JPH0547611B2

JPH0547611B2 -

Info

Publication number: JPH0547611B2
Application number: JP58224532A
Authority: JP
Inventors: Katsutoshi Kobayashi; Takeomi Tanyama
Original assignee: Daido Steel Co Ltd
Current assignee: Daido Steel Co Ltd
Priority date: 1983-11-30
Filing date: 1983-11-30
Publication date: 1993-07-19
Also published as: JPS60116740A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）この発明は、鍛造の際に使用される金敷として
適用され、鍛造用金敷に要求される高温強度、耐
高温へたり性、耐割損性、耐摩耗性、耐ヒートク
ラツク性等に優れていると同時に、とくに耐スケ
ール付着性にも優れた鍛造用金敷に関するもので
ある。（従来技術）素材の加工法の一つである鍛造には、鍛伸鍛
造、据込鍛造、展伸鍛造、中空鍛造、穴広げ鍛造
等があり、その他穿孔、背切り、搾出等がある
が、これらの鍛造に際しては金敷と称する鍛造型
が使用される。このような金敷（鍛造型）に要求される特性と
しては、高温強度、耐高温へたり性、耐割損性、
耐摩耗性、耐ヒートクラツク性、耐スケール付着
性に優れていることがあげられる。従来、この種の金敷に使用される材料として
は、ダイス用合金工具鋼（SKD）、鍛造用合金工
具鋼（SKT）、析出硬化型鋼、Ni基耐熱合金さら
には前記鋼等に対してステライト肉盛（ハードフ
エーシング）したもの等が使用されていた。しかしながら、従来の金敷に使用される鋼種で
は、高温強度および耐摩耗性と耐ヒートクラツク
性とが両立しがたく、また、耐スケール付着性が
悪く、スケールの付着によつて疵が発生しやすい
という問題があり、ステライト肉盛した場合には
ヒートクラツクが著しく発生しやすいため、この
ヒートクラツクが鍛造品に転写されて製品に模様
がつき、肉盛部分で割れおよび剥離が発生しやす
いという問題があり、さらにNi基耐熱合金では
耐スケール付着性が十分でないという問題があつ
た。（発明の目的）この発明は、上述した従来の問題点に着目して
なされたもので、金敷として要求される諸特性、
すなわち、高温強度、耐高温へたり性、耐割損
性、耐摩耗性、耐ヒートクラツク性等に優れてい
ると同時に、とくに耐スケール付着性にも優れ、
金敷表面疵発生の減少、金敷補修回数の低減、金
敷寿命の増大、金敷交換頻度および交換時間の短
縮等を実現することができる鍛造用金敷を提供す
ることを目的としている。（発明の構成）この発明による鍛造用金敷は、重量％で、Ｃ：
0.20％以下、Si：0.01〜2.5％、Mn：3.0％以下、
Cr：10〜25％、Al：0.5〜5.0％、Ti：0.5〜4.0％、
Co：10〜35％、および必要に応じてＷ：5.0％以
下、Nb＋Ta：5.0％以下、Ｖ：5.0％以下、Zr：
5.0％以下、Mo：5.0％以下、Ｂ：0.001〜0.05％
のうちの１種または２種以上を含み、不純物とし
てFe：5.0％以下を許容し、残部実質的にNiより
なり、鍛造作業に使用される金敷として要求され
る高温強度等の諸特性に優れ、とくに耐スケール
付着性に優れていることを特徴としている。この発明による鍛造用金敷は、上金敷、下金敷
のいずれにも適用可能であり、平金敷、やげん金
敷（Ｖ金敷）、タツプ金敷、中凸あるいは中凹金
敷等として使用されるものであり、いずれもこの
発明に含まれるものである。また、鍛造用金敷の製造は、鍛造や鋳造等によ
り行われるが、この発明の鍛造用金敷においては
その製造方法は一切限定されないことはいうまで
もない。次に、この発明による鍛造用金敷の成分範囲
（重量％）の限定理由について説明する。Ｃ：0.20％以下Ｃは炭化物を形成し、高温強度および高温硬さ
を高めるのに有効な元素であるが、多すぎると靭
延性が低下し、耐割損性を劣化するので0.20％以
下とした。 Si：0.01〜2.5％ Siは溶製時の脱酸剤として作用すると共に耐酸
化性を向上させるのに有効な元素であつて、この
ためには0.01％以上含有させることが必要であ
る。しかし、多量に含有させると靭延性が低下す
るので2.5％以下とした。 Mn：3.0％以下 Mnは溶製時の脱酸剤として作用すると共に、
ＳをMnSとして固定させてＳによる害を低減す
るのに有効な元素であるが、多量に含有させると
耐酸化性が劣化するので3.0％以下とした。 Cr：10〜25％ Crは耐酸化性を向上させるのに有効な元素で
あり、とくに粒界酸化を防止するためには10％以
上含有させることが必要である。しかし、多すぎ
ると強度および靭延性が劣化するので25％以下と
した。 Al：0.5〜5.0％ AlはNiおよびTiと結合し、γ′相を形成して高
温強度を向上させるのに有効であると共に、耐ス
ケール付着性を高めるのに有効な元素であり、こ
のような効果を得るために0.5％以上含有させる。
しかし、多すぎると靭延性を低下させるので5.0
％以下とした。 Ti：0.5〜4.0％ TiはAlと共に高温強度を高めるのに有効な元
素であり、Alとのバランスにより0.5％以上含有
させる。しかし、多すぎると靭延性が低下するの
で4.0％以下とした。 Co：10〜35％ Coは高温強度を確保すると共に耐酸化性を向
上させるのに有効な元素であり、耐スケール付着
性の向上に寄与する元素であるので、このような
効果を得るために10％以上含有させる。しかし、
高価な元素でもあるのでNiによる置換を考慮し
て35％以下とした。 Fe：5.0％以下 Feは不純物として含みうるものであり、この
発明ではFeが実質的に０％である場合も当然含
まれる。しかし、多すぎると耐酸化性を劣化させ
るので5.0％以下とする必要がある。Ｗ：5.0％以下 Nb＋Ta：5.0％以下Ｖ：5.0％以下 Zr：5.0％以下 Mo：5.0％以下Ｂ：0.001〜0.05％Ｖ、Nb＋Ta（いずれか一方が０である場合を
含む）、Ｖ、Zr、Mo、Ｂはいずれも高温強度な
らびに耐摩耗性を向上させるのに有効な元素であ
るので、必要に応じてこれらの１種または２種以
上を添加するのもよい。これらのうち、Ｗ、Nb、Ta、Ｖ、Moはいず
れもＣと結合して炭化物を形成し、高温強度なら
びに耐摩耗性を向上させ、ZrはＳと結合するこ
とによりＳの害をなくして粒界を強化し、熱間加
工性を向上するのに有効である。しかし、多すぎ
ると靭延性および耐酸化性に好ましくない影響を
及ぼすので5.0％以下とした。また、Ｂは粒界を強化して高温強度を高めるの
に有効な元素であり、このような効果を得るため
には0.001％以上含有させるのが良い。しかし、
多すぎると金属間化合物M₃B₂を形成して粒界強
化の効果が低下するので0.05％以下とすることが
必要である。 Ni：残部 NiはCoと共に鍛造用金敷のベースとして重要
な元素であり、特にAl、Tiと結合してγ′相Ni₃
（Al、Ti）を析出し、高温における強度を高める
ので残部とした。（実施例）表１に示す化学成分の合金および鋼を用意して
鍛造用金敷を製造し、能力800Tonfのプレスに設
置して、鍛造材としてJIS C2531のPC材を選ん
で温度800〜1280℃で鍛造を行つた。ここで、使用した金敷の耐用寿命（時間）は表
２に示す結果であつた。また使用後の金敷の表面
肌を調べたところ良好であるものを○、不良であ
るものを×として表２に示す結果となつた。さら
にスケール付着が少なくスケール付着性の良好で
あるものを○、やや良好であるものを△、不良で
あるものを×として示した。

