
の後に仕上圧延することと、保熱することによ
るα母相の再結晶。 (2) 上記の仕上熱延の後、γ→α変態がほぼ完全
に起こり得る温度以上の高温域で捲取ることに
よる、該熱延コイル中のγ相のα相への変態促
進及びα母相の再結晶と炭窒化物の析出。 通常、フエライト系ステンレス鋼は完全変態し
ないため、仕上熱延工程で集合組織が形成され、
その優先方位は板厚中央部でND<100>,RD
<110>(以下45°cubeという)である。そして
この45°cubeが最終的にリジング形成の大きな一
因となる。ところが、前記(1)に記した様に仕上圧
延前にγ相を十分に析出させておくと、γ相はα
母相に比較して硬く変形の障害となるため、集合
組織をランダム化する。即ち45°cubeの形成を阻
害し、ND<110>を発達させる。この方位は
リジング特性向上に有利であり、かつ45°cubeと
比較すると深絞り特性向上にも有利である。また
γ相近傍での歪が大きい(転位密度が高い)と、
前記(2)に記した捲取時のγ→α変態の促進及びγ
母相の再結晶にも有利に作用すると考えられる。 一般に仕上圧延終了時の残留γ相が捲取時にγ
→α変態できずに空冷されるとマルテンサイト相
(以下M相)や低温変態相に変態する。以上の様
なM相を含む熱延板を冷間圧延すると集合組織の
形成(特にND<100>,ND<111>等)を
阻害し、最終的にリジング特性は向上するが深絞
り特性は著しく劣化する。また機械的性質(特に
降伏点)に対しても、上記M相が最終焼鈍時に分
解して固溶C,N濃度を高めるため降伏応力も高
くなる。また逆にγ→α変態が可能な高温捲取を
実施すると、熱延板中のM相は少なく冷間圧延時
の集合組織は発達し、深絞り特性は向上ND<
111>の発達のため)するが、リジング特性は劣
化する。(ND<111>とND<100>の発達の
ため)尚、最終焼鈍時の固溶C,N量は少なくな
り、降伏応力は低下する。 ところが、本発明の様に前記(1)の処理をして高
温捲取((2)の処理)すると、冷間圧延時の集合組
織は発達する(ND<111>,ND<100>)
にも拘らずリジング特性は劣化しない。これは、
仕上熱延時の45°cubeの形成を阻害し、ND<
100>コロニーのサイズを、小さくしておけば、
冷間圧延時にND<100>方位が発達しても、
そのコロニーサイズが小さいのでリジング特性は
劣化しないためと考えられる。また深絞り特性は
冷間圧延前の45°cubeの発達が少ないため、それ
だけ有利であり、降伏応力はM相が少なく良好と
なる。 以上の様に本発明の特徴の一つは従来技術の材
質特性に対する捲取温度依存性の矛盾を、前記
(1),(2)の処理の組み合せで解消することができる
ところにある。 尚前記(1),(2)のところで「α母相の再結晶」も
効果の中に入れているが、本発明者らの研究によ
れば、加工後にγα変態が生ずる場合にはα母
相の再結晶よりも変態の方が優先し、α母相の再
結晶は本発明の場合それ程生じない。しかし全く
生じないことはなく、特に前記(1)で粗圧延終了温
度より保熱温度が高い場合や、前記(2)で捲取温度
が高温の時にはα母相の再結晶が生ずる。また、
このα母相の再結晶が及ぼす材質向上効果は極め
て大きい(時にリジング特性)ことも見出してい
るので、前記(1),(2)の効果の中に包含させた。 次にAの効果について述べる。一般にフエラ
イト系ステンレス鋼の変態は普通鋼に比較して極
めて遅く、前記(2)の条件を満たすには800℃以上
の捲取温度が必要となる。ところが通常の熱間圧
延では800℃以上の捲取温度を実現するのは一般
に難かしく、かつ熱延コイル内の熱履歴のバラツ
キを生じ易く歩留りを劣化させる。上記問題を回
避するのに、例えば「近接コイラーの設置」,「熱
延コイルを保熱炉乃至除冷ボツクス等に装入す
る」などの対策があるが、生産性やコストの面で
好ましくない。 以上の点に関し、本発明者らはフエライト系ス
テンレス鋼にAを添加すると、γ→α変態の速
度が上昇し前記(2)の条件を満たす捲取温度の下限
を700℃まで低下させ得ることを見い出した。 更にAは熱間圧延及び捲取時にANを析出
