JPH0562166A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH0562166A
JPH0562166A JP22163091A JP22163091A JPH0562166A JP H0562166 A JPH0562166 A JP H0562166A JP 22163091 A JP22163091 A JP 22163091A JP 22163091 A JP22163091 A JP 22163091A JP H0562166 A JPH0562166 A JP H0562166A
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JP
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magnetic
metal magnetic
metal
group
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Application number
JP22163091A
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English (en)
Inventor
Satoshi Nakagawa
聡 中川
Ken Kaneko
研 金子
Tetsukuni Miyahara
鉄洲 宮原
Tatsuo Uehori
龍夫 上堀
Katsuhiko Kawakami
克彦 河上
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非磁性支持体上に、メタル磁性粉をバインダ
−樹脂中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体にお
いて、メタル磁性粉が、平均長軸径が0.10〜0.2
0μm、軸比が4〜8、比表面積SBETが38〜51m2
/g、保磁力 Hcが1,400〜1,800Oe、飽和
磁化量σs が110〜140emu/g、水分が0.2
〜1.2重量%である易分散性の紡錘型メタル磁性粉で
あり、バインダ−樹脂が、−OH、−COOM、−(C
O)2O、−PO(OM )2、−OPO(OM)2、−S
3M及び −OSO3M(但し、MはH、Li、Na又
はKを表わす)から成る群から選ばれる官能基を有する
樹脂を含有することを特徴とする磁気記録媒体 【効果】 磁性層に、微細でしかも易分散性の紡錘型メ
タル磁性粉及び官能基を含むバインダ−樹脂を用いるこ
とにより、優れた電磁変換特性の磁気記録媒体を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビデオ・テ−プ、オ−デ
ィオ・テ−プ、コンピュ−タ用テ−プ、フロッピ−・デ
ィスク、磁気カメラ用ディスク等に用いられる高密度磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録には高画質、高音質、小
型、大容量及び高分解能を達成するために高密度化が要
請されている。より短波長での記録、アナログ記録から
ディジタル記録への移行、面内記録から垂直記録への転
換が計られている。家庭電化製品中、単一製品として最
大の販売高を示すに至ったビデオ・テ−プ・レコ−ダ−
(VTR)において、ハ−ド側はもとより磁気記録媒体
の高性能化への要請が特に強い。
【0003】磁気記録媒体は、製法上、主として蒸着型
と塗布型とに分類される。前者は、非磁性支持体上に磁
性物質を蒸着させることにより製造される。製造法の単
純さゆえに、前者は、記録密度の点では後者を凌ぎ実用
化されているが、耐磨耗性及び走行性を付与するために
複雑な工程を経るので、価格的に後者より劣るのが現状
である。一方、後者は、磁性粉、バインダ−、各種の添
加剤及び溶剤を成分とする磁性塗料を非磁性支持体上に
塗布、配向、乾燥、鏡面仕上げ及びエ−ジングすること
により製造される。後者は、記録密度の点では前者に及
ばないが、各種の無機物質及び有機物質を素材とした複
合材料であるため、耐磨耗性及び走行性に対処した設計
が容易である利点を有している。事実、塗布型磁気記録
媒体は、ビデオ・テ−プ、オ−ディオ・テ−プ、コンピ
ュ−タ用テ−プ、フロッピ−・ディスク、磁気カメラ用
ディスク等に巾広く、かつ大量に使用されている。一
方、蒸着型のそれは、ハイ・グレ−ドの8ミリ・ビデオ
・テ−プの一部に使用されているに過ぎない。
【0004】塗布型ビデオ・テ−プの磁性粉には、現
在、主としてCo含有γ−Fe23及びCrO2 が使用
されている。しかし、VTRの新しい統一規格である8
ミリVTR用の塗布型テ−プには、メタル磁性粉が使用
されている。カセットの容積は、8ミリVTRではVH
S型VTRの1/6、β型VTRの1/4である。この
小型化のためには、保磁力及び最大磁化量がともにCo
含有γ−Fe23を凌ぎ、約4倍の記録密度を有するメ
タル磁性粉が使用されるようになったのは当然であろ
う。放送局用β−CamSP・VTR、ディジタル・V
TR・D2及びD3、高品位TV対応VTR等に用いら
れる高密度記録用のテ−プにも、メタル磁性粉が使用さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の高性能
