JPH0547568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、扱胴室で脱粒処理した脱穀処理物を
扱胴室の受網から漏下させ、受網の下方に設けた
揺動選別室で揺動選別を行う脱穀機において、揺
動選別体を構成するクリンプ網上での選別を、脱
穀処理物の量、その屑の混合量または水分等に応
じて、円滑にしかも能率よく行われるようにした
選別装置に係るものである。

従来の技術 従来、扱胴の軸線方向に脱穀処理物を移送しな
がら脱粒処理する、いわゆる軸流型の脱穀機は、
コンバイン等の脱穀部として広く用いられてお
り、この軸流型の脱穀機には、扱胴室の受網下方
に、脱粒処理物を揺動し、かつ風選する揺動選別
体を内蔵した揺動選別室を備えている。

考案が解決しようとする問題点 ところで、従来のこの種の脱穀機においては、
扱胴室での脱穀処理量が多い場合や、脱穀処理物
に藁屑等が多く混入し、またその水分が多い場合
には、揺動選別体のクリンプ網上における選別能
力を越える状態となつて２番還流量が増加し、選
別能力が著しく低下して、穀粒の３番排出量が多
くなるのが問題であつた。

本考案は、かかる従来のものにおける問題点に
鑑み、揺動選別体を構成するクリンプ網の移送方
向の先端部位を分割してその先端側を軸として１
番流穀板に沿うように下方に回動可能に構成した
ことにより、脱穀処理物の量、その屑の混合量ま
たは水分等に応じてクリンプ網上での選別負荷の
調整を図つて円滑な揺動選別が行われるように
し、もつて、２番還流量を少なくして選別能力を
大幅に向上させることができる脱穀機における選
別装置を提供することを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、その目的を達成するための技術的手
段として次のように構成した。

すなわち、その構成は、扱胴室で脱粒処理した
脱粒処理物を扱胴室の受網から漏下させ、受網の
下方に設けた揺動選別室で揺動選別を行う脱穀機
において、揺動選別室内にはクリンプ網とその移
送方向に接続されたストローラツク等からなる揺
動選別体を設け、揺動選別体を構成するクリンプ
網の移送方向の先端部位を分割してその先端側を
軸として１番流穀板に沿うように下方に回動可能
に構成し、揺動選別室の一端部には、上記揺動選
別体の下方を通つて他端側の排塵口方向に選別風
を送風する送風機を設けて構成したことを特徴と
する脱穀機における選別装置としたものである。

作 用 本考案に係る脱穀機における選別装置は、前記
のように構成されているので、扱胴室の受網から
漏下する脱穀処理物の量、脱穀処理物の屑の混合
量または水分等に応じて、揺動選別体のクリンプ
網上に脱穀処理物が過剰に滞留しないようにクリ
ンプ網の先端部位を下方に回動させてその傾斜角
を調整すれば、揺動選別体のクリンプ網による選
別負荷の軽減が図られる。このため、脱穀処理物
の量が多い場合、屑の混合量が多い場合または水
分が多い場合でもクリンプ網による揺動選別が十
分に行われるので、２番還流量が減少し、３番排
出穀粒が減少する。

実施例 本考案の一実施例を図面について説明する。

図面において、１は脱穀機の扱胴室、２は扱胴
であつて、扱胴室１の一側後部には処理胴室３が
設けられており、扱胴室１と処理胴室３は連通口
４によつて接続されている。この処理胴室３は扱
胴室１から送出される脱穀処理物を脱粒処理する
ためのものであつて、その内部には処理胴５が設
けられており、処理胴５の前端側は繰込み螺旋体
６となつている。扱胴室１の下面は脱穀処理物を
漏下させる受網７によつて構成されており、処理
胴室３の内側面も受網８によつて構成されてい
る。

上記扱胴室１と処理胴室３の下方は揺動選別室
９となつている。この揺動選別室９内には、扱胴
室１の受網７および処理胴室３の前部下方に対応
して揺動選別体１０が設けられており、揺動選別
体１０は、クリンプ網１１、その流れ方向端に接
続された揺動流板１２、さらにその流れ方向端に
接続されたストローラツク１３等によつて構成さ
れいて、ストローラツク１３の流れ方向終端は排
藁口（３番口）１４に達している。１５は１番収
穀樋、１６は２番収穀樋、１７は唐箕（送風機）
であつて、１番収穀樋１５は揺動選別体１０のク
リンプ網１１の下方に、２番収穀樋１６は揺動流
板１５との接続部下方に、さらに唐箕１７は揺動
選別室９の奥にそれぞれ配設されており、揺動選
別体１０のクリンプ網１１の移送方向先端から下
方に延びる１番流穀板１８は１番収穀樋１５に向
けられている。クリンプ網１１の移送方向の先端
部位１１ａは他の部分と分割され、その先端が軸
によつて下方に回動自在に枢支されており、クリ
ンプ網１１の先端部位１１ａは、その他の部分と
同一面となる状態から下方に最も傾斜させて１番
流穀板１８のくぼみ１８ａ内に埋没してその面に
沿う状態まで傾斜角が調節自在となつている。１
９はその傾斜角調節レバー、２０は連動ワイヤ、
２１は引張スプリングである。２２はクリンプ網
１１の有効面を調節する目ふさぎ板、２３はその
調節レバーである。２４はチヤフシーブ、２５は
揺動流板である。揺動選別室９の排塵側一側には
吸引排塵フアン２６が設けられており、２７はそ
の排塵口である。そして、唐箕１７から送風され
る選別風は、図示矢印のように揺動選別体１０の
下方を通つて吸引排塵フアン２６に吸引され、そ
の排塵口２７から排出されるようになつている。
扱胴室１には穀稈を供給するためのフイードチエ
ーン２８が設けられており、２９はその挟扼レー
ル、３０は排藁チエーンである。

以上のように構成された脱穀機において、扱胴
室１で脱穀処理された脱穀処理物は、扱胴室１内
を扱胴２の軸線方向に移動する過程で受網７から
漏下し、揺動選別室９内の揺動選別体１０によつ
て揺動選別され、精粒はそのクリンプ網１１を漏
下して１番流穀板１８を伝つて１番収穀樋１５に
流下し、２番物は２番収穀樋１６に流下して搬出
される。藁屑等は排塵口１４から機外に排出され
る。扱胴室１から漏下しなかつた脱穀処理物は処
理胴室３に移送されてさらに脱粒処理され、その
受網８から揺動選別体１０によつて同様に揺動選
別される。

ところで、扱胴室１の受網７から漏下する脱穀
処理物の量、脱穀処理物の屑の混合量または脱穀
処理物の水分等に応じて、揺動選別体９のクリン
プ網１１上に脱穀処理物が過剰に滞留しないよう
に、傾斜角調節レバー１９を操作し、クリンプ網
１１の先端部位１１ａを下方に回動させてその傾
斜角を調整すれば、クリンプ網１１からの穀粒の
瀘過が妨げられる現象をなくし、揺動選別体１０
のクリンプ網１１による選別負荷の軽減が図ら
れ、しかも、唐箕１７からの選別風の通りも良好
になり、風選効果も向上する。このため、脱穀処
理物の量が多い場合、屑の混合量が多い場合また
は水分が多い場合でもクリンプ網１１による揺動
選別が十分に行われるので、２番還流量が減少
し、ひいては排塵口１４から藁屑とともに排出さ
れる３番排出穀粒が減少する。

考案の効果 本考案は、以上説明したように、扱胴室で脱粒
処理した脱穀処理物を扱胴室の受網から漏下さ
せ、受網の下方に設けた揺動選別室で揺動選別を
行う脱穀機において、揺動選別室内にはクリンプ
網とその移送方向に接続されたストローラツク等
からなる揺動選別体を設け、揺動選別体を構成す
るクリンプ網の移送方向の先端部位を分割してそ
の先端側を軸として１番流穀板に沿うように下方
に回動可能に構成し、揺動選別室の一端部には、
上記揺動選別体の下方を通つて他端側の排塵口方
向に選別風を送風する送風機を設けたから、脱穀
処理物の量、その屑の混合量または水分等に応じ
てクリンプ網上での選別負荷の調整を図つて円滑
な揺動選別が行われるようにし、２番還流量を少
なくして選別能力を大幅に向上させることができ
る効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る脱穀機における選別装置の
一実施例を示すものであつて、第１図は脱穀機全
体の縦断側面図、第２図はその揺動選別体の縦断
側面図、第３図はその一部の拡大側面図、第４図
は同上斜視図である。 １……扱胴室、２……扱胴、３……処理胴室、
４……連通口、５……処理胴、７……受網、９…
…揺動選別室、１０……揺動選別体、１１……ク
リンプ網、１１ａ……その先端部位、１３……ス
トローラツク、１４……排塵口、１５……１番収
穀樋、１６……２番収穀樋、１７……唐箕、１８
……１番流穀板、１９……傾斜角調節レバー、２
０……連動ワイヤ、２１……引張スプリング、２
６……吸引排塵フアン、２７……排塵口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扱胴室で脱粒処理した脱穀処理物を扱胴室の受
   網から漏下させ、受網の下方に設けた揺動選別室
   で揺動選別を行う脱穀機において、揺動選別室内
   にはクリンプ網とその移送方向に接続されたスト
   ローラツク等からなる揺動選別体を設け、揺動選
   別体を構成するクリンプ網の移送方向の先端部位
   を分割してその先端側を軸として１番流穀板に沿
   うように下方に回動可能に構成し、揺動選別室の
   一端部には、上記揺動選別体の下方を通つて他端
   側の排塵口方向に選別風を送風する送風機を設け
   て構成したことを特徴とする脱穀機における選別
   装置。