JPH0553006B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、最短記録波長が1μm以下の高密度磁
気記録を行い、記録媒体としてメタルテープ等の
高抗磁力を有する磁気テープを用いる場合にも適
応し得る磁気ヘツドに関するものである。

〔従来技術〕

近年、磁気テープとして高抗磁力のメタルテー
プ等が用いられている。そして、このメタルテー
プに信号を記録・再生する場合、飽和磁束密度が
5000ガウス程度の酸化物磁性材料から成る磁気ヘ
ツドでは記録を充分に行うことができないため、
飽和磁束密度が8000〜10000ガウスの合金磁性材
料から成る磁気ヘツドが使用されている。しかし
ながら、磁気ヘツドコア全体を合金磁性材料で構
成すると、合金磁性材料の固有抵抗値が低いため
に表皮効果が生じ、高周波数領域における透磁率
が低下し、磁気ヘツドのコア効率が低下する。そ
こで、磁気飽和の生じ易いギヤツプ近傍のみを合
金磁性材料で形成し、他の部分は高周波数領域に
おいて高い透磁率を有する酸化物磁性材料で形成
する磁気ヘツドが提案されている。

ところが、この磁気ヘツドは、磁気テープ摺動
面が合金磁性材料および酸化物磁性材料により形
成されているため、磁気テープ摺動面における両
磁性材料の接合部で磁気特性が不連続となり、所
謂疑似ギヤツプ効果が生じて磁気ヘツドの性能が
低下するという欠点を有している。

そこで、上記の欠点を解消するために、酸化物
磁性材料に非磁性材料を接合し、この非磁性材料
と合金磁性材料とで磁気テープ摺動面を形成する
磁気ヘツドが提案されている（例えば、実開昭57
−129228号公報）。

しかしながら、この磁気ヘツドは、ギヤツプ形
成面と合金磁性材料形成面とが平行となつてお
り、また、合金磁性材料同士の対向面にのみギヤ
ツプが形成される構成となつているため、ギヤツ
プ近傍の加工寸法公差の許容範囲が狭い。したが
つて、磁気ヘツドの信頼性を保ちつつ、その量産
性を維持することが困難となつている。

〔発明の目的〕

本発明は、上記従来の問題点を考慮してなされ
たものであつて、磁気テープ摺動面において磁気
特性が不連続となるのを防止することにより、高
抗磁力を有する磁気テープに信号を記録・再生す
ることができ、しかも、信頼性および量産性に優
れた高性能の磁気ヘツドの提供を目的とするもの
である。

〔発明の構成〕

本発明に係る磁気ヘツドは、上記の目的を達成
するために、基体として一対の酸化物磁性材料層
を備え、これら酸化物磁性材料層の相対する面に
それぞれ合金磁性材料層が形成され、上記合金磁
性材料層を対向させることにより磁気ギヤツプを
形成する磁気ヘツドにおいて、上記酸化物磁性材
料層に設けられた非磁性材料層と、上記合金磁性
材料層とで磁気テープ摺動面が形成され、かつ、
上記磁気ギヤツプ形成面に対して上記合金磁性材
料層形成面が傾斜していることを特徴とするもの
である。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第１図乃至第６図に基づい
て以下に説明する。

磁気ヘツドの一部を構成する磁気ヘツドチツプ
は、第１図に示すように、単結晶フエライト等か
ら成る酸化物磁性材料層（基体）２と、この酸化
物磁性材料層２の前部（第１図で上部）に形成さ
れ、セラミツク或いはガラス等から成る非磁性材
料層３とから成る複合基体１，１同士が、溶着用
ガラス層６，６により溶着されている。また、磁
気ヘツドチツプの中央部には、前部から後部（第
１図で上下方向）にかけて２つのＶ溝４，４が点
対称となるように形成されており、このＶ溝４に
は、センダスト等から成る合金磁性材料層５と、
上記溶着用ガラス層６とが順に埋設されている。
したがつて、磁気ヘツドチツプのテープ摺動面
は、非磁性材料層３，３と合金磁性材料層５，５
と溶着用ガラス層６，６とから形成されている。
また、一方の複合基板１には、上記Ｖ溝４に対し
直角方向に巻線溝８が形成されている。

上記構造の磁気ヘツドは、第２図に示す複合基
板１を以下の工程にて加工することにより製造さ
れる。上記複合基板１は、単結晶フエライト等か
ら成る酸化物磁性材料層２とセラミツク或いはガ
ラス等から成る非磁性材料層３とから構成されて
いる。先ず初めに、第３図に示すように、複合基
板１のギヤツプ形成面に、所定の間隔を隔て、傾
斜面と垂直面とから成る鋸歯状のＶ溝４……を形
成する。次に、第４図に示すように、スパツタリ
ング等の真空成膜技術を用いて、上記Ｖ溝４……
の傾斜面の表面と、Ｖ溝４……が形成されていな
い上記ギヤツプ形成面とに、15〜30μmの厚みと
なるように、センダスト等の合金磁性材料を成膜
し、合金磁性材料層５……を形成する。次いで、
この合金磁性材料層５……の溝部に溶着用ガラス
を埋設し、溶着用ガラス層６……を形成する。

