JP3141735B2 - プラスチック成形金型用鋼 - Google Patents

プラスチック成形金型用鋼

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JP3141735B2 JP07201189A JP20118995A JP3141735B2 JP 3141735 B2 JP3141735 B2 JP 3141735B2 JP 07201189 A JP07201189 A JP 07201189A JP 20118995 A JP20118995 A JP 20118995A JP 3141735 B2 JP3141735 B2 JP 3141735B2
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    • B29K2905/00Use of metals, their alloys or their compounds, as mould material

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成形
金型用鋼に関し、さらに詳しくは、プラスチックの射出
成形等の金型に用いられる金型用鋼であって、切削工具
の寿命が長く、加工能率が高く、切削後の被加工材の加
工ひずみが軽微というように被削性に優れたプラスチッ
ク成形金型用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、一般に加熱により軟化
した樹脂を金型に圧入する射出成形法によって成形され
る。この成形に用いられる金型は、製品の形状に合わせ
た金型内面の形状に精度よく加工されていなければなら
ない。また、金型の内表面も、製品の表面状態に合わせ
て精度よく仕上げられていなければならない。そのため
に、金型の価格が高いという問題があり、金型の製作費
の削減が求められている。
【0003】金型の製作費の内、金型の機械加工費が著
しく高く、金型の価格の大半を占めている。したがっ
て、機械加工費の低減策として、特に金型用鋼の被削性
の向上が強く要求されている。また、最近はプラスチッ
ク製品の意匠性の向上にともなって、金型用鋼に対し
て、磨き研磨性、梨地模様のような表面を得るためのシ
ボ加工性(被エッチング性)などの向上も求められてい
る。この他、金型用鋼は、金型用鋼に求められる一般的
な特性として、機械的性質(硬さ、耐力、延性、靱
性)、放電加工性、金型の補修再生に必要な溶接性(溶
接補修性)などの特性も備えていなければならない。
【0004】S55C等の炭素鋼、SCM440等の中
炭素低合金鋼が一般的に用いられている。これらの金型
用鋼の被削性の向上については、いくつかの対策が講じ
られている。例えば、特公平1−21867号公報、特
開平4−116139号公報には、S、Pb、Se、T
eあるいはREM(希土類金属)などの被削性を向上さ
せる元素(快削性元素)を添加した鋼が開示されてい
る。しかし、これらの快削性元素を添加すると、被削性
は向上するものの、鋼中の非金属介在物が増加するの
で、磨き研磨性およびシボ加工性(被エッチング)が悪
くなる。そのため、非金属介在物を増やすことなく、被
削性を上げる対策として、快削性元素の添加に代えて、
S含有率を高くするとともにZrを添加し、長さ/幅比
の極力小さい硫化物を生成させることによって被削性を
向上させた鋼が提案されている(特公昭62−3482
8号、特公平1−14988号、特公平2−5813
号、特公平3−68103号公報)。この対策について
も、非金属介在物の増加を伴うので、溶接性の低下、機
械的性質の異方性の増加等の問題がある。これらの快削
性元素の添加あるいは非金属介在物の形態制御による被
削性の改善に依らない方法として、Cuを含有させて被
削性を向上させた鋼が開示されている(特公昭60−4
1700号、特開平2−263953号公報)。しか
し、いずれの対策についても、金型の製作費を削減でき
るほどの被削性の改善効果が得られていないのが実状で
ある。
【0005】なお、従来のプラスチック成形金型用鋼で
は、Siは被削性に有害とされているため、含有率が低
く抑えられていた。前記の特許公報に開示されている実
施例についても、一部に1%程度のSi含有率の例が見
られるが、0.5%に満たない場合がほとんどである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するためになされたものであって、切削工具の寿
命が長く、切削加工能率が高く、切削加工後の被切削材
の加工ひずみが軽微といった優れた被削性を備えるとと
もに、シボ加工性(被エッチング性)、溶接性、磨き研
磨性等の特性にも優れたプラスチック成形金型用鋼を提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の様
々な手段では解決できなかった上記課題を解決するため
