JPH0562631B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は油性顔料マーカーインキ組成物に関す
るものである。さらに詳しくいえば、描線が濃く
かつ滲みが少なくて明瞭な描線を与えることがで
き、その上顔料の分散性に優れ、経時安定性の良
好な染料含有油性顔料マーカーインキ組成物に関
するものである。 従来の技術 従来、マーカーインキとしては、速乾性が要求
されることから、比較的沸点の低い有機溶剤に、
油溶性の染料を溶解させたものや、顔料などを分
散させたものが知られている。前者の染料を溶解
したものは、通常油溶性樹脂などが添加されてい
るものの、低粘度が要求されるために、多く用い
ることができず、描線が滲んだり、紙の裏面にイ
ンキが浸透するなどの問題を有している。一方、
顔料を分散させたものは、このような問題は少な
いが、一般に経時安定性が悪く、時間が経過する
に伴い、顔料粒子の凝集や沈降が生じ、限られた
顔料しか用いえないという問題がある。 ところで、マーカーインキにおいて油溶性の染
料と顔料とを併用すると、顔料によつて下地が隠
ぺいされ、その上に染料が転写されるので、描線
は濃く、かつ滲みが少なくて、明瞭な描線を与え
ることが可能であるが、染料と顔料とを併用した
場合、一般に顔料の分散性が著しく低下するのを
免れず、その結果顔料粒子の凝集や沈降を生じ、
使用時にペン先の目詰りや濃度変化を伴ない、遂
には筆記不能に陥いるという問題をひき起す。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、このような事情のもとで、描
線が濃くかつ滲みが少なくて明瞭な描線を与える
ことができ、その上顔料の分散性に優れ、経時安
定性の良好な油性マーカーインキ組成物を提供す
ることにある。 問題点を解決するための手段 本発明者は前記目的を達成すべく鋭意研究を重
ねた結果、無機系顔料と特定の有機溶剤とアルミ
ニウム系カツプリング剤を用いることにより、そ
の目的を達成しうることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、油溶性の染料、無機系顔
料、分散用樹脂、及びエステル系溶剤及びケトン
系溶剤の中から選ばれた少なくとも１種の有機溶
剤から成る基本組成に、アルミニウム系カツプリ
ング剤（アルミニウムキレート化合物）を配合し
たことを特徴とする油性顔料マーカーインキ組成
物を提供するものである。 本発明組成物に用いられる有機溶剤は、エステ
ル系溶剤、ケトン系溶剤であることが必要であ
る。エステル系溶剤としては、例えば酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチ
ル、プロピオン酸エチルなどが、ケトン系溶剤と
してはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トンなどが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ
単独で用いてもよいし、２種以上組み合わせて用
いてもよい。 また、油溶性の染料としては、前記有機溶剤に
可溶な染料、例えばオイル染料、粉末含金染料、
液状含金染料などが用いられる。オイル染料とし
ては、例えばオイルイエロー＃ 101、＃ 105、＃
107、GGS（オリエント化学社製、登録商標名）、
オイルピンクOP、＃ 312（同上）、オイルスカーレ
ツト＃ 308（同上）、オイルレツド5B（同上）、オイ
ルブラウンGR、＃ 416、BB（同上）、オイルブル
ーBOS、＃ 603（同上）、オイルブラツクHBB（同
上）などが挙げられ、粉末含金染料としては、例
えばバリフアストイエロー＃ 4120、＃ 4121（オリ
エント化学社製、登録商標名）、バリフアストオ
レンジ＃ 3209，3210（同上）、バリフアストレツド
＃ 2303、＃ 3304、＃ 3305、＃ 3306（同上）、バリフ
アストブラウン＃ 2402、＃ 3402（同上）、バリフア
ストブルー＃ 2606（同上）、バリフアストブラツク
＃ 3820（同上）、及びスピロンイエロー3RH（保土
谷化学社製、登録商標名）、スピロンオレンジ
GRHextra conc（同上）、スピロンレツドGEH、
BEH（同上）、スピロンブラウンBHconc（同上）、
スピロンイエローGRLH、3RHスペシヤル（同
上）、スピロンオレンジGRHconcスペシヤル
（同上）、スピロンレツドGEHスペシヤル、
GRLHスペシヤル、BEHスペシヤル（同上、ス
ピロンブルーGNH、2BNH（同上）、スピロング
リーン3GNHconcスペシヤル（同上）、スピロン
ブラツクBHスペシヤル（同上）などが挙げられ
る。 また液体含金染料としては、例えばスピロンイ
エローRH Ｓ−リキツド（保土谷化学社製、登
録商標名）、スピロンオレンジGRH Ｓ−リキツ
ド、GRNH Ｓ−リキツド、RH Ｓ−リキツド、
2RNH Ｓ−リキツド（同上）、スピロンレツド
GEH Ｓ−リキツド（同上）、BEH Ｓ−リキツ
ド（同上）、スピロンボルドークスBH Ｓ−リキ
ツド（同上）、スピロンバイオレツドRH Ｓ−リ
キツド（同上）、スピロンブルー2BNH Ｓ−リ
キツド（同上）、スピロングリーン3GNH Ｓ−
リキツド（同上）、スピロンブラウンBH Ｓ−リ
キツド（同上）、スピロンマホガニーRH Ｓ−リ
キツド（同上）、スピロンブラツクBH Ｓ−リキ
ツド、RLH Ｓ−リキツド、REH Ｓ−リキツ
ド、MH Ｓ−リキツド（同上）などが挙げられ
る。 これらの染料はそれぞれ単独で用いてもよい
し、２種以上混合して用いてもよく、その配合量