この後、第５図に示すように、上記Ｖ溝４……
内に充填された、合金磁性材料層５……及び溶着
用ガラス層６……以外の合金磁性材料層５……と
溶着用ガラス層６……とを、加工歪が入らないよ
うに注意しながら研削、研磨し、ギヤツプ対向面
を鏡面仕上げにする。しかる後、上記鏡面仕上げ
を行つた面に、スパツタリング等によりSiO₂等
を0.2〜0.4μmの厚さに成膜し、ギヤツプ部材であ
る非磁性膜（図示せず）を形成し、非磁性膜形成
基板を作製する。次いで、第６図に示すように、
この非磁性膜形成基板を２つ用意して非磁性膜同
士が密接するように配置した後、熱処理を行うこ
とにより非磁性膜形成基板同士を溶着し、複合磁
性材料ブロツク７を作製する。なお、上記非磁性
膜形成基板のうち、少なくとも一方の基板には、
前記合金磁性材料層５……を形成する以前に、前
記Ｖ溝４と直交するように巻線溝８を形成してお
く必要がある。

また、第６図から明らかなように、合金磁性材
料層５……の形成面は、非磁性膜形成基板同士の
溶着面であるギヤツプ形成面に対して、或る角度
で傾斜している。この角度は、上記鋸歯状のＶ溝
４……の傾斜面の形成角度と等しい角度である。

次に、上記複合磁性材料ブロツク７のテープ摺
動面となる面９を、所望の曲率を有するＲ状に形
成した後、ギヤツプと垂直となるように複合磁性
材料ブロツク７を切断し、第１図に示すような磁
気ヘツドチツプを作製する。最後に、この磁気ヘ
ツドチツプを、図示しないヘツドベースに貼着し
た後、図示しない巻線を巻回し、磁気ヘツドが作
製される。

このように、磁気ヘツドのテープ摺動面は、非
磁性材料層３，３と合金磁性材料層５，５と溶着
用ガラス層６，６とから形成され、酸化物磁性材
料層２，２は非磁性材料層３，３の後部に形成さ
れているので、テープ摺動面で磁気特性が不連続
とはならない。したがつて、テープ摺動面で所謂
疑似ギヤツプ効果が生じるのを防止することがで
きる。

また、合金磁性材料層５……が形成されるＶ溝
４……の傾斜面は、所定の間隔で配設されている
ので、１つの複合磁性材料ブロツク７から多数の
磁気ヘツドチツプを作製することができる。

更に、上記磁気ヘツドは、合金磁性材料層５，
５がギヤツプ形成面に対して或る角度で傾斜して
いる。また、第１図から明らかなように、テープ
摺動面全体にギヤツプが形成される構成となつて
いる。このため、合金磁性材料層５は、磁気テー
プのトラツク幅に相当する膜厚を形成する必要が
なく、成膜時間を短縮することができると共に、
ギヤツプ近傍の加工寸法公差の許容範囲が広くな
る。したがつて、信頼性および量産性に優れた高
性能の磁気ヘツドを作製することができる。

〔発明の効果〕

本発明の磁気ヘツドは、以上のように、酸化物
磁性材料層に設けられた非磁性材料層と、合金磁
性材料層とで磁気テープ摺動面が形成され、か
つ、磁気ギヤツプ形成面に対して上記合金磁性材
料層形成面が傾斜している。これにより、磁気テ
ープ摺動面において磁気特性が不連続となるのを
防止することができ、所謂疑似ギヤツプ効果が生
じるのを防止することができるので、高抗磁力を
有する磁気テープに信号を記録・再生することが
可能となる。しかも、合金磁性材料層は、磁気テ
ープのトラツク幅に相当する膜厚を形成する必要
がないので、成膜時間を短縮することができると
共に、磁気ギヤツプ近傍の加工寸法公差の許容範
囲が広くなり、信頼性および量産性に優れた高性
能の磁気ヘツドを提供することができるという効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す斜視図、第２
図乃至第６図はそれぞれ本発明の磁気ヘツドの製
造工程を示す各説明図である。 ２は酸化物磁性材料層、３は非磁性材料層、５
は合金磁性材料層である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基体として一対の酸化物磁性材料層２を備
   え、これら酸化物磁性材料層の相対する面にそれ
   ぞれ合金磁性材料層５が形成され、上記合金磁性
   材料層を対向させることにより磁気ギヤツプを形
   成する磁気ヘツドにおいて、 上記酸化物磁性材料層に設けられた非磁性材料
   層３と、上記合金磁性材料層５とで磁気テープ摺
   動面が形成され、かつ、上記磁気ギヤツプ形成面
   に対して上記合金磁性材料層形成面が傾斜してい
   ることを特徴とする磁気ヘツド。