JPH0561314B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は無溶剤で塗布が可能であり、基材に塗
布した後、電離放射線を照射することによつて、
水に溶解もしくは膨潤して剥離が容易になる機能
を有する感圧性接着剤層を与える粘着剤組成物に
関するものである。 粘着剤を用いた製品は、瞬間的に接着するとい
う接着剤にはない機能を有しているため、取り扱
いが簡便で、工業用粘着テープ、ラベル、医療用
テープ等において、用途が拡大すると共に、用途
に適した性能を有する粘着剤および粘着製品の開
発が要求されている。 水溶性ないし水膨潤性の粘着剤も、上述した用
途に適した粘着剤の代表例の一つである。一般の
粘着ラベル、特に商品のプライスラベルに用いら
れる粘着剤は、ラベルの貼り変えを防止する目的
で、強力な接着力のものを使用しているために剥
離が困難であり、被着体に傷をつけたり、また溶
剤を用いて剥がそうとすると、被着体がプラスチ
ツクである場合には被着体を溶解させてしまう等
の問題点がある。 このため、水に浸すだけで簡単に剥離可能な水
溶性もしくは水膨潤性の粘着剤組成物が開発され
ている。 しかし、従来の水溶性ないし水膨潤性の粘着剤
組成物は、主として天然もしくは合成の水溶性な
いしは水膨潤性のポリマーに、一般のゴム系粘着
剤と同様に、水溶性の粘着付与剤、架橋剤、充填
剤等を水、アルコール、その他の水溶性溶剤に溶
解もしくは分散したものであつて、このような組
成物を基材に塗布した後、加熱乾燥して用途に供
されるものである。従つて、塗布後の乾燥に要す
るエネルギー量が過大であり、又、紙などの浸み
込みやすい基材に対して塗布する場合は、予め、
浸み込みを防止するための目止め加工が必要であ
り、また粘着剤の凝集力を高める目的で加えられ
る熱架橋剤は常温でも架橋が進行するため、粘着
剤組成物の貯蔵安定性が悪く、使用に制限をきた
すこと等の問題点を有している。 本発明者等は、従来技術の欠点に鑑み研究の結
果、水溶性ポリマーを、重合してポリマーになつ
た後に水溶性ないし水膨潤性である（メタ）アク
リル酸エステルモノマーで希釈して得られる粘着
剤組成物が、上記した従来の粘着剤組成物の有す
る欠点を解消することを見い出した。 本発明はこのような事実のもとづいてなされた
ものであつて、水溶性ポリマー100重量部と、ポ
リマーが水溶性ないし水膨潤性である（メタ）ア
クリル酸エステルモノマー５〜70重量部とを主成
分とする電離放射線硬化型の水による剥離の容易
な粘着剤組成物をその主旨とするのである。 本発明によれば、粘着剤組成物は水を用いてい
ないので乾燥の問題が少なく、（メタ）アクリル
酸エステルモノマーで希釈するので塗布に適当な
粘度を実現することが容易であり、又、モノマー
は塗布後の電離放射線の照射によつて瞬時に硬化
するので生産速度が速く、従つて、乾燥の途中で
の浸み込みを防止するための目止め加工を必要と
せず、従つて時間的、エネルギー的、および資源
的な大巾な節約が可能になる上、架橋剤を用いな
いので粘着剤組成物の貯蔵安定性、粘着剤の耐候
性も優れている。このように、本発明の粘着剤組
成物は、数々の長所を有していると共に、粘着
力、凝集力、初期接着力等の諸性能についても、
従来のものと比べ、はるかに優れた感圧性接着剤
を与える粘着剤組成物であることは言うまでもな
い。 水溶性ポリマーは以下に示す（メタ）アクリル
モノマーの単独重合体もしくは２種以上の共重合
体を溶液重合によつて作製したものである； 一般式

【式】 （R¹はＨあるいはCH₃，R²は炭素数２〜４のアル
キレン基、R³は炭素数１以上のアルキル基、ｎ
は１以上の正の整数）で表わされる（メタ）アク
リル酸エステルモノマー、アクリル酸、ビニルピ
ロリドン、アクリルアミド、ジメチルアミノエチ
ル（メタ）アクリレート、ジエチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、無水マレイン酸、ビニル
メチルエーテル等。 また、生成される重合体の水溶性を損わない範
囲において、上記のモノマーに加えて一般式CH₂
＝CHCOOR⁴（R⁴は炭素数２〜14のアルキル基）
で表わされるアクリル酸エステル、酢酸ビニル、
スチレン等のモノマーを共重合成分としてモノマ
ー全体を100重量部としたとき、そのうちの30重
量部まで用いてもよい。 溶液重合は、水、アルコール、その他水溶性溶
媒、あるいは酢酸エチル等の有機溶媒中に、重合
開始剤、連鎖移動剤を加えた上記単量体を滴下し
て行えばよい。 本発明の粘着剤組成物中第２成分として用い
る、重合して得られるポノマーが水溶性である
（メタ）アクリル酸エステルモノマーは、 一般式

【式】（R¹ はＨあるいはCH₃，R²は炭素数２〜４のアルキ
レン基、R³は炭素数１以上のアルキル基、ｎは
１以上の正の整数）で表わされる（メタ）アクリ
ル酸エステルモノマー、もしくはジメチルアミノ
エチル（メタ）アクリレート、ジエチルアミノエ
チル（メタ）アクリレート等のアクリル酸エステ
ルモノマーから一種以上選択して用いることがで
き、前記した水溶性ポリマー100重量部に対し、
５〜70重量部の範囲で配合するとよい。ここで、
５重量部未満では、得られる粘着剤組成物の粘度
が高く、塗工上の問題があり、70重量部を越える
と、粘着剤組成物の凝集力、粘着力に問題が生じ
る。 また、本発明の粘着剤組成物を電離放射線照射
により硬化させる際に、より少ない照射線量で硬
化させるために、第３成分として、アクリロイル
基を２個以上有するアクリル系単量体を、硬化後
の粘着剤組成物の水溶性ないし水膨潤性を維持で
きる程度用いることも可能である。 アクリロイル基を２個以上有するものとして
