JPH0546523Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車の車体に装飾部材すなわちト
リムを固定するトリム取付構造に関し、特に、車
体にねじスタツド等の周溝付スタツドを固着し、
スタツドにクリツプを取付けることによりトリム
を固定するトリム取付構造に関する。

従来の技術 車体にねじ付きスタツドを固着して、該スタツ
ドを介してトリムを車体に固着するクリツプは知
られている。このクリツプのスタツドへの取付け
方法は大きく分けて３つある。その１つはねじ込
みによる方法で、この方法は締付けによる強い固
定力が期待できる反面、ねじ回し作業を必要とす
る不利がある。次の１つはハンマ等で叩き込む方
法であり、この方法も強い固定力が得られるが、
叩き込みの前に位置決めと姿勢の調整をしなれば
ならず、また叩き込みの力が強過ぎるとクリツプ
に割れを生じる場合もある。３番目の方法は親指
等でクリツプを押し込む方法である。この方法は
ねじ回しやハンマを必要とすることがなく、作業
工数が減るので好ましいものである。

考案が解決しようとする問題点 上記の３番目の方法は、クリツプの軸部の係止
爪に工夫を加えることで固定力を高くすることが
できる。しかし、自動車の運転中の振動によつて
その固定力が低くなる方向にクリツプが回転して
しまう惧れがある。この回転の防止のために種々
のクリツプが提案されている。しかし、トリムに
対し固くクリツプを取付けることができれば、ト
リムを車体からはずした後でも、クリツプはトリ
ムから外れず、再使用の場合に作業が楽になる。
また、トリムの取付け作業において、トリムを持
つて車体に固定することができるので更に取付け
のための手間や時間を短縮できる。

従つて、本考案の目的は、押し込み可能であり
ながら、トリムに対し固く先付けできるトリム用
クリツプを用いたトリム取付構造を提供するにあ
る。

問題点を解決するための手段 かかる目的を達成するため、本考案によれば、
車体に固着された周溝付スタツドに対して、押し
込みによつてトリムを固定することのできるトリ
ム取付構造であつて、トリムにはスタツドの押込
みによつて固定されるクリツプが取付けられてお
り、該クリツプは、プラスチツクの一体形成品で
成り、クリツプは、スタツドの軸部を受入れるよ
う中空に形成され且つ該中空部分の内側にスタツ
ドの周溝に係止する係止爪が設けられた軸部と、
該軸部の下端に設けられ、トリムの取付穴下部の
直径より大きく形成されたフランジとを備え、前
記軸部の側面には、トリムの取付穴の上方に形成
された肩部に係止する第２の係止爪が受けられ、
クリツプは、トリム取付穴の下部から、フランジ
と反対側の端部を先頭にして軸部がトリム取付穴
に挿入されて、前記フランジが取付穴の下部に当
接しており、前記第２係止爪がトリム取付穴の前
記肩部に係止して、トリムに取付けられており、
クリツプ付きトリムがスタツドを介して車体に固
定されることを特徴とするトリム取付構造が提供
される。

実施例 以下、本考案の実施例について、図面を参照し
なら説明する。第１図ａ〜ｈに本考案に係るトリ
ム取付構造に用いるクリツプの第１の実施例を示
す。クリツプ１は、合成樹脂の一体成形品で成
り、車体に固着された周溝付スタツドの軸部を受
入れる中空部が形成された軸部２と、軸部２の下
端部に設けられた大径のフランジ３とから成る。

軸部２は、トリムの穴を通過できる外径に形成
され、その高さもトリムの高さに合わせて選定さ
れる。軸支２には、スタツドの軸部を受入れるこ
とができるように、スタツドの外径に等しいかそ
れよりやや大きい内径の中空部４が形成されてい
る。この中空部４には、スタツドの周溝に係止す
る係止爪５，５が形成され、係止爪５の上部と両
側には係止爪に弾性を与えるスリツト６，６が形
成されている。この係止爪５の弾力性により、ク
リツプ１は、親指等による押し込みで簡単にスタ
ツドに取付けられる。中空部４のスタツドを支持
案内する案内壁部分は、第１図ａ〜ｈに図示のよ
うに、単純な連続状の面でもよいが、第３図に図
示のように、複数の窓７が軸方向に段違いに設け
られていてもよい。このように窓７を設けること
によつて、クリツプ１の中空部を片スライドで簡
単に成形できる。

