JPH072971B2 - 加工性が良好なフエライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性が良好なフエライト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH072971B2
JPH072971B2 JP9106486A JP9106486A JPH072971B2 JP H072971 B2 JPH072971 B2 JP H072971B2 JP 9106486 A JP9106486 A JP 9106486A JP 9106486 A JP9106486 A JP 9106486A JP H072971 B2 JPH072971 B2 JP H072971B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼板
の製造方法に関するものである。
(従来の技術) ステンレス鋼薄鋼板は例えば特開昭55−97430号公報に
記載されている如く、板厚200mm前後に連続鋳造された
鋳片を粗圧延もしくは1200℃に加熱後、熱間仕上圧延し
て熱延板とし、ベル型の焼鈍炉により熱延板焼鈍を施こ
して、冷間圧延、仕上焼鈍を行い、製品とされている。
(発明が解決しようとする問題点) 上記の如く、公知の技術は鋳片の厚みが厚く、所定の熱
延板にするための諸エネルギーを必要とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上記問題点を解決するべく、熱間圧延工程
と、熱延板焼鈍工程を一挙に省略することを目的とした
もので、その要旨とするところは下記のとおりである。
(1) 重量%で、Cr:8〜30%、C:0.001〜0.5%を含有す
るフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造して厚さ3mm以
下の鋳片を得、該鋳片を凝固温度から1200℃まで空冷以
上の冷却速度で冷却し、次いで1200℃から1000℃まで
を、30℃/sec以上の冷却速度で冷却した後、1000℃以下
700℃以上の温度域で捲取って薄鋳片コイルとした後
に、冷延、焼鈍を施して薄鋼板とすることを特徴とする
加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼板の製造方
法。
(2) 重量%で、Cr:8〜30%、C:0.001〜0.5%を含有す
るフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造して厚さ3mm以
下の鋳片を得、該鋳片を凝固温度から1200℃まで空冷以
上の冷却速度で冷却し、次いで1200℃から1000℃までを
30℃/sec以上の冷却速度で冷却すること、および前記12
00℃から1000℃までの冷却過程若しくはこの冷却過程を
終えた後に、圧下率が10%以上の圧延加工を施し、次い
で1000℃以下700℃以上の温度域で捲取って薄鋳片コイ
ルとした後に、冷延、焼鈍を施して薄鋼板とすることを
特徴とする加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼板
の製造方法。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明において鋳片厚みを3mm以下とし、凝固温
度から1200℃まで空冷以上の冷却速度で冷却すると限定
した理由はリジング特性を向上させるためである。
リジングとは薄鋼板を加工した際に生ずる表面欠陥の一
種であり、通常の普通鋼薄板には認められず、フェライ
ト系ステンレス薄鋼板固有の現象である。この理由は、
フェライト系ステンレス鋼が完全変態せずかつ普通鋼に
比べ再結晶もしにくいために、製造工程時に組織が細粒
化されにくいことに起因すると考えられる。即ち細粒化
されにくいため、成品板にある特定の結晶方位を持つ結
晶粒の集団(以下コロニーと称する)が存在し、加工を
受けた際にコロニー単位で加工異方性が生じリジングと