は、エチレングリコールジアクリレート、プロピ
レングリコールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、１，６−ヘキサンジオ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジア
クリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、ジプロピレングリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙
げられる。 これらの、アクリロイル基を２個以上有するア
クリル系モノマーは前記した水溶性ポリマー100
重量部に対し、0.1〜10重量部用いるとよく、0.1
重量部未満では添加の効果がなく、10重量部を越
えると、粘着性が乏しくなる。 更に、本発明の粘着剤組成物には必要に応じ
て、多価アルコール、多価アルコール誘導体、ポ
リエチレングリコール系界面活性剤等の粘着付与
樹脂、亜鉛華、クレー等の充填剤の公知の添加物
を加えてもよい。 以上の各材料を用いて粘着剤組成物とするに
は、加熱下で水溶性ポリマーを脱溶媒し、その
後、加熱下でその他の成分を攪拌混合するとよ
い。 以上のようにしてなる本発明の電離放射線硬化
型の水溶性ないし水膨潤性粘着剤組成物は、各種
フイルム、紙、それらに金属蒸着を施したもの、
およびそれらをラミネートしたもの等の基材（又
は剥離紙）上に塗布し、電離放射線照射後、剥離
紙（又は各種基材）をラミネートするか、もしく
は、各種基材（又は剥離紙）上に塗布し、該粘着
剤組成物の塗布面に剥離紙（又は各種基材）をラ
ミネートした後に、電離放射線を照射し、該組成
物を架橋、重合させることにより、水溶性ないし
水膨潤性の粘着剤層を得ることができる。 本発明に用いられる電離放射線としてはＸ線、
γ線、電子線等を用いることが可能であるが、透
過性が大きく、高速処理が可能な電子線が好まし
く、電子線の場合には電子線はコツクロフトワル
トン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア
変圧型、直線型、ダイナトロン型、高周波型等の
各種電子線加速器から放出され、50〜1000KeV、
好ましくは100〜300KeVの範囲のエネルギーを
持つものが用いられる。 本発明の粘着組成物は1Mradから50Mradの間
の照射線量を用いることにより十分に架橋するこ
とができ、更に、照射線量を変化させることによ
つて、各種の異なつた物性を有する感圧性接着剤
を得ることもできる。 このようにして、本発明の水溶性ないし水膨潤
性粘着剤組成物から得られる感圧性接着剤は、そ
の機能に基づき、前記に示したプライスラベルに
用いられる他、製紙工業におけるリパルバブルテ
ープ、写真工業におけるフイルムのつなぎ用テー
プに使用し、作業能率の向上、省資源に貢献でき
る水溶性テープの粘着剤としても利用でき、新し
いニーズに対応した粘着剤である。 以下に、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。 実施例 １ 〔メトキシトリエチレングリコールモノアクリレ
ート 94.4重量部 アクリル酸 5.0重量部 α，α′−アゾビスイソブチロニトリル
0.1重量部 tert−ドデシルメルカブタン 0.5重量部 を還流している酢酸エチル中に滴下し、滴下終了
後、６時間反応させた。次いで、140℃で脱溶剤
し、全量に対して1000ppmとなるようにハイドロ
キノンを加え、水溶性ポリマー(1)を得た。 この水溶性ポリマー(1)を用い、下記配合比とな
るように、均一になるまで攪拌して、水溶性粘着
剤組成物を得た。 〔水溶性ポリマー(1) 60重量部 ジメチルアミノエチルメタクリレート30重量部 メトキシテトラエチレングリコールモノアクリ
レート 10重量部 この粘着剤組成物をポリエステルフイルム上に
25μmの膜厚となるように均一に塗布し、塗布側
から窒素気流中で、加速電圧175KeV、照射線量
10Mradの電子線を照射して得られる水溶性粘着
剤の粘着力は、JIS−Ｚ−0237に従つて測定した
ところ、800g／25mm巾、J.Dow法による傾斜角
30°でのボールタツクは６であつた。また、同様
にして得られた水溶性粘着剤をステンレス鋼板に
圧着し、25℃の水に浸漬したところ、容易に剥離
することができた。 実施例 ２ 〔無水マレイン酸−ビニルメチルエーテル共重合
体 60重量部 （50／50；モル比）（五協産業(株)製） メトキシトリエチレングリコールモノアクリレ
ート 40重量部 に対し、1000ppmとなるようにハイドロキノンを
加え、120℃で均一になるまで攪拌して、水溶性
粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をポリエ
ステルフイルム上に25μmの膜厚となるように均
一に塗布し、塗布側から窒素気流中で、実施例１
と同様の条件で電子線を照射して、水溶性粘着剤
を得た。JIS−Ｚ−0237に従つて、その粘着力を
測定したところ、700g／25mm巾であり、J.Dow法
による傾斜角30°でのボールタツクは７であつた。
また、同様にして得られた水溶性粘着剤をステン
レス鋼板に圧着し、25℃の水に浸漬したところ、
容易に剥離することができた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水溶性ポリマー100重量部と、ポリマーが水
   溶性ないし水膨潤性である（メタ）アクリル酸エ
   ステルモノマー５〜70重量部とを主成分とする、
   電離放射線硬化型の、硬化時に水による剥離の容
   易な粘着剤組成物。