JPH0545185Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は薬剤容器に関し、特に、防虫剤、防
臭剤や防カビ剤などの薬剤が含浸した含浸材を収
納した薬剤容器に関するものである。

〔従来技術および解決しようとする課題〕

従来、たとえば、含浸材に防虫剤、防臭剤や防
カビ剤などの薬剤を含浸させたのちに、前記含浸
材を収納する薬剤容器はいろいろ存在している
が、いずれの薬剤容器にあつても単に薬剤を含浸
させた含浸材を収納させておくだけの構造であつ
て、使用者は、たとえば、洋服ダンスのパイプな
どに用いて取付けておき、これによつて薬剤容器
の内部の含浸材に含浸した薬剤が揮散して洋服ダ
ンスの内部に充満することで前記薬剤の機能を発
揮するようになつている。

そして、上記のように構成されてた薬剤容器に
あつては、使用されている時に、含浸材の内部に
まだ薬剤が含浸されていて機能を発揮している
か、あるいは、すでに揮散してしまつて、機能が
充分に達せられていないかは薬剤容器や薬剤容器
の内部の含浸材を見ただけでは判断することがで
きない。

したがつて、含浸材の内部に防虫剤、防臭剤や
防カビ剤などがすでに揮散して無くなつているに
もかかわらず認識することができなくて、まだ、
防虫効果などがあると思つてそのままにしておい
たために洋服などに虫食いが生じたり、あるい
は、含浸材にまだ充分に防虫剤などが含浸されて
いて防虫効果などがあるにもかかわらず、使用者
が誤認して捨ててしまう場合があり、いずれの場
合にあつても防虫剤などの適切な交換時期を知る
ことができないものであつた。

このために、この考案の考案者が、先に実開昭
58−163705号公報に示すような薬剤容器を提案し
た。

この実開昭58年第163705号公報に示す薬剤容器
にあつては、下端がヒンジされて上端間が開閉可
能となつている一対の側部からなつている。

そして、洋服タンスのパイプ等に引つ掛けて配
設するようになつている容器本体を構成するとと
もに、一方の側部に、インジケータを配設してこ
のインジケータで薬剤容器の内部に収納した薬剤
の残存量を知るようにしたものであるが、この薬
剤容器にあつては、インジケータが側部に設けら
れているので、洋服ダンスのパイプの方向を向い
て配設されていることとなる。

このためにインジケータを見るためには、ま
ず、容器本体に対してパイプに掛けてある洋服等
をスライドして離間し、こののち、容器本体の側
面を見てインジケータを見ることとなるので、非
常に煩わしく、このために、含浸材に含浸した薬
剤の残存量を得ることができるにもかかわらず、
薬剤がなくなつていても引つ掛けたままにしてお
き、そのために虫食い等が発生する場合があると
いう問題点を有していた。

この考案は前記のような従来のもののもつ問題
点を解決したものであつて、洋服ダンスのパイプ
等に洋服と一緒に引つ掛けたままの状態で、内部
の含浸材の残存量を示すインジケータを見て、含
浸材の残存量を認識することのできる薬剤容器を
提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するためにこの考案は、洋服
ダンス等の内部に左右向きに設けられたパイプ等
に引つ掛け可能であるとともに、内部に薬剤が収
納された容器本体と、該容器本体に取付けられ、
内部に昇華性物質を収納したインジケータとを具
え、前記インジケータは、その内部の昇華性物質
が、前記容器本体をパイプ等に引つ掛けた状態で
前記洋服ダンス等の扉を開けた時に手前側から認
識可能な位置に取付けた構成を有している。

また、互いに協働して薬剤の収納部を形成する
一対の側部の下端どうしをヒンジして上端を開
放・閉塞可能とし、一方の側部の上端に、洋服ダ
ンス等の内部に左右向きに設けられたパイプ等に
引つ掛け可能であるフツク部を配設し、さらに、
手前端に、両側部それぞれに開口している半部で
形成され、両側部が閉塞した際に両側部に渡つて
形成される孔が設けられた容器本体と、該容器本
体の手前端に形成された孔内に設けられ、内部に
昇華性物質を収納したインジケータとを具え、前
記容器本体を洋服ダンス等の内部に左右向きに設
けられたパイプ等に引つ掛けた際、前記パイプの
軸線と直交する方向から前記インジケータの内部
の昇華性物質を認識可能に構成したものである。

