JPH0551507A - 熱硬化性アクリレート系組成物 - Google Patents

熱硬化性アクリレート系組成物

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JPH0551507A
JPH0551507A JP21398591A JP21398591A JPH0551507A JP H0551507 A JPH0551507 A JP H0551507A JP 21398591 A JP21398591 A JP 21398591A JP 21398591 A JP21398591 A JP 21398591A JP H0551507 A JPH0551507 A JP H0551507A
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acrylate
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JP21398591A
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English (en)
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Yuji Takayama
山 雄 二 高
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Soken Kagaku KK
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Soken Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の熱硬化性アクリレート系組成物は、
(a) 1分子中に3個以上の(メタ)アクロイル基を有す
る多官能性化合物:100〜10重量部、(b)1分子中
に2個の(メタ)アクロイル基を有する二官能性化合
物:0〜90重量部、上記(a)成分および(b)成分の合計
100重量部に対して、(c)(メタ)アクロイル基を有
する化合物と共重合し得るビニル基含有モノマー:20
重量部以上、および(d) 架橋したスチレン重合物:3〜
20重量部からなることを特徴としている。 【効果】本発明の組成物によれば、成形収縮率が低く、
良好な表面性を有する成形体を得ることができ、この成
形体は、スカミングが発生しにくく、さらに良好な着色
性を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は熱硬化性を有する(メタ)
アクリレート組成物に関する。さらに詳しくは本発明
は、表面が平滑で濃色に着色することができ、しかもく
もりの少ない成形物を得ることができる熱硬化性(メ
タ)アクリレート組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から、熱硬化性(メタ)アク
リレートをビニルモノマーに溶解させた液状の熱硬化性
樹脂は公知である。この液状の熱硬化性樹脂からは、例
えば不飽和ポリエステルを用いた成形と同様の方法を利
用して、成形体を製造することができる。すなわち、こ
の液状の熱硬化性樹脂にガラス繊維等の繊維状充填材を
配合した後、コールドプレス法、樹脂移送成形法(一般
に「RTM法」と呼ばれ、以下そのように略記する)、
引き抜き成形法等の成形方法により繊維状充填材で強化
された成形体を製造することができる。
【0003】ところが、こうして得られた成形物の表面
は、繊維の浮出しが顕著に認められ、成形体の外観は不
良である。この成形体の外観不良は、成形物の厚さ方向
における樹脂の硬化収縮すなわち成形収縮に基因する。
こうした熱硬化性(メタ)アクリレート液状樹脂の成形
収縮を低減する方法として、不飽和ポリエステルの場合
と同じく、熱可塑性ビニル重合物を配合して成形する方
法が採られている。このように、熱硬化性(メタ)アク
リレート液状樹脂に熱可塑性ビニル重合物を配合すると
成形体における繊維の浮き出しは少なくなり外観の良い
成形体を得ることができるが、この成形体は著しく白色
化する。従って、この液状樹脂に着色材を配合して成形
体を製造すると著しく白色化した所謂パステル調の成形
物しか得られない。また、上記熱硬化性液状樹脂が熱硬
化性(メタ)アクリレートスチレンモノマー溶解液状樹
脂の場合には、配合した熱可塑性ビニル重合物が熱硬化
した(メタ)アクリレート系の樹脂から分離して、成形
体の表面に滲み出して所謂スカミングと呼ばれる表面の
部分的な光沢不良が発生する。
【0004】上述したように熱硬化性(メタ)アクリレ
ート液状樹脂に熱可塑性ビニル重合物を配合した組成物
を使用した従来の成形方法においては、成形収縮率の低
下に伴って平面の平滑性の良い成形体を製造することは
できるが、着色剤を用いた場合にはパステル調に着色し
た成形物しか得られず、また場合によってはスカミング
を生ずるという問題がある。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、成形物の表面の平滑性
が向上し、成形収縮率が低く、しかも着色がパステル調
にならず濃色に着色することができ、さらにスカミング
のない形成物を調製することができる熱硬化性(メタ)
アクリレート組成物を提供することにある。
【0006】
【発明の概要】本発明の熱硬化性アクリレート系組成物
は、(a) 1分子中に3個以上の(メタ)アクロイル基を
有する多官能性化合物:100〜20重量部、(b) 1分
子中に2個の(メタ)アクロイル基を有する二官能性化
合物:0〜80重量部、上記(a)成分および(b)成分の合
