JPH054754Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シートの前後方向および上下方向に
可動自在に支持されるヘツドレストの可動構造に
関する。

〔従来の技術〕

一般に、車両用シート等にあつては、自動車の
走行中、着座者を安定して保持するとともに、適
切な座り心地感を与え、長時間にわたる着座状態
にあつてもその疲労をできるだけ軽減し得ること
が望まれ、このためシート各部に種々のサポート
装置が付設される。そして、このようなサポート
装置として最も一般的なものとして、着座者の頭
部をその背面にて支持するようにシートバツクの
上端部にヘツドレストステイを介して設けられる
ヘツドレストが知られている。

このようなヘツドレストとして従来からの種々
の構成のものが知られており、たとえばシートバ
ツク上端部から延設されたヘツドレストステイに
より支持されるヘツドレストを、シートの前後方
向に可動自在に設けるようにした前後位置調整型
も周知である。そして、このような前後への可動
ヘツドレスト構造とすれば、上述したヘツドレス
トステイをシートバツクに挿抜することによる上
下高さ位置調整と共に、着座者のフイーリングを
より一層向上させるうえで効果を発揮し得るもの
であつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上述した従来のヘツドレストによれ
ば、その上下高さ位置調整は、ヘツドレストを持
上げたり押込んだりしてヘツドレストステイをシ
ートバツクに対し挿抜する手動操作で行われる一
方、前述した前後位置調整は、ヘツドレスト側部
等に設けられた操作ノブを回転または押圧操作す
ることで行われており、、これらの位置調整を連
続して行う際に、全く異なる動きを必要とするた
め、調整操作者にとつてその煩雑さが避けられな
いもので、操作性の面から問題であつた。

特に、この種のヘツドレストを前後および上下
に可動調整自在に支持することは、体格や好みの
異なる着座者の座り心地感を向上させるうえで必
要とされており、またこのような可動構造には、
できるだけ簡単な構成で、小型化が可能でありし
かも操作性やコスト面で優れ、さらに所望の調整
位置でヘツドレストの動きを確実に係止し、たと
えば着座者が着座した際の負荷に抗してその位置
を安定的にかつ強固に保持し得ること等といつた
条件を満足することが望まれ、これらの点を考慮
し上述した問題点を解消し得る何らかの対策を講
じることが必要とされている。

〔問題点を解決するための手段〕

このような要請に応えるために、本考案に係る
ヘツドレストの可動構造は、シートバツク上端部
から延設されたヘツドレストステイに対し前後ス
ライド機構および上下スライド機構によりシート
の前後方向および上下方向に可動自在に支持され
るヘツドレストの可動構造において、前記前後ス
ライド機構はヘツドレストステイに固定される固
定側レールと、該固定側レールに前後スライド自
在に支持される可動側レールとからなり、前記可
動側レールは基部フレームと一体的に形成され、
該基部フレームの一部に前記上下スライド機構の
固定側レールが一体に連設され、該固定側レール
に可動側レールが上下スライド自在に支持され、
該可動側レールがヘツドレスト本体側のパネルに
連結され、前記基部フレームに駆動軸が回転自在
に配設され、該駆動軸に第１および第２の一方向
回転伝達部材が設けられ、該第１および第２の一
方向回転伝達部材に第１および第２の駆動側歯車
が連結され、前記第１の一方向回転伝達部材は駆
動軸の正転時にのみ駆動力を前記第１の駆動側歯
車に伝達し、前記第２の一方向回転伝達部材は駆
動軸の逆転時にのみ駆動力を前記第２の駆動側歯
車に伝達するようになされ、前記第１および第２
の駆動側歯車により連動させられるとともに第１
および第２のリンク機構を介して前記前後スライ
ド機構および上下スライド機構に夫々連結される
第１および第２のリンク側歯車を備え、該第１お
よび第２のリンク側歯車が第１および第２のロツ
ク機構を介して前記第１および第２のリンク機構
に連結され、前記第１または第２の駆動側歯車の
正転または逆転により前記前後スライド機構また
は上下スライド機構が選択的に調節されるように
なされていることを特徴とする。