さらに、互いに協働して薬剤の収納部を形成す
る一対の側部の下端どうしをヒンジして上端を開
放・閉塞可能とし、一方の側部の上端に、洋服ダ
ンス等の内部に左右向きに設けられたパイプ等に
引つ掛け可能であるフツク部を配設し、さらに、
両側部の手前端それぞれに、手前端に開口する孔
の半部およびこの半部と連続して奥側に設けられ
た大径部の半部を形成し、両側部が閉塞した際に
前記半部および大径の半部とが協働してインジケ
ータを取付ける孔が形成される容器本体と、該容
器本体に形成される孔内に配設され、内部に昇華
性物質を収納したインジケータとを具え、前記イ
ンジケータは、一端が閉塞して前記孔内に位置し
得る筒状をなし、かつ、他端に前記大径部内に位
置し得る鍔部を有する透明のインジケータ本体
と、このインジケータ本体の内部に収納された昇
華性物質と、インジケータ本体の鍔部を閉塞して
いる通気性の不織布と、該不織布に仮着したアル
ミニウムシートとから構成され、前記容器本体を
洋服ダンス等の内部に左右向きに設けられたパイ
プ等に引つ掛けた際、前記パイプの軸線と直交す
る方向から前記インジケータの内部の昇華性物質
を認識可能に構成したものである。

〔作用〕

この考案は上記の手段を採用したことにより、
洋服ダンス等のパイプ等に引つ掛けて取付けた場
合に、両側に洋服等が接触した場合であつても、
インジケータが手前側を向いていることにより、
使用者は常に容器本体内の薬剤残存量の監視をす
ることができる。

また、インジケータに鍔部を設け、容器本体に
鍔部を受け入れる大径部を形成しておけば、容器
本体からインジケータが落下する恐れはないこと
となる。

〔実施例〕

以下、図面に示すこの考案の実施例について説
明する。

第１図にはこの考案による薬剤容器の実施例の
概略全体図が、また、第２図には他の実施例の概
略全体分解図が、第３図には第２図に示すものに
使用するインジケータの縦断面図がそれぞれ示さ
れている。

第１図において、薬剤容器２１は馬蹄形をなし
ていて、内部に所定の間隔で薬剤２５が収納され
ている容器本体２２を有し、この容器本体２２
は、それ自体が洋服ダンス等の内部に左右向きに
設けられたパイプに引つ掛けられるようになつて
おり、引つ掛けられた際には容器本体２２がパイ
プの軸線に対して直交するように取付けられるも
のである。

そして、この容器本体２２の端部に、インジケ
ータ２３が設けられ、このインジケータ２３は、
その内部に、たとえば、パラジクロロベンゾー
ル、ナフタリンあるいはイソプロピルトリオキサ
ンなどの昇華性物質２４が配設されるとともに、
インジケータ２３の一部が空気が流通可能となつ
ていて時間とともに昇華して大きさが変形するよ
うになつている。

上記のように構成した薬剤容器２１にあつて
は、前記インジケータ２３の内部の昇華性物質２
４が時間とともに減少することにより、昇華性物
質の大きさと容器本体２２の内部に位置した薬剤
２５の有効性とを一致させることにより、インジ
ケータ２３の内部の昇華性物質が残つている場合
には薬剤２５がまだ有効であることとなる。

この場合、前記インジケータ２３は、その内部
の昇華性物質を洋服ダンス等の内部で左右向きの
パイプと直交する方向から認識可能であるので、
両側に洋服が吊設されている場合であつても、扉
を開放した状態で昇華性物質の残存量を認識する
ことができるものである。

また、第２図および第３図にはこの考案による
薬剤容器の他の実施例が示されていて、この薬剤
容器１は、下端がヒンジされて開閉可能となつて
いる一対の側部３，４からなる容器本体２を有
し、この容器本体２を形成する一対の側部３，４
の対向する４箇所には、一方の側部３に突起５，
５，……が、他方の側部４に前記突起５，５，…
…を嵌入し得る孔６，６，……がそれぞれ複数設
けられ、一対の側部３，４を合致した際に各突起
５，５，……および孔６，６，……の作用によつ
て両側部３，４が閉塞状態に保持可能となつてい
る。

また、他方の側部４の上端の手前側には、洋服
ダンスのパイプ等に引つ掛けるためのフツク部７
が設けられ、さらに、両側部３，４の対向する内
面には防虫剤、防臭剤や防カビ剤を含浸した含浸
材８を位置し得る凹部９，１０が形成されてい
て、この凹部９，１０の奥面は所定の間隔をおい
て側部３，４を貫通する長孔１１，１２が穿設さ
れ、これによつて、両側部３，４の含浸材８の位
置する凹部９，１０は格子状に形成されている。

