JP2579865B2 - 負圧缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板及びその製造方法 - Google Patents
負圧缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板及びその製造方法Info
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- JP2579865B2 JP2579865B2 JP4139911A JP13991192A JP2579865B2 JP 2579865 B2 JP2579865 B2 JP 2579865B2 JP 4139911 A JP4139911 A JP 4139911A JP 13991192 A JP13991192 A JP 13991192A JP 2579865 B2 JP2579865 B2 JP 2579865B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、果汁、コーヒー等の炭
酸を含まない負圧缶のステイオンタブ(以下、「SO
T」という)式エンド材に係り、更に詳細には、開缶性
及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶SOT式エンド用Al
合金板及びその製造方法に関するものである。
酸を含まない負圧缶のステイオンタブ(以下、「SO
T」という)式エンド材に係り、更に詳細には、開缶性
及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶SOT式エンド用Al
合金板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】負圧缶
とは、果汁、コーヒー等の炭酸を含まない内容物が高温
にて充填された後、室温にて缶内部が負の圧力を受ける
容器である。
とは、果汁、コーヒー等の炭酸を含まない内容物が高温
にて充填された後、室温にて缶内部が負の圧力を受ける
容器である。
【0003】近年、地球環境問題の観点からSOT式エ
ンドが普及しつつあるが、SOT式エンドは、従来のリ
ングプル式エンドとは開缶方式が異なり、開缶荷重が大
きく、開缶に影響を及ぼす主要な要素であるスコアーの
引き裂き性の改善が必要とされる。更に、このSOT式
エンドを負圧缶に用いるには、負圧によるエンド形状
(凸→凹)の変化が引き裂き性に影響を及ぼし、荷重を大
きくする傾向が認められる。
ンドが普及しつつあるが、SOT式エンドは、従来のリ
ングプル式エンドとは開缶方式が異なり、開缶荷重が大
きく、開缶に影響を及ぼす主要な要素であるスコアーの
引き裂き性の改善が必要とされる。更に、このSOT式
エンドを負圧缶に用いるには、負圧によるエンド形状
(凸→凹)の変化が引き裂き性に影響を及ぼし、荷重を大
きくする傾向が認められる。
【0004】従来より、負圧缶エンド材としては、AA
5052等の成分を有するAl合金鋳塊に熱間圧延後、
比較的高い圧延率で冷間圧延された材料が用いられてい
るが、AA5052合金を用いた場合では、開缶時のス
コアー引き裂き荷重が高く、引き裂きの進展性が悪いた
め、スコアー以外の箇所に亀裂が生じ、飲み口全面が開
口されない場合がある。また、引き裂き荷重は高強度化
によって軽減されるものの、前記AA5052で強度を
向上させるためには、更に高冷間圧延する必要があり、
高冷間圧延した場合には結晶粒が偏平伸長粒となり、エ
ンドの重要な特性の1つであるリベット加工性が低下す
る。
5052等の成分を有するAl合金鋳塊に熱間圧延後、
比較的高い圧延率で冷間圧延された材料が用いられてい
るが、AA5052合金を用いた場合では、開缶時のス
コアー引き裂き荷重が高く、引き裂きの進展性が悪いた
め、スコアー以外の箇所に亀裂が生じ、飲み口全面が開
口されない場合がある。また、引き裂き荷重は高強度化
によって軽減されるものの、前記AA5052で強度を
向上させるためには、更に高冷間圧延する必要があり、
高冷間圧延した場合には結晶粒が偏平伸長粒となり、エ
ンドの重要な特性の1つであるリベット加工性が低下す
る。
【0005】これに対して、陽圧缶エンド等にもよく用
いられているAA5182合金では強度が高くなり、充
分な強度を得ることが可能なものの、SOT式エンド
は、従来のエンドに比べ、スコアー加工率が大きいた
め、落下衝撃をうけた際、スコアー割れが生じ易くな
る。
いられているAA5182合金では強度が高くなり、充
分な強度を得ることが可能なものの、SOT式エンド
は、従来のエンドに比べ、スコアー加工率が大きいた
め、落下衝撃をうけた際、スコアー割れが生じ易くな
る。
【0006】また、特開昭63−286546号に提案