〔作用〕

本考案に依れば、駆動軸を電動モータまたは操
作ノブにより正転または反転させることにより、
駆動軸上の第１または第２の一方向回転伝達部材
に連結された第１または第２の駆動側歯車を選択
的に回転させることが出来、これら第１または第
２の駆動側歯車からの回転力が、第１または第２
のリンク側歯車を介して第１または第２のリンク
機構により前後スライド機構または上下スライド
機構に選択的に伝達され、ヘツドレストの所要の
可動位置調整が簡単かつ適切に行え、また前後ス
ライド機構の可動側レールは基部フレームと一体
的に形成され、また基部フレームの一部に上下ス
ライド機構の固定側レールが一体に連設されてい
るので可動構造を小型化することができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図ないし第５図は本考案に係るヘツドレス
トの可動構造の一実施例を示すものであり、これ
らの図において、符号１で示す可動ヘツドレスト
は、シートバツク２上端部（第４図参照）に挿入
して保持された状態で取付け固定される略々下向
きコ字状を呈するヘツドレストステイ３と、この
ヘツドレストステイ３上で前後スライド機構４お
よび上下スライド機構５を介してシートの前後方
向および上下方向（第４図矢印参照）に可動自在
に支持されるヘツドレスト本体６とから構成され
ている。なお、このヘツドレスト本体６は、周知
のように本体フレームとなるパネル７の周囲に付
設されるパツド材やその表面を覆う表皮材（図示
せず）等で構成されることは勿論である。

さて、本考案によれば、上述した構成によるヘ
ツドレスト１において、第１図および第３図から
明らかなように、電動モータ１９の出力側に連結
された駆動軸１０に第１および第２の一方向回転
伝達部材９ａ，９ｂが設けられており、この第１
および第２の一方向回転伝達部材９ａ，９ｂは本
実施例では、第６図Ａ，Ｂに示す如く、ラチエツ
ト機構３１，３２を用いた場合として説明する
が、ラチエツト機構３１，３２に代えてフリーホ
イール機構を用いることが出来るものである。

ラチエツト機構３１，３２は駆動軸１０に回転
自在に嵌合されたラチエツトホイール３３，３４
と、駆動軸１０に固着された円筒状のケーシング
３５，３６と、該ケーシング３５，３６に枢支さ
れ、前記ラチエツトホイール３３，３４のラチエ
ツト歯３３ａ，３４ａと噛合するロツク爪３７，
３８とから構成されている。

そして前記ラチエツト機構３１，３２のラチエ
ツトホイール３３，３４が正転または逆転のみ可
能なようにラチエツト歯３３ａ，３４ａの方向が
異なる方向に突出形成されている。またラチエツ
トホイール３３，３４には第１および第２の駆動
側歯車１１ａ，１１ｂが夫々一体に連結されてい
る。

前記第１および第２の駆動側歯車１１ａ，１１
ｂには第１および第２の連動歯車１２ａ，１２ｂ
が夫々噛合され、第１および第２の連動歯車１２
ａ，１２ｂには第１および第２のリンク側歯車１
３，１４が夫々噛合されている。

前記第１および第２のリンク側歯車１３，１４
は第１および第２のロツク機構１７，１８を介し
て第１および第２のリンク機構１５，１６に連結
されている。前記第１および第２のロツク機構１
７，１８は前記リンク側歯車１３，１４の非回転
時に前記リンク機構１５，１６をロツク機構に保
持するもので、例えばドラム内で摩擦、ラチエツ
ト等により回転軸を選択的にロツクし得るような
構造を有するものであつて、常時はロツク状態を
維持するとともに、リンク側歯車１３，１４が微
小回転することでロツクが解除されるような構成
をもつものであればよく、従来から周知のロツク
構造を適宜採用することが出来る。