また、前記両側部３，４の手前側の端部３ａ，
４ａはそれぞれ肉厚に形成されるとともに、この
肉厚となつている端部３ａ，４ａの内面に、手前
端に開口する孔１３の半部１３ａ，１３ｂがそれ
ぞれ形成され、さらに、この孔１３の半部１３
ａ，１３ｂの奥端は大径部１４を形成する半部１
４ａ，１４ｂがそれぞれ形成されている。

したがつて、一方の側部３に設けた突起５，
５，……と他方の側部４に設けた孔６，６，……
との協働によつて両側部３，４が閉塞状態の時
に、容器本体２の手前端に開口する孔１３が形成
されるとともに、この孔１３の奥端は僅かな奥行
きを有した大径部１４となつている。

一方、前記容器本体２の手前端に開口する孔１
３の内部に位置するインジケータ１５は、第３図
に示すようになつていて、一端が閉塞した筒状を
なすとともに、開口部に前記大径部１４に位置し
得る大きさとなつている鍔部１６ａ形成された透
明のインジケータ本体１６を有し、このインジケ
ータ本体１６の内部に、たとえば、パラジクロロ
ベンゾール、ナフタリンあるいはイソプロピルト
リオキサンなどの昇華性物質１７が収納され、ま
た、前記鍔部１６ａには不織布１８が取付けられ
て開口部を閉塞し、さらに、この不織布１８には
不通気性であるアルミニウムシート１９が仮着さ
れている。

なお、前記昇華性物質１７は透明ではなく、ま
た、前記不織布１８には色彩が施されている。

つぎに前記のものの作用について説明する。

まず、第２図に示す状態に開放されている容器
本体２の両側部３，４で形成される凹部９，１０
内に、防虫剤、防臭剤や防カビ剤などの薬剤を含
浸した含浸材８を位置する。

一方、前記手前端の孔１３の内部にインジケー
タ１５を、その鍔部１６ａが孔１３の大径部１４
内に位置した状態で配設する。

この時、前記インジケータ１５の不織布１８に
仮着されたアルミニウムシート１９を剥離してお
く。

そして、上記のような準備を行つた後に、前記
両側部３，４を閉塞すると、一方の側部３の突起
５，５，……が他方の側部４の孔６，６，……の
内部に嵌入して両側部３，４が閉塞した状態に保
持されることとなり、この状態で、含浸材８に含
浸している防虫剤、防臭剤や防カビ剤などの薬剤
は空気と接触して揮散を開始して、その薬剤の有
する機能を発揮することとなる。

したがつて、前記他方の側部４の上端の手前側
に設けられたフツク部７を用いて、洋服ダンスの
パイプに引つ掛ければ良いものである。

この場合、洋服ダンスのパイプには洋服等が掛
かつたハンガが引つ掛けられていて、容器本体２
の両側部３，４の外面は洋服等に接触した状態で
保持されていることとなるが、インジケータ１５
のインジケータ本体１６は容器本体２の手前端に
表出し、しかも、パイプの軸線に対して直交する
方向から内部の昇華性物質を認識できるので両側
に洋服等が接触したままの状態であつても洋服等
を移動することなく、そのままの状態でインジケ
ータ１５を見ることができるものである。

また、インジケータ１５は時間とともに、その
内部に収納した昇華性物質１７が不織布を介して
空気と接触することにより昇華して減少してい
く。

この場合、容器本体２の内部の含浸材８に含浸
されている防虫剤、防臭剤や防カビ剤などの薬剤
の揮散の状態と前記インジケータの昇華性物質の
昇華の状態とが一致するように、すなわち、昇華
性物質１７が全て昇華してしまつた時点で含浸材
８に含浸された薬剤の揮散が終了してしまうよう
に前記昇華性物質１７の大きさなどを決めてあ
る。

したがつて、使用者は前記昇華性物質１７の大
きさ、あるいは有無を視覚的に認識しておくだけ
で、容器本体２の内部に収納される含浸材８に含
浸された薬剤が、その機能を有効に発揮している
か、あるいは発揮していないかを、すなわち、取
り換え時期か、あるいは、まだそのまま使用し続
けることができるかを知ることができるものであ
る。

そして、通気性を有する前記不織布に色彩を施
しておけば、昇華性物質が昇華することにより、
その昇華してなくなつた部分は不織布の色彩を見
ることができることとなるので、昇華性物質の昇
華の状態をより認識し易くなるものである。

なお、前記実施例においては容器本体に、奥側
に大径部を有する孔を設け、この孔の内部に鍔部
を有するインジケータを配設するようにしたの
で、インジケータが落下する恐れがないものであ
るが、そのように構成することなく容器本体には
単なる孔を設け、また、インジケータ本体に鍔部
を設けない場合であつてもよく、要は、パイプ等
の引つ掛け部材に対して直交する方向からインジ
ケータの内部の昇華性物質を確認できるようにす
れば良いものであり、また、インジケータは容器
本体を構成する側部の一方に配設しても良いもの
である。