に、被削性のメカニズムの解明を考慮した研究開発を行
った。特に、二次イオン質量分析法による切削屑表面の
生成物の調査等を基にした切削加工のトライポロジーを
研究した。その結果、Siは被削性に有害とする従来の
考え方とはまったく異なり、Si含有率が高い方が被削
性がよいことを見いだした。発明者らの知見を整理する
と下記のとおりである。
【0008】 被削性の劣る低Si鋼(調査例のS
i:0.07重量%。以下、化学組成の%表示は重量
%)の超硬工具による切削屑の表面に生成する酸化皮膜
は、Cr、Mnの酸化物が主体である。
【0009】 被削性に優れた高Si鋼(調査例のS
i:1.56%)の超硬工具による切削屑の表面に生成
する酸化皮膜は、融点の低いSiO2 −FeO系が主体
である 。
【0010】 高Si鋼では、SiO2 を主体とする
融点の低い酸化皮膜が切削工具と被切削材との間で、潤
滑剤としての作用をしている。
【0011】 Si含有率の増加とともに、金型用鋼
のAC1変態点(変態温度)が高くなる(図1)。例えば
C1変態点は、Si含有率0.5%で760℃、1.0
%で800℃程度となる。Siの効果によって、金型用
鋼のAC1変態点が切削時の金型用鋼の表面温度(超硬工
具による金型用鋼のフライス加工時の表面温度は、70
0〜750℃)より高くなるので、オーステナイト変態
を防止できる。そのために、切削加工後の被加工材の加
工ひずみが少ない。
【0012】 Si含有率を高くすることにより、金
型用鋼の被削性(加工能率、工具寿命)を向上できると
ともに、切削加工後の被加工材の加工ひずみを低下でき
る。
【0013】 の対策が講じられた金型用鋼では、
快削性元素の添加、Zrによる硫化物の形態制御等を必
要とすることなく、被削性を向上させられる。したがっ
て、被削性の向上と同時に、磨き研磨性が向上し、さら
に切削加工後の被加工材の加工ひずみが少ない。しか
も、金型用鋼としての他の特性を損なうことがない。
【0014】本発明は、上記の知見を基に完成されたも
のであって、その要旨は下記のとおりである。
【0015】本願発明の基本鋼は、重量%で、C:0.
05〜0.55%、Si:0.5〜2.5%、Mn:
0.10〜2.50%、P:0.035%以下、S:
0.080%以下、Al:0.02%以下、O(酸
素):0.001〜0.008%を含有し、残部はFe
および不可避の不純物からなるプラスチック成形金型用
鋼である。この基本鋼のFeの一部に代えて、V:0.
50%、および/またはCr:3.0%以下、Ni:
2.0%以下、Mo:1.5%以下およびB:0.01
%以下のうちの少なくとも1種を含んでもよい。さら
に、これらの鋼のFeの一部に代えて、Bi:0.05
%以下、Be:0.1%以下、Pb:0.05%以下、
Te:0.05%以下およびNd:0.1%以下のうち
の少なくとも1種を含んでもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のプラスチック成形金型用
鋼(以下、本発明鋼と記す)の特徴は、従来とは発想を
異にし、プラスチック成形金型用鋼としては、高めのS
i含有率を選択するところにある。本発明鋼のSi含有
率の適正な範囲とその根拠について以下に説明する。
【0017】表1に示す化学組成を備えたプラスチック
成形金型用鋼を対象に、まず、超硬工具によるフライス
加工における被削性について調査した。
【0018】
【表1】
【0019】図2に、金型用鋼のSi含有率と工具寿命
との関係、図3に、Si含有率とフライス加工時の加工
能率(切削量比、表1の金型用鋼No.1の切削量を基
準値1とした比)との関係を示した。工具寿命、加工能
率ともに、Si含有率の増加とともに著しく向上する。
特に、0.5%以上での改善効果が顕著であり、1.0
%以上ではさらに優れた効果が得られることが分かる。
【0020】次に、表1に示す化学組成を備えた金型用
鋼を対象に、高速度鋼工具によるエンドミル加工におけ
る被削性について調査した。
【0021】図4に、金型用鋼のSi含有率と工具寿命
との関係、図5にSi含有率と加工能率との関係を示し
た。高速度鋼工具の場合も超硬工具の場合とまったく同
様な結果が得られた。さらに、高速度鋼工具を用いて、
表1の金型用鋼のドリル加工における被削性についても
調査したが、Si含有率の効果は、上記の超硬工具によ
るフライス加工および高速度工具によるエンドミル加工
の場合と同様であった。
【0022】図6に、超硬工具によって金型用鋼をフラ
イス加工した時の被加工材の切削後の加工ひずみとSi
含有率との関係を示した。加工ひずみは、Si含有率
0.5%以上で著しく小さくなることが分かる。この原
因は、Si含有率が0.5%未満のように低い場合に
は、AC1変態点が低いので、被加工材がオーステナイト
相の状態で切削されているためである。このオーステナ
イト相が冷却されてマルテンサイト変態することによっ
て、加工ひずみが生じやすい。一方、Si含有率が0.
