JPH0542667U

JPH0542667U - フユーエルインジエクタ用電磁コイル

Info

Publication number: JPH0542667U
Application number: JP9968291U
Authority: JP
Inventors: 行博西川
Original assignee: 日本電子機器株式会社
Priority date: 1991-11-07
Filing date: 1991-11-07
Publication date: 1993-06-11

Abstract

(57)【要約】【目的】モールド層によるシール性を向上して、コイ
ルが腐食するのを防止する。【構成】コイルボビン３２の各鍔部３２Ｃ，３２Ｄに
凹環状のシール溝３２Ｈ，３２Ｊを形成し、モールド層
３４の注型時に、該各シール溝３２Ｈ，３２Ｊ内に該モ
ールド層３４の一部を浸入させて、各シール突部３４
Ａ，３４Ｂを形成する構成とした。従って、前記モール
ド層３４が燃料中のアンモニア等の成分によって膨潤を
生じて、パーティングラインに隙間が形成され、この隙
間からアンモニア等の成分を含んだ燃料が浸入すると、
各シール突部３４Ａ，３４Ｂがこの燃料によって膨潤し
て、該各シール突部３４Ａ，３４Ｂが各シール溝３２
Ｈ，３２Ｊに密着してシールする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば電子制御式燃料噴射装置等に用いられるフューエルインジェクタに設けられたフューエルインジェクタ用電磁コイルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２および図３に従来技術のフューエルインジェクタ用電磁コイルが用いられたフューエルインジェクタを示す。

【０００３】図において、１はフューエルインジェクタを構成する段付筒状のインジェクタ本体を示し、該インジェクタ本体１内は、一端側に形成されたノズル装着部１Ａと、他端側に形成されたソレノイド収容部１Ｂと、該ソレノイド収容部１Ｂと前記ノズル装着部１Ａとを連通する連通穴部１Ｃとから段付円柱状の空間となっている。また、該インジェクタ本体１の一端外周側には、外部からの燃料をインジェクタ本体１内に供給する流入口１Ｄが穿設されている。

【０００４】２はインジェクタ本体１のノズル装着部１Ａ内に嵌合され、一部が切欠状の通路部２Ａとなったストッパプレート、３は該ストッパプレート２との間に微小隙間を形成するようにインジェクタ本体１のノズル装着部１Ａに挿嵌されて固着されたノズル本体を示し、該ノズル本体３の先端側には、燃料噴射孔３Ａが穿設されている。

【０００５】４はノズル本体３内に軸方向に伸長して配設されたニードル弁を示し、該ニードル弁４は、ストッパプレート２とノズル本体３との間に形成された微小隙間の分だけ軸方向に移動し、これによって、該ノズル本体３の燃料噴射孔３Ａを開，閉弁するものである。

【０００６】５はインジェクタ本体１の連通穴部１Ｃ内に位置し、後述する固定鉄芯１３の鉄芯部１３Ａと所定間隔をもって離間して配設されたアンカーバルブを示し、該アンカーバルブ５は、ニードル弁４の他端側に固着され、これにより、該ニードル弁４と一体的に移動するようになっている。また、該アンカーバルブ５には、流入口１Ｄに連通し、該流入口１Ｄから流入した燃料を前記インジェクタ本体１内で軸方向両側に分流させる分岐路５Ａが形成されている。

【０００７】６はインジェクタ本体１のソレノイド収容部１Ｂに収容された電磁ソレノイドを示し、該電磁ソレノイド６は、外部からの給電によってニードル弁４を開弁動作させるものである。

【０００８】７は固定鉄芯１３等と共に電磁ソレノイド６を構成する電磁コイルを示し、該電磁コイル７は、後述のコイルボビン８，コイル１１およびモールド層１２とから構成されている。

【０００９】８は前記電磁コイル７を構成するコイルボビンを示し、該コイルボビン８は、図３にも示す如く、その内部に固定鉄芯１３の鉄芯部１３Ａが挿嵌される挿嵌穴８Ａが形成された円筒部８Ｂと、該円筒部８Ｂの軸方向両端側から径方向外向きに突出して形成された一側鍔部８Ｃ、他側鍔部８Ｄとから大略構成され、該各鍔部８Ｃ，８Ｄ間は、コイル１１が巻回されるコイル巻回空間８Ｅとなっている。また、該一側鍔部８Ｃの外周側および他側鍔部８Ｄの内周側には、環状溝８Ｆ，８Ｇが形成され、該各環状溝８Ｆ，８Ｇには、Ｏリング９，１０が取付けられている。そして、このようなコイルボビン８は、例えばナイロン６６等の高融点（２６５℃）の絶縁性樹脂材料から注型によって一体成形されている。

