JPH0547617B2 - - Google Patents
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- JPH0547617B2 JPH0547617B2 JP63303021A JP30302188A JPH0547617B2 JP H0547617 B2 JPH0547617 B2 JP H0547617B2 JP 63303021 A JP63303021 A JP 63303021A JP 30302188 A JP30302188 A JP 30302188A JP H0547617 B2 JPH0547617 B2 JP H0547617B2
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Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
- Containers Opened By Tearing Frangible Portions (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、タブ用Al合金板に係り、更に詳し
くは、繰り返し曲げ性に優れ、食缶、医薬品等の
キヤツプに用いられるタブ材として適するAl合
金板及びその製造方法に関するものである。 (従来の技術) 食缶、医薬品等に用いられているキヤツプは、
国内の飲料缶等に主に用いられているパーシヤル
オープンエンドの開口方法とは異なり、タブを結
合しているリベツト加工部を支点としてタブを引
き上げることにより、タブ先端がスコア加工部を
押し下げてスコア部を裂く機構となつている。 従来、このようなキヤツプに用いられているタ
ブ材としては、AA5082(Al−Mg系)、AA5182
(Al−Mg−Mn系)等の組成を有するAl合金鋳塊
を熱間圧延した後、高圧延率で冷間圧延し、その
後必要に応じて仕上焼鈍を施して強度を調整する
方法にて製造されている。 例えば、米国特許第3502448号明細書に開示さ
れているように、仕上冷延率を85%以上と高くす
る方法である。タブ材はこの工程後に仕上焼鈍が
施される。 (発明が解決しようとする課題) ところで、上記の如く従来製造工程で製造され
たタブ材は、飲料缶等のパーシヤルオープンエン
ド用のタブ材としては適しているものの、食缶及
び医薬品等に用いられるキヤツプ用のタブとして
は問題がある。 すなわち、食缶、医薬品等に用いられているキ
ヤツプのタブは、繰り返し曲げ性が重要である
が、従来の製造方法により製造されたタブ材は強
度が高く、繰り返し曲げ性に問題がある。また、
従来の製造方法では高冷間圧延を要するため、結
晶粒が偏平伸長粒となり、圧延方向に対する0°、
45°、90°方向の繰り返し曲げの特性に異方性が生
じるという問題がある。特に圧延方向に対して0°
に曲げ及び繰り返し曲げ変形を受けた場合、割れ
が生じ易い。 更に詳細に説明すると、食缶及び医薬品等に用
いられているタブはエンドとリベツト加工で結合
され、タブを引き上げることにより、タブ先端が
スコア加工部を押し下げてスコア部を裂く機構で
あるが、この時、タブは曲げ変形を受ける。特に
スコア部の一部を裂いた後、更にタブを引き上げ
開口する場合、タブが繰り返し曲げ変形を受け、
割れが生じてタブが取れてしまう場合がある。 これを防止するためには、繰り返し曲げ性を向
上することが必要である。 この点、従来は繰り返し曲げ性については特に
配慮されておらず、キヤンボデイ材、エンド材、
タブ材として単に曲げ加工性だけが評価されてい
るだけである。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、繰り
返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板を提供し、
またその製造方法を提供することを目的とするも
のである。 (課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者は、優れた
繰り返し曲げ性を実現し得る方策を見い出すべく
鋭意研究を重ねた。 その結果、Al合金板素材において結晶粒が小
さいほど繰り返し曲げ性が優れ、また冷間圧延率
が少ないほど等軸に近い結晶粒となつて圧延方向
に対する0°、45°、90°方向の繰り返し曲げの特性