さらに、上述したリンク機構１５，１６は、リ
ンク側歯車１３，１４が回転されることで回動す
るリンク１５ａ，１６ａおよび相手側のリンク１
５ｂ，１６ｂとその間の連結リンク１５ｃ，１６
ｃ等から構成され、リンク１５ｂは前後スライド
機構４に、リンク１６ｂは上下スライド機構５に
夫々連結されている。

尚、本実施例では電動モータ１９により前記駆
動軸１０を回転駆動させる場合が示されている
が、電動モータ１９に代えて操作ノブを用いるこ
とが出来るものである。

前記前後スライド機構４は、ヘツドレストステ
イ３に固定される固定側レール２１とこれにスラ
イド自在に支持される可動側レール２２とからな
り、この可動側レール２２は、上述した第１およ
び第２の駆動側歯車１１ａ，１１ｂ等の機構部品
を搭載する基部フレーム２３と一体的に構成され
ている。さらに、この基部フレーム２３の一部に
は、前記上下スライド機構５を構成する固定側レ
ール２４が一体に連設され、これにスライド自在
に支持される可動側レール２５が前記ヘツドレス
ト本体６側のパネル７に連結されている。すなわ
ち、上述した第１および第２の駆動側歯車１１
ａ，１１ｂ、第１および第２の連動歯車１２ａ，
１２ｂ、第１および第２のリンク側歯車１３，１
４等の機構部品は、ヘツドレストステイ３側に設
けられる前後スライド機構４の可動側レール２２
ご、ヘツドレスト本体６側に設けられる上下スラ
イド機構５の固定側レール２４との間の基部フレ
ーム２３上に配設されている。

さらに、前記第１のリンク機構１５は、ヘツド
レストステイ３側に固定される前後スライド機構
４の固定側レール２１に連結され、一方第２のリ
ンク機構１６は、ヘツドレスト本体６のパネル７
に固定される上下スライド機構５の可動側レール
２５（その先端に設けられたアーム部２５ａ）に
連結されている。

したがつて、このような構成によるヘツドレス
トの可動構造では、一軸上で回転する第１および
第２の駆動側歯車１１ａ，１１ｂの正転、逆転に
より、選択的に第１および第２の連動歯車１２
ａ，１２ｂを回転させ、これにより第１および第
２のリンク側歯車１３，１４を介して第１および
第２のリンク機構１５，１６により前後スライド
機構４または上下スライド機構５を選択的に作動
させて、ヘツドレスト１を前後、上下に可動調整
すること可能となるもので、その可動位置調整作
業が簡単かつ適切に行え、操作性の面で優れてい
る等の利点がある。

