JPH0545803B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、高速回転部に使用されるアンギユ
ラ玉軸受に関するものである。

〔従来の技術〕

アンギユラ玉軸受は、第４図に示すように、外
輪１と、その内側に配置された内輪１０と、両輪
１，１０間に配置された保持器２０およびその保
持器２０で支持された複数のボール３０から構成
される。

上記外輪１は、内径面に軌道溝２を備え、その
軌道溝２の一側方に、軌道溝２の溝底から軸方向
に延びる円筒面３が形成されている。４は、軌道
溝２の他側方に形成された肩部を示す。

また、内輪１０の外径面には、軌道溝１１が設
けられている。

保持器２０には、金属板をプレス成形したも
の、合成樹脂で成形したものなどがあり、アンギ
ユラ玉軸受の使用用途に応じて適宜のものが使用
される。また、保持器２０の支持形式には、外輪
１および内輪１０で支持する軌道輪案内形と、ボ
ール３０で支持する転動体案内形とがあり、高速
回転用には、前者の軌道輪案内形が慣用されてい
る。

第５図には、高速回転用の従来の保持器が示さ
れている。図示のように、保持器２０は、円筒形
をなし、その周方向には複数の円筒形ポケツト２
１が等間隔に形成され、各ポケツト２１にボール
３０が収納される。

内輪案内形式の保持器の場合、この保持器２０
の内径は内輪１０の外径と近似している。したが
つて、保持器２０を第４図に示すように、外輪１
と内輪１０との間に組み込むと、保持器２０の内
周面と内輪１０の外周面間にきわめて小さな案内
すきまが形成され、その案内すきま内に注入する
グリース等によつて潤滑される。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上記のような高速アンギユラ軸受に
おいては、案内すきまの潤滑切れの際、保持器に
自励振動が生じ、異常音が発生するという不都合
がある。また、保持器の案内部の摩耗により案内
すきまが拡大して振動が大きくなり、かつ案内部
に摩擦音が発生するという不都合がある。

特開昭56−113826号公報に記載されたプラスチ
ツク製スナツプ保持器においては、ポケツトに円
錐形にテーパした第２部分を設け、この第２部分
にボールを線接触させて保持器をボール案内して
いる。

ところで、上記保持器においては、ボールと第
２部分とを線接触させる構成であるため、ボール
とポケツトの接触領域が大きく、その接触部で潤
滑切れが生じ易い。特に、軸受の高速回転時に
は、保持器に作用する遠心力によつて接触領域が
増大するため、潤滑切れがさらに生じ易くなり、
保持器の自励振動を抑制することができない。ま
た、接触領域の増大によつてボールの転動を阻害
し、ボールを円滑に転動させることができない不
都合がある。

そこで、この発明は上記の不都合を解消し、保
持器の自励振動を小さくし、異音の発生をなくす
ことおよびボールを常に良好に転動させることが
できるようにすることを技術的課題としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の課題を解決するために、この発明は、外
輪と内輪との間に組み込まれた円筒形の合成樹脂
から成る保持器の周方向に複数の円筒形ポケツト
を形成し、各ポケツトの保持器の内径側端部の全
周にわたつてボール案内用のテーパ状縮径部を設
け、その縮径部とボールとの間に周方向、軸方向
および径方向にほぼ等しい案内すきまを形成し、
各案内すきまを保持器の外周面と外輪の肩部間に
形成された〓間、保持器の内周面と内輪の外周面
間に形成された〓間および円筒形ポケツトとボー
ルとの間に形成された〓間より小さくした構成を
採用したのである。

〔作 用〕

上記のように、ボールとテーパ状縮径部との間
に周方向、軸方向および径方向にほぼ等しい案内
すきまを形成したことによつて、軸受の回転時、
ボールとポケツトとの接触は点接触となり、その
接触点まわりに潤滑剤を流入させることができる
ため、潤滑切れによる保持器の自励振動を抑制す
ることができる。