されている製造方法は、従来のキャンエンド材の製造方
法であるが、この方法では、最終板厚に冷間加工した
後、100〜250℃の温度で仕上げ焼鈍を施すが、仕
上げ焼鈍を施した材料は開缶時の変形量が大きくなり、
開缶荷重を増加させることになる。
されている製造方法は、従来のキャンエンド材の製造方
法であるが、この方法では、最終板厚に冷間加工した
後、100〜250℃の温度で仕上げ焼鈍を施すが、仕
上げ焼鈍を施した材料は開缶時の変形量が大きくなり、
開缶荷重を増加させることになる。
【0007】したがって、従来の材料及び製造方法で
は、負圧缶用SOTエンド材としての必要特性を満足す
ることができないため、開缶性を向上させる十分な強
度、特性を有し、耐落下衝撃性を併せ持つ材料が必要と
なってくる。
は、負圧缶用SOTエンド材としての必要特性を満足す
ることができないため、開缶性を向上させる十分な強
度、特性を有し、耐落下衝撃性を併せ持つ材料が必要と
なってくる。
【0008】本発明は、上記従来技術の問題点を解決し
て、前記要望に応えるべくなされたものであって、特に
開缶性及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶SOT式エンド
用Al合金板及びその製造方法を提供することを目的と
するものである。
て、前記要望に応えるべくなされたものであって、特に
開缶性及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶SOT式エンド
用Al合金板及びその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、現有材料を用いて強度増加させた場
合の引き裂き性の向上に着目し、高強度且つ開缶性に優
れた負圧缶SOT式エンド用Al合金材料の開発を目的
として、鋭意研究を重ねた。
め、本発明者らは、現有材料を用いて強度増加させた場
合の引き裂き性の向上に着目し、高強度且つ開缶性に優
れた負圧缶SOT式エンド用Al合金材料の開発を目的
として、鋭意研究を重ねた。
【0010】まず、本発明者らは強度と引き裂き荷重の
関係について調査した結果、強度が高いほど引き裂き荷
重が低く、一定の変位量における引き裂きの進展する距
離が長くなることが判明した。そこで、中間焼鈍後の圧
延率を適度にコントロールすることにより、比較的高強
度で引き裂き性に優れた負圧缶SOT式エンド用材料が
安定化焼鈍なしで得られることを見い出した。
関係について調査した結果、強度が高いほど引き裂き荷
重が低く、一定の変位量における引き裂きの進展する距
離が長くなることが判明した。そこで、中間焼鈍後の圧
延率を適度にコントロールすることにより、比較的高強
度で引き裂き性に優れた負圧缶SOT式エンド用材料が
安定化焼鈍なしで得られることを見い出した。
【0011】また、晶出物径が比較的大きい方が開缶性
及び引き裂き性の向上に寄与することも判明した。特に
Al−Fe−Mn系の晶出物は開缶性の向上に大きく寄与
し、その効果は晶出物径で5μm以上から顕著に現れる
ことが認められた。しかし、晶出物の増大はエンドの重
要な特性でもある成形性に影響を及ぼすため慎重な調整
が必要であり、30μm以下に制御する必要がある。
及び引き裂き性の向上に寄与することも判明した。特に
Al−Fe−Mn系の晶出物は開缶性の向上に大きく寄与
し、その効果は晶出物径で5μm以上から顕著に現れる
ことが認められた。しかし、晶出物の増大はエンドの重
要な特性でもある成形性に影響を及ぼすため慎重な調整
が必要であり、30μm以下に制御する必要がある。
【0012】そこで、かゝる知見に基づき更に実験研究
を重ねた結果、Al合金の化学成分を調整すると共に、
冷間圧延工程の条件を規制することにより、初期の目的
が達成可能であることを見い出した。
を重ねた結果、Al合金の化学成分を調整すると共に、
冷間圧延工程の条件を規制することにより、初期の目的
が達成可能であることを見い出した。
【0013】すなわち、本発明は、化学成分として、M
g:2.8〜4.2%、Mn:0.20〜0.50%、Fe:0.
10〜0.40%を必須成分として含み、必要に応じ
て、更にSi≦0.20%、Cr≦0.40%、Ti≦0.2
0%の1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなる組成を有し、製品板表面から見た
際、5〜20μmのAl−Fe−Mn系晶出物が面積占有率
で0.3〜1.0%であることを特徴とする開缶性及び耐
落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオンタブ式エンド用A
l合金板を要旨とするものである。
g:2.8〜4.2%、Mn:0.20〜0.50%、Fe:0.