化のためには、高出力、低ノイズ、形状の小型化、信頼
性の向上等が必要とされる(今岡保郎、泉俊明、セラミ
ック・デ−タ・ブック、1984、p.281(工業製
品技術協会))。これらを達成するためには磁性粉、ベ
−ス・フィルム、バインダ−・システム、塗料化技術、
コ−ティング技術及びカセット技術等を改良し、高性能
化、高度化しなければならない。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、上述の
要因の中で、特に、微細なメタル磁性粉の設計及びその
分散に適したバインダ−・システムの選択により、記録
密度が高く、表面平滑性に優れ、RF出力とS/N比の
大きな磁気記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】メタル磁性粉を高性能化
すべきポイントは、高保磁力化(自己減磁作用の低
減)、微粒子化、粒度分布の均斉化、及び高分散性付与
等である。本発明者等は、既に特開昭60−36603
号公報及び特開昭62−83405号公報において、上
記4ポイントに答えるメタル磁性粉とその製造法とを開
示した。
【0008】メタル磁性粉の微粒子化及び粒度分布の均
斉化のためには、原料ゲ−サイトをその目的に沿ったも
のにする必要がある。従来、ゲ−サイトは、工業的には
第1鉄塩の水酸化アルカリによる加水分解物を空気酸化
することにより製造されている。この方法によれば、ゲ
−サイト粒子を微細化するためには、反応系中に、例え
ば、水可溶性ケイ酸塩を添加することが必要である。そ
の添加量に応じてゲ−サイト粒子は微細化されるが、同
時に、粒子に枝が発生し易くなる。この枝は、ゲ−サイ
トを還元した時に壊れて小さな粒子となり、メタル磁性
粉の粒度分布に広がりをきたす原因の一つとなる。従っ
て、ゲ−サイト粒子を極限まで微細化し、しかも粒度分
布の均斉化を計ろうとすると、上述の水酸化アルカリ法
には限界がある。
【0009】本発明者等は、第一鉄塩を炭酸アルカリで
加水分解した後、空気酸化することにより得られる紡錘
型ゲ−サイト粒子が微細化と粒度分布の均斉化の目的
上、適していることに思いが至った。このゲ−サイト
は、一般に軸比が小さく、形状異方性により高保磁力化
することが困難と考えられたために、注目されなかった
きらいがある。そこで、本発明者等は、紡錘型ゲ−サイ
ト粒子の軸比を大きくする目的で実験を重ね、反応槽と
して酸化性ガス吹き込み管を伴った攪拌槽ではなく、ガ
スの吹き込みによりスラリ−の攪拌をも同時に行なうこ
とのできる気泡塔式反応槽を用いることにより、目的と
する微細で、粒度分布が狭く、軸比の大きな紡錘型ゲ−
サイトを製造することに成功した。その結果は、既に特
開昭59−232922号公報において開示されてい
る。
【0010】一方、ゲ−サイトをメタル磁性粉に誘導す
る場合には、350〜450℃といった高温で水素還元
が行なわれるので、形くずれを防止するために、ゲ−サ
イト粒子に焼結防止処理を施す必要がある。本発明者等
は、水酸化アルカリ法による従来のゲ−サイト粒子を対
象とした焼結防止処理法として、IIa族元素の水溶性塩
及び水溶性ホウ酸塩の組合せを提唱した。これらの方法
は、特開昭58−46607号公報及び特開昭59−5
603号公報に開示されている。
【0011】しかし、本発明が求めているような微細
で、高分散性のメタル磁性粉を得るために、粒径が0.
3μm以下の微細な紡錘型ゲ−サイトを出発原料とする
と、上記2成分の組合せでは焼結防止効果が不十分であ
ることがわかった。特に、メタル磁性粉が一次粒子にま
で分散されないこと及びメタル磁性粉の保磁力が8ミリ
VTRに必要とされる値(1,450〜1,550O
e)に達しないことが問題であった。
【0012】本発明者等は、これらの点を改良すべく実
験を重ね、紡錘型ゲ−サイト粒子を高原子価の金属塩の
水溶液中(pH2〜5)で攪拌することにより、まず一
次粒子まで分散し、その後、上記2成分を加え、最後に
懸濁液のpHを7〜9に調整することにより、焼結防止
処理剤をゲ−サイト粒子に沈着させるとともに、ゲ−サ
イト粒子に軽い凝集性を付与し、濾過しやすくする方法
を見い出した。要するに、各々が水溶性の、高原子価の
金属塩、IIa族金属塩ならびにホウ素化合物を組合せて
用いることにより、微細な紡錘型ゲ−サイトを用いて、
保磁力が1,420〜1,590Oeの分散性の良いメ
タル磁性粉を得ることに成功した。この方法は、既に特
開昭61−186410号公報に開示されている。
【0013】焼結防止処理を施したゲ−サイトを350
〜450℃で水素還元することによりメタル磁性粉に誘
導するが、これを空気中に安定的に取り出すためには、
何らかの耐酸化安定化処理を施す必要がある。本発明者
等は、この点について鋭意、研究に取り組み、耐酸化安
定性のみならず、塗料特性上も優れたメタル磁性粉を与
える改良法を完成させた。その方法は、乾式徐酸化法に
基づいている。すなわち、還元直後のメタル磁性粉に低
濃度の酸素を含む不活性ガスを通じて、その表面に薄い
緻密な酸化被膜を生じさせることにより、メタル磁性粉
に耐酸化安定性を付与する。徐酸化工程の後、メタル磁
性粉の表面に水分を微量、吸着させる。この処理によ
り、メタル磁性粉の耐酸化安定性を更に改良することが
できる。水分量は、メタル磁性粉に対して0.2〜1.