【表】

【表】表に示すように、この発明の合金組成をもつ金
敷では耐用寿命が著しく長く、金敷の交換頻度が
少なくてすむと共に、使用後の表面肌が良好でス
ケール付着が少ないというすぐれた結果が得られ
た。これに対して比較例の合金工具鋼ではいずれも
耐用寿命が短かく、使用後の表面肌が良くないと
共に、スケール付着も多いという好ましくない結
果であつた。さらに、比較例のNi基耐熱合金で
は使用後の表面肌は良好であるものの、耐用寿命
は本発明のものよりも短かく、スケール付着も本
発明のものに比べて多いという結果が得られた。（発明の効果）以上説明してきたように、この発明による鍛造
用金敷は、重量％で、Ｃ：0.20％以下、Si：0.01
〜2.5％、Mn：3.0％以下、Cr：10〜25％、Al：
0.5〜5.0％、Ti：0.5〜4.0％、Co：10〜35％、お
よび必要に応じてＷ：5.0％以下、Nb＋Ta：5.0
％以下、Ｖ：5.0％以下、Zr：5.0％以下、Mo：
5.0％以下、Ｂ：0.001〜0.05％のうちの１種また
は２種以上を含み、不純物としてFe：5.0％以下
を許容し、残部実質的にNiよりなる組成を有す
るものであるから、鍛造用金敷として要求される
諸特性例えば高温強度、耐高温へたり性、耐割損
性、耐摩耗性、耐ヒートクラツク性に優れている
と同時に、とくに耐スケール付着性にもすぐれた
ものであり、スケール付着に伴う金敷表面疵発生
の著しい減少、金敷補修回数の低減、金敷寿命の
増大、金敷交換頻度および交換時間の短縮、鍛造
プレス休止時間の短縮、鍛造品寸法精度の向上等
を実現することができ、保熱鍛造、恒温鍛造用の
金敷としても十分に適用可能であり、鍛造作業効
率の向上ならびに鍛造コストの低減をはかること
ができるという非常に優れた効果をもたらすもの
である。

Claims

【特許請求の範囲】１重量％で、Ｃ：0.20％以下、Si：0.01〜2.5
％、Mn：3.0％以下、Cr：10〜25％、Al：0.5〜
5.0％、Ti：0.5〜4.0％、Co：10〜35％を含み、
不純物としてFe：5.0％以下を許容し、残部実質
的にNiよりなることを特徴とする耐熱性、耐ス
ケール付着性等に優れた鍛造用金敷。２重量％で、Ｃ：0.20％以下、Si：0.01〜2.5
％、Mn：3.0％以下、Cr：10〜25％、Al：0.5〜
5.0％、Ti：0.5〜4.0％、Co：10〜35％、および
Ｗ：5.0％以下、Nb＋Ta：5.0％以下、Ｖ：5.0％
以下、Zr：5.0％以下、Mo：5.0％以下、Ｂ：
0.001〜0.05％のうちの１種または２種以上を含
み、不純物としてFe：5.0％以下を許容し、残部
実質的にNiよりなることを特徴とする耐熱性、
耐スケール付着性等に優れた鍛造用金敷。