して観察される。従って製造時にコロニーが形成される
工程以前で細粒化すれば、コロニーも微細化され最終的
にリジング特性が向上する。例えば、従来の熱延板焼鈍
工程は冷延前に熱延板の組織を再結晶させて細粒化させ
ることを企図するものである。更に、本発明者らは以上
の思想に基き研究を進め、α系ステンレス鋼板の製造工
程において仕上熱延工程もコロニー形成工程であること
を確かめ、その前の粗熱延圧工程で再結晶させることで
熱延板焼鈍工程を省略できることを見い出している。
(特開昭59−13026号公報、特願昭60−3002号) 本発明は上記思想を更に発展させ、熱延工程をも省略す
るものである。
一般に鋳片厚を薄くすると凝固冷却速度及び凝固後の鋳
片冷却速度が大きくなり、鋳造組織が微細化される。第
1図にCrを16%含有するフェライト系ステンレス鋼を鋳
造した時の鋳片厚と鋳造組織の柱状晶の幅との関係を示
し、その鋳造組織の一例を第2図、第3図に示す。
フェライト系ステンレス鋼の鋳片厚を従来の102mmより1
01mm、100mm…と薄くしていけば、その鋳造組織はほ
ぼ、柱状晶組織でその柱状晶の大きさは小さくなってい
く。この柱状晶は、従来リジング特性を大いに劣化させ
る要因とされてきたが、そのサイズが小さくなれば劣化
要因とはならない。リジング特性と鋳片厚みの関係を第
4図に示す。この図より鋳片厚みを薄くすることでリジ
ング特性が向上することが認められる。この理由は鋳片
厚を薄くすることで、コロニー形成工程(本発明法では
冷延工程)以前に組織を微細化できるために、コロニー
サイズが小さくなりリジング特性が向上するものと考え
られる。ここで鋳片厚を薄くした時に組織が微細化する
のは、凝固冷却速度と凝固後の鋳片の冷却速度が大きく
なるからである。即ち、凝固冷却速度が大きいと、液相
の過冷度が大きくなりそれだけ固相の核の発生数が増え
細粒化される。また凝固完了後も粒成長による粗粒化が
生ずるので、鋳片冷却速度も大きくしないと、細粒化さ
れない。通常の薄肉鋳片連続鋳造機(単ロール、双ロー
ル、単ベルト、双ベルト鋳造機等)では、鋳片厚を3mm
以下とすることで凝固時の冷却速度を所期の目標を達成
する程度まで大きくできるが、凝固後の粒成長まで必ず
しも抑止できない、通常、凝固温度からフェライト系ス
テンレス鋼の事実上の粒成長停止温度である1200℃ま
で、空冷以上の冷却速度、望ましくは30℃/sec以上の冷
却速度で冷却する必要がある。
以上の理由により、鋳片厚みの上限を3mm以下とし、凝
固温度から1200℃までの冷却温度の下限を空冷以上と限
定した。
尚、鋳片厚の下限については特に限定しないが、形状の
良好な鋳片を安定的に製造するためには、0.5mm厚以上
であることが望ましい。また凝固温度から1200℃までの
冷却速度の上限についても特に限定しないが実用上制御
できるのは最大200℃/秒程度までである。
以上リジングに関して、鋳造組織の微細化効果について
述べたが、本発明の様に熱延工程を省略してある板厚の
薄鋼板を製造する場合、鋳片厚を薄くして冷延圧下率を
小さくすることにするリジング特性向上効果もあると考
えられる。
次に1200℃から1000℃まで30℃/秒以上の冷却速度で冷
却し、1000℃以下700℃以上の温度範囲で鋳片を捲取る
理由について述べる。この理由は鋳片の冷延性と成品板
の機械的性質及び深絞り特性を向上させるためである。
前述した様にフェライト系ステンレス鋼は完全変態しな
いが、一般に1200℃〜1000℃の高温域では部分変態しα
相とγ相の二相となる。従来の工程における熱延板で
は、α母相中に上記のγ相より変態した低温変態相(α
母相より硬い)が存在るため、このままの状態で冷間圧
延すると、冷延破断したり、冷間圧延時の圧下率が一定
にならず、コイル長手方向の厚みの変動が大きくなりま
たコイル端部に耳ワレが発生する等、冷延性が悪化し
た。
更に材質に関して言及すれば、この低温変態相(硬い
相)の存在は、冷延集合組織の発達を阻害するために、
成品板のリジング特性は向上するが、深絞り特性を著し