〔考案の効果〕

この考案は前記のように構成したことにより、
容器本体の内部の薬剤の揮散の状態をインジケー
タで視覚的に知ることができて、薬剤がまだ使用
できる段階かどうかをインジケータ内の昇華性物
質の有無で判断でき、しかも、インジケータは容
器本体の手前端に表出した状態で配設されてパイ
プの軸線方向と直交する方向から内部の昇華性物
質を認識することができるので、洋服ダンス等に
配置した場合に、両側が洋服等と接触している場
合であつても洋服等を移動することなく、そのま
まの状態でインジケータを見ることができ、これ
によつて洋服ダンス等の扉を開放した時には常に
手前側から見ることができ、内部の薬剤の揮散状
態を確実に認識することができて、取り換え時を
容易に知ることができるものである。

また、インジケータの一部を大径とし、容器本
体にそれに対応する部分を設けたので使用中にイ
ンジケータが落下する恐れもないなどのすぐれた
効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による薬剤容器の実施例を示
す全体概略図、第２図はこの考案による薬剤容器
の他の実施例を示す分解概略斜視図、第３図は第
２図に示すものに使用されるインジケータを示す
縦断面図である。 １，２１……薬剤容器、２，２２……容器本
体、３，４……側部、３ａ，４ａ……端部、５…
…突起、６，１３……孔、７……フツク部、８…
…含浸材、９，１０……凹部、１１，１２……長
孔、１３ａ，１３ｂ……孔の半部、１４……大径
部、１４ａ，１４ｂ……大径部の半部、１５，２
３……インジケータ、１６……インジケータ本
体、１６ａ……鍔部、１７，２４……昇華性物
質、１８……不織布、１９……アルミニウムシー
ト、２５……薬剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 洋服ダンス等の内部に左右向きに設けられた
   パイプ等に引つ掛け可能であるとともに、内部
   に薬剤が収納された容器本体と、該容器本体に
   取付けられ、内部に昇華性物質を収納したイン
   ジケータとを具え、前記インジケータは、その
   内部の昇華性物質が、前記容器本体をパイプ等
   に引つ掛けた状態で前記洋服ダンス等の扉を開
   けた時に手前側から認識可能な位置に取付けら
   れていることを特徴とする薬剤容器。 (2) 互いに協働して薬剤の収納部を形成する一対
   の側部の下端どうしをヒンジして上端を開放・
   閉塞可能とし、一方の側部の上端に、洋服ダン
   ス等の内部に左右向きに設けられたパイプ等に
   引つ掛け可能であるフツク部を配設し、さら
   に、手前端に、両側部それぞれに開口している
   半部で形成され、両側部が閉塞した際に両側部
   に渡つて形成される孔が設けられた容器本体
   と、該容器本体の手前端に形成された孔内に設
   けられ、内部に昇華性物質を収納したインジケ
   ータとを具え、前記容器本体を洋服ダンス等の
   内部に左右向きに設けられたパイプ等に引つ掛
   けた際、前記パイプの軸線と直交する方向から
   前記インジケータの内部の昇華性物質を認識可
   能であることを特徴とする薬剤容器。 (3) 互いに協働して薬剤の収納部を形成する一対
   の側部の下端どうしをヒンジして上端を開放・
   閉塞可能とし、一方の側部の上端に、洋服ダン
   ス等の内部に左右向きに設けられたパイプ等に
   引つ掛け可能であるフツク部を配設し、さら
   に、両側部の手前端それぞれに、手前端に開口
   する孔の半部およびこの半部と連続して奥側に
   設けられた大径部の半部を形成し、両側部が閉
   塞した際に前記半部および大径の半部とが協働
   してインジケータを取付ける孔が形成される容
   器本体と、該容器本体に形成される孔内に配設
   され、内部に昇華性物質を収納したインジケー
   タとを具え、前記インジケータは、一端が閉塞
   して前記孔内に位置し得る筒状をなし、かつ、
   他端に前記大径部内に位置し得る鍔部を有する
   透明のインジケータ本体と、このインジケータ
   本体の内部に収納された昇華性物質と、インジ
   ケータ本体の鍔部を閉塞している通気性の不織
   布と、該不織布に仮着したアルミニウムシート
   とから構成され、前記容器本体を洋服ダンス等
   の内部に左右向きに設けられたパイプ等に引つ
   掛けた際、前記パイプの軸線と直交する方向か
   ら前記インジケータの内部の昇華性物質を認識
   可能であることを特徴とする薬剤容器。