2重量%の範囲が好ましく、0.5〜1.0%が特に好
ましい。水分が少なすぎると、耐酸化安定性上、効果が
みられず、多すぎると塗料化した時に塗料の安定性に問
題をきたす傾向にあるので好ましくない。
【0014】本発明者等が設計し、製造することに成功
した微細な紡錘型メタル磁性粉の好ましい粒径範囲は、
0.10〜0.20μmである。粒径が0.10μmよ
り小さいと、メタル磁性粉の酸化被膜の厚さ(約20オ
ングストローム)から考えて、有効な純鉄成分が少なく
なり、十分な磁気特性値が得られなくなる傾向にあるの
で好ましくない。粒径が0.20μmより大きいと、塗
料化してテ−プを作製した時に、メタル磁性粉を高密度
に充填することができず、テ−プの出力が不十分となる
傾向にあるので好ましくない。軸比の好ましい範囲は、
4〜8である。軸比が4より小さいと、十分な保磁力が
得られなくなる傾向にあるので好ましくない。軸比が8
を越えるメタル磁性粉を、上述の一連の製造方法で得る
ことには無理がある。比表面積SBETは38〜55cm2
gの範囲で変化する。本発明者等が設計した紡錘型メタ
ル磁性粉は、粒径が同じ程度の他のメタル磁性粉に比
べ、比表面積が小さいという特徴を有する。これは、軸
比が比較的小さいことと、空孔が少ないためであろうと
推察される。粒径が同じ程度の時、比表面積が小さいメ
タル磁性粉を使用する方が、塗料化時の吸油量が少な
く、塗料の粘度を低く保つことができ、有利である。保
磁力を調整するためには、出発原料のゲ−サイトの粒径
と軸比とを変化させる。保磁力は、1,400〜1,8
00Oeの範囲が好ましく、1,500〜1,700O
eの範囲は特に好ましい。飽和磁化量 σsは、徐酸化条
件を変化させることにより調節される。 σsは、110
〜140emu/gの範囲が好ましく、120〜130
emu/gの範囲が特に好ましい。σs が110emu
/gより小さいと、テ−プ化した時に、十分な出力が得
られなくなる傾向にあるので好ましくない。 σsが14
0emu/gより大きいと、メタル磁性粉が空気による
酸化に対して、十分に安定化されているとはいえず、そ
の取り扱い上、危険である。
【0015】上述のように、本発明者等は、粒径が0.
10〜0.20μmの易分散性紡錘型メタル磁性粉を設
計し製造することに成功したが、このような微細なメタ
ル磁性粉を塗料化する場合には、バインダ−・システム
の選択も重要であることがわかった。
【0016】粒子サイズが微細になるに従い、粒子間の
電気二重層や Vander Waals力による凝集力が強まり、
一次粒子に分散することが困難になる。磁性粒子の場合
には、更に磁気力による凝集作用が加わる。メタル磁性
粉の場合には、Co含有γ−Fe23等に比べ、磁気的
エネルギ−が4倍以上も大きいために、更に凝集傾向が
強まる。このように、微細なメタル磁性粉は、塗料分散
を行なう上で、最も困難な粒子の一つと考えられる。
【0017】塗布型磁気記録媒体用の磁性塗料は、磁性
粉、バインダ−樹脂、各種の添加剤及び溶剤の混合物を
プレミックスし、レット・ダウンすることにより製造さ
れる。プレミックス工程では、ニ−ダ−、ミキシング・
ロ−ル、三本ロ−ル、バンバリ−・ミキサ−あるいは高
速インペラ−分散機等が用いられる。レット・ダウン工
程では、ボ−ルミル、アトライタ−、サンドミルあるい
はディソルバ−等の分散機が使用される。
【0018】磁性塗料に使用されるバインダ−樹脂に
は、熱可塑性樹脂と熱硬化性又は反応性樹脂とが知ら
れ、これらが単独あるいは混合物として使用される。電
子線硬化型樹脂についても、盛んに研究開発が行なわれ
ている。バインダ−樹脂の使用量は、磁性粉を100部
に対し、15〜25部の範囲が好ましく、18〜22部
の範囲が特に好ましい。15部より少ないと、磁性粉を
ベ−ス・フィルムに十分に結着させることができなくな
る傾向にあり、粉落ちの原因となるので好ましくない。
25部より多いと、磁性粉の充填密度が小さくなる傾向
にあり、メタル・テ−プの出力が不足するので好ましく
ない。熱可塑性樹脂と熱硬化性又は反応性樹脂との量比
は、テ−プの品質要求に応じて、8:2〜2:8の範囲
で変化させることができるが、特に好ましい量比の範囲
は6:4〜4:6である。
【0019】熱可塑性樹脂は、重合度が150〜2,0
00、平均分子量が8,000〜200,000、軟化
温度が150℃以下のものが好ましい。具体的には、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−ビニル・アルコ−ル共重合体、塩化ビニル−アクリ
ロニトリル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル
共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニ
ル・ブチラ−ル、セルロ−ス誘導体(セルロ−ス・ダイ
アセテ−ト、セルロ−ス・トリアセテ−ト、ニトロ・セ
ルロ−ス等)、クロロビニルエ−テル−アクリル酸エス
テル共重合体等及びこれらの混合物が使用される。
【0020】熱硬化性又は反応性樹脂は、硬化前の平均
分子量が10,000〜200,000の範囲のものが
好ましく、これらが熱縮合あるいは付加物との反応によ
り、最終的に分子量が無限大になるものがよい。例え
ば、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応性樹脂、