く劣化させ、また最終焼鈍時に低温変態相が分解するた
め降伏応力を高くしたり全伸び値を低くする等の問題を
生じた。従って従来、熱延板中の低温変態相をα相と球
状炭化物に分解させるために、熱延板焼鈍工程が必須で
あった。この熱延板焼鈍工程を省略するには、例えば冷
延性や深絞り特性等の劣化を無視して熱延時に低温捲取
をする技術(特公昭49−17932号公報)、リジング特性
の劣化を無視して熱延時に高温捲取をする技術(特公昭
58−32217号公報)、Alを添加して熱延捲取時のγ→α
変態を早めて冷延性、材質を向上させる技術(特開昭61
−23720号公報)、更に粗熱延時に再結晶させてから高
温捲取してリジングと共に深絞り特性等の材質と冷延性
を向上させる技術(特願昭60−3254号)等がある。
しかし以上の技術は全て熱延工程を前提としており、ま
た冷延性に関しては熱延時の高温捲取によりγ相の分解
を企図するものである。この高温捲取でγ相を分解させ
た場合、炭化物は球状化し難く、従来の熱延板焼鈍材に
比較して冷延性はやや劣るという問題点を有している。
そこで、本発明者らは、上記の問題点を解決し熱延工程
と熱延板焼鈍工程を一挙に省略する方法を研究した結
果、低温変態相の生因となるγ相が多量に生成しない様
に凝固後γ相析出温度範囲を急冷して、かつα相と炭化
物の二相領域で徐冷することで過飽和の固溶Cを微細な
球状炭化物にして、冷延性、及び深絞り特性等の材質を
向上させる本発明法を完成した。即ち、鋳片厚が3mm以
下のフェライト系ステンレス鋼薄鋳片を1200℃から1000
℃までの温度範囲をγ相が多量に析出しない様に30℃/
秒以上、望ましくは50℃/秒以上の冷却速度で冷却した
後に、1000℃から700℃の温度範囲で薄鋳片を捲取っ
て、過飽和に固溶したCを微細な球状炭化物にするもの
である。この時捲取った薄い鋳片コイルを徐冷若しくは
保熱すれば更に効果が大きいことは言うまでもない。
以上の様にして製造した薄鋳片は、通常の方法で製造し
た薄鋳片に比べγ相から変態したパーライト(α相と(F
e,Cr)23C6)相の量が少ないかわりに、α粒内に微細に析
出した炭化物((Fe,Cr)23C6)が多くなっており、冷延性
は良好である。また、通常の方法で製造した薄鋳片で
は、γ相がα母相の粒界(主としてランダム粒界)に析
出しているのでそのγ相より変態した炭化物(パーライ
トを形成)は、主にα相の粒界を覆っているが、本発明
の方法では前述の様にγ相の析出を抑制して炭化物を析
出させる為に、炭化物はα粒内に微細に分散しα粒界は
比較的清浄である。そのα粒界は冷延・焼鈍時に{11
1}粒の再結晶核発生サイトとなるもので、冷延時に炭
化物がα粒界を覆っていると{111}粒の核となりにく
い。更にパーライト状の炭化物はクラックの起点となり
易く、機械的性質を損なうという一面もある。即ち本発
明の方法に依れば、単に低温変態相が存在しないという
ばかりではなく、炭化物が粒内に微細分散しているので
成品板の深絞り特性及び機械的性質が良好となる。また
前述の様にα粒のサイズも小さくしてあるのでリジング
特性も良好である。
ここで、γ相が析出しない様に冷却する温度範囲を1200
℃から1000℃までに限定したのは、通常のフェライト系
ステンレス鋼のγ相析出温度範囲であるからである。ま
たその冷却速度を30℃/秒以上に限定したのはγ相の析
出を抑制するためである、30℃/秒以上で、析出するγ
相量を全γ相量の1/2以下にでき、50℃/秒以上で1/4以
下にできる。尚、本発明で許容できる析出γ相量は母相
に対し体積率で約10%以下であり、γポテンシャルが高
いフェライト系ステンレス鋼では上記冷却速度を高くす
る必要があることは言うまでもない。また、該冷却速度
の上限は特に限定しないが、実用上制御できるのは200
℃/秒程度までである。
また薄鋳片の捲取温度を1000℃以下700℃以上に限定し
た理由にはそれ以上の温度ではγ相が析出する恐れがあ
り、それ以下の温度では原子の有効拡散距離が小さく炭
化物を形成できないからである。また捲取った薄鋳片コ
イルの冷却方法については特に限定しないが、通常100