させ、その結果成品板の深絞り特性及び機械的性
質を著しく向上させる等、極めて有用な元素であ
り、特に、フエライト系ステンレス鋼の深絞用鋼
板を熱延板焼鈍工程を省略して製造する場合に
は、必要不可欠である。 以上、述べてきた様に本発明は前記(1),(2)の効
果で従来技術の矛盾を解消でき、更にAの添加
により材質特性及び作業性をより一そう改善する
ことができる。 次に本発明の構成要件の限定理由を述べる。 本発明が対象とする鋼種をγ相が10%以上析出
するフエライト系ステンレス鋼スラブに限定した
理由は、前記した様に本発明では仕上熱延時のγ
相を利用するものであるからであり、その効果を
奏するには少なくとも体積率で10%以上のγ相が
必要であるので10%以上と限定した。その上限は
フエライト系ステンレス鋼である限り、高高50%
以下であることは言うまでもない。 かかるスラブを粗熱延後、1050〜1150℃の温度
範囲で30秒間以上の保熱を行なうのは、仕上熱延
前にγ相を十分析出させるためである。従つて前
述した様に、保熱温度は該鋼のγ相が最も析出す
る温度TNであることが望ましく、一般にフエラ
イト系ステンレス鋼のTNは1050〜1150℃の温度
範囲にあるのでその温度範囲に限定した。また保
熱時間はγ相の析出が終了するのに十分な時間で
あれば特に限定されるものではないが、通常の粗
熱延終了後では少なくとも役30秒を要するため、
30秒を下限とした。保熱時間の上限については特
に限定しないが、生産性の点や表面の脱炭、脱
Cr及び表層部の異常粒成長防止の観点から30分
間以内であることが望ましい。 また、仕上熱延鋼板を800℃以上で捲取るのは、
γ相をα相と炭窒化物に分解させるためと、再結
晶させるためである。一般のAを含有しないフ
エライト系ステンレス鋼においてはγ→α変態を
十分に進行させるのに800℃以上の捲取温度が必
要であるので上記の様に限定した。この時、捲取
つた熱延コイルを保熱炉に装入したり、除冷させ
るために除冷カバーを用いれば、γ→α変態促進
の上で有用であることは言うまでもない。また、
保熱炉を利用する場合には保熱時間を長くすれば
保熱温度を低くできることも言うまでもない。捲
取温度の上限は治金的にはA3点であり、実操業
上では高々1000℃程度である。 次にAを含有するフエライト系ステンレス鋼
の場合の限定理由を述べる。Aを添加した理由
は、前記した様に材質特性を向上させるばかりで
なくγ→α変態速度を大きくさせるために、本発
明で必要な捲取温度の下限を700℃まで低くでき
るからである。上記の効果を現出するためには
0.08重量%以上含有することが必要であり、0.30
重量%以上ではその効果は飽和するのでA含有
量を0.08〜0.30重量%に限定した。 尚、成品材質に大きな影響を与えるスラブ加熱
及び粗熱延条件については特に限定はしないが、
スラブ加熱温度は熱延疵発生の観点より1150℃以
上でかつ、表面の脱炭層やスケールの成長を抑制
しまた異常粒成長を抑制するために1300℃以下で
あることが望ましい。また粗圧延条件についても
熱延疵発生の観点より大圧下圧延(圧下率50%以
上)は行なわない方が望ましい。即ち、換言すれ
ば従来材質特性(特にリジング特性)を向上させ
るが熱延疵を発生し易いという矛盾を有していた
「低温スラブ加熱圧延法(〜1100℃)」や「粗大圧
下熱間圧延法」を用いずとも、本発明の方法によ
れば、深絞り特性、リジング特性、機械的性質の
すべてを十分満足させることができる。 この点も本発明の特徴の一つである。 (実施例) 以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
る。 第1表に示した化学成分を有するSUS430鋼
(,)を通常のステンレス鋼の溶製法に従つ
て溶製し、250mm厚の連鋳スラブとした。このス
ラブを200mm厚×210mm幅×250mm長のサイズに切
断して、1200℃に加熱後6パスの粗熱延を実施
し、29mm厚の粗圧延片として、更に6パスの仕上
熱延により3.0mm厚の熱延板とした。この時の熱