計100重量部に対して、(c) (メタ)アクロイル基を
有する化合物と共重合し得るビニル基含有モノマー:2
0重量部以上および(d) 架橋したスチレン重合物:3〜
20重量部からなることを特徴としている。
【0007】本発明の熱硬化性(メタ)アクリレート組
成物を使用することにより、繊維状充填材を配合した場
合であっても、成形収縮率が低く、良好な表面性を有す
る成形体を得ることができる。さらに、本発明の組成物
から得られた成形体は、スカミングの発生が認められに
くく、さらに良好な着色性を有している。すなわち、本
発明の組成物中に含まれる架橋したスチレン重合物(d)
は、分子量が大きいので(a)成分、(b)成分および(c)成
分からなる未硬化の液状樹脂中では相分離せず、そのた
めスカミングを呈せず、硬化反応に際しては、共存する
ビニルモノマーの少なくとも一部が、架橋したスチレン
重合物(d)中に吸収されて、架橋したスチレン重合物(d)
の体積が膨潤により大きくなり、低収縮剤として作用す
る。さらに、この架橋したスチレン重合物(d)は、硬化
体中では球状粒子として存在するので光を乱反射するこ
となく、硬化体が著しくは白色化することがないので、
硬化体(即ち成形体)の着色性が良好になると思われ
る。
【0008】
【発明の具体的説明】次に本発明の熱硬化性アクリレー
ト系組成物について具体的に説明する。本発明の熱硬化
性アクリレート系組成物は、概略、架橋スチレン重合物
(d)が分散しているビニルモノマー(c)に複数の(メタ)
アクロイル基を有する官能性化合物(a)、または(a)およ
び(b)が溶解もしくは分散している液状組成物である。
【0009】本発明の熱硬化性アクリレート系組成物を
構成する官能性化合物は、1分子中に3個以上の(メ
タ)アクロイル基を有する多官能性化合物(a)、もしく
は上記(a)成分および1分子中に2個の(メタ)アクロ
イル基を有する二官能性化合物(b)である。
【0010】多官能性化合物(a)は、分子内に1分子中
に3個以上の(メタ)アクロイル基を有している。この
多官能性化合物(a)の例としては、所謂ビニルエステル
型化合物およびウレタン(メタ)アクリレート型化合物
を挙げることができる。
【0011】ここでビニルエステル型化合物の例として
は、ノボラック型ビニルエステルを挙げることができ
る。さらに、ノボラック形ビニルエステルとしては、具
体的には次式[A]で表される化合物を例示することが
できる。
【0012】
【化1】
【0013】・・・ [A]上記式[A]において、Rは水素原子もしく
はメチル基を表し、mは1〜10の、好ましくは1〜3
の整数である。
【0014】上記のようなノボラック形ビニルエステル
は、例えば、トリフェニルホスフィンなどの触媒の存在
下に、ノボラック型フェノールと(メタ)アクリル酸グ
リシジルエステルとを反応させることにより製造するこ
とができる。
【0015】また、ウレタン(メタ)アクリレート型化
合物の例としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソ
シアナートと2-ヒドロキシルエチルメタクリレートとの
付加物、ならびに、グリセリンと(メタ)アクリル酸2-
イソシアノアルキルとの付加物等を挙げることができ
る。このような化合物の内、グリセリンと(メタ)アク
リル酸2-イソシアノアルキルとを、ジ-n-ブチル錫ジラ
ウレート等の触媒の存在下に反応させることにより得ら
れるウレタン(メタ)アクリレート型化合物は次式
[B]で表すことができる。
【0016】
【化2】
【0017】・・・ [B]上記式[B]において、Rは水素原子もしく
はメチル基を表し、nは1〜4、好ましくは2〜3の整
数である。
【0018】二官能性化合物(b)は、分子内に2個の
(メタ)アクロイル基を有する化合物であり、このよう
な二官能性化合物(b)の具体的な例としては、ビスフェ
ノール型ビニルエステル、ジエチレングリコールと(メ
タ)アクリル酸2-イソシアノアルキルとの付加物等を挙
げることができる。このような化合物の内ジエチレング
リコールと(メタ)アクリル酸2-イソシアノアルキルを
ジ-n-ブチル錫ジラウレート等の触媒の存在下に反応さ
せることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート
型化合物は次式[C]で表すことができる。
【0019】
【化3】
【0020】・・・ [C]上記式[C]において、Rは水素原子もしく
はメチル基を表し、nは1〜4、好ましくは2〜3の整
数である。
【0021】また、二官能性化合物(b)としては、1分
子中に三個以上の(メタ)アクロイル基を有する化合物
であるノボラック形ビニルエステル化合物あるいはウレ
タン(メタ)アクリレート型化合物を調製する際に(メ
タ)アクロイル基を含む所要の化合物と共にビニルモノ
マーと反応する基を含まない所要の化合物とを併用して
生成する二個の(メタ)アクロイル基が導入された化合
物でもよく、この場合、この二個の(メタ)アクロイル
基が導入された化合物は、一旦、三個以上の(メタ)ア
クロイル基を有する化合物から分離して使用することも
できるが、特に分離操作を行うことなく三個以上の(メ
タ)アクロイル基を有する化合物を合成した反応液をそ
のまま使用することにより本発明の樹脂組成物中に含有
させることもできる。
【0022】また多官能性化合物(a)と二官能性化合物
(b)との混合物を製造する別な方法としては、例えばグ
リセリンとメタクリル酸2-イソシアノエチルから多官能
性化合物(a)を生成させる際、グリセリンに対して過剰
のメタクリル酸2-イソシアノエチルを反応させ、その後