本考案においては、軸部２の上部の側面に、ト
リムの穴の側面に突き出して該トリム穴の係止用
肩部に係止する第２の係止爪８，８が設けられて
いる。そして、第２係止爪８の両側と下部には係
止爪に弾性を与えるスリツト９，９が形成されて
いる。第２係止爪８は、軸部２の上端からフラン
ジ３に向けて且つ外方に延びる弾性のばね片で成
り、その先端部１０がトリム穴の係止用肩部に係
止する。この係止爪８とフランジ３によつて、ク
リツプ１の軸部２がトリムの穴に挿入されると、
クリツプ１はトリムに固く固定され、自動車の振
動等によつてもクリツプがトリムから外れること
がなくなり、クリツプ付のトリムを持つてそのま
ま車体に取付けることができる。更に、クリツプ
１とトリムの係止力を強くすれば、クリツプ１が
自動車の振動等によつて回転することも阻止され
る。

第２係止片８は、上記のように、クリツプ１を
トリムに対して固く固定する機能を有する。一般
に、トリムを車体に取付ける場合、クリツプをト
リムに予め取付ける方が作業性がよい。そして、
トリムにクリツプが取付けられた後は、クリツプ
が外れないようになつていれば、再使用の場合に
も作業が楽になる。係止爪８は、この要望に応え
るもので、トリムの穴に、フランジ３と反対側の
端部（上端部）を先頭にして軸部２をトリムの穴
に挿入すると、第２係止片８が撓んでトリム穴の
側面を押圧しながら入り込み、更に軸部を押し込
むと、第２係止片８がトリムの穴の側面の肩部に
嵌まつて係止され、フランジ３と第２係止爪８と
によりクリツプ１がトリムに固定される。これに
より、作業者はクリツプ付のトリムを、艤装ライ
ンに運び、そこで車体に取付けることができる。
そして、取付け後は、クリツプがトリムから不用
意に外れないので、車体からトリムを外してもク
リツプはトリムに取付けられたままになり、再使
用の作業が楽に行われる。

フランジ３は、トリムの穴より大きい面積のも
のとして形成され、このフランジでトリムを押さ
える。また、フランジ３の外面は平坦に形成され
てもよいが、図示のように、軸部２に対して傾斜
面を形成しているのが好ましい。この傾斜面によ
り、クリツプ１の軸部２をトリムの取付け穴に挿
入すると、自然に軸部２がトリム穴の中心に位置
される。また、フランジ３の下面側も図示のよう
に、傾斜面にされているのが好ましく、これによ
り、ねじ付スタツドの先端部が拾い易くなる。

更に、軸部２の上面は、第１図ａ〜ｈの例では
中空に形成されているが、第３図に示すように、
平坦に形成してもよい。そして、この軸部２の上
面には、図示のように、マイナス（−）のねじ回
しが係止できるような溝１２を設けるのが好まし
い。また、トリムの装飾模様に合わせる必要がな
い場合、プラス（＋）のねじ回しが係止できるよ
うな溝を設けてもよい。このような溝が設けられ
ることにより、トリムを車体から取り外す際に、
クリツプの回転が簡単になる。

第２図は、車体に取付けられるべきトリム１５
の詳細を示してしている。このトリム１５は、例
えばフツトレス等である。トリム１５には、クリ
ツプ１が貫通して取付けられる穴１６が形成され
ている。この穴１６の上方部分１７は、クリツプ
１の軸部２の外径よりやや大径で、しかもクリツ
プ軸部２の第２係止爪８の先端部１０より上部が
トリム１５の上面より下に位置する深さに成形さ
れている。この上方部分１７により、クリツプ１
の上方部分はトリム１５の中に埋まり、トリム１
５の上に、第２図に示すように、カーペツト１４
を載置するすなわち敷くことができる。