5%以上の場合には、オーステナイトに変態しない状態
で切削加工されるので、上記の変態が生じず、加工ひず
みが著しく小さい。
【0023】このように、プラスチック成形金型用鋼の
Si含有率を、0.5%以上、好ましくは1.0%以上
とすることにより、超硬工具、高速度鋼工具ともに工具
寿命および加工能率を著しく向上させることができると
ともに、被加工材の加工ひずみを著しく小さくすること
ができる。
【0024】以下、Si以外の元素の含有率の範囲とそ
の限定理由について説明する。
【0025】C:Cは鋼の強度を高めるのに有効な元素
である。しかし、その含有率が0.05%未満では、鋼
の強度を確保することが難しい。一方、0.55%を超
えると、靱性および被削性を悪くするので、C含有率は
0.05〜0.55%とした。被削性を特に重視する場
合には、0.05〜0.30%の範囲が好ましい。その
理由は、Cを低くすることによって、ある程度のフェラ
イト量を確保するためであり、Siがフェライト相に固
溶して、この相が切削潤滑性を改善する。なお、パーラ
イトまたはベイナイトのみでは、この効果を十分に得る
ことができない。
【0026】Mn:Mnは鋼の熱間加工性および焼入性
を向上させるのに有効な元素である。しかし、含有率が
0.10%未満ではMnの効果が得られない。また、M
n含有率が2.5%を超えると、切削屑の表面に生成す
る低融点のSiO2 −FeO系酸化物が高融点のSiO
2 −MnO系酸化物に変わり、被削性を害する。したが
って、Mn含有率は0.10〜2.50%とした。
【0027】Cr:Crは鋼の焼入性の向上に有効な元
素である。本発明鋼ではCrは必須の元素ではないが、
添加する場合は、その含有率が3.0%を超えると被削
性を害するので、上限を3.0%とした。なお、焼入性
を確保するために、Cr+Mn含有率は0.5%以上が
望ましい。
【0028】Ni:Niは鋼の焼入性を向上させる元素
であるが、鋼の被削性を下げる作用がある。また、Ni
は高価であるので、これらの点を考慮して、2.0%以
下とした。なお、本発明鋼では、Niを含んでいなくて
もよい。
【0029】Mo:Moは焼入性の向上および焼戻し脆
化の防止に有効な元素である。しかし、鋼の被削性を低
下させる作用もあるので、これらの点を考慮して、1.