は組成物に対して染料の溶解度に応じた量、又は
要求する色相、濃度に適した量の範囲であればよ
い。 本発明組成物に用いられる無機系顔料として
は、酸化チタン、カーボンブラツクなどが挙げら
れる。 これらの顔料はそれぞれ単独で用いてもよい
し、２種以上組み合わせて用いてもよく、その配
合量は組成物に対して３〜８重量％の範囲である
ことが好ましい。 本発明組成物においては、前記顔料粒子の凝
集、沈降を防止し、組成物の経時安定性を良好な
ものにするための成分として特にアルミニウム系
カツプリング剤を配合させることが必要である。
一般にインキ組成物のカツプリング剤としては、
アルミニウム系カツプリング剤以外に、シラン系
カツプリング剤やチタネート系カツプリング剤な
どが知られているが、これらのカツプリング剤
は、アルミニウム系カツプリング剤に比べて顔料
粒子の凝集、沈降を防止する効果が小さいため不
適当である。アルミニウム系カツプリング剤が顔
料粒子の凝集、沈降を防止する効果に優れている
理由については明確ではないが、このものが顔料
粒子にアンカーとしての役割を果たし、分散用樹
脂をより強く吸着し、立体障害を起こして顔料粒
子の凝集、沈降を防止していると考えられる。又
は、顔料を分散させている分散用樹脂の官能基と
反応し−Ｏ−Al−Ｏ−の架橋構造を樹脂間に形
成させ、顔料粒子への分散用樹脂の吸着をより強
くして顔料粒子の分散安定化に効果があるものと
考えられる。 アルミニウム系カツプリング剤としては、
ALCH（川研フアインケミカル社製、登録商標
名）ALCH−TR（同上）、アルミキレートＭ（同
上）、アルミキレートＤ（同上）、アルミキレート
Ａ（同上）などのアルミニウムキレート化合物が
用いられる。このアルミニウム系カツプリング剤
の配合量は、顔料に対して好ましくは0.1〜10重
量％、さらに好ましくは１〜３重量％の範囲で選
ばれる。その量が0.1重量％未満では本発明の効
果が得られず、また10重量％を超えると量の割に
は効果が望めず、より過剰な添加は、インクをゲ
ル化させてしまうため不利となる。 本発明組成物には、通常マーカーインキに慣用
されている樹脂、例えばメタクリル酸エステル樹
脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、炭化水素樹
脂、フエノール樹脂、キシレン樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、アルキツ
ド樹脂などを必要に応じ含有させることができる
し、さらに界面活性剤、防菌剤、防錆剤、潤滑剤
などを所望に応じて添加することもできる。 本発明組成物は、例えば有機溶剤に顔料を分散
させ、必要ならば樹脂などを溶解させたのち、こ
れにアルミニウム系カツプリング剤所要量を添加
して１〜５時間程度かきまぜ、次いでこの顔料分
散液に、染料を有機溶剤に溶かした溶液又は、液
状タイプの染料を加えて十分かきまぜることによ
り、調製することができる。 発明の効果 本発明の油性顔料マーカーインキ組成物は、染
料と顔料とを併用したものであつて、描線が濃く
かつ滲みが少なくて明瞭な描線を与えることがで
き、その上アルミニウム系カツプリング剤を含有
させているので、顔料粒子の分散性に優れてお
り、長期間にわたつて、該粒子が凝集、沈降する
ことがないなどの優れた特徴を有している。 実施例 次に実施例によつて本発明をさらに詳細に説明
する。 実施例 １ 酢酸エチル40ｇにカーボンブラツクMA−100
（三菱化成工業社製）５ｇとケトン樹脂（日立化
成工業社製、ハイラツク111）15ｇとを加えて、
サンドミルにて２時間かきまぜ、顔料分散液を得
たのち、これにアルミニウム系カツプリング剤
（川研フアインケミカル社製、アルミキレートＭ）
0.1ｇを添加し、２時間かきまぜる。 一方、酢酸エチル35ｇにオイルブラツクHBB
（オリエント化学社製）５ｇを溶解して染料溶液
をつくり、この染料溶液を前記顔料分散液に添加
し、十分かきまぜてマーカーインキ組成物を調製
した。 実施例 ２ 酢酸ブチル40ｇ中に、カーボンブラツクMA−
100（三菱化成工業社製）８ｇとアクリル樹脂（大
日本インキ化学工業社製、アクリデイクＡ−126）
15ｇとを加えサンドミルにて２時間かきまぜ、顔
料分散液を得たのち、これにアルミニウム系カツ
プリング剤（川研フアインケミカル社製、アルミ
キレートＤ）0.15ｇを添加し、２時間かきまぜ
る。 これに、スピロンブラツクMH Ｓ−リキツド
を37ｇを添加し、十分かきまぜてマーカーインキ
組成物を調製した。 これらの組成物を50℃の恒温槽に放置し、０
日、３日及び７日目の顔料粒子の粒径をコールタ
ーN4粒度分布計にて測定した。その結果を表に
示す。 比較例 実施例において、アルミニウム系カツプリング
剤を用いないこと以外は、実施例と全く同様にし
てマーカーインキ組成物を調製し、テストを行つ
た。その結果を表に示す。

【表】 この表から、アルミニウム系カツプリング剤を
添加したものは、添加しないものに比べて経時安
定性に優れていることが分る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 油溶性の染料、無機系顔料、分散用樹脂、及
   びエステル系溶剤及びケトン系溶剤の中から選ば
   れた少なくとも１種の有機溶剤から成る基本組成
   に、アルミニウム系カツプリング剤（アルミニウ
   ムキレート化合物）を配合したことを特徴とする
   油性顔料マーカーインキ組成物。 ２ アルミニウムカツプリング剤の含有量が顔料
   に対して0.1〜10重量％である特許請求の範囲第
   １項記載の組成物。