10〜0.40%を必須成分として含み、必要に応じ
て、更にSi≦0.20%、Cr≦0.40%、Ti≦0.2
0%の1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなる組成を有し、製品板表面から見た
際、5〜20μmのAl−Fe−Mn系晶出物が面積占有率
で0.3〜1.0%であることを特徴とする開缶性及び耐
落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオンタブ式エンド用A
l合金板を要旨とするものである。
【0014】また、その製造方法は、前記化学成分を有
するAl合金鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延を施
し、60%以上の冷間圧延し、320〜520℃の範囲
で中間焼鈍を施した後、圧延率40〜80%で冷間圧延
することにより、仕上げ焼鈍を施さずに強度を調整する
ことを特徴としている。
するAl合金鋳塊を均質化熱処理した後、熱間圧延を施
し、60%以上の冷間圧延し、320〜520℃の範囲
で中間焼鈍を施した後、圧延率40〜80%で冷間圧延
することにより、仕上げ焼鈍を施さずに強度を調整する
ことを特徴としている。
【0015】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
【0017】まず、本発明におけるAl合金の化学成分
の限定理由について説明する。
の限定理由について説明する。
【0018】Mg:Mgは強度を付与するために重要な元
素であり、本発明では必須成分とするものである。負圧
缶SOT式エンド材として少なくとも2.8%以上を添
加しないと十分な強度を得ることができない。しかし、
過多に添加すると強度が高すぎることから落下時の衝撃
によってスコアーに割れを生じる可能性があり、また、
成形性の低下を招くため、添加量の上限は4.2%であ
る。したがって、Mgの添加量は2.8〜4.2%の範囲
とする。
素であり、本発明では必須成分とするものである。負圧
缶SOT式エンド材として少なくとも2.8%以上を添
加しないと十分な強度を得ることができない。しかし、
過多に添加すると強度が高すぎることから落下時の衝撃
によってスコアーに割れを生じる可能性があり、また、
成形性の低下を招くため、添加量の上限は4.2%であ
る。したがって、Mgの添加量は2.8〜4.2%の範囲
とする。
【0019】Mn:Mnの添加は強度向上及び引き裂き性
を向上させるAl−Fe−Mn系晶出物の生成に大きな効
果を示すため、Mnも本発明では必須成分とするもので
ある。強度向上の効果が現れるには少なくとも0.20
%以上を添加しなければならない。しかし、0.50%
より過多に添加すると巨大晶出物の生成及び晶出物の生
成の数が多くなり、エンドとしての重要な特性の一つで
ある曲げ性の低下を招く。したがって、Mnの添加量は
0.20〜0.50%の範囲とする。
を向上させるAl−Fe−Mn系晶出物の生成に大きな効
果を示すため、Mnも本発明では必須成分とするもので
ある。強度向上の効果が現れるには少なくとも0.20
%以上を添加しなければならない。しかし、0.50%
より過多に添加すると巨大晶出物の生成及び晶出物の生
成の数が多くなり、エンドとしての重要な特性の一つで
ある曲げ性の低下を招く。したがって、Mnの添加量は
0.20〜0.50%の範囲とする。
【0020】Fe:Feの添加は開缶性を向上させるAl
−Fe−Mn系晶出物の生成及びエンド材として必要な特
性である成形性を向上させる結晶粒微細化に大きな効果
を示し、その添加量が多いほど微細化される。しかし、
0.10%未満ではその効果が認められず、また0.40
%を超えて添加すると晶出物の生成数が多くなり過ぎ、
エンドの重要な特性である成形性の低下を招く。したが
って、Feの添加量は0.10〜0.40%の範囲とす
る。
−Fe−Mn系晶出物の生成及びエンド材として必要な特
性である成形性を向上させる結晶粒微細化に大きな効果
を示し、その添加量が多いほど微細化される。しかし、
0.10%未満ではその効果が認められず、また0.40
%を超えて添加すると晶出物の生成数が多くなり過ぎ、
エンドの重要な特性である成形性の低下を招く。したが
って、Feの添加量は0.10〜0.40%の範囲とす
る。
【0021】本発明では、上記Mg、Mn及びFeを必須
成分とするが、以下の元素の1種又は2種以上を必要に
応じて含有させることが可能である。
成分とするが、以下の元素の1種又は2種以上を必要に
応じて含有させることが可能である。
【0022】Si:Siの添加は引き裂き性を向上させる
晶出物の増大を招き、0.20%を超えて添加すると曲
げ性の低下を招く。したがって、Siの添加量は0.20
%以下とする。
晶出物の増大を招き、0.20%を超えて添加すると曲
げ性の低下を招く。したがって、Siの添加量は0.20
%以下とする。
【0023】Cr:Crの添加は強度向上に効果を示す。