間圧延条件を第2表に示す。粗圧延と仕上圧延の
保熱は、核鋼種のγ相が最も析出すると考えられ
る温度に保持した電気炉中に、粗圧延終了後得ら
れた粗圧延片を直ちに装入し保持して実施した。
尚、この保熱工程を実施しない場合は、粗圧延終
了後約1分間程度デイレーしてから仕上圧延に供
した。また捲取処理は、各捲取温度に保持した電
気炉中に、仕上圧延終了後、得られた熱延板を直
ちに装入し、60分間保持して取り出して室温まで
空冷した。上記の捲取処理は、実製造規模の連続
熱間圧延機で捲取つた場合に相当する。
レス鋼板の製造法に関するものである。尚、本発
明においては、特に断わりのない限りフエライト
系ステンレス鋼とは0.1重量%以下のC、10〜20
重量%のCrを含有する鋼をいうものとする。 (従来の技術) 従来、フエライト系ステンレス鋼板の製造法
は、素材を熱間圧延して熱延鋼帯として、次にバ
ツチ焼鈍炉で800〜850℃まで昇温、保持及び冷却
等数日間にわたる熱延板焼鈍処理をして、1回の
冷間圧延又は中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間
圧延を行つた後、最終焼鈍を施して製品とされて
いる。 以上の様な従来の製造法においては、冷間圧延
前に行う焼鈍処理に長時間を要するために生産性
が悪く、従つて製造コストが高くなるという欠点
があつた。上記の欠点を除くために、従来例えば
特公昭49−17932号公報では、熱延後直ちに急冷
して600℃以下で捲取り、熱延板焼鈍することな
く冷間圧延し最終焼鈍して、リジング特性の良い
フエライト系ステンレス鋼を製造できることを示
している。しかしながら、このように熱延捲取温
度を600℃以下とすると、リジング特性は向上す
るが、深絞り特性は悪くかつ降伏応力も高くなる
等の問題を生ずる。また特公昭58−32217号公報
では熱延捲取温度を850〜950℃の高温にすること
により、降伏応力や全伸び及び深絞り性が従来の
バツチ焼鈍工程材と同程度となることを示してい
るが、このような高温捲取を行うと上記の低温捲
取の特許文献に開示されている如く、リジング特
性が劣化するという欠点を有している。 また本発明者らは熱延板焼鈍工程を省略し得る
製造技術を開発するに当り、粗圧延と仕上圧延間
で保熱することに着目し、すでに特開昭59−
25933号公報で開示されている発明を出願してい
る。該発明は、主に粗圧延終了後保熱してγ→α
変態を促進せしめ、深絞り特性を向上することを
目指したものであり、そのためフエライト系ステ
ンレス鋼にAを添加しγ→α変態を早く生じせ
しめるものである。しかしそのような保熱ではリ
ジング特性向上効果はなく、従つてリジング対策
のためには他の方法例えば「α+γ」2相域で大
圧下粗熱延を行う等を併用する必要があつた。し
かし、この2相域での大圧下圧延は熱延疵の生成
をもたらし、成品板の表面特性を損なう等の問題
を生じた。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は、フエライト系ステンレス鋼板を特に
熱延板焼鈍工程を省略して製造する場合に、圧延
条件を考慮せずに、深絞り性や機械的性質と共に
リジング特性を同時に改善することが困難であつ
た点を解決しようとするものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明は上記の問題点を解決するために、フエ
ライト系ステンレス鋼の熱間圧延条件を特に限定
したもので、その骨子はγ相が10%以上析出する
フエライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延する
に際し、粗圧延終了後、得られた粗圧延片を1050
〜1150℃の温度範囲に30秒間以上の保熱をした後
に、仕上圧延を行ない、得られた仕上圧延鋼板を
800℃以上の温度で巻取ること、及びAを0.08
〜0.30重量%含有しかつγ相が10%以上析出する
フエライト系ステンレス鋼スラブを熱間圧延する
に際し、粗圧延終了後該粗圧延片を1050〜1150℃