ポリエステル樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】磁気記録媒体用バインダ−としては、上述
のように多種類のものが知られているが、塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニル・アルコ−ル共重合体とポリウレタ
ン樹脂との組合せが一般的である。後者をポリエステル
・ポリオ−ルとポリイソシアネ−トとの縮合物で代替し
てもよい。例えば、ユニオン・カ−バイド社製の「VV
AGH」と日本ポリウレタン社製のポリウレタン樹脂
「N−2301」、「N−2304」あるいは「N−5
032」との組合せを用い、本発明者等が発明した粒径
0.10〜20μmの微細な紡錐型メタル磁性粉を塗料
化し、ポリエチレン・テレフタレ−ト(PET)・ベ−
ス・フィルム上に塗布してみると、その塗膜の光沢値
は、カレンダ−処理前で高々90程度である。このこと
は、メタル磁性粉の分散度が低いことを示している。分
散度を上げるべく、機械的混練力を強めると再凝集が起
こり、不安定な塗料が得られるのみである。微細なメタ
ル磁性粉の凝集塊が分散されるにつれて新しい面が生
じ、そのような表面のために新たに凝集体を形成するた
めであろうと推定される。再凝集を起こさない安定な塗
料を作るためには、高度の機械分散により生じたメタル
磁性粉の新しい面に、速やかに吸着し、被覆するような
バインダ−樹脂が必要と思われる。本発明者等は、巾広
くバインダ−樹脂を変えて実験を重ねた結果、分子内に
−OHのみならず、−COOM、−(CO)2O、−P
O(OM)2、−OPO(OM)2、−SO3Mあるいは
−OSO3M (M=H、Li、Na又はK)のような、
メタル磁性粉の表面の水分と強い親和性を示す官能基を
有するバインダ−樹脂が適していることを見いだした。
例えば、 −SO3Naを含有する塩化ビニル系共重合体
(日本ゼオン社製「MR−110」)と、 −SO3Na
を含有するポリエステル樹脂(日本合成化学社製「TP
−249」)とを用いることにより、粒径0.10〜
0.20μmの微細な紡錘型メタル磁性粉を高分散し、
安定な塗料に仕上げることができた。−SO3Na を含
有するポリエステル樹脂を同様のポリウレタン樹脂で代
替することも可能である。官能基の導入は、両方のバイ
ンダ−樹脂に対して行なわねばならず、「MR−11
0」と −SO3Na等をを含有しないポリエステル樹脂
との組合せや、 −SO3Na等を含有しない塩化ビニル
系共重合体と、「TP−249」との組合せで、特性の
良い塗料に仕上げることはできない。官能基の含有量
は、塩化ビニル系共重合体に対しては、それらを含む単
量体が、全単量体の0.1〜5.0モル%であることが
好ましい。ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂に対し
ては、それらの縮合成分(ジカルボン酸、ジオ−ル)の
0.1〜5.0モル%に導入することが望ましい。0.
1モル%より少ないと、微細なメタル磁性粉を十分に分
散することができず、5モル%より多いと塗料がゲル化
する傾向にあるので好ましくない。
【0022】分子内に、−OH、−COOM、−(C
O)2O、−PO(OM)2、−OPO(OM)2、−S
3Mあるいは−OSO3M (M=H、Li、Na、又
はK)のような官能基を有するバインダ−樹脂は、次の
ように製造される。
【0023】バインダ−樹脂が塩化ビニル系共重合体の
場合には、塩化ビニル、酢酸ビニル等と共に、これらの
官能基を有するモノマ−、例えば、アクリル酸ナトリウ
ム、無水マレイン酸、あるいは一般式 CH2=CH−C
OO(CH2nX又はCH(CH3)=CH−COO
(CH2nX[X=−PO(OM)2、−OPO(O
M)2、−SO3Mあるいは−OSO3M (M=H、L
i、Na又はK)]のアクリル酸エステル又はメタクリ
ル酸エステル等を共重合反応させることにより製造され
る。
【0024】官能基が上記Xの場合には、ビニル・アル
コ−ルを含む塩化ビニル系共重合体、例えば、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル−ビニル・アルコ−ル共重合体、塩化ビ
ニル−プロピオン酸ビニル−ビニル・アルコ−ル共重合
体あるいは塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸−
ビニル・アルコ−ル共重合体等のビニル・アルコ−ル中
のOH基とCl−(CH2n−Xとを、ピリジンやトリ
エチルアミン等の存在下でジメチルホルムアミドやジメ
チルスルホキシド等の極性溶剤中で、脱塩化水素反応を
させることにより、製造することもできる。
【0025】バインダ−樹脂がポリエステル樹脂あるい
はポリウレタン樹脂の場合には、縮合成分であるジカル
ボン酸あるいはジオ−ルに上記の官能基Xを導入してお
けばよい。あるいは、2官能もしくは3官能以上の−O
H基を有するポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂
を、塩化ビニル系共重合体の場合に述べたと同様の方法
で、Cl−(CH2n−Xで変性することもできる。
【0026】使用されるジカルボン酸成分としては、例
えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、
1,5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等