その過剰分に対し、それに対応する量のメタクリル酸2-
ヒドロキシエチルを反応させる方法もある。
【0023】これらの多官能性化合物(a)、もしくは(a)
と二官能性化合物(b)との混合物、または(b)は、後述さ
れるビニルモノマー中で合成するのが便利である。合成
終了後要すればさらにビニルモノマーを加え、ビニルモ
ノマー以外の所謂不揮発性成分の含有率を40〜80%
の範囲内に調整しておくのが普通である。
【0024】本発明で使用される(メタ)アクロイル基
を三個以上の有する化合物(a)、(メタ)アクロイル基
を二個有する化合物(b)およびビニル基含有モノマー(c)
は、それぞれ個別に調製して混合することもできるが、
(メタ)アクロイル基を三個以上有する化合物(a)を調
製する際に反応溶媒としてビニル基含有モノマー(c)を
使用して、この三成分を含有する液状樹脂を使用するこ
とができる。(メタ)アクロイル基を三個以上有する化
合物(a)としてウレタン(メタ)アクリレート型化合物
を用いる場合を例にして説明すると、反応溶媒として、
メタクリル酸メチルを使用し、この反応溶媒にグリセリ
ンおよびジ-n-ブチル錫ジラウレートのような触媒を加
えた混合物にメタクリル酸2-イソシアノエチルを加えて
反応させることにより、分子内にメタクロイル基を三個
有するウレタンメタクリレートが生成すると共に分子内
にメタクロイル基を二個有するウレタンメタクリレート
も生成する。そして、これらのウレタンメタクリレート
は、反応溶媒として使用したメタクリル酸メチル中に溶
解しており、結果としてこの液状樹脂(反応液)は、分
子内にメタクロイル基を三個有する多官能性化合物
(a)、メタクロイル基を二個有する二官能性化合物(b)お
よびビニル基含有モノマー(c)を含有している。なお、
このようにして調製された液状樹脂中には、未反応のメ
タクリル酸2-イソシアノエチルが含有されるが、このメ
タクリル酸2-イソシアノエチルはメタクリル酸2-ヒドロ
キシエチルを添加することにより、両者が反応してグリ
セリンに対する反応性を失う。このメタクリル酸2-イソ
シアノエチルとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとの反
応生成物も本発明においては、二官能性化合物(b)とし
て使用することができる。
【0025】本発明の樹脂組成物において、(a)成分と
(b)成分との合計配合重量100重量部中に、1分子中
に3個以上の(メタ)アクロイル基を有する多官能性化
合物(a)は、100〜10重量部、好ましくは100〜
50重量部の量で配合されている。また、1分子中に2
個の(メタ)アクロイル基を有する二官能性化合物(b)
は、0〜90重量部、好ましくは0〜50重量部の量で
配合されている。
【0026】特に、本発明においては、三個以上の(メ
タ)アクロイル基を有する化合物(a)の一部を二官能性
化合物(b)で置き換えて使用することが好ましい。この
ように二官能性化合物(b)を有する本発明の組成物から
得られる成形体は、靱性が高くなる。すなわち、3個以
上の多官能性化合物(a)だけではビニルモノマーとの間
で架橋構造が形成されて架橋度が上がるため、得られる
成形体が脆くなる傾向がある。上記の好ましい範囲内で
二官能性化合物(b)を使用することにより、架橋構造の
形成がある程度抑制されて得られる成形体の靱性が向上
する。しかし、二官能性化合物(b)の配合率が上記範囲
を逸脱して過大になると成形体の成形収縮性が大きくな
る。従って、本発明において、三官能性化合物(a)と二
官能性化合物(b)との配合比率は、本発明の樹脂組成物
から調製される成形物の用途、充填材の含有率および成
形状態等を考慮して、上記範囲内に設定される。
【0027】上記のような官能性化合物(a)および(b)
は、通常はビニル基含有モノマー中に溶解(もしくは分
散)されている。ここで使用されるビニル基含有モノマ
ーは、上記多官能性化合物(a)および(b)が有している
(メタ)アクロイル基と共重合し得るビニル基を有する
モノマー(共存ビニルモノマー)である。すなわち、こ
の共存ビニルモノマーは、(メタ)アクロイル基と良好
な共重合性を有していることが必要であり、かつ上記
(a)もしくは、(a)および(b)成分の両者に対して良好な
溶解性を示すものであることが望ましい。このようなビ
ニル基含有モノマー(c)の好適例としては、スチレン;
アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルのようなアク
リル酸アルキル;並びに;メタクリル酸メチルおよびメ
タクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキルエステ
ル等を挙げることができる。特にビニル基含有モノマー
(c)として、メタクリル酸メチルを使用した組成物は、
スチレンを用いた組成物よりも硬化速度が高くなるとの
利点を有する。これらのモノマー単独で、あるいは組み
合わせて使用することができる。
【0028】このようなビニル基含有モノマー(c)は、
上述の官能性化合物(a)および(b)の合計重量100重量
部に対して20重量部以上の量で使用されることが必要
である。すなわち、このビニル基含有モノマー(c)は、
成形体を形成する際には、官能性化合物(a)および(b)と
反応するモノマーとして作用すると共に、溶剤としても
作用して、上記官能性化合物(a)および(b)を溶解して液
状樹脂を形成する。従って、操作性のよい液状樹脂を形
成するためには、このビニル基含有モノマーを好ましく
は20〜80重量部、特に好ましくは40〜60重量部
の範囲内の量で使用する。
【0029】上記のような量でビニル基含有モノマー