しかし、過多に添加すると巨大晶出物の生成及び晶出物
の生成の数が多くなり成形性の低下を招く。したがっ
て、Crの添加量は0.40%以下とする。
しかし、過多に添加すると巨大晶出物の生成及び晶出物
の生成の数が多くなり成形性の低下を招く。したがっ
て、Crの添加量は0.40%以下とする。
【0024】Ti:Tiは組織を安定化させるために有効
な元素であるものの、その添加量が多いと巨大晶出物を
生成して成形性を低下させる。したがって、Tiの添加
量は0.20%以下とする。
な元素であるものの、その添加量が多いと巨大晶出物を
生成して成形性を低下させる。したがって、Tiの添加
量は0.20%以下とする。
【0025】上述のFeとMnの添加により(Fe、Mn)A
l6等の晶出物が生成されるが、開缶性の向上に寄与する
のは5μm以上の晶出物であり、これを製造条件によっ
て調整する必要がある。また、巨大晶出物の生成は、成
形性の低下を招くため、20μm以下に制御する必要が
ある。
l6等の晶出物が生成されるが、開缶性の向上に寄与する
のは5μm以上の晶出物であり、これを製造条件によっ
て調整する必要がある。また、巨大晶出物の生成は、成
形性の低下を招くため、20μm以下に制御する必要が
ある。
【0026】また、5〜20μmの上記Al−Fe−Mn系
晶出物は、単位面積当たりの占有率が大きくなると、開
缶性の向上には寄与するものの、大きすぎると耐落下衝
撃性の低下、成形性の低下を招くために、その面積率で
0.3〜1.0%の範囲とする必要がある。0.3%未満
では開缶性向上には殆ど寄与しないため好ましくなく、
また、1.0%を超えると耐落下衝撃性、成形性が著し
く低下するため好ましくない。
晶出物は、単位面積当たりの占有率が大きくなると、開
缶性の向上には寄与するものの、大きすぎると耐落下衝
撃性の低下、成形性の低下を招くために、その面積率で
0.3〜1.0%の範囲とする必要がある。0.3%未満
では開缶性向上には殆ど寄与しないため好ましくなく、
また、1.0%を超えると耐落下衝撃性、成形性が著し
く低下するため好ましくない。
【0027】次に本発明の製造工程について説明する。
【0028】上記化学成分を有するAl合金は、溶解、
鋳造、均質化熱処理の段階で製品板の表面に見られるA
l−Fe−Mn系の晶出物が5〜20μm以下になるような
条件で実施された後、熱間圧延が行われる。
鋳造、均質化熱処理の段階で製品板の表面に見られるA
l−Fe−Mn系の晶出物が5〜20μm以下になるような
条件で実施された後、熱間圧延が行われる。
【0029】そして熱間圧延後、冷間圧延を行うが、本
発明では、以下に示すような中間焼鈍を含む冷間圧延工
程を行うことによって、開缶性の向上に有効な強度レベ
ルを設定することができる。
発明では、以下に示すような中間焼鈍を含む冷間圧延工
程を行うことによって、開缶性の向上に有効な強度レベ
ルを設定することができる。
【0030】中間焼鈍前の冷間圧延率は、60%未満で
は中間焼鈍後の結晶粒が大きくなり、エンドの必要特性
である成形性に影響を及ぼすため、製品厚での成形性を
考慮すると、60%以上が必要である。
は中間焼鈍後の結晶粒が大きくなり、エンドの必要特性
である成形性に影響を及ぼすため、製品厚での成形性を
考慮すると、60%以上が必要である。
【0031】次いで中間焼鈍を行うが、中間焼鈍の温度
は320〜520℃の範囲とする。その理由は、320
℃未満ではMgが充分に固溶せず開缶性を向上させる強
度増加に寄与せず、また520℃を超える温度では結晶
粒が粗大化して製品厚での成形性に影響を及ぼす。
は320〜520℃の範囲とする。その理由は、320
℃未満ではMgが充分に固溶せず開缶性を向上させる強
度増加に寄与せず、また520℃を超える温度では結晶
粒が粗大化して製品厚での成形性に影響を及ぼす。
【0032】中間焼鈍後の冷間圧延は、強度に大きく影
響する条件であり、圧延率が40%未満では必要な強度
が得られない。また、強度向上には圧延率の増大が有効
なものの、圧延率が80%を超えると耳の発生及び成形
性の低下が顕著に現れる。したがって、中間焼鈍後の冷
間圧延率は40〜80%の範囲とする。これにより、仕
上げ焼鈍を施さずに強度を調整することができる。
響する条件であり、圧延率が40%未満では必要な強度
が得られない。また、強度向上には圧延率の増大が有効
なものの、圧延率が80%を超えると耳の発生及び成形
性の低下が顕著に現れる。したがって、中間焼鈍後の冷
間圧延率は40〜80%の範囲とする。これにより、仕
上げ焼鈍を施さずに強度を調整することができる。
【0033】次に本発明の実施例を示す。
【0034】
【実施例1】
【表1】 に示す化学成分を有するAl合金の鋳塊を、均質化熱処
理として510℃の温度で4時間保持し、その後、熱間
圧延にて板厚を2.5mmとした。
理として510℃の温度で4時間保持し、その後、熱間
圧延にて板厚を2.5mmとした。
【0035】次いで、冷間圧延により各供試材とも0.