また、保持器をボール案内とすることができる
ため、保持器と内・外輪とを常に非接触状態に保
持することができる。

〔実施例〕

以下、この発明の実施例を第１図乃至第３図に
基づいて説明する。なお、図中、先に述べた第４
図および第５図の従来例と同一部分には同一符号
を付し、説明を省略する。

図示のように、保持器２０は円筒形をなし、フ
エノールレジン等の滑り性の良好な合成樹脂から
成形されている。この保持器２０の外径は外輪１
の肩部４の内径より小さくなり、また、内径は、
内輪１０の外径より大きくなつている。このた
め、保持器２０を外輪１と内輪１０との間に同心
に組み込むと、保持器２０の外周面と外輪１の肩
部４の内周面間および保持器２０の内周面と内輪
１０の外周面との間に〓間ＡおよびＢが形成され
る。

保持器２０には、第５図に示す保持器２０と同
様に複数の円筒形ポケツト２１が保持器２０の周
方向に等間隔に形成され、これらの各ポケツト２
１にボール３０を組み込むと、ポケツト２１の内
周面とボール３０の外周面間に〓間Ｃが設けられ
る。

また、ポケツト２１の保持器２０の内径側の端
部には、テーパ状の縮径部２２が設けられてい
る。この縮径部２２は、アンギユラ玉軸受のピツ
チ円径PCDより内側に位置し、ポケツト２１内
に組み入れられたボール３０は上記縮径部２２で
案内され、その状態において、ボール３０の外周
面と縮径部２２の内周面間に周方向、軸方向およ
び径方向にきわめて小さな案内すきま２３が形成
される。

第２図においてＤは、軸方向すきま量を示し、
Ｅは径方向すきま量を示している。なお、周方向
すきま量は、軸方向すきま量と同一であるため、
図示では省略してある。

上記のような各部のすきま量Ｄ，Ｅは、保持器
２０と外輪１、内輪１０間に形成された〓間Ａ，
Ｂおよびポケツト２１とボール３０との間に形成
された〓間Ｃより小さくなつている。

上記縮径部２２のポケツト軸心に対する傾斜角
度は任意であり、その傾斜角度を45゜とすると、
周方向、軸方向および径方向のそれぞれの案内す
きま量を略同一とすることができる。

〔効 果〕

以上のように、この発明によれば、円筒形ポケ
ツトの保持器の内径側の端部にテーパ状の縮径部
を設け、その縮径部とボールとの間に周方向、軸
方向および径方向にほぼ等しい案内すきまを形成
し、各案内すきまを保持器の外周面と外輪の肩部
間に形成された〓間、保持器の内周面と内輪の外
周面間に形成された〓間および円筒形ポケツトと
ボールとの間に形成された〓間より小さくしたの
で、軸受の回転時、ボールはテーパ状縮径部に点
接触し、その接触点まわりに潤滑剤を流入させる
ことができる。このため、潤滑切れすることが少
なく、潤滑切れによる保持器の自励振動を抑制す
ることができ、異常音の発生を小さくすることが
できる。

また、軸受の高速回転により保持器に遠心力が
作用しても、ボールは点接触にて保持器を案内す
るため、保持器は内・外輪に対して非接触の状態
に保持される。したがつて、保持器の内・外輪と
の接触による摩擦音の発生がなく、しかも、ボー
ルと保持器とは常に点接触であるため、ボールの
転動を阻害することもなく、ボールを常に良好に
転動させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明に係るアンギユラ玉軸受の
一実施例を示す一部分の断面図、第２図は同上の
拡大断面図、第３図は同上のボール保持器の一部
分を示す斜視図、第４図は従来のアンギユラ玉軸
受の一部分を示す断面図、第５図は同上のボール
保持器の一部切欠斜視図である。 １…外輪、２…軌道溝、１０…内輪、１１…軌
道溝、２０…ボール保持器、２１…ポケツト、２
２…縮径部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外輪と内輪との間に保持器を組込み、この保
   持器で複数のボールを支持したアンギユラ玉軸受
   において、前記保持器を円筒状とし、その保持器
   にボール組み入れ用の円筒形ポケツトを形成し、
   各ポケツトの保持器の内径側端部の全周にわたつ
   てボール案内用のテーパ状縮径部を設け、その縮
   径部とボールとの間に周方向、軸方向および径方
   向にほぼ等しい案内すきまを形成し、各案内すき
   まを保持器の外周面と外輪の肩部間に形成された
   〓間、保持器の内周面と内輪の外周面間に形成さ
   れた〓間および円筒形ポケツトとボールとの間に
   形成された〓間より小さくしたことを特徴とする
   高速アンギユラ玉軸受。