(c)を使用することにより、上述の多官能性化合物(a)お
よび(b)は、ほとんどの場合ビニル基含有モノマー(c)に
溶解される。
【0030】前述のように調製された液状樹脂の粘度
は、不揮発性成分が60%のとき25℃における粘度は
20〜700センチポイズである。粘度はビニルモノマ
ーの添加により低下させることもできるが、ビニルモノ
マーの過大な添加は硬化物の物性を低下させるのでなる
べくひかえるべきである。
【0031】なお、本発明者が検討したところによれ
ば、多官能性化合物(a)および(b)の出発原料とビニル基
含有モノマー(c)とを配合して成形に使用した場合、硬
化反応プロセスは異なるものの架橋構造を有する成形体
を得ることができ、硬化条件によっては実質的に本発明
の樹脂組成物から形成される成形体と同様の成形体を得
ることができる。
【0032】このように多官能性化合物(a)および(b)を
使用せず、その出発原料を使用して、ビニル基含有モノ
マー(c)との組合せにより樹脂組成物を構成したとして
も、反応過程において多官能性化合物(a)および(b)は合
成されており、本発明に係る樹脂組成物の内容と実質的
に変わりはない。
【0033】本発明の樹脂組成物は、上記のような(a)
成分、(b)成分および(c)成分にさらに架橋したスチレン
重合体を含有している。この架橋したスチレン重合物は
成形体の収縮を防止する作用を有しており、通常は粒子
状の重合体が使用される。そして、この架橋粒子は、成
形体中でも粒子の状態が維持される。この架橋したスチ
レン重合体粒子としては、通常は平均粒子径が100μ
m以下、好ましくは1〜30μmの範囲内のものが使用
される。
【0034】このスチレン重合物は、架橋構造を有して
いることが必要である。すなわち、この架橋したスチレ
ン重合物は、上記の液状樹脂に対して溶解性を示さずに
液状樹脂中でその形態を基本的に維持したまま膨潤して
成形体の成形に伴う収縮を有効に吸収して成形収縮率を
低減させることできる。ここで使用されるスチレン重合
体は、架橋剤以外はスチレンの単独重合体であってもよ
いし、スチレンと他の単量体との共重合体であってもよ
い。ここで使用される他の単量体としては、エチルビニ
ルベンゼン、モノクロルスチレンおよびα-メチルスチ
レン等を挙げることができる。このようなスチレン重合
体に架橋構造を形成するために使用される架橋剤に特に
制限はなく、架橋剤としてはジビニルベンゼンが使用し
やすい。このような架橋剤の使用量は、架橋剤を除くス
チレン重合物成分100重量部に対して通常は0.01
〜5重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲内
にある。架橋剤の使用量が過度に多いと得られたスチレ
ン重合物はスチレンもしくはメタクリル酸メチル等のモ
ノマーによる膨潤性が小さくなり、成形収縮率の低下が
極めて不充分になる。また架橋剤が少なすぎると未架橋
スチレン重合物が増し、その一部が成形硬化の際、成形
体表面に滲み出して所謂スカミングを生じるようにな
る。
【0035】架橋構造を有するスチレン重合体の製造方
法としては、塊状重合物の粉砕による方法等種々の方法
が採用できるが、特に水中懸濁重合法または乳化重合法
で製造された架橋スチレン重合体粒子は、球形な形状を
有しており、本発明においては好ましく使用することが
できる。このような架橋したスチレン重合体のなかで市
販されているものの例としては、綜研化学(株)製のSG
P(商品名)がある。
【0036】上記のような架橋したスチレン重合体(d)
は、上記多官能性化合物(a)および二官能性化合物(b)の
合計量100重量部に対して3〜20重量部、好ましく
は4〜16重量部の量で使用される。
【0037】このような架橋したスチレン重合体(d)
は、そのまま上記液状樹脂に配合することもできるが、
架橋したスチレン重合物(d)を、その重量の1.5〜3倍
量のビニル基含有モノマー(c)中に分散させた後、この
分散液を上記液状樹脂に加える方法を採用することによ
り効率よく架橋したスチレン重合物(d)と液状樹脂とを
混合することができる。その際、液相樹脂および不揮発
性成分と、それを溶解し且つ架橋スチレン重合体を分散
しているビニル基含有モノマーとの重量割合は、通常は
前者(液相樹脂、不揮発性成分)の100重量部に対
し、後者(架橋スチレン重合体を分散しているビニル基
含有モノマー)は30〜150重量部、好ましくは50
〜100重量部の範囲内になるようにビニル基含有モノ
マーの量を調整する。このようにビニル基含有モノマー
の量が調整された分散液の粘度は、通常はビニルモノマ
ーがメタクリル酸メチルのときは200〜800センチ
ポイズ、スチレンのときは600〜1500センチポイ
ズの範囲内にある。
【0038】本発明の樹脂組成物は、不飽和ポリエステ
ルの硬化に通常使用されている過酸化物触媒または過酸
化物触媒単独もしくはそれとその分解加速剤(すなわち
硬化促進剤)との組合せた所謂レドックス硬化剤を使用
することにより硬化させることができる。
【0039】レドックス硬化剤の例としては、過酸化ベ
ンゾイルとN,N'-ジメチルパラトルイジンもしくはN,N'-
ジメチルアニリンとを組合せたレドックス硬化剤、およ
び、アセチルアセトンパーオキサイドとナフテン酸コバ
ルトとを組合せたレドックス硬化剤を挙げることができ
る。なお、本発明の熱硬化性(メタ)アクリレート組成
物がウレタン結合を有する場合、コバルト系のレドック
ス硬化剤を使用すると、ウレタン結合によってコバルト
イオンの一部が捕捉されるため、硬化速度が遅くなるこ
とがあり、ウレタン結合を有する熱硬化性(メタ)アク
リレート組成物を硬化させる場合には、過酸化ベンゾイ