【００１０】１１はコイルボビン８のコイル巻回空間８Ｅに巻回されたコイルを示し、該コイル１１の各末端部は、一対のコイル端子１１Ａ，１１Ａ（片方のみ図示）となって前記コイルボビン８から突出している。

【００１１】１２はコイル１１およびコイルボビン８の外周側を覆うモールド層を示し、該モールド層１２は、例えばナイロン１２等のコイルボビン８の成形に用いた絶縁性樹脂材料よりも低い融点（１７７℃）の絶縁性樹脂材料による再注型によって前記コイルボビン８に一体的に成形され、これによって、各Ｏリング９，１０と共に、前記コイル１１に燃料等が浸透するのを防止している。

【００１２】ここで、前記電磁コイル７は、まず、ナイロン６６等の絶縁性樹脂材料を溶融状態で注型することによってコイルボビン８を成形し、このコイルボビン８のコイル巻回空間８Ｅにコイル１１を巻回する。そして、コイル１１，コイルボビン８の外周に、ナイロン１２等の絶縁性樹脂材料を再注型することによってモールド層１２を一体的に成形して電磁コイル７を製作する。

【００１３】１３は電磁ステンレス鋼等の金属材料によって形成された固定鉄芯を示し、該固定鉄芯１３は、軸方向一端側に向けて伸長し、コイルボビン８の挿嵌穴８Ａに挿嵌された鉄芯部１３Ａと、軸方向他端側に向けて伸長して形成されたホース装着部１３Ｂと、該ホース装着部１３Ｂと鉄芯部１３Ａとの間に位置して径方向外向きに突出して設けられ、インジェクタ本体１の他端側に取付けられることによって、ソレノイド収容部１Ｂを閉塞する閉塞鍔部１３Ｃとから大略構成されている。また、該固定鉄芯１３の中央には、軸方向に伸長する貫通穴１３Ｄが穿設されている。

【００１４】１４は固定鉄芯１３の貫通穴１３Ｄ内に位置し、アンカーバルブ５と後述の調整ロッド１５との間に張設された弁ばねを示し、該弁ばね１４は、そのばね力によって前記アンカーバルブ５を介してニードル弁４を常時閉弁方向に付勢している。

【００１５】１５は固定鉄芯１３の貫通穴１３Ｄ内に挿嵌された調整ロッドを示し、該調整ロッド１５には、軸方向に貫通する油通路１５Ａが穿設されている。そして、該調整ロッド１５は、その軸方向一端面で弁ばね１４を押圧し、該弁ばね１４のばね圧が適正状態となる位置で固定鉄芯１３にカシメ固定されている。

【００１６】１６はインジェクタ本体１の他端側であって、固定鉄芯１３の外周側に嵌着されたコネクタを示し、該コネクタ１６は、一対の端子ピン１６Ａ，１６Ａ（片方のみ図示）がコイル１１の各コイル端子１１Ａに接続されることによって、該コイル１１と電気的に接続されている。

【００１７】１７は一端側がインジェクタ本体１の流入口１Ｄに接続されると共に、Ｌ字状に屈曲した他端側が燃料供給ホース１８に接続された接続配管を示し、該接続配管１７内には、燃料フィルタ１９が配設されている。一方、２０は固定鉄芯１３のホース装着部１３Ｂ内に設けられた燃料フィルタ、２１は該ホース装着部１３Ｂに接続された燃料排出ホースをそれぞれ示している。

【００１８】従来技術によるフューエルインジェクタは上述の如き構成を有するもので、燃料ポンプ（図示せず）からの燃料は、所定燃圧を維持した状態で、燃料供給ホース１８、接続配管１７を介してインジェクタ本体１の流入口１Ｄからソレノイド収容部１Ｂに流入する。そして、このソレノイド収容部１Ｂ内の燃料は、アンカーバルブ５の分岐路５Ａによって流れ方向が分岐され、他側に流れた燃料は、固定鉄芯１３の貫通穴１３Ｄ、調整ロッド１５の油通路１５Ａ等を介して燃料排出ホース２１側に吐出され、該燃料排出ホース２１を介して燃料タンク（図示せず）に戻される。一方、一側に流れた燃料は、ストッパプレート２の通路部２Ａ、ノズル本体３とニードル弁４との隙間を通って燃料噴射孔３Ａ近傍まで所定圧を維持して供給されている。

【００１９】そして、コネクタ１６を介して電気的に接続された制御装置（図示せず）からの噴射パルスが電磁ソレノイド６の電磁コイル７に給電されると、鉄芯部１３Ａに磁路が形成され、アンカーバルブ５が弁ばね１４の付勢力に抗して該鉄芯部１３Ａに磁着されることにより、ニードル弁４が他側に変位して燃料噴射孔３Ａが開放され、該燃料噴射孔３Ａから外部に向けて燃料が噴射される。