の脂肪族ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン
酸、水添化2,6−ナフタレンジカルボン酸等の脂環族
ジカルボン酸等を挙げることができる。特に、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、アジピン酸及びセバシン酸が好適
である。
【0027】ジオ−ル成分としては、例えば、エチレン
グリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタ
ンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキ
サンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペン
チルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレン
グリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等が挙げら
れる。特に、エチレングリコ−ル、1,3−プロパンジ
オ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジ
オ−ル及びネオペンチルグリコ−ルが好適である。
【0028】ポリウレタン樹脂の製造に用いられるポリ
イソシアネ−トとしては、例えば、2,4−トリレンジ
イソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、
p−フェニレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイ
ソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、
1,4−ブタンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチ
レンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシア
ネ−ト、2,4−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,
4’−ジフェニレンジイソシアネ−ト、p−キシリレン
ジイソシアネ−ト、m−キシリレンジイソシアネ−ト、
1,3−ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、1,
4−ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、4,4’
−ジイソシアネ−トシクロヘキシルメタン及びイソホロ
ンジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0029】バインダ−樹脂は磁性粉の分散を行なうこ
とに加え、塗膜に強度を与える役目を負っている。この
ためには、バインダ−樹脂中に磁性粒子と反応する量以
上の活性水素を有する官能基、例えば、水酸基を導入し
ておき、ハ−ドナ−であるポリイソシアネ−トとの間で
架橋反応を起こさせる。磁性粒子が微細になるほど、磁
性塗膜の強度は落ちることが知られているので、本発明
者等が対象とするメタル磁性粉については、ハ−ドナ−
の選択にも注意を払わねばならない。
【0030】ポリイソシアネートとしては、例えば、
2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレン
ジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−
ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、イソホロン
ジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ
−ト、及びトリレンジイソシアネ−トとトリメチロ−ル
プロパンや1,4−ブタンジオ−ルとの縮合物等が挙げ
られる。
【0031】磁性塗料に用いられる添加剤の主なものと
しては、例えば、帯電防止剤、研磨剤、潤滑剤が挙げら
れる。
【0032】帯電防止剤は、テ−プの表面電気抵抗を下
げ、空気中のゴミの吸着を避けることにより、ドロップ
・アウトの発生を防止する。又、帯電により装置の走行
系とテ−プとの間に吸引力が働き、甚だしい場合には、
テ−プが走らなくなることを防止する。帯電防止剤とし
ては、例えば、カ−ボン・ブラック、グラファイト、界
面活性剤等が挙げられる。帯電防止剤の添加量は、磁性
粉に対して1〜5重量%の範囲で選択される。
【0033】研磨剤は、ヘッドの汚れを除去するととも
に、塗膜に強度を付与するためのフィラ−として添加さ
れる。研磨剤としては、例えば、α−アルミナ、酸化ク
ロム、α−酸化鉄、二酸化チタン及びシリカ等が挙げら
れる。研磨剤の添加量は、磁性粉に対して1〜10重量
%が適当である。
【0034】潤滑剤は、テ−プの摩擦係数を下げ、良好
な走行性を付与するとともに、テ−プにしなやかさを持
たせるために添加される。潤滑剤としては、例えば、ミ
リスチン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、これらの高
級脂肪酸のエステル、シリコ−ン・オイル及びフッ素系
界面活性剤等が挙げられる。潤滑剤の添加量は、メタル
磁性粉に対して1〜5重量%の範囲で選択される。
【0035】磁性塗料に用いられる溶剤としては、例え