ルとN,N'-ジメチルパラトルイジンとを組合せたレドッ
クス硬化剤が好ましく使用される。
【0040】上記のような成分からなる本発明の組成物
を硬化させる際の成形温度は、レドックス硬化系では常
温から80℃付近に設定される。なお、過酸化物だけを
用いた場合であっても、例えば過酸化ベンゾイルのとき
は70℃以上に加熱することによって本発明の組成物を
硬化させることができる。
【0041】本発明の組成物を構成する1分子中に(メ
タ)アクロイル基を3個以上有する多官能性化合物(a)
(即ち、熱硬化性(メタ)アクリレート)を必須成分と
して含有し、さらに所望により1分子中に(メタ)アク
ロイル基を2個有する二官能性化合物(b)を含有してい
る。このような官能性化合物がビニル基含有モノマー
(c)モノマーに溶解した液状樹脂は、従来から使用され
ていたα,βー不飽和ポリエステル不揮発性分をスチレン
モノマーに溶解した所謂ポリエステル系樹脂組成物に比
べ、不揮発性分の成分を適宜選択することにより、粘度
を格段に低くすることができる。従って、本発明の樹脂
組成物を用いてコールドプレス法あるいはRTM法等の
成形方法を採用して成形体を製造する際に、充填材を多
量に配合することができるので成形物の価格の低下ばか
りではなく、充填材として水酸化アルミニウム等の含水
塩を用いれば、得られる成形体が難燃性になる。さら
に、本発明の組成物は粘度が低いために薄物成形を可能
にする等種々の利点がある。
【0042】本発明者の検討によると、熱硬化性(メ
タ)アクリレート液状組成物と共にスチレン重合物以外
の熱可塑性ビニル重合物及び着色剤を成形の際共存させ
ると、成形収縮率は小さくなるがパステル調の成形物し
か得られない。また、不飽和ポリエステルと共にスチレ
ン可溶なポリスチレンを用いると、スカミングは発生す
るので好ましくない。しかし、低収縮性(成形収縮率が
小さい)でありながら濃色に着色した成形物が得られる
特徴がある。それは成形物中においては、ポリスチレン
が表面の平滑な球状粒子として島のように存在し、その
他の部分は海の部分を形成している。そして、このよう
な海島構造において、不飽和ポリエステル硬化物とスチ
レンモノマーの共重合物との屈折率は、島状の球状ポリ
スチレンとかなり近似しているものと思われる。従っ
て、成形物中に入った光はあまり散乱されることなく適
宜反射されて成形物からでてゆくので成形体の外観がパ
ステル調にならないものと思われる。
【0043】そこでこの考えを熱硬化性(メタ)アクリ
レートのメタクリル酸メチル溶液を用いた液状樹脂の一
例に試みた。すなわち、ポリメチレンポリフェニルポリ
イソシアネートとメタクリル酸2-ヒドロキシエチルとを
メタクリル酸メチル中で反応させて得たウレタンメタク
リレートのメタクリル酸メチル溶液にポリスチレンのメ
タクリル酸メチル溶液(特開昭57-182312号公報参照)
を加えたところ、ポリスチレン分と思われる凝集物が生
じ成形に支障を来たした。さらに別なウレタンメタクリ
レートのメタクリル酸メチル溶液としてグリセリンとメ
タクリル酸2-シアノエチルとをメタクリル酸メチル中で
反応させて得られた液状樹脂(特願平1-217876号公報実
施例6参照)に対し同様にポリスチレンのメタクリル酸
メチル溶液を加えたところ、全く同じく凝集物が発生し
た。さらに、ノボラック形ビニルエステルのメタクリル
酸メチル溶液についても同様にしたところ、粒状の凝集
物が生じ、この組成物を用いてRTM成形を行なうこと
ができなかった(後述の比較例7参照)。すなわち、不
飽和ポリエステルの場合とは異なり、低収縮剤として未
架橋ポリスチレン溶液を用いたのでは、ウレタン(メ
タ)アクリレートメタクリル酸メチル溶液については沈
澱もしくは凝集物生成を伴い、成形実施が困難であっ
た。
【0044】これに対して、本発明の組成物はその中に
このような沈澱物もしくは凝集物の生成がなく硬化して
得られた成形体中では、架橋したスチレン重合体が島部
を形成し、多官能性化合物(a)もしくは、(a)および(b)
と、ビニル基含有モノマー(c)との反応物が海部を形成
する所謂海島構造を採る。本発明において上記のような
海部を形成する物質と島部を形成する物質とは、屈折率
は異なると思われるが、それによる光の散乱に基づくパ
ステル調化は認められなかった。
【0045】すなわち、架橋構造を有していないポリス
チレンの代わりに、スチレン-ジビニルベンゼン共重合
物(架橋したスチレン重合体)をメタクリル酸メチルモ
ノマーに分散させて着色剤と共に用いたところ、何れの
熱硬化性(メタ)アクリレートの場合においても、低収
縮性を示し、かつ濃色に着色した成形物が得られ、さら
にこの成形体にはスカミングがないことが確認された。
【0046】上述は熱硬化性(メタ)アクリレートをメ
タクリル酸メチルモノマーに溶解させた液状樹脂につい
て認められた現象であるが、このメタクリル酸メチルモ
ノマーの代わりにスチレンモノマーを用いた場合も同様
の傾向が認められる。
【0047】すなわち、ノボラック形ビニルエステルス
チレンモノマー溶液として、例えばネオポール8411L
(日本ユピカ(株)製、商品名)を用い、これにポリスチ
レンのスチレンモノマー溶液と着色剤とを加えた液は、
放置すると相分離をおこす傾向があるが、この組成物を
用いて成形すると低収縮性が認められ、着色性も良好で
ある。しかしながら、このような組成物から製造された
成形物の表面にはスカミングの発生が認められた。とこ
ろが、上記と同様にポリスチレンの代わりにスチレン-
ジビニルベンゼン共重合物(架橋したスチレン重合体)
を用いると、スカミングの発生が防止でき、優れた表面
特性と着色性を有する成形物が得られることが確認され