の温度範囲に30秒間以上保熱した後に仕上圧延を
行ない、得られた仕上圧延鋼板を700℃以上の温
度で捲取ることにある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明者らは上記公知例で開示されている材質
特性上の矛盾を解消するために研究調査を続け、
仕上圧延前にα→γ変態させるとリジング特性が
向上するのは、従来考えられていたように熱延終
了後に生成したマルテンサイト相(M相)及び低
温変態相等による冷延集合組織のランダム化に依
るものばかりでなく、仕上熱延前の保熱の際に生
成したγ相が仕上熱延中に引き起こす治金現象に
よるリジング特性向上効果もかなり大きいことを
見い出し、更に上記の仕上熱延実施後高温捲取し
てγ→α変態を生じさせてから、冷間圧延に供し
ても上記のリジング特性向上効果は喪失しない上
に、深絞り特性も向上することを見い出し、本発
明を完成したものである。 即ち、本発明に依る材質特性向上効果は現在の
ところ以下の様に考えられる。 (1) 粗熱延終了後、得られた粗熱延片をγ相が最
も析出する温度(以下TN)近傍で保熱するこ
とにより、仕上熱延前にγ相を十分析出させそ
の後に仕上圧延することと、保熱することによ
るα母相の再結晶。 (2) 上記の仕上熱延の後、γ→α変態がほぼ完全
に起こり得る温度以上の高温域で捲取ることに
よる、該熱延コイル中のγ相のα相への変態促
進及びα母相の再結晶と炭窒化物の析出。 通常、フエライト系ステンレス鋼は完全変態し
ないため、仕上熱延工程で集合組織が形成され、
その優先方位は板厚中央部でND<100>,RD
<110>(以下45°cubeという)である。そして
この45°cubeが最終的にリジング形成の大きな一
因となる。ところが、前記(1)に記した様に仕上圧
延前にγ相を十分に析出させておくと、γ相はα
母相に比較して硬く変形の障害となるため、集合
組織をランダム化する。即ち45°cubeの形成を阻
害し、ND<110>を発達させる。この方位は
リジング特性向上に有利であり、かつ45°cubeと
比較すると深絞り特性向上にも有利である。また
γ相近傍での歪が大きい(転位密度が高い)と、
前記(2)に記した捲取時のγ→α変態の促進及びγ
母相の再結晶にも有利に作用すると考えられる。 一般に仕上圧延終了時の残留γ相が捲取時にγ
→α変態できずに空冷されるとマルテンサイト相
(以下M相)や低温変態相に変態する。以上の様
なM相を含む熱延板を冷間圧延すると集合組織の
形成(特にND<100>,ND<111>等)を
阻害し、最終的にリジング特性は向上するが深絞
り特性は著しく劣化する。また機械的性質(特に
降伏点)に対しても、上記M相が最終焼鈍時に分
解して固溶C,N濃度を高めるため降伏応力も高
くなる。また逆にγ→α変態が可能な高温捲取を
実施すると、熱延板中のM相は少なく冷間圧延時
の集合組織は発達し、深絞り特性は向上ND<
111>の発達のため)するが、リジング特性は劣
化する。(ND<111>とND<100>の発達の
ため)尚、最終焼鈍時の固溶C,N量は少なくな
り、降伏応力は低下する。 ところが、本発明の様に前記(1)の処理をして高
温捲取((2)の処理)すると、冷間圧延時の集合組
織は発達する(ND<111>,ND<100>)
にも拘らずリジング特性は劣化しない。これは、
仕上熱延時の45°cubeの形成を阻害し、ND<
100>コロニーのサイズを、小さくしておけば、
冷間圧延時にND<100>方位が発達しても、
そのコロニーサイズが小さいのでリジング特性は
劣化しないためと考えられる。また深絞り特性は
冷間圧延前の45°cubeの発達が少ないため、それ
だけ有利であり、降伏応力はM相が少なく良好と
なる。 以上の様に本発明の特徴の一つは従来技術の材
質特性に対する捲取温度依存性の矛盾を、前記
(1),(2)の処理の組み合せで解消することができる
ところにある。 尚前記(1),(2)のところで「α母相の再結晶」も
効果の中に入れているが、本発明者らの研究によ
れば、加工後にγα変態が生ずる場合にはα母
相の再結晶よりも変態の方が優先し、α母相の再
