JPH0557905B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は、冷蔵庫、冷凍庫等の保温・保冷用断
熱板用複合包装材料に関する。 従来の技術及び発明が解決しようとする課題 従来、一般的に冷蔵庫・冷凍庫等の保温・保冷
用の断熱板としては、例えば特公昭58−50392号
公報・同58−50394号公報に見られる如く、発泡
パーライトのような無機質の粉末（断熱材）をプ
ラスチツク積層フイルムからなる袋に充填し、真
空脱気し、密封した断熱板が使用されている。第
１図はこの種の断熱板の一例を示すもので、図中
１がプラスチツク積層フイルムからなる袋であ
り、この袋１内に断熱材２が充填されているもの
である。この断熱板を例えば冷蔵庫等の保冷に使
用する場合には、第２図に示したように冷蔵庫等
の隔壁３，３内にこの断熱板１を挿入すると共
に、この断熱板１と隔壁３，３との間にウレタン
樹脂４を充填し、ウレタン樹脂に予め加えらえる
クロロフルオロ炭化水素ガスにて発泡させるもの
である。 この場合、前記袋１を構成する断熱材用の包装
材料としては、従来、アルミニウム箔やアルミニ
ウム蒸着膜等により形成された金属層５の一面
（袋の表面を形成する側の面）にポリエチレンテ
レフタレートフイルムやポリアミドフイルム等に
より形成されたプラスチツク外面層６を積層する
と共に、前記金属箔５の他面に低密度ポリエチレ
ンからなるプラスチツク内面層７を積層した構成
のものが使用されており、この包装材料より袋１
を形成する場合は、例えば２枚のプラスチツク積
層フイルムを互いにそのプラスチツク内面層７，
７が対向するように重ね合わせ、その端部をヒー
トシール８，８することにより、袋１を形成する
ことが行なわれていた。 しかしながら、従来のこの種の包装材料は、こ
のようにヒートシール性を確保するため最内層
（ヒートシール層）として低密度ポリエチレンが
使用されているが、低密度ポリエチレンはクロロ
フルオロ炭化水素ガスに侵され易いので、第２図
に示すような断熱板にヒートシール層として低密
度ポリエチレンを有する袋を使用した場合には、
その端面に露呈している低密度ポリエチレンが残
留するクロロフルオロ炭化水素ガスに侵されてク
ロロフルオロ炭化水素ガスが袋の内部に浸透する
ことによつて袋の真空度が低下し、断熱性能が低
下したり、更には低密度ポリエチレンが粉末状に
なつて袋としての機能を有さなくなるなどの問題
が生じる。このため、ヒートシール層として低密
度ポリエチレンを包装材料として用いた第１図に
示す如き断熱板は、クロロフルオロ炭化水素ガス
雰囲気下においては長時間その保冷性を保持でき
ないものであつた。 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、トリ
クロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタ
ン等のクロロフルオロ炭化水素ガスなどの冷凍用
ガスに対して抵抗性を有し、このため袋の真空度
の低下、断熱性能の低下が可及的に防止され、長
期に亘り安定して使用し得る冷蔵庫、冷凍庫等の
保温・保冷用断熱板用複合包装材料を提供するこ
とを目的とする。 問題点を解決するための手段及び作用 即ち、本発明者らは上記目的を達成するため、
鋭意研究を行つた結果、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合ゴム（NBR）とアクリロニトリル
にメチルアクリレートをグラフト共重合させた樹
脂とを含むフイルムを断熱板用複合包装材料の最
内層として用いた場合、このフイルムは熱接着性
能に優れ、熱封緘部におけるヒートシール強度、
および耐衝撃強度が良好である上、このフイルム
がクロロフルオロ炭化水素ガスの浸透を有効に防
止し得ることを知見し、本発明をなすに至つた。 従つて、本発明は、真空脱気した密封袋内に断
熱材が充填されたなる冷蔵庫、冷凍庫等の保冷用
断熱板の上記密封を形成する複合包装材料であつ