【００２０】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上述した従来技術によるものでは、コイルボビン８の各環状溝８Ｆ，８Ｇに各Ｏリング９，１０を設けてコイル１１側への燃料の浸入を防止すると共に、該コイル１１，コイルボビン８の外周をモールド層１２によって被覆して燃料が該コイル１１に浸透するのを防止している。

【００２１】しかし、各環状溝８Ｆ，８Ｇに設けられた各Ｏリング９，１０は、ある程度のシール性を得ることはできるものの、燃料による劣化等によってコイル１１側への燃料の浸入を防止できなくなる。また、コイル１１等の外周を被覆しているモールド層１２も、経時劣化等によってシール性が低下する。特に、燃料中にエンジンコンディショナ等の添加剤が注入されると、この添加剤に含まれるアンモニア等の成分によってモールド層１２が膨潤等を生じ易く、これによって注型時のパーティングライン（図３中、矢示Ａ部）に早期のうちに膨潤による隙間が生じてしまう。この結果、この隙間からコイル１１側に燃料が浸入し、この燃料中に含まれるアンモニア等の成分によって該コイル１１が腐食して電磁コイル７が作動不良を生じるばかりか、コイル１１が断線を生じて、当該フューエルインジェクタが使用不可能になることがあり、信頼性や寿命が大幅に低下するという問題がある。

【００２２】本考案は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、モールド層によるシール性を向上して、コイルが腐食するのを防止できるようにしたフューエルインジェクタ用電磁コイルを提供することを目的とする。

【００２３】

【課題を解決するための手段】

上述した課題を解決するために本考案が採用する構成の特徴は、コイルボビンの各鍔部のうち少なくとも一方の鍔部には凹環状のシール溝を設け、モールド層の内周側には該シール溝に樹脂材料を注型することにより環状のシール突部を設ける構成としたことにある。

【００２４】

【作用】

上記構成により、燃料によってモールド層が膨潤し、パーティングラインから燃料が浸入すると、環状のシール突部はこの燃料によって鍔部のシール溝内で膨潤し、該シール溝に密着し、シール性を高める。

【００２５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１に基づいて説明する。なお、実施例では前述した図２および図３に示す従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。

【００２６】図において、３１は本実施例による電磁コイルを示し、該電磁コイル３１は、従来技術で述べた電磁コイル７とほぼ同様に、後述のコイルボビン３２，コイル３３およびモールド層３４とから構成されている。

【００２７】３２は従来技術によるコイルボビン８に替えて本実施例に用いるコイルボビンを示し、該コイルボビン３２は、従来技術で述べたコイルボビン８とほぼ同様に、固定鉄芯１３の鉄芯部１３Ａが挿嵌される挿嵌穴３２Ａが形成された円筒部３２Ｂと、該円筒部３２Ｂの軸方向両端側から径方向外向きに突出して形成された一側鍔部３２Ｃ、他側鍔部３２Ｄとから大略構成され、該各鍔部３２Ｃ，３２Ｄ間にはコイル巻回空間３２Ｅが形成されている。また、該一側鍔部３２Ｃの外周側および他側鍔部３２Ｄの内周側には、Ｏリング９，１０が取付けられる環状溝３２Ｆ，３２Ｇが形成されている。そして、このようなコイルボビン３２も、例えばナイロン６６等の高融点（２６５℃）の絶縁性樹脂材料から注型によって一体成形されている。しかし、本実施例によるコイルボビン３２は、各鍔部３２Ｃ，３２Ｄの外周側に凹環状のシール溝３２Ｈ，３２Ｊが形成されている点において相違する。

【００２８】３３はコイルボビン３２のコイル巻回空間３２Ｅに巻回された本実施例のコイルを示し、該コイル３３の各末端部は、従来技術によるコイル１１と同様に一対のコイル端子３３Ａ，３３Ａ（片方のみ図示）となって前記コイルボビン３２から突出している。

【００２９】３４は本実施例によるモールド層を示し、該モールド層３４は、従来技術で述べたモールド層１２とほぼ同様に、例えばナイロン１２等の低融点（１７７℃）の絶縁性樹脂材料から注型によってコイル３３，コイルボビン３２の外周を覆うように一体的に成形されているものの、該モールド層３４の内周側には、注型時にコイルボビン８の各シール溝３２Ｈ，３２Ｊ内に樹脂材料が浸入することによって環状のシール突部３４Ａ，３４Ｂが径方向内側に向けて一体的に突出成形されている。