℃/時間以下の冷却速度であることを前提としている。
また徐冷ないし保熱が有効であることは言うまでもな
い。
尚、本発明は熱延工程と熱延板焼鈍工程を一挙に省略す
ることを目的とするものであるが、単に熱延工程を省略
するだけであるならば、本発明の中の鋳片捲取条件を外
して熱延板焼鈍を実施すれば良いことは言うまでもな
い。
次に、凝固から捲取までの間に圧下率が10%以上の圧延
加工を実施する理由について述べる。
従来の熱延板に比べ本発明の様な薄鋳片の場合、往々に
して鋳片内部に空隙が存在することが多い。この様な空
隙は鋳片の冷延性や成品板の機械的特性を劣化させるこ
とがある。従って鋳片が凝固後顕熱を有する内に10%以
上の圧下を加える圧延を実施して該空隙をなくすれば、
上記問題点は解消される。ここで圧下率を10%以上に限
定した理由はこれ以下の圧下率では空隙をなくする効果
が乏しいからである。また圧下率の上限は特に限定しな
いが、実用上1パス当りの圧下率は70%までである。ま
たパス数についても特に限定しないが、設備コストの点
より1〜3パス程度であることが望ましい。
次に本発明の出発材の成分限定理由について説明する。
Crを8%以上としたのは、これ未満のCr量では耐食性が
劣るためである。Crの添加量が増す程耐食性は向上する
が30%を超えると効果が少なく、且つ冷延性も劣化し、
経済性を考慮するとこれ以上のCr量は好ましくないので
30%を上限とした。
Cを0.001%以上としたのは、これ未満のC量の出発材
を溶製することは、通常の方法では困難なので、0.001
%以上とした。Cは添加量が多い程リジング特性が良く
なるが、0.5%を超えて添加すると冷延性やr値が劣化
するので上限を0.5%とした。
本発明における出発材の成分は、Crが8〜30%の範囲
で、常温でα+(炭化物)となるような成分であればど
のような元素が入っていても本発明の対象に入るもので
あり、すべての温度域でα単相となるような成分組成の
場合も、本発明の範囲に包含されるものであるが、本発
明の主たる目的を達成する成分としては、高温でα,γ
2相となるような成分系であることは言うまでもない。
従って、成品板の機械的性質や深絞り特性を向上させる
ために、AlやTi等の窒化物形成元素を添加しても、本発
明の効果が損なわれないことは言うまでもない。
以下に本発明を実施例に従って詳細に説明する。
(実施例) 実施例1 第1表に示す成分のフェライト系ステンレス鋼を双ロー
ル法で厚さ2mmの薄肉鋳片に鋳造後、直ちに水冷して800
℃で捲取った。凝固温度から1200℃までの冷却速度は約
70℃/秒,1200℃から1000℃までの冷却速度は約60℃/
秒で捲取後の冷却速度は約50℃/時間である。比較のた
め鋳造後空冷して800℃で捲取ったコイルも製造した。
空冷時の冷却速度は20〜30℃/秒である。
以上の様にして製造した鋳片を0.4mm厚まで冷間圧延し
たところ、本発明に従って鋳造後水冷して750℃で捲取
ったものは、良好な冷延性を示したが、空冷したものは
冷延板に耳ワレが発生し、板厚変動も大きかった。
(実施例2) 第2表に示す化学成分を有するフェライト系ステンレス
鋼A,B,Cを溶製し、第3表に示す製造プロセスで薄鋼板
とした。プロセスIは双ロール鋳造機で1〜2mm厚に鋳
造した鋳片を1200℃より1000℃まで水冷して800℃で捲
取ってコイルとした後に、酸洗し、ロール径が150mmの
冷延機で0.4mm厚まで冷延し、875℃で60秒間焼鈍して成
品板とした。尚第3表において、冷却Iとは凝固温度か
ら1200℃までの冷却を意味し、冷却IIとは1200℃から10
00℃までの冷却を意味する。プロセスIIは供試鋼を鋳片
厚が4mmの鋳型に鋳込んだ後2.0mm厚まで両表面を平削
し、その後はプロセスIと同様にして薄鋼板とした。プ
ロセスIIIは鋳片厚が20mmの鋳型に鋳込み、その後はプ
ロセスIIと同様にして薄鋼板とした。
プロセスIVは供試鋼Cを鋳片厚が20mmの鋳型に鋳込んで
20mm厚の鋳片とした後、直ちに6パスの熱延を行ない3.