結晶は本発明の場合それ程生じない。しかし全く
生じないことはなく、特に前記(1)で粗圧延終了温
度より保熱温度が高い場合や、前記(2)で捲取温度
が高温の時にはα母相の再結晶が生ずる。また、
このα母相の再結晶が及ぼす材質向上効果は極め
て大きい(時にリジング特性)ことも見出してい
るので、前記(1),(2)の効果の中に包含させた。 次にAの効果について述べる。一般にフエラ
イト系ステンレス鋼の変態は普通鋼に比較して極
めて遅く、前記(2)の条件を満たすには800℃以上
の捲取温度が必要となる。ところが通常の熱間圧
延では800℃以上の捲取温度を実現するのは一般
に難かしく、かつ熱延コイル内の熱履歴のバラツ
キを生じ易く歩留りを劣化させる。上記問題を回
避するのに、例えば「近接コイラーの設置」,「熱
延コイルを保熱炉乃至除冷ボツクス等に装入す
る」などの対策があるが、生産性やコストの面で
好ましくない。 以上の点に関し、本発明者らはフエライト系ス
テンレス鋼にAを添加すると、γ→α変態の速
度が上昇し前記(2)の条件を満たす捲取温度の下限
を700℃まで低下させ得ることを見い出した。 更にAは熱間圧延及び捲取時にANを析出
させ、その結果成品板の深絞り特性及び機械的性
質を著しく向上させる等、極めて有用な元素であ
り、特に、フエライト系ステンレス鋼の深絞用鋼
板を熱延板焼鈍工程を省略して製造する場合に
は、必要不可欠である。 以上、述べてきた様に本発明は前記(1),(2)の効
果で従来技術の矛盾を解消でき、更にAの添加
により材質特性及び作業性をより一そう改善する
ことができる。 次に本発明の構成要件の限定理由を述べる。 本発明が対象とする鋼種をγ相が10%以上析出
するフエライト系ステンレス鋼スラブに限定した
理由は、前記した様に本発明では仕上熱延時のγ
相を利用するものであるからであり、その効果を
奏するには少なくとも体積率で10%以上のγ相が
必要であるので10%以上と限定した。その上限は
フエライト系ステンレス鋼である限り、高高50%
以下であることは言うまでもない。 かかるスラブを粗熱延後、1050〜1150℃の温度
範囲で30秒間以上の保熱を行なうのは、仕上熱延
前にγ相を十分析出させるためである。従つて前
述した様に、保熱温度は該鋼のγ相が最も析出す
る温度TNであることが望ましく、一般にフエラ
イト系ステンレス鋼のTNは1050〜1150℃の温度
範囲にあるのでその温度範囲に限定した。また保
熱時間はγ相の析出が終了するのに十分な時間で
あれば特に限定されるものではないが、通常の粗
熱延終了後では少なくとも役30秒を要するため、
30秒を下限とした。保熱時間の上限については特
に限定しないが、生産性の点や表面の脱炭、脱
Cr及び表層部の異常粒成長防止の観点から30分
間以内であることが望ましい。 また、仕上熱延鋼板を800℃以上で捲取るのは、
γ相をα相と炭窒化物に分解させるためと、再結
晶させるためである。一般のAを含有しないフ
エライト系ステンレス鋼においてはγ→α変態を
十分に進行させるのに800℃以上の捲取温度が必
要であるので上記の様に限定した。この時、捲取
つた熱延コイルを保熱炉に装入したり、除冷させ
るために除冷カバーを用いれば、γ→α変態促進
の上で有用であることは言うまでもない。また、
保熱炉を利用する場合には保熱時間を長くすれば
保熱温度を低くできることも言うまでもない。捲
取温度の上限は治金的にはA3点であり、実操業
上では高々1000℃程度である。 次にAを含有するフエライト系ステンレス鋼
の場合の限定理由を述べる。Aを添加した理由
は、前記した様に材質特性を向上させるばかりで
なくγ→α変態速度を大きくさせるために、本発
明で必要な捲取温度の下限を700℃まで低くでき
るからである。上記の効果を現出するためには
0.08重量%以上含有することが必要であり、0.30
重量%以上ではその効果は飽和するのでA含有
量を0.08〜0.30重量%に限定した。 尚、成品材質に大きな影響を与えるスラブ加熱
及び粗熱延条件については特に限定はしないが、