【００３０】本実施例によるフューエルインジェクタは上述の如き構成を有するもので、その基本的動作については従来技術によるものと格別差異はない。

【００３１】然るに本実施例では、コイルボビン３２の各鍔部３２Ｃ，３２Ｄに凹環状のシール溝３２Ｈ，３２Ｊを形成し、モールド層３４の注型時に、該各シール溝３２Ｈ，３２Ｊ内に該モールド層３４の一部を浸入させて、各シール突部３４Ａ，３４Ｂを形成する構成とした。これによって、前記モールド層３４が燃料中のアンモニア等の成分によって膨潤を生じて、パーティングラインに隙間が形成され、この隙間からアンモニア等の成分を含んだ燃料が浸入しても、各シール突部３４Ａ，３４Ｂがこの燃料によって膨潤するから、該各シール突部３４Ａ，３４Ｂを各シール溝３２Ｈ，３２Ｊに密着させてシールし、この燃料の浸入を確実に防止することができる。

【００３２】また、当該フューエルインジェクタは、高温になるエンジンのシリンダヘッド（いずれも図示せず）に取付けられるから、この高温によってモールド層３４の各シール突部３４Ａ，３４Ｂは、コイルボビン３２のシール溝３２Ｈ，３２Ｊ内で熱膨張する。これによっても該各シール突部３４Ａ，３４Ｂを各シール溝３２Ｈ，３２Ｊに密着させることができ、シール性を向上することができる。

【００３３】かくして、本実施例によれば、コイルボビン３２に形成された凹環状のシール溝３２Ｈ，３２Ｊ内でモールド層３４の各シール突部３４Ａ，３４Ｂを膨潤や熱膨張によって密着させてシールするようにしたから、アンモニア等の成分を含んだ燃料が供給されても、この燃料がコイル３３に浸透して該コイル３３が腐食するのを効果的に防止でき、コイル３３の断線等による作動不良が生じるのを防止して、信頼性や寿命を大幅に向上することができる。

【００３４】また、コイルボビン３２の各シール溝３２Ｈ，３２Ｊ内にモールド層３４の各シール突部３４Ａ，３４Ｂを浸入させて形成するようにしたから、燃料がコイル３３に達する浸入経路を長くすることができ、これによってもシール性の向上を図ることができる。

【００３５】なお、前記実施例では、コイルボビン３２の各シール溝３２Ｈ，３２Ｊとモールド層３４の各シール突部３４Ａ，３４Ｂとは、電磁コイル３１の軸方向両端に設けるものとして述べたが、本考案はこれに限らず、例えばシール溝とシール突部とを一端側または他端側のいずれか一方だけに設けるようにしてもよい。

【００３６】また、前記実施例では、コイルボビン３２の各鍔部３２Ｃ，３２Ｄに各シール溝３２Ｈ，３２Ｊを１個ずつ設け、モールド層３４の注型時に該各シール溝３２Ｈ，３２Ｊ内に該モールド層３４の一部を浸入させて各シール突部３４Ａ，３４Ｂを形成するものとして述べたが、これに替えて、例えば各鍔部３２Ｃ，３２Ｄにそれぞれ２個以上のシール溝を形成し、該各シール溝内にシール突部を形成させるようにしてもよく、この場合には、より一層シール性を向上させることができる。

【００３７】

【考案の効果】

以上詳述した通り、本考案によれば、コイルボビンの鍔部に凹環状のシール溝を設け、モールド層の注型時に該シール溝内に環状のシール突部を成形するようにしたから、燃料によってモールド層が膨潤し、パーティングラインから燃料が浸入しても、環状のシール突部がこの燃料によって膨潤することによって、該シール突部をシール溝に密着させてシールすることができる。この結果、コイルへの燃料の浸透を防止でき、該コイルに腐食による作動不良や断線等が生じるのを効果的に防止して、信頼性や寿命を向上することができる。また、エンジンの温度上昇によるシール突部の熱膨張によっても、上述した効果と同等の効果を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による電磁コイルを示す縦断面
図である。

【図２】従来技術によるフューエルインジェクタを示す
縦断面図である。

【図３】図２中の電磁コイル等を拡大して示す縦断面図
である。

【符号の説明】

１インジェクタ本体３１電磁コイル３２コイルボビン３２Ｃ一側鍔部３２Ｄ他側鍔部３２Ｅコイル巻回空間３２Ｈ，３２Ｊシール溝３３コイル３４モールド層３４Ａ，３４Ｂシール突部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】インジェクタ本体内に設けられ、軸方向
両端に鍔部を有し、該各鍔部間がコイル巻回空間となっ
たコイルボビンと、該コイルボビンのコイル巻回空間に
巻回されたコイルと、該コイルの外周側を覆うように樹
脂材料を注型することにより形成されたモールド層とか
らなるフューエルインジェクタ用電磁コイルにおいて、
前記コイルボビンの各鍔部のうち少なくとも一方の鍔部
には凹環状のシール溝を設け、前記モールド層の内周側
には該シール溝に樹脂材料を注型することにより環状の
シール突部を設ける構成としたことを特徴とするフュー
エルインジェクタ用電磁コイル。