5%以下とした。本発明鋼では、Moを含んでいなくて
もよい。
【0030】V:Vは鋼の焼戻し軟化抵抗の向上に有効
な元素である。また、Vは低融点酸化物を形成するた
め、Siの被削性向上効果を助ける働きがある。しか
し、その含有率が0.50%を超えると、鋼の被削性の
低下および靱性の低下を招くので、上限は0.50%と
した。なお、本発明鋼では、Vは必要に応じて添加する
元素である。
【0031】P:Pは、鋼の靱性を害するので、極力低
い方がよい。通常の工業的な精錬方法で製造できる範囲
として、本発明鋼では、上限を0.035%とした。
【0032】S:Sは、被削性の向上に有効な元素であ
る。しかし、Sは鋼の靱性には有害であり、また、溶接
割れを起こしやすくする。したがって、本発明鋼ではS
含有率は、0.080%以下とした。ただし、通常の不
純物レベルでもよい。
【0033】Al:Alは溶鋼の脱酸剤として添加さ
れ、その脱酸生成物であるAl2 3系介在物が鋼中に
残る。Al2 3 系介在物は硬質なため、被削性に有害
である。鋼中のAl含有率が少ない方が、Al2 3
介在物も少ないので、鋼中のAlは極力少ない方がよ
い。本発明鋼では、sol.Alを含む全Al含有率の
上限は、0.02%とした。
【0034】O:軟質な酸化物系介在物は、鋼の被削性
の向上に有効である。例えば、鋼中のSiO2 系介在物
に対しては、切削加工時に工具の刃先と被切削物との間
に生成する酸化皮膜の層(SiO2 またはSiO2 −F
eO)と同様な効果が期待できる。したがって、O含有
率の下限は、0.001%とした。ただし、酸化物が過
剰に存在する場合には、鋼の靱性が低下するので、O含
有率の上限は、0.008%とした。
【0035】B:Bは鋼の焼入性を向上させるのに有効
な元素である。また、Bの酸化物は融点が低いため、S
iの被削性向上効果を助ける働きがある。しかし、B含
有率が高すぎる場合には、鋼の靱性の低下および溶接性
の低下が起こるので、Bを含有する場合の上限は、0.
01%とした。なお、本発明鋼では、Bは必要に応じて
添加すればよい。
【0036】Bi、Be、Pb、Te、Nd:これらの
元素は、鋼の被削性を向上させる働きを持っている。B
iとPbは低融点の相を形成して被削性を改善し、Te
とNdは硫化物の形態を制御して被削性を改善する。本
発明鋼は、これらの被削性を向上させる快削性元素を添
加しなくても、実用上十分な被削性を備えている。した
がって、これらの元素は、本発明鋼では必須の元素では
ないが、さらに優れた被削性が要求される場合には、必
要に応じて添加すればよい。ただし、BiおよびBeの
含有率が過剰な場合には、鋼の靱性が低下し、Pbの含
有率が過剰な場合には、切削面が粗くなる。また、Te
が過剰な場合には、鋼の高温延性を害し、Ndは価格が
高いという問題がある。したがって、こられの元素の含
有率の上限は、Bi:0.05%、Be:0.10%、
Pb:0.05%、Te:0.05%、Nd:0.1%
とした。
【0037】なお、Zrは、硫化物の形態を変えて鋼の
被削性を向上させる効果を持つとされている。しかし、
本発明鋼では、硫化物の形態を制御することによって、
被削性を向上させることを必ずしも必要としていない。
本発明鋼のZr含有率は、工業的に製造する際に、原料
から混入してくる程度の量である0.001%未満で差
し支えない。
【0038】本発明のプラスチック成形金型用鋼は、通
常工業的に用いられている製造設備および製造方法でつ
くることができる。例えば、アーク式電気炉で原料を溶
解して精錬した後、所定の化学組成になるように合金元
素を添加して成分調整し、造塊法よって鋼塊に鋳造す
る。電気炉の代わりに転炉を用いることもできるし、造
塊法の代わりに連続鋳造法を採用してもよい。
【0039】
【実施例】表2および表3に供試材の化学組成を示す。
表2には本発明鋼、表3には比較鋼および従来のプラス
チック成形金型用鋼(以下、従来鋼と記す)の化学組成
を示した。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】供試材は次の方法で作製した。アーク式電
気炉によって溶解した溶鋼を表2および表3に示す化学
組成に成分調整し、1000Kg鋼塊に鋳造した。得ら
れた鋼塊を1200℃に加熱した後、鍛伸と据え込みを
繰り返して、鍛造比4以上となるまで鍛造し、幅400
mm、厚さ150mmの素材を得た。この素材を加熱温