ば、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブ
チル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等が挙げられる。バインダ−樹脂に対す
る溶解性、塗料の粘度調整、塗膜の乾燥速度、塗膜中の
残存溶剤量等を考慮して、上記溶剤の適当な組合せと量
比とを選択する。磁性塗料中の溶剤の使用量は、塗料中
の不揮発成分が20〜40%になるように決められる。
【0036】塗布型磁気記録媒体は、磁性塗料をPET
等のベ−ス・フィルムに塗工することにより製造され
る。PETの他にポリエチレン・ナフタレ−ト、ポリア
ミド、及びポリアミド・イミド等を原反に用いることも
できる。
【0037】塗工方式には、ロ−ル方式と押し出し方式
とがある。ロ−ル方式では、グラビア・ロ−ルやリバ−
ス・ロ−ルが使われる。
【0038】グラビア・ロ−ルは、塗膜の膜厚が縦横と
もに平均化できること、薄膜塗工が容易であること及び
塗料粘度の許容範囲が広いこと等が長所である。しか
し、高速塗工には不向きであり、運転管理に注意を払う
必要がある。
【0039】リバ−ス・ロ−ルは、運転管理は比較的簡
単であり、塗料粘度の許容範囲が広く、高速塗工も可能
であるが、塗膜の膜厚を平均化することに難点がある。
薄膜塗工には適当でない。
【0040】これらのロ−ル方式では、ヘッドに供給さ
れた余剰塗料が循環されるので、新旧塗料が混合される
ことになり、塗料の温度及び粘度管理に注意を払う必要
が生じる。
【0041】一方、押し出し方式では、押し出された塗
料は全量塗工されるので、塗料の物性を均一に保つこと
ができる。従って、塗膜の膜厚管理が容易であり、特
に、高速で長時間、連続塗工が可能である。しかし、ヘ
ッド周りに塗料カスが生じ、塗膜にスジが入らないよう
に、ヘッドの設計には細心の工夫が必要である。また、
塗料粘度の許容範囲が狭く、運転管理には注意を要す
る。塗膜の要求品質を考慮するとともに、少品種大量生
産を行なうのか、多品種小量生産を行なうのかに応じ
て、適切なコ−タ−・ヘッドを選択すればよい。
【0042】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために、参考
例、実施例、及び比較例を示す。磁気測定は、東英工業
社製振動試料型磁力計を用いて、最大測定磁界10KO
eで測定した。表面粗さは、Rank Tayler Hobson社製Ta
lystep表面粗さ計(LPS:25Hz)を用いて2mm長を
測定し、その間を10等分した各区間での Rmaxを求
め、それらを平均した値 Raで表示した。電磁変換特性
の測定には、SONY社製8ミリVTR「EV−A30
0」を用いた。RF出力については、5MHzにおける再生
出力を測定し、当社標準8ミリ・テ−プの値を0dBと
し、これに対する相対値で表示した。S/N−Y及びS
/N−Cについても同様である。
【0043】(メタル磁性粉の製造例)ジャケットを有
する内容積200リットルの気泡塔式反応槽中におい
て、 N2ガスを流しながら、炭酸ナトリウム(11.4
kg、107.6モル)を水(122.4kg)に溶解し
た。次に、硫酸第一鉄・7水和物(10.0kg、18.
0モル)と硫酸ニッケル・6水和物(94.6g、0.
36モル)とを硫酸水溶液(96%硫酸170gと水5
6.0g)に溶解した液を添加し、金属イオンを沈澱さ
せた。スラリ−温度を40℃に調整した後、 N2ガスを
空気(100リットル/分)に切り換え、3時間酸化反
応を行なった。スラリ−を濾過し、洗液が中性になるま
で、十分、水洗した。得られた黄色固体は、電子顕微鏡
観察により、長軸が0.22μm、軸比が7の紡錘型ゲ
−サイトであった。
【0044】このゲ−サイト(3.2kg)を水(64.
0kg)に懸濁し、硝酸アルミニウム・9水和物(480
g、ゲ−サイトに対して15重量%)の水溶液を加えて
攪拌した。次に、酢酸マグネシウム・水和物(160
g、5重量%)とホウ酸(160g、5重量%)の水溶
液とを順次、攪拌しながら加え、10%アンモニア水を
滴下しながら攪拌して、pH値を9に調整した後、濾過
した。ウエット・ケ−キを整形・造粒し、100℃の熱
風乾燥機で乾燥した。乾燥したゲ−サイト(1.0kg)
を水素流通式固定床還元炉に仕込み、 N2ガスを流しな
がら350℃で2時間、加熱し脱水した。次に、H2
スを流しながら、420℃で7時間、還元反応を行っ
た。得られたメタル磁性粉を N2ガスのカウンタ−・フ
ロ−下に、ガス循環式固定床徐酸化反応塔に移した。
2ガスと適量の空気とを混合することにより酸素濃度
(0.2容量%)を調節したガスを循環させながら、6
0℃以下の温度で徐酸化を行なった。反応塔を冷却し、
空気を循環させ、メタル磁性粉が発熱しないことを確認
した後、 N2ガスに切り換え系内より酸素を追い出し、
平均粒径0.15μm、軸比5のメタル磁性粉を得た。
その磁気特性値は、保磁力Hc=1,600Oe、飽和
磁化量σs=130emu/g、角型比σr/σs=0.
48であった。
【0045】(実施例1)上記メタル磁性粉20g、
「MR−110」(日本ゼオン社製の −SO3Na基を
含む塩化ビニル系共重合体)1.06g、「TP−24
9」(日本合成化学社製の −SO3Na基を含むポリエ
ステル樹脂)0.70g、ミリスチン酸0.10g、ト
ルエン13.06g、メチルエチルケトン(以下、ME
Kと省略する。)13.06g、シクロヘキサノン6.
