JPH0319474Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、前後スライド調整自在なシートクツ
シヨンを、シートの上下方向に昇降動作させる車
両用シートのリフター装置の改良に関する。

（従来の技術） 従来から車両用シート等にあつては、リクライ
ニング装置やシートの前後スライド装置等が一般
に設けられており、これら各装置を作動させるこ
とでシートを所要の姿勢状態に調整し、適切な着
座状態が得られるような構成とされている。そし
て、近年では、シートのシートクツシヨン部分
を、平行リンク等を介して支持し、これを上下方
向に平行移動させることで、上述した着座状態を
より一層適切に調整し得るようにしてなる上下調
整用のリフター装置を備えているシートも、提案
されるようになつている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上述したような上下調整用のリフタ
ー装置においては、着座者が着座した状態でもシ
ートクツシヨンを適切かつ確実に上昇させ得るよ
うに、着座者の体重に見合つた付勢力をもつ付勢
手段としてヘルパスプリングを設けることが必要
とされている。

しかしながら、この種従来装置におけるヘルパ
スプリングとしては、たとえば特開昭57−37030
号公報等に示されるようなコイルスプリングが一
般に用いられており、このためその配設位置等が
着座者との関係において問題とされるばかりでな
く、着座時の異音対策としてシヤフトにサイレン
サを嵌装したり、シートクツシヨンフレームにパ
ネル等を別に設ける等といつた構造上での問題も
あり、さらにその組込み作業も面倒かつ煩雑であ
る等といつた欠点を生じるもので、何らかの対策
を講じることが必要とされている。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
であり、シートクツシヨンを安定して適切な付勢
力をもつて支持し得るとともに、スペースを取ら
ず、その組立て作業等も容易に行なえ、しかもヘ
ルパスプリングとして適切な機能を発揮させるこ
とができる構成を有する安価な車両用シートのリ
フター装置を得ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） このような要請に応えるために、本考案に係る
車両用シートのリフター装置は、前後スライド装
置を介してシートの前後方向に移動可能に支持さ
れるとともに、シートの上下方向に昇降動作され
るシートクツシヨンをシート上方に付勢するヘル
パスプリングを設け、該ヘルパスプリングを前後
スライド装置を構成するスライドレールと略々平
行するように配設された左右の基部と、該左右の
基部を連結する前後の横バー部とから略々枠体形
状に形成し、前記横バー部の中央にシートクツシ
ヨンを上方に付勢する作用部を上方に突出形成し
たものである。

（作用） 本考案によれば、ヘルパスプリングを、きわめ
て簡単にしかも従来デツドスペースとされていた
空間を有効に利用して配設することができる。

（実施例） 以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図および第２図は本考案に係る車両用シー
トのリフター装置の一実施例を示すものであり、
これらの図において、全体を符号１で示す車両用
シートは、第２図から明らかなように、図示しな
い車室床面上に支持されるシートクツシヨン２
と、その後端部から立設されるシートバツク３と
その上端部のヘツドレスト４などによつて構成さ
れている。ここで、上述したシートクツシヨン２
は、周知のように、車体床面上でシートの前後方
向に移動自在に支持する前後スライド装置のスラ
イドレール５（固定および可動フレームで構成さ
れている）により支持されている。

さて、本考案によれば、上述したような車両用
シート１において、シートクツシヨン２に対し、
そのシートクツシヨンフレーム１０がシートの上
下方向に昇降動作し得るようにリフター機構２０
（第３図、第４図参照）を付設するにあたつて、
シートクツシヨン２をシートの前後方向にスライ
ド自在に支持する前後スライド装置を構成するス
ライドレール５と略々平行するように配設された
基部１１ａを有するヘルパスプリング１１を設け
たところに特徴を有している。

ここで、本実施例では、上述したヘルパスプリ
ング１１は略々枠体形状を呈し、その横バー部中
央にシートクツシヨン２を上方に所定の付勢力を
もつて付勢する作用部１１ｂが形成されてなるも
のを用いており、またこのヘルパスプリング１１
は、前後スライド装置のスライドレール５上の取
付け片１２に組付けられた状態で、シートクツシ
ヨンフレーム１０に組込まれたリフター装置との
間に介装して設けた場合を示している。なお、上
述したようなヘルパスプリング１１による付勢力
Ｆは、第２図に示すように、着座者Ｔのヒツプポ
イントHPとシートクツシヨン２の重心Ｇとの合
成ポイント付近に作用するようにその大きさ等を
設定するとよいものである。