度850℃〜900℃で焼きならし処理し、さらに55
0〜650℃に加熱して、焼戻し処理を行った。上記の
処理で得られた供試材の硬さは、ショア硬度で25〜3
3であった。
【0043】上記の供試材について、被削性、シボ加工
性、溶接補修性および磨き研磨性を評価した。被削性
は、超硬工具を用いたフライス切削加工試験、高速度工
具を用いたエンドミル切削加工試験を行い、それぞれ工
具寿命、加工能率および加工ひずみ(ただし、加工ひず
みの測定はフライス加工のみ)を求めることによって評
価した。なお、被削性試験に用いた試験片の大きさは、
縦400mm、横400mm、厚さ150mmである。
シボ加工性は、試験片に対して、塩化第2鉄水溶液によ
って皮シボ模様を形成するエッチングを施し、シボ模様
のむら(シボむら)の有無によって評価した。また、溶
接補修性は、JISZ3158に規定されているy形溶
接割れ試験方法を行い、溶接後の試験片に生じる割れの
有無によって評価した。磨き研磨性は、試験片の表面を
手仕上げにより鏡面度#3000に研磨し、鏡面のむら
の有無によって評価した。
【0044】表4、表5に、それぞれ本発明鋼、比較鋼
(従来鋼を含む)の試験結果を示した。シボ加工性およ
び磨き研磨性については、むらがない場合は○、むらが
ある場合は×として表示した。また、溶接補修性につい
ては、割れがなかった場合は○、割れが生じた場合は×
として表示した。
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】試験結果について、表4の本発明鋼と表5
の従来鋼(供試材No.44:S55CおよびNo.4
5:SCM440)について比較すると、次のとおりで
ある。表4から明かなように、本発明鋼の工具寿命は、
超硬工具によるフライス加工の場合が6200mm以
上、高速度工具によるエンドミル加工の場合が1350
0mm以上である。それに対して、従来鋼はそれぞれ2
000mm未満、7100mm以下となっており、本発
明鋼の方が著しく長い。また、加工能率は、供試材N
o.44の従来鋼(JISS55C相当材)を1とし
て、本発明鋼では、超硬工具によるフライス加工の場合
が2.4倍以上、高速度鋼工具によるエンドミル加工の
場合が2.2倍以上となっている。加工能率において
も、本発明は従来鋼にくらべて格段に優れている。さら
に、超硬工具による切削加工後の被加工材の加工ひずみ
は、本発明鋼では長さ400mmに対して0.07mm
以下であったのに対して、従来鋼では、0.31mmと
0.38mmと極めて大きな値であった。その他の特性
についても、本発明鋼は、すべての供試材において、シ
ボ加工性、溶接補修性および磨き研磨性にまったく問題
がないのに対して、従来鋼は、溶接補修性に劣っている
ことが認められた。このように、本発明鋼は、被削性お
よびその他の上記の特性において、従来鋼にくらべて、
極めて優れていることが確認された。
【0048】また、本発明鋼の化学組成に対して、一部
の元素がその範囲外である比較鋼(供試材No.23〜
43)についての試験結果は、次のとおりである。比較
鋼は、一部の元素が本発明鋼の範囲外に過ぎない。その
ため、表5に示されているように、被削性(工具寿命、
加工能率、加工ひずみ)、シボ加工性、溶接補修性およ
び磨き研磨性に、比較鋼の中でも、本発明鋼並みの値が
見られる。しかし、これらのすべての特性値が本発明鋼
並みの供試材はない。特に、Si含有率が低い供試材N
o.25については、被削性が工具寿命、加工能率およ
び加工ひずみすべての面で、本発明鋼より劣っているこ
とが明かである。
【0049】上記のように、本発明のプラスチック成形
金型用鋼は、被削性、シボ加工性、溶接補修性(溶接
性)および磨き研磨性ともに極めて優れており、従来鋼
および比較鋼に比べて、格段に良好な性能を備えている
ことが実証された。
【0050】
【発明の効果】本発明のプラスチック成形金型用鋼は、
工具寿命、加工能率等の被削性に優れ、切削加工後の被
加工材の加工ひずみが少ない。また、シボ加工性、溶接
補修性(溶接性)、磨き研磨性等の特性も良好である。
本発明鋼の適用による工具寿命の向上は、工具費の低減
および切削加工の無人化に結び付き、加工能率の向上
は、加工時間の短縮、ひいては金型製作リードタイムの
短縮につながる。さらに、加工ひずみが軽微であること
は、研磨工程の省略による金型製作所要日数の短縮にも
結び付く。このように、本発明のプラスチック成形金型
