JP2572599B2 - 顔料樹脂捺染用インキ - Google Patents

顔料樹脂捺染用インキ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,ポリエステル,アセテート等の合成繊維又
は綿,麻等の天然繊維からなる織布あるいはそれらの混
紡織布等に適した顔料樹脂捺染用インキに関するもので
ある。
(従来技術) 従来よりポリエステル,アセテート等の合成繊維,又
は,綿,麻等の天然繊維からなる織布あるいは,それら
の混紡織布等に適した顔料樹脂捺染用インキとしては,O
/W型又はW/O型エマルジョンインキが主に使用されてい
る。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら前記,O/W型又はW/O型エマルジョンイン
キは,合成繊維又は天然繊維からなる織布,あるいは,
それらの混紡織布に適用した場合,洗濯やドライクリー
ニングに対して,十分な堅牢度を有する品質を得るため
には,長時間の乾燥,あるいは,加熱処理が必要であ
り,また,一度乾燥してしまうと,再溶解性が乏しいた
めに取扱いが不便であった。特に,毛細管現象を利用し
た吐出機構を有する筆記具等に適用した場合は,ペン先
でドライアップした場合,再びキャップをしても復元し
ないため,注意が必要であった。
そこで,本発明は,O/W型又はW/O型エマルジョンイン
キの様に洗濯やドライクリーニングに対して十分な堅牢
度を有し,かつ,使用方法及び取り扱いが簡単である顔
料樹脂捺染用インキを得ることを主眼とし,特に毛細管
現象を利用した吐出機構を有する筆記具等に適した,顔
料樹脂捺染用インキを得ることを目的としたものであ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は,上記目的に鑑み,鋭意研究を重ねた結
果,遂に本発明を完成したものである。
即ち,本発明は,アルミニウム系カップリング剤で表
面処理された顔料と,ポリビニルブチラールと,ニトロ
セルロースと,アルコール系溶剤及び/又はグリコール
系溶剤とから少なくともなる顔料樹脂捺染用インキを要
旨とするものである。
以下,本発明の顔料樹脂捺染用インキの各成分につい
て説明する。
アルミニウム系カップリング剤は,顔料の表面改質の
ために使用するものであり,具体的には,プレンアクト
Al−M(味の素(株)製)があり,これは,顔料の分散
前に処理剤として使用するか,あるいは,顔料を分散す
る時に添加して使用することができる。その使用量は,
顔料の種類によっても異なるが,顔料に対して,0.01〜5
0重量%が好ましい。
顔料は着色剤として使用するものであり,特に限定さ
れることはなく,アゾ系顔料,フタロシアニン系顔料,
ニトロソ系顔料,ニトロ系顔料,塩基性染料系顔料,酸
性染料系顔料,建染染料系顔料,媒染染料系顔料及び天
然染料系顔料等の有機顔料,黄土,バリウム黄,紺青,
カドミウムレッド,硫酸バリウム,酸化チタン,ベンガ
ラ鉄黒,水酸化アルミニウム,炭酸カルシウム,カーボ
ンブラック等の無機顔料等が挙げられ、これらは単独あ
るいは混合して使用することができ、インキ全量に対し
て3〜2重量%が好ましい。
ポリビニルブチラール樹脂(以下,PVBと略記する)
は,顔料の分散剤,沈降防止剤及びバインダーとして用
いるものであって,筆跡の堅牢度及びインキの保存安定
性のためには,インキ中の添加量が多い方が好ましく,
顔料の分散剤,沈降防止剤としては重合度が高い方が好
ましい。特に,毛細管現像を利用した吐出機構を有する
筆記具に使用した場合,十分な分散安定性がない場合に
は,ペン先で目詰りが発生して筆記カスレが発生すると
いう問題が発生する。しかしながら,添加量が多い場
合,又,重合度が高い場合インキ粘度が高くなる。一
方,毛細血管現象を利用した吐出機構を有する筆記具,
例えばフェルト製ペン先,繊維ペン先,又は,プラスチ
ックペン先を有する筆記具に使用する場合に適したイン
キの粘度は20cps(at25℃)以下,より好ましくは15cps
(at25℃)以下であるので,平均重合度が1000以下のも
のが好ましく用いられ,具体的にはデンカブチラール#
2000−L,#3000−1,#3000−2,#3000−4,#4000−1,#
4000−2(以上,電気化学工業(株)製),エスレック
BL−1,BL−2,BL−3,BL−S,BX−L,BM−1,BM−2,BM−5,BM
−S(以上,積水化学工場(株)製)などがあり,使用
量は,平均重合度等により異なるものの,顔料に対し
て,重量比(PVB/顔料)で0.1〜2.0の範囲が望ましい。
ニトロセルロースは分散助剤及びバインダーとして用
いるものであり、L1/8,同1/4,同1/2,H1/16,同1/8,同1/
4,同1/2,同2,同20,同60,同120(JIS,K6703−1975による
グレード)等を単独あるいは混合して使用することがで
き,その使用量は,窒素分,分子量により異なるが,イ
ンキ全量に対して0.5重量%〜10重量%が好ましい。
アルコール系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤とし
ては,メタノール,エタノール,n−プロピレンアルコー
ル,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,sec
−ブチルアルコール,tert−ブチルアルコール,n−アミ
ルアルコール,イソアミルアルコール,sec−アミルアル
コール,n−ヘキサノール及びメチルセロソルブ,エチル
セロソルブ,イソプロピルセロソルブ,ブチルセロソル
ブ,プロピレングリコールモノメチルエーテール等があ
る。
また,上記以外の成分として,樹脂,界面活性剤,防
錆剤,分散助剤,潤滑剤等を必要に応じて適宜使用する