て、金属層の表面側にプラスチツク外面層が形成
され、金属層の内面側に最内層としてアクリロニ
トリル−ブタジエン共重合ゴムとアクリロニトリ
ルにメチルアクリレートをグラフト共重合させた
樹脂とを含むフイルム層が形成されたプラスチツ
ク積層フイルムから構成したことを特徴とする断
熱板用複合包装材料を提供する。 本発明によれば、前記フイルムを最内層として
利用したことにより、耐クロロフルオロ炭化水素
ガス性に優れ、かつヒートシール性も良好で、し
かも高密度ポリエチレン等の有する欠点、即ち低
温時での落下強度、衝撃強度に劣るとか、低温で
取り扱うとピンホールを生じやすいといつた欠点
を解消できるものである。 以下、本発明につき更に詳しく説明する。 本発明に係る断熱板用複合包装材料は、上述し
たように、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
ゴム（ニトリルゴム、NBR）とアクリロニトリ
ルにメチルアクリレートをグラフト共重合させた
樹脂とを含むフイルムを最内層として用いたもの
である。 ここで、このフイルム中のNBR量は、２〜30
％（重量％、以下同じ）、特に５〜10％とするこ
とが好ましく、NBR量が30％を越えると、耐薬
品性、特に耐クロロフルオロ炭化水素ガス性が低
下する。また、アクリロニトリル量は65〜80％、
メチルアクリレート量は20〜30％とすることが好
ましい。このようなフイルムとしては、市販品と
して三井東圧化学社製ゼクロンフイルムがある。 なお、フイルム化の方法としては、Ｔダイ法や
インフレーシヨン法等を採用し、170〜220℃程
度、特に200〜210℃程度でフイルムを形成するこ
とが好ましい。この場合、このフイルムは無延伸
のものが好ましく、その厚さは適宜選定される
が、通常10〜150μｍ、好ましくは20〜80μｍの範
囲で用いることが望ましい。 本発明の断熱板用包装材料は、上述したフイル
ムを最内層として密封袋を形成し、これの内部に
断熱材を充填して断熱板として使用するものであ
る。 第３図は、このような断熱板に用いる複合包装
材料の一実施例を示すもので、これはアルミニウ
ム箔等の金属層１１の内面に直接または接着剤を
介してポリオレフイン系樹脂層１２が形成されて
いると共に、このポリオレフイン系樹脂層１２に
直接または接着剤を介して前記フイルム１３が積
層され、かつ金属箔１１の外面にはプラスチツク
外面層１４を積層したものである。ここで、外面
層はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、ナイロン等のプラスチツクフイルムを耐熱
性、防気性、遮光性、剛性等の所望する性能を付
与するために選定された単層、あるいは複数層を
適宜の順序で積層した積層フイルムである。 この場合、この包装材料から形成される密封袋
は、内部を真空にして利用されるものであるか
ら、外面層は非通気性およびガス不透過性の表面
材料であることが必要であり、このため延伸ポリ
エステルフイルム、延伸ナイロンフイルム、延伸
ポリプロピレンフイルムを用いることが好まし
く、これらに上述したように熱を反射させるた
め、アルミニウム等の金属を蒸着したフイルムや
アルミニウム箔等の金属箔を単独もしくは適宜積
層複合させた複合フイルムが有効に利用できる。
また必要に応じ、中間層として金属薄層や金属蒸
着膜形成プラスチツクフイルム層を介在させるこ
ともできる。ここでアルミニウム箔を用いたとき
は、包装端縁の熱接着部断面に露出したアルミニ
ウム箔からの熱の伝導を避けるために同部分のア
ルミニウム箔を除去した包装袋を形成することが
好適である。 また、上述した種々の材料を用いて包装材料を
製造するときに、本発明フイルムを最内層として
形成させるためには、公知の方法、例えばＴ−ダ
イから押出すエクストルージヨン法や、あるいは
本発明フイルムを予め成膜し、これを例えばイソ
シアネーオ系接着剤等の適宜な接着剤を用いて貼
合するドライラミネート法を単独又は組合せて利
用し、最内層を形成することができる。 更に、密封袋を製造する場合は、本発明のフイ