用鋼は、金型の製作費の低減および製作所要日数の短縮
が可能であるとともに、シボ加工性、溶接性補修性(溶
接性)、磨き研磨性にも優れているために、金型製作、
プラスチックの成形加工に対して、多大な効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】金型用鋼のSi含有率とAC1変態点の関係を示
す図である。
【図2】金型用鋼のSi含有率と超硬工具による金型用
鋼のフライス加工における工具寿命との関係を示す図で
ある。
【図3】金型用鋼のSi含有率と超硬工具による金型用
鋼のフライス加工における加工能率との関係を示す図で
ある。
【図4】金型用鋼のSi含有率と高速度工具による金型
用鋼のエンドミル加工における工具寿命との関係を示す
図である。
【図5】金型用鋼のSi含有率と高速度工具による金型
用鋼のエンドミル加工における加工能率との関係を示す
図である。
【図6】金型用鋼のSi含有率と超硬工具による金型用
鋼のフライス加工における被加工材の加工ひずみとの関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 康孝 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−115523(JP,A) 特開 昭61−34162(JP,A) 特開 平2−57633(JP,A) 特開 平7−173573(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.05〜0.55%、S
    i:0.5〜2.5%、Mn:0.10〜2.50%、
    P:0.035%以下、S:0.080%以下、Al:
    0.02%以下、O(酸素):0.001〜0.008
    %を含有し、残部はFeおよび不可避の不純物からなる
    ことを特徴とする被削性に優れたプラスチック成形金型
    用鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.05〜0.55%、S
    i:0.5〜2.5%、Mn:0.10〜2.50%、
    P:0.035%以下、S:0.080%以下、Al:
    0.02%以下、O(酸素):0.001〜0.008
    %、V:0.50%以下を含有し、残部はFeおよび不
    可避の不純物からなることを特徴とする被削性に優れた
    プラスチック成形金型用鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.05〜0.55%、S
    i:0.5〜2.5%、Mn:0.10〜2.50%、
    P:0.035%以下、S:0.080%以下、Al:
    0.02%以下、O(酸素):0.001〜0.008
    %ならびにCr:3.0%以下、Ni:2.0%以下、
    Mo:1.5%以下およびB:0.01%以下のうちの
    少なくとも1種を含有し、残部はFeおよび不可避の不
    純物からなることを特徴とする被削性に優れたプラスチ
    ック成形金型用鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、C:0.05〜0.55%、S
    i:0.5〜2.5%、Mn:0.10〜2.50%、
    P:0.035%以下、S:0.080%以下、Al:
    0.02%以下、O(酸素):0.001〜0.008
    %、V:0.50%以下ならびにCr:3.0%以下、
    Ni:2.0%以下、Mo:1.5%以下およびB:
    0.01%以下のうちの少なくとも1種を含有し、残部
    はFeおよび不可避の不純物からなることを特徴とする
    被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼。
  5. 【請求項5】 Feの一部に代えて、Bi:0.05%以
    下、Be:0.1%以下、Pb:0 .05%以下、T
    e:0.05%以下およびNd:0.1%以下のうちの
    少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1な
    いし4のいずれかに記載の被削性に優れたプラスチック
    成形金型用鋼。
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