た。
【0048】本発明の組成物は、充填材などを配合せず
にそのまま使用することもできるが、さらに成形収縮率
を小さくするには充填材、強化材の多用が好ましい。そ
れについては不飽和ポリエステルで採用されている充填
材、強化材等に関する技術を利用することができる。ま
た本発明の組成物の成形方法に関しても不飽和ポリエス
テルの成形方法として開発された技術を利用することが
できる。
【0049】
【発明の効果】本発明の熱硬化性(メタ)アクリレート
組成物は、低収縮性があり、この組成物を用いることに
より、成形物の表面にスカミングを生ずることなく、濃
色に着色された成形物を得ることができ、その工業的に
その価値は極めて大である。
【0050】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明
をさらに詳しく説明する。なお、「部」および「%」は
すべて「重量部」および「重量%」である。
【0051】
【実施例1〜5】グリセリン11部とメタクリル酸メチ
ル60.3部とを混合し、さらにこの混合物にジ-n-ブチ
ル錫ジラウレートを0.3部加えた。得られた混合物に
メタクリル酸2-イソシアノエチル66.5部を加え、5
0℃で1時間保持して、1分子中にメタクロイル基3個
を有するウレタンメタクリレートがメタクリル酸メチル
モノマーに溶解されている混合物を得た。
【0052】次に混合物中に過剰に存在しているメタク
リル酸2-イソシアノエチルのイソシアネート基を消失さ
せるために、この混合物にメタクリル酸2-ヒドロキシエ
チル12.6部を添加してさらに50℃で1時間保持し
た。この液はメタクリル酸メチルを溶媒とする液状樹脂
[I]である。その粘度は80センチポイズであった。
【0053】この液状樹脂[I] 100部中には、メタク
リロイル基を3個有する化合物が66.5部、そして、
メタクリロイル基を2個有する化合物が20部含有され
ており、残部はメタクリル酸メチルで不揮発性成分は6
0%である。
【0054】別に粒子状の架橋スチレン重合物(SGP:
綜研化学(株)製)1部にメタクリル酸メチル2部を加え
て分散液[II] を調製した。分散液について、調製後5
時間および6時間後に粘度を測定したところ、その粘度
はそれぞれ250および255センチポイズであった。
【0055】液状樹脂[I]100部に酸化鉄からなる茶
色の着色剤1部と離型剤(モールドビッツINT-937;米
国アクセル・プラスチックラボラトリーズ社製)1.0
部を添加した混合液[III]を調製した。
【0056】次に、この混合液[III]と分散液[II]を9
0/10の重量比で混合し、さらにこの混合物に、さら
にN,N'-ジメチルパラトルイジン0.04部および液状過
酸化ベンゾイル(日本油脂(株)製、純度50%:ナイパ
BMT)2.0部を混合した。
【0057】こうして混合物を調製した後、直ちにこの
混合物を、60℃に保持した不飽和ポリエステル製の型
に圧送注入し、RTM法により、厚さ3mmの板状硬化物を
調製した。この成形体の成形収縮率は次式により求め
た。
【0058】体積収縮率(%)={[硬化物の比重−混合液
[III]と分散液[II]の混合物の比重]/硬化物の比重}×10
0 同様にして混合液[III]と分散液[II]の混合比率を80
/20、70/30、60/40および50/50に調
整した混合物を用いて、上記と同様にして成形体を製造
してその成形収縮率を測定した。
【0059】得られた結果を表1に掲げた。
【0060】
【表1】 成形時における樹脂の最高温度は、混合比率が90/
10〜50/50に移行するに伴って、170℃から1
35℃へと低下するが、それでも架橋スチレン重合物を
用いないときの収縮率14.5%に比較すると、形成収
縮性は顕著に改善される。成形物の表面状況はスカミン
グもなく着色状況も好ましいものであった。
【0061】
【比較例1〜5】上記実施例1〜5において、分散液[I
I]に配合されてた架橋スチレン重合物に代えてポリメタ
クリル酸メチルを配合した溶液[IV]を用意した。この溶
液[IV]を用いた以外は同様にして上記実施例1〜5に相
当する比較例を検討した。
【0062】その結果を表2に掲げた。
【0063】
【表2】 低収縮性は充分発揮できるが、着色性はパステル状で全
く不調であった。
【0064】ただし、用いた低収縮剤は中性のポリメタ
クリル酸メチルでありながら、特にその他のものを添加
しなくても、スカミングのない成形物が得られた。
【0065】
【実施例6〜10】容量3リットルの三つ口フラスコに
メタクリル酸メチルモノマー866部とメタクリル酸2-
ヒドロキシルエチル670部およびジ-n-ブチル錫ジラ
ウレート20部を加え50℃に加熱した。
【0066】次いで、この反応液にポリメチレンポリフ
ェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製;
MR-100)630部を除々に滴下した。その際、液温を6
0℃以下に維持した。滴下終了後、液温を60℃に維持
してさらに2時間反応させた後、攪拌しながら放置して
液温を室温にまで低下させた。
【0067】この液100部中には、1分子中にメタク
ロイル基を3個以上有するウレタンメタクリレートメタ
クリル酸メチルモノマーが1258部、メタクロイル基
を2個有するウレタンメタクリレートメタクリル酸メチ
ルモノマーは存在せず、過剰なメタクリル酸2-ヒドロキ
シエチルが42部含有されており、不揮発成分すなわち
固形分濃度は60%であった。これを液状樹脂[IV]とし
た。
【0068】これに実施例1に準じて着色剤と離形剤を
添加し混合液[V]を用意した。別に架橋スチレン重合物