の異方性が小さくなること、また素材強度におけ
る引張強さと耐力との強度比を規制することによ
り、優れた繰り返し曲げ性が得られるとの知見を
得た。そして、この知見に基づき、Al合金組成、
製造条件等について詳細に検討を加えた結果、
MgとMnの各量並びにその量比を適切に規制し、
且つ製造条件をコントロールすることにより、可
能であることを見い出し、ここに本発明をなした
ものである。 すなわち、本発明に係る繰り返し曲げ性に優れ
たタブ用Al合金板は、Mg:3.5〜5.5%及びMn:
0.1〜0.5%を含み、且つMgとMn量が次式 (4.5−0.33×Mn)≦Mg≦(6.0−0.33×Mn) を満たし、必要に応じて更にCr≦0.25%を含み、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、更に次
式 σB/σ0.2≧1.25 (但し、σB:引張強さ、σ0.2:耐力) を満たすベーキング後強度比を有し、かつベーキ
ング後耐力27Kgf/mm2以上を有することを特徴と
するものである。 また、該タブ用Al合金板の製造方法は、前記
化学成分を有するAl合金鋳塊を均質化処理した
後、熱間圧延し、その後、圧延率50%以上で冷間
圧延を行い、更に中間焼鈍を施した後、圧延率60
〜80%で冷間圧延し、次いで150〜250℃で仕上焼
鈍することを特徴とするものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 (作用) 先ず、本発明におけるAl合金の化学成分の限
定理由について説明する。 Mg: Mgは強度を付与する重要な元素であるが、タ
ブ材として少なくとも3.5%以上添加しないと強
度が低く、使用できない。しかし、5.5%を超え
て過多に添加すると強度が高すぎることによる成
形加工性の低下を生じる。したがつて、Mg量は
3.5〜5.5%の範囲とする。 Mn: Mnは強度向上及び結晶粒微細化に大きな効果
を有する元素である。しかし、0.1%未満ではそ
の効果が少なく、一方、0.5%を超えると巨大晶
出物が生成し、晶出物生成の数が多くなり、繰り
返し曲げ性の低下を招く。したがつて、Mnは0.1
〜0.5%の範囲とする。 但し、これらMgとMnの関係は強度及び組織
安定化のために適度にコントロールする必要があ
ることが判明した。すなわち、MgとMn量がMg
<(4.5−0.33×Mn)の関係ではタブ材としての
強度が得られず、また、Mg>(6.0−0.33×Mn)
の関係では結晶粒が微細化されるものの、強度が
高くすぎることにより成形性が低下し、圧延時に
耳割れが生じ易くなる。したがつて、MgとMn
は、上記添加量の範囲で (4.5−0.33×Mn)≦Mg≦(6.0−0.33×Mn) の関係を満たすように含有させる。 Cr: CrはMnと同じく強度向上及び結晶粒微細化に
大きな効果を有する元素であり、必要に応じて添
加することができる。しかし、0.25%を超えて過
多に添加すると巨大晶出物が生成し、晶出物の数
が多くなり、繰り返し曲げ性の低下を招くので好
ましくない。したがつて、Crを添加する場合は、
0.25%以下の範囲とする。 次にタブ用Al合金板の製造工程について説明
する。 上記化学成分を有するAl合金の鋳塊は、常法
により均質化処理した後、熱間圧延、及び中間焼
鈍を含む冷間圧延を行う。 中間焼鈍前の冷間圧延率は、結晶粒、繰り返し
曲げ性に影響を及ぼし、50%未満では後の中間焼
鈍時の結晶粒が大きくなり、繰り返し曲げ性の低
下を招くため、50%以上とする。 また、中間焼鈍後の冷間圧延率も強度、結晶粒
及び繰り返し曲げ性に影響を及ぼし、60%未満で
は繰り返し曲げ性は優れるものの、必要な強度
(焼付き塗装(ベーキング)後耐力27Kgf/mm2以
上)が得られないので、40%以上とする必要があ
る。一方、強度向上には冷間圧延率の増大が必要
なものの、冷間圧延率が80%を超えると圧延直後
の強度が高くなるため、その後の仕上焼鈍温度が
高く、温度交差が少なくなるため好ましくない
し、また、結晶粒が偏平伸長粒となるため、繰り
返し曲げ性の異方性が大きくなる。したがつて、
中間焼鈍後の冷間圧延率は60〜80%の範囲とす
る。 なお、中間焼鈍方法及び条件は特に規定しない
が、完全結晶粒が得られることが必須であり、結
晶粒の観点からすれば、連続焼鈍(CAL)の使