ルムを最内層となるように折り返すかまたは重ね
合わせ、次いで必要周側縁をヒートシールするも
のである。 発明の効果 以上のように、本発明のNBRとアクリロニト
リルにメチルアクリレートをグラフト共重合させ
た樹脂とを含むフイルムを最内層として使用した
複合包装材料を用いて製造した断熱板は、このフ
イルムが、耐クロロフルオロ炭化水素ガス性に優
れているので、クロロフルオロ炭化水素ガス雰囲
気下で有効に使用でき、このため冷蔵庫などの保
冷断熱に用いる第１図に示す如き断熱板を製造し
た場合、ヒートシール性も良好で密封袋の製造も
容易であり、かつ上述したように耐クロロフルオ
ロ炭化水素ガス性も良好であるので、この包装材
料を使用した断熱板を第２図に示したようなクロ
ロフルオロ炭化水素ガスで発泡させた発泡樹脂内
に載置してもクロロフルオロ炭化水素ガスに侵さ
れることがなく、クロロフルオロ炭化水素ガスが
包装袋内部に侵入して本来有すべき断熱性能を低
下させることはない。しかも、低温時における落
下強度・耐衝撃性強度も高く、さらに耐ピンホー
ル性も良好なので、冷蔵庫などの保冷断熱に用い
るのに非常に優れたものである。 以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限さ
れるものではない。 実施例、比較例１〜３ 外層に厚さ12μｍの二軸延伸ポリエステル、中
間層に9μｍのアルミニウム箔、最内層に60μｍの
NBR（５％）とアクリロニトリル（70％）にメチ
ルアクリレート（25％）をグラフト共重合させた
樹脂とを含むフイルムをイソシアネート系接着剤
を用いて順次積層し、包装材料を製造した。 また比較のため、最内層に厚さ60μｍの低密度
ポリエチレン、60μｍの高密度ポリエチレンに直
鎖状低密度ポリエチレンを重量比で20％混合した
混合フイルム、および60μｍの高密度ポリエチレ
ンにポイソブチレンを重量比で５％混合したフイ
ルムをそれぞれ用いた以外は同じ構成の包装材料
（比較例１〜３）を製造した。 これら実施例及び比較例の包装材料から10×10
cmの試料をとり、温度60℃のトリクロロモノフル
オロメタン（フロン11）ガス液体中に７日間浸漬
させて最内層フイルムへのトリクロロモノフルオ
ロメタンガスの吸着量を調べた。また、上記と同
寸の試料をその面同志を重ねて130℃の温度で１
秒間、約２Kg／cm²の圧力を加えてヒートシールを
行ない、JIS−Ｚ−1526による熱封緘強度を測定
した。その結果を第１表に示す。

【表】 さらに、前記の実施例、比較例の包装材料を用
いてトリクロロモノフルオロメタンガスへの浸漬
時間を14日間、28日間とした場合のトリクロロモ
ノフルオロメタンガスの吸着量を測定し、第２表
に示す結果を得た。

【表】 この結果、実施例による包装材料は、比較例に
比してトリクロロモノフルオロメタンガスの吸着
が少なく、断熱板用包装袋として十分使用に耐え
るものであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は断熱板の一例を示す断面図、第２図は
同断熱板の施工例を示す断面図、第３図は本発明
の一実施例を示す断面図である。 １１……金属箔、１２……ポリオレフイン樹脂
層、１３……NBRとアクリロニトリルにメチル
アクリレートを共重合させた樹脂とを含むフイル
ム、１４……外層面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 真空脱気した密封袋内に断熱材が充填されて
   なる冷蔵庫、冷凍庫等の保温・保冷用断熱板の上
   記密封袋を形成する複合包装材料であつて、金属
   層の表面側にプラスチツク外面層が形成され、金
   属層の内面側に最内層としてアクリロニトリル−
   ブタンジエン共重合ゴムとアクリロニトリルにメ
   チルアクリレートをグラフト共重合させた樹脂と
   を含むフイルム層が形成されたプラスチツク積層
   フイルムからなることを特徴とする断熱板用複合
   包装材料。