JPH0557449U - スプラインフイツテイング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧入スプラインにおいて軸方向だけでなく周
方向にも位置決めしやすく圧入スプラインを迅速且つ確
実に行うことの出来るスプラインフイツテイングを提供
すること。 【構成】 軸の外表面に雄スプライン１が形成され、該
雄スプラインと圧入により嵌合する雌スプラインがプ−
リ等の穴に形成されて成るスプラインフイツテイングに
おいて、前記雄スプライン１は円形棒状の素材の端部に
面取部１０を形成して転造により形成し且つ該スプライ
ンの山部１１端部の面取部に凹部１３が形成されると共
に該凹部１３の両側には余肉部１４が形成され、また前
記雌スプラインの端部には前記雄スプラインの面取部と
合致する面取部が形成されて成ることを特徴とするスプ
ラインフイツテイング。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、スプライン嵌合を圧入により行う場合に位置合わせを迅速且つ確 実に行うことの出来るスプラインフイツテイングに関する。

【０００２】 自動車のエンジンから動力を取り出す補機、例えばクランクシャフトより動力 を取り出すジェネレ−タ等では、図５に示すように動力を取出す軸３に雄スプラ イン１を刻設し被駆動側プ−リ４の穴の内径部に刻設した雌スプライン２と圧入 嵌合させ回転トルクを伝達する。この場合前記軸３の雄スプライン１とプ−リ４ の雌スプライン２とは位置合わせを行ってから嵌合させるが、圧入による嵌合で あるため位置合わせは困難を伴うことが多い。そこでこの雄スプライン１と雌ス プライン２との位置合わせをスム−スに行うための考案として、例えば実公平１ −１０４９９号で開示されているように、雄スプラインの端部に尖頭部が形成さ れ、一方雌スプラインには前記雄スプラインの尖頭部と係合し得る尖った誘導歯 が該雌スプラインとは別体に形成され取付けられているスプラインフイツテイン グが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記するスプラインフイツテイングにおいて、雄スプライン端部に尖頭部を形 成し、雌スプラインにこれとは別体の誘導歯を形成する場合、加工工程、取付工 程が必要でありそれだけコスト高となることは免れない。また一般的に圧入によ るスプライン嵌合において位置合わせを行う場合、図４に示すように雄スプライ ン１' の山部１１' の端部には面取部１０' を形成し、これに雌スプラインの端 部に形成した面取部２０（図６）を合致させると軸方向の軸と穴の中心位置は定 まるが、円周方向では滑って歯同士が合わないため周方向の位置決めが定め難く 圧入作業に手間取るという問題がある。この考案はかかる課題に鑑みてなされた ものであり、その目的とする所は圧入スプラインにおいて軸方向だけでなく周方 向にも位置決めしやすく圧入スプラインを迅速且つ確実に行うことの出来るスプ ラインフイツテイングを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

即ちこの考案は上記する課題を解決するために、軸の外表面に雄スプラインが 形成され、該雄スプラインと圧入により嵌合する雌スプラインがプ−リ等の穴に 形成されて成るスプラインフイツテイングにおいて、前記雄スプラインは円形棒 状の素材の端部に面取部を形成して転造により形成し且つ該スプラインの山部端 部の面取部に凹部が形成されると共に該凹部の両側には余肉部が形成され、また 前記雌スプラインの端部には前記雄スプラインの面取部と合致する面取部が形成 されて成ることを特徴とする。

【０００５】

【作用】

スプラインフイツテイングを上記手段とした場合の作用について添付図の符号 を用いて説明する。 雄スプライン１をプ−リ等の雌スプライン２（図６参照）に嵌合させると、該 雄スプライン１の面取部１０と雌スプライン２の面取部２０とは合致し軸方向の 軸と穴の中心位置が定まると共に、この面取部同士を接合させた状態で周方向に 若干回転させると、雄スプライン１の山部１１の端部の余肉部１４が雌スプライ ン２側の谷部２２の端部で係止し、その位置で周方向の位置も定まる。 即ち、雄スプライン１と雌スプライン２とが軸方向の軸と穴の中心部が合致す るだけでなく、周方向の位相が定まる。こうしてスプライン嵌合を圧入によって 嵌合させる場合の位置決め作業が極めて簡単となる。