用が好ましい。 冷間圧延後、仕上焼鈍を施すが、仕上焼鈍は中
間焼鈍後の冷間圧延率と必要強度の関係にて決め
られるものである。しかし、150℃未満では適正
な強度にならず、繰り返し曲げ性が劣る。一方、
250℃を超えると強度回復が進みすぎ、必要な強
度が得られない場合がある。したがつて、仕上焼
鈍温度は150〜250℃とする。 なお、仕上焼鈍後に得られる素材においては、
引張強さ(σB)及び耐力(σ0.2)の関係が繰り返
し曲げ性に大きな影響を及ぼすので、その強度比
が適切にコントロールされている必要がある。す
なわち、引張強さと耐力との比σB/σ.2の値が1.25
未満では繰り返し曲げによる割れが生じ易くなる
ので、σB/σ.2≧1.25とする。 (実施例) 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1 第1表に示す化学成分を有するAl合金鋳塊に
対し、均質化処理として500℃の温度で3時間保
持し、その後、熱間圧延にて5mm厚とした。 その後、冷間圧延にて0.875mm厚としてから
CAL焼鈍(加熱、冷却速度700℃/分、到達温度
450℃、保持2秒)を施し、その後、冷間圧延に
て製品厚さ0.35mmとした。 更に、No.1〜No.5については、強度を一定とす
るために、No.1は235℃、No.2は240℃、No.3は
220℃、No.4は255℃、No.5は185℃の温度で2時
間の仕上焼鈍を実施した。なお、No.6とNo.7は従
来材であり、仕上焼鈍を行なわない材料である。 次いで、タブ材は塗装後、成形加工されるた
め、200℃×20分のベーキング処理を施し、塗装
した場合と同じ状態とした。 得られた素材(製品板厚0.35mm)についてベー
キング処理後の機械的性質、繰り返し曲げ性、強
度比(σB/σ0.2)及び圧延性を調べた。その結果
を第2表に示す。 なお、繰り返し曲げ性は、第1図に示すよう
に、圧延方向に対し0°方向、90°方向にそれぞれ
90°繰り返し曲げを行い、1サイクルを1回とし
て破断回数により評価した。 第2表より、以下の如く考察される。 本発明材のNo.1、No.2、No.3はいずれも食缶、
医薬品等のキヤツプに用いられるタブ材としての
必要強度(ベーキング後耐力27Kgf/mm2以上)が
得られていると共に繰り返し曲げ性に優れてい
る。 一方、比較材のNo.4は強度及び繰り返し曲げ性
ともタブ材としての必要特性を満足しているもの
の、仕上焼鈍温度が高温で、且つ温度交差が小さ
いので実用上問題があると共に、圧延性が著しく
低下(耳割れ発生)するため、生産性を阻害し、
実用的でない。 比較材No.5はタブ材としての必要強度は得られ
ているものの、強度比σB/σ0.2の値が小さく、繰
り返し曲げ性が劣つている。 また、従来材のNo.6(5082)、No.7(5182)はい
ずれも高い強度が得られているものの、強度比
σB/σ0.2の値が小さく、繰り返し曲げ性が劣つて
いる。
くは、繰り返し曲げ性に優れ、食缶、医薬品等の
キヤツプに用いられるタブ材として適するAl合
金板及びその製造方法に関するものである。 (従来の技術) 食缶、医薬品等に用いられているキヤツプは、
国内の飲料缶等に主に用いられているパーシヤル
オープンエンドの開口方法とは異なり、タブを結
合しているリベツト加工部を支点としてタブを引
き上げることにより、タブ先端がスコア加工部を
押し下げてスコア部を裂く機構となつている。 従来、このようなキヤツプに用いられているタ
ブ材としては、AA5082(Al−Mg系)、AA5182
(Al−Mg−Mn系)等の組成を有するAl合金鋳塊
を熱間圧延した後、高圧延率で冷間圧延し、その
後必要に応じて仕上焼鈍を施して強度を調整する
方法にて製造されている。 例えば、米国特許第3502448号明細書に開示さ
れているように、仕上冷延率を85%以上と高くす
る方法である。タブ材はこの工程後に仕上焼鈍が
施される。 (発明が解決しようとする課題) ところで、上記の如く従来製造工程で製造され
たタブ材は、飲料缶等のパーシヤルオープンエン
ド用のタブ材としては適しているものの、食缶及
び医薬品等に用いられるキヤツプ用のタブとして
は問題がある。 すなわち、食缶、医薬品等に用いられているキ
ヤツプのタブは、繰り返し曲げ性が重要である
が、従来の製造方法により製造されたタブ材は強
度が高く、繰り返し曲げ性に問題がある。また、