63mmの板厚にした後、連続加熱焼鈍炉において到達温
度420℃、保持時間0秒の熱処理を施し、更に冷間圧
延により板厚0.25mmとした。また、エンド材は、塗
装後成形加工されるため、200℃×20分のベーキン
グ処理を行い、塗装した場合と同じ条件とした。
63mmの板厚にした後、連続加熱焼鈍炉において到達温
度420℃、保持時間0秒の熱処理を施し、更に冷間圧
延により板厚0.25mmとした。また、エンド材は、塗
装後成形加工されるため、200℃×20分のベーキン
グ処理を行い、塗装した場合と同じ条件とした。
【0036】製品板厚0.25mmの供試材のベーキング
処理後の材料特性(機械的性質、引き裂き荷重、落下時
のスコアー割れ率、リベット張出し性)を
処理後の材料特性(機械的性質、引き裂き荷重、落下時
のスコアー割れ率、リベット張出し性)を
【表2】 に示す。表2より、以下の如く考察される。
【0037】なお、引き裂き試験方法は図1に示す通り
である。まず、40〜40(mm)の板にハの字のスコアー
を加工する。スコアーの加工後の残厚は一般的なSOT
式エンド(90〜100μm)とほぼ同等にした。その
後、板を固定しスコアー加工面と反対の方向へ引上げ、
引き裂き時の最大荷重を測定した。
である。まず、40〜40(mm)の板にハの字のスコアー
を加工する。スコアーの加工後の残厚は一般的なSOT
式エンド(90〜100μm)とほぼ同等にした。その
後、板を固定しスコアー加工面と反対の方向へ引上げ、
引き裂き時の最大荷重を測定した。
【0038】また、落下試験方法は図2に示す通りであ
る。供試材をエンドに加工し、一定の高さ(700mm)か
らエンドを下にして垂直に落下させ、スコアーに割れが
生じる確率を測定した。
る。供試材をエンドに加工し、一定の高さ(700mm)か
らエンドを下にして垂直に落下させ、スコアーに割れが
生じる確率を測定した。
【0039】本発明例のNo.1〜No.4は比較的強度レ
ベルの高い材料であるが、いずれも開缶性に優れ(引き
裂き荷重が低い)、また耐落下衝撃性に優れていること
がわかる。エンド材の必要特性であるリベット張り出し
成形性も充分兼備している。
ベルの高い材料であるが、いずれも開缶性に優れ(引き
裂き荷重が低い)、また耐落下衝撃性に優れていること
がわかる。エンド材の必要特性であるリベット張り出し
成形性も充分兼備している。
【0040】一方、比較例のNo.5、No.7、No.9
は、開缶性を向上させるための充分な強度及び晶出物面
積占有率を有していないため、引き裂き荷重の増加が認
められる。また、比較例No.6、No.8においては、晶
出物が過剰に増加したため、成形性の劣化を生じ、No.
10は強度が高すぎるため、耐落下衝撃性の低下が認め
られた。
は、開缶性を向上させるための充分な強度及び晶出物面
積占有率を有していないため、引き裂き荷重の増加が認
められる。また、比較例No.6、No.8においては、晶
出物が過剰に増加したため、成形性の劣化を生じ、No.