そして、このような構成によれば、ヘルパスプ
リング１１を、きわめて簡単にしかも従来デツド
スペースとされていた空間を有効に利用して配設
し、しかも所望の付勢力をもつてシートクツシヨ
ン２を適切に支持し得るものである。

なお、上述したヘルパスプリング１１として
は、第３図に示すように作用部１１ｂが山型形状
をもつものでもよいものである。

第３図及び第４図に示したリフター装置２０
は、シートクツシヨン２の前部または後部をそれ
ぞれ昇降動作させ得る前、後リフター機構２２，
２３を備え、一側に操作部が、他側に連結ロツド
２４，２５を介して連結された従動部が配設され
ている。

また、各機構２２，２３の回動操作軸２６，２
７は、シートクツシヨンフレーム１０の側方に平
行して突設し、かつその一方の操作軸２６の先端
部にこの操作軸２６を回動操作せしめる第１の操
作ノブ２８が固定されるとともに、この操作軸２
６上に回動自在な状態で第２の操作ノブ２９が嵌
装され、この第２の操作ノブ２９を、他方の操作
軸２７に回転伝達手段としてたとえば歯車機構２
９ａ，３０を介して連結するようにしている。

さらに、第４図中３１は上述した各操作軸２
６，２７を所定の回動位置でロツクし得る周知の
ロツク機構を内設してなるロツクユニツト、３
２，３３は操作軸２６，２７の回転を揺動運動に
変換する歯車および扇形状のセクタギヤ、３４，
３５は後部リフター機構２３側のリンクで、それ
以外の構成等については容易に理解されるところ
であり、具体的な説明は省略する。

上述したような構成によれば、第１または第２
の操作ノブ２８，２９を選択的に回動操作するこ
とで、前、後リフター機構２２，２３を適宜作動
させ、シートクツシヨン２の前部または後部を所
望の状態に昇降動作させ得るものである。そし
て、この場合において、操作部が一ケ所に集中配
置されていることから、誤操作等を生じることな
く、前、後リフター機構２２，２３を操作できる
もので、操作性の面で優れ、従来に比べその利点
は明らかであろう。また、上述した構成によれ
ば、操作ノブ２８，２９の回動操作でリフター機
構を駆動させることから、その操作力を軽減させ
ることができるもので、これは、特に操作力の伝
達を歯車機構にて行なつている場合に顕著であ
る。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造などを、必要に応じて適宜
変形、変更することは自由である。たとえば上述
した実施例では、リフター装置として前、後分割
タイプを示したが、本考案はこれに限定されない
ことは容易に理解されよう。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係る車両用シー
トによれば、前後スライド装置を構成するスライ
ドレールとリフター装置との間に介装されたヘル
パスプリングを有し、該ヘルパスプリングは左右
のスライドレール上に配設される左右のスライド
レールと略々平行する形状の左右の基部と、該左
右の基部を連結する前後の横バー部とから略々枠
体形状に形成され、前記横バー部の中央にシート
クツシヨンを上方に付勢する上方に突出する作用
部が形成されているので、その構成部品点数の少
ない簡単かつ安価な構成にもかかわらず、ヘルパ
スプリングを適切な付勢力をもつた状態で簡単か
つ適切に組込むことができ、しかもその組込み位
置としても従来の遊休空間を有効利用することが
できる等といつた実用上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両用シートのリフター
装置の一実施例を示す要部構成を示す概略斜視
図、第２図は本考案を特徴づけるヘルパスプリン
グの付勢力の原理説明図、第３図は本考案の別の
実施例を示す概略斜視図、第４図はリフター装置
の要部構成を示す概略分解斜視図である。 図中、１……車両用シート、２……シートクツ
シヨン、５……スライドレール、１０……シート
クツシヨンフレーム、１１……ヘルパスプリン
グ、１１ａ……基部、１１ｂ……作用部、１２…
…取付け片、２０……リフター機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前後スライド装置を介してシートの前後方向に
   移動可能に支持されてなるシートクツシヨンを、
   シートの上下方向に昇降動作させるリフター装置
   を備えてなる車両用シートにおいて、前記前後ス
   ライド装置を構成するスライドレールとリフター
   装置との間に介装されたヘルパスプリングを有
   し、該ヘルパスプリングは左右のスライドレール
   上に配設される左右のスライドレールと略々平行
   する形状の左右の基部と、該左右の基部を連結す
   る前後の横バー部とから略々枠体形状に形成さ
   れ、前記横バー部の中央にシートクツシヨンを上
   方に付勢する上方に突出する作用部が形成されて
   いることを特徴とする車両用シートのリフター装
   置。