スラブ加熱温度は熱延疵発生の観点より1150℃以
上でかつ、表面の脱炭層やスケールの成長を抑制
しまた異常粒成長を抑制するために1300℃以下で
あることが望ましい。また粗圧延条件についても
熱延疵発生の観点より大圧下圧延(圧下率50%以
上)は行なわない方が望ましい。即ち、換言すれ
ば従来材質特性(特にリジング特性)を向上させ
るが熱延疵を発生し易いという矛盾を有していた
「低温スラブ加熱圧延法(〜1100℃)」や「粗大圧
下熱間圧延法」を用いずとも、本発明の方法によ
れば、深絞り特性、リジング特性、機械的性質の
すべてを十分満足させることができる。 この点も本発明の特徴の一つである。 (実施例) 以下本発明を実施例に基づいて詳細に説明す
る。 第1表に示した化学成分を有するSUS430鋼
(,)を通常のステンレス鋼の溶製法に従つ
て溶製し、250mm厚の連鋳スラブとした。このス
ラブを200mm厚×210mm幅×250mm長のサイズに切
断して、1200℃に加熱後6パスの粗熱延を実施
し、29mm厚の粗圧延片として、更に6パスの仕上
熱延により3.0mm厚の熱延板とした。この時の熱
間圧延条件を第2表に示す。粗圧延と仕上圧延の
保熱は、核鋼種のγ相が最も析出すると考えられ
る温度に保持した電気炉中に、粗圧延終了後得ら
れた粗圧延片を直ちに装入し保持して実施した。
尚、この保熱工程を実施しない場合は、粗圧延終
了後約1分間程度デイレーしてから仕上圧延に供
した。また捲取処理は、各捲取温度に保持した電
気炉中に、仕上圧延終了後、得られた熱延板を直
ちに装入し、60分間保持して取り出して室温まで
空冷した。上記の捲取処理は、実製造規模の連続
熱間圧延機で捲取つた場合に相当する。
【表】
【表】
【表】
以上の様にして製造した熱延板を酸洗後、ワー
クロール径150mmの冷間圧延機で冷間圧延して
0.4mm厚の冷延板とした後、875℃で40秒間焼鈍し
て成品板とした。この成品板の値とリジング高
さと降伏応力を第2表の製造符号に対応させて第
3表に示す。値は深絞り特性の目安であり、通
常の平板用途に対しては0.8〜0.9以上、深絞り用
途に対しては1.1〜1.2以上であることが望まし
い。リジング高さは、成品板をその圧延方向に引
張つた時に生じた板のうねりを粗度計で測定して
求めた。本発明者らが評価したリジング高さでは
通常約20μm以下であることが望ましく、特にリ
ジングに対して要求の厳しい用途では約18μm以
下であることが望ましい。また降伏応力は、0.4
mm厚の成品板では37Kg/mm2以下であることが望ま
しく、深絞り用途で更に低い方が望ましい。
クロール径150mmの冷間圧延機で冷間圧延して
0.4mm厚の冷延板とした後、875℃で40秒間焼鈍し
て成品板とした。この成品板の値とリジング高
さと降伏応力を第2表の製造符号に対応させて第
3表に示す。値は深絞り特性の目安であり、通
常の平板用途に対しては0.8〜0.9以上、深絞り用
途に対しては1.1〜1.2以上であることが望まし
い。リジング高さは、成品板をその圧延方向に引
張つた時に生じた板のうねりを粗度計で測定して
求めた。本発明者らが評価したリジング高さでは
通常約20μm以下であることが望ましく、特にリ
ジングに対して要求の厳しい用途では約18μm以
下であることが望ましい。また降伏応力は、0.4
mm厚の成品板では37Kg/mm2以下であることが望ま
しく、深絞り用途で更に低い方が望ましい。
【表】
【表】
第3表より明らかな様に、各々の鋼種の中で本
発明法に従つて製造したもの(鋼種の,鋼種
の〜)は、他に比較して材質特性がすぐれ
ていることが認められる。 鋼種において公知技術の特公昭58−32217号
公報に示された方法に依り製造したについては
r値、降伏応力は平板用途を十分に満足するがリ
ジング特性は良好とは言えない。また捲取温度を
低くする特公昭49−17932号公報記載の方法に従
つて製造された,ではリジング特性は優れて
いるが値は、決して良好とは言えず、更に降伏
応力が極めて高く通常の用途において支障をきた
す。捲取温度を中間の700℃としたにおいても