10は強度が高すぎるため、耐落下衝撃性の低下が認め
られた。
【0041】
【実施例2】表1のNo.2(本発明例)と同じ組成のAl
合金鋳塊に実施例1と同様に均質化処理を行い、熱間圧
延後、
合金鋳塊に実施例1と同様に均質化処理を行い、熱間圧
延後、
【表3】 に示すような製造条件で板を製造し、耐力、引き裂き荷
重、耐落下衝撃性、リベット張り出し限界高さについて
求めた。それらの結果を表3に示す。
重、耐落下衝撃性、リベット張り出し限界高さについて
求めた。それらの結果を表3に示す。
【0042】表3から明らかなように、本発明の製造工
程及び条件により得られたAl合金板No.11〜No.1
5は良好な引き裂き性、耐落下衝撃性及び成形性を示す
ことがわかる。
程及び条件により得られたAl合金板No.11〜No.1
5は良好な引き裂き性、耐落下衝撃性及び成形性を示す
ことがわかる。
【0043】これに対して、比較例No.16〜No.20
は、それぞれ本発明の製造条件を外れているため、強度
不足、強度が高すぎることによって引き裂き荷重の増
加、耐落下衝撃税の低下、成形性の低下を生じているこ
とがわかる。また、比較例No.21は冷間圧延後に仕上
げ焼鈍を施し、本発明例No.13と同等の耐力に調整し
たものであるが、耐落下衝撃性は向上するものの、引き
裂き荷重が増加していることがわかる。これは、仕上げ
焼鈍を施したことによって伸びが増加したため、引き裂
きの破断時に破断部の変形を促し、変形に要する荷重が
大きくなるためである。
は、それぞれ本発明の製造条件を外れているため、強度
不足、強度が高すぎることによって引き裂き荷重の増
加、耐落下衝撃税の低下、成形性の低下を生じているこ
とがわかる。また、比較例No.21は冷間圧延後に仕上
げ焼鈍を施し、本発明例No.13と同等の耐力に調整し
たものであるが、耐落下衝撃性は向上するものの、引き
裂き荷重が増加していることがわかる。これは、仕上げ
焼鈍を施したことによって伸びが増加したため、引き裂
きの破断時に破断部の変形を促し、変形に要する荷重が
大きくなるためである。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
果汁、コーヒー缶等の負圧缶用SOT式エンド材におい
て、開缶時の引き裂き荷重が比較的低く落下時衝撃によ
るスコアーの割れを押さえることが可能であり、高強度
化にも充分に対応できる。また、製造面(安定性、コス
ト)でも優れている。
果汁、コーヒー缶等の負圧缶用SOT式エンド材におい
て、開缶時の引き裂き荷重が比較的低く落下時衝撃によ
るスコアーの割れを押さえることが可能であり、高強度
化にも充分に対応できる。また、製造面(安定性、コス
ト)でも優れている。
【図1】引き裂き試験方法を説明する図である。
【図2】落下試験方法を説明する図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 化学成分として、重量%で(以下、同
じ)、Mg:2.8〜4.2%、Mn:0.20〜0.
50%、Fe:0.10〜0.40%を必須成分として
含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有
し、製品板表面から見た際、5〜20μmのAl−Fe
−Mn系晶出物が面積占有率で0.3〜1.0%である
ことを特徴とする開缶性及び耐落下衝撃性に優れた負圧
缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板。 - 【請求項2】 前記Al合金が、更にSi≦0.20%
を含有することを特徴とする請求項1記載の開缶性及び
耐落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオンタブ式エンド用
Al合金板。 - 【請求項3】 前記Al合金が、更にCr≦0.40%
を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の開缶
性及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオンタブ式エ
ンド用Al合金板。 - 【請求項4】 前記Al合金が、更にTi≦0.20%
を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の開缶性及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオ
ンタブ式エンド用Al合金板。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか に記載の化学成
分を有するAl合金鋳塊を均質化処理した後、熱間圧延
を施し、60%以上の冷間圧延し、320〜520℃の
範囲で中間焼鈍を施した後、圧延率40〜80%で冷間
圧延することにより、仕上げ焼鈍を施さずに強度を調整
することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
開缶性及び耐落下衝撃性に優れた負圧缶ステイオンタブ
式エンド用Al合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4139911A JP2579865B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 負圧缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4139911A JP2579865B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 負圧缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05311308A JPH05311308A (ja) | 1993-11-22 |
JP2579865B2 true JP2579865B2 (ja) | 1997-02-12 |
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ID=15256512
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4139911A Expired - Fee Related JP2579865B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 負圧缶ステイオンタブ式エンド用Al合金板及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 1992-05-01 JP JP4139911A patent/JP2579865B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05311308A (ja) | 1993-11-22 |
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