1部にメタクリル酸メチル3部を加えた低収縮剤分散液
[VI]を用意した。これらを用い、実施例1〜5に準じて
成形物を製造し、成形収縮率等を求めた。
【0069】その結果を表3に示した。
【0070】
【表3】 架橋スチレン重合物を含んだ本発明の組成物は、成形
低収縮率が低く、さらに着色性にも優れていることがわ
かった。
【0071】
【比較例6】実施例6において、上記分散液[VI]に代え
て、未架橋スチレン重合物1部をメタクリル酸メチルモ
ノマー3部に溶解した低収縮剤溶液[VII]を用意し、実
施例1に準拠して、着色剤の入った混合液[III]と、こ
の溶液[VII]とを90/10の重量比で混合したとこ
ろ、凝集物と思われる粘稠泥状の沈澱物が生成し、成形
体を製造できなかった。
【0072】
【実施例11〜15】容量3リットルのフラスコにノボ
ラック形フェノール(油化シェル(株)製、エピキュアYL
6065)100部とメタクリル酸グリシジルエステル26
0.6部とを混合し、この混合物にさらに触媒としてト
リフェニルホスフィン1.44部を添加し、120℃〜
130℃で攪拌しながら5時間反応させた。
【0073】その後、反応液を60℃前後まで冷却し
て、この反応液にメタクリル酸メチルモノマーを24
0.4部加え、ノボラック形ビニルエステルメタクリル
酸メチルモノマー溶液液状樹脂を調製した。
【0074】この液状樹脂100部中には、メタクリロ
イル基を3個以上有する化合物が239.2部、そし
て、メタクリロイル基を2個有する化合物は含有されて
おらず、残部はメタクリル酸メチルであり、固形分濃度
は60%であった。その粘度は130センチポイズであ
った。
【0075】ここで使用したノボラック型フェノール
は、次式で表される構造を有している。
【0076】
【化4】
【0077】なお、上記式において、mは1〜5であり
その平均値は2である。このノボラック型フェノールに
メタクリロイル基を有するイソシアネートが付加して、
一分子中にメタクリロイル基が3個以上有する化合物が
形成される。さらに、この反応物中には、上記の他に次
式で表されるように、ノボラック型フェノールにメタク
リロイル基を有するイソシアネートが付加して生じた新
たな水酸基にさらにグリシジルメタクリレートが付加し
た化合物も含有されている。
【0078】
【化5】
【0079】この液状樹脂100部に酸化鉄からなる茶
色の着色剤1部と離型剤モールドビッツ0.5部を添加
して混合液[VIII]を調製した。次にその混合液[VIII]と
実施例1記載の架橋スチレン重合物をメタクリル酸メチ
ル中に分散させて得た分散液[II]とを70/30の重量
比で混合し、この混合物を用いて実施例1と同様にして
成形体を製造した。ただし、成形の際の型温は40℃〜
80℃に設定した。
【0080】得られた結果を表4に掲げた。
【0081】
【表4】 表4から明らかなように、この組成物は特に成形温度
が高くなるにつれて成形収縮性が低くなる傾向が見られ
る。そして、そのような場合でもスカミングのない、良
好な着色性が保たれていた。
【0082】
【比較例7】実施例11において、低収縮剤として、比
較例6で使用した架橋構造を有していないポリスチレン
を含む溶液[VII]を使用し、実施例11で使用した混合
液[VIII]と上記溶液[VII]とを、90/10、80/2
0、60/40、50/50および40/60で混合し
たところ、何れの場合も泥状凝集物を生じ、成形するに
およばなかった。
【0083】
【実施例16】ノボラック形ビニルエステルスチレン溶
液(日本ユピカ(株)製;8411L)90部と、靱性を増す
ためにビスフェノール形ビニルエステルスチレン溶液
(日本ユピカ(株)製8211L)10部とを混合し、この混
合物に酸化鉄からなる着色剤1%、内部離型剤(モール
ドビッツ)0.5部を加えた混合液[IX]を調製した。
【0084】この混合液に架橋スチレン重合物(綜研化
学(株)製;SGP)を粒状のまま10部加え、さらにスチ
レンモノマー20部を添加した。この樹脂液にN,N'-ジ
メチルパラトルイジン0.075部を加え次に液状過酸
化ベンゾイルナイパーBMTを2.5部を混合し、直ちに型
温80℃でRTM法を採用して成形体を製造した。
【0085】得られた成形体の成形収縮率は5.8%で
低収縮性が認められた。成形物の外観はスカミングがな
く濃い茶色を呈した。
【0086】
【比較例8】上記実施例16において、架橋スチレン重
合物10部とスチレンモノマー20部の代わりに、架橋
構造を有していないポリスチレン10部とスチレンモノ
マー20部からなる低収縮剤の溶液[X]を調製し、この
溶液[X]に混合液[IX]90部を添加して組成物を調製し
た。
【0087】この組成物を用いて上記実施例16と同様
にして成形体を製造した。この成形体の成形収縮率は
5.2%であり、濃い茶色には着色できたが、スカミン
グが生じ、成形体に光沢むらが認められた。
【0088】
【実施例17】ノボラック型ビニルエステルスチレン溶
液(日本ユピカ(株)製8411L)100部に内部離形剤(モー
ルドビック)0.5部を加え、さらにこの液に、粒子状の
架橋スチレン重合物(SGP:綜研化学(株)製)をそのまま
10部を加え、さらにスチレンモノマー20部を加え
た。
【0089】このノボラック型ビニルエステルスチレン
溶液液状樹脂100部中には、メタクリロイル基を3個
以上有する化合物が60部、そして、メタクリロイル基
を2個有する化合物は含有されてなく、残部はメタクリ
ル酸メチルであり、固形分濃度は60%であった。
【0090】上記の架橋スチレン重合物とスチレンモノ
マーが加えられた液にN,N'-ジメチルパラトルイジン0.