従来の製造方法では高冷間圧延を要するため、結
晶粒が偏平伸長粒となり、圧延方向に対する0°、
45°、90°方向の繰り返し曲げの特性に異方性が生
じるという問題がある。特に圧延方向に対して0°
に曲げ及び繰り返し曲げ変形を受けた場合、割れ
が生じ易い。 更に詳細に説明すると、食缶及び医薬品等に用
いられているタブはエンドとリベツト加工で結合
され、タブを引き上げることにより、タブ先端が
スコア加工部を押し下げてスコア部を裂く機構で
あるが、この時、タブは曲げ変形を受ける。特に
スコア部の一部を裂いた後、更にタブを引き上げ
開口する場合、タブが繰り返し曲げ変形を受け、
割れが生じてタブが取れてしまう場合がある。 これを防止するためには、繰り返し曲げ性を向
上することが必要である。 この点、従来は繰り返し曲げ性については特に
配慮されておらず、キヤンボデイ材、エンド材、
タブ材として単に曲げ加工性だけが評価されてい
るだけである。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、繰り
返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板を提供し、
またその製造方法を提供することを目的とするも
のである。 (課題を解決するための手段) 前記目的を達成するため、本発明者は、優れた
繰り返し曲げ性を実現し得る方策を見い出すべく
鋭意研究を重ねた。 その結果、Al合金板素材において結晶粒が小
さいほど繰り返し曲げ性が優れ、また冷間圧延率
が少ないほど等軸に近い結晶粒となつて圧延方向
に対する0°、45°、90°方向の繰り返し曲げの特性
の異方性が小さくなること、また素材強度におけ
る引張強さと耐力との強度比を規制することによ
り、優れた繰り返し曲げ性が得られるとの知見を
得た。そして、この知見に基づき、Al合金組成、
製造条件等について詳細に検討を加えた結果、
MgとMnの各量並びにその量比を適切に規制し、
且つ製造条件をコントロールすることにより、可
能であることを見い出し、ここに本発明をなした
ものである。 すなわち、本発明に係る繰り返し曲げ性に優れ
たタブ用Al合金板は、Mg:3.5〜5.5%及びMn:
0.1〜0.5%を含み、且つMgとMn量が次式 (4.5−0.33×Mn)≦Mg≦(6.0−0.33×Mn) を満たし、必要に応じて更にCr≦0.25%を含み、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、更に次
式 σB/σ0.2≧1.25 (但し、σB:引張強さ、σ0.2:耐力) を満たすベーキング後強度比を有し、かつベーキ
ング後耐力27Kgf/mm2以上を有することを特徴と
するものである。 また、該タブ用Al合金板の製造方法は、前記
化学成分を有するAl合金鋳塊を均質化処理した
後、熱間圧延し、その後、圧延率50%以上で冷間
圧延を行い、更に中間焼鈍を施した後、圧延率60
〜80%で冷間圧延し、次いで150〜250℃で仕上焼
鈍することを特徴とするものである。 以下に本発明を更に詳細に説明する。 (作用) 先ず、本発明におけるAl合金の化学成分の限
定理由について説明する。 Mg: Mgは強度を付与する重要な元素であるが、タ
ブ材として少なくとも3.5%以上添加しないと強
度が低く、使用できない。しかし、5.5%を超え
て過多に添加すると強度が高すぎることによる成
形加工性の低下を生じる。したがつて、Mg量は
3.5〜5.5%の範囲とする。 Mn: Mnは強度向上及び結晶粒微細化に大きな効果
を有する元素である。しかし、0.1%未満ではそ
の効果が少なく、一方、0.5%を超えると巨大晶
出物が生成し、晶出物生成の数が多くなり、繰り
返し曲げ性の低下を招く。したがつて、Mnは0.1
〜0.5%の範囲とする。 但し、これらMgとMnの関係は強度及び組織
安定化のために適度にコントロールする必要があ
ることが判明した。すなわち、MgとMn量がMg
<(4.5−0.33×Mn)の関係ではタブ材としての
強度が得られず、また、Mg>(6.0−0.33×Mn)
の関係では結晶粒が微細化されるものの、強度が
高くすぎることにより成形性が低下し、圧延時に
耳割れが生じ易くなる。したがつて、MgとMn
は、上記添加量の範囲で (4.5−0.33×Mn)≦Mg≦(6.0−0.33×Mn) の関係を満たすように含有させる。 Cr: CrはMnと同じく強度向上及び結晶粒微細化に