そして、下方部分１８は、軸部２を受入れるが
第２係止爪８の先端部１０に係止する係止肩１９
を形成する、上方部分の直径より小さい直径に形
成されている。なお、係止肩１９はトリム穴の全
周に渡つて成形されている。従つて、クリツプ１
は、その軸部２を挿入するだけで、トリム１５に
固定される。肩部１９の高さ方向の位置は、クリ
ツプの軸部２の第２係止爪８が肩部１９に係止し
た位置で、クリツプ頭部２と協働してトリム１５
を強く挟持するようになつているのが好ましく、
これにより、クリツプ１のトリム１５への取付け
がガタつきなく強固になり、更にクリツプの回転
を阻止する利点がある。

第２図は、クリツプ１を用いてトリム１５を車
体２１に取付けた様子を示している。車体２１に
は、周溝付スタツドとしてのねじ付スタツド２２
が溶接によつて固着されている。ねじ付スタツド
２２は、クリツプ１の係止爪５が係止する限り、
周溝があるものでよいが、トリム１５の取り外し
が簡単になる点で、ねじ付きスタツドであるのが
好ましく、これによつて、押し込みで取付けたト
リム１５を、ねじ回し等でクリツプ１を回転させ
るだけで、車体から取り付すことができる利点が
ある。

トリム１５を車体２１に固定するための、クリ
ツプ１とトリム１５の取付け順序は、クリツプ１
を車体２１のスタツド２２に先付けしてからトリ
ム１５を挿入してもよいが、クリツプの差付け後
トリムを挿入するのは艤装ラインでの効率が下が
るので、一般には、先ずクリツプ１が、車体の艤
装ラインとは別の場所で、トリム１５に固定され
るのが好ましい。この点で、本考案によるクリツ
プ１は、トリム１５に対する固定機能がある。

この固定は、軸部２の、フランジ３と反対側の
端部を先頭にして、該軸部２をトリム１５の穴の
下方部分１８の下面から上方に挿入すると、フラ
ンジ３でその挿入が停止し、この停止時に第２係
止爪８の先端部１０が係止肩１９に係止し、この
係止肩への係止とフランジ３とによりクリツプ１
がトリム１５に固く固定される。

この固定後、トリム１５は、艤装ライン上で、
各クリツプ１が車体２１のねじ付スタツド２２に
合致して位置決めされ、トリム１５を車両２１に
押しつける。なお、防音や断熱等の目的で、イン
シユレータ２３を車体２１の上に載置してもよ
い。この押し込みは、クリツプ１がトリム１５に
固く固定されているので、トリム１５を車体２１
に押し付けるだけでよい。この押し付けによつ
て、クリツプ１がその係止爪５を介してねじ付ス
タツド２２に取付けられ、トリム１５がクリツプ
１とスタツド２２とにより車体２１に取付けられ
る。なお、この押し込みにおいて、フランジ３の
底面が第１図ｈに図示のように、傾斜すなわちテ
ーパしているので、スタツド２２の先端部を拾い
易く、手探り作業を容易にするという利点があ
る。

このように、トリム１５を車体２２に取付けた
後は、運転中の振動があつても、クリツプ１が、
第２係止爪８とフランジ３とによりトリム１５に
強固に取付けられている。

なお、本考案においては、クリツプ１の軸部２
の上方端部の溝１２にねじ回しをあてがつてクリ
ツプ１を回転させれば、クリツプの係止爪５がね
じ付スタツド２２から外れ、クリツプ１はトリム
１５とともに浮き上がり、クリツプがトリムに取
付けられた状態で、車体２１から取り付すことが
できる。従つて、取り外し後の再取付けにおいて
も、最初の取付けと同様に、トリム１５を持つて
クリツプ１をスタツド２２にあてがい、そのまま
押し込むだけで、トリムを車体に取付けることが
できる。