53g及び粒径4mmのスチ−ル・ボ−ル250gの混合
物を、ポリエチレン製のビン(内容積250ml)に入
れ、東洋精機(株)製試験分散機にて2時間、プレミッ
クスを行なった。これに、「MR−110」1.58
g、「TP−249」1.06g、トルエン12.04
g、MEK12.04g及びシクロヘキサノン6.02
gを追加した後、同一分散機にてレット・ダウンを行な
い磁性塗料を得た。
【0046】次に、厚さ22μmのPETフィルム上
に、得られた磁性塗料をドクタ−・ブレ−ドを用いて乾
燥塗膜厚が50μmとなるように塗布し、5KOeの磁
界を印加した後、塗膜を乾燥させた。次いで、温度80
℃、線圧100kg/cmで鏡面処理を行なって、磁性塗膜
を得た。レット・ダウン4時間における塗膜の光沢値
(光学条件は、60ASTM・D523に準拠)は、鏡
面処理前後で各々185及び230であった。磁気特性
値は、保磁力 Hc=1,580Oe、最大磁束密度Bs
=3,290G、残留磁束密度Br=2700G、角型
比Br/Bs=0.82であった。光沢値及び磁気特性値
は、このようにして作成した塗膜が優れた表面性、適当
なHc値及び大きなBr値を有することを示している。
【0047】(実施例2)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程におけるスラリ−温度を4
5℃、空気量を190リットル/分とした以外は、前記
メタル磁性粉の製造例と同様にして、平均粒径0.10
μm、軸比4のメタル磁性粉を得た。磁気特性値は、H
c=1,550Oe、σs=120emu/g、σr/σs
=0.47であった。
【0048】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々172及び22
0であった。磁気特性値は、Hc=1,530Oe、Bs
=3,060G、Br=2,450G、Br/Bs=0.
80であった。
【0049】(実施例3)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程におけるスラリ−温度を5
0℃、空気量を190リットル/分とした以外は、前記
メタル磁性粉の製造例と同様にして、平均粒径0.12
μm、軸比4.5のメタル磁性粉を得た。磁気特性値
は、Hc=1,700Oe、σs=125emu/g、σ
r/σs=0.47であった。
【0050】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々177及び22
5であった。磁気特性値は、Hc=1,660Oe、Bs
=3,150G、Br=2,550G、Br/Bs=0.
81であった。
【0051】(実施例4)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程における空気量を85リッ
トル/分とした以外は、前記メタル磁性粉の製造例と同
様にして、平均粒径0.17μm、軸比7のメタル磁性
粉を得た。磁気特性値は、Hc=1,550Oe、σs=
130emu/g、σr/σs=0.49であった。
【0052】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々183及び23
0であった。磁気特性値は、Hc=1,530Oe、Bs
=3,190G、Br=2,650G、Br/Bs=0.
83であった。
【0053】(実施例5)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程における空気量を70リッ
トル/分とした以外は、前記メタル磁性粉の製造例と同
様にして、平均粒径0.20μm、軸比8のメタル磁性
粉を得た。磁気特性値は、Hc=1,500Oe、σs=
130emu/g、σr/σs=0.50であった。
【0054】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々182及び22
8であった。磁気特性値は、Hc=1,480Oe、Bs
=3,095G、Br=2,600G、Br/Bs=0.
84であった。
【0055】(比較例1)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程における空気量を190リ
ットル/分とした以外は、前記メタル磁性粉の製造例と
同様にして、平均粒径0.08μm、軸比4のメタル磁
性粉を得た。磁気特性値は、Hc=1,400Oe、σs
=115emu/g、σr/σs=0.46であった。
【0056】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々120及び19
0であった。磁気特性値は、 Hc=1,380Oe、B
s=2,875G、Br=2,300G、Br/Bs=0.
80であった。実施例1〜5と比較して、特性値が十分
でないことがわかる。
【0057】(比較例2)前記メタル磁性粉の製造例に
おいて、ゲ−サイト製造工程における空気量を50リッ
トル/分とした以外は、前記メタル磁性粉の製造例と同
様にして、平均粒径0.22μm、軸比8のメタル磁性
粉を得た。磁気特性値は、Hc=1,450Oe、σs=
130emu/g、σr/σs=0.50であった。
【0058】このメタル磁性粉を用いた以外は、実施例
1と同様にして磁性塗料を調製し、磁性塗膜を得た。磁
性塗膜の光沢値は、鏡面処理前後で各々140及び20
0であった。磁気特性値は、 Hc=1,420Oe、B
s=2,860G、Br=2,400G、Br/Bs=0.