大きな効果を有する元素であり、必要に応じて添
加することができる。しかし、0.25%を超えて過
多に添加すると巨大晶出物が生成し、晶出物の数
が多くなり、繰り返し曲げ性の低下を招くので好
ましくない。したがつて、Crを添加する場合は、
0.25%以下の範囲とする。 次にタブ用Al合金板の製造工程について説明
する。 上記化学成分を有するAl合金の鋳塊は、常法
により均質化処理した後、熱間圧延、及び中間焼
鈍を含む冷間圧延を行う。 中間焼鈍前の冷間圧延率は、結晶粒、繰り返し
曲げ性に影響を及ぼし、50%未満では後の中間焼
鈍時の結晶粒が大きくなり、繰り返し曲げ性の低
下を招くため、50%以上とする。 また、中間焼鈍後の冷間圧延率も強度、結晶粒
及び繰り返し曲げ性に影響を及ぼし、60%未満で
は繰り返し曲げ性は優れるものの、必要な強度
(焼付き塗装(ベーキング)後耐力27Kgf/mm2以
上)が得られないので、40%以上とする必要があ
る。一方、強度向上には冷間圧延率の増大が必要
なものの、冷間圧延率が80%を超えると圧延直後
の強度が高くなるため、その後の仕上焼鈍温度が
高く、温度交差が少なくなるため好ましくない
し、また、結晶粒が偏平伸長粒となるため、繰り
返し曲げ性の異方性が大きくなる。したがつて、
中間焼鈍後の冷間圧延率は60〜80%の範囲とす
る。 なお、中間焼鈍方法及び条件は特に規定しない
が、完全結晶粒が得られることが必須であり、結
晶粒の観点からすれば、連続焼鈍(CAL)の使
用が好ましい。 冷間圧延後、仕上焼鈍を施すが、仕上焼鈍は中
間焼鈍後の冷間圧延率と必要強度の関係にて決め
られるものである。しかし、150℃未満では適正
な強度にならず、繰り返し曲げ性が劣る。一方、
250℃を超えると強度回復が進みすぎ、必要な強
度が得られない場合がある。したがつて、仕上焼
鈍温度は150〜250℃とする。 なお、仕上焼鈍後に得られる素材においては、
引張強さ(σB)及び耐力(σ0.2)の関係が繰り返
し曲げ性に大きな影響を及ぼすので、その強度比
が適切にコントロールされている必要がある。す
なわち、引張強さと耐力との比σB/σ.2の値が1.25
未満では繰り返し曲げによる割れが生じ易くなる
ので、σB/σ.2≧1.25とする。 (実施例) 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1 第1表に示す化学成分を有するAl合金鋳塊に
対し、均質化処理として500℃の温度で3時間保
持し、その後、熱間圧延にて5mm厚とした。 その後、冷間圧延にて0.875mm厚としてから
CAL焼鈍(加熱、冷却速度700℃/分、到達温度
450℃、保持2秒)を施し、その後、冷間圧延に
て製品厚さ0.35mmとした。 更に、No.1〜No.5については、強度を一定とす
るために、No.1は235℃、No.2は240℃、No.3は
220℃、No.4は255℃、No.5は185℃の温度で2時
間の仕上焼鈍を実施した。なお、No.6とNo.7は従
来材であり、仕上焼鈍を行なわない材料である。 次いで、タブ材は塗装後、成形加工されるた
め、200℃×20分のベーキング処理を施し、塗装
した場合と同じ状態とした。 得られた素材(製品板厚0.35mm)についてベー
キング処理後の機械的性質、繰り返し曲げ性、強
度比(σB/σ0.2)及び圧延性を調べた。その結果
を第2表に示す。 なお、繰り返し曲げ性は、第1図に示すよう
に、圧延方向に対し0°方向、90°方向にそれぞれ
90°繰り返し曲げを行い、1サイクルを1回とし
て破断回数により評価した。 第2表より、以下の如く考察される。 本発明材のNo.1、No.2、No.3はいずれも食缶、
医薬品等のキヤツプに用いられるタブ材としての
必要強度(ベーキング後耐力27Kgf/mm2以上)が
得られていると共に繰り返し曲げ性に優れてい
る。 一方、比較材のNo.4は強度及び繰り返し曲げ性
ともタブ材としての必要特性を満足しているもの
の、仕上焼鈍温度が高温で、且つ温度交差が小さ
いので実用上問題があると共に、圧延性が著しく
低下(耳割れ発生)するため、生産性を阻害し、
実用的でない。 比較材No.5はタブ材としての必要強度は得られ
ているものの、強度比σB/σ0.2の値が小さく、繰
り返し曲げ性が劣つている。 また、従来材のNo.6(5082)、No.7(5182)はい