075部を加え、さらに液状過酸化物(液状過酸化ベン
ゾイル:ナイパーBMT;日本油脂(株)製)2.5重量部
を混合した。
【0091】上記のようにして得られた液状ポリマーを
用いて、直ちに金型温度80℃でRTM法を採用して成
形体を製造した。得られた成形体の外観は軽度に白濁し
ていた。この白濁は、成形体中に微細な気泡が含有され
ていることを示すもので、この成形体の成形収縮率が低
収縮剤を用いない場合に比し、低いことを示している。
【0092】上記のようにして調製されたノボラック型
ビニルエステルスチレン溶液の一部をメタクロイル基が
1分子中に2個存在するビスフェノール型ビニルエステ
ルのスチレン溶液(日本ユピカ(株)製8211L)に代
えて、ノボラック型ビニルエステルスチレン溶液/ビス
フェノール型ビニルエステルスチレン溶液との重量比
が、それぞれ、80/20、60/40、40/60、
および、20/80である混合樹脂液を調製した。
【0093】このビスフェノール型ビニルエステルスチ
レン溶液はメタクリロイル基を3個有する化合物を含有
しておらず、メタクリロイル基を2個有する化合物が6
0部含有されており、残部はメタクリル酸メチルであ
り、固分濃度は60%であった。
【0094】これらの樹脂液を用いて、上記と同一条件
のRTM成形により成形体を製造した。その結果、混合
重量比が80/20および60/40である混合樹脂液
から形成された成形体が、混合重量比が40/60およ
び20/80である混合樹脂液から形成された成形体と
比較すると白濁しており、前者の成形収縮率が後者の成
形収縮率よりも低いことがわかる。しかもその白濁の程
度はなお軽度であるので着色に支障はない。
【0095】こうして調製された混合樹脂液の中で、混
合重量比が60/40のものを用いて実施例1に準じて
着色剤を添加して、同様の条件で成形体を製造したとこ
ろ、カスミングのなく濃茶色に均一に着色された成形体
を得ることができた。
【0096】
【比較例9】実施例17において、ノボラック型ビニル
エステルスチレン溶液を樹脂液100部中に20部以上
含有している樹脂液の代わりに、ビスフェノール型ビニ
ルエステルスチレン溶液を90〜100重量部含んだ樹
脂液を用いた以外は同様にして成形体を製造した。
【0097】得られた成形体の外観は、殆ど白濁してお
らず、ほぼ透明であった。すなわち、1分子内に2個の
メタクリロイル基を有するビスフェノール型ビニルエス
テルスチレン溶液単独で用いる場合、もしくはこの溶液
を多量に使用して1分子中に3個以上のメタクリロイル
基を含有する化合物の含有率が本発明で規定する範囲を
逸脱して少なくなる場合には、架橋スチレン重合物を使
用したとしても、得られる成形体の成形収縮率は低下で
きない。
【0098】
【比較例10】実施例17において、架橋スチレン重合
体を使用しなかった以外は同様にして成形体を製造し
た。
【0099】この成形体は、殆ど白濁しておらず透明で
あった。すなわち、単に分子内に3個以上のメタクリロ
イル基を有する化合物と分子内に2個のメタクリロイル
基を有する化合物とを含有する混合樹脂組成物の成形体
は白濁を示さなかった。したがって白濁の有無をもって
低収縮性が呈せられているか否かの判断ができ、白濁が
認められれば低収縮性が発揮されていると思考してよい
と思われた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 1分子中に3個以上の(メタ)アクロ
    イル基を有する多官能性化合物:100〜10重量部、 (b) 1分子中に2個の(メタ)アクロイル基を有する二
    官能性化合物:0〜90重量部、 上記(a)成分および(b)成分の合計100重量部に対し
    て、 (c) (メタ)アクロイル基を有する化合物と共重合し得
    るビニル基含有モノマー:20重量部以上、 および (d) 架橋したスチレン重合物:3〜20重量部からなる
    ことを特徴とする熱硬化性(メタ)アクリレート系組成
    物。
  2. 【請求項2】 多官能性化合物(a)が、ノボラック形ビ
    ニルエステル固形物、および/または、ウレタン(メ
    タ)アクリレートである請求項第1項記載の熱硬化性
    (メタ)アクリレート系組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル基含有モノマー(c)が、メタクリ
    ル酸メチル、および/または、スチレンである請求項第
    1項記載の熱硬化性(メタ)アクリレート系組成物。
  4. 【請求項4】 架橋したスチレン重合物(d)が、平均粒
    径が100μm以下のスチレン-ジビニルベンゼン共重
    合物粒子である請求項第1項乃至第3項のいずれかの項
    記載の熱硬化性(メタ)アクリレート系組成物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2742762A1 (fr) * 1995-12-21 1997-06-27 Sandoz Sa Composition durcissable comprenant une resine d'ester de vinyle novolaque, procede de formation d'un revetement sur un substrat, comprenant l'application d'une telle composition, et substrat recouvert par ce revetement
JP2002308956A (ja) * 2001-04-17 2002-10-23 Showa Highpolymer Co Ltd 部分(メタ)アクリロイル化ノボラック樹脂
JP2008143860A (ja) * 2006-12-12 2008-06-26 Shin Etsu Polymer Co Ltd 多官能アクリル化合物とその製造方法、導電性高分子塗料及び導電性塗膜
JP2015166437A (ja) * 2014-03-04 2015-09-24 昭和電工株式会社 熱硬化性樹脂組成物、硬化物及び変性フェノール樹脂の製造方法

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