84であった。実施例1〜5と比較して、特性値が十分
でないことがわかる。
【0059】(比較例3)実施例1において、塗料作成
工程で用いた「TP−249」に代えて、−SO3Na
基を含まないポリエステル樹脂を用いた以外は、実施例
1と全く同様にして磁性塗膜を得た。磁性塗膜の光沢値
は、鏡面処理前後で各々110及び185であった。ま
た、磁気特性値は、Hc=1,550Oe、Bs=2,7
30G、 Br=2,100、Br/Bs=0.77であっ
た。実施例1と比較して、光沢値、 Br及びBr/Bsが
低く、メタル磁性粉の塗料中での分散が十分でないこと
がわかる。
【0060】(比較例4)実施例1において、塗料作成
工程で用いた「MR−110」に代えて、−SO3Na
基を含まない塩化ビニル系共重合体を用いた以外は、実
施例1と全く同様に磁性塗膜を得た。磁性塗膜の光沢値
は、鏡面処理前後で各々100及び175であった。ま
た、磁気特性値は、Hc=1,550Oe、Bs=2,7
30G、 Br=2,050、Br/Bs=0.75であっ
た。実施例1と比較して、光沢値、 Br及びBr/Bsが
低く、メタル磁性粉の塗料中での分散が十分でないこと
がわかる。
【0061】(比較例5)実施例1において、磁性塗料
作成工程において、バインダー樹脂として塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニル・アルコ−ル共重合体と、−SO3
Naを含まないポリエステル樹脂とを用いた以外は、実
施例1と同様にして磁性塗膜を作成した。磁性塗膜の光
沢値は、鏡面処理前後で各々90及び150であった。
また、磁気特性値は、Hc=1,530Oe、Bs=2,
700G、Br=2,000G、Br/Bs=0.74で
あった。実施例1と比較して、光沢値、Br及びBr/B
sが非常に低く、メタル磁性粉の塗料中での分散度合い
が低いことがわかる。
【0062】(実施例6)実施例1のメタル磁性粉を用
い、下記の組成混合物をプレミックス後、サンド・ミル
にて混練、分散した。
【0063】 メタル磁性粉(平均長軸径0.15μm、軸比5) 100部 「MR−110」(日本ゼオン社製塩化ビニル共重合体) 12部 「TP−249」(日本合成化学社製ポリエステル樹脂) 8部 カ−ボン・ブラック 3部 α−Al23 3部 ミリスチン酸 1部 ステアリン酸 1部 ステアリン酸ブチル 1部 トルエン 130部 MEK 130部 シクロヘキサノン 70部
【0064】次に、3官能性ポリイソシアネ−ト架橋剤
(17.5部)を添加し、平均1μmのフィルタ−で濾
過した。得られた磁性塗料を、厚さ7.5μmのPET
フィルム上にグラビア・ロ−ルで塗工し、5,000K
Oeの磁場で配向し、乾燥させた後、カレンダ−・ロ−
ルで鏡面仕上げをし、エ−ジングし、厚さ2.5μmの
磁性層を形成した。更に、裏面に、カーボンブラックを
主成分とするバック塗料を塗工、乾燥、エ−ジングし、
厚さ0.6μmのバック層を形成した。塗工済みフィル
ムを8mm幅に裁断し、8mmVTR用の磁気テ−プ1を得
た。
【0065】(実施例7)実施例6において、実施例3
で使用したメタル磁性粉を用いた以外は、実施例6と同
様の方法で磁気テ−プ2を得た。
【0066】(実施例8)実施例6において、実施例4
で使用したメタル磁性粉を用いた以外は、実施例6と同
様の方法で磁気テ−プ3を得た。
【0067】(テープの評価)テ−プ1〜3の物理特
性、磁気特性及び電磁変換特性を表1に示す。表1から
明らかなように、上述の方法で得られた磁気テ−プは、
標準テ−プに比べて表面性及び電磁変換特性上、優れて
いることが判る。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、微細でしかも
易分散性の紡錘型メタル磁性粉と官能基とを含むバイン
ダ−樹脂との組合せをその特色としている。主要二成分
の特色ゆえに、本発明による磁気記録媒体は、優れた電
磁変換特性を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、メタル磁性粉をバイ
    ンダ−樹脂中に分散させた磁性層を設けた磁気記録媒体
    において、(1)メタル磁性粉が、気泡塔中において、
    第1鉄塩と、2価のニッケル、コバルト、亜鉛及びマン
    ガンから成る群から選ばれる金属塩とを、炭酸アルカリ
    で加水分解することにより生じた沈殿物スラリ−を空気
    酸化して製造された添加金属含有の紡錐型ゲ−サイト
    を、3価の水溶性金属塩、IIa族元素の水溶性塩及び水
    溶性のホウ素化合物から成る群から選ばれる2種類以上
    の組合せにより焼結防止処理を行ない、そのまま或いは
    焼結防止処理したものを加熱脱水して得られる酸化鉄を
    350〜450℃で水素還元し、不活性ガスに含まれた
    濃度0.05〜0.20容量%の酸素ガスにより徐酸化
    するとともに、0.2〜1.2重量%の水分を吸着させ
    ることにより得られた平均長軸径が0.10〜0.20
    μm、軸比が4〜8、比表面積SBETが38〜55m2
    g、保磁力 Hcが1,400〜1,800Oe、飽和磁
    化量 σsが110〜140emu/gの易分散性紡錐型
    メタル磁性粉であり、(2)バインダ−樹脂が、式 −OH、−COOM、−(CO)2O、−PO(O
    M)2、−OPO(OM)2、−SO3M及び−OSO3
    (但し、MはH、Li、Na又はKを表わす)から成る
    群から選ばれる官能基を有する樹脂を含有することを特
    徴とする磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5645652A (en) * 1994-12-13 1997-07-08 Toda Kogyo Corporation Spindle-shaped magnetic iron-based alloy particles containing cobalt and iron as the main ingredients and process for producing the same
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