ずれも高い強度が得られているものの、強度比
σB/σ0.2の値が小さく、繰り返し曲げ性が劣つて
いる。
【表】
す場合を○、満たさない場合を×とした。
【表】
実施例 2
第1表に示したNo.2のAl合金について実施例
1で得られた熱間圧延板を、第3表に示す圧延率
(中間焼鈍前圧延率、中間焼鈍後圧延率)で冷間
圧延し、製品厚さ0.35mmとした。なお、中間焼鈍
は実施例1と同じ条件で行つた。 その後、Aは255℃、Bは250℃で2時間の仕上
焼鈍を行つた。Cは仕上焼鈍を行なわなかつた。 次いで、タブ材は塗装後、成形加工されるた
め、200℃×20分のベーキング処理を施し、塗装
した場合と同じ状態とした。 得られた素材(製品板厚0.35mm)についてベー
キング処理後の機械的性質、繰り返し曲げ性、強
度比(σB/σ0.2)について調べた結果を第4表に
示す。 第4表において本発明材No.2(実施例1)と比
較すると明らかなように、比較材A、Bは食缶、
医薬品等のキヤツプ用タブ材としての必要強度並
びに強度比(σB/σ0.2≧1.25)を満足しているも
のの、繰り返し曲げ性に異方性が生じ、実用上問
題がある。また比較材Cは強度が低すぎるため、
タブ折れ等の問題を生じ易く、また繰り返し曲げ
性が劣つている。
1で得られた熱間圧延板を、第3表に示す圧延率
(中間焼鈍前圧延率、中間焼鈍後圧延率)で冷間
圧延し、製品厚さ0.35mmとした。なお、中間焼鈍
は実施例1と同じ条件で行つた。 その後、Aは255℃、Bは250℃で2時間の仕上
焼鈍を行つた。Cは仕上焼鈍を行なわなかつた。 次いで、タブ材は塗装後、成形加工されるた
め、200℃×20分のベーキング処理を施し、塗装
した場合と同じ状態とした。 得られた素材(製品板厚0.35mm)についてベー
キング処理後の機械的性質、繰り返し曲げ性、強
度比(σB/σ0.2)について調べた結果を第4表に
示す。 第4表において本発明材No.2(実施例1)と比
較すると明らかなように、比較材A、Bは食缶、
医薬品等のキヤツプ用タブ材としての必要強度並
びに強度比(σB/σ0.2≧1.25)を満足しているも
のの、繰り返し曲げ性に異方性が生じ、実用上問
題がある。また比較材Cは強度が低すぎるため、
タブ折れ等の問題を生じ易く、また繰り返し曲げ
性が劣つている。
【表】
【表】
(発明の効果)
以上詳述したように、本発明によれば、タブ用
Al合金板の組成を調整すると共に製造条件をコ
ントロールして強度比及び強度を確保するので、
繰り返し曲げ性を顕著に向上させることができ、
現有材において問題とされている繰り返し曲げ変
形時の割れ発生を極力小さくし、開口時のタブ取
れを防止できるので、食缶、医薬品等に用いられ
るタブ材として好適である。
Al合金板の組成を調整すると共に製造条件をコ
ントロールして強度比及び強度を確保するので、
繰り返し曲げ性を顕著に向上させることができ、
現有材において問題とされている繰り返し曲げ変
形時の割れ発生を極力小さくし、開口時のタブ取
れを防止できるので、食缶、医薬品等に用いられ
るタブ材として好適である。
第1図は90°繰り返し曲げ試験の要領を示す説
明図である。
明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で(以下、同じ)、Mg:3.5〜5.5%及
びMn:0.1〜0.5%を含み、且つMgとMn量が次
式 (4.5−0.33×Mn)≦Mg≦(6.0−0.33×Mn) を満たし、残部がAl及び不可避的不純物からな
り、更に次式 σB/σ0.2≧1.25 (但し、σB:引張強さ、σ0.2:耐力) を満たすベーキング後強度比を有し、かつベーキ
ング後耐力27Kgf/mm2以上を有することを特徴と
する繰り返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板。 2 前記Al合金が更にCr≦0.25%を含むもので
ある請求項1に記載のAl合金板。 3 請求項1又は2に記載の化学成分を有する
Al合金鋳塊を均質化処理した後、熱間圧延し、
その後、圧延率50%以上で冷間圧延を行い、更に
中間焼鈍を施した後、圧延率60〜80%で冷間圧延
し、次いで150〜250℃で仕上焼鈍することを特徴