ほぼ同様である。これに対し本発明法により製造
したにおいては、値、降伏応力が特公昭58−
32217号公報記載の方法によつて製造されたと
同程度で平板用途を十分満足し、かつリジング特
性も特公昭49−17932号公報に依るもの(,)
と同程度の良好な値を示す。即ち本発明の方法に
より、従来の公知技術の材質特性上の矛盾を一挙
に解消することが可能である。また、本発明の粗
〜仕上圧延間の保熱を実施して捲取温度を低くし
た,,では、リジング特性は極めて優れて
いるが、値、降伏応力は十分でない。 Aを添加したSUS430鋼である鋼種の場
合、A添加効果により値、降伏応力が向上す
るがリジング特性は劣化している。(〜)。特
に降伏応力低下の効果は顕著であり、これは製造
時に析出するANのN固定効果に依るものであ
る。各特性の絶対値を別にすれば、鋼種の場合
も鋼種とほぼ同様の挙動を示す。即ち捲取温度
が高いと深絞り特性は向上するが、リジング特性
は劣化する。特に、鋼種の場合リジング特性の
劣化が著しい(〜)。これに対し、本発明の
場合(,,)、値は1.2程度でかつ降伏応
力も30Kg/mm2以下と極めて低く深絞り用途を十分
に満足し、更にリジング特性も20μm以下と良好
である。また、比較法の,では値が低いた
め深絞り用途は満足しないが平板用途には使用し
得る。 以上実施例では熱延板焼鈍工程を省略した製造
法について説明したが、本発明の方法は前述した
様に熱間圧延工程でリジング生成の原因となるコ
ロニーサイズを小さくするものであり、熱延板焼
鈍工程を実施しても同様の効果がある事は言うま
でもない。更に熱延板焼鈍を800〜1000℃で10分
間以内の短時間で行なう場合には、本発明におけ
る熱延捲取温度の材質特性への依存性は存在し、
この場合より低い捲取温度でも材質特性が向上す
ることは、本発明の思想より明らかである。以上
の理由より、本発明を熱延板焼鈍工程を省略して
製造する場合だけに限定しないものである。 (発明の効果) 以上詳記した様に、本発明によればリジング特
性がすぐれかつ他の特性(深絞り特性、機械的性
質)も通常満足され得る程度以上のフエライト系
ステンレス鋼板を経済的に製造することが可能と
なり、産業上裨益するところ極めて大である。
発明法に従つて製造したもの(鋼種の,鋼種
の〜)は、他に比較して材質特性がすぐれ
ていることが認められる。 鋼種において公知技術の特公昭58−32217号
公報に示された方法に依り製造したについては
r値、降伏応力は平板用途を十分に満足するがリ
ジング特性は良好とは言えない。また捲取温度を
低くする特公昭49−17932号公報記載の方法に従
つて製造された,ではリジング特性は優れて
いるが値は、決して良好とは言えず、更に降伏
応力が極めて高く通常の用途において支障をきた
す。捲取温度を中間の700℃としたにおいても
ほぼ同様である。これに対し本発明法により製造
したにおいては、値、降伏応力が特公昭58−
32217号公報記載の方法によつて製造されたと
同程度で平板用途を十分満足し、かつリジング特
性も特公昭49−17932号公報に依るもの(,)
と同程度の良好な値を示す。即ち本発明の方法に
より、従来の公知技術の材質特性上の矛盾を一挙
に解消することが可能である。また、本発明の粗
〜仕上圧延間の保熱を実施して捲取温度を低くし
た,,では、リジング特性は極めて優れて
いるが、値、降伏応力は十分でない。 Aを添加したSUS430鋼である鋼種の場
合、A添加効果により値、降伏応力が向上す
るがリジング特性は劣化している。(〜)。特
に降伏応力低下の効果は顕著であり、これは製造
時に析出するANのN固定効果に依るものであ
る。各特性の絶対値を別にすれば、鋼種の場合
も鋼種とほぼ同様の挙動を示す。即ち捲取温度
が高いと深絞り特性は向上するが、リジング特性
は劣化する。特に、鋼種の場合リジング特性の
劣化が著しい(〜)。これに対し、本発明の
場合(,,)、値は1.2程度でかつ降伏応
力も30Kg/mm2以下と極めて低く深絞り用途を十分
に満足し、更にリジング特性も20μm以下と良好
である。また、比較法の,では値が低いた