また、この取り外しにおいて、トリム１５の穴
１６の上方部分１７が軸部２の外径より大きく形
成されていることを利用して、上方から上方部分
１７の内径より小さい外径で且つ軸部材２の外径
より大きい内径のパイプを押し込み、第２係止爪
８を内側に撓め、これにより、クリツプ１をねじ
付きスタツド２２に係止したまま、トリム１５を
車体２１から取り外すこともできる。

考案の効果 本考案のトリム取付構造によれば、クリツプは
スタツドに固定する前にトリム取付穴に軸部の先
端から挿入するだけの簡単な作業で固定でき、ク
リツプ付のトリムを自動車の艤装ラインに搬入で
き、トリムを車体に取付ける場合には単にトリム
を押し込むだけの簡単な作業で行えて作業効率が
向上し、クリツプが強くトリムに固定されている
ので車体への取付け後はトリムが車体に強く固定
されて車体の振動による取り外し方向への緩みが
なくなり、クリツプの回転だけでトリムにクリツ
プが取付けられたままトリムを外すことができる
ので、再使用の作業が極めて簡単になり、再使用
作業においてクリツプを紛失することもなくな
り、また、トリムの下面から挿入して一定高さの
係止肩に係止する係止爪が形成されているため、
トリム穴の下方部分の高さを一定するだけでどん
な高さ（厚さ）のトリムであつても、一種類の、
同じ高さのクリツプで車体に取付けることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｈは、本考案のトリム取付構造にお
けるクリツプの第１実施例を示しており、それぞ
れ同図ａは正面図、同図ｂは側面図、同図ｃは平
面図、同図ｄは底面図、同図ｅは同図ａのｅ−ｅ
線断面図、同図ｆは同図ａのｆ−ｆ線断面図、同
図ｇは同図ａのｇ−ｇ線断面図、同図ｈは同図ａ
のｈ−ｈ線断面図である。第２図は、第１図ａ〜
ｈのクリツプを用いてトリムを車体に固定した様
子を示す断面図である。第３図は、本考案のクリ
ツプの第２実施例の斜視図である。 符号の説明、１……クリツプ、２……軸部、３
……フランジ、５……第１係止爪、５……係止
爪、８……第２係止爪、１４……カーペツト、１
５……トリム、１６……トリム穴、１７……穴上
方部分、１８……穴下方部分、２１……車体、２
２……ねじ付スタツド、２３……インシユレー
タ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 車体に固着された周溝付スタツドに対して、
   押し込みによつてトリムを固定することのでき
   るトリム取付構造において、 トリムには前記スタツドに押込みによつて固
   定されるクリツプが取付けられており、該クリ
   ツプは、プラスチツクの一体成形品で成り、ク
   リツプはスタツドの軸部を受入れるよう中空に
   形成され且つ該中空部分の内側にスタツドの周
   溝に係止する係止爪が設けられた軸部と、該軸
   部の下端に設けられ、トリムの取付穴下部の直
   径より大きく形成されたフランジとを備え、前
   記軸部の側面には、トリムの取付穴の上方に形
   成された肩部に係止する第２の係止爪が設けら
   れ、 前記クリツプは、トリム取付穴の下部から、
   フランジと反対側の端部を先頭にして軸部がト
   リム取付穴に挿入されて、前記フランジが取付
   穴の下部に当接しており、前記第２係止爪がト
   リム取付穴の前記肩部に係止して、トリムに取
   付けられており、 該クリツプ付きトリムがスタツドを介して車
   体に固定されることを特徴とするトリム取付構
   造。 (2) 軸部のフランジと反対側の端部には、ねじ回
   し等の工具によつて回転できる溝が形成されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載のトリ
   ム取付構造。