また、本考案によれば、ヘツドレスト１の前後
および上下方向への可動調整を、一ケ所に効率よ
く組込み配置された歯車機構部を巧みに利用して
行う構成であり、各部の構成が簡単で、全体の機
構部をコンパクトに構成できるとともに、全体の
軽量化等も図れる等の利点もある。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由であり、たとえばヘツ
ドレストステイ３に対する前後スライド機構４、
上下スライド機構５等を構成するスライドレール
２１，２２，２４，２５と、駆動側歯車１１ａ，
１１ｂ等の歯車機構部との位置関係を適宜変更す
ることが出来る。また連動歯車１２ａ，１２ｂを
省略して直接駆動側歯車１１ａ，１１ｂによりリ
ンク側歯車１３，１４を回転させることも可能で
ある。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案に係るヘツドレス
トの可動構造によれば、正、逆両方向に回動可能
に設けられた駆動軸と、該駆動軸に設けられた第
１および第２の一方向回転伝達部材と、該第１お
よび第２の一方向回転伝達部材に連結された第１
および第２の駆動側歯車と、これら第１および第
２の駆動側歯車により連動させられる第１および
第２のリンク側歯車を有するリンク機構と、この
リンク機構を介してヘツドレストを可動自在に支
持するための前後スライド機構および上下スライ
ド機構と、前記リンク機構をロツクするロツク機
構を備え、前記前後スライド機構の可動側レール
は基部フレームと一体的に形成され、また基部フ
レームの一部に上下スライド機構の固定側レール
が一体に連設されているので可動構造を小型化す
ることができ、前記第１および第２のリンク側歯
車を、第１および第２の一方向回転伝達部材の正
転および逆転により選択的に回転させるように構
成したので、簡単かつ安価な構成にもかかわら
ず、電動モータまたは操作ノブによる一ケ所での
調整操作で第１および第２の駆動側歯車が正転ま
たは逆転し、いずれか一方のリンク側歯車を介し
てリンク機構により前後スライド機構または上下
スライド機構に選択的に作動させ、ヘツドレスト
の所要の可動位置調整が簡単かつ適切に行えるも
ので、ヘツドレストとしての機能を発揮し得るば
かりでなく、位置調整時の操作性の面からも優れ
ている等の実用上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るヘツドレストの可動構造
の一実施例を示す要部拡大斜視図、第２図はヘツ
ドレストの正面から見た全体の概略構成を示す要
部正面図、第３図はその基本的な動作状態を説明
するための側面説明図、第４図はヘツドレストの
動きを説明するためのシートバツクの側面説明
図、第５図は要部の側面説明図、第６図Ａ，Ｂは
第１および第２の一方向回転伝達部材としてのラ
チエツト機構の説明図である。 図中、１……可動ヘツドレスト、３……ヘツド
レストステイ、４……前後スライド機構、５……
上下スライド機構、６……ヘツドレスト本体、７
……パネル、９ａ，９ｂ……第１および第２の一
方向回転伝達部材、１０……駆動軸、１１ａ，１
１ｂ……第１および第２の駆動側歯車、１２ａ，
１２ｂ……第１および第２の連動歯車、１３，１
４……第１および第２のリンク側歯車、１５，１
６……第１および第２のリンク機構、１７，１８
……ロツク機構、１９……電動モータ、２１，２
２，２４，２５……固定側および可動側レール、
２３……基部フレーム、３１，３２……ラチエツ
ト機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シートバツク上端部から延設されたヘツドレ
   ストステイに対し前後スライド機構および上下
   スライド機構によりシートの前後方向および上
   下方向に可動自在に支持されるヘツドレストの
   可動構造において、前記前後スライド機構はヘ
   ツドレストステイに固定される固定側レール
   と、該固定側レールに前後スライド自在に支持
   される可動側レールとからなり、前記可動側レ
   ールは基部フレームと一体的に形成され、該基
   部フレームの一部に前記上下スライド機構の固
   定側レールが一体に連設され、該固定側レール
   に可動側レールが上下スライド自在に支持さ
   れ、該可動側レールがヘツドレスト本体側のパ
   ネルに連結され、前記基部フレームに駆動軸が
   回転自在に配設され、該駆動軸に第１および第
   ２の一方向回転伝達部材が設けられ、該第１お
   よび第２の一方向回転伝達部材に第１および第
   ２の駆動側歯車が連結され、前記第１の一方向
   回転伝達部材は駆動軸の正転時にのみ駆動力を
   前記第１の駆動側歯車に伝達し、前記第２の一
   方回転伝達部材は駆動軸の逆転時にのみ駆動力
   を前記第２の駆動側歯車に伝達するようになさ
   れ、前記第１および第２の駆動側歯車により連
   動させられるとともに第１および第２のリンク
   機構を介して前記前後スライド機構および上下
   スライド機構に夫々連結される第１および第２
   のリンク側歯車を備え、該第１および第２のリ
   ンク側歯車が第１および第２のロツク機構を介
   して前記第１および第２のリンク機構に連結さ
   れ、前記第１または第２の駆動側歯車の正転ま
   たは逆転により前記前後スライド機構または上
   下スライド機構が選択的に調節されるようにな
   されていることを特徴とするヘツドレストの可
   動構造。 (2) 前記第１および第２の一方向回転伝達部材が
   ラチエツト機構またはフリーホイール機構であ
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載のヘツドレストの可動構造。