め深絞り用途は満足しないが平板用途には使用し
得る。 以上実施例では熱延板焼鈍工程を省略した製造
法について説明したが、本発明の方法は前述した
様に熱間圧延工程でリジング生成の原因となるコ
ロニーサイズを小さくするものであり、熱延板焼
鈍工程を実施しても同様の効果がある事は言うま
でもない。更に熱延板焼鈍を800〜1000℃で10分
間以内の短時間で行なう場合には、本発明におけ
る熱延捲取温度の材質特性への依存性は存在し、
この場合より低い捲取温度でも材質特性が向上す
ることは、本発明の思想より明らかである。以上
の理由より、本発明を熱延板焼鈍工程を省略して
製造する場合だけに限定しないものである。 (発明の効果) 以上詳記した様に、本発明によればリジング特
性がすぐれかつ他の特性(深絞り特性、機械的性
質)も通常満足され得る程度以上のフエライト系
ステンレス鋼板を経済的に製造することが可能と
なり、産業上裨益するところ極めて大である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 γ相が10%以上析出するフエライト系ステン
レス鋼スラブを熱間圧延するに際し、粗圧延終了
後、得られた粗圧延片を1050〜1150℃の温度範囲
に30秒以上の保熱をした後に仕上圧延を行い、か
くして得られた仕上圧延鋼板を800℃以上の温度
で巻取ることを特徴とする加工性のすぐれたフエ
ライト系ステンレス鋼板の製造方法。 2 Aを0.08〜0.30重量%含有し、かつ、γ相
が10%以上析出するフエライト系ステンレス鋼ス
ラブを熱間圧延するに際し、粗圧延終了後、得ら
れた粗圧延片を1050〜1150℃の温度範囲に30秒以
上保熱した後に仕上圧延を行い、かくして得られ
た仕上圧延鋼板を700℃以上の温度で巻取ること
を特徴とする加工性のすぐれたフエライト系ステ
ンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21477285A JPS6277423A (ja) | 1985-09-30 | 1985-09-30 | 加工性のすぐれたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21477285A JPS6277423A (ja) | 1985-09-30 | 1985-09-30 | 加工性のすぐれたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6277423A JPS6277423A (ja) | 1987-04-09 |
JPH0564213B2 true JPH0564213B2 (ja) | 1993-09-14 |
Family
ID=16661279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21477285A Granted JPS6277423A (ja) | 1985-09-30 | 1985-09-30 | 加工性のすぐれたフエライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6277423A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1491646B1 (en) | 2002-03-27 | 2012-05-02 | Nippon Steel & Sumikin Stainless Steel Corporation | Ferritic stainless steel sheet, and method for producing the same |
-
1985
- 1985-09-30 JP JP21477285A patent/JPS6277423A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6277423A (ja) | 1987-04-09 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |