JPH0543200A - 昇降装置 - Google Patents

昇降装置

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JPH0543200A
JPH0543200A JP3228336A JP22833691A JPH0543200A JP H0543200 A JPH0543200 A JP H0543200A JP 3228336 A JP3228336 A JP 3228336A JP 22833691 A JP22833691 A JP 22833691A JP H0543200 A JPH0543200 A JP H0543200A
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telescopic boom
boom
hydraulic cylinder
drum
slider
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光宏 岸
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 伸縮ブームの先端にある昇降台を車体に対し
て垂直上方に持ち上げさせる。 【構成】 伸縮ブーム体13の伸縮量を回転角度に変換
する第一のドラムと、伸縮ブーム体13の俯仰角度を回
転角度に変換する第二のドラムとを設け、第一のドラム
の周囲に第一のカム溝を、第二のドラムの周囲に第二の
カム溝を形成し、第一のカム溝に第一のスライダーを、
第二のカム溝に第二のスライダーを接触させて、第一の
ドラムが回転することにより第一のスライダーを直線方
向に移動させ、第二のドラムが回転することにより第二
のスライダーを直線方向に移動させ、両スライダーの接
近を検知手段マイクロスヰッチで判断し、俯仰用の油圧
シリンダー9と伸縮用の油圧シリンダー20の動作量を
制御することで伸縮ブーム体13の俯仰と伸長を同期さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は昇降台を車体より上方に
上下に移動させて、人員、資材を高所に持ち上げること
ができる昇降装置に関し、特に、伸縮ブーム体を一本と
した簡易な構成でありながら、従来のような複数本の伸
縮ブーム体を持つ昇降装置と同等の機能を持ち、しか
も、伸縮ブーム体の俯仰動作と伸長動作を簡易な構成で
同期制御させることにより、昇降台を車体に対して垂直
上方に持ち上げさせることができる昇降装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高速道路、ビル建築等の高所における組
立て、塗装、修理には昇降台を昇降させる昇降装置が多
く用いられ、この昇降台に作業員、資材を載せて、持上
げたり、降下させて作業をさせていた。
【0003】従来の昇降装置においては、一対のアーム
をその中央で軸支して一組とし、複数組のアームを上下
方向に連結したパンタグラフ状の伸縮機構が用いられて
いたが(いわゆるシザースタイプ)、この機構では昇降
装置の最大上昇高さを高くするためには、アームの各長
さを長くするか、連結するアームの組数を多くしなけれ
ばならないものであった。このため、上昇高さを高くで
きる昇降装置を設計すると、多数組のパンタグラフを用
いなければならず、伸縮機構を折畳んだ状態での昇降装
置の高さが高くなり、作業員が昇降台に乗り降りした
り、資材を積込み、積降ろしする作業が煩わしいもので
あった。
【0004】このためアームの内部に複数のブームを伸
縮自在に挿入して、一つのアームがその長さ方向に伸長
できるように構成した昇降装置も案出されている(例え
ば特願昭56年第134487号、特願昭56年第19
1065号等)。この新しく提案された昇降機構では、
二個一組の中間ブームをその中心で回動自在にX字形に
組合わせ、二組の中間ブームを並列に配置し、各中間ブ
ームを上下端に挿入した各四本の上ブームと下ブームに
よって車体と昇降台を連結させていた。このため必要と
するブームの使用本数が多くならざるを得ず、構成部材
の点数が極めて多くなり、製造、組立が煩雑となり価格
も高くなるものであった。
【0005】また、このような摺動する機構では、各ブ
ームの摺動部分が極めて多くなり、通常この摺動点には
滑りを良好に保つためにポリアミド系の合成樹脂材料に
よる摺動部品を取付けておかなければならないものであ
った。これらの摺動部品は定期的に取換えなければなら
ず、取換えのための部品点数が多くなり、点検や整備に
費用が掛かるとともに作業が煩わしいものであった。
【0006】このため、伸縮ブーム体を一本にして側面
から視てZ字形になるように伸縮させる昇降装置も提案
されている(特願昭59年95797号等)。この新し
い機構では、一本の伸縮ブーム体を長さ方向に伸縮させ
ることと、この伸縮ブーム体を上下に俯抑させることの
二つの制御が必要とされ、両者の制御を同期して行うの
が好ましいものであった。この両者の制御を行うために
は、伸縮ブーム体の伸び量を測定する伸縮量測定器と伸
縮ブーム体の水平からの俯抑角度を測定する角度測定器
が必要とされ、両測定器からの検出信号を演算して、俯
抑用の油圧シリンダーと伸縮用の油圧シリンダーをそれ
ぞれ制御させなければならないものであった。これらの
測定器を昇降装置に配置するのは組立上複雑な構成とな
るものであり、さらに、両測定器から出力された信号を
演算用のコンピューター(マイコン等)を必要とするも
のであった。これらの測定器、コンピューターは個々の
価格が高く、昇降装置全体の価格を上げる要因となって
いた。大型の昇降装置であってはコンピューターの価格
はそれ程製品全体の価格に響かないものであるが、小型
の昇降装置においては昇降装置全体の価格に対するコン
ピューターの原価比率が高くなり、小型の昇降装置には
負担が大きい欠点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように新しく提
案されたZ字形の昇降装置では、従来のシザース型の昇
降装置やX字形に伸縮する昇降装置に比べ、その部品点
数が少なくなる等の優れた特徴があるが、伸縮ブーム体
の俯抑と伸びを同時に制御しなければいけないため制御
の機構が複雑、高価となる欠点を有していた。
【0008】このため伸縮ブーム体の伸長量や、傾斜角
度の測定器及びこれらからの信号による演算を行うため
のコンピューターを使用せず、昇降台を車体に対し垂直
方向に持上げるための簡易な制御機構の開発が望まれて
いた。特に、高価なコンピューター等の電子機器を使用
せずに、制御ができる機構が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、移動できる車
体と、この車体上方に配置された平坦な昇降台と、車体
と昇降台の間に配置され複数のブームをその長さ方向に
挿通した伸縮ブーム体と、車体と伸縮ブーム体の間に介
在されて伸縮ブーム体を斜めに持ち上げることができる
俯仰手段と、伸縮ブーム体の内部に収納されて伸縮ブー
ム体を伸長させる伸長手段とからなり、車体と昇降台と
伸縮ブーム体とが側面から見てZ字形になるように配置
させ、伸縮ブーム体を伸縮させるとともに俯仰させるこ
とで昇降台を上下動させることができる昇降装置におい
て、伸縮ブーム体の伸縮量を回転角度に変換する第一の
ドラムと、伸縮ブーム体の俯仰角度を回転角度に変換す
る第二のドラムと、第一のドラムの周囲に形成された第
一のカム溝と、第二のドラムの周囲に形成された第二の
カム溝と、第一のカム溝に接触して第一のドラムが回転
することにより直線方向に移動する第一のスライダー
と、第二のカム溝に接触して第二のドラムが回転するこ
とにより直線方向に移動する第二のスライダーと、第一
と第二のスライダーの接近を検知して俯仰用の油圧シリ
ンダーと伸縮用の油圧シリンダーを制御する検知手段と
から構成されたことを特徴とする昇降装置を提供するも
のである。
【0010】
【作用】本発明では、昇降台の下面の伸縮ブーム体との
接続部分に長さ検知ワイヤーの先端を連結してあり、こ
の検知ワイヤーは車体の伸縮ブーム体の軸支部分に向け
て延長さてあり、車体に設けたワイヤードラムに巻取ら
れて、ワイヤードラムには円筒カムと同軸に連結してあ
る。また、伸縮ブーム体の回転軸には、回転を同期して
連動する補正カムが接続してある。このため、検知ワイ
ヤーは伸縮ブーム体の伸びる方向と平行になるように配
置されている。そして、俯仰用の油圧シリンダーと伸長
用の油圧シリンダーが同時に作用すると、伸縮ブーム体
は車体に対して上方に俯仰すると共に、伸縮ブーム体は
その長さを伸ばすように作動する。このため、ワイヤー
ドラムから検知ワイヤーを引き出すように作用し、ワイ
ヤードラムと円筒カムを同時に回転させる。この円筒カ
ムの外周には第一のスライダーを接触させてあるため、
第一のスライダーは直線的に移動する。また、伸縮ブー
ム体が俯仰することで補正カムが連動して回転する。こ
の補正カムには第二のスライダーが接触させてあるた
め、第二のスライダーは直線的に移動する。両スライダ
ーには接触体とマイクロスイッチが設けてあり、両スラ
イダーが常時接近するように2つの油圧シリンダーを補
正しながら制御する。補正カムには伸縮ブーム体の俯仰
に対する伸びの運動量を補正した曲線でカム溝が形成し
てあるので、常時両スライダーが接近するように制御す
ると、2つの油圧シリンダーを補正カムのカム溝の曲線
どおりに補正して作動させることになる。このため、伸
縮ブーム体の先端、すなわち昇降台、は車体に対して垂
直上方に直線的に上昇することになる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。図1は本発明の一実施例である昇降装置の昇降台を
上昇させた状態を示す斜視図、図2は昇降台を最下位置
に降下させた状態の側面図、図3は同上の正面図、図4
は昇降台を最大高さ位置にまで上昇させた状態を示す側
面図である。
【0012】移動できる車体1の前後左右にはそれぞれ
前輪2と後輪3が軸支してあり、車体1が自由に移動で
きる構成となっている。この車体1の下部には、エンジ
ン、油圧ポンプ等を収納した原動箱4が取付けてある。
【0013】この車体1の上面一端(後輪3側)には一
対の軸支片5が間隔を置いて固着してあり、この軸支片
5の間には断面四角形であって内部を中空とした下ブー
ム6が挿入してあり、軸支片5と下ブーム6の下端とは
ピン7によって回動自在に連結してある。なお、ピン7
は下ブーム6側に固着してあり、ピン7は軸支片5に対
して円滑に回転することができる。前記車体1の上面で
あって、軸支片5と反対の位置(前輪2側)の左右には
それぞれ一対のピン止め8が固着してあり、各ピン止め
8と下ブーム6の両側との間には俯抑手段としての俯抑
用の油圧シリンダー9が介在させてある。
【0014】前記下ブーム6の先端は断面四角形に開口
しており、この開口には断面四角形をした内部中空の中
ブーム10がその長さ方向に摺動自在に挿通してあり、
中ブーム10の先端開口には同様に断面四角形の内部中
空をした先ブームがその長さ方向に摺動自在に挿通して
ある。この先ブーム11の先端には断面がコの字形をし
て下方に開口したカバー体12が固着してあり、カバー
体12の上部内面は下ブーム6の外側上面と平行になる
ように間隔を置いてあり、先ブーム11とカバー体12
の間には下ブーム6、中ブーム10を挿通できる程度の
隙間が形成してある。この下ブーム6は車体1の長さと
同じ程度の長さに設定してあり、中ブーム10と先ブー
ム11のそれぞれは車体1の長さとほぼ同じ長さに設定
してある。これらの下ブーム6、中ブーム10、先ブー
ム11により3段に伸縮する伸縮ブーム体13が形成さ
れている。
【0015】次に、図中で符号16は車体1とほぼ同じ
床面積を持つ平坦な昇降台であり、この昇降台16の下
面他端(前輪2側)には間隔を置いて一対の軸支片14
が固着してあり、両軸支片14の間にはカバー体12の
先端が挿入してある。そして、軸支片14とカバー体1
2とはピン15により回動自在に連結されている。ま
た、昇降台16の下面であって、軸支片14と反対側の
位置(後輪3側)の両側にはそれぞれ一対のピン止め1
7が固着してあり、各ピン止め17とカバー体12の両
側の間にはそれぞれ姿勢補正用の油圧シリンダー18を
介在させてある。さらに、昇降台16の上面周囲には、
搭乗した作業員が落下しないように手摺り19が垂直に
植設してある。
【0016】この昇降台16の下面の一方(図1、図
2、図4の右側)にはワイヤー掛け37が固着してあ
り、このワイヤー掛け37は軸支片14の側部に位置す
るように配置させてある。このワイヤー掛け37には複
数の金属細線を寄り合わせて柔軟性を持たせた検知ワイ
ヤー38の先端が連結してあり、この検知ワイヤー38
は伸縮ブーム体13の傾斜に沿って下方に延長させてあ
り、下ブーム6の下部側面にある同調器39にまで延長
させてある。このため、検知ワイヤー38は伸縮ブーム
体13と平行になるように張られており、伸縮ブーム体
13の伸縮の動作に従って検知ワイヤー38は同調器3
9から引き出されたり、また巻き戻される構造となって
いる。なお、同調器39の内部には一定の張力で検知ワ
イヤー38を引っ張る巻き戻しの機構があり、この巻き
戻し機構により検知ワイヤー38は常に一定の張力で張
られていることになる。
【0017】次に、図5は前記の伸縮ブーム体13の内
部構成を示すものである。これらの下ブーム6、中ブー
ム10、先ブーム11はそれぞれ伸縮できるようにテレ
スコピック状に挿通されている。この先ブーム11の先
端に取付けられているカバー体12は、その上辺が下ブ
ーム6の全長の2/3程度の長さであり、その下辺は1
/3程度であり、図5中において左側の辺は下方に向け
て斜めになるように形成してある。この下ブーム6の上
面であって、その左端より1/3程度の位置には油圧シ
リンダー9の先端を連結するためのピン孔21が設けて
あり、カバー体12の下面であってその全長の1/2程
度の位置には油圧シリンダー18の先端を連結するため
のピン孔22が設けてある。
【0018】また、カバー体12の上面であってその左
端には軸支部23が固着してあり、この軸支部23内に
は下ブーム6の上面に接触するローラー24が軸支して
ある。この先ブーム11の上端(図5中右側)にはスプ
ロケットホイール41が軸支してあり、先ブーム11の
下端(図5中左側)よりその長さの1/3程度の位置に
もスプロケットホイール42が軸支してある。両スプロ
ケットホイール41、42の間にはチェーン43が巻廻
してあり、中ブーム10より先ブーム11を全伸長させ
たときにはチェーン43の下端部が中ブーム10の上端
(図5中右側の位置)に位置するように設定してある。
そして、このチェーン43の右側には10個程度のポリ
アミド系樹脂で形成した滑りやすい材質で形成したスペ
ーサーとしてのローラー44が間隔を置いて配置してあ
る。
【0019】さらに、図6は図5中におけるAーA矢視
の断面を示すものである。
【0020】中ブーム10の先端(図5中右端)の両側
にはそれぞれ補助板26が固着してある。この補助板2
6の下部には支軸28が固定してあり、この支軸28に
は補助板26の内側に位置してそれぞれが先ブーム11
の外周下面に当接するローラー29が回転自在に軸支し
てある。この支軸28の中央には、下ブーム6と先ブー
ム11とを連動させるチェーン(図示せず)を回転させ
るプーリー30が軸支してある。また、補助板26には
先ブーム11の外側に接触するスライダー31と、カバ
ー体12の内部に当接するスライダー32が設けてあ
る。
【0021】そして、先ブーム11の内壁上部の左右に
は、一対のスプロッケットホイール41が軸45により
軸支されており、各スプロケットホイール41にはそれ
ぞれチェーン43が巻廻してあり、各チェーン43には
複数個のローラ44が間隔を置いて配置してある。
【0022】次に、図7は図5中におけるBーB矢視の
断面を示すものである。
【0023】カバー体12の下端上部に設けた軸支部2
3の内部左右には、その側面と平行になるように一対の
支片33が固着してあり、軸支部23の側面と各支片3
3の間にはそれぞれピン34が架設してあり、各ピン3
4には前記ローラー24が軸支してある。そして、カバ
ー12の側面には下ブーム6の側面と当接するライナー
35が固着してあり、下ブーム6には中ブーム10の外
周と当接するライナー36が固着してある。前記先ブー
ム11の下方の左右内壁にはそれぞれスプロケットホイ
ール42が軸支してあり、このスプロケットホイール4
2にはチェーン43が巻廻してある。
【0024】また、図8は図6中左側におけるスプロケ
ットホイール41の付近を拡大して示すものである。
【0025】前記先ブーム11の内壁には、その側面よ
り突出して固定したピン45が設けてあり、このピン4
5には前記スプロケットホイール41が回転自在に軸支
してあり、このスプロケットホイール41にはチェーン
43が巻付けてある。また、前記ブーム11の上面に
は、ポリアミド系の合成樹脂で形成したレール46が先
ブーム11の長さ方向と平行に固着してあり、このレー
ル46の上面に前記チェーン43のコロが転動できるよ
うに接触させてある。そして、チェーン43の両面には
L字形に形成した一対のアングル片47が連結してあ
り、両アングル片47の間にはコの字形をして上方に開
口した軸支体48が固着してあり、この軸支体48には
軸49によって前記ローラー44が軸支させてある。
【0026】次に、図9から図13は、本実施例におい
て伸縮ブーム体13の伸長動作と俯仰動作を同期させる
ために用いられる同調器39の内部構成を詳しく説明す
るものである。
【0027】前記同調器39の側面には、下ブーム6の
下端に固定してあるピン7を回転自在に保持する軸支片
5があり、この軸支片5は下ブーム6を保持すると共に
同調器39の外殼の一部を形成している。この軸支片5
から間隔を置いて平行になるように軸支片51(図10
を参照)が固定されていて、軸支片5と軸支片51によ
って同調器39内の各種の機構が軸支されている。前記
ピン7は下ブーム6に固着されていて、下ブーム6が油
圧シリンダー9によって揺動されるとピン7も回転する
ことになる。
【0028】この軸支片5と軸支片51の間には同期軸
52、53が回転自在に軸支されており、さらに同期軸
52の上部において支軸54も軸支されている。この同
期軸53の中央には円筒形をした補正カム体55が固着
してあり、補正カム体55の外周には溝状となったカム
溝56が切削加工してある。さらに、同期軸53の一端
には歯車57が固着してあり、歯車57、補正カム体5
5は同期軸53と共に回転することができる。そして、
ピン7の一端には歯車58が固着してあり、歯車57、
58の間にはチェーン59が巻き廻してある。次に、同
期軸52には円筒形となった比例カム体61とワイヤー
ドラム63が固着してあり、比例カム体61の外周には
一定のピッチ間隔でカム溝62が切削形成してある。そ
して、支軸54にはプーリー64が回転自在に軸支して
あり、このプーリー64に前記検知ワイヤー38を接触
させて、次いでワイヤードラム63に巻き取らせてあ
る。また、同期軸52の一端で軸支片51の外側には歯
車65が固着してあり、下部に設けたモーター66の回
転軸にも歯車67が固着してあり、歯車65と歯車67
の間にはチェーン68が巻き廻してある。そして、同期
軸52と53の間にはそれぞれが平行となるようにガイ
ドレール69、70が固着してある。このガイドレール
69、70はそれぞれの断面が四角形となった細長い形
状をしており、補正カム体55、比例カム体61の外周
と接触しない程度の間隔を置いて配置してある。そし
て、ガイドレール69にはスライダー72が摺動自在に
挿通してあり、ガイドレール70にはスライダー71が
摺動自在になるように挿通させてある。
【0029】次に、図11、図12は前記ガイドレール
69、70に組み合わせたスライダー71、72の構成
を拡大して示すものであり、図11と図12のそれぞれ
は逆方向から見た状態を示している。
【0030】前記スライダー71にはその中央に四角形
の断面を持った案内体73が摺動自在に挿通してあり、
この案内体73によってスライダー71はガイドレール
70の長さ方向に移動できるようになっている。この案
内体73の上面には先端が楔形となった細長い接触体7
4が載置してあり、接触体74の上面にはL字形となっ
たアングル75が固着してある。このアングル75には
上下に二段にマイクロスイッチ76、77が固定してあ
り、マイクロスイッチ76、77の検知作動をするため
の作動子78、79はスライダー72の方向に向けてあ
る。次に、ガイドレール69には四角形の断面を持った
案内体81が摺動自在に挿通してあり、案内体81の上
面には先端が楔形となった接触体82が載置してある。
そして、接触体82の側面であって、スライダー71に
対向した面にはブロック状をした押動体83、84が上
下に固定してある。
【0031】なお、接触体74、82の先端は楔形をし
ており、それぞれの楔形が逆方向を向いており、接触体
74の楔の先端はカム溝56に噛み合わせてあり、接触
体82の楔の先端はカム溝62に噛み合わせてある。そ
して、接触体74、82はそれぞれ平行に位置させてあ
り、かつガイドレール69、70とは直角方向に向けて
ある。さらに、接触体74、82の後部はそれぞれが接
触できるように互い違いに配置させてある。また、押動
体83の側面は作動子78と接触できる位置にあり、押
動体84の側面は作動子79と接触できる位置にある。
なお、押動体83、84のそれぞれの突起長さは相違し
ており、押動体83は押動体84よりも長く突起させて
ある。
【0032】次に、図13は前記補正カム体55に形成
したカム溝56の形状を模示的に示したものであり、図
13のCで示す部分が補正カム体55の周面を展開した
状態を示すものである。この補正カム体55の外周に切
削形成されたカム溝56は、直線的に比例した形状をし
ているのではなく、補正カム体55の回転角度に対して
一定の関数関係でスライダー71が移動するように形成
されている。このため、補正カム体55の回転角度X、
すなわちピン7の回転角度、によりスライダー71が移
動する距離Yは、補正カム体55の回転角度Xに対して
スライダー71の移動距離Yに換算した結果となるよう
に補正してある。
【0033】このカム溝56の曲線の形状を図14で詳
しく説明する。この図14では、伸縮ブーム体13の俯
仰角度θと、それに対する伸縮ブーム体13の伸び量L
の関係を模示的に示してある。すなわち、伸縮ブーム体
13が水平状態における伸縮ブーム体13の長さは車体
1の長さと同じSであるのに対し、伸縮ブーム体13が
角度θだけ俯仰させられた時の伸縮ブーム体13の先頭
からピン7までの長さはS+Lとならなければならな
い。この伸縮ブーム体13が俯仰角度θに対してLだけ
伸びることにより、ワイヤー掛け37が描く軌跡は図1
4中で鎖線のように水平にある車体1に対して直角とな
る。この補正された運動により、昇降台16は車体1に
対して垂直上方に持ち上げられることになる。しかし、
この俯仰角度θと伸び量Lの運動とは比例せず、俯仰角
度θが浅いときは伸び量Lは小さいが、俯仰角度θの角
度が大きくなったときは伸び量Lは大きくなる。この俯
仰角度θと伸び量Lの関係は一定の関数で演算すること
ができる。従って、このような関数で補正した曲線によ
りカム溝56の形状が決定される。
【0034】前述のように、伸縮ブーム体13の俯仰角
度θは補正カム体55の回転角度Xに転換され、伸縮ブ
ーム体13の伸び量Lはスライダー71の移動距離Yに
転換される。すなわち、図13における回転角度Xの運
動は図14における伸縮ブーム体13の俯仰角度θに対
応し、図13における移動距離Yの運動は図14におけ
る伸縮ブーム体13の伸び量Lに対応することになる。
このように、ピン7が回転する俯仰角度θに対し、伸縮
ブーム体13がどれだけの長さだけ伸びたらよいかを補
正カム体55により変換させ、必要な伸び量Lをスライ
ダー71の移動距離Yによって補正させることができる
ことになる。
【0035】次に、図15は本実施例における油圧回路
を示すものである。
【0036】エンジン86によって駆動させられる油圧
ポンプ87の吸引側には油タンク88が連通させてあ
り、油圧ポンプ87の吐出側には三方に切換える電磁式
の制御弁89が接続させてある。この制御弁89の吐出
側にはそれぞれ絞り弁90、91が接続してあり、絞り
弁90には停止弁92を介して油圧シリンダー20が接
続してあり、油圧シリンダー20の吐き出し側は制御弁
89に戻してある。また、絞り弁91には停止弁93を
介して油圧シリンダー9が接続してあり、油圧シリンダ
ー9の吐き出し側と油圧シリンダー18の圧力側とは直
列に接続させてあり、油圧シリンダー18の吐き出し側
は制御弁89に戻してある。また、絞り弁90とは並列
に同期弁94が接続してあり、絞り弁91には並列に同
期弁95が接続してある。
【0037】そして、前記昇降台16には操作器97が
固定してあり、この操作器97にはレバー98が設けて
ある。このレバー98を搭乗者が操作することで、昇降
台16を上昇または下降させる指示を行うことができ
る。この操作器97のレバー98を操作すると、操作器
97からは上昇または下降の信号を出力することにな
る。この操作器97の出力は上昇指令回路99と下降指
令回路100に接続してあり、上昇指令回路99の出力
は制御弁89の正側のコイルに接続されている。また、
下降指令回路100の出力はモーター66と制御弁89
の逆側のコイルに接続されており、同時に下降指令回路
100の出力は切換え器103に接続されている。この
切換え器103は三つの揺動できる切換え片105、1
06、107を内部に保有するものであり、二極切換型
の連動スイッチが三個入っているものと同等である。そ
して、前記マイクロスイッチ76の出力は補正回路10
1に入力しており、補正回路101の出力は切換え片1
06に接続している。また、マイクロスイッチ77の出
力は補正回路102に接続してあり、補正回路102の
出力は切換え片107に接続してある。そして、常時正
の電位を出力する電源104は切換え片105に接続さ
せてある。これらの切換え片105、106、107に
対向して固定接点108〜113が設けてあり、固定接
点108と111には同期弁95のコイルに接続してあ
り、固定接点109と110には同期弁94のコイルが
接続されている。また、固定接点112は停止弁92の
コイルに接続してあり、固定接点113は停止弁93の
コイルに接続させてある。
【0038】次に、本実施例の作用を説明する。
【0039】図2、図3は伸縮ブーム体13を縮小し、
昇降台16を最下位置に降ろした状態を示すもので、こ
の状態で昇降台16に作業員が搭乗するとともに、資材
を搭載して昇降台16を上昇させることができる。
【0040】まず、昇降台16を上昇させるためには、
原動箱4内にあるエンジン86を作動させて油圧ポンプ
87を従動させ、油タンク88から圧力油を吸引して圧
力油を発生させる。この圧力油は制御弁89に伝えられ
るものであり、この後この圧力油が油圧シリンダー9、
18、20に供給されることによって昇降台16は昇降
または下降することになる。
【0041】<昇降台16の上昇>
【0042】前記制御器97にあるレバー98を操作し
て上昇側に倒すと、その信号は上昇指示回路100に伝
えられ、上昇指示回路99から制御弁89のコイルに信
号が伝えられ、制御弁93を正側に接続することにな
る。このため、油圧ポンプ87からの圧力油は絞り弁9
0、停止弁92を通過して油圧シリンダー20に伝えら
れ、同時に絞り弁95、停止弁93を通過して油圧シリ
ンダー9に伝えられる。そして、油圧シリンダー20か
ら排出された圧力油は制御弁89より油タンク88に戻
り、油圧シリンダー9から排出された圧力油は油圧シリ
ンダー18に伝えられて油圧シリンダー18を伸長さ
せ、油圧シリンダー18から排出された圧力油は制御弁
89を介して油タンク88に戻される。この油圧シリン
ダー9と18は直列に接続してあるため、両者の伸びは
常に同一となり、伸縮ブーム体13の傾斜角度に如何に
かかわらず、昇降台16は常に水平に保持されることに
なる。このようにして、油圧シリンダー20と油圧シリ
ンダー9、18とが同時に作動するために、伸縮ブーム
体13はその全長を長くするとともに、油圧シリンダー
9の伸長によって車体1に対して傾斜して俯仰させられ
ることになる。
【0043】<伸縮ブーム体13の俯抑動作>
【0044】油圧シリンダー9、18に圧力油が供給さ
れると油圧シリンダー9、18が同時に伸長し、ピン7
を中心として下ブーム6を上方に回動させる。このた
め、伸縮ブーム体13は車体1に対して除々に俯抑され
る。この動作は制御弁89を正側に切換えることで真先
に行われ、油圧シリンダー9、18の動作は油圧シリン
ダー20の動作より常に先行して作動することになる。
【0045】<伸縮ブーム体13の伸縮動作>
【0046】次に、同期弁94、停止弁92を通過して
油圧シリンダー20に油圧が供給されると、その圧力は
伸縮ブーム体13を伸長させるように作動する。まず、
中ブーム10を下ブーム6より摺動させて引出させると
ともに、先ブーム11を中ブーム10より摺動させて引
出させ、ピン7と15の間隔を拡大させるように作用す
る。この伸縮の動作においてローラー24は下ブーム6
の上面に接触して転動しながら移動することになる。
【0047】このカバー体12と下ブーム6、中ブーム
10、先ブーム11の間には隙間があるためガタ付きが
生ずることになり、荷重によって変形する恐れが生じて
くる。すなわち、昇降台16の荷重が油圧シリンダー1
8を介してピン孔22に伝えられ、カバー体12はこの
ピン孔22の応力で下方に曲げられる応力が加えられる
ことになる。しかし、前述のようにローラー24が下ブ
ーム6の上面を転動しているため、荷重がこのローラー
24で支えられ、その後下ブーム6に伝えられるので、
カバー体12は変形せずに昇降台16をその高さに維持
しながら、先ブーム11と共に上方に伸長する。
【0048】この下ブーム6がカバー体12に対して移
動すると、ついには下ブーム6の上端がローラー24の
下面を通過してしまう。しかし、この伸縮ブーム体13
が伸縮する際には、前述のように中ブーム10の先端は
先ブーム11の上端より離れるように摺動して引出され
るため、チェーン43も先ブーム11の内部より引出さ
れてスプロケットホイール41、42を回転させながら
転動する。このチェーン43がレール46を滑るために
円滑に移動し、同時にチェーン43に固着してあるロー
ラー44も従動する。
【0049】このため、チェーン43に固定してある各
ローラー44も中ブーム10とともに従動して移動し、
ローラー44は先ブーム11とカバー体12の間に形成
された空間内に移動する。これらのローラー44はカバ
ー体12の内壁に接触しながら転動することになり、カ
バー体12に加えられる荷重はこのローラ44、チェー
ン43、レール46を介して先ブーム11の上端に伝達
されることになる。こうして、ローラー24が下ブーム
6より離れてしまっても、カバー体12の荷重は各ロー
ラー44が接触することになり、昇降台16の荷重によ
ってカバー体12は変形することがなくなる。
【0050】図16において(イ)は伸長の初期の状態
を示すものであり、ピン孔22に加えられた荷重はロー
ラー24で支持される。そして伸縮ブーム体13の伸長
作動がさらに進むと、下ブーム6はカバー体12より引
出されることになり、ローラー24は下ブーム6の上面
から離れることになる(図17の(ロ)参照)。この時
にはすでに中ブーム10によってローラー44は先ブー
ム11とカバー体12の間に引出されており、ピン孔2
2に加えれた荷重はローラー44等を介してカバー体1
2に伝達され、カバー体12と先ブーム11の間隔は平
行に保持される。
【0051】さらに、中ブーム10が引出されて先ブー
ム11の先端との間隔大きくなると、これらのローラー
44は先ブーム11とカバー体12の間に等間隔に配置
されて転動することになり、先ブーム11が順次中ブー
ム10より引出され、ついには図18の(ハ)の状態で
停止し、この状態が伸縮ブーム体13の最大伸長の位置
である。こうしてローラー24とローラー44の接触と
転動が切換えられて伸縮ブーム体13は円滑に伸長す
る。
【0052】また、伸縮ブーム体13が縮小されるとき
には、中ブーム10内に先ブーム11が挿通されるよう
に移動し、チェーン43は前述とは逆方向に移動し、ロ
ーラー44は先ブーム11内に収納されることになる。
そして、下ブーム6の上端がカバー体12の下端に接触
すると、ローラー24が下ブーム6の上面を転動し始め
る。こうして伸縮ブーム体13が縮小するときには、前
述とは逆に図18の(ハ)より、図17の(ロ)、図1
6の(イ)の順に作動し、カバー体13に加えられる荷
重はローラー44からローラー24に切り換わる。
【0053】なお、本実施例ではスペーサーとしてのロ
ーラー44を円筒形に形成してあるが、スペーサーはカ
バー体12と先ブーム11の間隔を埋めるものであれ
ば、四角形でも多角形でも同一の作用を達成することは
当然である。
【0054】<昇降台16の平行維持>
【0055】このように、油圧シリンダー9によって伸
縮ブーム体13が俯抑させられ、同時に油圧シリンダー
20によって伸縮ブーム体13がその長さ方向に伸び
る。この時、油圧シリンダー18には油圧シリンダー9
から直列に圧力油が供給されているため、同時に同一伸
び量で伸長することになる。油圧シリンダー18は伸縮
ブーム体13と昇降台16の間の角度を拡大するように
作用し、しかも二つの油圧シリンダー9と18の伸長量
が同一であることから、伸縮ブーム体13に対する車体
1の角度と昇降台16の角度は同一となる。このため、
高所作業車は側面から視てややZ字形となり、昇降台1
6は車体1に対して常に平行に維持されることになり、
昇降台16に搭載した作業員等は落下することがない。
【0056】<伸縮ブーム体13の伸長と俯仰の同期>
【0057】前述のように油圧シリンダー9と18及び
20がそれぞれ独立して作動することにより、伸縮ブー
ム体13は車体1に対して俯抑され、伸縮ブーム体13
は伸長し、同時に昇降台16は常に車体1に対して平行
に維持される。しかしながら、各油圧シリンダー9、1
8、20がそれぞれ勝手に動作するとなれば、昇降台1
6は上昇することができても車体1の平面に対して垂直
方向に直線的に上昇することができず、車体1より前後
方向に偏位して上昇することとなり、極めて不安定とな
る。例えば、油圧シリンダー9の伸長速度が早く作動す
るとなれば伸縮ブーム体13は大きく俯仰し、後方に転
倒する恐れがある。また、油圧シリンダー20の伸長が
早く作動すれば、伸縮ブーム体13の伸長速度が早くな
り、車体1の前方に重心が移動して前方に転倒する恐れ
がある。このため、油圧シリンダー9、18と油圧シリ
ンダー20のそれぞれの作動の同期を図らなければ昇降
台16を垂直方向に上昇させることは不可能となる。こ
のため、図15の制御回路の動きと共に伸縮ブーム体1
3の俯抑と伸長の動作におけるそれぞれの間の同期制御
に付いて説明する。
【0058】前述のように、昇降台16を上昇させる場
合にはレバー98を上昇側に倒し、操作器97より上昇
指令回路99に信号を伝え、制御弁89を正側に切換え
る。このため、油圧ポンプ87の圧力油は絞り弁90、
停止弁92を通過して油圧シリンダー20に伝えられ、
伸縮ブーム体13を伸長させる。同時に制御弁89から
の圧力油は絞り弁91、停止弁93を通過して油圧シリ
ンダー9、18に直列に供給され、油圧シリンダー9と
18を同時に伸長させ、伸縮ブーム体13を車体1に対
して上方に俯仰させることになる。このようにして、側
面から見て車体1、伸縮ブーム体13、昇降台16によ
りややZ字形になるように変形させ、昇降台16を車体
1の上方に持ち上げることになる。
【0059】ここで、油圧シリンダー9が伸長すること
によって下ブーム6が立ち上げられ、車体1と平行にな
るよう格納されていた下ブーム6はピン7を中心として
俯仰させられる。この下ブーム6の下端はピン7に固定
されているため、ピン7は下ブーム6の俯仰角度と同時
に回転することになる。このピン7の回転は歯車58に
伝えられ、チェーン59と歯車57を介して同期軸53
を回転させる。この同期軸53の回転で補正カム体55
が回転させられが、この補正カム体55の回転速度は歯
車57、58の歯車数の比によって増幅されるので、補
正カム体55はピン7の回転速度よりも早くなる。この
補正カム体55の外周に形成したカム溝56には接触体
74の楔型をした先端を接触させてあるため、カム溝5
6の溝の位置に従って接触体74、すなわちスライダー
71全体、はガイドレール70の長さ方向に移動させら
れることになる。このような一連の連動により、下ブー
ム6の俯仰した回転角度はスライダー71の直線的な移
動量に変換させられることになる。
【0060】また、油圧シリンダー20によって伸縮ブ
ーム体13の全長は伸長させられるが、この場合におい
てワイヤー掛け37にその先端を連結してある検知ワイ
ヤー38は伸縮ブーム体13の伸長に従って同調器39
の内部から引き出されることになる。この同調器39の
内部では、検知ワイヤー38はワイヤードラム63に巻
き取られているため、検知ワイヤー38が伸縮ブーム体
13の伸長によりワイヤー掛け37の方向に引き出され
るに従ってワイヤードラム63は回転させられる。この
ワイヤードラム63の回転で、同期軸52及び比例カム
体61は回転させられることになる。この比例カム体6
1の外周に形成したカム溝62には、接触体82の先端
に形成した楔型の先端が接触させてあるため、接触体8
2、すなわちスライダー72、はガイドレール69の長
さ方向に摺動させられる。このようにして、検知ワイヤ
ー38がワイヤー掛け37によって引き出される直進的
な移動は、スライダー72がガイドレール69に沿って
移動する直進運動に変換される。しかもカム溝62のピ
ッチによってその移動量が縮小されるため、比例カム体
61の一端から他端までスライダー72が移動する距離
は、伸縮ブーム体13が最小に縮小された状態から最大
に伸長された長さに比例しており、伸縮ブーム体13の
長さを変換したものである。
【0061】図14で示すように、伸縮ブーム体13の
先端を車体1に対して直角方向に移動させるためには、
油圧シリンダー9、18と油圧シリンダー20に供給す
る二系統の油圧の量を補正しなければならない。この圧
力油を補正して供給する作用は前述の同調器39と油圧
回路によって行われる。
【0062】まず、レバー98が上昇側に倒されると、
上昇指令回路99からは制御弁89の正側のコイルに信
号が流れている。このとき、切換え器103の切換え片
105は固定接点108と接触しているため、固定接点
108から供給される電流は同期弁95に伝えられ、同
期弁95を閉鎖している。しかし、同期弁94には何ら
電流が加えられていないため、同期弁94は開放してい
る。従って、制御弁89から絞り弁91を介して油圧シ
リンダー9に供給される油圧の供給量と、制御弁89か
らバイパスの同期弁94を介して油圧シリンダー20に
伝える油圧の供給量は相違し、油圧シリンダー20の方
が早く伸長することになる(この時には、押動体83、
84がマイクロスイッチ76、77に接触していない状
態である。)。
【0063】このように、油圧シリンダー9と油圧シリ
ンダー20に加えられる油圧の供給量が相違することか
ら、油圧シリンダー20の伸長により伸縮ブーム体13
の伸長速度が早くなり、検知ワイヤー38は早く引き出
される。このワイヤードラム63の回転速度が早いため
比例カム体61の回転数も早くなり、スライダー72が
スライダー71に接近するように移動する。ついに、ス
ライダー72がスライダー71と接触すると、先ず押動
体83が作動子78と接触し、マイクロスイッチ76を
オンさせる。このためマイクロスイッチ76の信号は補
正回路101に伝えられ、この補正回路101から発生
した信号は切換え片106、固定接点110を介して同
期弁94に伝えられ同期弁94を閉鎖する。これ以前で
は、バイパスとしての同期弁94を通過した油圧は油圧
シリンダー20の伸長速度を早めていたが、同期弁94
が閉鎖されることで絞り弁90を通って油圧シリンダー
20に供給されるため、油圧シリンダー20の伸長速度
は低下し、伸縮ブーム体13の伸長速度は遅くなる。し
かし、慣性力によってなおも油圧シリンダー20がさら
に伸びようとするとスライダー72はさらにスライダー
71に接近するため、今度は押動体84がマイクロスイ
ッチ77の作動子79に接触し、マイクロスイッチ77
をオンさせる。
【0064】すると、マイクロスイッチ77の信号は補
正回路102に伝えられ、補正回路102からの信号は
切換え片107、固定接点112を介して停止弁92に
信号を伝え、この停止弁92を閉鎖する。従って、慣性
によって油圧シリンダー20がさらに伸びようとすれ
ば、停止弁92によって油圧シリンダー20の油圧回路
を閉鎖し、油圧シリンダー20の伸長速度を一時停止す
る。しかし、このような作動をしていても、油圧シリン
ダー9には絞り弁91から油圧が供給され続けているの
で、油圧シリンダー9は伸長を続け、下ブーム6はピン
7を回転させながら俯仰させられる。このピン7の回転
は、前述のように同期軸53、補正カム体55に伝えら
れ、なおも回転を継続させることから、スライダー71
は図10中において右方向に移動を続けている。このよ
うにして、スライダー71の移動の後をスライダー72
が追い掛けるようにして移動しているため、見かけ上で
は、伸縮ブーム体13の俯仰速度に対して伸縮ブーム体
13の伸び速度が追従しているようになり、結果として
図14で示されるように俯仰角度θに対する伸び量Lが
カム溝56の設定値によって決められ、伸縮ブーム体1
3の先端に位置するワイヤー掛け37は車体1の平面に
対して直角方向に上昇するように補正されるものであ
る。
【0065】<昇降台16の停止>
【0066】このようにして、油圧シリンダー9、1
8、20をそれぞれ自動的に制御しながら、昇降台16
は車体1に対して垂直上方に持ち上げられる。昇降台1
6が所定の高さ位置になったときレバー98を中立に戻
すことにより、上昇指令回路99はその信号の出力を停
止し、制御弁89を中立にするため油圧シリンダー9、
18、20はその伸びた状態で保持される。このため昇
降台16は所定の高さ位置に保持されて、昇降台16に
搭乗した作業員は建築、塗装等の工事を行うことができ
る。
【0067】<伸縮ブーム体13の縮小と下降の同期>
【0068】次に昇降台16を下降させる場合には、操
作者がレバー98を下降側に倒し、操作器97より下降
指令回路100に下降の信号を出力させる。すると、下
降指令回路100は制御弁89の逆側のコイルに信号を
出力し、圧力油を前述とは逆方向に供給する。同時に、
モーター66を作動させて歯車67、チェーン68、歯
車65を介して同期軸52を逆転させ、ワイヤードラム
63を逆転させることで検知ワイヤー38を巻き取らせ
る方向に作用する。これはワイヤードラム63を強制的
に巻き上げないと検知ワイヤー38が緩んでしまい、正
確な同期制御を行うことができないからである。さら
に、下降指令回路100の出力は切換え器103に伝え
られ、切換え片105、106、107を同時に切換
え、切換え片105を固定接点109側に倒し、切換え
片106を固定接点111側に倒し、切換え片107を
固定接点113側に倒す。これにより、電源104から
供給されている電流は固定接点109を介して同期弁9
4に伝えられ、同期弁94を閉鎖する。従って、制御弁
89から油圧シリンダー20に対して供給される油圧量
は油圧シリンダー9に対する油圧量よりも小さくなり、
油圧シリンダー20の縮小速度は油圧シリンダー9より
も小さくなる。同時に、このとき同期弁95は開放され
ているため、圧力油は絞り弁91を通過せずそのまま同
期弁95を供給されることになる。
【0069】こうして、油圧シリンダー20に圧力油が
供給されたことから油圧シリンダー20は縮小する作動
を開始する。このため、伸縮ブーム体13はその長さが
縮小され、これに伴い一定の張力で張られている検知ワ
イヤー38はワイヤードラム63に巻き取られ、この巻
取りの速度に従って同期軸52及び比例カム体61が回
転させられる。このためカム溝62に接触体82の楔型
の先端を接触させていることから、接触体82、すなわ
ちスライダー72、は図10中において左から右方に直
線方向に移動する。同時に、油圧シリンダー9も縮小さ
せられるため伸縮ブーム体13は傾斜角度を下げること
になり、伸縮ブーム体13の下ブーム6はピン7と共に
回転させられる。このピン7の回転は歯車58、チェー
ン59、歯車57を介し同期軸53に伝えられ、補正カ
ム体55を前述とは逆方向に回転させる。このためカム
溝56に噛み合わせた接触体74の楔型の先端はカム溝
56に従って移動する。この接触体74、すなわちスラ
イダー71、はガイドレール70の長さ方向に沿って図
10中において右から左方向に移動する。この時には同
期弁94が閉鎖され、同期弁95が開放されているた
め、油圧シリンダー20の縮小速度は油圧シリンダー9
の縮小速度と比べて遅くなっている。従って、油圧シリ
ンダー20が縮小することに伴うスライダー72の移動
速度に対し、油圧シリンダー9が縮小することに伴うス
ライダー71の移動速度が速く設定してあり、スライダ
ー72の移動にスライダー71の移動が追従することに
なる。
【0070】そして、ついにスライダー71がスライダ
ー72に接近すると、先ず押動体83にマイクロスイッ
チ76の作動子78が接触し、マイクロスイッチ76が
信号を出力する。この信号は補正回路101に伝えら
れ、次いで固定接点111を介して同期弁95に伝えら
れ、同期弁95は閉鎖される。このため、制御弁89か
ら供給されていた圧力油は絞り弁91によってその流量
が規制され、油圧シリンダー9の縮小速度は小さくな
る。こうして、今まで早い速度で下ブーム6が倒れてい
たが、同期弁95が閉鎖されて絞り弁91による流量制
限によって遅くなり、伸縮ブーム体13の縮小速度に追
従させれる。しかしながら、なおも油圧シリンダー9が
慣性によって縮小速度を遅くしないと、下ブーム6の傾
斜速度はなおも早くなり、このため補正カム体55はな
おも回転し、スライダー71がさらにスライダー72に
接近する。このため今度は押動体84にマイクロスイッ
チ77の作動子79が接触し、マイクロスイッチ77が
オンとなって補正回路102に信号を伝える。この補正
回路102からの信号は、切換え片107、固定接点1
13を介して停止弁93伝えられ、停止弁93を閉鎖さ
せる。こうして、行き過ぎた油圧シリンダー9、18の
縮小運動が一時停止させられる。しかし、この間も油圧
シリンダー20には絞り弁90を介して圧力油が供給さ
れているため、油圧シリンダー20はゆっくりと縮小
し、伸縮ブーム体13の全長は縮小を続ける。
【0071】この伸縮ブーム体13の縮小により、検知
ワイヤー38はワイヤードラム63に巻き取られてお
り、スライダー72はなおも図10中において右から左
方向に移動を続けている。再度、スライダー72とスラ
イダー71の距離が離れたならば、押動体84と作動子
79の接触及び押動体83と作動子78の接触が解除さ
れ、停止弁93、同期弁95は開放されるので前述と同
様にスライダー71はスライダー72を追従するように
運動する。このようなスライダー72とスライダー71
の追従の動作により、油圧シリンダー9、18と油圧シ
リンダー20は一定の関数で運動をすることになり、ワ
イヤー掛け37の位置、すなわち伸縮ブーム体13の先
端は図14に示すように車体1に対して垂直の直線運動
を行う。このため、昇降台16は水平を維持したままで
車体1の上方に垂直に上昇できることになる。このよう
な動作を繰り返すことによって、昇降台16は水平を維
持しながら車体1に対して垂直に下降することができ
る。
【0072】
【発明の効果】本発明は上述のように構成したので、伸
縮ブーム体の俯仰手段と伸縮手段の二系統の油圧機構
を、車体と昇降台の間に張り渡した一本の検知ワイヤー
の伸びの長さと、伸縮ブーム体の揺動角度によって補正
しながら制御することができる。そして、この制御のた
めの構成は単純な機構であるため、製造、組立て構成が
極めて簡単となる。また、この昇降台を上下動させる俯
仰手段と伸縮手段の二系統の油圧機構を、コンピュータ
ー等の高価な電子機器を使用しないため、高価な角度セ
ンサー、伸びセンサーが不要となり、極めて安価に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇降装置の昇降台を最大高さまで上昇させた状
態を示す斜視図である。
【図2】昇降装置の昇降台を最下位置に降ろした状態を
示す側面図である。
【図3】昇降装置の昇降台を最下位置に降ろした状態を
示す正面図である。
【図4】昇降装置の昇降台を最大高さまで持ち上げた状
態を示す側面図である。
【図5】昇降装置の伸縮ブーム体の内部構成を示す側面
図である。
【図6】伸縮ブーム体の、図5中におけるAーA矢視の
断面図である。
【図7】伸縮ブーム体の、図5中におけるBーB矢視の
断面図である。
【図8】伸縮ブーム体の先ブームに取り付けたローラー
付近を示す断面図である。
【図9】昇降装置に用いられる同調器の主要な構成を示
す斜視図である。
【図10】昇降装置に用いられる同調器の構成を示す平
面図である。
【図11】昇降装置に用いられる同調器のスライダー付
近を示す斜視図である。
【図12】昇降装置に用いられる同調器のスライダー付
近を示す斜視図である。
【図13】同調器に用いる補正カム体のカム溝の形状を
示す模示図である。
【図14】伸縮ブーム体の伸びと俯仰の関係を示す説明
図である。
【図15】昇降装置に用いる油圧の供給を制御する配管
図である。
【図16】伸縮ブーム体の伸長の運動を示す説明図であ
る。
【図17】伸縮ブーム体の伸長の運動を示す説明図であ
る。
【図18】伸縮ブーム体の伸長の運動を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 車体 6 下ブーム 9 油圧シリンダー 10 中ブーム 11 先ブーム 12 カバー体 13 伸縮ブーム体 18 油圧シリンダー 20 油圧シリンダー 37 ワイヤー掛け 38 検知ワイヤー 39 同調器 55 補正カム体 56 カム溝 61 比例カム体 62 カム溝 63 ワイヤードラム 71 スライダー 72 スライダー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動できる車体と、この車体上方に配置
    された平坦な昇降台と、車体と昇降台の間に配置され複
    数のブームをその長さ方向に挿通した伸縮ブーム体と、
    車体と伸縮ブーム体の間に介在されて伸縮ブーム体を斜
    めに持ち上げることができる俯仰手段と、伸縮ブーム体
    の内部に収納されて伸縮ブーム体を伸長させる伸長手段
    とからなり、車体と昇降台と伸縮ブーム体とが側面から
    見てZ字形になるように配置させ、伸縮ブーム体を伸縮
    させるとともに俯仰させることで昇降台を上下動させる
    ことができる昇降装置において、伸縮ブーム体の伸縮量
    を回転角度に変換する第一のドラムと、伸縮ブーム体の
    俯仰角度を回転角度に変換する第二のドラムと、第一の
    ドラムの周囲に形成された第一のカム溝と、第二のドラ
    ムの周囲に形成された第二のカム溝と、第一のカム溝に
    接触して第一のドラムが回転することにより直線方向に
    移動する第一のスライダーと、第二のカム溝に接触して
    第二のドラムが回転することにより直線方向に移動する
    第二のスライダーと、第一と第二のスライダーの接近を
    検知して俯仰用の油圧シリンダーと伸縮用の油圧シリン
    ダーを制御する検知手段とから構成されたことを特徴と
    する昇降装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107104628A (zh) * 2016-02-22 2017-08-29 大连新希望光电科技有限公司 太阳能板用旋转支架
CN116968080A (zh) * 2023-09-15 2023-10-31 云南途腾智能装备有限公司 一种台阶作业法用预制拱架机械手臂抓举装置

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