とする繰り返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30302188A JPH02149634A (ja) | 1988-11-30 | 1988-11-30 | 繰り返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30302188A JPH02149634A (ja) | 1988-11-30 | 1988-11-30 | 繰り返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02149634A JPH02149634A (ja) | 1990-06-08 |
JPH0547617B2 true JPH0547617B2 (ja) | 1993-07-19 |
Family
ID=17915983
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30302188A Granted JPH02149634A (ja) | 1988-11-30 | 1988-11-30 | 繰り返し曲げ性に優れたタブ用Al合金板とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH02149634A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2836929B1 (fr) * | 2002-03-07 | 2005-01-07 | Pechiney Rhenalu | Tole ou bande en alliage a1-mg pour la fabrication de pieces pliees a faible rayon de pliage |
JPWO2023095859A1 (ja) * | 2021-11-25 | 2023-06-01 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5631347A (en) * | 1979-08-22 | 1981-03-30 | Hitachi Ltd | Outer frame packing for starting motor |
JPS60230951A (ja) * | 1984-04-27 | 1985-11-16 | Fuji Photo Film Co Ltd | 平版印刷版用アルミニウム合金支持体 |
JPS61110744A (ja) * | 1984-11-02 | 1986-05-29 | Kobe Steel Ltd | 包装用a1合金板及びその製造方法 |
JPS63286589A (ja) * | 1987-05-19 | 1988-11-24 | Kobe Steel Ltd | カーリング後の寸法安定性に優れた缶蓋用Al合金硬質板及びその製造方法 |
JPH01301831A (ja) * | 1988-05-31 | 1989-12-06 | Kobe Steel Ltd | スティオンタブ用Al合金板及びその製造方法 |
JPH01312053A (ja) * | 1988-06-13 | 1989-12-15 | Kobe Steel Ltd | スティオンタブ塗装材用Al合金板と製造方法 |
-
1988
- 1988-11-30 JP JP30302188A patent/JPH02149634A/ja active Granted
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5631347A (en) * | 1979-08-22 | 1981-03-30 | Hitachi Ltd | Outer frame packing for starting motor |
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JPH01301831A (ja) * | 1988-05-31 | 1989-12-06 | Kobe Steel Ltd | スティオンタブ用Al合金板及びその製造方法 |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02149634A (ja) | 1990-06-08 |
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