こともできる。
本発明に係る顔料樹脂捺染用インキの製造方法として
は,従来公知の方法が採用でき,上述せる各成分を,ホ
モミキサー,ボールミル,ホモジナイザー,サンドミ
ル,ロールミル等の分散機にて混練分散することにより
容易に得ることができる。
(作用) 本発明に係る顔料樹脂捺染用インキが,何故,合成繊
維又は天然繊維からなる織布あるいは,それらの混紡織
布に適し,特に,毛細管現象を利用した吐出機構を有す
る筆記具等に適しているかは明らかでないが,アルミニ
ウム系カップリング剤で表面処理された顔料とPVBの親
和性が良いために毛細管現象を利用した吐出機構を有す
る筆記具に適した流動性及び分散安定性が得られると同
時に,アルミニウム系カップリング剤で表面処理された
顔料とPVBとニトロセルロースの組合せによる相互作用
により合成繊維又は天然繊維からなる織布あるいは,そ
れらの混紡織布に強固な定着性が出現するものと推察さ
れる。
(実施例) 以下,実施例により本発明をより詳細に説明するが,
表1中の数値は重量部を示す。
1. インキの組成 比較例4 MA−100 12.0部 スチレン−アクリル酸のアミン塩(分散剤) 4.5部 エチレングリコール 10.0部 水 33.5部 マツミゾールMR−1000(アクリル酸エステル共重合体エ
マルジョン,松井色素化学工業所(株)製) 40.0部 上記組成において,樹脂エマリジョンを除く他の成分
を混合し,ボールミル中で30時間分散処理を行なった
後,樹脂エマルジョンを加え,ホモミキサーで1時間撹
拌処理を行ない,黒色の顔料樹脂捺染用インキを得た。
2. 顔料の表面処理方法 実施例1〜4及び比較例2,3は,顔料の2倍量のエタ
ノールにカップリング剤を溶かし,これに顔料を加え,
密閉型ホモミキサーにて撹拌混合し,顔料表面を処理し
た後エタノールを除去する。
3. インキの製造方法 表面処理した顔料とPVB又はニトロセルロースと溶剤
適量とを混合し,ロールミルにて混合分散しインキベー
スを得,このインキベースに残りの成分を加え撹拌混合
してインキを得る。
(発明の効果) 実施例1〜4及び比較例1〜4により得られたインキ
について試験を行なった。結果を表2に示す。
耐洗濯性:JIS L0844−1973,洗濯に対する染色堅牢度試
験方法,A−2法に準じて行なった。
耐ドライクリーニング性:JIS L0860−1974,ドライクリ
ーニングに対する染色堅牢度試験方法に準じて行なっ
た。
粘度:B型粘度計,BLアタプタ,25℃にて測定した。
分散性試験:各インキを油性メンブランフィルター0.30
μm(TM−3P,東洋ろ紙(株)製)に点滴し,その状態
を目視にて判定した。
○:完全通過する △:一部通過しない ×:ほとんど通過しない ペン先目詰り試験:各インキをアクリル樹脂製繊維を熱
硬化性樹脂でかためた繊維ペン先を有するサインペンに
充填し,3カ月放置した後筆記を行ない,その状態を目視
にて判定した。
○:目詰りなく良好な筆跡 ×:目詰り発生し筆跡がカスレる ペン先復元性試験:各インキをアクリル樹脂製繊維を熱
硬化性樹脂でかためた繊維ペン先を有するサインペンに
充填し,キャップをはずして完全に筆記不能となるまで
放置した後,キャップをして24時間室温で放置し,その
筆記性能を見た。
○:完全に復元して筆記可能 ×:復元せず筆記不能 注) 耐洗濯性試験及び耐ドライクリーニング性試験に
使用する試験片は大きさ10×5cmの綿ブロード布(ポリ
エステル65%,綿35%)に,型紙にて捺染を行ない室温
で2時間乾燥させたものを用いた。また,変退色はJIS
L0804(変退色グレースケール)にて判定した。
以上,詳細に説明したように,本発明に係る顔料樹脂
捺染用インキは,長時間の乾燥や加熱処理なしで良好な
耐洗濯性及び耐ドライクリーニング性を示すことは勿
論,筆記具に用いた場合においても優れた流動性及び分
散性を有しペン先での目詰りが発生せず,更にペン先で
ドライアップしても,キャップをすることにより復元す
る優れたものである。
尚,本顔料樹脂捺染用インキは,筆記具用に用いるこ
とができるのみならず,所謂つけ筆タイプとしても好適
に用いられることは論を待たない。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム系カップリング剤で表面処理
    された顔料と,ポリビニルブチラールと,ニトロセルロ
    ースと,アルコール系溶剤及び/又はグリコール系溶剤
    とから少なくともなる顔料樹脂捺染用インキ。
JP13641687A 1987-05-30 1987-05-30 顔料樹脂捺染用インキ Expired - Lifetime JP2572599B2 (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH565210A5 (en) 1970-11-23 1975-08-15 Ciba Geigy Ag Colouring of synthetic resins in powder or flake form - by treatment of two-phase liquid systems contg. dyestuffs

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS59113073A (ja) * 1982-12-18 1984-06-29 Pilot Ink Co Ltd マ−キングペン用インキ
JPS62109873A (ja) * 1985-11-07 1987-05-21 Mitsubishi Pencil Co Ltd 油性顔料マ−カ−インキ組成物

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