JP2896691B2 - 筆記具用インキ - Google Patents

筆記具用インキ

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JP2896691B2 JP5431190A JP5431190A JP2896691B2 JP 2896691 B2 JP2896691 B2 JP 2896691B2 JP 5431190 A JP5431190 A JP 5431190A JP 5431190 A JP5431190 A JP 5431190A JP 2896691 B2 JP2896691 B2 JP 2896691B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は筆記具用インキに関し、詳細には筆記面に不
透明な筆跡を与え、筆記面が暗色であっても鮮明に視認
される筆跡を形成する筆記具用インキに関するものであ
る。
従来の技術 従来より酸化チタン等の白色顔料を安定に分散させる
試みが開示されている。例えば特公昭55−7871号公報に
は酸化チタンとシランカプリング剤との反応生成物を配
合した筆記具用インキが記載されているが、不透明な筆
跡を与える酸化チタンと着色顔料との併用系インキにつ
いて、筆記具内での顔料の分離、沈降が抑制され分散安
定性良好なものは提案されていない。また特開昭58−16
8671号公報には、酸化チタンと蛍光顔料と液状樹脂から
なる不透明性インキが記載されているが、この発明は経
時により沈降する顔料類の再分散性の改良に関するもの
であり、筆記具を長期間使用しない間の筆記具内でのイ
ンキ中の顔料類の分離、沈降を抑制する有効な手段は提
案されていない。
発明が解決しようとする問題点 この種の不透明な筆跡を与えるインキでは筆記具が長
期間使用されずに放置された場合、筆記具内のインキ中
で顔料類の分離、沈降が起こって、筆跡が放置前のもの
より薄くなったり、不透明性がなくなったり、酷いとき
にはかすれてしまうという現象が現出する傾向にある
が、本発明は筆記具内でのインキ中の顔料類の分離、沈
降を抑制して放置前と同等の色調、濃度の不透明な筆跡
を与える、経時分散安定性の良好な筆記具用インキを提
供しようとするものである。
問題点を解決するための手段 本発明の筆記具用インキは、有機溶剤及び該溶剤に可
溶性の樹脂を含むビヒクル中に、昼光蛍光を有しない染
料及び/又は顔料とトリアジン系縮合樹脂との固溶体か
らなる顔料と表面処理された酸化チタンが分散されてな
る。
前記固溶体顔料はインキ組成中、10〜35重量%、好ま
しくは15〜25重量%の範囲で用いられる。
前記染料としては酸性染料、塩基性染料、油溶性染
料、分散染料等があげられ、顔料としては、不溶性アゾ
系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、チオインヂゴ系、
ペリノン及びペリノン系、キナクリドン系、フタロシア
ニン系の有機顔料及びカーボンブラック顔料等があげら
れる。
前記トリアジン系縮合樹脂としてはメラミン・ホルム
アルデヒド縮合樹脂、メラミン・トルエンスルホンアミ
ド・ホルムアミド縮合樹脂、ベンゾグアナミン・ホルム
アルデヒド縮合樹脂、ベンゾグアナミン・トルエンスル
ホンアミド・ホルムアルデヒド縮合樹脂、イソシアヌル
酸・トルエンスルホンアミド・ホルムアルデヒド縮合樹
脂等があげられる。
本発明のインキに用いられる酸化チタンはルチル型、
アナターゼ型のいずれでもよいが、以下の処理剤で表面
処理されたものが適用される。
表面処理剤としてチタンカプリング剤、シラン化合
物、金属石鹸または可溶性樹脂が用いられ、チタンカプ
リング剤、シラン化合物での表面処理法としては酸化チ
タンに表面処理剤を混合して擂潰機またはボールミルに
て30分以上撹拌処理(乾式法)するか、酸化チタンと同
重量の水と処理剤を混合してディスパーにて15分程度高
速撹拌した後、120℃の恒温槽中で完全に乾燥させてか
ら粉砕(湿式法)する等の方法で得ることができる。
金属石鹸による表面処理法としては、酸化チタンと2
〜3倍量の水と脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニ
ウム塩を混合し、約30分高速撹拌した後、アルカリ土金
属、亜鉛またはアルミニウムの水溶性塩の水溶液を添
加、撹拌し、生成した沈降物を濾過、垂線、乾燥後、粉
砕する方法があげられる。
また樹脂による表面処理法は、従来から周知の方法、
例えば3本ロール、2本ロール等の手段で酸化チタンと
樹脂の混合物を練合処理する方法があげられる。
表面処理酸化チタンはインキ組成中、1〜30重量%、
好ましくは2〜20重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としてはメチルアルコール、エチルアル
コール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、ブチルアルコール等の低級脂肪族アルコールやエチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール等のグリコール及
びグリコール誘導体があげられ、インキ組成中40〜80重
量%の範囲で用いられる。
ビヒクルに適用される樹脂は前記溶剤に可溶性のもの
であり、ロジン、フェノール樹脂、ケトン樹脂、セルロ
ース誘導体、ビニルブチラール樹脂等があげられ、イン
キ組成中0.5〜20重量%、好ましくは3〜15重量%の範
囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の堅牢性が充
分でなく、20重量%を越える配合のインキでは、粘度が
高過ぎて、筆記具のペン先からのフローが悪くなる。
またビヒクル中に脂肪酸エステル、高級アルコール、
流動パラフィン等の周知の剥離剤を添加して、インキ不
浸透面に拭き取り消去可能な筆跡を与えるインキとする
こともできる。
作 用 前記トリアジン系縮合樹脂固溶体顔料はアルコール系
溶剤を含むビヒクル中において、粒子間の強固な凝集を
起こすことなく、ごく軽い凝集体を形成して分散され
る。この系に表面処理酸化チタンを併用した場合、前記
固溶体顔料と表面処理酸化チタンとの相互作用により全
体としてごく軽度の凝集体が分散状態にある分散系とな
る。このように比重の大きい酸化チタン粒子の相対的な
比重の低下、個々の粒子としての挙動が抑制される等の
作用により、ビヒクル中で安定な分散状態が維持され、
結果として筆記具中での長期間の放置によっても、酸化
チタンの選択的な分離、沈降が抑制され、それにより、
筆跡の隠蔽性の低下現象が改良される。その上、前記の
ごく軽度な凝集体が沈降しても嵩高の軽い凝集状態とな
るだけで、筆記具の軽い震盪で容易に前記凝集状態が解
消されて分散状態が回復される。
尚、前記固溶体顔料と表面処理の施されていない酸化
チタンの組合せ及び一般顔料と表面処理酸化チタンの組
合せでは前記の作用は実質上認められない。
実 施 例 以下に実施例をあげて、本発明の筆意具用インキにつ
いて具体的に説明する。
次頁の表1に実施例インキ及び比較例インキの組成を
示す。組成の数値は重量%で表した。
各インキは以下の処方により調製された。
所定量の有機溶剤中に樹脂を混合し、常温において約
30分間撹拌して樹脂を溶解させて生成されたビヒクル中
に、着色剤及び酸化チタンペースト(他に添加剤が配合
される場合には添加剤)を添加し、続いて1時間撹拌し
て試料インキを得た。
表中の原料の内容の詳細は以下のとおり。
青色染料(C.I.アシッドブルー103及びC.I.アシッ
ドブルー15)とメラミン・p−トルエンスルホンアミド
・ホルムアルデヒド縮合樹脂からなる固溶体顔料(平均
粒子径3.5μm) 青色顔料(C.I.ピクメントブルー15)とイソシアヌ
ル酸・p−トルエンスルホンアミド・ホルムルデヒド縮
合樹脂からなる固溶体顔料(平均粒子径3.5μm) 赤色顔料(C.I.ピグメントレッド53)とイソシアヌ
ル酸・p−トルエンスルホンアミド・ホルムアルデヒド
縮合樹脂からなる固溶体顔料(平均粒子径3.5μm) オイルブルー603(オリエント化学工業(株)製油
溶性染料) バリファストレッド1308(オリエント化学工業
(株)製スピリットソルブル染料) 青色顔料(C.I.ピグメントブルー15)10重量部(以
下、部と略記する)、ポリビニルブチラール(エスレッ
クBM−1,積水化学工業(株)製)10部及びイソプロピル
アルコール80部からなる混合物を3本ロールにて練合し
たペーストを、前記割合を維持しつつディスパーを用い
て2時間撹拌して得られる顔料ペースト 酸化チタン(R−3L,堺化学(株)製ルチル型)99
部及びオクタデシルトリエトキシシラン1部の混合物を
擂潰機により1時間かけて処理して表面処理酸化チタン
を得た。
別にイソプロピルアルコール49部中にポリビニルブチ
ラール(エスレックBM−1)1部を溶解した溶液に前記
表面処理酸化チタン50部を添加して撹拌した後、グレー
ンミルで分散所謂して得られたホワイトペースト 酸化チタン(R−3L)28部,ポリビニルブチラール
(エスレックBM−1)12部,ステアリン酸ブチル14部及
びイソプロピルアルコール46部の混合物を3本ロールに
て練合して得られるホワイトペースト エスレックBL−1,積水化学工業(株)製 ステアリン酸ブチル 次に前記インキについて以下の試験を行った。
実施例及び比較例の各インキの所定量を液式筆記具
(軸胴内にフリーのインキを収容し、繊維製ペン先とイ
ンキ貯蔵部との間に弁機構を備えた筆記具)に充填し、
試料筆記具とした。各試料筆記具をよく震盪し、次いで
ペン先にインキを充満させた後、ポリエステルフィルム
上に塗布して各試料の標準色とする。各試料インキにつ
いて2個の試料筆記具を作成する。
前記試料筆記具の1本はペン先上向き状態、他の1本
はペン先下向き状態で1ヵ月静置して後、各試料筆記具
により前記フィルムの対応する標準色に隣接する個所に
塗布して、各試料による色と標準色とを比較観察した。
試験結果を表2に示した。
発明の効果 表2の結果にみられるとおり、表面処理酸化チタンの
適用だけでは抑制できない、長期間の経時による筆記具
内での酸化チタン顔料が選択的分離沈降による筆跡の隠
蔽製の低下現象が、本発明のインキでは固溶体顔料と表
面処理酸化チタンの併用による相互作用で解消されてい
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機溶剤及び可溶性樹脂を含むビヒクル中
    に着色剤及び酸化チタンが分散されてなるインキにおい
    て、前記着色剤が昼光蛍光を有しない染料及び/又は顔
    料とトリアジン系縮合樹脂との固溶体であり、前記酸化
    チタンはチタンカプリング剤、シラン化合物、金属石鹸
    または可溶性樹脂で表面処理された酸化チタンであるこ
    とを特徴とする筆記具用インキ。
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