0mm厚の熱延板とした。この時の熱延開始温度は1100℃
で終了温度は921℃であった。この熱延板を840℃で4時
間焼鈍し、その後はプロセスIと同様にして薄鋼板とし
た。
プロセスVは供試鋼Cを通常の連続鋳造(CC)で250mm
厚の鋳片とし、1200℃に加熱して通常のホットストリッ
プミルで6パスの粗熱延と6パスの仕上熱延を実施し70
0℃で捲取った熱延鋼板を、840℃で4時間焼鈍し、その
後はプロセスIと同様にして薄鋼板とした。プロセスVI
は供試鋼Cを通常のCCで250mm厚の鋳片とし、1200℃に
加熱してホットストリップミルで6パスの粗熱延と6パ
スの仕上熱延を実施し、580℃で捲取った熱延鋼板を、
酸洗し、その後直接冷延、焼鈍して薄鋼板とした。
以上の様に製造した成品板のリジング特性を各鋳片厚み
と共に第4表に示す。また鋼種A,B,CでプロセスI,II,II
Iで製造した成品板のリジング特性と、鋳片厚みの関係
を第2図に示す。第4表、第2図より本発明法に従って
製造したフェライト系ステンレス鋼板のリジング特性
は、比較法や従来法で製造した場合に比較して、良好で
あることが認められる。
(実施例3) 第5表に示す化学成分を有するフェライト系ステンレス
鋼板を双ロール鋳造機で2mmに鋳造した後に第6表に示
す冷却圧延捲取条件で薄鋳片コイルとした後に酸洗して
0.4mm厚までロール径150mmの冷延機で冷延し、875℃で6
0秒間焼鈍して成品板とした。その時の冷延性と成品板
の材質特性を第7表に示す。第7表には第5表の成分を
有するフェライト系ステンレス鋼を従来法(実施例2の
プロセスV)に従って製造した時の成品板の材質特性も
併せて示す。
第7表より本発明の方法に従って製造した,は従来
法に比較して熱延工程と熱延板焼鈍工程を省略している
にも拘らず、ほぼ同様の材質特性を示している。は全
伸び値がやや低いが、鋳片に本発明の圧延を実施した
では、かなり全伸び値が改善されている。
また、1200℃から1000℃間を空冷した比較法のは、冷
却中にγ相が析出しているため、鋳片中にパーライト相
(α相と(Fe,Cr)23C6の層状相)が多量に存在する為、
耳ワレが生ずる等、冷延性が悪く、かつ全伸び値、値
も低い。凝固温度から1200℃まで徐冷した比較法は、
柱状組織が粗大化しリジング特性が劣化している。また
捲取温度が600℃である比較法は捲取時に炭化物を十
分に析出することができないために、冷延ワレを生ずる
等冷延性が著しく悪くかつ降伏応力が高く深絞り特性も
悪い。
(発明の効果) 以上詳述した様に、本発明により熱延工程及び熱延板焼
鈍工程を省略してフェライト系ステンレス鋼板を製造す
れば、従来の熱延工程及び熱延板焼鈍工程を実施して製
造していたものと同等の良好な加工性を有するフェライ
ト系ステンレス鋼板を得ることができ、かつ製造コスト
を大幅に低下できる等産業上裨益するところが大であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はCrを16重量%含有し、Cを0.02重量%含有する
フェライト系ステンレス鋼を、片ロール鋳造機、双ロー
ル鋳造機、偏平鋳型、C.C.(連続鋳造機)で鋳造した時
の鋳片厚みと鋳造組織の柱状晶の幅との関係を示す図、
第2図はCrを16重量%含有しCを0.02重量%含有するフ
ェライト系ステンレス鋼を、双ロール鋳造機で1mm厚に
鋳造した時の金属鋳造組織を示す写真図、第3図はCrを
16重量%含有し、Cを0.02重量%含有するフェライト系
ステンレス鋼を鋳片厚が4mm厚の偏平鋳型で鋳造した時
の金属鋳造組織を示す図、第4図はリジング高さと成品
板の鋳片厚みとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 道雄 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式會社第1技術研究所内 (72)発明者 須貝 哲也 神奈川県川崎市中原区井田1618番地 新日 本製鐵株式會社第1技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−25203(JP,A) 特開 昭62−176649(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Cr:8〜30%、C:0.001〜0.5%を
    含有するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造して厚さ
    3mm以下の鋳片を得、該鋳片を凝固温度から1200℃まで
    空冷以上の冷却速度で冷却し、次いで1200℃から1000℃
    までを、30℃/sec以上の冷却速度で冷却した後、1000℃
    以下700℃以上の温度域で捲取って薄鋳片コイルとした
    後に、冷延、焼鈍を施して薄鋼板とすることを特徴とす
    る加工性が良好なフェライト系ステンレス鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】重量%で、Cr:8〜30%、C:0.001〜0.5%を
    含有するフェライト系ステンレス鋼を連続鋳造して厚さ
    3mm以下の鋳片を得、該鋳片を凝固温度から1200℃まで
    空冷以上の冷却速度で冷却し、次いで1200℃から1000℃
    までを30℃/sec以上の冷却速度で冷却すること、および
    前記1200℃から1000℃までの冷却過程若しくはこの冷却
    過程を終えた後に、圧下率が10%以上の圧延加工を施
    し、次いで1000℃以下700℃以上の温度域で捲取って薄
    鋳片コイルとした後に、冷延、焼鈍を施して薄鋼板とす
    ることを特徴とする加工性が良好なフェライト系ステン
    レス鋼板の製造方法。
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