【０００６】

【実施例】

以下、この考案の具体的実施例について図面を参照して説明する。 図１はこの考案にかかるスプラインフイツテイングを構成する雄スプライン１ の斜視図、図２はその雄スプライン端部の拡大斜視図である。該雄スプライン１ の山部１１は雌スプライン２（図６参照）の谷部２２と、該雄スプライン１の谷 部１２は同様に山部２１と嵌合させるが、該雄スプライン１は図７に示す如く、 転造によって製作する。即ち、歯を刻設した一組の工具である転造ラック５及び ６との間に雄スプライン１となる面取りされた円形棒状の素材Ｗを配置し、該転 造ラック５及び６に圧潰力を加えて素材Ｗの表面に雄スプライン１となる山部１ １と谷部１２とを形成するのである。当然のことながら転造ラック５及び６は素 材よりも固い材料を用いる。このように転造によれば比較的精度も良く、量産効 率のよい雄スプラインを製造することが出来る。

【０００７】 次に、前記転造による雄スプライン１製造時、山部１１の端部の面取部１０に は凹部１３を刻設するが、該凹部１３は前記転造ラック５及び６の谷部の端部に 凸部を形成することにより刻設しても良いし、或いは別個の専用工具で凹部１３ のみ刻設しても良い。而して該雄スプライン１にはその山部１１の端部に凹部１ ３が形成されると共に、図１及び図２に示すように各山部１１の端面両側には余 肉部１４が形成される。該余肉部１４は谷部１２に面取部１０の一部が残るよう に刻設しても良いし、谷部１２で切れるように刻設しても良い。尚、この雄スプ ライン１の山部１１端部に形成する凹部１３或いは余肉部１４は円周方向すべて の山部１１端部に形成する必要はなく数箇所でもよくその数は限定されない。

【０００８】 図３は転造により製造された前記雄スプライン１の一部平面図である。 上記するように転造により製造された雄スプライン１は山部１１の端部に面取 部１０と凹部１３と余肉部１４及び谷部１２とが形成された状態となる。 この雄スプライン１をプ−リ等の雌スプライン２（図６参照）に嵌合させると 、該雄スプライン１の面取部１０と雌スプライン２の面取部２０とが合致し軸方 向の軸と穴の中心位置が定まると共に、この面取部同士を接合させた状態で周方 向に若干回転させると、雄スプライン１の山部１１の端部の余肉部１４が雌スプ ライン２側の谷部２２の端部に係止し、その位置で周方向の位置も定まる。即ち 、雄スプライン１と雌スプライン２とが軸方向の軸と穴の中心部が合致するだけ でなく、周方向の位相も定まるのである。こうしてスプライン嵌合を圧入によっ て嵌合させる場合の位置決め作業が極めて簡単となる。

【０００９】

【考案の効果】

この考案にかかるスプラインフイツテイングは以上詳述したような構成とした ので、従来スプラインの圧入による嵌合で雄スプラインと雌スプラインとの歯同 士が合わないため周方向の位置決めが定め難く圧入作業に手間取っていたものが 極めて迅速且つ確実に位置決めを行うことが出来るようになる。また転造により 雄スプラインを製造し、しかも簡単に周方向の位相を定める形状に形成すること が出来るので圧入作業時間を短縮しコストダウンを図ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案にかかるスプラインフイツテイングを
構成する雄スプラインの斜視図である。

【図２】この考案にかかるスプラインフイツテイングを
構成する雄スプラインの拡大斜視図である。

【図３】この考案にかかるスプラインフイツテイングを
構成する雄スプラインの一部平面図である。

【図４】従来のスプラインフイツテイングを構成する雄
スプラインの一部の拡大斜視図である。

【図５】自動車のエンジンから動力を取り出す補機で、
一部に雄スプラインを設けた軸の側面図である。

【図６】自動車のエンジンから動力を取り出す補機で、
中心穴に雌スプラインを設けたプ−リの軸の正面図であ
る。

【図７】転造により雄スプラインを形成する場合の方法
を示す図である。

【符号の説明】

１ 雄スプライン １０ 面取部 １１ 山
部 １２ 谷部 １３ 凹部 １４ 余肉部 ２ 雌スプライン ２０ 面取部 ２１ 山
部 ２２ 谷部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸の外表面に雄スプラインが形成され、
   該雄スプラインと圧入により嵌合する雌スプラインがプ
   −リ等の穴に形成されて成るスプラインフイツテイング
   において、前記雄スプラインは円形棒状の素材の端部に
   面取部を形成して転造により形成し且つ該スプラインの
   山部端部の面取部に凹部が形成されると共に該凹部の両
   側には余肉部が形成され、また前記雌スプラインの端部
   には前記雄スプラインの面取部と合致する面取部が形成
   されて成ることを特徴とするスプラインフイツテイン
   グ。